委員長 | 前島信次郎君 |
副委員長 | 中西 一善君 |
副委員長 | 池田 梅夫君 |
理事 | 原 環君 |
理事 | 高島なおき君 |
理事 | 田村 市郎君 |
藤田十四三君 | |
大山とも子君 | |
たぞえ民夫君 | |
小山 敏雄君 | |
尾崎 正一君 | |
中山 秀雄君 | |
白井 威君 |
欠席委員 なし
出席説明員交通局 | 局長 | 寺内 広壽君 |
技監 | 堀内 俊夫君 | |
総務部長 | 松尾 均君 | |
水道局 | 局長 | 赤川 正和君 |
技監 | 松田 奉康君 | |
総務部長 | 小泉 智和君 | |
下水道局 | 局長 | 横山 博一君 |
次長 | 緒方 敏彦君 | |
総務部長 | 藤井 浩二君 |
本日の会議に付した事件
意見書、決議について
予算の調査(意見開陳)
・第二十四号議案 平成十三年度東京都交通事業会計予算
・第二十五号議案 平成十三年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十六号議案 平成十三年度東京都電気事業会計予算
・第二十七号議案 平成十三年度東京都水道事業会計予算
・第二十八号議案 平成十三年度東京都工業用水道事業会計予算
・第二十九号議案 平成十三年度東京都下水道事業会計予算
付託議案の審査(決定)
・第九十二号議案 東京都公営企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部を改正する条例
・第九十三号議案 東京都公営企業職員の結核休養に関する条例の一部を改正する条例
・第九十四号議案 東京都下水道条例の一部を改正する条例
請願陳情の継続審査について
特定事件の継続調査について
○前島委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
初めに、意見書、決議につきまして申し上げます。
過日の委員会で理事会にご一任をいただきました意見書一件、決議二件につきましては、お手元配布の案文のとおり調整をいたしました。
案文の朗読は省略いたします。
駅ホーム等における安全対策の強化に関する意見書(案)
平成十三年一月二十六日、JR山手線新大久保駅で線路に落ちた人を救助しようとして救助者二人を含め三人がれき死した事故は、多くの人々に深い悲しみと大きな衝撃を与えるとともに、改めて線路やプラットホーム等の駅構内における身体障害者も含めた安全対策のあり方が問われるところとなった。
新聞によれば、これまでも健常者に限らず視覚障害者が線路に誤って落ちる事故が相次いでおり、平成六年十二月以降、全国で既に十一人もの視覚障害者が亡くなっていると報道されている。
近年、一部の駅舎等において、身体障害者や高齢者等のためにも安全対策が整備されつつあるが、なお多くの駅舎等においては不十分な状況にある。特に視覚障害者用の点字ブロックや手すり等が未整備であるとともに、今回の事故現場のように、転落等の際の避難場所が不備であるなど、安全対策上、多くの問題点が残されている。
交通バリアフリー法が制定され、駅舎内や駅周辺のバリアフリー対策が漸次実施されることとなるが、併せて線路や駅構内における安全対策も早急に強化していく必要がある。
よって、東京都議会は、国会及び政府に対し、今後、駅ホーム等における事故の再発を防ぐために、公共交通事業者による、線路及び駅構内の総点検とともに、できるだけ速やかにバリアフリー等による安全対策を行うよう指導することを強く要請する。
以上、地方自治法第九十九条の規定により意見書を提出する。
平成十三年三月日
東京都議会議長 渋谷 守生
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
国土交通大臣
総務大臣 あて
工業用水道料金の減免措置に関する決議(案)
東京都議会は、平成九年三月、工業用水道料金の改定に際し、長期化する景気の低迷状況を踏まえ、中小零細企業が多い用水型皮革関連企業に対して、特別の減免措置を講ずべきとの付帯決議を行った。これを受けて,都においては、工業用水道料金の減免措置を実施しているが、本年三月末日をもってその実施期間が終了することになる。
しかし、現在においてもなお、設備投資と企業収益の低迷や失業率の上昇など、都内の景気は依然として低い水準で足踏みを続けている。特に、用水型皮革関連企業においては、厳しい経営環境にあり、売上原価に占める工業用水道の使用料金の割合も年々増加している。
よって、東京都議会は、用水型皮革関連企業にかかる工業用水道料金について、減収分に適切な措置を行った上、平成十三年四月以降も引き続き減免措置を講じるよう強く求めるものである。
以上、決議する。
平成十三年三月日
東京都議会
下水道料金の減免措置に関する決議(案)
東京都議会は、平成十年三月、下水道料金の改定に際して、史上空前の不況下にある中小企業や都民生活を守る立場から、高齢者世帯及び生活関連業種のうち特に必要と認めるものについては、激変緩和の観点に立ち、特別の減免措置を講ずべきとの付帯決議を付した。さらに、その後の経済等の諸情勢にかんがみ、引き続き特別の減免措置が必要であるとの認識に立ち、昨年三月、同様の決議を行ったところである。都においては、これらを受けて、下水道料金の減免措置を実施しているが、本年五月末日をもってその実施期間が終了することとなる。
しかし、現在においてもなお、設備投資と企業収益の低迷や失業率の上昇など、都内の景気は依然として低い水準で足踏みを続けている。とりわけ、個人消費の回復が遅れるなどのため、中小の商店等の企業については、これまでにも増して厳しい経済環境が続いている。また、預金金利も低位で推移しており、高齢者世帯の家計も依然として苦しい状況が続いている。
よって、東京都議会は、不況下にある中小企業や都民生活を守り、景気回復に寄与する立場から、下水道料金については、高齢者世帯及び生活関連業種のうち、特に必要と認められるものは減収分について適切な措置を行った上、平成十三年六月以降も減免措置を講じるよう強く求めるものである。
以上、決議する。
平成十三年三月日
東京都議会
○前島委員長 本件は、議長あてに提出の手続をとりたいと思いますので、ご了承を願います。
○前島委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、予算の調査及び付託議案の審査並びに請願陳情及び特定事件の閉会中の継続審査及び調査の申し出の決定を行います。
これより予算の調査を行います。
第二十四号議案から第二十九号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に質疑を終了しております。
これより意見の開陳を行います。
順次発言を願います。
○高島委員 私は、東京都議会自由民主党を代表して、当委員会に付託された平成十三年度予算関係議案について意見の開陳を行います。
初めに、各局共通事項について申し上げます。
現下の都財政は、八兆円にも迫る都債残高や二年連続の財政赤字に加え、一兆円を超える隠れ借金の存在など、依然として厳しい状況にあります。
こうした危機的な財政状況の克服を図るとともに、首都東京の再生に向けて、都市基盤整備や少子高齢社会への対応、景気対策、環境対策、防災など、都政の重要課題に積極的に取り組んでいく必要があります。
この観点から、新しい時代にふさわしい施策の再構築や歳入確保努力など、財政構造改革の引き続く実行がますます重要になるのはいうまでもありません。
知事は、平成十三年度予算案を、財政再建推進プランの前半の到達点として、その着実な実行を図ることにより、首都東京の再生を目指す予算と位置づけられました。財源確保に当たっては、銀行業等に対する外形標準課税が一千億円程度新たな税収として見込まれ、厳しい都財政にとって、大変貴重なものとなっております。
また、都が地方交付税不交付団体であることによって受けている国庫支出金の財源調整措置に関して、知事と都議会が相協力し、国に強力に廃止を要求した結果、昨年に引き続き改善が図られました。
今後も引き続き財源確保に一層の工夫を図るとともに、税源移譲を初めとする地方税財政制度の改善を強く国に働きかけ、地方分権の時代にふさわしい財政自主権を実現していかなければなりません。
また、この予算案においては、都債の償還経費等、今後見込まれる将来負担の増大に対応し、財政調整基金や社会資本等整備基金の積み立てを行うなど、財政基盤の強化を図っておりますが、財政構造改革を進めるという観点からは必要不可欠なことであります。
一方、景気の先行きは依然として不透明であり、都財政の運営に当たっては、常に財政再建の初心に返り、今後も引き続き、財政再建推進プランに掲げた目標の確実な達成を図っていかなければなりません。
なお、予算の執行に当たっては、各局とも一層効率的な事業運営に努め、都民の期待にこたえるべく、最大限の努力を重ねられるよう強く要望いたします。
次に、各局関係に移ります。
まず、交通局関係について申し上げます。
地下鉄、バス、路面電車の都営交通ネットワークの充実を図るとともに、乗り継ぎ利便性の向上に努められたい。
ノンステップバス等の福祉型バスの導入を促進されたい。
だれもが利用しやすい都営地下鉄とするため、地下鉄駅のエレベーター等の設置を促進されたい。
地下鉄駅等の震災対策工事を引き続き推進するとともに、車いす対応型トイレの設置等、地下鉄施設の整備を促進されたい。
乗客が安心して利用できるよう、線路、駅ホームなど、地下鉄施設の安全確保に万全を期するとともに、適時適切な情報の提供に努められたい。
環境に優しい低公害型バスの導入を図るとともに、既存バス車両についても、低公害対策のための改良を促進されたい。
日暮里・舎人線について、東京都地下鉄建設株式会社において建設を促進されたい。
交通局経営計画、チャレンジ二〇〇一に定められた施策を確実に実施するとともに、さらなる経営の効率化に努め、収支改善を図られたい。
次に、水道局関係について申し上げます。
利根川・荒川水系における水資源開発基本計画で予定している新規水源開発について、国に一層の促進を要望するとともに、水源県との協力関係を深め、その推進に努められたい。
現在及び将来にわたる安定給水を確保するため、主要施設整備事業を強力に推進することはもとより、事故、震災時においても、都民生活や都市活動に必要な水を確保できるよう、応急給水槽の建設や水道施設の耐震化など、震災対策に努められたい。
水資源の有効活用を図るため、経年管の取りかえ、給水管のステンレス化及び漏水防止作業を引き続き強力に推進し、漏水率の低減化に努められたい。
安全でおいしい水を供給するため、水質監視体制の充実及び浄水処理技術の改善、開発に努めるとともに、高度浄水施設の建設を積極的に推進されたい。
また、水質基準の改正動向を踏まえ、鉛製給水管の早期解消に努められたい。
なお、河川水質の保全について、下水道の整備促進、流水保全水路整備事業の推進等、国に強く要望されたい。
節水諸施策を引き続き強力に推進し、節水型都市づくりに努められたい。
資源リサイクルや新エネルギー、未利用エネルギーの活用を図るなど、環境に配慮した施策への取り組みを積極的に推進されたい。
リアルタイム処理による水道料金ネットワークシステムを導入するとともに、水道フレッシュ診断の実施や施設の開放等、地域に親しまれる施策を推進し、都民サービスの一層の向上に努められたい。
多摩地区水道事業のより一層の効率化と都民サービスの向上を図るため、現行の事務委託制度の見直しを推進されたい。
今後の水道事業経営の一層効率化を図るため、朝霞浄水場及び三園浄水場における常用発電設備等の設置及び運営について、PFIの積極的な活用に努められたい。
工業用水道事業においては、安定給水及び施設の安全性を確保するため、経年管の更新を初めとした諸施設の整備を進めるとともに、効率的な事業運営の推進、財政の安定化に引き続き努められたい。
国庫補助の増額及び低利債の確保を国に強く要望されたい。
職員定数の削減及び業務手当の削減など、水道事業経営プラン二〇〇〇に盛り込まれた企業努力に万全を期されたい。
工業用水道料金については、昨今の厳しい景気動向にかんがみ、料金の減収分については、適切な措置を行った上、用水型皮革関連企業を対象に減免措置を継続されたい。
次に、下水道局関係について申し上げます。
区部において残された普及困難地域の早期解消に全力を挙げて取り組み、下水道建設事業を強力に推進されたい。
多摩地域における生活環境の改善と、多摩川及び荒川の水質汚濁防止に資するため、流域関連公共下水道の整備との整合に努めながら、流域下水道建設事業を強力に推進されたい。
阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、施設の耐震性を強化するなど、震災に強い下水道システムの構築に努められたい。
老朽化した施設の更新に合わせて、機能の高水準化を図るなど、再構築事業を推進されたい。
浸水被害の軽減、解消のため、浸水対策を積極的に推進するとともに、局所的集中豪雨に対応するための緊急重点雨水対策を着実に実施されたい。
市や町が行う雨水排水施設の整備と整合を図り、都として必要な浸水対策を推進し、多摩地域における浸水被害の軽減を図られたい。
公共用水域の水質保全に資するため、高度処理及び合流式下水道の改善を積極的に推進されたい。
合流式下水道施設からのごみ、白色固形物等の流出や、施設の老朽化による道路陥没など、都民生活に直結する課題に対し、緊急対策を実施されたい。
循環型社会の形成に資するため、下水汚泥の資源化、下水の熱利用、下水処理水の再利用など、資源の有効活用を一層推進されたい。
施設の上部利用や下水管内の光ファイバーケーブルを利用した情報通信網の構築など、下水道の多目的利用を推進されたい。
区部下水道事業及び流域下水道事業に必要な国庫補助金などの財源の確保に努められたい。
下水道のサービス水準の維持向上に必要不可欠な維持管理の充実に努めるとともに、経営改善努力を着実に実施するなど、健全な財政運営に向けて特段の努力をされたい。
下水道料金については、昨今の厳しい景気動向にかんがみ、高齢者世帯及び生活関連業種のうち、特に必要と認める者を対象に、減収分については適切な措置を行った上、減免措置を継続されたい。
以上をもちまして、私の意見開陳を終わります。
○たぞえ委員 私は、日本共産党東京都議会議員団を代表して、公営企業三局の二〇〇一年度予算案、第二十四号議案から二十九号議案に関して意見を申し上げます。
二十一世紀最初の東京都公営企業予算案に求められているのは、不況、リストラ、倒産、社会保障の相次ぐ後退など、かつてない厳しい事態に追い込まれている都民に、豊かな生活と、環境と共生できる東京を提供することです。
そのために、都民の健康と安全を守るという自治体本来の原点に立ち返って、都民の暮らしと営業の向上のための都政運営に全力を尽くさなければなりません。
とりわけ、公営企業事業は、都民サービスを提供するもので、命と安全に直接かかわるものです。ところが、職員削減を初めとした公共サービスの低下が予算案に盛り込まれており、公共性の後退が危惧されるものです。
水道事業会計にあっては、過大な水需給計画に基づく、水源開発などの過大な投資を続ける予算となっており、下水道事業においても、建設事業費は高い水準を維持したままであり、起債未償還残高は三兆円にも達しようとしています。
交通事業会計では、都民の生活に欠かせない都営バス事業の廃止、縮小の実施は、公共交通施策の後退を進めるもので、都民生活の足を奪うものとなっています。あわせて、需給調整規制の廃止による市場競争によって、新たな路線廃止の可能性があり、公営事業の根幹を揺るがす大きな問題になりかねません。
以上、公営企業予算案の問題点を指摘するとともに、都民の期待にこたえる予算となるよう、以下、各局別に意見を申し上げます。
初めに、交通局関係についてです。
一、JR新大久保駅におけるホーム転落事故の教訓から、乗客の安全を守るため、必要な要員の配置を初め、ホームドアや転落防止さくの設置を行うこと。
一、エスカレーター、エレベーターなど、バリアフリー法に基づく施設整備を急ぐこと。また、都バスターミナル、駅前停留所、地下鉄連絡通路などの整備は、高齢者、障害者などが安心して利用できるよう意見を聞き、改善すること。
一、採算性のみを優先したバス事業の縮小をやめ、都民の足を守るとともに、コミュニティバスなどを、地域内交通の確保のため、地元自治体と協力し、都の責任で実現すること。
一、低公害バス、とりわけCNG車、またノンステップバスの導入を一層促進すること。
一、バス専用レーンの増設、交通総量規制の強化など、バス運行の抜本的改善対策を関係機関とともに推進すること。
一、乗客の利便性を高めるため、バスと地下鉄などの乗り継ぎ割引や共通券化を初め、その範囲をJR、民鉄にも広げるため、積極的に働きかけること。
次に、水道局関係についてです。
一、水需要の実態と将来の人口減を考慮して、過大な水需給計画を下方修正するとともに、水資源開発計画を抜本的に再検討すること。
一、八ッ場ダム建設計画など、過大な投資を中止し、見直すこと。
一、水資源の保全、地下水の涵養、漏水対策の抜本的強化、雨水利用の研究と実用化を促進するため、水循環、節水型都市づくりを本格的に推進すること。
一、高度浄水を名目にした過大投資は行わないこと。
一、震災時に備えて、水道施設の補強を図るとともに、すべての避難所に給水施設を完備し、水道用井戸の保全のために、水質検査や助成拡充に努めること。
一、使用量十トン以下の小規模世帯の基本料金を引き下げる方向で検討すること。
次に、下水道局関係についてです。
一、下水道使用の実態と将来の人口減などを十分に考慮して、過大投資となる下水道第二世代マスタープランを抜本的に見直すこと。
一、集中豪雨による都市型浸水被害をなくすため、浸透・貯留施設の緊急整備を図るとともに、都が一体となって、循環型の都市づくりを基本に据えた総合治水対策を促進すること。
一、汚水と雨水の処理費用の負担割合を実態に合わせて見直すとともに、汚水への公費負担率を高めること。不明水の処理費用など必要な公費負担を拡大すること。高度処理施設建設についても、公共水域、環境保全の立場で、建設費用は公費負担とすること。
一、生ごみを下水に流すこととなるディスポーザーは使用を禁止すること。
以上です。
○原委員 私は、都議会公明党を代表して、当委員会に付託された平成十三年度予算案について意見の開陳を行います。
平成十三年度東京都予算案は、一般会計が六兆二千六十億円で、三年ぶりに対前年度比三・六%増となったものの、一般歳出は対前年度比〇・三%増と、ほぼ横ばいとなり、投資的経費は九年連続減少となっています。
一般会計が増加したといっても、これは銀行業等に対する外形標準課税一千四百十六億円及びIT業種等の法人税の伸びに支えられたものであり、他方、減債基金積み立ての一部見送りや他会計からの借り入れによって生じた隠れ借金が累計で一兆円にも上り、加えて十四年度から飛躍的に膨れ上がる都債償還費と退職手当や既存の社会資本の維持更新等に要する増嵩を考えるならば、都財政の先行きは、なお予断を許さないものがあります。
したがって、今後とも積極的な財政構造改革への取り組みが必要となることはいうまでもありません。
我が党は、この新年度予算編成に当たり、徹底した行財政改革で都の財政構造を変革すると同時に、少子高齢社会への対応や東京の活性化に必要な予算には十分配慮すべきであると主張してきました。
都が今回の予算を、財政構造改革を着実に進めながら東京の再生を目指す予算と位置づけておりますが、このことは、まさに我が党の方針と軌を一にするものであります。その意味では、職員定数や職員給与の削減、管理事務費や監理団体への財政支出削減、経常経費の見直しなどで、およそ八百億円に達する財源を捻出し、新たな福祉システムの構築並びに環境、教育、中小企業対策など、社会経済情勢の変化に対応した都民福祉向上のための予算確保に充てられたことは高く評価するものであります。
このように、新年度予算案は、多くの面で評価するものでありますが、厳しい財政環境下にあって、都が今後とも、財政再建をなし遂げながら東京の活力を維持し、都民生活を擁護するために引き続き政策努力を展開し、都民とともに新たな世紀の構築に向けて前進されることを強く要望するものであります。
以下、各局別に申し上げます。
初めに、交通局関係について申し上げます。
一、大江戸線環状部などの開業に伴い、飛躍的に充実した都バス、都電を含む都営交通全体としてのネットワークを生かすためのサービスのあり方について検討を進めること。
一、交通局経営計画、チャレンジ二〇〇一に基づき、なお一層の企業努力、経費削減に取り組み、現行運賃を維持すること。
一、地下鉄駅において、エレベーター及びエスカレーター、誘導ブロック等の高齢者、身障者のための設備の設置を促進すること。また、車いす対応型トイレを増設すること。
一、都民が安心して都営地下鉄を利用できるよう、車両、施設の保守管理を徹底し、安全運行の確保に努めること。
一、新交通システムとしての日暮里・舎人線の早期開業を目指し、建設を促進すること。
一、バス事業について、来るべき規制緩和に向け、競争に耐え得る経営体質を確立すること。
一、関係機関と協力してバス専用レーンの拡大、TDMとの連携事業などを推進することにより、運行速度と定時性の確保を図ること。
一、だれにも利用しやすいノンステップバスの導入拡大、バス停留所の上屋増設、照明つき停留所設置など、利用者サービスの向上を図るとともに、地域に密着した新たなバスサービスとして、コミュニティバスの運行を検討すること。
一、CNGバスなど、低公害バス車両の導入拡大を図るとともに、DPF装置の装着を促進するなど、環境負荷の軽減に努めること。
一、引き続き、都営交通施設の耐震性向上に努めること。
次に、水道局関係について申し上げます。
一、水源確保については、利根川水系及び荒川水系における水資源基本計画に基づく新規水資源の開発について、強く国に働きかけること。
一、都民生活や都市活動を支えていくために、浄水施設及び送配水施設の整備を積極的に進めるとともに、事故、震災時においても必要な水を確保できるよう、応急給水槽の建設や水道施設の耐震化等、震災対策をさらに促進すること。
一、漏水防止のため、経年管の取りかえ及び給水管のステンレス化など、給水管の材質改善を積極的に進めること。
一、江戸川、奥多摩湖等の水質保全対策を積極的に推進すること。
一、安全でおいしい水を供給するため、残留塩素の低減化に努め、朝霞浄水場の高度浄水施設の建設を推進すること。
一、事業財政の安定化を図るため、水道事業経営プラン二〇〇〇に盛り込まれた職員定数の削減や工事コストの縮減など、一層の企業努力に努めるとともに、連担建築物設計制度の活用に向けて検討を行うなど、新たな経営手法を積極的に導入すること。
一、金町浄水場常用発電PFIモデル事業の検証を踏まえ、朝霞浄水場及び三園浄水場における常用発電設備等の設置及び運営などPFIを積極的に活用するとともに、IT化を進め、事業経営の一層の効率化に努めること。
一、事業活動に伴う環境への負荷を継続的に改善し、地球環境保全に貢献するため、引き続き、環境会計や環境報告書を公表するなど環境に配慮した施策を推進すること。
一、発生土の再利用など資源リサイクルを一層推進するとともに、コージェネレーションシステム、水力発電、太陽光発電など新エネルギーの活用に努めること。
一、工業用水道事業における安定給水及び施設の安全性を確保するため、諸施設の整備を進めていくとともに、事業運営の効率化、財政の安定化に努めること。
一、都民生活に与える影響を考慮し、必要な料金減免措置を講じること。
特に、工業用水道料金については、引き続き、適切な措置を行った上、用水型皮革関連企業を対象に減免措置を継続すること。
次に、下水道局関係について申し上げます。
一、下水道区部一〇〇%概成の後も、なお約一万人の未普及人口があることから、普及困難地域の早期解消を図るため、最大限の努力を図ること。
一、多摩地域の公共下水道との整合に努めながら、流域下水道事業を促進すること。
一、総合治水対策を確立するため、管渠、ポンプ所等の整備を急ぐとともに、下水道雨水貯留・浸透事業を促進し、雨水はんらん防止対策を早急に実施すること。
一、耐用年数を超え老朽化した既設区域内施設の再構築に努めるとともに、公共用水域の水質を保全するため、合流式下水道の改善及び高度処理を促進すること。
一、下水汚泥の資源化技術の開発促進や有効利用の拡大を図り、汚泥の減量化、再資源化に努めること。
一、高度処理水を水資源として活用し、さらに、下水熱源利用事業や光ファイバーケーブル事業の積極的な展開を図ること。
一、国庫補助金の増額や起債における政府資金枠の拡大、償還年限の延長及び借りかえ制度の充実等の財政措置を国に強く要請すること。
一、財政計画に盛り込まれた職員定数の削減や既定経費の圧縮及び不用用地の売却など、経営改善努力に万全を期すること。
一、都民生活に与える影響を考慮し、必要な料金減免措置を講じること。
以上で私の意見開陳を終わりにします。
○尾崎委員 私は、都議会民主党を代表して、当委員会に調査を依頼されました平成十三年度予算にかかわる議案について、意見の開陳を行います。
平成十三年度東京都予算案は、企業収益の改善や銀行などに対する外形標準課税の導入により、法人二税の大幅な伸びを見込み、三年ぶりの増額予算案となっています。しかし、一般歳出はほぼ横ばいであり、一般財源ベースでの財源確保の状況は、徴税努力や外形標準課税の導入で歳入確保策が前進した反面、内部努力や施策の見直し、再構築では、十二年度予算案に比べて大きくペースダウンしています。
これらの結果、歳入の伸びが見込まれるにもかかわらず、職員給与の削減や減債基金積み立ての一部計上見送りで、合計千五百億円程度の臨時的な財源対策を余儀なくされています。
一方、アメリカ経済の急減速や昨今の世界同時株安に見られるように、日本経済の構造改革のおくれが世界の経済を景気後退に巻き込み、それが日本経済を破局に導くという最悪のシナリオが進行しつつあります。今は、一刻も早く政権を交代し、破局回避の政策を断行しなければなりません。
仮に、破局が回避されたとしても、景気の先行きは極めて不安定であり、都税収入の減収をも見込まざるを得ない状況にあります。本予算案では、財政調整基金や社会資本整備基金への積み立てによって、ある程度の減収には対応できるように措置されていますが、今後の情勢は予断を許しません。
私たちは、政府が破局を回避できなくても、七都県市とも連携しながら、できる限り都民生活の防衛をしていかなければなりませんし、東京都自身も、今後実施される組織再編成、電子都庁化に伴う事務事業の見直し、十三年度に本格実施される行政評価制度などを活用しながら、より一層の内部努力や施策の見直し、再構築に取り組んでいく必要があります。
都財政の構造改革のより一層の推進は、二十一世紀の都政を大きく前進させるために避けて通れない課題であります。本予算案に示された各種事業の新設や強化は、これまでの構造改革の成果であります。過去に戻ることで、未来を建設することはできません。
以上、私たちの総括的な見解を述べ、以下、各局にかかわる事項について述べます。
まず、交通局関係について申し上げます。
一、地下鉄を初めとする公共交通網の整備に合わせ、利用者の利便性向上に資するよう、各鉄道事業者間の乗り継ぎ割引制度の拡大や、バスと鉄道との乗り継ぎ案内の充実等を図ること。
一、低硫黄軽油を使用したDPF装着バスの運行を拡大するとともに、天然ガス自動車などの低公害バスをさらに積極的に導入するなど、都市環境に配慮した事業に努めること。
一、高齢者や障害者など、すべての人が乗車しやすい超低床ノンステップバス等の導入促進や地下鉄駅のエレベーター、上下エスカレーターの設置の促進など、福祉のまちづくりの視点から、輸送サービスの向上に努めること。
一、都営地下鉄における痴漢犯罪防止のために、ラッシュ時における女性専用の車両の導入を検討するなど、痴漢対策を強化すること。
一、車内や駅構内の広告物について、特に青少年の健全育成の観点から、そのあり方について検討し、広告取扱基準の運営の強化を図ること。
次に、水道局関係について申し上げます。
一、限りある資源としての水や水のリサイクルの回復の観点から、節水、再利用、地下への涵養などを強化するとともに、水源自立都市に向けての施策の促進に努めること。
一、水需要計画を実態に合わせて見直し、水源地の人々や環境に著しい影響を与え、都民に多大な負担をかけるダムなど巨大施設の建設を見直し、既存の水源確保のための施策を強化すること。
一、感染性の微生物に対する水質管理の徹底を図り、安全でおいしい水の供給の確保に努めること。
一、資源リサイクルやエネルギー対策など、地球環境を重視した施策を一層推進すること。
一、水道メーターの有効期間の延長を強く国に働きかけること。
一、工業用水道事業は、厳しい経営状況にかんがみ、一層の経営努力に努めること。
最後に、下水道局関係について申し上げます。
一、下水の再生処理水、汚泥の積極的活用、資源化に努めること。とりわけ、汚泥資源の有効的かつ積極的活用を進めるために、都や都関連の公共施設、都が発注する公共事業等への利用促進を働きかけること。
一、下水の高度処理を普及し、都市河川や東京湾の水質浄化に活用すること。
一、非常時における生活雑用水としての供給、飲料水転化への必要性などを考慮し、再生処理水の水質水準の高度化などの技術開発、研究に努めること。
一、下水道管渠を利用した光ファイバー通信網の接続計画を着実に推進し、下水道事業の効率的な運営を図るとともに、同光ファイバー通信網を高度情報化社会における情報通信基盤として多目的に活用されるよう研究を進めること。
一、多摩地域においては、都市水害といわれている浸水対策を進めるとともに、下水道の一〇〇%普及に向けて、流域下水道事業の促進を図ること。
以上で都議会民主党を代表しての意見開陳といたします。
○藤田委員 過日、渋谷議長名で本委員会に依頼のあった平成十三年度東京都予算案中、公営企業に係る予算の調査の終結に当たって、意見を述べます。
まず、地方公営企業のあり方やその経営に関し、新しい時代の認識を踏まえて、この際私が総括的に指摘しておきたいのは、二点であります。
第一点は、改めて公営企業の存在意義を職員一人一人がきちんと自覚し、誇りを持って公益に対する責任を果たしてもらいたいということであります。
この立場から強調したい私の意見は、次のとおりであります。
第一に、都政に都民の厳しい目が注がれる中、公営企業に対しても、そのあり方、特に企業としての生産性や効率性に関して、さまざまな批判と意見があります。
このことは、私が改めて言及するまでもなく、理事者各位が十分認識され、努力を続けていると思います。いうまでもなく、こうした批判には謙虚に耳を傾け、改めるべきは当然であります。しかし、議論の中には、民間企業と単純に比較して公営企業の現状を見る余り、公営企業の存在目的に関する基本的な視点を欠いたご主張もあり、にわかに同調できません。
公営企業は、単にそろばん勘定のみで成り立っているわけではありません。端的にいえば、そろばん勘定のみでよいなら、そもそも公営企業である必要はないというのが私の考えであります。
もちろん、公営企業といえども、経営の効率化に関する取り組みと無縁でないことは当然であります。だからといって、そのことを強調する余り、不採算事業の安易な切り捨てや社会的弱者に対する配慮を欠いた経営が許されるわけではないと思います。
一方で経営の効率化を求められる、他方で公益に対する責任をも果たさなければならない公営企業の経営は、むしろ民間企業より難しい局面を迎えていることを直視しなければならないのではないでしょうか。
第二に、公営企業の経営改善を進めるためには、外部専門家のチェックを受けることは必要なことであります。
そうした意味で、十二年度に交通局に対して実施された外部監査は、それ自体意義があることと評価をいたします。
しかしながら、外部監査人による指摘や提言は、基本的にあくまでも知事、執行部のみならず、議会をも巻き込んだ政策論争を喚起する素材の提供と位置づけるべきというのが私の持論であります。
この持論から検証するに、営団と交通局の経営統合に向けた外部監査にかかわる知事の発言は、極めて軽率なものであったといわざるを得ません。
この点については、交通局に対する質疑の中で触れたとおり、知事が、外部監査人の報告を、公営企業所管局が吟味、検討する時間すら与えず、報告が出された直後の記者会見で、赤字が消えるなら民営化も意味があるなどと、底の浅い結論に飛びついてしまったことは遺憾であります。
こうした知事の言動こそ、私が今定例会本会議で直接知事にただした、強大な権力を持った知事をいさめるスタッフもなく、チェック・アンド・バランス体制も不十分なまま、知事のトップダウンがまかり通るという姿であり、予算特別委員会で自席からやじを飛ばすという、前代未聞ともいうべき振る舞いに及んだ副知事が公営企業担当であることと思いあわせ、憂慮に耐えません。
このような状況を総括しつつ、あえて私は、逆風の中にあっても所管局長が、時に知事や担当副知事に毅然たる進言をするよう改めて強く要望するとともに、公営企業の存在意義を職員一人一人がきちんと自覚し、誇りを持って公益に対する責任を果たすべきことを要望しておきます。
第二点は、時代が大きく変化していることを明確に認識し、来るべき時代にふさわしい経営手法の確立に向けて、職員一人一人がなお一層研さんに努めてもらいたいということであります。
この点について、私は、専ら下水道局に対する質疑という形で触れましたが、単に下水道局だけの問題ではなく、公営企業三局に対する直言であることを明らかにしておきます。
公営企業各局は、これまで、例えば下水道局の普及率一〇〇%の達成や、交通局の大江戸線の環状部開業、さらには、水道局の平成六年から十年間水道料金を据え置く措置など、懸命な努力を続けてきたことは率直に評価をいたします。
また、これまでの時代、すなわち右肩上がりの成長を前提とした拡大志向の強い時代の中にあって、駆使された手法は精いっぱいの工夫をしたと受けとめ、責めるべきよりはむしろその労を多とすべきと思うが、引き続き厳しく総括し、将来を見据えた最善の方途を見出してもらいたい。
二日間の公営企業委員会で私が繰り返し強調したように、問題はこれからであります。今や時代ははっきり変わろうとしている。もう、さまざまな矛盾を包含した急激な成長ではなく、安定と成熟を確立すべき時代が来ているのであります。端的にいえば、これからはもう力任せの事業運営は行い得ない、これが私の実感であります。
職員一人一人が、昨日正しかったやり方があすも正しいとは限らないという認識を持って自己を戒め、みずから意識改革に努めつつ、都民サービスの一層の向上を図る中で、公益に対する責任を的確に果たしていける新たな経営手法のあり方について、一層の研さんに努めてほしいと要望いたします。
当然のことながら、公営企業三局は、それぞれが対応する職員団体とも常に誠意を持って話し合い、労使にかかわる重要かつ基本的な課題の提案と解決に当たっては、労使合意のために熱き心を持って対応していただきたいことを強く望んでやみません。
公営企業三局に対する個別の要望は、今までそれぞれ開陳された意見で大同小異、もちろん全部ではありませんが、大筋で同調できるものが多いことから、あえて省略をいたします。
以上で私の意見開陳を終わります。
○前島委員長 以上で予算に対する意見の開陳を終わります。
なお、ただいま開陳されました意見につきましては、委員長において調査報告書として取りまとめの上、議長まで提出をいたしたいと思いますので、ご了承願います。
以上で予算の調査を終わります。
○前島委員長 次に、付託議案の審査を行います。
第九十二号議案から第九十四号議案までを一括して議題といたします。
本案については、既に質疑を終了しております。
これより採決を行います。
第九十二号議案から第九十四号議案までを一括して採決いたします。
お諮りいたします。
本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前島委員長 異議なしと認めます。よって、第九十二号議案から第九十四号議案までは、いずれも原案のとおり決定をいたしました。
以上で付託議案の審査を終わります。
○前島委員長 次に、請願陳情及び特定事件につきましてお諮りいたします。
本日まで決定を見ていない請願陳情並びにお手元配布の特定事件調査事項につきましては、それぞれ閉会中の継続審査及び調査の申し出をいたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○前島委員長 異議なしと認め、そのように決定をいたしました。
○前島委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、横山下水道局長から発言を求められておりますので、これを許します。
○横山下水道局長 公営企業三局を代表いたしまして、一言ごあいさつ申し上げます。
今回、ご調査並びにご審議いただきましたのは、平成十三年度予算など、都政にとりまして極めて重要な案件でございます。委員長を初め委員の皆様方には、終始ご熱心なご審議を賜り、ただいま決定をいただきましたことに厚くお礼を申し上げます。
私ども、公営企業三局の事業は、申し上げるまでもなく、都民生活、あるいは都市活動にとりまして、欠かすことのできない重要な事業でございます。今後の執行に当たりましては、今回のご審議で賜りました貴重なご意見、ご指摘を十分反映させ、より一層効率的な事業運営を行い、都民の信頼と負託にこたえられますよう、職員ともども最善の努力をいたす所存でございます。
委員長を初め委員の皆様方におかれましては、今後とも公営企業三局に対しまして、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、お礼の言葉にかえさせていただきます。まことにありがとうございました。
○前島委員長 発言は終わりました。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後一時五十二分散会
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