公営企業委員会速記録第十号

平成十二年九月二十九日(金曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長大木田 守君
副委員長野田 和男君
副委員長前沢 延浩君
理事織田 拓郎君
理事田村 市郎君
理事清原錬太郎君
高島なおき君
藤田十四三君
大山とも子君
小山 敏雄君
嶋田  実君
東ひろたか君
中山 秀雄君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長寺内 廣壽君
技監堀内 俊夫君
総務部長松尾  均君
経営企画室長久保田経三君
職員部長佐伯 憲彦君
電車部長齊藤 春雄君
自動車部長木村 純一君
車両電気部長水元亜紀雄君
建設工務部長金安  進君
経理契約担当部長久保  大君
関連事業担当部長福田志津雄君
大江戸線開業準備担当部長帯刀  宏君
バス路線再編成・事業活性化担当部長坂上 信雄君
技術管理担当部長北川 知正君
水道局局長赤川 正和君
技監松田 奉康君
総務部長小泉 智和君
経営計画部長甘利 鎭男君
職員部長奥富清二郎君
経理部長二階堂信男君
営業部長古河 誠二君
浄水部長鈴木 三夫君
給水部長村元 修一君
建設部長町田  秀君
固定資産管理担当部長秋山  靖君
設備担当部長関根 勇二君
多摩水道対策本部本部長飯嶋 宣雄君
調整部長山根 朋行君
施設部長本山 智啓君
技術調整担当部長山田  弘君
下水道局局長横山 博一君
次長緒方 敏彦君
総務部長藤井 浩二君
企画担当部長時田 公夫君
職員部長阿部 健秀君
経理部長馬場 正明君
業務部長今里伸一郎君
計画部長鈴木  宏君
技術開発担当部長串山宏太郎君
施設管理部長大矢 爽治君
建設部長大迫 健一君
流域下水道本部本部長藤田 昌一君
管理部長萩原 英夫君
技術部長前田 正博君

本日の会議に付した事件
 決議について
 水道局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百六十四号議案 東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例
  ・第二百六十五号議案 東京都給水条例の一部を改正する条例
  ・第二百七十七号議案 東京都水道事業の事務の委託の廃止及び委託について
 下水道局関係
  付託議案の審査(質疑)
  ・第二百六十六号議案 東京都下水道条例の一部を改正する条例
 交通局関係
  報告事項(質疑)
  ・バス路線再編整備について

○大木田委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 委員から、お手元配布のとおり、決議を提出したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。
 本件については、取り扱いを理事会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○大木田委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局関係及び下水道局関係の付託議案の審査並びに交通局関係の報告事項の聴取を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百六十四号議案、東京都地方公営企業の設置等に関する条例の一部を改正する条例、第二百六十五号議案、東京都給水条例の一部を改正する条例及び第二百七十七号議案、東京都水道事業の事務の委託の廃止及び委託についてを一括して議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。

○大木田委員長 これより下水道局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百六十六号議案、東京都下水道条例の一部を改正する条例を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。

○大木田委員長 これより交通局関係に入ります。
 バス路線再編整備についての報告事項に対する質疑を行います。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○松尾総務部長 過日の委員会におきまして要求のございました資料をご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の資料をごらんいただきたいと存じます。
 まず、一ページをお開き願います。短縮、廃止路線の平成十一年度における運行回数及び利用者数についてでございます。
 1の短縮路線につきましては、橋86系統外六路線を予定しております。上段に平日一日当たりの往復の運行回数を、下段に一日当たりの利用者数を記載してございます。
 2の廃止路線につきましても、黒10系統外六路線を予定しております。同様に、上段に平日一日当たりの往復の運行回数、下段に一日当たりの利用者数を記載してございますので、お読み取りいただきたいと存じます。
 次に、二ページから三ページにかけて、短縮、廃止の理由について記載してございます。
 二ページをお開き願います。短縮する路線についての理由でございます。
 まず、一行目の橋86系統につきましては、銀座線との並行がほぼ一〇〇%となっている新橋、日本橋三越間を短縮し、定時性及び効率性を確保しようとするものでございます。他の路線につきましても同様に記載しておりますので、お読み取りいただきたいと存じます。
 次に、三ページをお開き願います。廃止する路線についての理由でございます。
 一行目の黒10系統につきましては、三田線、南北線など鉄道との並行がほぼ一〇〇%となり、代替交通機関の利用が可能となっております。他の路線につきましても同様に記載しておりますので、お読み取りいただきたいと存じます。
 次に、四ページをお開き願います。廃止路線における主要道路の交通量の変化についてでございます。
 警視庁交通部発行の交通量統計表からデータを抽出しております。主要道路の交差点における午前七時から午後七時までの双方向の交通量変化を、平成七年から平成十一年まで記載してございますので、お読み取りいただきたいと存じます。
 最後に、五ページをお開き願います。廃止路線におけるバス優先レーン、バス専用レーンの状況についてでございます。
 廃止路線におけるレーンの設定区間、優先、専用の区分、方向及び区間長について記載してございますので、お読み取りいただきたいと存じます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大木田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○清原委員 何点か質問いたします。
 初めに、今回の再編整備においては、港区内を運行する路線について、廃止、短縮等が大分計画されているようであります。どのような内容になっているのか、まずご説明いただきたいと思います。

○木村自動車部長 港区内におきます短縮系統につきましては、品川から四谷に行っております四92系統、五反田から溜池へ行っております反96系統、目黒駅から日本橋三越まで行っております橋86系統、渋谷から東京駅丸の内南口、一部東京タワーへ入っております渋88系統、この四系統が短縮対象となっております。
 一方、廃止予定系統でございますが、目黒から東京駅丸の内南口へ行っております黒10系統、渋谷駅から御茶ノ水駅へ行っております茶81系統、港区スポーツセンターから新宿駅西口へ行っております田70系統、四谷駅から赤坂アークヒルズへ行っております四80系統、四系統を予定しておるところでございます。

○清原委員 今、いろいろとご説明がありましたけれども、廃止、短縮によって大分不便になるのではないかと思われますけれども、区民の利便性の向上の施策について、何か配慮している点があったらお聞かせいただきたいと思います。

○木村自動車部長 港区内におきます都バス利用者の方々に対しまする利便向上施策につきましては、一点は、新たな試みといたしまして、渋谷駅から六本木、それから溜池を通って新橋駅北口へ行っております都01系統という系統がございますが、これが途中急行運転的に主要停留所へとまるラピッドバスの運行というものを考えさせていただいております。
 また、先ほどの短縮系統の措置に伴いまして、一部バスの利便が手薄になるところもございまして、この部分については短縮部分を統合するというような形の中で、反96系統等を八の字運行的に対応させていただくことによって、その辺の利便性向上を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○清原委員 今回のバス路線の再編整備で、他の代替交通機関がないような場所等があると思うんですが、大きな影響を受けるというような方々は、大体どのぐらい把握していらっしゃるのか、教えてください。

○木村自動車部長 今回のバス路線の再編整備の実施に伴いまして大きな影響を受ける方々ということでございますが、今般の大江戸線の全線開業によりましては、JR山手線内の全域におきまして、鉄道駅までは徒歩十分圏という状況となるわけでございます。このような状況下になりますので、代替交通機関に恵まれない等、いわゆる影響を大きく受けるようなバスの利用者のお客様は、ほとんど生じないものと考えておるところでございます。

○清原委員 一般の区民の方々はもとよりでございますが、高齢者にとっては、JRとか地下鉄は、階段等があるために、エレベーターやエスカレーターがまだ整備されていないところが多く見受けられます。したがって、今回、大江戸線、南北線、三田線等の開業については、みんな非常に喜んではいるんですけれども、その廃止、短縮等によりまして非常に困る人も出てくるということで、私は喜びも半減するのではないかなということを憂慮するわけです。したがって、これによって足を奪われてしまうという人たちも結構多いのではないか、こう考えられます。
 何といいましても、お年寄りは足が非常に弱ってきておりますから、バスが一番身近な交通機関として、非常に頼りにしているということはご承知だと思います。したがって、今ノンステップバス等が非常にふえている−−徐々にですね、そういうところに力を入れている、その点は私も非常にいいことだと思います。しかし、地下鉄の新線が開通するからといって、その都度どんどん廃止、短縮の方にすぐ目を向けて取り組んでいくということは、私はやはり十分考えていただかなければいけない、こう思います。
 したがって、今後、できるだけお年寄りの方々に不便な思いをさせないよう十分に配慮すべきだと思いますけれども、今後の取り組み方について、お考えを承りたいと思います。

○木村自動車部長 バスが高齢者の方々にとりまして大変身近な交通機関ということで、ご利用に当たりまして、私どもも評価をいただいているということに対しまして大変ありがたく思っている次第でございます。
 ただいまご指摘のような、鉄道が、どちらかと申しますと、バスに比較すれば垂直移動ということで、いわゆる階段等によって使いづらいというような状況があるというのは、私どもも承知しておるところでございまして、今般の三田線の新駅の延伸部分、あるいは大江戸線の十二月の開業部分等につきましては、一応それぞれの駅にエレベーター、あるいはホーム階から地上までのワンルート確保等のいろいろな対応をとっているところでございまして、そういった垂直移動の確保を図るとともに、私どもバス事業に係る部分といたしましては、ただいまご指摘のような、いわゆるノンステップバスの導入につきましても、今後とも、財源の制約というものはございますが、できるだけ高齢者社会に向けての施策拡充ということで取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。

○清原委員 それでは、これで終わりにしますけれども、今後、バス路線の短縮、廃止等のことについて検討する場合には、今申し上げましたような事柄について十分配慮した上で取り組んでいただきたいということを要望いたしまして、私の質問は終わります。

○大山委員 私も、大江戸線等開業に伴う都営バス路線の再編整備についての報告について、質疑したいというふうに思っています。
 まず最初に、交通局に確認しておきたいんですけれども、公営企業として経営理念というのがあると思いますけれども、それはどういうことになっているでしょうか。

○久保田経営企画室長 交通局の経営理念につきましては、平成三年に、東京都交通局長期経営基本方針を定めました。その中では、十年先を目標とした財政目標あるいは事業目標を設定いたしましたが、その中で同時に、今ご指摘のありました経営理念も定めております。
 内容は、東京都交通局は、お客様に信頼され、支持される公営企業を目指して質の高いサービスを提供していく、そのためには、一、時代に即応した事業展開を図り、積極的で効率的な経営を目指す、二、お客様本意のサービスの創造に挑戦する先導的企業を目指す、三、働きがいのある活力にあふれた企業を目指す、このようなことを定めております。

○大山委員 そういうことですよね、経営理念。今、前文のところで、あえて抜かしたのかわかりませんけれども、質の高いサービスを提供し、都民の福祉の向上と世界都市東京にふさわしいまちづくりに貢献しますという立派な経営理念が、この事業概要にも書かれているわけなんです。
 今回の都営バスの再編整備についてということを知って、都民の皆さんがどういうことになっているかということなんですけれども、地域の人たちが率直におっしゃるのは、とにかく困ると。地下鉄とバスは全く違うのに、どうしてバス路線をなくすのかと。四谷の地域の方などは、大江戸線とは全く違うところをなぜ廃止しなければならないのかということや、開通と同時になくしてしまうなど、余りにも乱暴ではないかということなんです。
 廃止や縮小の各路線の予定の資料、理由ですね、きょういただいた資料の中の二ページ、三ページに書いてありますけれども、結局、大江戸線や三田線だけでなく、とにかくJRだとか、それから営団も含めて、鉄道と並行しているところは切ってしまうということなんですね。また、バスだけでなく、ほかの交通機関で代替が可能というふうに書いてあるわけです。
 このことがどんなことになるのかということで、私、この間、バス停で待っていらっしゃる方、それから地域の方々に、直接実態だとかを聞いてまいりました。ここにあるのは、バス停で待っていらっしゃる方に直接聞き取りで聞いたものなんですね。七十一人分あります。ちょっと短期間だったものでこれだけなんですけれども、アンケートしたのは、廃止予定の秋76の路線沿いのバス停、それから四谷三丁目から四谷駅のところが、バス路線なくなってしまいますから、四谷三丁目のバス停などで待っている方を、えり好みしないで片っ端から聞いていくというやり方をしました。初対面ですし、共産党ですといって聞くわけですけれども、驚くほど対話になるというのが特徴的でした。それだけ身近なことですし、切実だということだと思うんですね。このアンケートをとりながら、私は改めて、東京都がどんなにひどいことをやろうとしているのかということを実感したんです。
 まず第一には、先ほど清原理事の方からの質問にもありましたけれども、代替ということが書いてありますが、バスと地下鉄は役割が違うんだということが、まず第一なんですね。廃止路線の理由の局の資料を見ますと、鉄道との並行がほぼ一〇〇%、その他の交通機関に代替できるところというのが理由になっているわけです。
 例えば、具体的に見ますと、秋76、大江戸線とJR総武線で鉄道が並行しているということになっていますけれども、今だったらバス路線一本で、新宿駅の西口から秋葉原まで行けるわけですね。ところが、ここに書いてあるとおり、廃止になったら、今度は大江戸線とJR総武線というふうに、二本でないとカバーできないという事態になっているわけです。
 さらに、具体的に見た方がわかりやすいというふうに思いますので、この間いただいた大きな地図の中に、秋76というのは、やや中央よりも左のところに大体中心がありますけれども、そこの都営地下鉄大江戸線と書いてある、その下の方に山伏町というバス停があります。このバス停を使って水道橋と御茶ノ水の駅の間にある順天堂病院に行く。バス停で調べましたら、結構いらっしゃったというのもわかったんですけれども、この病院に行く場合、現在でしたらバス停まで歩いて、それからバスに乗って、順天堂病院というバス停がありますから、そこでおりればいいわけなんです。
 しかし、先ほどの、この図を見てもらうとよろしいのですけれども、バス路線がなくなりましたら、一番近い大江戸線の駅は牛込柳町という駅です。ここは、七〇年代に鉛公害で有名になりましたように、急激な谷になっているんですね。山伏町というのは、柳町の右の山の上の方です。ですから、そこのあたりの人が柳町に行くには、大体高さで十四メートルぐらいのところの坂を下って、さらに高さ七メートルぐらいの坂の途中にある柳町の駅まで歩いて行かざるを得ないんですね。そこでようやく駅にたどり着くわけなんです。そしてさらに、二十一・二メートルがホームの場所ですから、そこまでおりていくということなんです。
 ようやく駅のホームに着いて、それで移動していくわけですけれども、飯田橋の駅に着いても、JRと大江戸線の駅は離れていますから、地上に上がって道を歩いて、道を渡ってJRの駅に着いて、それから階段を上って電車に乗って、御茶ノ水の駅まで電車に乗って、それから階段上って、さらに七、八百メートル歩いて、ようやく順天堂病院に着くという、大変な道のりなんですね。
 これはほんの一例なんですけれども、代替がきくというふうにおっしゃっていますけれども、こんな状況になるのを、どのように考えていらっしゃるんですか。

○木村自動車部長 ただいま先生のご指摘にございました山伏町というのは、確かに地形的に、今お話がございましたような条件があることは、私どもも承知しておるところでございますが、今般の大江戸線の各駅につきましては、すべての駅にエレベーター、いわゆる垂直方向の移動手段を整備しておりますとともに、ホーム階から地上までワンルートのエスカレーターを確保する。そのほか、駅によって、構造的に設置可能な部分につきましては、下りのエスカレーターも設置するというような対応を考えておるところでございまして、私どもとしては、できるだけそのような設備を活用していただきながら、地下鉄の収支にも貢献していただけるように、なるべく大勢のお客様にご利用いただきたい、そのように考えておりますし、また、その地下鉄に完全に重複してバスを運行するということは、社会資本の二重投下というような形にもなりまして、むしろ代替交通機関も何もない空白地域のバス路線を待ち望んでいらっしゃる方もあるわけでございまして、できるだけそのような全体的なネットワークの視点から、そういう社会資本の効率的な投下という視点も考えていきたいと思っております。

○大山委員 バス路線を待ち望んでいるところに、鉄道もないしというところにバス路線を新設するというのは、それはやっていただきたいことですから、いいわけなんです。今、社会資本の二重投下になるからだめなんだというふうにおっしゃいましたけれども、私が聞いたのは、こういうような状況になるのが、代替が本当にできたというふうに認識しているのかどうかということなんです。どうですか。

○木村自動車部長 地下鉄が高齢者の方々にとって、本当に代替手段となり得るのかという認識についてのお尋ねということでございますが、確かに、既設の古い開業年次の地下鉄につきましては、ただいま私申し上げましたようなエレベーター、エスカレーター等の対応が不十分だったということで、必ずしも代替手段にならないのだということで、過去、私どもも計画課長時代、地域の方々のお声を聞いたところでございますが、今度の鉄道がらみにつきましては、今申し上げたような垂直移動手段の確保、あるいは出入り口等についても、いろいろこれからの高齢社会対応等についても対応できるようにという、エスカル等の階段昇降機等の設置も、既設駅についてかなり拡充を図っておるというふうに聞いておりますので、その辺の代替交通手段としての役割を十分果たし得るのではないか、そのように考えておる次第でございます。

○大山委員 エスカレーター、大江戸線は全駅につけたというふうにおっしゃっていますけれども、エレベーターも全駅につけたというふうにおっしゃっていますけれども、エスカレーター、上りはあるけれども、下りがない。それからエレベーターも、出入り口というのは、大体基本は二カ所で、それ以上あるところもあるわけですね。そのエレベーターを各駅につけているわけなんですか。エスカレーターも、下りのも全部つけているわけなんですか。

○金安建設工務部長 下りのエスカレーターでございますけれども、先ほど自動車部長からお答え申し上げましたとおり、少なくともワンルートにつきましては、エレベーターによりまして、上下とも、地上からプラットホームまでおりることができるという最低限の水準を確保しております。上りにつきましては、当然、各駅ともワンルートについてプラットホームから地上まで到達できるようになっております。さらに下りのエスカレーターについて、主要な駅につきましては下りエスカレーターを設置しております。下りのエスカレーターにつきましては、環状部につきまして十三駅、四十四基、それから放射部につきまして七駅、十基、合計で五十四基を設置しております。
 下りのエスカレーターの設置をしております主な理由といたしましては、高低差の大きい箇所、高さでございますけれども、高低差が十六メートル、階段で申しますと百段にもなるというようなところにつきまして、一つの設置の目安というふうにしております。もう一つは、高低差が五メートル以上の他線との連絡階段、これにつきましては、利用客が非常に多く、乗りかえの利便性と流動性を図りまして、そこに、たまり場にならないようにということで設置をしております。

○大山委員 十三駅は下りのエスカレーターもあると。環状部だけでも二十六駅でしたか、そのうちの半分なわけなんですね。それからエレベーターはワンルートだけということですから、出入り口全部についているわけではないわけですね。高齢者というのは、上りの階段もきついんですけれども、下りが、特にひざに響いてしまうというようなことでは、下りの階段はもっときついという方が大勢いらっしゃるわけなんですね。
 エレベーターについては、例えば車いすだったら、エレベーターでなければ駅にもおりていけないわけですね。大体前と後ろに出入り口があるわけですから、わざわざ車いすの人に、遠くまで、出入り口に行かなければならないというふうに、とても代替になっているとはいえないというふうに思うんです。
 さらに、先ほど例でいいましたけれども、ああいうケースというのは、わずかじゃないんですね。アンケートの中でも、例えば六十七歳の女性ですけれども、足が悪いのでバスはどうしても欲しい、困ると。月一、二回、心臓の病院に通院しているので困ってしまうという八十歳の男性。慶応病院のリハビリに通っているので困るんですという七十五歳の女性。それから、非常に困ります、地下鉄は駅が遠く、深く、乗車に時間がかかるという七十七歳の男性。大江戸線は深くて、電車に乗るまでに時間がかかる。五歳ぐらいのお子さんを連れていたんですけれども、子どもが帰りは疲れるのでバスにしている。来るときは曙橋から歩いていらっしゃるんですね。三十代の女性です。
 こういうふうに、一部ですよ、紹介したのは。多くの状況が訴えられているわけなんですね。バスだからこそ、足が悪くても、それからリハビリのために通うところも、子ども連れでも、利用できるんですね。とてもこれでは代替ができているというふうには思えないわけです。
 さらに、これは福祉のまちづくり条例、東京都の方針なわけですけれども、この中に、福祉のやさしいまち東京というので、一節を起こしてあるんです。その中で、何が書いてあるかというと、東京で生活するすべての人が基本的人権を尊重され、自由に移動し、社会参加のできるやさしいまち東京を実現することにありますとして、自由な移動が保障されるまちということで、一項目を位置づけているんですね。そして、高齢者、障害者等を含むすべての人が、自力で安心して、安全に移動することができ、社会参加の実現されるまちというふうに書いてあるんです。
 今みたいに、並行しているからといって、代替がきかないにもかかわらず、東京都自身が、高齢者や障害者を初め都民にわざわざバリアフリーだといっておきながら、バリアをたくさんつくっていることになるんですよ。東京都の方針であります福祉のまちづくり条例にも反するんじゃないかと思うんですけれども、その辺、どう認識していますか。

○久保田経営企画室長 今ご指摘のありました福祉のまちづくり推進計画は、東京都が平成十年に策定したものです。今ご指摘のありました、自由な移動が保障されるまちの部分につきましては、それを含めまして、やさしいまち東京の都市像を明らかにした部分でございまして、この部分につきましては、福祉のまちづくりを進める上での長期的な目標と考えております。私どもは、この目標に沿って、この計画に基づいたそれぞれの推進計画等に基づいて施策を着実に推進していきたいと考えております。

○大山委員 目標に沿ってということだったらきちんと、東京都自身がバリアなんかをつくらないで、並行して走っても代替ができないところなんですから、きちんと走らせるべきだというふうに思っています。
 さらに、一番最初、この間の委員会のときに説明があった資料の前文には、三田線や南北線の延伸と大江戸線の全線開業によって云々といって、地下鉄に移乗するお客様は、一日当たり約九万三千人と見込まれていますというふうに書いてあります。代替が代替にならないという例をさっき話しましたけれども、そういうことなわけですから、移乗する−−それで代替にならないにもかかわらず、並行しているからといってバス路線をなくしてしまうわけですから、移乗するというよりは、交通局が都民に対して選択の余地を与えないということなんじゃないんでしょうか。その交通局の押しつけについていけない人は、自由な移動から阻害されるということなんです。
 今回の再編については、大江戸線や三田線の関係だと思っていた方が大勢いらっしゃるんですね。そんな中で、例えば四谷の地域というのは、四谷駅と四谷三丁目の間が、新宿通りのバス路線が全くなくなってしまいます。地下鉄丸ノ内線と並行して走っているからということなんですけれども、先ほどの文章に移乗するというふうに書いてありましたが、丸ノ内線のこの区間、霞ケ関と新宿駅の区間というのは、昭和三十四年三月十五日から丸ノ内線は走っているんですね。その上をちゃんとバスが走っていたわけなんです。どうして四谷駅と新宿駅間の乗客数に影響が出るんでしょうか。

○木村自動車部長 ただいま丸ノ内線と都03との関係ということでございましたが、今般の大江戸線並びに三田線開業に伴います、特に大江戸線の環状線形という形もございまして、大幅に鉄道ネットワークの向上が図られるものと私どもは考えておりまして、その影響ということもございまして、一日当たり九万三千人ものお客様が鉄道の方へ移乗される、そのように考えておりまして、丸ノ内線についてもそのようなネットワークの効果の影響を受けて移乗が発生するものと、そのように考えておるところでございます。

○大山委員 影響が出るということなんですけれども、この際切ってしまおうという印象が、多くの都民の方はしているんですよ。例えば、資料でいただきましたけれども、廃止予定路線、バス優先レーンやバス専用レーンの状況というような資料もいただきました。影響を受けないために、どのような努力をしているのかということなんですけれども、例えば、四谷駅と新宿駅間のバス路線について、影響をなるべく受けないように、どういう配慮とかをしているわけなんですか。

○木村自動車部長 ただいまの影響を受けない措置についてはどうかというお話でございましたが、新宿駅から河田町を経由いたしまして、東京女子医大は秋76の関係でございますが、都03関係につきましては、現在、品川車庫から四谷へ走っております系統がございますが、その系統を経路変更することによりまして、四谷に行くのではなく新宿へ行くというような経路変更措置によりまして、その部分のお客様のご不便を解消したい、そのように考えておるところでございます。

○大山委員 経路変更するといっても、今まで活用していた四谷三丁目から四谷方面、それから四谷の方からいつもの路線に乗りたいという人については全く配慮もなくて、経路変更をされたところは廃止と同じなんですね。今、例えば並行しているから廃止をしてしまう、それから短縮をしてしまうというような方向が出されているわけなんですけれども、全体的に公共交通への乗車というのを促進する方向こそ、交通局が積極的にやらなきゃいけない方向だというふうに思っているんです。
 例えば、交通需要マネジメント東京計画というのがありますけれども、都民の皆さんへの提案として、まず第一番目に、公共交通を利用しましょうというふうに呼びかけているんですね。呼びかけながら、公共交通を優先させるというよりは、さっさと切っちゃうということなわけなんですね。四谷の地域の方などは、シルバーパス五千円も出して買ったのに、乗るものがなくなっちゃうじゃないかというふうに、ひどいと怒っていましたけれども、まさにそのとおりだと思うんですね。このままいくと、とにかく並行するから切る、それから縮小して、またさらにお客さんが減るというふうに、どんどんどんどん後退する、後ろ向きの方向でしかないというふうに思うんです。後ろ向きの方向にいけば、ますますお客さんが減っていって、ますます赤字になるという状況になってしまうと思うんですね。
 さっき冒頭でお聞きしましたけれども、経営理念の中には、お客様本位のサービスの創造に挑戦する先導的企業を目指しますというふうに、積極的な姿勢を理念としてきちんと掲げているわけなんですよね。今の方向というのは、積極的でも先導的でもないというふうにいえると思うんです。移乗できないままにお客さんは減って、それから公共交通から阻害された都民は移動する権利も保障されないという、まさに悪循環になっちゃうと思うんですよね。しかも、理念であるお客様本位だというふうには到底いえないと思うんですけれども、どうですか。

○木村自動車部長 ただいま経営理念のお話がございましたが、私ども都営バスといたしましても、福祉面あるいは環境面で、他の企業に先駆けての先導的な施策展開、あるいは施策誘導等につきまして、都行政と一体となりながら今まで取り組んでまいったところでございます。そういう中で、お客様に対する増客、増収対策というものにつきましても、過去取り組んできたところでございます。
 そういった面で、ネットワーク的に今般の再編整備という形を出させていただいておりまして、あらゆる方の、あらゆる方向へのニーズ、個別的なニーズに対応するというのは、公共交通機関としては一定の限界があるものと考えておりまして、今、前段で申し上げましたような施策を通じまして、お客様の確保、また経営理念の実現に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

○大山委員 個別的なニーズにとおっしゃいますけれども、先ほど例を挙げた分野でも、そのほか声を紹介した分野でも、決して個別的なことじゃないんですね。それから福祉のまちづくり条例にだって反しているというふうに思います。経営理念であるお客様本位ということだったら、お客さんの声を少しでも聞いたわけですか。

○木村自動車部長 お客様のお声を、この計画策定に当たって聞いたかというお問い合わせでございますが、今般の再編整備計画につきましては、従前に比較いたしまして、九月六日にプレス発表並びに関係各区等へのお知らせといった形で、事前説明責任を果たすという形の中で同時に発表させていただいたものでございます。
 現在、いろいろ地元の方々、あるいは関係区の方々からもご意見を承っているところでございますが、私どもといたしましては、それらの方々にも今般の計画の内容につきまして、利用者としてのご理解をいただきますよう引き続き説明努力を続けてまいりたいと思います。

○大山委員 九月六日にプレス発表したと。今、意見を聞いたのかというところにはお答えなかったわけですけれども、せっかく事前に発表したんですから、きちんと都民の意見、それから関係区、関係の団体だとか、いろんな利用者の方の意見を聞けばいいじゃないですか。ご理解をお願いしたいというのは、いつでもそうですけれども、これは計画ですから、このとおりにやってもらいます、意見は聞き置きますけれども、そのままやりますよというのじゃ、全然、せっかく九月六日に発表した意味がないと思うんですね。きちんと住民の方の意見、バス停で待っている方の意見、百人でも二百人でも聞けばいいと思うんですよ。それをきちんと交通局として受けとめて、本当にこれが正しい方向なのかということを含めて検討するべきだというふうに思います。
 関係区だとか住民の合意ということなんですけれども、これは、私、地元新宿ですけれども、新宿の区議会から都知事あてに意見書が、きのうの区議会で上がっています。新宿区民とよく話し合い、合意の上で結論を出すことを強く求めるものです。区議会の意見書です。区長も同時に、路線バスの公共性や鉄道にはないバスの利便性を十分重視され、地元住民や利用者の意向に配慮していただきながら路線の検討をしていただくよう切に要望いたします−−新宿ばかりじゃないんですね。港区のところでも、区長が議員の質問にどういうふうに答えたか。去る九月六日、東京都交通局において、地下鉄大江戸線等の開業に伴う都営バス路線の再編整備について、一方的にプレス発表をされました云々かんぬんあって、都営バス路線の再編整備、再検討を強く要望してまいりますというふうに答弁しているんですね。港区でも、区議会で、都営バス路線の再編整備に関する要望書、拙速に廃止、短縮することなく関係自治体等の意見を聞き、利用状況等の問題点を摘出し、再検討を含め対応するよう要望します。それからもう一つ、文京区もそうです。区長、文京区議会、両方から意見書、それから要望書が出されるというふうに、関係の区、それから区議会ですから、住民の代表ですよね。納得していないんじゃないんですか。どうですか。

○木村自動車部長 ただいま関係区からのいろんなご要請等を私どもにいただいているというご紹介をいただいたわけでございまして、先ほど、九月六日にプレス発表と同時に事前説明責任を果たすという形で一斉にオープンしたところでございまして、それぞれ関係区にもいろいろなご意見、ご要望等もあろうかと思いますので、私どもとしては、私どもの立場について、それ以降、ご理解をいただくように担当の者を遣わす、あるいは区議会のご要請等については担当の部長並びに課長も派遣して、私どもの立場についてご説明させていただくなどの一定の努力を積み重ねさせていただいているところでございます。

○大山委員 自分たちは十二月十二日にこの方針どおりにやりますよというのを持っていて、幾ら意見を聞いたって、それは納得しないというのは当たり前なんじゃないんですか。どうですか。

○木村自動車部長 先ほど申し上げましたように、九月六日にこちらから、こういう計画をお願いしたいという形で区の方にお知らせをさせていただきまして、それ以降、私ども担当の者が各区にそれぞれ私どもの立場を説明するとともに、相手方、区のご意見、ご要望についても承りながら、そのような中でぜひ私どもの立場を理解していただこうというような努力をさせていただいているところでございます。

○大山委員 もう一ついいますけれども、いかに今、住民と都民の意向と要求と、東京都自身が、交通局がやろうとしていることがずれているのかということを、もう一つ指摘させてください。
 これは文京区の意見書、それから要望書ですけれども、先ほどもラピッドバスの話がありました。局は、新たな展開だということで、目玉のような宣伝をしているわけですけれども、それについて文京区議会の意見書は、こう書いてあるんですね。新設される文京区役所からJR大塚駅前のラピッドバスについては、利用者のニーズが高い路線とは思えません、それから区長も、ラピッドバス計画の再考について、もう一回再検討しなさいというふうにいっているわけですよ。
 ですから、いかに区民や都民の要求、要望、それから願いと、東京都が勝手に強引にやろうとする、都民の実態も把握しないで、都民の意見に耳をかそうともしないで、乱暴にやろうとしているのかが明らかじゃないんでしょうかね。都民が納得しようがしまいが、説明責任は果たしたんだということで、とにかく十二月十二日、再編先にありきでは、到底許されるものではないというふうに思います。利用者だとか都民、それから関係区の意見をきちんと聞いて、再検討することを求めて、質問を終わります。

○織田委員 都バス路線の再編整備につきまして、基本的なことから、さらに公共交通が担うべき役割、さらに、それぞれの基幹交通として、バスから鉄道から、あるいは新幹線から航空機まで、いろいろあるわけでありますけれども、そうしたものの役割分担、そしてまた、一つは、公営企業といっても経営体でありますから、その意味でいえば、経営が成り立たないということになれば、これはまた全体が朽ち果ててくるわけですから、そのバランスの上で、どういうサービスをどのように提供していくのか、もうぼつぼつ真剣に考えて、その仕分けといいますか、そういったものを出していかなければならない時期に来ているのかなというふうに、個人的には思うわけであります。
 そこで、まず基本的に、今回のバス路線の再編整備の考え方、基本線を教えてください。

○木村自動車部長 今回の路線再編整備につきましては、三田、南北線の延伸、大江戸線全線の開業によります事業環境の変化及び都営交通ネットワーク及び運賃制度検討委員会の答申というものを踏まえまして、鉄道とバスとの役割分担を明確にして、新しいバスサービスの提供や、重複路線の見直し等を図りますとともに、事業採算性を考慮に入れながら公共交通ネットワークの充実を図っていこうという考え方でございます。

○織田委員 議会に提出されました資料にもそのことが書いてあります。キーワードになっているのが、事業環境の変化、それから鉄道とバスの役割分担、それから鉄道との競合、あるいは代替交通の有無、公共交通ネットワークの充実を図る、そういう観点がキーワードになっております。
 今回の全体像として、今回の計画では廃止、短縮路線、ここに地図を含めて随分載っているような感じでありますけれども、全体でどの程度の営業の路線がなくなったのか。そしてそれは、大体何%程度の短縮、あるいは営業がなくなるという路線になるのか、その辺のところについてはいかがでしょうか。

○木村自動車部長 今回の再編整備計画におきます営業キロの比較で申し上げますと、再編成実施前は七百七十八キロでございまして、実施後は七百五十七キロという状況になりまして、二・七%の営業キロの減少という状況となるものと見込んでございます。

○織田委員 今のあれによりますと、二十一キロ程度短くなるということでございます。それが二・七%ぐらいである。これ全体から見ると、随分少ないなという印象を受けるわけですが、これについては、なぜ営業キロがそんなには減ってないということなんでしょうか。

○木村自動車部長 ただいま二・七%の減少と申し上げましたが、鉄道との重複路線の見直しをした計画でございますが、廃止、短縮区間の一部には既存の他系統のバスが運行しているという部分もございまして、それらにつきましては営業キロが残るという形になりますので、二・七%の減少というところにとどまっているところでございます。

○織田委員 ということは、廃止区間、短縮区間あるんだけれども、何系統か重複して走っておって、ある一定区間は廃止になったけれども、本数は多少、どういうふうになるかわかりませんけれども、その間のバスの路線自体はある程度残っているというところがあって、そのために丸々なくなってしまうというところのキロ数が二十一キロですよ、こういう理解でいいかと思うんです。
 もう一つ、乗客潮流の変化だとかいろんなことが書いてあるんですが、一日九万三千人のお客様がそれぞれ代替交通機関というようなところに移っていくということなんですけれども、過去にも恐らくそういうケースはいっぱいあると思うんですね。そういうケースがあれば、そのときにどういう乗客潮流の変化があったのか、例えば今回、今も論議になりました秋76ですか、そういったところや、あるいはまた、三田線、南北線等が二十六日に開業したわけでありますけれども、それに絡んで、今回、再編というような形になっているところもあると思います。そういったところを含めて、過去、鉄道の開業によって、中期的、長期的に見てどういう影響を受けたのかということを、わかればお示しをいただきたいと思います。

○木村自動車部長 新たな鉄道が開業いたしました場合、関連するバス路線は、今回に限らず大変大きな影響を受けるところでございます。過去、三田線の巣鴨駅から日比谷駅間が開業いたしましたときは、半蔵門線の半蔵門駅から三越前駅間が開業いたしましたときを例にとりますと、それぞれの鉄道と大部分が並行いたします水59系統や茶81系統は、開業の前と後で、乗客数はおおむね四割程度減少いたしたところでございます。その後、逐年減少いたしまして、平成十一年度におきましては、お手元の委員会資料の一ページに記載してございますとおり、水59系統におきましては一日当たりで七百六十八人、また茶81系統については六百九十五人ということで、一日当たり千人を、もう既に切るという状態になっております。
 また、直近の例といたしまして、おかげさまで先般、九月二十六日に延伸開業させていただきました三田線、南北線の目黒までの延伸開業に関連しまして、例えば黒10系統という系統がございますが、この系統につきまして、開業日前後の朝夕のラッシュ時間帯におきます主要バス停での目視による状況でございますが、約四割程度のお客様が減っているというふうにとらえております。今後、さらに十二月には、大江戸線の開業によりまして、麻布十番と赤羽橋の両駅がこの路線の沿線上で開業いたしますので、さらにこの系統につきましては乗客減となるものと見込んでおるところでございます。

○織田委員 今、数字でるるお示しになったわけでございますけれども、相当大きな影響を受けるということはよくわかります。代替交通機関となり得るであろうという鉄道路線が敷かれましたと。そして、そこに乗客が移っていく、これは自然の流れであります。同時に、例えば今回の再編整備の中でも、今もちょっと話が出ましたけれども、ほぼ鉄道路線と並行しておりながら、なおかつ、今もバスを走らせているというようなところが随分あろうかと思います。例えば、都02系統でございますか、そうしたものはほとんど旧来から丸ノ内線とずうっとほぼ並行ではないかなというように私は思っているんですけれども、そういうところが今回はいじられない。同時に、再編をしますよ、そういうところもある。その違いといいますか、どうしてそういうふうな選択になっていくのか、その辺のところについてはいかがですか。

○坂上バス路線再編成・事業活性化担当部長 都02系統は、春日駅から蔵前駅区間で大江戸線環状部と並行しており、並行区間は全路線の四割程度となっております。この路線の特性といたしまして、お客様の乗降がブロック化しているというような傾向がございまして、そういう意味では効率的な路線となっているところでございます。さらに、地下鉄開業後も、一日当たり約二万人近くのお客様が乗車されるものと見込まれ、引き続き運行してまいりたいというふうに考えております。

○織田委員 そうなりますと、やはり路線の特性といったものが重要な判断の基準になるんだろうというふうに思います。そこで、こういうようにいろんなバスの再編整備、あるいはまた鉄道が開通をすることによって状況が変化をしてくる際に、どうしても考えなければならないのは、バス事業の基本的な、要するに何をカバーするのか、鉄道は何をカバーするのか、そしてタクシーなどの個人ユースは何をカバーするのか、こういうところについての基本的な考え方というのが、ぼつぼつ成熟をしてきてもいいのではないかというふうに個人的に思っているんですが、この辺のところについて、都の交通局としてはどういうお考えなんでしょうか。

○木村自動車部長 バスの基本的役割についてでございますが、形態的な基本的役割といたしましては、幹線輸送につきましては鉄道系で、またバスにつきましては、フィーダーと申しますか、支線的な輸送を担うものというふうに考えておるところでございます。また、需要的に見てみますと、鉄道で輸送するほどのニーズ、需要はないが、マイカー、タクシーでは対応できないような、ある程度まとまった量のニーズについて補うというような役割があるのではないかと考えておるところでございます。

○織田委員 私は、これは非常に大事な考え方だというふうに思っているんです。十両編成で定員が二百人程度の、二千人規模でがさがさ動いていくというところと、バスの場合はせいぜい百人、ぎゅうぎゅう詰めたって百人ですから、そうなると、二十分の一程度の需要ぐらいまでが一つの、極めて大ざっぱな考え方ですけれども、そういうところにきちっと特化をしていかなければバス事業も成り立たないし、まして規制緩和の流れがあって競争が激しくなるというようなところで、事業がきちんと成り立ち得る、そういったところに一つ特化をしていかなければならないわけで、そういうふうに私は思っているわけなんですが、では、そうした需要に見合わないけれども、お客様のニーズとしてはかなりある。先ほど来までの論議で、お年寄りの方であるとか、そういう方についての需要は、またこれは一方でかなりあるわけです。
 そこで、今話題になっておりますが、武蔵野市のムーバス、これは随分成功をしているようでございますが、この成功した要因というのはどうお考えになっておられますか。

○木村自動車部長 武蔵野市のムーバスの成功した要因についてということでございますが、当該の運行を決定いたしました地域の道路が比較的狭いという点で、また、それに伴っての一方通行路が多いというような路線条件、したがって、既存のバス路線が、そういうような地域でございましたのでなかった。そういう点とか、あるいは運賃面で工夫をしているとか、あるいは小型車両を導入した、あるいは集客力の高い路線の設定、いわゆる吉祥寺でございますが、お客様が多く集まるような地域を路線の中に組み込んだと。そのような工夫が成功した要因だと承っております。また、停留所の設置ですとか、あるいは走行環境の整備等につきまして、地元の積極的なご協力をいただいたということも重要な要素であったというふうに聞いておるところでございます。

○織田委員 バス事業としての役割というものを考えていき、そしてそれに需要が満たないというところのものとして、高齢社会も迫ってきておりますから、そういうところについて、やはり区市町村、あるいは地域でそういうものを役割分担していただくというような、事業の仕切りといいますか、ニーズに対応した事業のあり方といいますか、それが、どこの主体が担うのかは別にいたしまして、そういうふうにしていかなければ、これからの多様なニーズにこたえていくことはできないんだろうと思うんです。
 そこで、交通局では、このようなコミュニティバス、ムーバスのような運行の要請があったような場合に、どのように対応するお考えなんでしょうか。

○木村自動車部長 地域住民の方に密接したバスの路線の運行につきましては、都営交通ネットワークの確立といった視点から、お客様のニーズに的確にこたえたバス路線を整備してまいりたいと考えておるところでございまして、地元区等から、コミュニティバスなど域内交通につきまして、運行委託などのご要請があった場合につきましては、既設の路線との整合性ですとか、あるいは採算性が確保できるのかなどを種々勘案した上で運行に当たっての条件整備等を含め、関係区等とも十分協議していきたいと考えておるところでございます。

○織田委員 私は、地元は板橋区で、都バスはそんなに走ってないわけです。今の論議を聞いておりまして、山手線の内側、大江戸線の開通によりまして、徒歩圏もほぼ十分圏域でほぼ全体が覆われている。大変うらやましいなというのが実感でございます。都営交通全体として見るならば、いろんな条件があるわけでありますけれども、同じ都民に、そういった関係で適切なニーズにこたえていく、またサービスを提供していくということは非常に大事なことでありますし、だからといって、既存のところのサービスが損なわれるというようなことがあってはならない。そういう面に十分留意をしながらも、まさに公共交通、鉄道、バスという、その両事業を持っている交通局が、公共交通ネットワークの先駆けとなるように、そういう面ではしっかりと、もう一段需要の薄い部分についての方策というものを編み出して、考え出して、それが推進されるような先駆的な政策体系というものを持っていただきたいというふうに、私は心から念願をしているわけなんです。
 そういう意味で、こういう再編整備、これを虫の目のような観点から眺めるのもいいんですけれども、都営交通全体という面からこれが前進をしていくように、私は要望をしておきたいと思うんですが、この都営交通のネットワーク網というのをしっかり維持をして、果たして今回のバス路線の再編整備、大いにプラスになる、こういう取り組みをしていただきたいというふうに思うわけですが、今回のあれでちゃんとできるんですか。その辺のところをしっかりお答えいただければと思います。

○木村自動車部長 公営企業といたしまして、今後とも効率的な経営に努めますとともに、代替交通機関のない赤字路線等については、できる限り内部補助という形で維持するなど、公共交通のネットワークを今後とも維持してまいりたい、そのように考えておるところでございます。

○織田委員 もう一つ、別の観点からご質問をしたいと思いますけれども、今後とも交通局が、社会的な需要にしっかりこたえていかなきゃならない。同時に、今回のバス路線の再編整備というのは、道路事情もあると思うんです。定時性が確保できない、お客がどんどん減る、そしてまた、従来の普通の交通の渋滞というものを加速するというようなこともありまして、そういう総合的な面から考えていかなきゃならないことは事実でありますが、同時に、大気汚染というようなことから考えますと、環境対策というのも非常に重要になってくるわけですが、この環境対策におきましては、先般さまざまな事業を行っておられて、特に今回、低硫黄の軽油を使うということになったというふうにお伺いをしております。この試験の目的、概要等について、ちょっと教えていただければと思います。

○木村自動車部長 今回の低硫黄軽油を使用いたしました都バスの営業運行とDPFの装着車の走行試験につきましては、都バスの率先的な行動ということで、環境局と協力して実施させていただくものでございます。
 試験の目的といたしましては、一つには、まだ市場に流通しておりません低硫黄軽油を率先して使用することによりまして、ディーゼル車の排ガスに含まれております粒子状物質や黒煙等を削減する効果を確認いたしますとともに、今回の試験を契機にいたしまして、低硫黄軽油の市場への流通が促進されることを期待するものでございます。
 二つ目の目的といたしましては、欧米で主流となっております連続再生式のDPF装置を都バスの二両に装着いたしまして走行試験を行うことによって、その機能、性能等を確認しようとするものでございます。

○織田委員 今後、さらに低硫黄軽油というのは使用を拡大するという方向なんでしょうか。

○木村自動車部長 今回の試験的な営業運行を契機といたしまして、低硫黄軽油の市場への流通が早まりますことを期待しているところでございます。低硫黄軽油を使用いたします営業所の拡大につきましては、今回の試験的な営業運行の結果と低硫黄軽油の市場への流通状況等を見ました上で検討していきたいと考えておるところでございます。低硫黄軽油使用のDPF装置の拡大につきましては、やはり同様に、試験結果を見た上で検討していきたい、そのように考えておるところでございます。

○織田委員 いわゆる交通弱者対策といいますか、お年寄りもそうなんですけれども、そういった対策について、今、交通局が進めている、進めようとしているということについては、どういうふうに具体的な例がありますか。

○木村自動車部長 東京都の福祉のまちづくり整備指針ですとか、先般の交通バリアフリー法、略称でございますが、こうした法改正の趣旨等を踏まえまして、私ども都営バスでは、次の停留所名の表示器ですとか、あるいは車内外の自動放送装置の設置を全車で実施しております。そのほか、スロープつきの超低床バスの導入ですとか、ノンステップバスの拡充等によりまして、車両の低床化を引き続き図ってまいりたいと考えておるところでございます。

○織田委員 この資料の中に、都営バスの乗り継ぎ割引カードの新設等を検討するというふうに書いてありますけれども、これについてはどういうような検討をされているんですか。具体的にわかれば教えてください。

○久保田経営企画室長 バスの乗り継ぎ割引の運賃につきまして、先ほど申しましたネットワーク検討委員会等の答申の中で、都営バスを乗り継ぎますときに初乗りの負担感が大変大きい、できればバスを乗り継いだ、二番目のバスのときには幾らか割引はできないのかというような答申がなされておりまして、それにつきまして、私どもは今検討しておりまして、できるだけ実現したい方向で積極的に検討しておるところでございます。

○織田委員 ぜひ大江戸線開業に伴う再編整備の際には、そういったものもきちんと明確にして、サービスをできるだけ向上させるように、短縮をした、あるいは廃止がされたというようなところで、そういう余分な交通料金がかかってくるというようなことができるだけ緩和できるように、ひとつ一生懸命に検討していただきたいというふうに思います。
 さまざまに申し上げてまいりましたけれども、こうした鉄道とバスの重複路線、これは、再編ということを視野に置きながら、その路線、路線の特性に着目をして、そしてまた、経営ということも当然、責任ある立場から、視野に入れながらやっていかなければならないと思います。経営の効率化をしていかなければ、本当は事態がだめになってしまうわけでありますから、そういう面では、先ほど論議になりましたけれども、代替性をきちんと高める、そういうことと、それに対して都民の合意というものをきちんとした形で得るような努力をする。これは大変重要なことであります。そして、そういうことができ上がったならば、断固として推進をする、これが私は行政のあるべき姿かなというふうに思っております。
 したがって、そういう面もあり、経営的な面もいえば、社会的な需要、公害対策あるいは弱者対策、さまざまな面でそういう需要にこたえていかなければならないわけでありますから、そういう路線の見直し等を図りつつ都営交通の役割を果たしていく、こういうことは大事だろうと思います。
 これからも競争の時代になってまいりますから、そこの一点を外しますと経営体として成り立たないという形になります。住民サービスの提供と、非常に微妙な判断が大切になってくるわけでありますけれども、そういったことを、住民の皆さん、都民の皆さんに理解を得ながら進めていってもらいたいというふうに思うわけであります。
 最後に局長の、この問題についてどういう決意で臨まれるのか、どういう、都民に対して理解を求める行動をきちんとやっていただけるのか、それをお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

○寺内交通局長 いろいろお話を承りました。私は、バス事業についてはもちろんでございますけれども、都営交通として、鉄道とバスの果たす特性、役割を十分踏まえながら、交通ネットワークの形成を基本に、長期的、かつ安定的に輸送サービスを維持できるよう、より一層の効率的な経営をしていかなければならない、こういうふうに考えている次第でございます。
 したがいまして、このような観点から、今般の地下鉄の開業により、鉄道と大幅に並行あるいは重複する路線、そしてあるいはこれに伴い著しく利用者が減少する路線等につきましては見直しを図り、再編整備をすることといたしたのでございまして、地元、都民、あるいは利用者の方々の理解を得ながら当初の計画どおり実施していく所存でございます。どうぞご理解を賜りたいと思います。

○藤田委員 最初に二つ、関係区の理解を得るための努力は、抽象的にさっき大山さんとのやりとりで答えられましたけれども、できるだけ具体的に、それから一緒くたに聞いちゃいますけれども、労働組合との協議の状況、これを聞かせてください。

○木村自動車部長 まず第一点目の関係区との協議の詳細についてというお尋ねでございます。
 まず、先ほど申し上げましたように、九月六日に関係の全部の区に対しまして、私どもの担当の者が説明にお伺いしたところでございます。その後、翌九月七日に新宿区、文京区、中央区、この三区に、また、九月八日には港区、千代田区の二区に、さらに不明な点についてのご質問等もございましたので、詳細な説明並びに協議に伺っておるところでございます。その後、文京区、港区の区議会の方からも説明のお求めをいただきましたので、そちらの区議会についても説明を行っておるところでございます。引き続いて、今後とも積極的な協議に努めてまいりたいと考えておるところでございます。

○佐伯職員部長 労働組合との協議についてお答えいたします。
 現在、局を挙げまして実施しております都営交通プラン’97の自動車部門関連の事項につきまして、これを具体化するために、東京交通労働組合との間で自動車事業対策委員会を設置いたしまして協議を進めているところでございます。今回のバス路線再編につきましても、この委員会の中で十分協議を行っていきたいと考えております。

○藤田委員 僕は、思いの中である事柄は、さっきの織田理事の後段のまとめのところで、かなり問題意識としては一致している点が多うございますから、同じようなことは繰り返したくないんですが、ここから先は、実に実に、全く実にくだらぬ話をして恐縮ですが、きょうの論議を聞いておりまして、私のくだらない思いを土台にして、どうしても公営企業委員会でいっておかなきゃならぬことがわき起こってまいりましたので、お許しをいただきまして述べさせていただきますが、私が政治の世界に飛び込むきっかけになりましたのは、ある著名な衆議院議員の秘書が出発点でしたが、その方は交通局出身の方でございました。したがって、政治の道を目指した秘書時代から、交通局の問題については、いいことも悪いことも含めて身近でありました。
 私が見聞しましたのは、昭和三十年代後半に国会で行われました公営企業法の、私からいわせれば改悪を出発点にして、三十八年、四十年、五十年、いつ果てるともしれない合理化、合理化の連続と、その修羅場というものをずうっと見てまいりました。
 くだらない話をして恐縮ですけれども、例えば大久保、新宿の都電廃止の際、あるいは三ノ輪車庫の際などは、僕は先頭を切って鉢巻きを締めて座り込んだり、やぐらによじ登ったりした一人であります。しかし、時間がありませんし、また、こんなことをくだくだいう場でもありませんから割愛しますけれども、昭和三十年後半から始まった、一息をつくまで、交通局を間断なく襲った企業合理化、職員に対する合理化、当然のことながら都民に犠牲を強いるというそのありようというのは、まさしく涙をもって語らずにはいられない深刻な場面でありました。車掌さんが廃止をされる、ワンマンカーになる、都電が廃止をされる、トロリーバスはなくなる。四十五手当などと悪口をいわれた職員の手当は、次から次に減らされる。
 くだらぬ話で恐縮ですけれども、青年部の大会などへ行きますと、部長と副部長と会計が執行部に並べば、部員はあと一人なんていう、そういう新規採用もままならない事態をずうっと私は見てまいりました。ようやく一息ついたという事態の中で、私は都電を利用していますからわかりますけれども、僕が都電を最初に利用しているころは、屋根もなければ、野っ原ですよ。そして都電は、冬は冷房、夏は暖房という中で、交通局の末端の交通のネットワークを職員が守ってきた。今はもう屋根はみんなついている。それから暖房も冷房も都電は完備をされた。沿線のアメニティーも、バラなどを植えていろいろ努力をしている。その過程というのは、困難な時代と困難な状況の中で、都民のためのサービス、公共事業としての使命を自覚した上で、どれだけ交通局が努力をしてきたのか。どれだけ職員が努力をしてきたのか。血のにじむような努力の恐らく連続であったろうという思いが、実は強いんです。
 しかし、そういうことでようやく将来の燭光を見出したときに、こういういい方は恐縮ですけれども、皆さん方を二代とすれば、先代が大変な過ちをやった。それは今、住民の皆さんに喜ばれているからそれが救いですけれども、もともとこの大江戸線というのは、交通局はやる気はなかったやつなんだ。運政審もこれは否定していた路線なんだ。それが、新宿の都庁移転という政治的思惑から出発した政治路線として困難な状況に交通局を追いやったということが、たまたま三千億を超えるような、当初計画から見れば大変な出費を伴うような状況を生み出す。そのために苦労が伴ったということを、今の二代の指導部の皆さんがしょっちゃった。
 もう一つ先代が行った過ちというのは、定数条例をぶった切ったことですよ。五百、今、八千二百八十六ですね。あれ、条例定数としてあと五百あったんだ。あれを切らなければ、大江戸線の開業に伴って千何百人の新たな要員を賄うということについては、まだまだ余裕があったはずなんだ。しかし、定数を切られて、定数内で補充するということであれば、それなりの要員計画についての苦労はあるということが全部だんごになって、大江戸線開業をめぐるバス路線の統廃合の問題の背景になっている、こういうふうに受けとめます。
 その観点から考えますと、余計なことをいうことはないんですけれども、交通局の皆さんが、大江戸線開業に伴うさまざまな企業努力の中で、全体的なネットワーク、あるいは社会資本の二重投下を避けるということにも配慮するということは、当然あるべき一つの知恵だと思います。
 今まで便利だったんだから、そのために不便になる点はたくさんあるでしょう。そういう点では、余り強がりいわぬ方がいい。不便をかけることは確かなんです。痛みを強いることは確かなんです。問題は、織田さんがさっき述べられたから私は重ねていいませんけれども、受忍の限界をどこに求めるのか、我慢していただくという限界と調整をどうとるのかという努力を誠実にやったかどうかということ、それから、公共事業としての交通局が果たすべき役割について、織田さんの言をかりることは恐縮ですから重ねていいませんけれども、本来交通局が立つべき立脚点というものをどう見据えてきたかという、こういうことだろうと私は思う。
 そういう点では、決してもろ手を挙げて賛成というふうに申し上げることはできませんけれども、大江戸線開業に伴う今回の措置というのは苦渋の選択であったと。恐らく交通局の指導部はつらかったはずだ、せつなかったはずだという思いが伝わってまいりますので、私ごときがこんなことをいっても何の足しにもなりませんが、私は、交通局職員も含めて総体が今実感しているであろうせつなさや、あるいはつらさや、あるいは悲しさというものは共有したい。私自身も共有したい。都議会に籍を置く一人として共有したいというふうに思っております。
 冒頭に、くだらぬこと、くだらぬこと、くだらぬことというふうに申し上げましたのは、くだらないことをしゃべっているということは承知の上で申し上げましたけれども、ちょっと議論を聞いておりまして、私なりの実感もありますので、一言いわずもがなのことを申し上げなければ、ちょっとたまらぬなという気持ちがありましたので、ご迷惑かけましたけれども、いささかの所感を述べさせていただきました。
 以上です。

○東委員 ただいまの質疑が続きましたので、私の方からは、重なるのはできるだけ避けて、二、三質問をさせていただきたいと思います。
 今回のバス再編についてなんですけれども、今もちょっと出ましたけれども、私は、交通局がバス再編について、基本的な考え方というのを、まず最初に出したわけですけれども、ここに出ていない本当のねらいがほかにあるというふうに考えているんですが、そこで、まずちょっと聞きたいんですけれども、三田線の延長と大江戸線の全面開通によって、通常、新しい線ができるわけですから、当然必要な職員配置があると思うんですね。乗務員、整備、それから駅務員等だと思いますけれども、全部、両方合わせてでいいですから、何人ぐらい必要とするのかという点が一つのクエスチョンと、それから、今出されているバス路線の再編によって、廃止、短縮あるいは変更、また新しいのもあるようですけれども、バス路線のここに出されている再編によって、職員は何人ぐらい、余るといういい方はおかしいけれども、現在よりもどういう形に、どれぐらいの人数が変化してくるのか、まずその点を聞きたいと思います。

○久保田経営企画室長 大江戸線の環状部の開業と三田線の今般の延伸につきまして、私どもの計画では、約八百名の開業要員を考えております。

○東委員 バスの方は……。

○久保田経営企画室長 失礼しました。それから、バスの路線再編に当たりましては、約三百名の減少を予定しております。

○東委員 八百人の人員が必要であると。しかし、さっきも議論になりましたけれども、現在、たしか聞けば八千二百八十六名ですか、この定数は変えないと。これは、前に事業概要で議論したから繰り返しませんけれども、変えない。そこに、本来であれば八百人ぐらいの−−約一割ですよね、今の交通局職員の−−本来ならふやさなければいけないわけですけれども、結局、それをふやさないで何とかしようというところに、私は再編の一番のねらいがあり、一番の問題があるということを指摘しておきたいというふうに思うんですね。
 その上に立って、私の地元との関係でちょっと申し上げたいと思うんですが、廃止路線の中に、東17というのが入っております。これは、江東区のJRの潮見駅から東京駅に至るかなり長い路線なんですけれども、これを廃止するということになっておりまして、なぜ廃止するのかという理由を出してくださいということで出していただいた資料によりますと、三ページですね、有楽町線、JR京葉線など鉄道、バスとの並行が約九〇%になり、代替交通機関の利用が可能であるということが出ておりますけれども、これは、大江戸線が開通するからバスとの並行が九〇%と、今からなるということじゃないんです。現在がそうなっているわけですよね。何も大江戸線が開通するから、一部そういうところもありますけれども、そのほとんどは、大江戸線の開通によって何か新しくこういう状況が生まれるわけではないわけなんですね。
 だから、これを見ると、数字を出していただいたんですけれども、廃止路線の利用者数、これは一ページですけれども、今申し上げた東17という路線は、一日六百六十四人ということで非常に少ないという、だから、恐らく赤字路線の典型的な路線の一つだろうと思うんです。
 しかし、ただこの理屈だけでいけば、大江戸線が中央区から私どもの江東区をずうっと駆け抜けるんですが、これと全く重なっている、いただいた再編計画の路線図の中には出ていませんけれども、江東区から墨田区へ出て、そしてずうっと大江戸線と重なり、上下を、大江戸線の上の道路の上を走って中央区へ行くバス路線があるんですよね。これはそのまま残されるんですね。だから、並行するものを整理するという理屈は、ここでは合わない。並行するものは残して、そして余りかかわりのない路線は切るというのが、これは私の江東区の、今いった線でいった場合のことなんですけれども、そういうことになっているわけなんですね。そこは特にクエスチョンにしませんけれども、廃止になる路線のところで、私も幾つか行って調べてみたんですが、まず、そこで二点、ご質問をします。
 一つは、この計画については、江東区には、さっき部長が幾つかの区の名前を挙げて、九月六日に行ったということをいってましたけれども、そこに確かに入っていなかったんですが、まず地元の区に対しては、きちっとした説明をして、あるいは意見を求めるということはしてませんよね。まず、それがどうだったかということが一つ。
 それから、これはほかの路線でも共通すると思うんですけれども、利用者が、ただ人数をあれするんじゃなくて、何の目的のためにバスを使っているかというようなこと、余り全体に広げないで、例えばこの17という路線について、そこの非常に数少ない乗客が何のためにバスを利用しているのか、その利用目的などについて調査をしたことがありますか。その二点、あわせて答えてください。

○木村自動車部長 東17が走っております江東区について、事前の説明があったのかという点につきましては、先ほど来ご報告させていただいておりますように、九月六日に第一回として、いわゆる事前説明の一環ということで、江東区さんにもご連絡を差し上げたところでございます。今現在、先ほど何区か申し上げましたが、逐次、各区についてもご説明に伺ってまいっているところでございまして、今後、江東区さんについても対応を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
 二点目の、バスのお客様がどういう目的でご乗車しているのか調査をしたことがあるのかというお尋ねでございますが、お客様の移動の目的に関しましては、今までも、五年に一回でございますが、運輸省の指導に基づきまして、交通事業者がOD調査という調査を実施しております。その調査の中で、利用目的、例えばどこからどこまでご乗車になって、その移動の目的は通勤なんですか、通学なんですか、あるいは買い物なんですか、レジャーなんですかというような調査を実施させていただいておりまして、ちなみに、最近のものといたしましては平成七年度に実施しておりまして、ちょうど平成十二年度、ことしが五年目に当たりますので、間もなく本年、この調査も実施してまいりたい、そのように考えておるところでございます。

○東委員 区については連絡をしたということですけれども、私も確かめてみたんですね。担当の課長さんに聞いたんですが、プレス発表で見て、その後、資料を送っていただいたというふうにいっておりました。
 江東区は、必ずしも今度の再編計画について、区として特に異を唱えているわけではないんですよね。だけれども、さっき大山委員も指摘しましたし、ほかの人たちも何人かいいましたけれども、乗り入れるときも恐らくそうするんだと思うんですけれども、事前にこういうことを計画しているということを話すでしょうし、それから撤退するときも、あるいは計画を変更するときも、都と区の関係ですから、それはやっぱり事前にきちっとした、できれば協議をすべきだ。
 江東区の担当の課長はいっていましたけれども、事前に相談があったら、恐らくハチの巣をつついたようになるだろうから、交通局の方はそれを避けたんじゃないですかなんていっていましたけれども、私も、そうじゃないかなと思いますが、それは特にいいませんけれども、まだこれは、今進行中のようですから−−さっきの話を聞きますとね。これはだから、これで結論だと、きょうの委員会の報告をして、きょう委員会でその審議をすれば、もうこれで全部上がりということじゃなくて、さっき具体的に、各区からいろいろ提起もされているわけですから、やっぱり聞く耳を持つべきだ。時間もまだ十二月までありますし、そして必ずしも十二日の朝、つうっと大江戸線が走った、そうしたら上の方はすぱっとそれで切ったということじゃなくてもいいわけで、その点は工夫をして、やっぱり地元の区や町会の人たちにも、一定の納得を得るような、もっと柔軟性を持った計画に、執行するときにはそうあってほしい、そうすべきだということをいっておきたいと思うんです。
 私の地元でずうっと調べてみたんですが、バスの場合は、特に江東区の17の場合は、通勤、通学というのは少ないんですね。しかし一応、午前六時五十分から九時台までと、真ん中は全然なくて、夜の四時台から大体六時台までということで、一応通勤、通学を対象にはしているんですけれども、確かにJRによって、通勤や通学、つまり健脚の人は、足のしっかりした人たちは、それでずうっと東京まで行っちゃうんですよね。
 だけれども、バスを利用している人はそういう人たちではなくて、特に私の江東区の場合では、ちょうど潮見という出発の駅の近辺に、ちっちゃなスーパーもないんですよね。それから病院もないんです。あるのは、それからちょっと川を越えて、直線にはかれば二キロぐらいのところですけれども、豊洲というところに昭和医大の病院があって、そこに行く。それから石川島生協や、ちょっとした商店街があるものですから、そこに買い物に行くというのが用事であり、それからまた楽しみである。そういう特に高齢者の人たちが使っているんですよね。
 私もずうっと行って調べてみたんです。やっぱり高齢者に話を聞けば、買い物や病院に行くのにそれがなくなったら本当に困ると。年寄りは、バス停一つ歩くのが精いっぱいなんだということをいっていました。それと廃止になるということを、私が行ったのは今から十日ぐらい前なんですけれども、だれも知らないんですよね。それで初耳だ、初耳だ、そんなことになったら大変だということで、ちょうど集まっているところでもあったものですから、そういうことが大きな話題になる。
 例えば、そのときに、たまたまとまっていたバスの運転手さんにも私は話を聞いたんですよ。そうしたら、その運転手さんもいっていましたよ。この辺は確かに赤字だと思いますよ、私が運転しているからわかるというわけですね。だけど、赤字だから廃止するというのは民間と同じじゃないですかといっているんですよ、これ。やっぱり公営企業の役割があって、それが私たちの誇りでもあるんですから、そこのところは考えてもらわなきゃといっていましたよ。指導部、そこをぜひ考えてください。そういう状況であります。
 次に、もう一つ質問しておきたいのは、区や町会に対しての何かの説明はするんでしょうけれども、利用者に対しては、私が話した人はみんな知っていますけれども、あとは知らないんですよね。どうするんですか、バス停へ行ってみたら、きょうからなくなっちゃっていたということになっちゃうんですか。それとも、何か事前の説明なり解明なりをするんですか、この点、説明してください。

○木村自動車部長 今後のPR等についてでございますが、一応、先ほどご説明申し上げましたように、プレス発表は既に実施したところでございますが、先ほど来のご論議の中で、都民の皆さん方の理解を得た上で実施するようにというようなお声も多々いただいておりますので、今後引き続き、種々PR方策について周知を図ってまいりたい、そのように考えておるところでございます。

○東委員 本当は、これは局長に要望をしておきたいと思うんですね。いろいろ論議がされてきましたけれども、やっぱり根本の問題は、最初にいいましたけれども、とにかく今の定数内で新しいあの巨大な路線を運行する、それを今の人数の中で何とか回してやろうという、そこにまず根本の無理があるわけですよね。当然こういう形で切って、都民へのサービスを大後退させるし、そこで働いている労働者は、まさに超長時間過密労働ということになってくるわけで、結局、結果的にどうなるかといえば、安全保障ですよね、交通安全、そういうものに非常に、ないないと頑張ってはいるけれども、いろいろ事故が起こっているように、やっぱりそういうところへ通じていくわけですよね。
 だからそういう点で、定数問題は、恐らくなかなか難しいことだと思うんですけれども、安易に足を切って何とかすればいいという考えじゃなくて、必要な人数については、必要なことについては、石原知事にもきちっと要求するということをしなきゃいかぬと思うんですね。
 それと、さきにちょっといいましたけれども、今回の十二月十二日出発ということについては、いろいろこの間に出ている地元の意見やそういうものも十分に考慮して、この委員会が終わったら、あとはもう論議なし、あとはこれでやる、そういう硬直したやり方じゃなしに、いろいろ具体的な意見も出ているわけですから、そういうことも十分考慮して、柔軟に対応していただきたい。
 この17のことについていえば、新しい、豊洲駅から豊洲一丁目を回るアクセスラインなんていうのが、最近みんな片仮名が大好きのようですけれども、こういうのをつくることになっているので、せっかくつくるんだったら、現在の17を生かして、潮見の駅からアクセスラインということになれば、なかなかうまくいくんじゃないかなというふうに思うんですが、そういう点もぜひ検討をしてもらいたいということもあわせ要望して、私の質問を終わりたいと思います。

○大木田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二分散会

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