公営企業委員会速記録第四号

平成十二年三月二十二日(水曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 十三名
委員長大木田 守君
副委員長野田 和男君
副委員長前沢 延浩君
理事織田 拓郎君
理事田村 市郎君
理事清原錬太郎君
高島なおき君
藤田十四三君
大山とも子君
小山 敏雄君
嶋田  実君
東ひろたか君
中山 秀雄君

 欠席委員 なし

 出席説明員
水道局局長赤川 正和君
技監石井 健睿君
総務部長石山 伸彦君
経営計画部長甘利 鎭男君
職員部長小泉 智和君
経理部長愛甲浩一郎君
営業部長二階堂信男君
浄水部長飯嶋 宣雄君
給水部長鈴木 三夫君
建設部長町田  秀君
設備担当部長関根 勇二君
参事古河 誠二君
多摩水道対策本部本部長松田 奉康君
調整部長山根 朋行君
施設部長佐々木滋夫君
参事村元 修一君
下水道局局長鈴木  章君
次長緒方 弘毅君
総務部長緒方 敏彦君
職員部長山田靖麻呂君
経理部長藤井 浩二君
業務部長今井 浩司君
計画部長藤田 昌一君
技術開発担当部長前田 正博君
施設管理部長内田 眞吾君
建設部長大迫 健一君
参事時田 公夫君
流域下水道本部本部長横山 博一君
管理部長庄司 忠史君
技術部長鈴木  宏君

本日の会議に付した事件
 水道局関係
  報告事項(質疑)
  ・水道事業経営プラン二〇〇〇(案)について
  予算の調査(質疑)
  ・第二十九号議案 平成十二年度東京都水道事業会計予算
  ・第三十号議案 平成十二年度東京都工業用水道事業会計予算
  請願の審査
  ・一二第六号 水道料金の減免措置及び減免率の継続に関する請願
  報告事項(説明・質疑)
  ・契約の締結について
 下水道局関係
  予算の調査(質疑)
  ・第三十一号議案 平成十二年度東京都下水道事業会計予算
  付託議案の審査(質疑)
  ・第百六十六号議案 東京都下水道条例の一部を改正する条例
  ・第百九十九号議案 多摩川流域下水道多摩川上流処理区の建設に要する費用の関係市町の負担について
  ・第二百号議案 多摩川流域下水道秋川処理区の建設に要する費用の関係市町村の負担について

○大木田委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局及び下水道局関係の平成十二年度予算の調査並びに水道局関係の請願の審査及び報告事項の質疑等並びに下水道局関係の付託議案の審査を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 予算に関する報告事項の質疑、予算の調査、請願の審査及び契約に関する報告事項の聴取を行います。
 初めに、予算に関連する報告事項の質疑、予算の調査及び請願の審査を行います。
 報告事項、水道事業経営プラン二〇〇〇(案)、第二十九号議案、第三十号議案及び請願一二第六号を一括して議題といたします。
 報告事項、第二十九号議案及び第三十号議案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布しております。
 それでは、資料及び請願について理事者の説明を求めます。

○石山総務部長 さきの委員会におきまして資料要求のございました事項を項目別に取りまとめ、資料1としてお手元に配布してございます。
 その概要につきまして、ご説明申し上げます。
 一ページをお開き願います。水道需給計画の改定経過と一日最大配水量の実績でございます。
 平成十年一月に改定いたしました現行の水道需給計画では、今後の水道需要は、かつてのような急激な増加はないものの、核家族化の進行による世帯数の増加などから、長期的な見通しとしては穏やかな増加基調で推移し、平成十七年度の一日最大配水量は六百三十万立方メートル程度になるものと見込んでおります。
 なお、備考欄にお示ししてございますが、今後、四半世紀の間には、おおむね六百五十万立方メートル程度になるものと見込んでおります。
 次に、一日最大配水量の実績でございますが、平成元年度から十年間の推移を表示してございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 二ページをお開き願います。東京都における渇水の状況でございます。
 渇水時における取水制限期間及び取水削減量と、それに伴います給水制限率や都民への影響、小河内ダム貯水量の状況などをお示ししてございます。
 過去十年間では、夏場に三回、冬場に二回、合計で五回の渇水があり、それぞれ相当期間にわたり取水制限が行われており、最大で、一日当たり六百二万立方メートルの水源量に対して、約三七%に当たります二百二十三万立方メートルの削減が実施されております。
 三ページをお開き願います。水道料金の減免措置でございます。
 その内容につきまして、給水条例に基づくものと、議会決議の趣旨を踏まえて実施しているものに分類し、事項別に対象範囲、減額基準等を表示してございます。
 平成十年度の実績で見ますと、減免額は、条例分といたしまして約十億一千九百万円、議会決議分といたしまして約三億四千万円、合計で約十三億五千九百万円となっております。
 四ページをお開き願います。平成二年度から平成十五年度までの企業債の償還額と未償還残高の推移をお示ししてございます。
 平成十二年度予算案では、元利償還額七百三十八億七千五百万円、未償還残高八千七十一億九千四百万円を予定しております。また、本年一月に策定いたしました水道事業経営プラン二〇〇〇(案)の計画終了年度である平成十五年度の未償還残高は七千九百四十億二千五百万円と、今後、順次漸減していく予定でございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料につきまして説明を終わらせていただきます。
 次に、請願につきましてご説明申し上げます。
 お手元に配布してございます資料3、請願陳情審査説明表をお開き願います。
 この請願は、台東区今戸二丁目八の五、用水型皮革関連協議会会長石居秀夫さんから提出された請願でございます。
 その趣旨は、油脂・皮革関連産業にかかわる水道料金の減免措置及び減免率を継続することを要望するものでございます。
 水道料金の減免措置は、公営企業における独立採算の原則及び負担の公平に対する例外的措置でございます。
 用水型皮革関連企業に対する減免措置は、平成十年第一回都議会定例会において水道料金の減免措置に関する決議が可決されたことから、その趣旨を尊重し、一般会計からの減収分の補てんを前提に、独立採算、負担の公平の原則の例外的措置として、平成十二年三月まで実施しているところでございます。
 以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大木田委員長 説明は終わりました。
 これより、要求資料とあわせた予算案、報告事項及び請願に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○東委員 私はまず、資料も出していただいたんですが、一日の最大配水量、一日最高に水を使うことだと思うんですけれども、十年までは今の資料で出していただいたんですが、十一年、もうそろそろわかっているんじゃないかと思うんです。幾らくらいになっているか、説明してください。

○甘利経営計画部長 平成十一年度の一日の最大配水量でございますけれども、五百三十五万立方メートルでございます。

○東委員 いつですか。

○甘利経営計画部長 平成十一年七月十六日に出ております。

○東委員 そうしますと、おととし需給計画を見直したわけですが、現行の需給計画ではどういうふうに想定していたのか、説明してください。

○甘利経営計画部長 現行の需給計画では、平成十二年度の一日最大配水量を六百二十万立方メートル、平成十七年度の一日最大配水量を六百三十万立方メートルと見込んでおります。

○東委員 そうしますと、去年の実績、つまり平成十一年度の実績をさっき説明していただいたんですが、その実績と、今年度、平成十二年度の計画値を比較しますと、八十五万立方メートルの差が生じることになると思うんですけれども、計画では、さっき出していただいたように、あと五年間で十万立方メートルもふえるという、さっきもちょっと説明があったんですが、水の需要は、わずかずつだけれどもふえるという計画ですよね。つまり、上昇指向というんですか。しかし実際は、逆に下降指向になっているというのが実態だと思うんです。
 去年五百余万トン、ことしは六百二十万トンということになると、さっきいったように、相当な、八十五万の差があるわけですけれども、一年でこれだけの増加というのは、僕はあり得ないと思うんですね。
 計画と実際の実績に大きな隔たりが生じていると思うんですけれども、その原因は一体何なんでしょうか。

○甘利経営計画部長 一日の最大配水量は、気象条件あるいは渇水等の影響によって変動いたします。近年で申し上げますと、いわゆるバブル経済崩壊後の景気回復がおくれていること、それから平成七年度の冬季、平成八年度の夏季、冬季と連続した渇水の影響、あるいは平成十一年度につきましては、七月上旬に水源状況が悪化しまして都民に節水を呼びかけたことなどから、水需要が抑制されたものと思われます。

○東委員 いろいろ条件が出されましたけれども、そうすると、過去十年間で実際に六百万立方メートルを超えた日数というのは何日あったのか。さっき出していただいた資料で見ますと、平成二年、平成四年と、この表では二回になっていますけれども、過去十年間ということになると、どのくらいになりますか。

○甘利経営計画部長 六百万立方メートルを超えた日でございますが、平成二年度に三日、平成四年度に三日、合計六日間でございます。

○東委員 十年間で六日間というお話でしたけれども、さっきいただいた資料を見ても、平成五年から去年まで七年になるわけですけれども、一日もないという状況ですよね。さっきいいましたように、逆に、この表を見ても、ずっと水の需要は下降指向をとっている。この事実から見ても、私たちがこれまでずっと主張してきましたように、東京都がつくっている水道の需給計画というのは過大だということが、はっきりしているんじゃないかというふうに思うんですね。
 その上で、さっき答弁がありましたけれども、東京都の水源量は六百二十三万立方メートルだと。その水源量のうちに、いわゆる不安定水源、まだ安定していない水源の量というのはどれぐらいで、これだけは絶対というか、ほとんど安定しているという量はどれぐらいなのか、それを説明してください。

○甘利経営計画部長 現在の不安定水源でございますけれども、百十九万立方メートルでございます。それから、安定水源量は五百四万立方メートルでございます。しかし、安定水源量の中には、河床の低下により水利権量に見合う取水が困難になっております砧上、下浄水場の水源など、取水の安定性に問題がある、いわゆる課題を抱える水源が含まれております。

○東委員 いろいろ不安定要素があるということだったんですけれども、計画では、たしか十一年度末に北千葉導水路というのが完成するという話を聞いているんです。それができたらどういうことになるのか、その点はどうですか。

○甘利経営計画部長 北千葉導水路の完成に伴いまして、現在、利根大堰で取水しております利根川河口堰分、九十五万立方メートルでございますけれども、この水源を江戸川系の浄水場に振りかえることが必要となります。
 また、この水源の振りかえに伴いまして、効率的な取水を行うため、現在、江戸川で取水している草木ダム開発水などの水源を利根大堰へ振りかえることも必要となります。振りかえによりまして、利根川河口堰開発水は、江戸川系で安定した取水が可能となりますが、利根大堰に振りかえる水源についても、極力安定して取水できるよう、現在、建設省と協議を進めているところでございます。
 この協議が調いますれば、安定水源量は、利根川河口堰分と霞ケ浦開発分が加わり六百十一万立方メートルに、不安定水源量は十二万立方メートルになるものと考えております。

○東委員 それができれば、六百十一万立方メートルのほぼ安定した水源が確保できるというお話でしたけれども、そのほかにも、現在施行中の水源施設がいろいろあるというふうに聞いているんですが、それが全部完成した場合に、水源量というのはどれぐらいになるのか、この点はどうでしょうか。

○甘利経営計画部長 現在施行中である八ッ場ダム、それから戸倉ダム、利根中央事業及び滝沢ダムの新規水源量を、現在の水源量六百二十三万立方メートルに単純に加えますと、六百八十六万立方メートルになります。しかし、現在の水源量の中には、先ほども申し上げました課題を抱える水源八十二万立方メートルが含まれております。

○東委員 全部できると六百八十六万立方メートルになるというお話でしたけれども、さっきちょっと指摘しましたが、これまでの実績や、六百万立方メートルを超えた日数がこの十年間で六日しかなくて、平成五年以降は一日もなかったという実績から見て、都民の水の需要に対する水源の施設というのは、さっき説明があった北千葉導水路の完成によるほぼ安定的な水源で、ほとんど十分じゃないかなというふうに私は思うんですね。
 これ以上の水源の開発というのは、過剰投資としかいいようがないんじゃないかと思うんですが、その上で、水源が確保されたと。それを都民に配水する、いわゆる施設の能力というのはどれぐらいあるんですか。

○甘利経営計画部長 現在の浄水場の施設能力でございますが、日量六百九十六万立方メートルでございます。

○東委員 六百九十六万立方メートルあるということでありますが、そうしますと、施設能力についても、さっきいいました水源についても、需要をはるかに超える能力を持っているといってもいいと思うんですね。
 そういう点から見ますと、ダムをつくったり、導水路を引いたりという非常に大きな仕事ですから、これは当然、莫大な金がかかるわけで、今の需要と供給の関係を見ても、こうした莫大な金のかかる過大な施設整備計画という点については見直して、東京の水道の方向というのは、安全で、しかも質のいい、おいしい水をできるだけ安く供給するという方向に向かうべきだと思うんですね。そういう事業の方向に向かうのが、私は本来のあり方じゃないかというふうに思います。
 しかし、いまだにその方向は、水源開発にしがみついているという状況ですが、今申し上げたおいしくて安い、安全な水を供給するという事業計画に切りかえるという、この点はどうでしょうか。

○甘利経営計画部長 現在保有しております施設能力でございますけれども、その七割以上は昭和四十年代以前に建設された施設でございまして、老朽化等によりまして、本来の施設能力を発揮できないものもございます。安定した給水を行うためには、このような状況を踏まえ、施設の更新、改造に伴う施設能力の低下や、事故時にも対応できるゆとりある施設能力を確保する必要がございます。
 また、今回、水道事業経営プランで計画した事業は、より安全でおいしい水を供給するとともに、平常時はもとより、事故時や震災時にも強い施設を有機的かつ効率的に整備しまして、信頼性の高い送配水システムを構築していくため、いずれも必要不可欠なものと考えております。
 なお、事業実施に当たりましては、新しい事業経営システムの導入や創意工夫を凝らしたコスト縮減など、より効率性を重視した事業経営を行い、量はもとより、質の高い水道サービスを提供することに努めていきたいと考えております。

○東委員 さっきちょっといいましたけれども、そういう大型開発が中心になるーーさっきの計画では、需要がふえるという計画なんですから、それに見合って水源開発を推し進める。しかし、そういう方向じゃなくて、現実はこの十年にわたって下降指向をやっているわけだから、水がふえる、だから水源を開発しなければならないというのは、当然、借金がふえるし、やがて都民の負担がふえるという方向につながっていくと私は思うんですね。
 そういう点で、やっぱり方向は切りかえて、ダム開発は、今、全国的にも世界的にも見直しというのは出ているわけですから、国に対しても、ダム開発の見直しを求めるとともに、都の水道事業についても、この段階で改めて抜本的な見直しを行う必要があるということを、私はここで強調しておきたいと思うんです。
 次に、水道料金の問題について一、二伺っておきたいと思います。
 まず最初に、東京都の水道料金の体系というのはどういうふうになっているのか。そのうち、基本料金だけを払っている人は大体どのぐらいあって、それはどんな人たちなのか、つかんでいたら説明してください。

○石山総務部長 私から、水道料金の体系につきましてお答えを申し上げます。
 都の水道料金でございますが、口径別料金体系でございまして、基本料金と従量料金の二部制を採用してございます。
 なお、従量料金につきましては、生活用水への配慮から、十立方メートルまで料金のかからない基本水量制を設けるとともに、需要抑制の観点から、逓増制をとっております。

○二階堂営業部長 基本料金だけのお客様の割合ということでございますけれども、口径一三ミリから二五ミリまでのいわゆる小口径のお客様のうち、一月当たり使用水量が十立方メートル以下である割合が、平成十年度において約四一・七%ございます。
 そのようなお客様がどういう世帯であるかということにつきましては、水道局で調査は行っておりませんけれども、各種統計資料によりますと、単身者世帯あるいは夫婦のみの世帯が増加しておりまして、主にこうした世帯が該当しているのではないかというふうに考えております。

○東委員 東京都の水道料金の体系が基本料金と従量料金で、その従量料金については逓増制になっているというお話でしたが、基本料金の問題について、たしか十トンだと思うんですね。だから十トンまでは、それ以下はーー仮の話ですけれども、一トンあるいは二トンしか使わなかった人でも、基本料金は納めなければいけないという形態になっていると思うのです。
 この問題について、最近の高齢化あるいは小家族化という状況の中で、日本水道協会が、そういう基本料金について見直しの検討が行われて、一定の提言をされたというふうに聞いているんですけれども、その内容について説明してください。

○石山総務部長 日本水道協会では、平成八年八月、水道料金制度にかかわる諸施策について検討を行うために設置されました水道料金制度調査会におきまして、節水意欲を増進させ、原価配付面での公平性を期する観点から、今後は原則として基本水量制をとらないものとする、こういった答申を出しております。
 また、その答申を受けまして、同協会は、平成九年十月に水道料金算定要領を改定したところでございますが、基本水量制は多くの事業体で採用しており、社会的にも定着していることから、同要領の中では、基本水量を付与する料金は、料金の激変を招かないよう漸進的に解消するものとし、経過的に存置することはやむを得ない、このようにいっております。

○東委員 今ご説明がありましたけれども、とにかく水道協会では、今後は原則として基本水量制をとらないこととするということをはっきり打ち出した上で、しかし、いきなりはできないので、経過的に存置することはやむを得ないということをいっています。つまり、基本料金制はとらないという方向が日本水道協会の方向だということは、これを見てもはっきりしていると思うんですね。
 最後に局長に伺いたいと思いますが、今もお話があったように、いわゆる使用料、つまり基本料金を払っている人の割合は全体の四一%と。四割の人が基本料金以下の人だということだと思うんですね。そしてその人たちは、ひとり暮らしの人だとか、高齢者世帯の人たちだというお話もありましたが、ご存じのように、今の不況の中で、高齢者の生活は本当に大変になってきているし、また、ことしから来年にかけては、例えば介護保険料なんていって、私の江東区なんかは、一人当たり三千五百円払わなければならぬという形で、いろんな負担がかかってきているという状況もあるわけですよね。
 そして、料金問題では、さっきご報告があったように、決議で、おふろ屋さんだとか、幾つかの水をたくさん使う企業については減免措置をとるということも決まりました。それから、水道局が持っている計画で、あと四年間は水道料金の全体としての値上げはしないということもはっきりしているわけですから、この際、こうした日本水道協会の方針にのっとって、そういう方々の料金を引き下げる方向で検討すべきだ、ぜひそうしていただきたいということを申し上げたいと思うんですが、局長、どうでしょう。

○赤川水道局長 都の水道料金は、今るる説明してきましたように、いわゆる個別原価主義に基づきまして算定しております。確かに、基本料金の問題につきましては、いろいろの角度から意見がございまして、節水のインセンティブが働かないじゃないか、そういう意見があるのは存じております。しかしながら、今の体系は、総合的に節水型料金体系をつくっているのが実態でございます。
 ところで、今ご指摘がありましたように、高齢者だとか、そういう問題があるから料金体系はというのは、決議だとか別な面で、条例の生活保護世帯等にやっておりますので、私どもは、その考えで料金体系を変えるというのは、ちょっとなじまないとは思います。
 しかしながら、料金体系が時代とともに変化していくというのは事実でございます。節水のためじゃなくて、基本料金を採用したというのは、もう明治の時代から、水道が入るために、伝染病の予防その他のために、これだけはないと、ある程度は必要だと、それで入ってきたという経過がございます。
 そういういろいろな経過がございますが、今後とも、より合理的な体系を模索していくというのは当然のことでございますので、あらゆる角度から、ご指摘の点も含めまして、今後幅広く検討してまいります。

○織田委員 水道局では、今回、経営プラン二〇〇〇を出されまして、現行の料金水準を、さらに平成十五年まで四年間、平成六年からずっと変わっていないわけですから、通算でいうと十年間据え置くという意思であります。そのことについては大変評価をするわけでありますが、そのためには、より一層の効率的な事業運営といいますか、収支の改善といいますか、そういったことに努めていかなければならないわけです。
 この計画を見せていただきますと、PFIの適用拡大であるとか、環境会計の導入であるとか、そういった経営手法の多様化、あるいは最大限の企業努力というような形で、幾つかの項目が挙がっております。内部努力であるとか、既定コストの削減といったもの、あるいは未利用地の売却等による収入の確保、資産活用、ありとあらゆる手法、また取り組みを通じて、水道局の事業というものが円滑にいくように努めていかなければならないわけでありますが、私は、その中で、やはり民間でできるものは民間に任せるということが大変重要になってきているだろうと思います。
 それは時代、社会の変化に対応していくという面でも、推し進めていかなければならないというふうに思うわけでありますが、その中で、我が党がかねてより主張しておりました支給材制度の問題がございます。
 この支給材制度につきましては、材料の安定供給だとか、品質、規格の確保、あるいは価格の低廉化等、いろんなメリットがある、こういわれてまいりました。確かに、この制度ができ上がった当初は、大いにそれが活用され、役立ったとは思うわけでありますけれども、現在はどうかというと、状況が大いに変わってきているわけであります。ですから、東京都みたいな大規模なところでは、まだこの制度を採用しているところはあるわけですけれども、そうでない事業体、市というようなところでは、そういう制度をもうやめてしまったところも多いわけであります。
 したがいまして、この点について、私は、現在改めて、この支給材制度の本来持ち得るべきメリット、それが導入されたときに期待されるべき効果というものがどういうものであったのか、まず、おさらいの意味でお尋ねをしたいと思います。

○愛甲経理部長 お尋ねの支給材制度とは、配水管布設等の工事に際しまして、当局が工事用材料を一括して購入して準備し、これを工事請負者に支給し、使用させる制度でございます。
 この制度では、材料の安定的供給が確保されること、品質及び規格の確保が容易であること、一括購入による価格の低廉化が図られること、工事の円滑な施工が可能となること及び突発事故や震災時の迅速な対応が可能になるなどのメリットがあると、これまで当局では、長年にわたりこの制度を採用してきたところでございます。

○織田委員 今、五点お伺いをしました。私は、このうち三点、四点ぐらいは、既に民間でも十分できるものだというふうに認識をしております。
 そういう制度をとるということでありますから、そのためには在庫をたくさん抱えるということになるわけですね。それが支給材制度ということになるわけですが、こうしたものについては、広い材料置き場が本当に必要になってくる、あるいはまた、在庫を管理するために従業員が配置をされなければならないというようなこともあるわけですね。そういう面で、さまざまなデメリットがあるということを指摘してきたわけでありますけれども、水道局も、特にこの点について改善がされなかったというわけではないというふうに伺っております。
 しかしながら、在庫を管理するということは非常にお金のかかることでありまして、今、トヨタ自動車が有名になりましたけれども、かんばん方式というのをつくったのは、在庫をなくすということでありますから、こういう企業、あるいはまた事業の経営の効率化ということについては、在庫管理というものを縮減していくというのは、非常に大きな効果があるわけですね。
 こういうようなことを踏まえて、平成十年度に、水道局の方では一定の改善を行ったと聞いておりますが、その内容はどんなものでありましょうか。

○愛甲経理部長 平成十年度におきます改善内容でございますが、当局における工事用材料のうち、多摩水道対策本部施行の配水小管工事に使用する材料などを支給材料から除きまして、工事請負者持ち方式に移行したところでございます。
 あわせまして、材料管理の電算システムの見直しによる材料調達、請求事務の簡素化、材料置き場での受け払い業務、在庫管理業務の民間委託、材料置き場の整理統合を実施したところでございます。

○織田委員 今、四点ほどお挙げになりました。多摩水道対策本部施行の配水小管工事用材料を支給材料から除外をしてやりましたという点、あるいは事務手続の簡素化、材料置き場等での、いわゆる民間委託というようなものもやりました。それから、材料置き場の整理統合というようなこともやりました。
 改善をするということになったわけですが、この改善の結果、現在の材料置き場の箇所数、面積、材料事務に直接従事する職員数、人件費、それから材料の購入額、現在の保有額といいますか、そういった在庫面での数値はどのようになっておりますでしょうか。

○愛甲経理部長 現在の材料置き場は七カ所、面積約九万二千平方メートルでございます。また、材料事務に直接従事する職員は三十名、人件費は約二億九千万円でございます。また、支給材料の購入額は平成十年度で約八十二億円、保有高は直近の本年二月末現在で約三十六億円でございます。

○織田委員 平成七年度のデータを見ますと、人件費でいいますと、八億二千七百二十五万かかっております。そのときの職員数が七十五人、それから嘱託員が三十五人、材料置き場については、たしか二十二、三カ所というお話を伺っております。
 その意味からいいますと、材料置き場が七カ所になったということは、かなり少なくはなっているわけでありますし、あるいは職員数は七十五人から三十人ということで、半分ぐらいになっている。それから、嘱託員がなくなっている。外部委託をされたというようなことで、数値の面から見ると、かなり進んだのかなと思いますけれども、購入額あるいは保有額を見ますと、平成十年度決算で八十二億円購入をし、そして年度でそのまま工事に使っていくものをどんどん回していく。現在、直近で三十六億円分の材料が東京都の方で持っている、こういうことでありますから、私はこの辺のところについては、まだまだ検討の余地があるというふうに、今考えているところであります。
 平成十年度に、一部の材料について工事の請負者の方に用意をさせて、工事をさせるというふうにしたわけでありますけれども、この制度を維持するために、なお九万二千平方メートルの土地や、あるいは職員が必要であるというようなことになるわけですね。これはまだまだと思います。
 私は、そういう意味では、存廃も含めて支給材制度について見直しをするべきだと思っておりますが、この点について、今どういう検討状況というか、お考えというか、現状はどうなっているんでしょうか。

○愛甲経理部長 支給材料制度に関する検討状況につきましてでございますが、平成十年十月に、局内に技監を委員長とする支給材料制度検討委員会を設置いたしまして、制度のあり方を多角的に検討することといたしました。そして、昨年五月に第一次報告を行いまして、現行の支給材料制度にかわるものとして、工事請負者持ち方式が有力であるといたしました。
 これに基づきまして、当局では、今年度に工事請負者持ち方式の試行を行い、制度移行に伴うさまざまな課題と対応策について、現在検討しているところでございます。

○織田委員 今、試行を行っているということでございますけれども、確かに、長年続けてきた制度ですから、いろいろな面でご検討なさるのは当然だろうと思います。
 そこで伺いますけれども、現在の支給材制度から工事請負者持ち方式に移行する場合に検討する内容、どういう点にーー要するに、検討してプラス面が見出されるのか、現状で大丈夫なのか。本来の趣旨が持っている役割というのものを、請負者持ち方式に変えて大丈夫だというような形での検討をしなきゃならないと思うんですが、具体的にはどういった課題、どういったことに対して検討を進めているんでしょうか。そのテーマについてはどうでしょうか。

○愛甲経理部長 工事請負者持ち方式に移行する場合の課題でございますけれども、大きく五点ほどが挙げられるかと存じます。
 まず第一には、工事請負者が円滑に材料を確保できる体制が整えられるかどうかという点。第二に、水道工事において、施工時に材料が不足したり余ったりした場合の対応策。特に、不足した場合でございますが、適正かつ迅速な工事施工体制が確保できるかという点。第三には、材料の品質、規格の水準を確保するための検査のあり方の問題。第四に、材料購入価格の動向、それから工事費への影響など費用対効果の検証。それから、第五でございますけれども、震災や漏水事故等、緊急時の復旧材料の確保をどのように行うかという点でございます。

○織田委員 今お話を伺っていましても、当初から問題になっていることがそのまま問題になっていて、検討することも同じ角度からの検討なわけですね。ですから、私は、検討の話の進み方が非常に遅いんではないかというふうに思うわけであります。材料供給体制の確保といいましても、今の世の中に材料予算があって、それで向こうの工事者がそこから材料を仕入れてやるということは、これはごく当たり前の話になってきているわけでありまして、そこでそごが起こるかどうかというのは、今の時点、今の世の中、考えられないことだろうと思います。
 それからもう一つ、震災とか、そういったものについては、一考の余地があると思います。一時期に急激にさまざまな不都合がたくさんのところで起こってくる。要するに、需給というのが非常に逼迫をしてくるようなことになれば、それは大変だろうと思いますが、震災というのは、日本全土が全部やられちゃうというようなケースはないわけで、神戸の震災のときでも、そういった面は十分にクリアできたんだろうと思います。
 大都市がほかにないわけじゃありませんし、融通がきくということは当たり前の話ですから、ある意味でいうと、早急に検討を進めてもらいたいと思うんですが、この検討会の中で、どの程度検討が進んでいるんですか。
 テーマはわかりました。今、ごくごく普通のテーマであろうと思いますし、私は、これは早急に結論を出していただかなければならないような時期なのかなと思っていますが、局内に設けられた検討委員会で、どの程度検討が進んでいるんでしょうか、その状況を教えてください。

○愛甲経理部長 昨年五月の第一次報告を受けまして、今年度に着手する工事のうち、二十五件ほど工事請負者持ち方式による試行を実施いたしました。
 この試行案件には、現在なお施行中のものもございまして、工事進捗に合わせましてデータを収集し、早急に検証結果を取りまとめる予定でございます。
 また、先生ただいまおっしゃいました震災、漏水事故等、緊急時の材料取り扱い、またこの試行とは別に、検討すべき事項についても、現在検討を重ねているところでございます。

○織田委員 今、二十五件の工事について試行を実施している。これは全部は終わっていないと思うんですけれども、一部については終わっているんだろうと思うんです。
 そこで、試行案件のデータを収集をして、検証の作業を進めているところだということなんですけれども、例えば材料供給体制の確保だとか、そういった工事施工体制がちゃんとできるかどうかとか、品質、規格の確保といった問題等、あるいはまた材料価格というものでは、どのような形になっているんでしょうか。要するに、具体的にどうなっているんでしょうか。
 そういったことについては大体クリアできるな、そういう感触が私は得られていると思うんですが、その辺のところはいかがですか。

○愛甲経理部長 試行案件の検証の実施状況でございますが、本年二月末現在の、工事着手している試行案件について、データを収集いたしました。
 まず第一に、材料はすべての工事請負者が販売店から一括して購入しており、販売店の供給体制がほぼ整備されているというふうに見受けられます。
 第二に、施工時において予定外の材料が必要となった場合がございまして、ほとんどは販売店から調達して対応しておりますが、夜間等においても迅速に調達できるかどうか、さらに検証する必要があろうかと考えております。
 第三に、材料検査においては、現在のところ、材料の不合格品というものは発生しておりません。検査のあり方について、引き続き検討していく必要がございます。
 第四に、工事請負者の購入価格が、当局の支給材料購入価格よりも上昇しております。材料費の工事費への影響を含めまして、全体としての費用対効果にどのような影響があるか、こういったものを確認する必要があろうかと考えております。
 現在施工中の案件も多いことから、今後、より詳細なデータを収集いたしまして、検証を深めていきたいと考えております。
 それから、震災復旧や漏水修理等の緊急用材料につきましては、支給材制度においては、貯蔵品として備蓄しているわけでございますが、今度、方式が変わった場合でも、確実に調達しなければならないということから、現在、震災予防計画におきます被害想定に合わせて、最低限度必要な材料、緊急時に確保すべき範囲やその管理体制などについて、検討しているというところでございます。

○織田委員 今お話を伺いますと、大体予測の範囲かなというふうに思うわけであります。やはり競争状態というものをきちんと起こしていくことが、こういうような場合に最も大事なことだろうと思います。
 そういう意味では、例えば材料の価格等についても、適正な競争状態の中から、ある一定程度の価格に収れんをしていくということはあり得るべきことで、それは必要なことだと思いますし、そういう意味でも、支給材制度を早急に見直していただかなければならないと思います。
 それから、震災等の対応についても、例えば副食品、お漬物なんかは、流通段階の中で都が契約をしてストックを調達するというような方法もあるわけですし、あるいはサービスなんかについても、タクシー会社等々と契約なり、あらかじめお願いをしておいて対応するというような方法もあるわけでありますから、そこは幅広くお考えになっていただきたいというふうに思うわけであります。
 最後に、水道事業経営プラン二〇〇〇を発表して、今後、事業を進められようとしているわけですけれども、こういうご時世ですから、社会経済状況の変化に対応していかなければならない。その一つとしての支給材制度の抜本的な見直しを、私は行うべきであるというふうに考えます。工事請負者持ち方式への移行の見通しも含めて、実は早期にやってもらいたいわけですが、局長の決意をお伺いしたいと思います。

○赤川水道局長 新しい世紀に向けまして、量はもとより、質の高い水道サービスを低廉な価格で提供していくためには、新たな事業経営システムの購入や創意工夫を凝らしたコスト縮減など、これまでの考え方の枠を超えた、今まで先生るるおっしゃいました、より効率的な事業運営が必要であります。その一つでございますが、支給材制度の見直しも、そうした考え方で進めていく必要があります。
 見直しに当たりましては、現在、原則として、工事請負者持ち方式とする方向で検討しておりまして、工事の円滑な施行の確保をまず最優先にいたしまして、あわせて、経済性や震災等の緊急時の対応などを見きわめた上、できるだけ早く成案を得たいと考えております。

○嶋田委員 私も、一月二十一日に平成十二年度の予算原案を発表したときに、あわせて公表いたしました水道事業経営プラン二〇〇〇について、特に一つとして、都民生活に密着したサービスの推進、二つ目に、適正な事業運営等について伺っていきたいと思います。
 水道局では、今後の財政の安定化を目指して、これまで以上に効率性を重視した平成十二年度から平成十五年度までの事業運営計画、水道事業経営プラン二〇〇〇を策定したところであります。公営企業として、より効率的な事業運営を行って、特に平成六年度に改定した料金の水準を十年間維持するという基本的な考え方で、このプランができているわけでありますけれども、まず、料金値上げを見送ったということについては評価をするところでもあります。
 しかし、私も一都民として、効率化を目指す余り、都民サービスの低下を招くことがないのか、あるいは適正な事業運営が確保されていくのか、こうしたことが若干懸念されます。
 水道事業のサービスは、まず安定給水が第一でありますけれども、私は、都民ニーズを踏まえた施策の具体的な推進も、極めて重要と考えておるところであります。
 これまで水道局では、平成十年度にコンビニ収納の導入とか、あるいは平成十一年度には、土曜、日曜日の中止清算の実施など、都民の利便性を考慮したサービスについて展開をしてきているところでありますけれども、こうした都民に対しての身近なサービスを行っていくために、まず第一に、都民の皆さんのニーズの把握が重要と考えるところであります。
 そこで伺いますけれども、都民が一体どのようなことを水道に求めているのか、この点、どのように把握をしているのか、まず伺っておきたいと思います。

○石山総務部長 都民のニーズをどのように把握しているかというお尋ねでございますが、水道局では、水道事業に対します評価や要望を的確に把握いたしまして、そのニーズに対応した事業運営や質の高いサービスを提供していくために、そういった基礎資料を得るということから、昨年七月から九月にかけまして、一般家庭三千件を対象にいたしまして、水道事業に対するお客さま満足度調査を実施したところでございます。
 水道局では、その調査項目の一つに、水道水について重要と思う順番をお尋ねいたしましたところ、第一に安全性、第二に断水がないこと、第三においしさの順でございました。
 また、水道局に教えてもらいたいこと、または調べてもらいたいことは何かということでございますが、上位から水質の安全性、地震等で断水したときの対応、水道管の漏水等のチェックの順になっております。

○嶋田委員 今答弁がありました水道局に具体的に期待することは、今度のプラン二〇〇〇ではどのように反映しているのか、伺いたいと思います。

○石山総務部長 今回策定いたしました水道事業経営プラン二〇〇〇では、都民生活と首都東京の都市生活を支えます、新しい世紀にふさわしい東京水道をつくり上げていくために、あるいはもとより質の高い水道サービスの提供を目指しております。
 その中で、水道施設につきましては、安全でおいしい水を安定的に供給することを基本といたしまして、着実に整備していくこととしております。
 また、都民生活に密着したサービスを推進することにつきまして、平成十二年度から平成十四年度までの間に、約五百五十三万件の一般家庭等を対象に、委託のほか全職員も直接訪問して実施します水道フレッシュ診断を初め、新徴収システムの稼働や、スポーツ公園として給水場上部を提供する施設の開放促進など、都民ニーズに即応したサービスを実施していくこととしております。

○嶋田委員 一般家庭で五百五十三万件ですか。資料によると、五百三十四万件という資料もあるし、五百五十三万件とどっちが正しいのか、後で教えてください。
 そういうようなことを中心として、今度はフレッシュ診断をするわけですよね。このフレッシュ診断の調査の内容を、もう少し具体的にご説明をいただきたいと思います。

○二階堂営業部長 水道フレッシュ診断の具体的な実施内容でありますが、まず、一般家庭等を対象としまして、水質、漏水、給水管の調査及び小修繕等のサービスを提供いたしますとともに、水道に対する意識、要望、水の使用状況等に関するアンケート調査のほか、漏水発見方法や節水方法などのすぐに役立つ水道情報を含む小冊子の配布を行います。
 また、有効容量が十立方メートル以下である小規模受水タンクの管理者を対象といたしまして、受水タンクの管理状況や水質、漏水、給水管を調査いたしますとともに、増圧直結給水方式のPR等を内容としますリーフレットの配布を行うものであります。

○嶋田委員 全需要家といってもいいと思いますけれども、そこをご訪問してフレッシュ診断をやるわけでありますが、きちんと水道局のユニホームを着て、水道局と名乗ってやるんでしょうか。具体的にはどういうふうにやるんでしょうか。

○二階堂営業部長 近年、お客様宅を訪問し、水道局の職員を装いまして料金を詐取するなどの悪質業者等も増加しておりますので、今回の調査に当たりましては、事前PRを徹底したり、あるいはユニホームをつくりまして服装を統一し、そのような悪質業者とは明確に区別できるような形で実施したいと考えております。

○嶋田委員 この診断は、都民のニーズを踏まえて、三年間の期間をかけて、水道をお使いになっている需要家ほとんどを診断をするということで、水道局の大きな意気込みがわかるわけでありますけれども、大切なことは、フレッシュ診断の調査内容の結果をどう生かすかということだと私は思うわけであります。
 ここで得られました調査結果をどのような形で生かしていくのか、伺っておきたいと思います。

○石山総務部長 先ほども申し上げましたとおり、水道フレッシュ診断は、東京水道を利用しておりますお客様ほぼ全数を対象としておりますことから、この調査の実施によりまして、給水装置の現状などさまざまな情報を得ることができるとともに、多様な都民ニーズを把握することが可能でございます。
 水道局といたしましては、この調査結果の分析を十分に行いまして、的確なニーズの把握に努め、より生活に密着したサービスの向上を図るとともに、今後の局事業運営に着実に反映させてまいりたい、このように考えております。
 それから、先ほど私の答弁で、対象五百五十三万件と申し上げました。これにつきましては、いわゆる大規模使用者を除くすべての一般の水道使用者の方五百三十四万人、それから小規模受水タンクの管理者の方約十九万件を足しまして、五百五十三万件と申し上げたところでございます。

○嶋田委員 先ほどのご答弁では、十トン以下、十立米以下の小規模の受水タンクについても、今回の調査の対象としているわけであります。
 この小規模受水タンクは、現在、水道法の対象外であるわけでありますけれども、都民の方々は、蛇口から出る水は同じでありますから、何かあったら水道局というような感覚が一般的でもあります。今回、思い切って、十トン以下の小規模受水タンクについて調査をするということについては、私も大変評価をするところであります。
 小規模受水タンクは、今後、水道局の守備範囲として、具体的に面倒を見るわけでありますけれども、手を差し伸べていくというんでしょうか、局長もよく、せっかくおいしい水をつくっても、途中の設備があって味が落ちては困るというようなこともいっていらっしゃるわけであります。
 この辺のところについて、もう少し具体的に、どういうような形でかかわっていくのか、局長の基本的な考え方を伺っておきたいと思います。

○赤川水道局長 都内には、今申し上げましたように、約十九万件の小規模受水タンクがございまして、これは法の適用外になっておりますが、その利用者は東京都の水道局から水の供給を受けております。
 ただいまご指摘のとおり、小規模受水タンクについては、規制を受けない装置のため、当局の水質管理の範囲外でございますが、給水設備の衛生管理面につきましては、現在でも小規模給水施設の衛生管理指導要綱というのがございます。これによりまして、衛生行政部門が、当該施設の管理者の協力のもとに指導を行っているのが現状でございましてーーこの現状が、必ずしも十分な管理状況にはなっていないんです。そういうことで、せっかく、安全だけではなくて、おいしい水をつくっても、中には、タンクの管理がよくないために、まずいだとか、濁っているだとか、そういうものが出るのが現状でございます。
 したがいまして、そういうものを踏まえまして、水道局としては、水道事業者として、小規模受水タンク以下の給水設備の衛生管理の向上につきまして、フレッシュ診断の結果、あるいは国及び他都市や水道関係機関等の動向も踏まえまして、そのあり方について幅広く検討してまいりたいと思います。
 先ほども出ましたけれども、日本水道協会というのは、全国の大きいところから小さいところまでありまして、そういう会議に出ましても、私らは積極的に、今後は、蛇口から出るのは、都民の皆さん、市民の皆さんは水道の水だと、そのように考えているのは事実でございますので、幅広くそういうのに踏み込もうという意見もあるんですが、自治体の中にはいろいろの考えがございまして、そこまでやると、我々の自治体では水道料金を相当上げなければだめだとか、あるいはいろいろの問題があるという、いろいろな議論があることは事実でございますが、大きな方向としては、先生ご指摘の方向に動いているのは事実でございます。

○嶋田委員 この辺のところ、もう少し聞きたいんですけれども、受水タンクがあって、タンクには水が入っているわけでありますから、オーバーフローもしなくて入れかえができない。したがって、蛇口から出して飲む、それでまた補給されるということですから、新陳代謝が本当に少ないですよね。
 今度のフレッシュ診断の中では、例えばダイレクトに増圧直結給水が可能であれば、そういう方向に転換するのか、あるいはタンクの維持管理をどうしたら水がおいしくなるのか、この辺のところはどういうような見通しでもって考えているんでしょうか。わかったら教えてください。

○二階堂営業部長 今回のフレッシュ診断におきましては、当然、先ほど局長の答弁にもありましたように、おいしい水を飲んでいただくための直結給水あるいは増圧直結給水のPR等もいたしますけれども、何分費用もかかりますので、診断の結果、即直結給水までにいくこと、もちろん我々は期待しておりますけれども、なかなかすぐにはまいらないのではないかと。しかし、おいしい水を飲んでいただくためにも、積極的なPRはしていきたいというふうに考えております。

○嶋田委員 ぜひとも積極的に、おいしい水が飲めますよというようなことを中心として、フレッシュ診断をしていただきたいと思います。
 水道のフレッシュ診断そのものが、水道局の職員と水道を使う都民の皆さんが直接触れ合う、本当に唯一の機会だと思います。したがって、都民と水道局との距離が近くなって、お互いの顔が見える身近な都民サービスの実現ができるんじゃないかと思うわけであります。したがって、漏水などの調査とあわせて、都民ニーズをしっかりと把握することは、プランの目的であります効率的な事業運営にもつながり、大変意義深いことだと私は思います。
 先ほど水道局長もいったとおり、小規模受水タンクについても、もっと手を差し伸べていきたいということでありますから、こうしたことについては、都民の皆さんにしっかりと積極的にアピールをしていただきたいというふうに考えます。
 次に、適正な事業運営について伺っていきたいと思います。
 水道事業には膨大な事業費がかかっているだけに、財政の安定化のみに気をとられて、事業内容の精査を後回しにすることはないか、気にかかるところであります。住民福祉の向上を目的とする水道事業として、必要な水道サービスを行って、また不要な事業、非効率、不合理な事業運営を行わないように、確かな事業目標を立てて、絶えず事業評価をしながら適正な事業運営を行っているのか、以下、数点伺っておきたいと思います。
 まず最初に、このプランによりますと、事業の効率性の向上、職員一人当たりの指標が具体的にあります。それから、職員給与比率、自己資本構成比率なんかの財政基盤強化の問題が二つ目、それから、安定水源の確保率、漏水率等の施設整備長期目標に関して、トータルで十二項目の事業目標を数値化しているわけであります。
 しかし、水道事業の事業費は、例えば主要施設整備だけでも年間九百五十億円と大きな金額が計上されているわけでありまして、十二の事業目標で適正な事業運営の指標として本当に足りるのか、どのような考え方でこの十二を設定したのか、伺っておきたいと思います。

○石山総務部長 事業目標の設定に当たりましては、さまざまな角度から、事業内容の達成度を示す各種項目につきまして内部検討いたしましたが、都民にわかりやすく、また的確に事業の状況をあらわすことができるという観点から選択をいたしまして、経営に関する項目を六、施設整備に関する項目を六、合計十二の事業目標に絞ったところでございます。
 当局といたしましては、事業目標の数値化は初めての試みでございまして、今後、水道フレッシュ診断のほか、さまざまな機会を利用いたしまして、都民ニーズの把握に努めまして、より効果的な事業運営に向けて検討してまいりたいと考えております。

○嶋田委員 次に、このプランの事業目標は、水道事業の現時点、すなわち平成十一年度、それから四年後の十五年度、あるいは施設整備については十一年度と平成二十一年度、十年後の比較ということになっているわけであります。
 他の事業体との比較もできるような客観的な目標も、私は設定すべきじゃないかと思うわけでありますけれども、いかがでしょうか、お答えいただきたいと思います。

○石山総務部長 現在、事業目標を設定しております水道事業体でございますが、私どもが把握している限り、一部の事業体にすぎません。
 東京水道につきましては、他に比べまして、極めてその規模が大きいという特性のほかに、水源状況、施設規模などの諸条件が各事業体ごとに異なるため、同一指標をもって客観的に比較することはなかなか難しいという面がございます。
 しかしながら、その重要性につきましては認識をしておりまして、今後、比較可能な客観的目標の策定方法につきまして、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。

○嶋田委員 ぜひとも、今後の比較のあり方について、引き続きあわせて検討ができるようなご検討をいただきたいと思います。
 次に、行政の事業目標をわかりやすく都民の皆さんに明示するということも、大切なことだと思います。都の水道局ではいち早く取り組んで、具体的な課題はまだ少しあるようですけれども、その積極的なご努力に敬意を申し上げたいと思います。
 しかし、立派な目標を掲げましたけれども、実際に掲げただけでとどまらないように、常にフィードバックして、事業の状況を管理し、あるいは事業に反映をさせていく、評価をする、こういうようなサイクルが必要だと思うわけでありますけれども、この点についてどう取り組んでいるのか、今後どうやっていくのか、伺っておきたいと思います。

○甘利経営計画部長 ご指摘いただきましたとおり、事業内容を評価し、その結果をフィードバックして事業に反映していくことは、大変重要と考えております。このようなことから、当局では、国庫補助を受けて実施する一定の要件の事業につきまして、今年度、事業評価を実施いたしました。
 具体的には、八ッ場ダムなどの水源開発施設整備事業と一般広域化施設整備事業の計五事業の事業評価を実施いたしました。
 また、評価に当たりましては、学識経験者等で構成いたします東京都水道局事業評価委員会から意見及び助言を聴取し、評価の客観性を確保するとともに、対応方針を決定する際の参考といたしました。

○嶋田委員 水道局では、既に事業評価委員会を設置して、第三者の意見を聴取して、みずからの評価に客観性を図る事業評価は、私はよいことだと思います。
 既に国庫補助金が交付されている事業について、費用対効果の問題とか、あるいは第三者からの意見を踏まえて評価するというような形が始まっているわけであります。ところで、こういう評価の問題が自己満足にならないように、評価は当然のこと、その過程についても都民の皆さんに公表するということも、プロセスとしては大切だと思いますので、この辺に関して、事業評価委員会を設置していろいろやっていることについて、どう具体的に都民の皆さんにわかりやすくしていくのか、教えてください。

○甘利経営計画部長 その過程等につきまして、都民に公表する件でございますが、東京都水道局事業評価委員会につきましては、その設置及び会議の開催を事前に公表いたしますとともに、会議は公開で実施いたしました。さらに、意見及び助言の内容につきましても、公表をしたところでございます。
 また、この評価委員会の意見及び助言を踏まえて決定しました事業評価の結果及び対応方針につきましても、速やかに公表したところでございます。

○嶋田委員 このような試みは大変よいことだと私も思います。今後は、評価対象の事業の拡大、さらには事業全般にわたる評価制度の導入、事業執行の効率性、効果性、透明性というものを具体的に確保してほしいと思いますし、都民の皆さんに対して、水道局が説明責任を十分果たしていくことも大切だと思うわけであります。
 最後に、この点について局長のお考えを伺って、質問を終わりたいと思います。

○赤川水道局長 水道事業全体への事業評価制度の導入につきましては、今後とも、国の動向あるいは都の試行する行政評価の手法、これらを参考にしながら、今回の事業評価の検証等を踏まえながら、そのあり方、対象事業の選定、効果的な評価方法の確立等を含めまして、幅広く検討してまいります。

○藤田委員 今、水道事業経営プランについてやりとりがあったわけですが、私もこの点に課題を絞って幾つかお尋ねします。それは、申し上げるまでもないんですけれども、現在我々が審議をしている平成十二年度予算が、このプランに基づいて提案されているということを重視するからであります。
 そこで、予算審議の前提として、今申し上げましたようなことを踏まえて、幾つかお尋ねしますけれども、その質問の前提でございますので、まず現行の三カ年計画の妥当性を検証する必要があるだろう、こう思いますので、現行三カ年計画のことについて、多少踏み込んでお聞きいたします。
 まずお尋ねしたいのは、現在の料金は平成六年に改定された。たしか一六%の値上げだったと思います。おさらいのようで恐縮ですが、この際、改めて改定の主な理由をご説明いただきます。

○石山総務部長 先生ご指摘のとおり、平成六年に平均改定率一六・一%の水道料金の改定を行っております。
 お尋ねの改定の理由でございますが、事業経費の増加等によります支出の増加、料金収入の伸び悩みといった厳しい財政状況の中で、可能な限りの企業努力を行っても、なおも収支の不足が見込まれたということによるものでございます。

○藤田委員 後で、今ご答弁があった事業経費の増加、企業努力に関連する別な観点の質問をする魂胆がございますので、今の答弁に重ねてお尋ねして相済みませんが、事業経費の増加という答弁がありましたが、事業経費の増加理由を、もうちょっと丁寧に説明していただけませんか。

○石山総務部長 事業経費の主な増加理由でございますが、諸物価の上昇ですとか、ダム適地の希少化や、水源地対策の困難さなどによります水源開発経費の増加ですとか、労務単価の上昇、埋設物のふくそうなど工事施行環境変化によります管工事単価の上昇、また、高度浄水施設の建設推進や水質管理及び監視体制の強化など、水質対策経費の増加などが挙げられるかと思います。

○藤田委員 現行の三カ年計画を俎上にのっけて、平成六年に一六%の値上げを提案した主な理由を復習のようにお聞きしましたのは、実は平成十年に策定した三カ年計画では料金を据え置いた。これは、一六%の値上げのときに強調した事業経費の増加による資金不足、今ご説明がありましたように、諸物価の上昇、水源開発経費の増加、管工事単価の上昇、水質対策経費の増加、こういうものは余り心配しないでもいいと、こういうことですか。

○石山総務部長 水道事業三カ年計画におきましては、厳しい財政状況の中ではありましたが、安心できる水道の構築を目指しまして、安定水源の確保ですとか、震災対策、また高度浄水などの施設整備事業を進めるとともに、コンビニエンスストアでの料金収納などの生活に密着いたしましたサービスの推進を図りました。
 このため、平成十一年度末に累積収支不足額が三百二十六億円見込まれましたが、職員定数ですとか、水道業務手当の削減などの徹底した内部努力、また工事コストや諸経費の縮減、さらには未利用地売却などによります収入確保など、最大限の企業努力を行うことで収支均衡を図りまして、料金水準を維持したものでございます。

○藤田委員 僕はこのことを重ねて聞くのは、上げるときは上げるときの理由をいって、据え置くときは、上げるときにいった理由をやや薄目に強調することによって、しばらくは大丈夫なんだと。しかし結果として、もうちょっと先に行ったら、大丈夫だと思ったけれども、それは大丈夫じゃなかった、こういうことで、左のポケットと右のポケットを使い分けられちゃうんじゃ困りますよという思いがあるものだから、重ねて聞いている。
 今の答弁を平たくいえば、必要な事業経費が見込まれれば資金が不足する、その資金不足を企業努力で埋める、埋め切れなければ料金改定だ、埋めることができれば改定も見送りだ、こういうサイクルで物を考えてきたんだということに尽きると思うんですよ。
 そこで私は、左のポケットと右のポケットを使い分けてもらっちゃ困るんだという思いを、さらに財政状況に触れてちょっと確かめておきたいんですが、平成六年の料金改定時と現在の財政収支状況はどうなっていますか。

○石山総務部長 平成六年と今日との比較でございますが、平成六年度の料金改定時におきます財政収支状況は、直近の平成五年度末の累積収支過不足額で百八十二億円の累積赤字でございました。これに対しまして、今回の水道事業経営プラン二〇〇〇(案)では、平成十一年度末で八十九億円の累積剰余の見込みでございまして、財政収支の状況は異なっているということがいえると思います。

○藤田委員 本来なら、この時期に多少の値上げを提案したいところ、ぐっと努力をして、何とか持ちこたえて値上げをしないようにしようという努力は、大したものですよ。これは大変な努力だと思うのです。僕はそう思う。
 しかし、そうは思いながら、ちょっと辛らつなことをいって恐縮なんですが、料金改定の折は、百八十二億円の累積赤字ということを強調したんですよ、あなた方は。ところが、平成十一年度末は八十九億円の累積剰余、黒字だといっている。ところが、百八十二億円の累積赤字を強調して料金値上げを提案したころの収支見通しの計画では、少なくとも平成十年、そのときの計画の最終年度が十年度であるか十一年度であったかはちょっと忘れましたけれども、しかし、少なくとも八十九億円の累積黒字が生ずるなんていう見通しはいっていないんですよ。
 何でこんなに一晩のうちに変わるのといったら、当時、赤川ーー局長さんだったか、総務部長か忘れましたけれども、そんなにへらへらへらと勘定して黒字にしたわけじゃないんだ、それはそれで血のにじむような努力をしたんだから、そこのところを見てくれなければ困るなんて、私はえらく怒られまして、そのやりとりを思い起こしているんですけれども、厳しい、厳しいといいながら、不思議なことは、その後の黒字の発表なんです。
 なぜ計画以上に収支が好転したんですか。

○石山総務部長 なぜ計画以上に収支が好転したのかということでございます。確かに、先生お話しのとおり、三カ年計画では、三カ年で収支均衡を図るということでスタートしたわけでございます。
 その主な理由でございますが、第一に、私ども事業を推進するに当たりまして、創意工夫を凝らしまして、計画以上に工事コストや諸経費を縮減するなど、徹底した企業努力を実施してまいりました。
 次に、バブルの崩壊後の景気の低迷の影響によりまして、企業債の利率の低下や、諸物価とか労務単価などの減少などによるものであろうというふうに考えております。

○藤田委員 僕は、さっきいいましたように、とにかく今回、料金値上げを見送ったというのは大変な努力だったと思うんですよ。生半可な努力じゃなくて、そこで料金値上げを提案して、都民の皆さんに負担をかけないようにするために、局としてどうするかということで、知恵を集めて、日夜の努力をされたんだと思います。
 そういう気持ちがありますから、計画の乖離について、これ以上聞きませんけれども、ただ、今の答弁をおさらいしますと、諸物価の高騰や管工事単価の上昇などが予想された、したがって、これから先赤字になるんじゃないかというふうに思っていたが、そういう見通しや計画に比べて、これらの諸要素が意外とそういうふうではなかったと。つまり、計画に比べて、諸物価の高騰や管工事単価の上昇などがそれほどでもなかった、落ちたということに尽きると思う。
 そこで、今度新しく発表し、予算の前提になっているプランの抱える課題に戻りますけれども、現行三カ年計画の検証で、今のやりとりでもかなり浮き彫りにされたのは、水道事業の財政構造は、外的要因に少なからず影響を受けるということだろうと思うんですね。
 したがって、今回策定した経営プランも、不安定な財政構造の上に、つまり外部要因に対する読み方が、かなりふらふらしたことで経営プランを立てたということでは、大変困るわけです。また後になってーー今の場合は、いろんなことを考えたけれども、それはそうじゃなくて、計画より割とうまくとんとんといったからということなんですが、これは不安定要素で、いつどうなるかわからない。
 したがって、今度の経営プランが、そういうふらふらした、極めて不安定な外的要因というものを基礎にして、そこで練り固めて立てられているということになると、こういう心配があるぞ、ああいう心配があるぞということを今いわなければだめなんですよ、予算審議の委員会ですから。
 そういう気持ちでございますけれども、プランの抱えている課題について、次に伺っておきますが、質問時間の関係もありますので多くを聞きませんが、まず私が俎上にのっけたいのは投資水準なんです。
 さっき、どなたかの質問で、過大投資ではないかといったら、過大投資ではないということで、陳弁これ努めておった。当然、過大投資だなんてことは認めっこないので、そう答弁するんだろうと思うんですが、私は、そういうことは今はいいませんけれども、お聞きしたいのは、どのように考えて投資水準を決めたんでしょうか。

○甘利経営計画部長 投資水準の決定に当たりましては、長期的視点に立って、計画的かつ効率的に事業が推進できるよう配慮することが必要と考えております。このため、当局では、平成九年五月に、おおむね四半世紀の間に行う施設整備の方向を示した基本構想といたしまして、東京水道新世紀構想−STEP21と申しますが、これを策定いたしました。
 今回策定した水道事業経営プラン二〇〇〇では、この構想を踏まえた十年後の長期施設整備目標を定め、この目標などに基づき、計画期間中に実施すべき主要事業並びにその投資水準を設定したものでございます。

○藤田委員 投資水準をSTEP21を基礎にして、十年後の長期施設整備目標に基づいて主要事業費を計上した、こういう答弁ですから、これは今の段階では信頼しておきましょう。これは読みましたけれども、そういいかげんなものじゃない。一応の客観性と妥当性を持つというふうに思っておきたい。
 そこで、料金収入ですけれども、近年の配水量の動向を反映して、伸び悩みなんですね。ところがプランでは、年々増加という計画を出しているんですよ。これは大丈夫ですか。その根拠は何ですか。

○石山総務部長 近年の使用水量でございますが、いわゆるバブル経済崩壊後の景気回復のおくれ、また渇水時の影響などによりまして、一時的に減少したものと考えられます。
 需要の約七割を占めます生活用水は、今後見込まれる経済の回復動向や、核家族化の進展等によります世帯数の増加などに伴いまして、穏やかな増加基調で推移するものと見込んでおります。
 こうした需要動向を踏まえまして、料金収入を見込んだものでございます。

○藤田委員 後で計画が狂ったなんていうことをいわぬように頼みますよ。これを前提にしてあなた方は経営プランを立てているんですから。それは念を押しておきます。
 もう一つは用地売却。これは料金以外の収入確保策ということで強調されることは、悪いことではないです。悪いことではないですけれども、またそれを積極的にやるべきだろうと思うんですが、だた、基本的には、用地売却による収入確保策というのは一過性のものなんですね。恒久財源の確保ではない、こういうふうに思いますけれども、これはどういう認識なんですか。

○石山総務部長 先生ご指摘のとおり、用地の売却につきましては、単年度の臨時的な収入でございまして、恒久的な財源とはなりません。しかし、従来から料金水準の低減を図るために、財政収支計画に算入しております。
 また、資産の貸し付け等を積極的に推進するなど、可能な限り収入の確保に努めているところでございます。

○藤田委員 収入確保策として、一過性のものでも、資産の活用ということについては悪いことではないというふうに思っていますから、これはこの程度に、きょうは押さえておきます。
 次に、費用の見積もり基準。ずばっといいますけれども、計画段階で物騰、単価を過大に見積もっているということはないんでしょうね。課題を絞りますけれども、起債利率、物騰の計上基準を具体的な数字で答えていただけませんか。

○石山総務部長 起債利率、物騰などの計上基準についてでございますが、企業債残高の平均利率、過去の物価動向等を考慮して設定しておりまして、私どもとしましては、適切な水準と認識しているところでございます。
 起債利率についてでございますが、平成十二年度は三・五%、平成十三年度以降は四%でございます。ちなみに、平成十年度末の企業債残高の平均利率でございますが、四・五八%となっております。
 次に、事務費や物件費についてでございますが、平成十二年度は伸び率はゼロ、十三年度以降の伸び率は〇・五%というふうに見込んでございます。

○藤田委員 起債残高の一番最後のしっぽのところを押さえて、その利率まで用いて防戦に努められますと、ちょっというのがつらくなっちゃうんですが、僕は起債利率は高いと思います。安全性ということでは理解はしますけれども、これは結局、はっきりいっちゃえば、財務局の指示に基づく都の基準なんでしょう。そういうことはあえて聞きませんけれども、これはやっぱりちょっと高いなというふうに思います。
 しかし、いずれにしても時間がありませんからはしょりますけれども、現行の三カ年計画と料金を据え置いた経営プランを重ねてみますと、幾つかの課題を抱えておって、やっぱり心配が絶えない。こういうことが全部うまくいかないで、一たんゆがみが出れば、結局、企業努力で帳じり合わせをするということに行き着かざるを得ないんですよ。結局はそこへ行っちゃう。
 結局はそこへ行っちゃうんで、この際、企業努力について多少心配もあるので、確かめておいた方がいいだろうと思うんですが、今回、都の財政再建を理由とする給与カットがありましたね。だけれども、水道事業の会計は別であって、しかも健全財政を維持しているわけでしょう。
 例えば退職金でいえば、水道事業に十年間おって、知事部局に十年おったとすれば、その退職金は知事部局と水道局と折半する。それぐらい、財政上の独自の立場というものを留保しているんですよ、水道局は。しかも健全財政だということを考えたときに、当節、こういうことを望んだり質問するのは、ちょっと無理へんにげんこつみたいな質問かもしれませんけれども、それでも私の思いですから申し上げますけれども、にもかかわらず、横並びでカットしたというのはなぜですか。

○小泉職員部長 ご指摘のとおり、公営企業管理者としての水道局長は、職員を任命し、給与その他の勤務条件等につきましては、掌理する権限を持っております。しかしながら、当局は、都の一体性の見地から、これまで人事、給与の基本的事項につきましては、都と足並みをそろえてきたところでございます。今回の職員給与の時限的削減措置も、その一環として実施したものでございます。

○藤田委員 平たくいえば、当節、水道局だけ特別というわけにはいかないよということなんでしょうけれども、それでも私は、水道局事業は会計は別なんだし、公営企業としての主体性と独立性を持っているわけなんだから、いわれたからってほいほいというのは、ちょっとどうなんでしょうね、というふうに思います。
 それから、職員定数は、約一割に当たる五百人を削減した。この比率は、清掃事業の移管を除けば庁内でも一番多いんですよ。そうすると、給与カットは横並び、定数カットは一番、こういうことになるわけなんです。
 私が一番心配しておりますのはーーある程度、職員団体だって覚悟していますよ。ある程度は割り切っている、職員定数の削減も、給与カットも。だからこそ都労連は決断したわけでしょう。ある程度覚悟はしている。
 しかし、いろいろ努力はしたけれども、どうしようもない、見通しも甘かった、行き着くところは企業努力だと。そうすると、職員にきちっと合理化ということで、当然値上げ問題が出れば、付帯決議がそこへ向くわけだから、それはやりますと。それから、料金値上げという格好で都民に負担してもらいますということの繰り返し、繰り返し、繰り返しでは、働く張り合いがなくなっちゃうの。希望がなくなっちゃうの。やっぱりそこを一番心配するんです。
 つまり、職員の意欲がそがれて、組織活力というものも喪失するんではないかということを、余計な心配かもしれませんが、心配するんですよ。この点についてはどういう認識をしていますか。

○小泉職員部長 水道事業経営プラン二〇〇〇に基づく企業努力の基本は、事業のあり方、組織のあり方を根本から見直すことにより、より一層効率的な事業運営を目指そうとするものであります。今回の定数削減は、そうした効率化を図るための努力でございます。
 一連の企業努力については、職員には厳しい内容のものもありますが、料金改定をせず、都民サービスを維持するために必要なものであるとして、職員に理解と協力を求めているところでございます。

○藤田委員 職員部長、基本的な問題なんだ、余りさわやかに答えなさんなよ。少しは申しわけなさそうに答えてもらわぬと困るよ、あんた、そんなこといったって。
 僕は、そのことは全部悪で、絶対やっちゃいけないなんていっているわけじゃないんですよ。職員団体だって、ある程度覚悟して、ある程度割り切っていますよ。都労連の委員長は、水道だもの。だから、決断したじゃないですか。だけれども、余りそうやってさわやかにやられちゃうと、一言二言、嫌みをいいたくなっちゃうんですよ。
 そこで、この問題は、これ以上やっても堂々めぐりでしょうからーー水道局と職員団体双方が日ごろから努力をしているということはわかりますよ。より一層理解を求めるための努力を怠らないでほしいということだけを要望しておきます。
 最後にーー質問の最後に局長にというのもワンパターンで、僕は余り好きじゃないんですけれども、局長に聞いた方がいいだろうと思うので、今後の事業運営の基本的な考え方について伺っておきます。
 一連の交通局の提案、説明、それに付随するプランなどの資料、出版物、そういうものを見ますと、私にいわせれば、必要以上に効率化の追求ということが強調されていることに若干の懸念を感じる。それはわかりますが、公営企業本来の目的というものを、この際、再確認してほしいなという気持ちがございます。
 それから、さっき嶋田さんのご質問にもございましたけれども、都民ニーズの多様化、社会経済状況の変化などに的確に対応していくということは、これからますます求められるであろうということを念頭に置いた上で、丸めていっちゃいますけれども、百年の蓄積を踏まえたこれからの百年の計が必要だ、こういうふうに思います。
 私の質疑で、以上やりとりしてきたこと、指摘した点も含めて、赤川局長の壮大なご見解を伺います。

○赤川水道局長 水道事業は、こういうことを申すのも釈迦に説法のようで申しわけございませんけれども、改めていわせていただきますと、地方公営企業として、公共性、そして同時に経済性、この調和をいかに行うかというのが経営原則でございます。一方だけに偏って財政状況がいいだとか、あるいは公共性のみで財政状況が全くおかしいというわけにはいきませんので、この辺の調和が最大原則でございます。
 したがいまして、水道事業におきましても、常に経済性の発揮と同時に、今るる先生が述べられましたように、効率化も追求してまいりました。同時に、今、多様化する都民のニーズ、事業環境の変化に的確に対応していくことが必要でもございます。
 新しい事業経営システムを積極的に導入するとともに、今後、創意工夫を凝らした事業運営に努めまして、公共料金の最たるものでございます水道料金の、できる限り低廉水準を確保するため、今後とも新たな世紀にふさわしい水道サービスを提供してまいります。今までるる述べられましたご意見も、積極的に取り入れてまいりたいと考えております。

○前沢委員 私は、水道局の監理団体であります東京都市開発株式会社の概要について伺うわけであります。あわせて、ヒルトンホテルを経営しております日本ヒルトン株式会社というのがありますが、この概要、そしてこの二つの株式会社の役員の中で、東京都のOBの就任の状況について、まずお聞きしたいと思います。

○愛甲経理部長 まず、東京都市開発及び日本ヒルトン株式会社の事業概要でございますが、東京都市開発株式会社は、新宿区西新宿六丁目中央地区の市街地再開発事業を施行するに際し、その資金調達、保留地の処分、建物の管理運営等に関し、効率的かつ経済的な事業運営を図ることを目的として、土地の権利者等が出資して設立されたもので、同地区に有します当局資産を安全かつ有利に運用することを目的としまして、当局も権利者の一員として出資し、その経営に関与することとしたものでございます。
 同社は、ホテル、オフィスなどの不動産の保有、賃貸及び管理運営等を行っているものでございます。
 出資金額及び割合につきましては、出資総額五十億円のうち、当局が二十二億九千五百万円、四五・九%、その他地元地権者等で二十七億五百万円、五四・一%となってございます。
 役員のうち、都退職者は、常勤役員四名、非常勤役員二名でございます。
 次に、日本ヒルトン株式会社でございますが、これは新宿にございますヒルトン東京を経営する会社でございます。ホテルの運営につきましては、日本ヒルトン株式会社からヒルトンインターナショナル社に委託されております。
 出資金額及び割合につきましては、出資総額四十一億円のうち、アメリカ・ニューヨークに本店を有しますヒルトンインターナショナル社が二十億四千万円で四九・八%、東京都市開発株式会社が十四億四千万円で三五・一%、その他が六億二千万円で一五・一%となってございます。
 東京都市開発株式会社から日本ヒルトン株式会社に役員として三名、常勤役員一名、非常勤役員二名、いずれも都退職者でございますが、就任しております。

○前沢委員 お聞きしましたが、東京都市開発の取締役社長が、日本ヒルトン株式会社の取締役社長、そのほか、東京都市開発の役員の中でヒルトンの会社の役員もやっているということは、ヒルトンホテルの経営状況がそのまま東京都市開発の経営にも影響する、いわば東京都市開発の運営の浮沈にかかわる関係にあるということがうかがえるわけであります。
 日本ヒルトン株式会社が経営しておりますヒルトンホテルで、昨年五月にこのホテルで働く十人の方々が解雇されました。首を切られたわけですね。このことについて、水道局はご承知ですね。

○愛甲経理部長 日本ヒルトン株式会社は、ヒルトン東京の厨房などで働く配膳人を日々雇用しておりますが、昨年、この配膳人に対して、食事、休憩時間の賃金支給対象からの除外などを内容といたします労働条件の変更を通知いたしましたところ、配膳人の大部分はこれに同意したものの、一部の者とは新たな労働条件による雇用契約の合意が成立しなかったという経緯があったことは理解してございます。

○前沢委員 この解雇された人たちなんですが、一時金も退職金もないという、もともと大変低い賃金で、配膳会を通してホテルに日々雇われるという形で働いてきた。しかし、毎年、労使間の交渉で賃金を決めると。ですから実質的には、日々雇いという形でありますけれども、普通の労働者と同じ、そういう形になっているんですね、労使間で賃金を決めて働くわけですから。
 十六年前にこのホテルが開設したときから、こうした形で働いている人は何人もいるんですね。ところが、ヒルトン東京は、経営が悪化したということを理由に、月平均四万ないし五万円、こういう賃金カットを通告してきた。今、部長さんがいわれたとおりですよね。労働条件の問題で通告した。
 この人たちは時間単位で働いているわけですから、休めば当然、減収ということになります。ホテル経営に欠かせない仕事を続けながら、何の保障もない。こういうことから、労働組合に加盟して、長年にわたって経営と交渉を持ち、労働条件の改善を実現してきたという経過があるわけですね。
 ですから、毎月四万あるいは五万という賃金カットの条件というものを持ち出して、これがのめないなら首だと。世間常識から見ても、これは余りにも乱暴じゃないか、こういうふうに思うんです。
 しかも、水道局の監理団体が関係する現場で、こういうことが起こっているという問題でありますから、水道局としても、委託した会社の問題だからということで、わしは知らないよということにはならないと思うんですが、これについてはどう思いますか。

○愛甲経理部長 監理団体指導監督事務要綱、それから指導監督基準、そういったものを定めますとともに、監理団体と業務運営に関する協定を締結いたしまして、適切な指導監督に努めているところでございます。
 指導監督につきましては、役員の選任、予算、決算等の重要な事項について協議、報告を受けることなどによって行っておるところでございます。
 個別の労使問題につきましては、基本的に労使間で解決すべき問題であり、また、同社の経営判断により行われるべきと考えてございます。

○前沢委員 一方的な会社側からの四万なり五万の減給通告ということで、これについては当然、団体交渉とか、あるいは労働委員会のあっせん、こういうことで解決を図ってきたんですが、結局は決着がつかなかったということで、話し合いによる解決になかなか至らない。
 こういうことから、やむなく労働条件の不利益変更を争う権限を留保して、会社の示した労働条件で就労するということを、改めてこれを承諾した通知書を提出した。ところが、会社側はこれを拒否する、そして十名を解雇だと、こういうことになっているわけです。
 先ほど来お話がありましたように、ヒルトンホテルに隣接する新宿国際ビル、これは水道局が所有した土地を利用した、地域住民を視野に入れた西新宿の地域開発に貢献するということでつくられた、いわゆる水道局の監理団体であります東京都市開発も出資している。先ほど四五%ですか、こういう出資をしているわけです。
 そしてまた、代表取締役が、こちらのヒルトンの取締役も兼任するという関係で進められているわけでありますから、当然、この問題について全く別だということにはならないんじゃないかと思うんです。
 そして、ホテルからの家賃収入が主な収入源になっている東京都市開発、そういう関係にあるわけでありますから、当然、東京都の監理団体に対する指導要綱あるいは監督基準というもので運営されていくものだと思うんですね。当然、いろんな報告が絶えず水道局にも上がってくるんだというふうに思うんです。
 そこで、私はもう一つお聞きしたいんですが、そういう関係にあるわけですから、この問題の解決に積極的に当たっていくということが必要なんじゃないか。
 例えば、東京都市開発の第十八期報告書というのがあるんですけれども、この中にもこういうことをいっているんですね。主力賃貸部門であるホテル建物のオーナーとして、ホテル経営の安定に最善を尽くす、こういうことが報告書にも記載されているんですよ。オーナーとして安定した経営、だとすれば、当然、こういう問題をきちっと、解雇争議というものを解決して、そして安定した経営に最善を尽くしていくのは当然のことじゃないかというふうに思います。
 そこで、私はもう一つお聞きしたいんですが、東京都市開発は、臨海副都心有明地区にホテルを建設する予定でありました。アメリカのホテルチェーンで、マリオット・インターナショナル、この会社と一緒に設立したホテル経営会社が債務超過になった。そういうことで、ホテル経営の前提が崩れ去るということで、失敗してしまったわけですね。そこで、昨年の三月だと思いますが、決算で十一億三千万円の特別損失を計上しております。これは間違いないと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
 さらに、一昨年の九月に、東京都市開発はヒルトンホテルに対して、賃貸契約の解除を通告しているんです。これはヒルトンホテルが十三億円に上る家賃の未払いがあるということを聞いておりますけれども、こうしたことが賃貸契約解除の理由になっているんでしょうか。

○愛甲経理部長 まず、最初の臨海部のホテル事業につきましては、景気の低迷等によりホテル事業の採算性が低下いたしまして、また資金調達も困難となったというようなことから、進出を断念したものであると報告を受けてございます。
 また、同事業撤退に伴います損失額、設計監理料等でございますが、九億四千万余円でございます。この損失額につきましては、平成十年度決算において処理は済んでございます。
 次の日本ヒルトン株式会社との賃貸借契約解除を通告したことについてでございますが、日本ヒルトン株式会社の経営状況を見ますと、開業時から平成四年までの間においては、おおむね収益を上げてまいりましたが、平成五年以降、急激な円高等による経済変動の影響から、国内法人需要が落ち込むなどで欠損となったものでございまして、このような状況から、建物賃料の滞納が生ずるようになりまして、これを理由に、東京都市開発株式会社は、日本ヒルトン株式会社との建物賃貸借契約の解除を通告したと聞いております。

○前沢委員 ヒルトンインターナショナル、東京都市開発、日本火災、この三者が、いわば主要な日本ヒルトン株式会社の株主ですよね。この三者が経営協議会をつくって、経営改善の方向へ進めていくということをやったようですが、ここで何が協議の課題になったんでしょうか。

○愛甲経理部長 東京都市開発株式会社とヒルトンインターナショナル社、それから日本火災海上保険株式会社の三者が、経営再建に向けて協議をしたわけでございますが、これはまず、ヒルトンインターナショナル社がホテルの継続を強く望み、また東京都市開発株式会社も継続による方策を検討する必要があると判断したことから、日本ヒルトン株式会社の株主でもございます日本火災海上保険株式会社を加えた三者で、再建についての協議を行ったと報告を受けております。

○前沢委員 昨年十一月、ヒルトンホテルの出資三者が再建協定書に合意をしておりますけれども、この内容について説明をいただきたいと思います。

○愛甲経理部長 この三者、東京都市開発株式会社が六億円、ヒルトンインターナショナル社が十七億円、日本火災海上保険株式会社が二億円、合計二十五億円の資金注入を行いまして、さらに東京都市開発株式会社は建物賃貸料を減額するとともに、ヒルトンインターナショナル社はホテルの収益を改善していくということが、再建協定の主な内容となってございます。

○前沢委員 今ご答弁がございましたように、この二十五億円の増資は社債の発行ですか、こういうことによって、東京都市開発はヒルトンホテルの十三億円の未払い家賃を回収する、さらに残りの増資分は銀行の借入金の返済に充てたと。こういうふうに聞いているんですけれども、再建協議会の協定書の合意に基づいて、こういう増資を行って、こういう方向を打ち出して、昨年十二月の決算で六千二百万円の黒字を計上したわけですね。この増資した二十五億円の半分以上の十三億円が、建物の家主である東京都市開発に未払い家賃として支払われるということです。
 本来ならば、増資分というのは、ホテルの設備改善であるとか、あるいは事業の強化とか、こういうことに投資が行われていくというのが本来のあり方じゃないかと思うんですが、決算でいえば六千二百万円の黒字計上ということになるわけですね。それで、経営が悪化したということで、四千万円も削減をしなければならない。
 そういうことで、四万円から五万円の賃金カットという労働条件が配膳会を通じてきている。日々雇いという一番弱い立場の人たちがこれを押しつけられて、いうことを聞かなければ首だよと。これじゃ、余りにもかわいそうじゃないですか。四千万円の削減額どころじゃない、六千二百万円の黒字決算が出ているんですから、結果的にいえば、こういうことをしなくてもよかったんじゃないか。私は、これは道義的には、非常に問われる問題だと思うんですよ。
 そういう意味で、東京都市開発の収入の六割が、いってみればヒルトンホテルの経営によって上がってくる。そういうものによって東京都市開発というのは成り立っているんでしょう、六割が。まさにヒルトンホテルの経営というのは、東京都市開発にとってみれば、絶対に傾いちゃならないものなんですよ。そういう関係にあるんですよ。
 そういうところで起こっている問題だということで、私はあえて取り上げたわけでありますけれども、この人たちの争議問題、解雇という問題について、本当に真剣に考えて、局としても、いろいろな立場にあるわけですから、全くかかわり合いはないということじゃなくて、何らかの助言をしたり、そういうことで円満な解決を図っていただくように、私からも強く要望したいと思います。
 その考え方を当局にお聞きして、質問を終わりたいと思います。

○愛甲経理部長 再建協定に基づきまして、二十五億円の資金につきましては、先生おっしゃいました延滞賃料の支払い、それから銀行からの借入金の返済に充てられております。これによりまして、日本ヒルトン株式会社の財務内容は改善されたというふうに認識してございます。
 労使問題につきましては、先ほども申し上げましたように、本来的には労使間の話し合いによるものというふうに思います。
 つけ加えますならば、日本ヒルトン株式会社は、ヒルトンインターナショナル社にホテルの運営を委託しておるわけでございますが、ヒルトンインターナショナル社では、従業員の賃金その他の労働条件、採用、解雇などの労務政策について、完全な責任と権限を有するという契約となっておるわけでございます。
 また、元配膳人数名につきまして、地位保全仮処分を裁判所に申し立てておりましたが、東京地方裁判所で昨年十一月、日本ヒルトン株式会社が雇用契約を更新しなかったことについて、社会通念上、合理的な理由があるとする決定をいたしております。

○前沢委員 最後に部長がいわれた裁判所の判断でありますけれども、こういう日々雇うという形態であっても、常用の労働者と扱いは同じなんですよ。これを前提にした上で、経営が赤字だからとか、あるいは常用の人たちも、ボーナスとか、そういうものも我慢しているんだということを理由にして、雇どめを認めたということになっているんです。しかし経営は、十二月の決算で、六千二百万円の黒字になっているんですよね。そして出てきている問題ですから、これは理由にはならないんですよ、今、現実には。
 さらに、ヒルトンインターナショナルに全部委託しているんだといっても、日々のホテル業務のいろんな運営でしょう。経営の主体は、やはり東京都市開発も責任を持っているんですよ、ヒルトンの本社も。ですから、東京都市開発のこうした報告書でも、主力の部門だ、こういうふうに位置づけていっているわけでしょう。ホテルの経営の安定ということを掲げているわけですから、労使問題ということで、一方的に、私は関係ないんだということじゃなくて、監理団体の指導監督という立場からも、私はこの問題に、正しい解決の方向を局として進めることを重ねて求めて、質問を終わります。

○大木田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、予算に関する報告事項、予算案及び請願の質疑は終了いたしました。
 これより請願の採決を行います。
 請願一二第六号、水道料金の減免措置及び減免率の継続に関する請願を採決いたします。
 お諮りいたします。
 本件は、趣旨採択とすることにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認めます。よって、請願一二第六号は趣旨採択と決定いたしました。
 請願の審査を終わります。

○大木田委員長 次に、報告事項の聴取を行います。
 理事者から契約に関する報告の申し出がありますので、これを聴取いたします。

○愛甲経理部長 工事請負契約につきまして、お手元の資料4によりご報告申し上げます。
 本日ご報告申し上げますものは、平成十一年十二月一日から平成十二年二月二十九日での間に契約を締結いたしました一件九億円以上の工事請負契約でございます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。
 本日ご報告申し上げます三件の契約を一覧にした総括表でございます。いずれも予定価格事前公表の試行を実施したものでございます。
 以下、順次、契約の概要についてご説明申し上げます。
 二ページをお開きいただきたいと存じます。この契約は、南千住給水所電気設備工事でございます。
 工事の内容は、配水施設整備事業の一環として、南千住給水所に電気設備及び監視制御設備等を設置するものでございます。
 契約の方法は指名競争入札、契約金額は九億四千五百万円、契約の相手方は株式会社東芝でございます。
 入札経過につきましては三ページに、施工場所の図面につきましては四ページにございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 次に、五ページをお開きいただきたいと存じます。この契約は、多摩市唐木田三丁目地先から南野三丁目地先間送水管(一五〇〇ミリメートル)用トンネル築造工事でございます。
 工事の内容は、多摩配水施設整備事業の一環として、送水管布設のためのトンネルをシールド工法により築造するものでございます。
 契約の方法は指名競争入札、契約金額は十二億四百三十五万円、契約の相手方は戸田・小田急建設共同企業体でございます。
 入札経過につきましては六ページに、施工場所の図面につきましては七ページにございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 次に、八ページをお開きいただきたいと存じます。この契約は、東村山市美住町二丁目から美住町一丁目間導水管(二〇〇〇ミリメートル)及び余水吐き移設工事でございます。
 工事の内容は、東京都建設局の空堀川改修工事に伴い、当局の導水管及び余水吐きが支障となるため、これらを移設するものでございます。
 契約の方法は指名競争入札、契約金額は九億一千百四十万円、契約の相手方は西武建設株式会社でございます。
 入札経過につきましては九ページに、施工場所の図面につきましては一〇ページにございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 以上、簡単ではございますが、ご報告申し上げます。よろしくお願いいたします。

○大木田委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対し質疑等がありましたらご発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、報告に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。
 この際、議事の都合によりおおむね五分程度休憩いたします。
   午後三時二十五分休憩

   午後三時三十分開議

○大木田委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより下水道局関係に入ります。
 予算の調査及び付託議案の審査を行います。
 第三十一号議案、第百六十六号議案、第百九十九号議案及び第二百号議案を一括して議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しております。
 その際要求のありました資料についてはお手元に配布しております。
 資料について理事者の説明を求めます。

○緒方総務部長 過日の委員会におきまして要求のございました資料を三項目に取りまとめまして、公営企業委員会要求資料としてお手元に配布してございます。その概要につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。区部下水道事業における企業債の未償還残高と今後の償還計画でございます。
 最近十年間の未償還残高の推移を上の表に、平成十三年度までの財政計画期間における償還計画を下の表にお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。建設工事におけるコスト縮減の内容でございます。
 当局では、コスト縮減に向けてさまざまな取り組みを進めておりますが、そのうちの建設工事におけるコスト縮減の主な施策と内容を記載してございますので、ご参照いただきたいと存じます。
 三ページをお開き願います。多摩川上流雨水幹線の排水面積及び計画雨水量でございます。
 多摩川上流雨水幹線の排水区域は、青梅市、羽村市、福生市にまたがっておりますが、この関係三市の排水面積と計画雨水量をお示ししたものでございます。
 以上で資料についてのご説明を終了させていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大木田委員長 報告は終わりました。
 ただいまの報告に対し質問等がございましたらご発言を願います。

○小山委員 去る三月六日に発表されました緊急重点雨水対策、雨水整備クイックプラン、この策定について質問をさせていただきたいと存じます。
 昨年の七月、八月と、二十三区内では一時間当たり一〇〇ミリを超える降雨が二回、それを含んだ数回の集中豪雨に見舞われ、大規模な浸水被害を受けたところでありますが、特に、新宿区においては地下室が水没するという浸水事故も発生をいたしました。特に浸水被害を受けた地区の都民は、雨の日には安心して眠れない夜が大変続いたと。
 こんな状況の中で、既に本会議におきましても、我が党の松原都議から浸水被害に関しての質問もあり、また鈴木局長から、この緊急雨水対策を策定したというご答弁もございました。
 そして、既に、集中豪雨の季節を前にして、昨年の浸水被害の実態を踏まえた雨水対策事業をいち早く出していただきましたことに改めて感謝をし、評価もしているところでありますが、この雨水整備クイックプランに関して、何点かご質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、今回の計画では、従来の雨水対策事業に対し発想の転換をしたいと書いてございますが、その内容について、まずお伺いしたいと思います。

○藤田計画部長 雨水整備クイックプラン、つまり緊急重点雨水対策の策定に当たりましては、幾つかの点で、これまでと若干異なる手法を採用しております。
 まず第一は、浸水に対する危険度の高い地域として重点二十五地区を選定するなど、対象地区を重点化してことできるところからできるだけの対策を行って、少しでも浸水被害の軽減を図ることとしております。
 第二点は、浸透、貯留、管渠のネットワーク、そういう新たな新たな整備手法を導入して雨水のピーク流量を抑制するとともに、既存の施設を生かし活用して、効率的な整備を進めていくことでございます。
 第三は、道路管理者である区などとも連携を図って事業を実施していくこと、つまり都と区がそれぞれの役割分担に応じて浸水対策に取り組む体制としております。
 今回の緊急重点雨水対策、別名雨水整備クイックプランでは、以上のような新たな手法を組み合わせて、新たな発想を盛り込んだつもりであります。

○小山委員 発想の転換だけではなくて、これから整備の手法の面でも発想の転換をし、浸透、貯留及び管渠のネットワーク化の新たな整備手法を導入したいとしておられますが、具体的には、どんなような内容なんでしょうか。

○前田技術開発担当部長 クイックプランに盛り込みました新たな整備手法についてのお尋ねでございますけれども、まず浸透につきましては、雨水浸透ますや浸透トレンチ、透水性舗装などにより雨水を地下に浸透させるものでございます。
 次に、貯留でございますが、部分的に完成しました幹線を活用したり、公園の地下等に調整池を設ける。あるいは、こういう仕掛けをもちまして、管渠の排水能力を超えました雨水を一時的に貯留するものでございます。
 また、管渠のネットワークにつきましては、既存の管渠を連絡管などで結びまして、余裕のない管渠から余裕のある管渠に雨水を流し、全体で受けるというシステムでございます。
 これらの整備手法は、流出量の抑制や流出時間の調整を行うもので、その結果、特に最近の特徴でございます短時間で集中的に雨が降るという傾向に対しましては、ピークの流出量を下げる効果が期待できます。
 ネットワーク化につきましては、特に施設の計画に際しまして、刻々と変化します降雨を対象に、複雑な流れを数学的に計算する必要がございます。このためのコンピューターを用いました雨水流出モデルの開発が進みまして、その有効性や信頼性も確認されましたので、それを踏まえまして今回、クイックプランの対策手法として具体化したものでございます。

○小山委員 浸水被害の解消は、早急にできるところからやってほしい、また、実施すべき事業であると思いますが、効果が出てくるまでに時間がかかったのでは意味がないのではないか。これらの対策のために何年程度で実施していかれるのか、お聞きしたいと思います。

○藤田計画部長 雨水整備クイックプランに掲げました対策は、全体としては平成十一年度から二十年度までの十カ年で整備していく予定でありますが、しかし、このうちの短期的対策として掲げましたものにつきましては、平成十五年度までの五年間のうちに、おおむね完成させる予定としております。

○小山委員 早急に手を加えていただきたく思いますが、管渠や貯留池をつくるといったハード面の対策のほかに、ソフト面の対策も必要だろうと。そして、その一環として水位計の設置と情報提供がある、こういうことになっておられますが、具体的にどういう内容なのか、お示しください。

○内田施設管理部長 ご案内のように、下水道管渠は河川等の下位渠底となり、道路下に埋設されているため、水位上昇を都民の目で見て確認することができません。
 そこで、本クイックプランの浸水対策箇所で、区から設置要望が強く、浸水被害が広範囲に及ぶ下水道幹線内に水位計を設置し、そのデータを下水道用管理ファイバーケーブルで関連区などに水位情報を提供して迅速な水防対策に活用していただくものでございます。

○小山委員 雨水対策を効果的に実施していくためには、道路管理者でございます区との連携が最も必要だろうというふうに思いますが、どのような連携をとっていくおつもりなのか、お聞きしたいと思います。

○藤田計画部長 区との連携につきましては、区では従来からも浸透ますや浸透トレンチ、透水性舗装など雨水流出抑制施設を整備しておりますが、こうした施設を、浸水地区におきましてはこれまで以上に設置していくように区に要請しておりまして、もう既に幾つかの区におきましては、具体的な計画も立てていただいております。
 下水道局におきましても、再構築事業などに合わせて、区と連携して雨水流出抑制施設を積極的に設置していく効果的な雨水対策の実施に努めてまいります。
 さらにまた、下水道の幹線管渠の立坑用地や貯留池の設置場所として、区の公園用地などの提供についても協力を求めております。

○小山委員 区との連携でーー実は私の地元の目黒区におきましても、昨年の八月二十九日、重点地区にご指定をいただきました下目黒、目黒本町、上目黒、五本木と、こういったところで、二百棟を超える家屋が浸水被害を受けました。私ども目黒区におきましても、これまで行ってきた対策と、このクイックプランに盛り込まれた対策について、その内容をお伺いしたいと思います。

○大迫建設部長 目黒区の浸水対策といたしまして、これまで池尻幹線や新駒沢幹線を整備いたしまして、約十五万トンの雨水貯留を整備いたしまして、暫定的に活用しております。
 また、蛇崩川幹線などから目黒川へ放流する管渠を整備いたしまして、浸水被害の軽減に効果を発揮しております。
 今回の雨水対策のクイックプランでは、下目黒、上目黒地区など重点二十五地区を位置づけておりまして、具体的には、短期的な対策として、下目黒地区において豪雨時に飛散しないようなマンホールふたへの取りかえを既に完了いたしております。
 また、部分的に排水能力が不足している地域、例えば羅漢寺川幹線等の流域につきましては、バイパス管を整備する事業などを計画しておりまして、既にその一部について着手いたしております。

○小山委員 大変ありがたいお話でございますし、早急に、またこれに向かって努力をしていただきたいと思います。
 最後になりますが、最近の降雨は短時間かつ局所的に、なおかつ想定をはるかに超える雨が降るなど、その傾向が変化をしております。また、地下街や地下鉄、個人住宅の地下室など、地下の空間の利用が大変ふえてきております。こうしたことが余計、浸水に対する危険性もますます増加をしてきているんではないかというふうに思います。
 被害を受けた方々は、一日でも早い対策の完了を望んでいるところでもあり、厳しい財政状況の中ではございますが、治山治水は国のもとなり、効率的な整備手法を積極的に導入するとともに、施行に当たっては、コストの縮減に努めるなどして早期の効果実現を図ってもらいたいというふうに思っています。
 クイックプランの推進に向けた局長の決意を聞いて、質問を終わらせていただきます。

○鈴木下水道局長 ご指摘のとおり、浸水被害から都民の生命や財産を守るということは、下水道局に課せられた大きな使命であると考えております。今後とも、都議会を初め地元区や関係機関のご支援、ご協力をいただきながら、雨水整備クイックプランに掲げました事業の効果が一日も早く実現できるよう、下水道局職員一丸となって努力してまいります。

○大山委員 私も、実はこの緊急重点雨水対策について質問をさせていただきたいと思います。
 今、局長さんの決意まで聞いちゃってからやるのも何ですが、とりあえずいわせてもらいます。
 昨年の夏は、とにかく豪雨があったわけで、先ほどのお話もありましたように、私の出身の新宿では地下に水が入って、その家のご主人が亡くなるという大変痛ましい事故になったわけですけれども、先日せっかくこれが出たもので、奥さんにご意見と思って、聞きに伺ったんですけれども、そのときでも思わず目が潤んでしまうような、当時を思い出してしまうというような状況だと思うんです。
 昨年のたび重なる浸水対策を受けて、緊急に、とにかくクイックだということで立てられたということは、評価したいというふうに思っています。
 この日、七月二十一日の降水量は、この緊急重点雨水対策によりますと、新宿は一時間当たり五三・五ミリというふうになっていますけれども、一時間満遍なく降り続いているというよりは、先ほどからのお話にもありますように、短時間に、それこそバケツをひっくり返したような雨が降っているというような状況でした。
 少し近辺も含めて、このあたりの降水量というか降雨量、どのぐらいだったんでしょうか。

○内田施設管理部長 七月二十一日の降雨状況は、当局に設置してある雨量計によりますと、落合処理場で一時間当たり五三・五ミリでありました。同様に、当地域に隣接した中野処理場では一時間当たり八二ミリで、練馬区役所では一時間当たり一三一ミリでありました。
 降り方は、今お話にありましたように、いずれも三十ないし四十分の間の激しい雨でございました。

○大山委員 緊急重点雨水対策にもありますように、今おっしゃったようにかなりの量が降ったということと、夏の降雨が熱帯的なスコール型に移行してきているとの指摘があるということでは、下水道局さんは、今までは一時間当たり五〇ミリの雨に対応できるようにということで、下水を整備する、とにかく早く下水に入れるということを重点にしてきたと思うんですが、下流に流すだけでは一気に降った雨の量にはついていけないということで、短時間に大量の雨が降るということが多くなっているときに、研究の結果もあるわけですし、このあたりもあっという間に道路が腰のあたりまで水が来てしまったということですから、それに合わせた対応にすることが重要だと考えますけれども、どうですか。

○前田技術開発担当部長 短時間に集中して降ります降雨に対しましては、貯留や浸透の整備手法が効果的でございます。
 今回のクイックプランでは、雨水浸透ます、浸透トレンチ管、透水性舗装などの浸透施設や貯留管、雨水調整池などの貯留施設、さらには下水道管渠のネットワーク化などの対策を効果的に組み合わせることとしております。

○大山委員 それでは、具体的にこの地域での対策内容と実施時期をお願いします。

○大迫建設部長 今回のクイックプランで計画している新宿区西落合地区の対策といたしましては、既設管の口径を大きくするとともに雨水の一部を切りかえる事業、次に、既設の幹線である西落合幹線へのバイパス管の整備、三点目は、第二妙正寺川幹線の一部区間を先行整備し、貯留管として活用する事業を計画しております。
 雨水の一部切りかえにつきましては、平成十二年度早々に着手する予定でございます。
 バイパス管につきましては、できるだけ早期に着手し、平成十五年度までに完成いたしたいと考えております。
 第二妙正寺川幹線につきましては、口径二六〇〇ミリ、延長約千五百メートルと大規模なものでございますので、準備にある程度の時間を必要といたしますが、できるだけ早期に着手いたしたいと考えております。

○大山委員 下流部への取りつけというのは、なるべく早く下水に流すという観点での工事ですし、それから枝線の整備というのも、やはりなるべく早くということでは従来のものですけれども、第二妙正寺川幹線の先行整備ということが貯留だということですが、この幹線でどれぐらいの量が貯留できるんでしょうか。

○大迫建設部長 第二妙正寺川幹線の中野区松が丘二丁目にございます江古田公園より上流区間につきましては、既に一部区間を施工いたしまして、八千七百トンの暫定貯留を実施し効果を発揮しているところでございます。
 今回のクイックプランでは、この下流部に当たる新宿区落合三丁目までの区間を整備する計画でございまして、貯留量は約八千トンを予定しております。

○大山委員 今までは、とにかく下流、下水に流すということに偏重してきたのを、浸透貯留及び管渠のネットワーク化で流出量を抑制する、それから浸透させるということに踏み出したということ自体評価したいというふうに思っていますし、暫定貯留が八千トンということでは頼もしいというわけですけれども、何といってもまだまだ時間がかかりますし、ここの重点計画で見ましても前・後期ということで、時期が後ろの方だというわけなんですね。
 この浸水した地域というのは、この中にもありますように、やはり四方が高くてくぼ地のような、一番低いところに集まってしまったわけですね。時間当たりどころか二十分、三十分で急激に水が集まってくるわけですから、飲み込めないというのが最大の弱点なわけです。ですから、なるべここに集まらないように、事前に貯留したり浸透させたりということに力を入れてもらわないと困るというふうに思っているんです。
 先日、この地域を改めて歩いてみたんですけれども、確かにグレーチングが新しく取りつけられりつけられていましたので、これが区との連携なんだなというふうに思いましたけれども、これだって、下水になるべく早く流すという取りつけですよね。ですから、浸透させたり、それから貯留をいかにふやすかということに力を入れていただきたいと思いますし、ことしも去年のような豪雨があったらどうしようというのが近所の方々の思いですし、幹線が十五年以降になるんでしょうけれども、できる前に、もういろいろと浸透や貯留で下水に流れ込むのを防いでもらいたいということなんですよね。
 それで、十二年度の浸透、それから貯留など、これの予算というのはそれぞれどうなっているんでしょうか。

○藤田計画部長 実は、これまで浸透と貯留の事業費を別枠で取り出して整理したことはなかったんですが、とりあえず概算的に分類してみますと、平成十二年度予算では、浸透事業は約五億円であります。
 それから貯留につきましては、下流までつながっていない工事途中の幹線管渠を暫定的に貯留施設として活用する、いわゆる暫定貯留の事業費が大部分になるのでありますが、これらを含めて、貯留については約百六十億円を見込んでおります。

○大山委員 浸透貯留というところが別枠でなかったということも、今までの下水に流すという位置づけのあらわれだとは思うんですけれども、その浸透の内容、それから貯留の内容というと、具体的にはどうなりますか。

○藤田計画部長 浸透事業につきましては、浸透雨水ます、浸透トレンチ、透水性舗装などの設置を見込んでおります。
 貯留といたしましては、本格的な貯留施設としては砂町雨水調整池ほか、暫定貯留といたしましては谷端川一号幹線などの十四の幹線を予定しております。

○大山委員 この浸透貯留というのは、水循環の計画でも全庁的に取り組んでいるというふうに思いますけれども、ところが都市計画局は、これまで区市町村に出していた雨水浸透ますの補助金を、来年度はゼロにしちゃったんですね。それから環境保全局はほぼ半額にしてしまうという、まさに逆行するような予算案になっているんですけれども、下水道局として、浸水対策としても、ぜひこの浸透貯留、しっかりと位置づけて予算をふやすというふうにしていただきたいと思いますし、同時に各局にも働きかけていっていただきたいと思いますけれども、いかがですか。

○藤田計画部長 今回策定いたしました雨水整備クイックプランでは、浸透貯留を含めた対策となっております。
 実施に当たりましては、都の関連各局や国や区などの関係機関との連携を図りながら、また水循環マスタープランの推進においても、関係機関との連携を進めてまいります。

○大山委員 下水道局としても浸透貯留、しっかりと位置づけて進めていっていただきたいということを要望しまして、終わります。

○織田委員 私は、今、都が財政的に非常に逼迫をしている状況の中から、効率化、コスト削減ということが一つキーワードになっているような段階で、先日、下水道局の方から全国自治体で初、ISO九〇〇〇シリーズ認証取得を入札条件として土木工事を試行というお知らせ、プレス発表をしたと伺っています。これに関連して、何点か、簡単に質問をしておきたいというふうに思います。
 この建設工事に対しまして、ISO九〇〇〇シリーズ品質システムの適用に関する検討、これを行ってやろうということですが、その検討に至った、これを試行をしてーー試行するということですから、その先には本格的に実施をしたいという、そういう思いがあるんでしょう。そういうふうに至った背景というものについて、まずお示しいただきたいと思います。

○藤田計画部長 公共工事の施行に当たりましては、入札契約制度の改革あるいは建設コストの縮減など、さまざまな動きに対応するために、公共工事のより確実な品質確保の方法や効率的な検査、監督体制の確立が求められております。
 これらの対応策の一つといたしまして、品質管理の国際規格でありますISO九〇〇〇シリーズの活用が考えられます。
 こうしたことから下水道局では、企業がみずから構築、運用しているISO九〇〇〇シリーズの品質管理システムを当局の建設工事で活用することの有効性や効果を検討していこうというものでございます。

○織田委員 それでは具体的に、これまでの検討の取り組みにどんなものがあったのか、教えてください。

○大迫建設部長 ISO九〇〇〇シリーズの適用の具体的な効果といたしまして、ISO九〇〇〇シリーズの認証を取得した企業が施工する工事については、請負者がこの品質管理システムに基づき運用することで品質を確保しながら、下水道局が検査、監督業務の効率化を図り得ることなどが考えられます。
 平成九年度から土木、建築、設備の七件のモデル工事を実施し、この品質管理システムの適用の有効性や課題について検討してまいりました。
 また、平成十一年度からは、ISO九〇〇〇シリーズの認証を取得した企業が施工する工事三十二件の試行工事を実施いたしまして、この品質管理システムの適用を想定した監督体制に基づき施工管理し、検査監督業務の効率化などの効果についても検討してまいりました。

○織田委員 九年度から土木、建築、設備について七件のモデル工事を実施して、それで有効性について検討をしてきたと。
 十一年度からは、既にISO九〇〇〇シリーズの認証を得た企業がやっている、その工事三十二件を試行工事として位置づけて、そしてそのISO九〇〇〇の取得をした企業がやるときに、例えば監督基準、品質管理で一定程度の水準がある、そういう企業がおやりになることであるから、例えば、検査にしても基本的には相手方にお任せをするという、相手方に一定の信頼を与えて、そしてその検査業務については簡素化をしていくというのが、このお知らせを読むと、そういうことのように受け取られるわけであります。
 そうしますと、そういう効果を一定程度、検討を進めてきた結果、具体的にどういうような効果があったのか、それをまず具体的に教えていただきたいというふうに思うわけです。
 建設工事をやりましたと、ISO九〇〇〇シリーズの品質システムを適用している、そういうシステムを持っている会社がやりましたという場合に、どこにどういうような効果が出てきたのかということについて、より具体的にお答えをいただきたいというふうに思います。

○大迫建設部長 品質管理システムの適用の具体的な効果につきまして、現場における検査や立ち会い確認などの業務が、当局及び請負業者とも軽減されることなどがございます。
 なお、効果の定量化につきましては、平成十二年度実施する試行工事を踏まえて確認してまいります。
 これまでの試行工事を実施した請負者に対するヒアリングでは、このシステムを適用することで現在の品質管理レベルが向上するとともに、社員の意識向上にも役立っているという意見が多数ございました。

○織田委員 こういうものを導入をしていく場合には、やっぱり効果というか、どういうふうに具体的になっていくのか、想像力を働かせていかなければならないというふうに思うわけです。
 このISO九〇〇〇シリーズというのは、どういうものかなと思っていろいろ資料を読んでみましたけれども、例えば品質がどうのこうのということの個別具体のことについて、要するにきちっとやっていますよということではなくて、システムとして、きちんと検査のチェックの体制が入っているのかどうか、あるいは品質管理についてはどうなっているんだというシステムの問題というふうに、私はとらえたわけなんです。
 そうなりますと、それを検証するということについては、個別具体の会社でどういうふうにやっているのか。システムがあっても、それが適切に運用されているのかどうなのかということについての信頼性というのは、一体どこで見ればいいんだろうかということを思うわけです。ですから、これはかなり具体的な中で、より検証をきちんとやっていただきたいというふうに、まず思うわけであります。
 要するに、現在のところでは、平成九年に七社ですか、そして十一年に三十二件ーー三十二件だから何社かわかりませんけれども、三十二件のものをやったわけなんですけれども、もう少し具体的に、例えばヒアリングなんかで聞きましても、平成七年の場合と平成十一年の場合では、若干違うわけですね。
 十一年の場合は、もう既に認証取得を取っているというところ、実際には行われているというところについて、そういう業務負担もその段階で軽くしたという形の中でやっているわけですから、それははっきりいえば、いい声しか出てこないんじゃないかという気がするわけですね。ですからそういう面で、もう少し一歩深く、いわゆる有効性の効果というものについて、やっぱり検証していただきたいというふうに思うわけであります。
 そこで、今回、十二年度から入札の条件として試行するということになるわけですが、その対象工事、どういうような選定になるのか、件数はどのぐらいになるのか、教えてください。

○藤井経理部長 対象工事の選定の考え方でございますけれども、これまで実施してまいりましたモデル工事等を通して得られました一定の知見をもとにいたしまして、平成十二年度におきましては、まず土木工事についてISO九〇〇〇シリーズの認証取得を前提とした試行を開始することにいたしております。この試行を通じまして、問題点の一層の把握や、あるいはさらなる本格実施に向けての必要な条件整備の内容を確定してまいりたいというふうに考えております。
 具体的な試行工事案件の選定に当たりましては、品質管理の向上あるいは監督業務の効率化といった、本来この試行の目的とするメリットが発揮しやすい工事を対象といたしまして、あるいはまた請負者の側が相当程度、この認証取得を既に取っているという、そういった状況も勘案する必要がございます。
 具体的には、処理場、ポンプ場の体工事あるいはシールドの環境工事といった、大規模で技術的にも困難を伴う、そういった工事から数件を選定して開始をしたいというふうに思っております。

○織田委員 今お話を伺いまして、平成十二年度の工事については、大規模で技術的で難易度の高い工事、そうすると、そういったところに応札してくる業者さんというのは大体が、ほとんどがISO九〇〇〇シリーズを認証取得しているところであろうというようなことでありますから、これは試行工事というか、試行実験といいますか、試みということでやるというのは非常に適切なことだと思うわけであります。
 しかしながら、平成十二年度はそういう形でまたさらに検証を重ねていくということでありますけれども、その後、来年十三年度からはどういうふうになるんですかということになると、このお知らせの中には、さらに拡大をしていくという旨書かれているわけですけれども、この辺のところについての基本的な考え方は、十三年度以降どのように拡大をしていくのか、その点についてはいかがでしょうか。

○藤井経理部長 土木工事の試行に引き続きまして、設備工事あるいは建築工事についても、平成十二年度中にこれらの工事に特有な課題がやはりございますので、そういったものを検討整備した上で、平成十三年度から土木工事におきますと同様に、大規模でかつ技術的に困難な工事から試行に入る予定で、今準備を進めているところでございます。
 また、今後、試行対象工事をさらに拡大することにつきましては、それぞれの区分ごとの請負者側の認証取得の進展状況が条件でございますので、そういった認証取得の進展状況を十分に見きわめた上で、順次、段階的に進めてまいりたいというふうに考えております。

○織田委員 土木ばかりじゃなくて、建設設備等について、そういう分野にも広げていきますよということでありますね。
 同時に、ある意味でいえば、そういう難工事ばかりではなくて、より幅の広い一般の工事というようなところにも認証取得の状況等を勘案をしながら広げていこう、こういうお答えだったんだろうと思うんです。
 平たくいえば、今後、中小の工事の業者さんについてもISO九〇〇〇シリーズの認証取得が、一つ入札の条件に、そのスピードとかそういったものについてはまだわからないわけですけれども、条件になってきますよというようなメッセージだろうと思うんです。
 事のついでに伺いますけれども、ISO九〇〇〇シリーズの認証取得というのは、大体どの程度の、いわゆる認証取得を取るのにどんな努力が要るわけなんでしょうか。
 例えば、負担の面でいうと幾らぐらいかかるんだというようなもの、あるいは審査をしていただいてから認証取得が得られるまでの時間、これは一様ではなかろうとは思いますけれども、わかるんであればこれまでの例、それが大きな企業の場合と小さな企業の場合とでも違うわけですから、おわかりになれば結構でございますけれども、わかる範囲で、そういった時間というものを教えていただきたい。
 そしてまた、会社にとっては、何らかの形で機構改革みたいなものが必要になってくるんだろうと思うんですね。例えば、ISO一四〇〇〇シリーズとはちょっと違うのかもしれませんが、そういう認証取得を取るためのご苦労というのは結構あっただろうと思いますから、そういう面での負担というものも一方であるんだろうというふうに思うんです。
 これはお答えにならなくても結構ですけれども、そういうような形で、もしわかればで結構ですが、そういう認証取得にかかわるコストといいますか、費用といいますか、負担といいますか、そういったものをわかる範囲でお教えをいだければと思います。

○藤田計画部長 認証取得にかかる費用でございますが、これは構築する品質システムの規模によって多少差がありますが、仮に従業員二百人規模のシステムといたしますと、一般的な審査登録費用といたしましては、一番最初に登録をするときには約二百万円、それから毎年一回定期審査がありまして、これで五十万円、三年ごとの更新審査登録に百万円という程度のお金がかかります。ですから、初めに二百万、それから一年ごとに五十万、五十万、それから更新で百万、あとは五十、五十、百と、こういうふうに連続していく、こういうふうな費用のかかり方になります。
 それから、最初に取得するときの時間ですけれども、準備を始めてから取得までは、おおむね一年程度かかるのが一般的になっております。
 それと企業の内部の機構改革につきましてですが、これは各会社によりますが、今どの会社も自分のところの品質管理につきましてはかなり意を用いておりますので、そうした組織が母体となって、ある程度の強化といいますか、組織的な強化を図るというふうなことで対応可能となっているのが実情でございます。

○織田委員 今お話をお伺いしますと、それは大手の企業については、この程度の負担であれば楽々と乗り越えられるということになろうかと思います。そういうふうになっていったときに、例えば工事の終了のときの検査とか、そういった負担がなくなれば、これは事業者である東京都においてもプラスになりますし、事業者というか、業者の方にとっても、ある程度プラスになる。
 しかも、当初からこの本来的な意味として、品質管理の面で向上をして、そしてより契約等の透明性を高めていくというような意味からも、一定程度の自由な競争を促すという意味からも、一定程度の品質保証というものを、それは個々の申請ではなくて、ある意味でいうと審査機関がきちんと審査をしましたと、ISO九〇〇〇シリーズというような形で、一定程度の、いわゆる技術的水準なり何なりというものが担保されていますよというような形になってくれば、これは都にとっても、あるいはまた下水道局等にとっても、十分にその活用をしていけるものであろうというふうに私は思います。
 ただ問題は、やはり中小に及んでいったときに、そういう負担の問題がどうなってくるのかというのが、これは必ず大きな問題になってこようかなというふうに思います。そういう意味で、私は負担の面がどの程度なのかということをお伺いいたしました。
 同時に、またこの中で、今後の予定のところで、必要な周知期間を考慮するとともに、中小企業の認証取得の機運を促す見地から、局としてもできる限り支援していくというふうに、プレゼンではこうおっしゃっているわけですから、どうかこのISO九〇〇〇シリーズ、皆さん取っていただいて、都の業者も助かるというんであれば、これはどんどん推進をしていただきたいと思いますけれども、そういう中小の方々にどういう配慮ができるのかということをよく検討していただきたいし、それに対して、どうか前向きに取り組んでいただきたいというふうに思っております。
 それで、先ほどだれかがいわれましたけれども、最後に局長の感想を聞くというのは非常に月並みだと思いますけれども、最後に、局長どうですか、感想を。

○鈴木下水道局長 このISO九〇〇〇シリーズの契約に条件として入れていこうということは、先ほど来いろいろお話ありましたように、当局職員が今後大幅に減っていくと、従前のような完全な監督体制を維持することは難しい、こういう背景が一つございます。
 また、先生おっしゃるように、これを一挙に中小企業の工事まで広げてしまいますと、やはりいろいろ問題がございます。これも十分わきまえておりますので、そういう拙速と申しますか、無理の生じないような形で、また、私どもISOに関してはいろいろ局内的にもノウハウを持っておりますから、これを中小企業の方々が認証を取得する際に、何とか活用できるというか、私どもがお手伝いできるような、そういうことも考えていきたい、かように思っております。

○嶋田委員 私は、平成十二年度の予算原案の中にありますけれども、下水道局が下水熱の利用、すなわち資源の有効活用をして頑張るという地域冷暖房関係のことについて伺っていきたいと思います。
 二十一世紀の東京は、環境負荷の軽減、さらには自然環境との共生など、環境に配慮をした都市であるべきと私は考えるわけであります。
 このためには、東京の都市活動に伴う廃棄物の発生自体をまず極力少なくすること、そして、発生したごみや下水処理水あるいは下水汚泥などを資源として有効に利用して、環境負荷の小さい都市づくりを行うことが重要であると考えるわけであります。
 都においても、危機突破・戦略プランで、都庁が率先して環境革命を推進するとしています。都市づくりにおける環境配慮の実践を挙げているわけであります。
 ところで、下水道局においてはこうした視点に立って、早くから、一つは再生水事業、汚泥の資源化あるいは下水の熱利用などを行っています。これは環境に配慮した都市づくりという点では、大変有意義であるというふうに私は考えるわけであります。
 そこで、下水道局が実施している下水熱の有効利用について、私は今後とも大いに進めてもらいたいと考えておりますので、この観点から、幾つかの質問をしたいと思います。
 まず、地域冷暖房、このことを下水道局の事務事業でちょっと見ましたら、こういうふうに書いてあるんです。課題と対応のところに、地域冷暖房等に下水の熱を利用することについては、現在、法的な位置づけが必ずしも明確でありません、したがって、次のような課題を解決して、熱利用の推進の環境整備を図る必要があると。
 どういうことかというと、下水の持つ未利用エネルギーを活用した大切なことは、一つは、システムを事業として推進していくための仕組みづくりをきちんと整える。二つ目としては、環境保全効果等を含めた費用対効果の評価手法を確立する。そして三つ目には、新技術の開発、採択等を含めた事業コストのさらなる縮減を図る。そして四つ目に、循環型社会の形成にはコストが必要であるので、このことに対する都民の理解と協力を得ると。こういうようなことをきちんと整えながら、下水熱を利用した地域冷暖房というものを考えていくということは、非常に私も大切なことじゃないかと思うわけであります。
 そこで伺っていきますけれども、まず文京区後楽地区の地域冷暖房事業についてお尋ねをしたいと思います。
 これは、たしか平成六年七月より、全国で初めて未処理の下水を熱源に、国の熱利用下水道モデル事業として始めた、供給を開始したと記憶しているわけであります。
 当初、この事業開始当時は、東京ドームに隣接する二棟のビルと住宅金融公庫ビルだけだったそうであります。その後、熱供給の対象となるビルが計画どおり、まだまだそろわないということで、下水道局も大変苦労をしたというふうに聞いているわけであります。
 先般、私も現地を見させていただきました。そのときの説明では、昨年、トヨタ自動車の東京本社ビルへの供給が開始された。また、近々、新たに東京ドームホテルと下水道局の後楽ポンプ場との合築のビルが供給対象のビルとして開業するとのことであります。したがって、この後楽地区、地域冷暖房の事業環境も、当初の平成六年の開始当時とは大きく変わってきているように思うわけであります。この間の当局のご努力については高く敬意を表するわけであります。
 そこでまず、現時点の事業の状況についてお聞きしたいと思います。
 また、地域冷暖房事業を計画するに当たっては、先ほど四つの、環境強化のこともいいましたけれども、事業実施による環境保全効果として、個別の冷暖房で重油や灯油を燃やすのに比べて、具体的には二酸化炭素とか、あるいは窒素酸化物の削減効果が、当初はこういうような予定であったという計算値があると思いますけれども、事業を実施してみて環境保全効果などがどうであるか、現状の数値もあわせてお尋ねしたいと思っております。

○時田参事 後楽一丁目地区の地域冷暖房事業につきましては、ただいまお話ございましたように、供給の対象として計画しておりました施設のうち商業施設一棟、業務施設二棟の地域冷暖房への加入がおくれておりました。しかし、平成十一年には予定されていた業務施設のうち、トヨタ東京本社ビルが空調設備の更新にあわせて加入いたしました。
 また、この四月からは、東京ドームホテルと後楽森ビルに熱供給を開始することになっております。これで計画しております施設が、すべて地域冷暖房を利用することになりました。この間、供給上のトラブルもなく、事業は安定的に推移しております。
 また、環境保全効果についてでありますが、平成十年度実績で、二酸化炭素が四〇・七%、窒素酸化物は四〇・二%の削減と、環境負荷軽減の実績を上げております。今後、熱需要が増加することによりまして、さらに環境保全効果が上がるものと見込んでおります。

○嶋田委員 特に後楽ポンプ場の裏は、小石川後楽園という、都内でも唯一の自然環境のあるところでありまして、今あそこへ向かってのポンプ場からの緑道整備なんかも行っているわけでありまして、ぜひともこの後楽の例の地域冷暖房事業が、ますます地域の環境とマッチして、そして後楽園のドームホテルもできることでありますから、臨海の熱供給と同じように、ホテルができると、熱事業もたくさんもうかって料金を値下げするようなことまでいくわけでありますから、ぜひとも後楽の方でもいろいろご努力いただきたいというふうに考えるところでもあります。
 次に、新しい地域冷暖房、すなわち下水道局が江東区の新砂土地区画整理事業の地域内に、現在企画している地域冷暖房事業について伺っておきたいと思います。
 この新砂土地区画整理事業では、一つは高齢者の福祉医療の複合施設として高齢者の専門病院、そして特別養護老人ホーム、さらに老人保健施設、さらには重症の心身障害児者の施設、この四つの施設が建設されているというふうに聞いています。
 これも現場を見てきたわけでありますけれども、既に広範な形でエリアを決めて建設がどんどん進んでいるということで、この医療関係施設は二十四時間稼働するとともに、お風呂などの給湯の需要も多くあるなど、地域冷暖房事業の対象とするのには最適な施設であると私は思います。そういう意味では、需要サイドの仕組みを十分に考えたなというふうに受け取るわけであります。
 そして、この新砂三丁目地区地域冷暖房事業の供給方式は、隣接する砂町の水処理センターの下水処理水を熱源とするだけではなくて、東部汚泥処理プラントの汚泥焼却炉から出る高温の廃熱の熱源を利用して供給するというふうに聞いています。特に、この汚泥焼却炉の高温の廃熱を利用するという点では、これまでにもないことだと思います。
 したがって、この熱供給を受ける利用施設側の需要に対処したものであり、さらには下水処理水と同じくこれまで出た、ただ排出していただけの汚泥焼却炉の廃熱をエネルギーとして利用することによって、これまで経験をしなかったような環境保全効果、あるいは省エネルギーの効果が図られるというふうに私は考えるわけであります。
 ちょっとお聞きをしますけれども、これらの新しい方式を採用することによって、環境保全効果が後楽の地域冷暖房と比べて高くなるんじゃないかと考えるわけでありますが、この新砂の地域冷暖房の仕組みと、そして具体的な環境保全効果について、伺っておきたいと思います。

○時田参事 新砂三丁目地区におきましては、砂町水処理センターの下水処理水を熱源とするとともに、新たに東部汚泥処理プラントの汚泥処理の廃熱処理過程で排出されます高温の洗煙水をも熱源とする新方式を採用しております。
 こうした下水熱を最大限に活用したシステムを採用いたしました結果、環境保全効果は後楽一丁目地区よりも高く、二酸化炭素の削減効果は六三%、窒素酸化物の削減効果は七四%と見込んでおります。

○嶋田委員 大変な環境効果があるわけでありますけれども、次にお尋ねしたいのは、例えば、今ありました排煙を洗って熱源とするというプラントが東部の汚泥処理プラント。そして基地になる砂町の水処理センターは、一・五キロぐらい離れているところを管で引っ張ってくるんでしょう、きっと。そういうような形でいろいろと事業にお金もかかると思うんですけれども、この新砂地区の事業の採算性はどうかということを、ちょっとお聞きしたいと思います。
 下水道局は、この熱利用だけではなくて、他に再生水の事業も現在やっているわけであります。確かにこれらの事業は、冒頭申し上げましたように、環境負荷の小さい都市づくりを行っていく、そういう目的に対しては非常に大きな効果があったと思います。
 しかし、この事業を実施することで、いわば本業の下水道局の財政に悪影響があってはならないと私は思います。
 一つは、例えば、環境負荷の軽減や自然環境との共生を配慮する環境配慮のための施策でありますから、今、下水道局が雨水は一般会計からお金をもらっているというような形で、この地域冷暖房のこういう環境軽減に対する問題等については、補助金をいただくというようなことがあってもおかしくはないと私は考えるわけでありますけれども、どうでしょうか。
 それから再生水事業でも、あるいは地域冷暖房事業でも、施設そのものの建設に対しては、新世代下水道支援事業制度というのがあって、国庫補助の対象になっているというふうに聞いていますけれども、こういうバックアップもある。
 しかし、施設の維持管理を含めた事業運営は、実際には使用料などの事業収入で賄うという独立採算という事業で、この地域冷暖房があるわけであります。そうしますと、下水道局としては、事業実施に当たって、事前に採算がとれるのかどうかということについて、十分に見きわめていく必要があるんじゃないかと思うんです。
 これはなぜこんなことをいうのかといいますと、非常に新砂の、あそこのエリアはすごく広いんですよね。膨大なところでありますから、そういう意味で質問をしているわけでありまして、この新砂地域の地域冷暖房事業の事業の採算性について、局としてはどう考えているのか、お聞きしておきたいと思います。

○時田参事 新砂地区の事業採算性のお尋ねでございます。
 この地区の事業は、第一に、供給対象施設が当局の砂町水処理センターに隣接しているという立地上の有利さがございます。
 さらに、先ほど先生からお話ありましたように、高温の廃熱を利用するということで、下水熱の持つ温度条件を最大限に活用することができるというようなことで、動力費の軽減がこれまで以上に見込まれております。これらのことから、この事業の事業採算性の確保は十分に見込めるものというふうに考えております。

○嶋田委員 後楽も、事業の採算性がとれるという見通しがついた。新砂の方もかなり熱源が豊富にあるということも含めて、それから需要サイドも、非常に大きい四つの施設もあるから大丈夫だということで、事業の採算性の問題も、十分あるということでありますから、これからさらにご努力もいただきたいと思います。
 特に下水道局は、都市排熱の三九%を占めているんですよね。持っているんですよね。したがって、今後とも積極的に下水熱を活用した地域冷暖房事業を進めていくべきだというふうに考えます。まだ二カ所では少ないと思います。
 したがって、東京は我が国経済の中心地でもあり、日本の人口の約十分の一を占めている大都市であるわけでありますから、ここから排出される廃棄物、都市排熱、そういうものは、現在膨大にあるわけであります。したがって、こうした廃棄物を環境への負荷軽減のため、資源として有効活用することは、間近に迎える二十一世紀の都市のあり方を考えると最重要な課題だというふうにいっても過言ではないと私は思います。
 特に、新エネルギーとして下水熱を活用していくことは、今後、下水道が日本全国の都市で、仮に一〇〇%普及するだろうということを考えると、この東京がやっている事業は、極めて大きな意味を持つというふうに考えるわけであります。私は東京都の下水道局が、これを先進的に推進しているということに、大きく自信と評価を持ってほしいと思っています。
 したがって、私も最後に下水道局長に決意をいただきたいと思うんですけれども、特に一つは、環境の側面から見た下水道局の役割、あるいは私が申し上げました二十一世紀の都市の課題に具体的にどう取り組んでいくのか、鈴木局長のご答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

○鈴木下水道局長 先生のお話にございましたように、目前に迫りました二十一世紀の都市づくりにおきましては、環境への配慮ということは大変重要な課題であると私も考えております。下水道局には、汚水の処理、雨水の排除、公共用水域の水質保全という本来の役割に加えまして、環境面でも多面的な貢献が求められております。
 とりわけお話にございましたように、環境負荷の少ない都市づくりという観点からも、化石燃料への依存が少ないクリーンなエネルギーでありますこの下水熱を、もっと積極的に活用していきたいと考えております。
 具体的には、大規模な再開発地区などにおきまして、事業の採算性に十分配慮しながら、この下水熱利用の拡大を図っていきたいと考えております。

○嶋田委員 ぜひ今後ともお願いします。

○藤田委員 ふと気がついたんですが、十二年度は、現行財政計画の三年目ですね。折り返し点だと思うんですけれども、次期の財政計画はしっかりした中長期的な見通しを持った上で策定してもらいたいという強い願望がございますので、この願望に沿って、時間も時間ですから、簡潔に幾つかお尋ねします。
 まず、中長期的な見通しについて、何か検討しているんでしょうか。

○緒方総務部長 私どもは財政あるいは事業についていろいろな課題を抱えておるわけでございまして、これらの課題を解決していくために、昨年四月、局内に経営管理会議という局長をトップとする会議を設置いたしました。その中で長期的な視点に立った事業、財政、さらには経営改善の方向性などについて検討をし始めたところでございます。

○藤田委員 何か検討しているんですかと特定して聞いたんですよ。あなたの答弁ですと、事業や財政、さらには経営改善の方向性など中長期的な見通しについて検討しているという答弁なんですが、ちょっとおおらかな答弁じゃないですかね。
 何をどう検討しているんですかと聞かれたら、どう答えるんですか。

○緒方総務部長 一括して事業とか財政とか申し上げましたけれども、例えば事業につきましては、ある程度、十カ年程度を見通した今後の事業の中身についてどうしたらいいかということを検討しておりますし、財政につきましても、この事業を裏づけたものとしての財政が、十年間でどう見通しながら収支バランスがどうなるかというようなこと、あるいは経営改善の方向性につきましては、今後の組織あるいは人員体制のあり方、そういうことについて具体的に検討をし始めたというものでございます。

○藤田委員 これから出てくるんでしょうからね。経営管理会議を局長をトップにしてつくったということでございますから、今から、どれとどれとどれ検討しているんだなんて聞いたって、それは具体的に答えるべくもないでしょうから。ただ、心配ですので、私の方で幾つかの事柄を挙げて、そして見通しについてお尋ねしたいと思います。
 一つは、一般会計を見ますと、財政再建プラン、経常的経費、投資的経費の削減、定数の削減と、ずうっと並べているわけなんですが、特に、投資的経費を十五年度までに三〇%削るということをいっているんですね。これは下水道も涼しい顔をしていられなくなるだろうというふうに思うんですが、下水道は、今後の投資をどういう観点から進めようとしていらっしゃるんでしょうか。どの程度の水準になるというふうに考えていらっしゃいますか。

○緒方総務部長 今後の投資費等についてでございますけれども、下水道サービスの水準を維持向上していくためには、今後とも浸水対策、老朽化対策、あるいは高度処理の推進など、一定規模の建設投資を計画的に行う必要があるわけでございます。
 一方、建設投資のためには、この財源というものは企業債に求めざるを得ない、こういう状況になっておるわけでございます。これらに関しまして、現行の財政計画におきましては、元利償還費による後年度負担の累増を可能な限り回避するよう、六年から九年までの建設投資額につきましては、前期の財政計画に比べまして二千四百三十億、率にして二六%の大幅な抑制を行ってきたところでございます。
 十四年度以降の事業の推計に当たりましても、将来の収支バランスを十分に考慮しながら、先ほどもいいましたような施策を建設コストの縮減の徹底、事業の緊急性あるいは優先度を踏まえながら、より重点化して行っていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 したがいまして、今後ともサービス水準を維持向上していくためには、現行程度の投資水準が必要になるのではないかというふうに考えております。

○藤田委員 今の答弁のポイントは最後だと思うんですよ。それは現行程度の投資水準が必要になるということですね、この答弁のポイントは。
 そこで、考えていただきたいんですが、現行程度の投資水準が続くということは、今後も多額の企業債償還残高を抱えていくということですよ。ご承知ですね。
 そうすると、後年度負担というのは大きくもならないが、小さくもならない。それから料金値上げの理由は、いつも元利償還による圧迫ということをいってきたわけですから、ここに根拠を与えると。
 それから、現在、多額の企業債残高を抱えつつも、計画に比べて収支が好転しているのは、これは最近の低金利によるところが大きいでしょう。ということであれば、率の動向次第では一気に収支が悪化をすると。それから、今までのやり方で投資を続ければ、次々と施設がふえるわけですから、維持管理費の増が必然だと。一方、普及時代が終わって、使用者の新規増も見込めないで大口需要者も減少するという厳しい状況。これだけの要素が、中長期の収支計画、経営計画を考える上では立ちはだかるんですよ。
 にもかかわらず、現行程度の投資水準が続くというご答弁なんですが、今、私は議事進行に協力する意味で、一々確かめないで私の認識だけをずらっと三点か四点申し上げましたけれども、下水道局では、今私が申し上げたようなことを念頭に、今後の事業費をどう見込んでいくのか、投資水準は一体どうするのか、維持管理費、料金の動向はどうなるのか、これはどういうふうに考えていますか。

○緒方総務部長 投資水準につきましては、先ほども申し上げましたとおり、一定規模の事業費が必要だというふうに考えております。
 仮に短期的に下げたといたしましても、後年度にその分ふやさざるを得ないという状況になりまして、したがいまして、中長期的には現在規模程度の安定的かつ継続的な投資水準が必要なのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 維持管理についてでございますけれども、これにつきましては、全体的に施設規模がふえる、あるいは能力アップによりまして、長期的には経費が徐々に上昇していくのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 一方、料金につきましては、ご指摘のとおり、大口から小口へとシフトする最近の水需要の変化によりまして、現行の料金体系を前提といたしますと、減少傾向がしばらくの間続くのではないかというふうに予測しておるところでございます。
 このようなことから、私どもといたしましては、これらを踏まえながらコストの縮減の徹底を図り、さらなる経営改善に努めながら収支のバランスを図り、長期的な見通しに立った計画をつくっていかなければならないというふうに考えておるところでございます。

○藤田委員 もういい回しをはしょりますけれどもね、今の答弁ですと、投資水準は減らさないと。それから維持管理費はふえると。しかし、その一方で小口化によって料金は先細りだと。あなたはそういったんですよ、今の答弁。
 そうすると、経営改善の一層の努力をするというふうにいいましたけれども、現行計画の経営改善の努力の実施状況を、念のために伺っておきたい。

○緒方総務部長 現行の財政計画におきましては、建設投資、維持管理、業務運営の各方面にわたり効率化を図ることといたしておりますけれども、具体的には、投資水準の抑制、補修費、改良費の抑制、メンテナンス経費の削減あるいは四百五十三人の人員削減、業務手当の削減というぐあいに、さまざまな改善努力に努めますとともに、一方では、資産の有効活用による増収対策などを進めながら、総額で七百三十五億円の経営改善努力を行うということにしております。
 現在までの実施状況でございますけれども、投資水準につきましては、若干、景気の対策の前倒し等がございましたけれども、通算いたしますと、平成十二年度の一千六百五十億円を含めまして、計画どおり予算化し抑制に努めておるところでございます。
 また、維持管理費の削減につきましても、処理場等現場での努力によりまして、着実に実績を上げているところでございます。職員の定数の削減につきましても、既に十年、十一年で二百六十人を削減したところでございまして、計画どおり実施していく予定でございます。
 その他の項目を含めまして経営改善努力を厳しく実施しているところでございまして、計画事業の実現に向けて目標達成に努めていく、こういう決意でございます。

○藤田委員 これは私の主観ですからね、私の思いですから、余り拘束しようと思わぬですが、そういうことをわきまえていいますけれども、定数削減なんていうのは計画どおり実施しておりますなんて、あんまり大威張りでいってもらいたくないんですよ、僕の気持ちは。
 結局、投資水準は減らさない、減らしたにしても後でふえるんだから一緒だと。それから維持管理費も、これもそう簡単に減らすわけにはいかない。しかし、料金の方はなかなか減ってこないだろうと。これ三つ重ねたら、行き着くところは、もたなくなったら料金値上げということじゃないですか。結局、行き着くところは料金値上げというふうにしかならないじゃないですか。そういうふうに僕は思う。
 いま一つは、今の説明で、経営改善の努力の実施状況をお聞きしましたけれども、内部努力だけは完全達成あるいはそれ以上なんですよ。後のことはきょうは聞きませんが。
 そうすると、これは水道のところでもいいましたし、去年も下水道局にいいましたから同じことをいうようで大変恐縮ですけれども、毎年、定数カット、給与費削減、維持管理コストの減と。この内部努力というのは、裏返しでいえば職員の汗の結晶じゃないですか。その努力の結晶じゃないですか。そこに切り込むということじゃないですか。こんなことばっかり繰り返しておったら、嫌になっちゃうよ。働く張り合いがなくなっちゃいますよ。そういうふうに私は水道局でも同じ意見をいったし、去年も同じことをいったから答弁はあえて求めません。
 そこで、ワンパターンで局長のところへ振りますが、都民と職員へのしわ寄せということ一本やりでは、到底都民と職員は納得できないし、これが健全な中長期を見通した計画とはいい切れないだろうという思いがございますが、根本から事業を見直して体質を変えていくべきだということは去年も申し上げましたが、その上で、改めてしっかりとした中長期的見通しを立てて都民にも職員にも納得のいくような事業を運営していくべきだと、こういうふうに思うんですけれども、どうですか。

○鈴木下水道局長 しっかりした中長期的な経営の見通しを立てて事業を進めていくべきだというお話はまさにそのとおりでございまして、私どももそういう観点から、先ほど総務部長も触れましたけれども、局内に経営管理会議なるものを設置いたしまして、今、白熱的に議論を積み重ねているところでございます。
 また、今後、事業を展開していくに当たりましては、先ほどお話もございましたように事業内容の積極的なPR、こういったことによりまして、都民に対して事業の透明性を高めて都民の理解を求めていきたいと考えております。
 都民の理解を求めると申しましても、即料金値上げで理解を求めるということじゃございません。私どもは安易に料金値上げをするつもりはございませんで、自分たちの中でできるだけのことは最大限やっていきたいというふうに考えております。
 そういう意味で、局の職員が一丸となって課題に取り組む、そういった体制を確立して、職員の意識改革と一層のモラールアップを図って組織をさらに活性化していきたいと、こういうふうに決意しております。
 こういったことを土台としながら、公営企業局として公共性と経済性を発揮しながら、効率的かつ効果的な事業運営に努めてまいります。

○藤田委員 局長に最後に答弁をというのは、これで質問を終わりますよというメッセージでもあるんですよね。だから、そのメッセージを発信しておきながら、今の答弁をひっつかまえて、重ねて鈴木局長の答弁を求めるようで大変恐縮でございますけれども、私がいいましたのは、結局は料金値上げと、それから内部努力という名の職員に対する協力をお願いするという道をたどらざるを得ないだろうと。それでは張り合いがなくなるから何か知恵はないのかと、こういうふうに聞いている。職員の意識改革と一層のモラールアップなんていうのを聞いたんじゃないんですよ。
 職員に理解してもらうためにどういうことをやるんですか。この一点だけでいい。あなたの見解を聞きたい。

○鈴木下水道局長 職員の理解をどう求めるかというご質問だと思いますけれども、ただいまの答弁してまいりました経営管理会議というものは、局長をトップにと申し上げましたけれども、実は下の方といいますか、職場の、例えば一つ一つの管理事務所、建設事務所にもこういった経営管理会議がございまして、その中には管理職だけではなくて、職員も含めて徹底的な議論を進めて、そういったものを積み上げて局全体の経営管理会議で判断していこうと、こういうことでございます。
 そういう議論をしていく過程で、職員の参加意識も求めますし、そういうことで、そういう過程を通じて、職員全体が一丸となっていけるものと私は考えているところでございます。

○前沢委員 多摩川の上流、多摩上の処理区の負担額の変更、それと秋川処理区の負担額の変更という、二つの議案に対する質疑をさせていただきます。
 多摩上の処理区の変更は、昨年の一定の一般質問で申し上げた青梅、羽村、福生、これにまたがるいわゆる多摩川上流雨水幹線の事業費が膨らんだということによる負担額の変更なんですが、一定では、一般質問ですからいいっ放し、聞きっ放しということで終わっておりますので、少し突っ込んで質問させていただきたいと思うんです。
 私は一定で、いろいろな工夫をして雨水、とにかく管に流し込んで持っていくというだけじゃなくて、いろんな雨水対策等々も努力をして、そしてコストの縮減や、あるいは管をもっと小さなものにできないだろうかと、こういうような質問をさせていただいたんですが、残念ながら、全く同じ事業費の変更で出されてきております。
 当初計画の百九十七億円から三百八十億円ですね、約二倍です。本当に、これは常識じゃ考えられないような負担額の変更なんですね。ルールに従って、国が総額の二分の一、東京都と関係市がそれぞれ四分の一という負担になるわけでありますが、東京都の負担は五十億八千万円、関係三市は、青梅が二十七億七千三百九十六万円、羽村が二十億三千九百七十二万円、福生市はちょっと低いんですけれども、それでも二億四千五百六十二万円と。これで合計五十億五千九百三十万円と、こういう金額になるわけです。
 東京都の負担もさることながら、今日の危機的な財政状況の中で、これは大変な額ですよ。三市の市民生活にかかわるいろんな施策にも影響を及ぼすものなんです、これは。こんな膨大な負担額の変更が生じたと。その理由について、まずお聞きしたいと思うんです。
 それからまた、変更になった項目が幾つかありますけれども、これについても、金額をそれぞれお示しいただきたいというふうに思います。

○鈴木技術部長 事業費が増額になったその理由と金額についてのお尋ねでございますが、まず金額から申し上げますと、全体事業費の増額は百八十三億円でございます。
 その主な理由でございますが、シールド機種の変更によるものでございます。当初、地質が安定しているとの予測から、開放型シールド掘削機を用いることとしておりました。事業実施に当たりましてボーリング調査を詳細に行った結果、湧水の影響や地質が崩落する恐れがあることが判明いたしました。このため、密閉型シールド掘削機へ変更せざるを得なかったものであります。
 これに伴う増額変更は百八十三億円の約八割を占めております。また、残り二割についてでございますが、JR青梅線などの重要構造物の防護や他企業埋設物の移設等によるものでございます。
 なお、関係三市には今回の増額について十分に説明いたしまして、理解を得ております。いずれも異議ございませんとの回答をいただいておるところでございます。

○前沢委員 関係三市の同意を得ている、理解も得たというふうにおっしゃっているんですが、これを提示された一昨年の十二月の時点で、青梅市の市議会、羽村の市議会でかんかんがくがく議論になっているんです。青梅市などでは全協で説明を受けて、やっぱり意見書を市長出せよと、こういうふうになっているんですよ。そういうことで、密閉式のシールド掘削機に変更したということで約百八十三億の八割、つまり百四十六億四千万円、それからJRの青梅線の重要構造物の防護や他企業の埋設物の移設、これは三十六億六千万円になります。
 こういう行為は事前に、いわゆる契約以前にですよ、事業決定するときに、事前に調査をやらないんですか。いきなり発進してやっていったら、掘ったらこれはだめだというんで、変更するということでやるんでしょうかね。青梅線にしたって、こんなことはわかっているわけで、青梅線の下をくぐるというのはね。事前にそういうことはわかっていたはずだし、埋設物といっても、二十三区のようにいろんなものが地下にあるわけじゃないでしょう。多摩地域なんて、そんなにたくさんの障害物が地下に埋まっているとは思えないし、どうなんでしょうかね、そういう点は。

○鈴木技術部長 まず、事前にどのような調査を行ったかということでございますが、多摩川上流雨水幹線は、昭和五十五年に完成いたしました流域下水道の羽村幹線とほぼ同一の路線で、その約五メートルから十メートル下に位置しております。このため、この羽村幹線施工時に得られました地質の状況、施工実績、それからこの近くの地質データを参考にいたしまして、事業費を算出したものでございます。
 次に、残り二割の増額の主な理由ということでございますが、立坑山どめ工法におきまして、現場の地質が予測と異なりまして大きな玉石が大量に含まれておりました。また、地下水も高いことから、当初の鋼矢板工法から圧入、ケーソン工法に変更しております。
 また、二つ目といたしまして、地権者の事情によりまして、立坑用地として予定しておりました民地が借用できず、道路の下に立坑や作業宿を設置せざるを得なかったわけでございます。これに伴う都市下水路やガス管などの埋設物の移設が必要となったわけでございます。
 以上の二つが残り二割の大部分を占めておりますが、このほかの要因といたしましては、ご指摘にありましたJR青梅線の防護につきまして、管理者でありますJRと協議の結果、安全確保のために、鉄道の軌道の沈下量が三ミリ以内におさまるようにと、もしこれを超えたら工事を中止するという条件がつけられまして、計測管理坑が追加になっております。
 また、玉川上水の横断に際しまして、薬液注入によりまして、既設橋梁の防護を追加したことなどがございます。

○前沢委員 羽村幹線を五十四年にやったと。今度の雨水幹線は同じ路線でやったから、既に地質についてのデータは持っていたということなんですが、このいわゆる多摩上の汚水幹線、羽村幹線といわれるものと、今やっている雨水幹線というのは、深さはどういうふうに違うんでしょうか。

○鈴木技術部長 羽村幹線との深さの位置関係でございますが、約五メートルから十メートル下に多摩上雨水幹線を予定しております。

○前沢委員 今の地下鉄の十二号線の問題だとか、それからこの間の臨海高速も、JRの横暴というのはすごいよね、これは本当にね。しかも、東京都はいいなりでしょう。こういうのは変えていかなきゃだめだと思うんです。
 それから、羽村幹線と今回の雨水幹線とは五メートルから十メートルの深さが違うということなんですが、五十四年の工事のときに、データをもう知っていたと。だから必要ないというふうにいっているんですけれども、掘ったら玉砂利が出たり、いろんなことになってきているんですが、この地域というのは古多摩川といって、古い多摩川と書くんですが、青梅が大体標高百二十メートル、立川が七十メートルなんです。かなりの傾斜になっている地域なんですね。
 そういう台地の上部は三メートルないし四メートルぐらいは関東ローム層といわれている地層になっているんですが、その下はずっと砂れきになっていくわけですね。それで今の雨水幹線の行われているところというのは、比較的歴史的には新しい、風化していない、そういう硬質のれき層なんですよ。これが大体三メートルから四メートルあるんです。地質調査、羽村幹線のデータでは、これはここでは通用しないんです、それからの下の地層というのは。
 当然、新たな調査が必要だったんですね。それをやらないでーーこれは学会でも明らかなんですよ。私も、この地域の問題について専門家にお聞きして驚いたんですが、そういう調査をきちっとしないで、羽村幹線がやったから、その下十メートルは大丈夫だろうというのは、大体ここに大変な間違いがあったんだというふうに思うんです。
 そういう調査を、ボーリングもしてきちっと調査をした上で一体どうするか、これだけかかるということになれば、こんな大きな金がかかるということになれば、三市だってこれは大変だっていう話になるんですよ。そういう点に、私は問題があったんではないかと思います。
 この点について答弁をいただきたいと思います。

○鈴木技術部長 調査をもっと入念にすべきであったかというご質問でございますが、通常、都市計画決定や事業認可を行う際の調査設計におきましては、既存の資料を最大限に利用しながら概算事業費を算出するのが一般的でございます。
 今回につきましては、ご指摘にありましたように、れき層の地帯であるということは羽村幹線の施工時点にわかっておりまして、この下も恐らくれき層であろうということは、推測できたわけでございます。
 しかし、一番の大きな点は、地下水の変動を見抜けなかったことでございます。この地域におきましては、半年間で水位が五メートルから六メートル上下するという実績もございまして、羽村幹線施工時には地下水が大きな問題とならなかったということで、開放型シールド工法を計画したということでございます。

○前沢委員 大体、れき層というと、大人の頭あるいはこぶし大の石が重なっているところなんですよね。そういうところでしょう。だから水位も、そういうところですから変動しますよね。そういうところに、そういうものを通さなきゃいけないという、あらかじめの調査があれば、これについてはもっと違った結論が出たはずなんですよ。そこを私は指摘しているわけなんです。
 これはやっぱりそこのところに、今度のこの計画を進めたというところに問題があるんだというふうに思います。この点は、一つ指摘にとどめますけれども、本当にこれは今後の教訓にしなきゃならない問題だというふうに思いますよ。
 次に、昨年の八月十四日、それから二十四日、この雨水幹線の一番上の青梅市でかなりの、この地域ももちろん全体でですけれども、集中豪雨があったんですが、特に上流部のこの計画地域の被害状況について、つかんでいますか。

○鈴木技術部長 青梅市の調査によりますと、市の東部地域では、八月十四日の降雨によりまして道路冠水が発生しております。
 また、八月二十四日にも降雨があったわけでございますが、このときは被害は発生していないとのことでございます。

○前沢委員 私も青梅市が発表した被害状況をちょっと見たんですが、この計画区域で見ますと、十四日は多摩川上流の区域内では新町九丁目、青梅街道の工業団地入口のところの道路冠水ということで、これが一件ありました。それから同じ新町九丁目で、浸水の危険があるというのが二件連絡があったということなんですね。
 それから、二十四日は新町一丁目で床下浸水二件が発生したと。これは消防団が出て側溝をきれいに清掃したらすぐ水が引いたというのと、野上三丁目の青梅街道、ここのところで、やっぱり道路冠水があったようです。それから、新町九丁目でマンホールのふたの浮き上がりがあったというんですね。
 そこで、青梅市が一番上部になるんですが、この被害状況を見ると大体、余りひどい状況じゃないんですね。かなり下流に流れていったというふうに思われるんですよ。そういうことで、青梅市のこの計画区域内の、いわゆる浸透とか貯留とかというような施設の状況というのは、どうなんでしょう。

○鈴木技術部長 青梅市の東部地域におきます貯留浸透の設置状況ということでございますが、都市計画局の資料によりますと、平成十年度末現在でございますが、浸透ますが五百二十五基、透水性舗装が一万一千八百四十四平方メートル、貯留池が六千三百三十五立方メートルとなっております。

○前沢委員 羽村市の方は、さすがに三〇ミリぐらいの降雨で水が出るところだから、かなり力を入れてこういう浸透ます、あるいは貯留をやっているんです。しかし、実際に上流部で何とかしないとだめなんですね。下流が幾ら努力しても、上流部でやらないとだめなんだ。
 そういう点で、現地を見るとわかるんですが、青梅の若草通りの、あの通りですよね。公園もありますし、まだ結構空き地もある。それから羽村市に入った工業地帯、こういったところでかなりの貯留浸透の対策をとれば、絶対これはこんな大きな投資をしなくても、十分に対応できると。クイックプランまで、今出てきているわけでしょう。多摩地域はこういうものが適用にならないんだよね、二十三区はそれでいくんだけれども。藤田さん、この間まで流域下水道本部にいて頑張っていたんだけれども、多摩格差が拡大しちゃうんだ、これじゃあな。そういう意味では、本当にこういう対策をやっぱりとらなきゃだめだというふうに思います。
 そういう点で、これは都市計画局、先ほどもクイックプランのあれがありましたけれども、羽村でも、浸透ますを各戸もやろうとしたら、都市計画局が補助金を出さないということで切っちゃうわけだからさ。これじゃあ、この問題は解決しませんよ。供用開始までに、こういうものは一定の年月がかかりますから。こういう幹線というのは、金もかかるけれども、年月もかかると。
 しかし、水はちょっと降ればもうあふれ返るということに対して、これは多摩地域といえども真剣になって、下水道局の皆さん方は、事水処理あるいは下水に関してはプロなんですからね、こういう点では知恵を絞っていただきたいと思うんです。これについてお答えいただきたいと思います。

○鈴木技術部長 貯留浸透施設のさらなる普及をというご質問でございますが、関係局と協力しながら、各市につきましては技術的な支援を行ってまいりたいと考えております。

○前沢委員 時間の関係もありますので先へ進みますが、檜原村の流域下水道編入問題について一言述べたいと思うんです。
 さきの事務事業の報告の中でもやりましたので、そうたくさんはやりませんけれども、まず第一に、あきる野市の小中野あたり、この辺から檜原村の入り口まで約七キロという距離なんですが、この間、私も檜原村を訪ねまして、この計画について現地も見てきたんですが、かなりの起伏がありますよね。カーブしていたり、起伏があったりという地域なわけですけれども、岩場もある、山道でありますが、どのような工法で工事を行うのか。また、本事業の総額は幾らになるのか、これについてお聞きしたいと思います。

○鈴木技術部長 あきる野幹線の敷設工法と事業費の総額についてのお尋ねでございますが、あきる野幹線は、内径二〇〇ミリから八〇〇ミリとなっております。また、その延長でございますが、約七キロでございます。
 この幹線の敷設工法といたしましては、開削工法を主体に、一部区間において推進工法の採用を検討しているところでございます。
 事業費の総額についてでございますが、下水道法の事業認可取得前でございますので、当該幹線の敷設予定ルートの地質状況や地下埋設物の敷設状況は、付近の工事資料などによりまして、これを参考に概算金額として算出したものでございますが、約十八億円かかると推計しております。

○前沢委員 この出された負担額の変更の説明によると、檜原村の負担が六億四千万円なんです。この七キロの流域下水道の幹線の負担ですよね。それと秋川処理区の管渠と施設、処理場の負担が、合わせるとこのくらいになると。六億四千万円。
 この上に、檜原村として檜原処理区三十五ヘクタールについて公共下水道の事業をやるわけですね。村の入り口から神戸まで、私も現地を見ましたけれども、ご承知のように、北秋川に沿って家が張りついているということーーいわゆる面的なものがないんですね。ただ一本の線がずっと川に沿ってあって、そこに張りついている家々のものを取るという、余り効率的じゃない公共下水道なんですね。
 そこで、村の生活環境の向上とか、あるいは秋川の水質を保全するという上で、この下水道の整備というのは、本当に必要不可欠の事業だというふうに私ども認識しております。ですから、平成八年ですか、この村で策定された、村単独の特定環境保全公共下水道整備ということで、下水道基本計画、こういうものをつくったんですね。
 これに対して私どもも、東京都も、都市計画局を含めて大いに援助して、そして実現をしたらどうかということを、いろいろ環保の委員会でも要求しましたし、そういうことなんですね。
 今回提案されている流域下水道負担が六億四千万円、そして公共下水道の事業費が約三十七億円なんですね。このまま事業化しますと、村の財政というのは一体どうなるんだということです。
 私は総務局にも聞いて、過疎債とかいろいろあるようですけれども、これは起債の充当率が非常に高いと。あるいは地方交付税に算入されると。算定されてくるということで、有利なそういうあれなんだけれども、これはもう全国的に、過疎なんていうところがあって、そこで行ういろんなーー下水道ばかりじゃないですからね、社会福祉施設から教育施設から、いろんな事業に、これは分捕りになっているんです、過疎債というのはね。ですから、なかなかこれがここに張りつくかどうかというのは、難しい話なんですよね。
 そういうことで、檜原村の公共下水道事業費三十七億円、このうち村の負担というのは十八億四千七百万円なんですよ。起債で十七億一千百万円、計画を拝見しましたら、こうなっているんです。
 そうすると、檜原村の一般会計というのは、平成十二年度は二十六億七千万円なんです。そのうちの、いわゆる村税は二億六千五百万円。これでこの流域の事業を、そして公共下水道をやるわけですよ。これは大変なことにならざるを得ないということで、私はもっと慎重に検討して、そしてそういう財源対策も含めたーーこれ、流域下水道本部でできる仕事じゃないと思うんです。
 これは本当に、都庁を挙げてこういう問題に取り組まなきゃならないと思うんです、こういう地域のこうした環境整備というのは。これからまた奥多摩もやろうとしているわけでしょう。どういうもので、これは本当に距離が長いし、大変なことにならざるを得ない。
 そういう点で、私はこれは賛成できないなという、村の人たちの気持ちというのはよくわかりますし、それは当然、財政的に非常に危険だということなんです。そういうことを指摘するものでありますけれども、ぜひこういう対策、流域下水道本部としてできる維持管理だとか、今後の建設の問題だとか、そういうことでできることもあるでしょう。これはこれとして、やっていただきたいし、同時に、やはり何といっても基本的な、村をつぶしちゃうようなーー私も清瀬市で苦労して下水道事業を推進してきた経験があるんですけれども、これはまあ大変なことですよ、多摩の市町村にしてみたら。
 ましてや、こういう二億何千万円しかない財政、村税の中でいろんなことをやらなきゃいけないでしょう。国民健康保険の事業、介護保険の事業、いろんなものをやりつつ、そしてこういう事業にも着手しなきゃならぬということになると、本当にこのままスタートしていいのかどうかということを、ちゃんとそういうものを裏づけできるような、そういうものをやっぱり東京都は総力を挙げてやらなきゃならないんじゃないか。
 これは本部長に、ぜひ局長に答弁をいただきたいというふうに思います。

○横山流域下水道本部長 檜原村の財政状況が厳しいことは、当局としても十分認識しておるところでございます。現在、村といたしましては、財政負担の軽減方法などにつきまして、都の関係部局と協議を進めておると聞いております。
 当局の対策といたしましては、建設面、維持管理面、この両面に分けて、まず考えることができるかと思います。
 まず建設面でございますが、幹線の敷設ルートの檜原街道は非常に起伏に富みまして、また、地盤がかたいというような特徴がございます。このようなことから、自然流下方式で敷設いたします区間につきましては、既定の掘削幅ではなくして、掘削幅をできるだけ狭くしたり、また埋設の深さにつきまして、創意工夫を行いまして浅くするなどの工法を採用したいと考えております。
 また、橋の部分や山を越える上り坂などのところにおきましては、マンホールポンプを採用いたしまして、これは水道と同様に圧送する工法でございます。この工法によりまして管渠敷設費を低減するなど、コスト縮減を図ってまいりたいと考えております。
 次に、管理面に対する方策でございます。維持管理のコスト縮減についてでございますけれども、流域下水道事業における維持管理費は、全処理区統一単価で関係市町に負担をしていただいておるのが現状でございます。
 これまでも効率的運営に努めてまいりましたが、今後とも、電力消費量や燃料費、薬品費の節減に努めるとともに、このたび採用される予定のマンホールポンプ等を用いた管渠の管理や水質管理業務など、村が管理する公共下水道の維持管理につきましても積極的な技術支援を行ってまいりたいと、こう考えておるところでございます。

○大木田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、本案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時三十一分散会

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