公営企業委員会速記録第二号

平成十二年三月三日(金曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 十三名
委員長大木田 守君
副委員長野田 和男君
副委員長前沢 延浩君
理事織田 拓郎君
理事田村 市郎君
理事清原錬太郎君
高島なおき君
藤田十四三君
大山とも子君
小山 敏雄君
嶋田  実君
東ひろたか君
中山 秀雄君

 欠席委員 なし

 出席説明員
交通局局長横溝 清俊君
次長寺内 廣壽君
技監堀内 俊夫君
総務部長橋本  勲君
経営企画室長久保田経三君
職員部長佐伯 憲彦君
電車部長加倉 忠彦君
自動車部長松尾  均君
車両電気部長水元亜紀雄君
建設工務部長佐藤  俊君
経理契約担当部長馬場 正明君
関連事業担当部長伊東 啓治君
特命担当部長佐々野良一君
技術管理担当部長大矢 爽治君
水道局局長赤川 正和君
技監石井 健睿君
総務部長石山 伸彦君
下水道局局長鈴木  章君
次長緒方 弘毅君
総務部長緒方 敏彦君

本日の会議に付した事件
 決議について
 交通局関係
  付託議案の審査(質疑・決定)
  ・第二百五号議案 平成十一年度東京都高速電車事業会計補正予算(第一号)

○大木田委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 初めに、決議について申し上げます。
 お手元配布の水道料金の減免措置に関する決議外一件については、先ほどの理事会において調整がつきました。
 朗読は省略いたします。
水道料金の減免措置に関する決議(案)
 東京都議会は、平成十年三月、史上空前の不況下にある中小企業や都民生活を守る立場から、社会福祉施設、用水型企業等の施設に対する水道料金の減免措置を求める決議を行った。これを受け

て、都においては、水道料金の減免措置を実施しているが、本年三月末日をもってその実施期間が終了することとなる。
 しかしながら、都内の景気動向は、企業の業況感の回復、倒産の減少など一部に明るさがうかがえるものの、経済指標の多くは依然として低い水準で推移している。とりわけ、完全失業率が南関東では五・六%と過去最高を記録するなど、中小企業や都民生活を取り巻く経済環境は、二年前にも増して、さらに厳しい状況が続いている。
 よって、東京都議会は、不況下にある中小企業や都民生活を守り、景気回復に寄与する立場から、水道料金については、社会福祉施設、公衆浴場、用水型企業等、特に必要と認められるものは減収分について適切な措置を行った上、平成十二年四月以降も減免措置を講ずるよう強く求めるものである。
 以上、決議する
  平成十二年三月日
              東京都議会
下水道料金の減免措置に関する決議(案)
 東京都議会は、平成十年三月、下水道料金の改正に際し、史上空前の不況下にある中小企業や都民生活を守る立場から、高齢者世帯及び生活関連業種のうち特に必要と認めるものについては、激変緩和の観点に立ち、特別の減免措置を講ずべきとの付帯決議を付した。これを受けて、都においては、下水道料金の減免措置を実施しているが、本年五月末日をもってその実施期間が終了することとなる。
 しかしながら、都内の景気動向は、企業の業況感の回復、倒産の減少など一部に明るさがうかがえるものの、経済指標の多くは依然として低い水準で推移している。とりわけ、中小の商店などの企業を取り巻く経済環境は、二年前にも増して、さらに厳しい状況が続いている。また、預金金利の低下などにより、高齢者世帯の家計も苦しくなっている。
 よって、東京都議会は、不況下にある中小企業や都民生活を守り、景気回復に寄与する立場から、下水道料金については、高齢者世帯及び生活関連業種のうち、特に必要と認められるものは減収分について適切な措置を行った上、平成十二年六月以降も減免措置を講ずるよう強く求めるものである。
 以上、決議する
  平成十二年三月日
              東京都議会

○大木田委員長 本件につきましては、理事会協議のとおり調整がついた旨議長に報告いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認めます。よって、本件はそのように取り扱うことに決定いたしました。

○大木田委員長 本日は、お手元配布の会議日程に従い、平成十一年度関係の付託議案の審査を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百五号議案、平成十一年度東京都高速電車事業会計補正予算(第一号)を議題といたします。
 本案については既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料については、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○橋本総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 要求のございました資料は、東京臨海高速鉄道株式会社に対する出資経過でございます。恐れ入りますが、お手元の資料をごらんいただきたいと存じます。
 今回の十一年度補正予算では、交通局としては七千五百万円を予定しております。一番右下にございますように、累計で三億七千五百万円となる予定でございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大木田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料とあわせ、本案について質疑を行います。
 発言を願います。

○東委員 出されております十一年度高速電車事業会計補正予算に関係して、幾つかお尋ねしたいと思います。
 この前の局長の説明の中にもあったわけですけれども、特に地下鉄十二号線、大江戸線と名前が変わったようですが、その環状部もいよいよこの四月から一部開通、それからことしの年末には全線開通ということをいわれているようであります。そして、今度の補正予算でも、それの買い取り分として五百億八千二百万円が計上されているということで、いよいよ買い取りも本格化するという状況になっておりますので、この際、この時点で、改めてこの問題について少しおさらい的に幾つかの問題をただしておきたいというふうに思います。
 それで、まず最初は、この地下鉄十二号線、すなわち大江戸線の建設経過について、現在どういうふうに到達していて、開業への見通しはどういうふうになっているか、まずこの点からご説明をお願いいたします。

○久保田経営企画室長 大江戸線環状部につきましては、昭和四十九年に鉄道事業免許を取得いたしまして、その後、都の財政事情等でしばらく事業を凍結しておりました。その後、沿線各地域の建設促進の強い要望がございまして、昭和六十年の都議会で、都庁の位置を定める条例の議決に際しまして、十二号線建設促進の付帯決議がなされました。
 都としまして、こうした動向を踏まえて、昭和六十二年に知事を本部長とします地下鉄十二号線建設推進本部を設置しまして、建設の基本方針あるいは第三セクターの設立方針等を決定いたしました。この方針に基づきまして、昭和六十三年に地下鉄建設株式会社が設立されまして、平成五年に全工区で工事に着手したところでございます。
 現在の工事の進捗状況でございますけれども、ことしの一月に全シールド部分が貫通いたしまして、この四月に新宿—国立競技場間が一部先行する予定でございます。また、十二月の全線開業に向けて、鋭意設備工事等を行っている状況でございます。

○東委員 これまでも何回かこの委員会でも問題になってきたんですけれども、莫大な費用がかかっているわけですが、この資金の調達の状況、それから国からの補助金なんかも、最初の計画からすれば大分変わってきているように思うんですけれども、かいつまんで説明をお願いします。

○久保田経営企画室長 この間の建設資金についてでございますけれども、二種類ございまして、東京都からは無利子の貸付金を、また金融機関からは、平成七年からでございますけれども、民間の有利子の資金を調達して対応してまいりました。

○東委員 補助金の話は、後で買い取りのところで出てくるでしょうから、それはちょっとやめておきますが、そうやって今日まで進んできたと。私は江東区ですので、江東区の一部、西側をかすめて通るわけで、地元ではこの十二号線に対する期待が大きいということもちょっと申し添えておきますが、現時点での輸送の需要と採算性の見込みについてはどうなっているか、お願いいたします。

○橋本総務部長 当初計画におきましては、一日当たりの輸送人員を環状部で八十七万二千人、また単年度の損益の均衡年次を開業後八年目と予定しておりました。
 現在の改定計画でございますが、一日当たり輸送人員を七十万七千人、また、そのように落とした関係から、単年度損益均衡年次も、開業後十七年目と予定しております。

○東委員 当初の計画からすれば大分減っているようでありますが、その建設費の方はどうなんでしょう。当初の見込みと現時点と、それから開業までまだあと半年以上あるんですけれども、その辺の見込みも含めて説明をお願いします。

○佐藤建設工務部長 建設費の当初と現状の比較でございますが、当初建設費は六千八百二十六億円でございます。改定建設費は九千八百八十六億円でございます。今後の建設費の見通しでございますが、平成十二年の開業後にも、一部路面復旧や汐留連絡線など残工事がございますが、改定建設費の中に既に織り込んでおります。

○東委員 当初の見込みが六千八百二十六億円、改定建設費で九千八百八十六億円ということで、約四四%ふえているようですが、今後、開業後の工事費も含めて、これに見込まれているというお話でしたから、大体この十二号線の環状部については、九千八百八十六億円で上がりということになるんだろうと思うんですけれども、当初の見込みよりこんなに大幅に膨れ上がった理由というのは、一体どういうことなんでしょうか。

○佐藤建設工務部長 建設費の増加の主な理由といたしましては、一つには、JRなど他の鉄道交差防護工事や埋設物の移設、防護あるいは軟弱地盤対策等、予想を上回る難工事であったこと、二つ目には、出入り口やエスカレーターの追加設置等サービス向上に努めたことによるもの、三つ目には、阪神・淡路大震災がありました後に、耐震対策の強化等安全対策の向上を図ったこと、四つ目には、物価変動によるもの、その他、工期延伸に伴う工事諸経費の増加によるものでございます。

○東委員 いろいろと理由をいっていただいたんですけれども、結局、ここのところが一番都民が問題にしているところだと思うんですよね。
 前の委員会で資料も出していただいたんですが、最初の工事の予定額と、そしてそのときに契約したものが、全部で十九の工区があるようですけれども、もう見直し、見直しといいますか、契約更新、更新ということで、少ないところでも三回ですよね。木場車庫の搬出入庫線、これは三回見直している。多いところでは、例えば勝どき、築地のあたりでは十二回も見直しておりますし、十一回というのが四カ所ですか。それからあと十回が二カ所。九回、七回と。平均しても大体八回ぐらいだと思うんです。
 そうしますと、当初の計画からして、その十九工区のうち幾つかがいろんな事情で見直さなきゃならなかったということは、これはもう十分にあり得ることですけれども、十九工区全部が、要するに一回掘り返して——掘ってみなければわからなかったと。掘ってみて初めて、さっき説明があったようなことがわかった、今のお話だとそういうことになるんですが、当初の予算というのは、どういうことなのか、普通、これは交通局に限らず、水道でも、下水でも、それから財務局が発注するところでも、一定の工事については一定の見積もりを立てて、そして入札にかけて落札する。一定の予算は、当然あるわけですよね。財務局に聞けば、普通、一回や二回設計変更ということはあり得るけれども、何回もやるようなことはめったにあることじゃないという話もちょっと聞いているんですが、当初、この工区については大体これぐらいでできるというのは、予算というのはなかったんですか、どうなんでしょう。

○橋本総務部長 建設費に工区ごとの予算というのは、確かに議決予算としてはございませんが、東京都地下鉄建設株式会社につきましては、計画建設費の範囲内におきまして、工事の進捗状況を勘案しながら、毎年度工事計画を定めまして、それで資金調達を行い、工事を進めているわけでございます。

○東委員 よくわからないんですけれども、全体としては当初計画が六千八百二十六億円、いろんな説があるようですけれども、一応これで一定の総額ですよね、各工区ということじゃなくて総額の予算を組んだと。そうしたら、それで一応できるということで、まあいろんなことがあるにしても始めたんだろうと思うんですね。そうすれば、丸ごとどんぶり勘定で六千八百幾らですよということじゃなくて、一応、各工区ごとに一定のものがあったんじゃないかなと思うんです。
 どうもその辺ははっきりしないようですけれども、しかし、その点は一応そこで置いて、まずこの契約金額、工事費が適正なものなのか、妥当なものなのか、それについて客観的な判断があるのか。さっき説明では、JR等との交差工事や軟弱地盤対策など難工事によるもの云々と幾つかの項目が出されましたけれども、いろいろ理由はあると思うんです。各工区ごとに十二回も見直しているところもあるわけですから、いろいろ理由はあると思うんですね。しかし、その工事費が妥当なものだったのか、適正なものだったのかというその判断というのは、何か客観的なものがあるのかどうなのか、その辺のところはどうなんですか。

○橋本総務部長 交通局では、十二号線の建設費の増嵩が避けられないという見込みとなったことから、会社とともに地下鉄建設費の削減検討委員会を設置しまして、鋭意建設費の削減を進めまいりました。そうした検討の結果の建設費でございまして、交通局としては妥当な価格というふうに認識しております。
 一方、お話ございました客観的にどうかということでございますが、地下鉄建設株式会社の毎年の建設費の執行につきましては、運輸省の補助金監査の対象になっております。したがって、毎年、運輸省から補助金監査を受けております。
 また、さらに申し上げますと、昨年末に大蔵省から十二号線総体を補助対象事業として認めるという内示をいただいたわけでございますが、大蔵省にしましても、運輸省の方から十二号線の建設費について全部説明をし、そしてご了解をいただき、今回の補助金計上となった、こういうわけでございます。

○東委員 運輸省の補助金対象として精査がされているというご説明のようです。今のお話はそういうことだと思うんですが、こんなに五割近くも増額になった、最初の見積もりからすれば、これは大変に大幅な増額ですよね。そうすると、こういう問題について、何か責任の所在というか——膨れ上がっちゃったんですよ、仕方がないんですよ、お願いしますよというんじゃなくて、やっぱりそれについて何か厳正な一つの責任の所在を明らかにする、だれか、これは個人ではないにしても責任をとるとか、何かそういうことというのはないんですか、この辺のところは。

○橋本総務部長 確かに、三千億もの建設費の増加があったということは大変な額だというふうに認識しておりまして、先ほど申し上げましたとおり、私どもとしましても、建設費を精査あるいは削減について全力を挙げた結果でございます。また、運輸省、大蔵省についても、先ほども申し上げましたとおり、非常に大きな額ではあるが、詳細を聞いてみると複雑な工区が連続している、極めて大都市土木の特殊性といったものがあらわれている、残念ながら事実でございます。また、工期も予定より大きくおくれたことも事実でございます。こうしたことから、私ども全力を挙げて早期解決、早期開業に向けて努力しているところでございますが、それは全力を挙げてやった結果というふうに認識しております。

○東委員 そこのところでもう一つあれしておきたいんですけれども、第三セクターの地下鉄建設株式会社をつくった。その出資者は東京都が六割ちょっとですか、そしてあと幾つかの銀行ですよね。それぞれ幾らかずつの出資をされている。その株式会社というのは、要するに十二号線を建設するということを目的とした会社で、それぞれお金を出し合ってその会社をつくって、その会社がいろいろ資金調達などをしてやったわけですよね。とすれば、その会社が六千八百数十億でできますということを都民に公表して始めた。それを各ゼネコン、大きな建設土木会社にやらせた。そして、結果的には約四四%増しにも膨れ上がったということになれば、もちろん東京都も一番出資の大きい、主体ですから当然ですけれども、その出している銀行、会社として、損失について一定の負担をするとか、そういうことというのは考えられないものなんですかね。

○橋本総務部長 ご指摘の地下鉄建設株式会社というのは、確かに、この十二号線の環状部の建設のために、そのために設立された第三セクターでございまして、全力を挙げて建設をし、さまざまな工夫をした結果でございまして、それ以上の責任を会社に問うというのは、私どもの委員会でも、局としても、やむを得ない結果である、こういうふうに認識しております。

○東委員 そうやってできたと。そしていよいよ東京都が買い取るということになるわけですよね。今度の補正予算でも五百億八千二百万円が計上されているということになるんですが、結局、総額幾らで買うことになるのか。今後の財政フレームといいますか、買い取りの内訳だとか、財源だとか、それから金利なんかどういうふうになっていくのか、その辺を説明してください。

○橋本総務部長 まず、買い取りでございますが、地下鉄建設株式会社の建設費を資産額として買い取るわけでございまして、その合計は九千八百八十六億円となります。そのほかに利子等は支払う予定でございます。また、その内訳、すなわち今後の買い取り額の総額と申しますか、そのことでございますが、まず既にご報告申し上げましたとおり、先行買い取り分ということで、既に平成十年度の補正予算からご措置いただいております。それを除いた交通局の割賦買い取り額は、平成十二年度以降、すなわち開業以降に八千五百八十五億円でございます。したがって、これに金利が入ります。
 一方、財源といたしましては、国庫補助金で千五百十億円、一般会計補助金で千六百七十七億円、一般会計出資金で千八百三億円でございまして、例えば、十二年度で申し上げますと、国庫補助金で八十一億円、一般会計補助金で九十億円、出資金で二百五十九億円、こういうふうになります。このように平成二十四年度まで、さらには出資金につきましては三十三年度以降も出資されまして、さらに残工事等が各年度の施行額に応じて交付される、こういう予定でございます。
 また、金利でございますが、金利というのは、今申し上げましたとおり、今後、分割交付が多年度にわたるものですから推計することは困難でございますけれども、仮に四%といたしますと、十三年間分割期間で、合計でございますけれども千三百二十八億円と推計できます。しかしながら、今現在、金利は二%前後でございますので、実態とすれば相当減るものと考えます。

○東委員 何か余りよくわからないんだけれども、要するに、買い取りの仕方としては平成十年度から始まっていると。だから平成十年度から十三年間だったと思うんですね。それで買い取っていくと。さっき国庫補助金、一般会計からの補助金、出資金ということで、出資金がたしか今度の補正にも出ていますけれども、九百億円プラスして合計二千九百億円ですか、そういうものも含めてということなんですが、この辺のところがやっぱり問題なんだと思うんですね。
 去年の七月ですけれども、石原知事が就任されて、事実上の初めての都議会本会議で、私、改めて議事録を見てみたんですが、この問題についてかなりなことをいってらっしゃるんですよね。ちょっとその部分だけを読んでみますと、「だって、最初は八千億ぐらいかかるということを技術屋さんたちがいってきた、ゼネコンの。とてもこれじゃ通らないから、運輸省もうんといわないから六千何千億にしておけと。それで通して、現場で、しかも最も悪い形で、談合でぶつぶつぶつぶつ工事期間を切って、その接着部分で余計な金がかかるのは自明なことですけれども、今日こうなっている。それで、そのツケはだれが払うんですか、これは。私も今まで都民の一人でしたから、都民はこれは納得しませんぞ。」と。その後云々ですが、それからまたその後、「これは地下建にとにかく丸投げして任せて、できたものをいいなりの値段で買う約束になっているらしいけれども、これ、買うんですかね」ということまで知事はいわれているわけですけれども、ここに、いわゆる都民の一般的な、この十二号線問題についてのなかなかわからない、どうも変だという、何といいますか、疑問というのがあると思うんですね。まさに石原知事が指摘されているところにあると思うんですよね。
 さっきの工事金額については、とにかく第三セクターに技術者やそういう者を派遣している交通局、それから検討委員会でも検討したし、補助をする運輸省の方でもオーケーした、こういうことなんですけれども、そうやって建設株式会社がつくったと。そうしたら今度はいよいよそれを買うという段になるわけですが、買うという段と、工事費に幾らかかったというのとは、これはまた別な問題になると思うんですね。その場合に、石原知事もここでこれを買うんですかといっているわけですが、この買い取り金額は幾らになるのか。九千八百、かかった費用だけということになるんでしょう。そして恐らく、さっきそれにプラスした金利ですか、それまで含めてということになるんだろうと思うんですけれども、その買い取り金額が今度は妥当なものなのかどうなのかですね。それについては、やっぱり第三者の判断が私は必要じゃないかなというふうに思うんですけれども、それは今まで運輸省の、補助出す方がうんといったんだからそれでいいということになるんでしょうかしらね。何かその辺の、都民が納得する、客観的に見て大分高い買い物だけれども、それは仕方がないんだという、何かそういう判断といいますか、その買い取り金額は妥当なものかどうか、第三者による判断、そういう点については交通局はどう考えているんですか。

○橋本総務部長 建設費の九千八百八十六億円の問題と買い取りの問題、これは別の問題ではないか、それぞれということでございますが、私ども、実は、運輸省との協議におきましては、その買い取りのフレームそのものも議論して決めていただいたわけでございます。単年度というより、むしろ買い取り総額を対象とし、そしてその後の財政フレームまで含めてご了解をいただき、さらには、先ほどの繰り返しになりますが、大蔵省より了解の旨をいただきました。さらに、客観的と申し上げれば、これは全部会計検査院の検査の対象でございます。そういった意味を考えますと、私どもは、第三者としても、客観性は保たれ得るものだ、こういう認識をしております。

○東委員 さっき話がありましたが、要するに工事費が九千八百八十六億円かかって、そして変動相場制ではあるけれども、四%と仮定して推計した場合に、千三百二十八億円ということになりますと、これは一兆二千数百億ということになりますよね。ほぼ倍ということになるわけですけれども、その辺のところが、なかなか一般の都民の考えとして理解しがたいところではないか、この疑問はやっぱり残るということを申し上げておきたいと思います。
 それで、この割高となった費用は、最終的にはやっぱり都民が負担することになるわけなんですけれども、直接には、公営企業ですから、営業収益でやがては返すことになると思うのですが、そうなれば、当然これは地下鉄の料金だとかそういうことにもはね返ってくることが考えられるわけなんです。この割高となった買い取り費用について、都民の負担を軽減するという観点からどういうふうに考えているのか、その点を最後にちょっと質問しておきます。

○久保田経営企画室長 大江戸線の建設につきましては、大変多額な経費を要したことは事実でございますけれども、この鉄道につきましては、多くの鉄道と接続しまして、都民にとって大変重要な交通手段となると考えております。
 また、その鉄道の利便性を向上させるために、私ども、お客さまにとって利用しやすい鉄道にしていく努力をしていきたいと思っております。と同時に、交通局の経営体質を強化して、一層効率的あるいは健全経営を目指して頑張っていきたいと思っております。
 なお、運賃につきましては、地下鉄事業の収支は大変厳しい状況でございますけれども、
ほかの事業者の動向とか現下の社会情勢等を踏まえまして、現行運賃を維持する考えでおります。

○大山委員 私は、臨海高速鉄道株式会社に対する出資金を計上という、この補正予算について質問をしたいと思います。
 この補正予算は、臨海高速鉄道株式会社への出資を増額するという補正予算ですけれども、私たちは、新木場から大崎を結ぶこの鉄道について、公共交通を整備するという必要性を認めて賛成してきています。公共交通を整備するという点については、それを前提にしながらですけれども、今回は同じ出資でも、今までとはちょっと事態が違うというふうに認識しておりますので、幾つかの点について明らかにしていきたいと思っています。
 今回、七千五百万円を出資するということですけれども、先ほど資料でいただいた出資経過でもわかりますように、出資の比率は〇・五%ということで変わりませんけれども、金額としては今までで最高だということになります。今回、補正まで組んでなぜ出資することになったのか、まず説明してください。

○橋本総務部長 東京臨海高速鉄道株式会社から事業費が約八百億円増加した、こういったこと等を理由に増資の要望がございましたが、事業の進捗を促進するため、関係局、都市計画局などと調整の上、同社の資金需要の状況を踏まえ、今回、補正予算に計上したものでございます。
 交通局といたしましては、臨海高速鉄道の延伸区間の早期開業は、東京における公共交通ネットワークの拡充となりまして、ひいては私どもの交通局事業の発展に資するもの、こういうふうに考えております。

○大山委員 交通の利便性を高めるということは別に否定しているわけではないのです。ご答弁ありましたように、出発点は工事費が増加したからということですけれども、今、約八百億円というふうにおっしゃっています。どんなことでというか、大きいものだけでも、例えばこういうことで増加したというのを幾つか挙げてください。

○橋本総務部長 工事費が増加した主な要因でございますが、JRとの接続駅となるJR大崎駅でございますが、その付近での工事方法の変更等により約二百三十億円、大井町駅でのJRや東急線との連絡設備の拡充によりまして約百六十億円、その他、臨海高速鉄道の建設により影響のある既設鉄道施設の防護や移転、地下水対策等により、事業費が先ほど申し上げたとおり増加したものというふうに理解しております。

○大山委員 工事関連の変更だとか構造の変更だとかということが大きくいわれましたけれども、先ほど東委員の質疑でも、工事費が十二号線でどんどん増加していったということを指摘しました。十二号線は約一・四四倍に増加して、この臨海高速鉄道は、今回だけですけれども、約一・三倍というふうに増加する。ほとんど同じような構図になっているのじゃないかと思っています。
 具体的に幾つか見ていきたいと思うのです。大井町駅シールド区間の見直しというのがありますけれども、どのように見直したのか、わかりやすく説明してください。

○橋本総務部長 大井町駅における見直しでございますが、主にシールドの施工方法の見直しでございます。内訳は、シールド区間の延長とか、あるいはシールドマシンの見直し、すなわち早期開業するために、当初予定したシールドマシンを予定より増強して工期短縮をした、こういうものでございます。

○大山委員 十二号線のときも、シールドの機械をふやして同時着工だということが工事費をふやす、膨大にさせる原因になったということを思い起こさずにはいられないわけですけれども、今回は何台ふやすと、幾らになるわけですか。

○橋本総務部長 シールドマシンにつきましては、今回三基ふやしました。その結果、三十億円増加した、こういうふうに聞いております。

○大山委員 シールドマシンを三基ふやして三十億円という増額になったということですね。
 もう一つ具体例でお聞きしたいわけですけれども、JR大崎駅接続関連工事というのがありますが、当初と今回の違いは何でしょうか。

○橋本総務部長 大崎駅の関連でございますが、主に大崎駅改修工事に伴うものがございます。免許予定時では、山手線との接続の連絡通路、それのみを建設する、こういう予定でございましたが、JRと調整の結果、乗りかえ広場を設けることになりました。また、相互直通運転を行うことになりましたため、変電、信号設備等の金額も増加することになったわけでございます。

○大山委員 今のお話ですけれども、連絡通路だけをつくるという話だったのが、JRとの話の中で広場になったということですね。当初の計画では、通路だけですから簡単な工事だということで計画をしたけれども、JRとの協議の中で、JRの山手線や埼京線が今通っているところの上を広場にするということですね。臨海高速鉄道株式会社の方の臨海高速鉄道の上に広場をつくるのではなくて、JRの方に広場をつくるというわけですね。だれが要望したのですか。

○橋本総務部長 この事業の協議はJRとやっております。

○大山委員 JRから要望が出たということでいいですか。

○橋本総務部長 そのとおりでございます。

○大山委員 JRの要望で、臨海高速線ができたら乗客がふえるから、乗客の利便性のために要求されたということですけれども、このために広場をつくる、それから、既に運行している山手線などはどんどん電車が通っているわけですから、それをつくるためには、工期はどうなりますか。

○橋本総務部長 JR山手線は、東京における最も頻発運行している主要幹線でございまして、それを防護しながら進めるということでございますから、工期も当然延びるような傾向にございます。

○大山委員 先ほどは、シールドマシンを三台も増加して、三十億円も上乗せして工事費を使って、工期を短くするためだといっておきながら、今度は、JRの要望があったから、JRのどんどん通っている山手線の上に、最初は通路だったのに広場をつくるということで防護もしなければいけない、だから今度は工期が延びる、本当に矛盾していることじゃないかと私は思います。
 しかも、JRが自分の上のところに広場をつくりなさいと。これはまさに便乗して、弱みにつけ込んでお金を出させるというようなことに思われてならないのですけれども、JRは本当にそんなことを要求するわけなんですか。

○橋本総務部長 臨海高速鉄道というのも、JRの大崎駅におきまして、山手線あるいは埼京線と将来は相互直通運転する、極めてJRとネットワーク上の密接な関係がございます。
 そういったことから、JRが将来の交通ネットワークのためにさまざまな配慮をする、そして私どもも最も円滑に臨海高速線が機能するべく考えるのは、ある意味で、公共交通の事業者としては当然のことだと理解しております。

○大山委員 そうはいっても、臨海高速鉄道の方に広場をつくるというのだったらまだいいですけれども、自分のJRの上につけるというのは、どう見たって便乗しているとしか思えないのです。よくJRは原因者負担だというふうにいうわけですけれども、このときもそんなことをいっていたのですか。

○橋本総務部長 事業者間では、原因者が負担するというのが、一般的な原則ということでございます。

○大山委員 原因者負担だというふうにいわれているわけですけれども、JRはこの臨海高速鉄道株式会社の株主でもあるわけですね。株主が、自分の会社に不利益になるようなことを押しつけていいのかということになると思うのです。だからこそ、やはりJRにも適正に負担してもらうのが筋じゃないかと思っているのですけれども、どうですか。

○橋本総務部長 臨海高速鉄道にとりまして、早く、安く公共交通ネットワークを拡充する、すなわち大崎駅で接着するというのは、まさに大変大事な事業の目的でございまして、それをJRと、何とかなるべく安く、しかも早く、こういったことで協議したというふうに聞いております。
 また、それを所管しております都市計画局におきましても、同様の観点から、臨海高速等から十分その辺を精査、事情聴取した上で判断したもの、こういうふうに判断しております。

○大山委員 今、早く、安くというふうに精査したという、信頼しているという旨のお話だと思いますけれども、このこと一つとったとしても、遅く、高くですよね。この連絡通路に関しては、ここだけじゃなくて、そのほかにも大井町の駅の連絡設備などもあるわけですね。だからこそ、やはりもう一度協議して、JRにも株主としての応分の負担をきちんと果たしてもらうべきだというふうに思いますが、どうですか。

○橋本総務部長 先ほども申し上げましたとおり、今回は事業者につきましては原因者負担の考え方が一般的である、こういうふうに申し上げました。
 また、今回の事業費の増加でございますが、それぞれ精査した結果と考えておりまして、交通局にとりましても、その結果、私どもはやむを得ぬ増加であったというふうに思っております。
 また、JRが事業費を負担しないのかということでございますけれども、それは主に出資しております東京都がまず出資をすることによって早期開業を目指している、こういうふうに理解しております。

○大山委員 早期ということにも逆行しているのじゃないかということを指摘しているわけです。
 それでは、もう一つ具体的に聞かせてください。大崎駅の貨物線の大崎支線への取りつけに伴って、最初は開削だったけれどもシールドにしたというのがあると思うのですけれども、それを説明してください。

○橋本総務部長 大崎駅付近の、JR大崎支線付近の事業費が増加しているわけでございますが、この区間はJRに委託して工事を行う区間でございまして、会社としては、事業費を縮減するために、当初開削工法を予定しておりました。
 しかしながら、JRとの協議の過程で、JRの運行上の問題から、一部区間をシールド工法に変更した、こういうことでございまして、百七十五億円が増加したと聞いております。

○大山委員 JRとの交差だとか、ほかの私鉄の線との交差というのは、やはりこの間の十二号線の経験からいっても大変なんだということは、もう学習済みだというふうに思うのです。このときは、事前にJRと協議をしないで開削だということを決めたのでしょうか。

○橋本総務部長 臨海高速鉄道の大崎駅接着というのは、JRの大崎駅、すなわちJRの事業に深くかかわるところでございまして、当然協議を進めた上で当初から計上していた、
こういうふうに思います。

○大山委員 それでは、JRとは最初は開削で協議が整っていたということなのですか。

○橋本総務部長 今、私の手元にその辺をつまびらかにする資料はございませんが、そういうふうに予測できます。

○大山委員 JRとの協議で開削でいいのだということが決まっていながら、後からやはりシールドだということになったということなんですけれども、そうすると、JRの責任もかなりあるのじゃないですか。

○橋本総務部長 私どもも鉄道事業者として、地下鉄十二号線の工事で大変苦労しております。そういう経験でも申し上げますと、私どもの事業でも、あるいは他の事業者でもいえることは、今の鉄道事業というのは、既設の鉄道ネットワーク等々の都市機能を一切阻害しないで、そうして鉄道の開設をするという極めて大きな、難しい課題を突きつけられているわけでございます。
 したがいまして、例えば山手線を夜八時からは運休にするとか、こういうようなやり方をすれば、相当早期に、あるいは安くできるかもしれません。しかしながら、私どもの十二号線でも同様でございますけれども、すべての都市ライフライン、あるいは他鉄道を生きたまま、すなわち機能を一切損なわずに事業を進めていく、まさに極めてこれも大事な都市の工事でございます。
 そういった意味で、私どもその協議の結果、さまざまな協議を進め、そうしてその結論に至ったものだ、こういうふうに聞いております。

○大山委員 既存の交通を邪魔しないで、そのまま運行しながらというのは当然ですよね。そんなのは当然の前提として、JRと協議する前段階で、大前提になっているわけですから、それでも開削でやるということを決めておきながら、百七十五億円も工事費が上乗せされなければならない工事方法に変えるというからには、かなりの大きな、納得できるような理由がなければいけないというふうに思うわけです。そのようにされていると思いますというような、そういうあいまいな態度では、まさに都民が納得できないじゃないかということだと思うのです。幾つか指摘しましたけれども、都民が納得できるような理由は明らかになっていないというふうに思っています。
 それで、もう一つただしておかなければならないことがあるのですけれども、株主は東京都を初めJR、銀行だとか大勢いるわけですが、今回出資するのはどこですか。

○橋本総務部長 今回の出資は、東京都の関連でございます。

○大山委員 東京都の関連で、じゃあ東京都だけが増資のためには出資をするということで、JRだとか含めて、ほかの民間の出資者は出資しないということなわけですね。

○橋本総務部長 そのとおりでございます。

○大山委員 先ほど具体的に例に挙げたものだけではなくて、都民の貴重な税金を出すということ、しかもその増額した分は都民にきちんと納得できるような説明もしないまま、それが増資分として都民の税金から全部東京都がかぶるということでは、ちょっと納得できないというふうに思っています。
 福祉はもうばっさりと削っている中で、百億、二百億の単位でそれぞれの工事が納得いかないままに増大されるというわけですから、こんなやり方では賛成するわけにはいかないというふうに思っています。もう一度きちんと精査して、出し直すべきだと思っています。
 ここでもう一つ指摘しておきたいのは、第三セクターでやるという弱点だと思うのです。結局、新しくつくってノウハウもない。しかし交通局がみずからやれば、ノウハウもずっと積み重ねている交通局ですから、きちんとできるわけですよね。やはりこういった点でも、鉄建公団にお任せというような事態が続いてしまうわけですから、十二号線のも反省し、そして今回のも、もう一度きちんと精査をして出し直すべきだというふうに思っています。
 わざわざ補正予算で焦って東京都だけがかぶるなんていう、とんでもないことをやるのじゃなくて、都民が納得できるようにして、もう一回出し直してほしいということを述べて、質問を終わります。

○大木田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認めます。よって、第二百五号議案に対する質疑は終了いたしました。
 付託議案の審査を終わります。
 以上で交通局関係を終わります。

○大木田委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第二百五号議案、平成十一年度東京都高速電車事業会計補正予算(第一号)を議題といたします。
 本案に対しては、既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 本案は、起立により採決いたします。
 本案は、原案のとおり決定することに賛成の方はご起立願います。
〔賛成者起立〕

○大木田委員長 起立多数と認めます。よって、第二百五号議案は原案のとおり決定いた
しました。
 付託議案の審査を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時六分散会

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