○議長(増子博樹君) 二十八番山口花さん。
〔二十八番山口花君登壇〕
○二十八番(山口花君) 練馬区選出、国民民主党東京都議団の山口花です。
私は十八歳のとき、大学進学を機に鹿児島県から単身東京に出てまいりました。今年でちょうど十年目になります。閉ざされていた自分の世界に新しい可能性を教えてくれたのが、この東京という都市でした。様々な絶望や困難の中にありながらも、たくさんのすばらしい人や機会に出会い、そのおかげで、今はこうしてこの場に立たせていただいております。
今、この国には、社会的に明確に弱者とされずとも、頑張っても報われず苦しいと感じている人、みんなと同じように頑張りたくてもかなわない人、政治や行政にアクセスする方法すら分からないまま苦しんでいる人が、まだまだ多く存在していると感じています。
頑張る人が報われ、頑張れない人が救われる東京をつくるという視点から、八つのテーマにわたって質問を行います。
先般、国と東京都の協議会が設置され、本年四月、高市総理と小池知事の下で初会合が開かれました。
さらに、四月二十日には、片山財務大臣自らが都庁を訪れ、小池知事と直接会談する場も設けられました。
財務大臣の都庁訪問は極めて異例のことであり、これまで東京対地方という対立構造で語られがちであった国と都の関係を、政策の効果検証と再配分の議論を通じて建設的な対話の場へと進化させる契機になるものと受け止めております。
そもそも、東京から地方への再配分が、地方の自立や成長にどの程度つながっているのか、その効果検証のないままに偏在是正ありきの議論をしても本質を見失ってしまいます。
東京を強くすることと、日本全体を強くすることを対立させることなく、東京発の政策モデルをシームレスに全国へ実装していく視点こそが求められているのではないでしょうか。
行政府と立法府のトップ同士が、日本全体の成長戦略を直接議論できる場が設置された意義は極めて大きいと考えます。
東京都として、今後この協議会を、東京都、そして日本の成長にどのようにつなげていくのか、知事のご見解を伺います。
次に、東京アプリについて伺います。
昨年二月、リリースされた東京アプリですが、東京アプリ生活応援事業を契機として、これまでに六百四十万を超えるダウンロード数を記録しており、東京アプリというものの存在自体は、広く都民に周知がされ始めていることの証左であると受け止めております。
しかし、インストールされても、その利便性が十分に実感できなければ、利用が一時的なものにとどまり、アプリが継続的に活用されなくなってしまいます。
現状もペイペイへのポイント変換がいつできるのか、これは一体そもそも何をするアプリなのかといった意見が寄せられています。日常生活の中でアプリを使う意味を感じられる価値を提供していかなければ、この六百四十万を超えるダウンロードの数も実態のない数字に変わってしまいます。
都民が継続して使い続けたいと思えるサービスを提供するアプリへと進化させていくことが重要だと考えますが、都は今後、この東京アプリの進化についてどのように取り組むのか、見解を伺います。
さらに、支援情報等を利用者に応じて最適に提供するプッシュ型支援実現のためには、アプリの利便性を高める基盤としてデータの整備が不可欠であると、国民民主党都議団はこれまでも重ねて議論をしてまいりました。
将来的に、都の情報だけでなく、市区町村も含めた支援情報を一つのデータベース上に取りまとめ、都民に必要な支援を確実に届けられるようにすべきであると考えます。
都民サービスの基盤となるデータの整備、活用にどのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
続いて、東京都における若者政策の在り方について質問いたします。
東京都は、ライフステージに応じた支援の枠組みを整えており、とりわけ子供、子育て分野の政策は、今後、子供を産み育てる可能性がある当事者の一人として、希望が持てるものであると評価をいたします。
しかしながら、現実では結婚や出産を望むことができる若者自体は減っており、その背景には様々な困難が存在をしています。若者を取り巻くあらゆる困難は、既存の子供、若者施策の枠組みでは十分に捉え切れない性質のものです。
少子化が国難であると叫ばれる中、若者への投資は未来への投資です。
国においても、こどもまんなか実行計画の下、困難が顕在化する前段階からの予防的、包括的支援の重要性が示されています。人口規模においても、財政力においても、東京都だからこそ先駆けてできる若者政策の枠組みをつくることを提案いたします。
生活、医療、福祉、教育、就労、居場所といった多様な分野にまたがる若者の困難に対し、都がどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
次に、コロナ禍を踏まえた教育現場の対応について伺います。
二〇二〇年、感染が広がり始めた春、私の大学の卒業式は中止になり、入社式は一部オンラインでの実施となりました。感染者数は瞬く間に積み上がり、社会全体が手探りの対応を強いられました。
当時、私は国会で働いていました。行政がいかに前例のない状況に翻弄されたか、その混乱の一端を間近で見ていたつもりです。そんな有事の中で、子供たちは無抵抗に機会や経験を奪われました。
大人は子供に教育を受けさせる義務があり、子供たちは教育を受ける権利を有しています。政治は、あの子供たちの機会損失の重さを、仕方ないで片づけず、正面から受け止め、次なる有事に備える責任があります。
コロナ禍から何を学び、何を備えとして残せたのか、それを問うことが、あのとき子供たちが奪われた時間を無駄にしないということだと考えています。
コロナ禍を経て、その教訓を、特に公立学校においてどのように生かしているのか、都教育委員会の所見を伺います。
次に、内密出産について伺います。
現在、内密出産は、熊本慈恵病院、そして都内では墨田区の賛育会病院など、一部の医療機関の強い使命感と努力に依存をしております。もちろん法改正を要する論点もありますが、行政としての位置づけや支援が十分整備されているとはいいがたい現状にあります。
制度そのものの賛否を越えて、先ほど遠藤議員からも尊い経験談が語られましたが、チルドレンファーストを掲げる東京都であるからこそ、生まれてくる全ての命を社会が歓迎するという視点こそが、持続可能な社会の出発点ではないでしょうか。
児童虐待や乳児遺棄といった最も避けなければならない事態を未然に防ぐ予防的福祉として、全ての母子を守る仕組みを構築することは行政府の責任の一つです。既に東京都では、賛育会病院の事例について検証部会が設置されているということは大きな前進だと捉えます。
その検証結果を踏まえ、国の制度化を待つだけではなく、東京都独自の支援モデルを構築すべきと考えますが、検証の進捗状況と本件についての都の見解を伺います。
次に、外国人人材の定着について伺います。
都内の外国人労働者は六十五万人を超え、十年前と比較をしても二倍以上となるなど、東京の都市機能は、既に多くの外国人材によって支えられている現実があります。
一方で、一定の専門性、技能を有する外国人を受け入れる特定技能一号の在留調査によると、五年間の在留期間経過後に七割程度の方が帰国をしています。
企業からは、スキルアップし、ようやくコミュニケーションが取れるようになってきたタイミングで帰国をされ、人が入れ替わってしまうのは困るといった切実な声も届いています。
専門技能を有する外国人材の職場定着に向けた支援について、都としてどのように取り組んでいるのか、見解を伺います。
また、地域の安心・安全のためにも、数を増やすことや新規入国ありきではなく、既に東京にいる外国人が日本の文化や言語を理解し、地域社会の一員として長く共生できるよう体制を整えていくことが重要です。
全ての人が地域で安心して暮らせるためには、日本語の教育など、共生のための適切な支援を行うことが必要だと思いますが、都の見解を伺います。
続いて、都市農業について伺います。
都市農業は、高コスト構造や農地の狭小化といった構造的な制約の下、収益性の確保が難しい経営環境に置かれており、常に都市化の圧力にさらされています。
私の選出区である練馬区でも、こうした厳しい環境の中で営農を継続していらっしゃる農業者の方々がおります。農業所得のみで生計を維持することは難しく、営農面積の縮小や、相続を契機とした農地の売却を余儀なくされる可能性があると、切実な声を耳にしております。
このような現場の実情を踏まえ、東京都はどのように都市農業を守り、振興を図っていくのか、見解を伺います。
一方で、都の支援策を効果的に活用し、経営の高度化や販路の多角化等に取り組むことで、収益性の向上といった顕著な成果を上げている農業者も存在をしています。
こうした先駆的な取組を広く発信することは、同様の悩みや課題を抱える農業者にとって有益な示唆となり、経営改善のチャンスとなり得るものであると考えます。
厳しい経営環境の中にあっても、農業者が将来に希望を持ち、意欲的に営農を継続できるよう後押しすべきと考えますが、都の見解を伺います。
最後に、障害者が地域で暮らすことの考え方についてお伺いいたします。
練馬区が独自の取組として関係団体と進めていた三原台の重度心身障害者の生活支援拠点の整備について、昨今の建設費の高騰や人材確保の困難さなどにより、実施時期の見直しが行われていると聞いています。
この拠点の整備の背景には、どんなに障害が重くても、住み慣れた地域で暮らし続けたいと考える当事者の声が多く存在し、環境の整備が求められています。
都は、計画において、障害の種別にかかわらず、また、どんなに障害が重くても、必要とするサービスを利用しながら、障害者本人が希望する地域で安心して暮らせる社会の実現を目指すとしていますが、今後どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
医療的ケア児支援法により、児童期の支援に関しては整備されつつありますが、十八歳以上の成人期における医療的ケアを必要とする障害者の支援については、法律上の言及はあるものの、実態として制度の空白が生じており、十分な体制が整っておりません。
東京都福祉計画の中でも、医療的ケアを必要とする方への切れ目のないサービスの提供や、入所施設の必要性を明記していただくことを要望いたします。
東京都は、国をもリードする財政力と機動力を持つ都市です。だからこそ、日本全体を牽引する都市として、まだまだできることがあると信じております。
頑張る人が報われ、頑張ることがかなわない人もしっかりと救われる、全ての人があしたも生きていきたいと思える社会をつくるために、引き続き全力で取り組むことをお誓い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 山口花議員の一般質問にお答えいたします。
国と東京都の協議会についてのお尋ねです。
激動する国際情勢の中にありまして、我が国が成長し続けていくためには、首都東京がポテンシャルを最大限発揮していくことが不可欠でございます。
こうした中、高市総理からの提案で、国と東京都が協力し、グローバル都市東京のさらなる発展に資する施策を展開していくことを目指し、四月に協議会をキックオフいたしました。
第一回の会合におきましては、国と都の戦略をしっかりと整合させていくことについて共通認識を得たところでございます。
今後も、東京、そして日本全体の持続的な成長に向けまして、協議会を通じた建設的な議論を進めてまいります。
その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) コロナ禍の対応を踏まえた教育についてのご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルスの流行する中、当時の公立学校で子供たちの学びを後押しするための様々な工夫を現在の教育に生かす取組は重要でございます。
公立学校では、コロナ禍による臨時休業を契機に、一人一台端末の速やかな導入を図り、家庭でのオンライン学習を推進しました。また、教材を含めた様々なデジタル化を効果的に行ったところです。
これらによりまして、現在、学校では、一人一台端末により、生成AIを使う学習やデジタル教材の活用が進んでおります。
さらに、保護者への連絡のデジタル化が広がり、台風等の災害時にはリモートによる授業も実施をしております。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕
○デジタルサービス局長(高野克己君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、東京アプリの今後の展開についてでございます。
アプリを通じて便利になったと都民に実感いただくためには、サービスの機能拡充に取り組むことが重要でございます。
そのため、都は、昨年二月のリリース以降の東京アプリのこれまでの取組状況と併せ、今後のサービス展開について、先般公表したところでございます。
まずは、スマホ一つで都立施設等の公共施設に入場できるデジタル都民証機能や、東京アプリ生活応援事業を通じてつながった都民に対しまして、例えば、お住まいの地域に関する有用な情報等をプッシュ型で配信できる機能を提供してまいります。
アプリを通じて利便性を享受いただけますよう、今後のサービス展開で示した取組を迅速かつ着実に推進してまいります。
次に、データの整備、利活用の取組についてでございます。
都民との接点となる東京アプリを通じて、一人一人のニーズに応じた最適なサービスを届けるためには、その基盤となるデータの整備活用を戦略的に推進することが重要でございます。
今年度は、先般策定した東京都データマネジメント基本方針に基づき、各局と連携し、オンライン申請につながる支援情報等のデータベースの整備充実を図ってまいります。
また、区市町村ともデータ利活用に向け連携を図り、組織の垣根を越えたデータの共通利用を目指してまいります。
東京アプリのサービスを支えるデータ整備を着実に進め、必要な行政サービスが適切に届く都政の実現につなげてまいります。
〔都民安全総合対策本部長竹迫宜哉君登壇〕
○都民安全総合対策本部長(竹迫宜哉君) 若者の多様な困難への支援についてでございますが、若者を取り巻く課題は、孤立や生きづらさなど多岐にわたることから、個々の状況に応じたきめ細やかな対応が重要でございます。
このため、都では、東京都子供・若者計画を策定し、関係局において様々な施策を展開することにより、こうした若者の多様な困難に対応しております。
また、区市町村や関係機関、民間団体がそれぞれの特性を生かし、支援に取り組んでおります。
今後とも、社会経済状況や若者のニーズの変化を踏まえ、各主体が連携しながら切れ目のない支援の充実に努めてまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕
○福祉局長(高崎秀之君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、いわゆる内密出産についてでございますが、昨年三月、都内病院で内密出産などの取組が開始されました。
内密出産につきましては、国は令和四年度に現行制度下における対応などを整理したガイドラインを示しているものの、現在も法令上の定めがなく、都は法体系の早期の明示を国に要望しております。
また、内密出産などの取組に対して、母子の安全面の確保などを目的とした検証チームを設置しておりまして、件数などの統計情報につきましては、今年度上半期に公表予定でございます。
次に、重症心身障害児者への支援についてでございますが、重症心身障害児者が地域で安心して生活するには、在宅支援サービスなどの充実を図ることが必要でございます。
このため、都は、生活介護など日中活動の場である通所施設の整備を促進するとともに、医療型短期入所施設の拡充に向けまして、病院や福祉施設などを対象として、人員配置や医療機器の整備に対する支援を行っております。
今後、次期障害者・障害児施策推進計画の策定に向け、区市町村や当事者団体などの意見も聞きながら、重症心身障害児者が安心して暮らせるよう、必要な施策を検討してまいります。
〔産業労働局長吉村恵一君登壇〕
○産業労働局長(吉村恵一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、専門外国人材の職場定着支援についてでございます。
都は、都内中小企業が専門的知識や技能を持つ外国人材を採用し、雇用の継続を希望する場合に、人材の専門家による職場定着に向けた伴走支援を行っております。
また、今年度は、職場内での円滑なコミュニケーション手法を学ぶセミナーを実施するほか、長期の雇用が可能な特定技能二号への移行を希望する人材を有する企業に対しまして、コンサルティング支援の規模を拡充いたします。
こうした取組により、専門外国人材の職場定着と中小企業の事業継続を支えてまいります。
次に、東京農業の振興についてでございます。
大都市の中で営まれ、新鮮で安全・安心な農作物を供給するとともに、都民生活に潤いを与える東京の農業を将来につないでいくことが重要でございます。
都は、農業者の経営を支えるため、普及指導員を都内各地に配置し、個々の実情に応じて、栽培技術や経営改善に向けた助言などを行っております。
また、限られた土地でも多くの収穫量を確保できるよう、生産施設の設置や栽培を効率化するシステムなどの導入を支援しておりまして、こうした重層的な取組により、東京の農業の振興を図ってまいります。
最後に、農業者の意欲を高める取組についてでございます。
東京農業の発展のためには、農業者の創意工夫による取組を広く波及させ、収益力向上につなげていくことが効果的でございます。
都は、都の支援策を活用した農産物のブランド化や、加工品開発などの事例を取りまとめ、普及指導や研修などの機会を通じて農業者に発信しております。
今年度からは、クラウドファンディングを活用し、農業者と消費者を結びつけることで収益向上を図るとともに、こうした先進的な取組を発信してまいります。
身近な好事例を共有することを通じまして、農業者の意欲的な営農活動につなげてまいります。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕
○生活文化局長(古屋留美君) 外国人の地域生活への支援についてお答えいたします。
日本人も外国人も地域で安心して生活するためには、外国人の地域のルールへの理解を促進することや、住民同士で円滑な交流が行われることが重要でございます。
これまで都では、ごみ出しなど生活に必要なルールの周知や、外国人の相談窓口の設置、やさしい日本語の普及啓発など、様々な取組を展開してまいりました。
今年度は、区市町村とも連携し、地域の災害などの情報を届ける仕組みを構築するとともに、地域とのコミュニケーションを深めるための日本語教育を充実させてまいります。
これらの取組を通じまして、共生社会の実現につなげてまいります。
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.