令和八年東京都議会会議録第九号〔速報版〕

○副議長(菅野弘一君) 四十七番遠藤ちひろ君。
   〔四十七番遠藤ちひろ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○四十七番(遠藤ちひろ君) 都民ファーストの会、遠藤ちひろです。
 最初に、個人的なご報告をさせていただきます。
 今月一日、長女との特別養子縁組が成立し、私たち夫婦は法的にも親になることができました。(拍手)ありがとうございます。
 ご存じのように、特別養子縁組というのは、事情があって育てられない子供を、裁判所の判決を経て実子として育てる制度です。
 昨年七月、生まれたばかりの娘は、職員に抱えられ、はるかな距離を旅してまいりました。毛布に包まれたまま我が家の居間に入ってきた瞬間を、私たちは一生忘れないでしょう。何も分からないままぐっすりと眠る娘を前に、人生初めて、自然と涙があふれてまいりました。
 養子縁組や里親は、まだまだなじみの薄い制度です。例えば、うちに来てからも約一年間、娘は同居人という扱いでありまして、保険も別、名字も別。いわゆる実親の心変わりも正直心配でありました。今回成立したことで、これまでの同居人から長女に戸籍謄本の記載も変わり、感動で胸がいっぱいになっております。
 この子の将来にはいろんな困難があるかもしれません。出自について悩むこともあるでしょう。しかし、どんな状況でも、私たちは一〇〇%、この子の味方であり続ける。たとえ血がつながっていなくても。
 この経験を通じて私たちが強く感じたことは、子供の時間は戻ってこないということです。一歳の子供にとっての一年は、人生そのものであります。施設で過ごすのか、里親や養育家庭に預けるのか。制度や手続を議論している間にも、子供たちは日々成長していきます。
 実親と一緒に過ごせない子供たちの未来をどう守るべきなのか。本日は、社会的養護、とりわけ家庭的養育の推進について質問いたします。
 私自身、当事者となって最も驚いたことは、養親希望者の多さでした。都では、年間およそ五十人の養子縁組の候補児童に対しまして、我々養子縁組の里親の登録者は四百人を超えております。一方、都内では約二千八百人の子供たちが乳児院や児童養護施設で暮らしています。残念ながら、その半数以上が実家庭に引き取られることなく、成人まで施設で暮らしてまいります。
 繰り返しますが、子供の時間は取り戻すことができません。特に、乳幼児期の一年は極めて重い意味を持ちます。
 二〇二〇年の民法等改正により、児童相談所所長からも特別養子縁組の申立てが可能となりました。様々な事情により、家庭での養育が困難な子供に対しては、家庭的な環境の中で安定して育つことが重要であります。特別養子縁組を含めた家庭的養育の推進について、都としてどのように取り組んでいくのか、知事の認識を伺います。
 次に、里親登録の柔軟な運用について伺います。
 里親や養子縁組に先立って、里親登録が必要になります。私自身も、相談開始から登録まで相当の期間がかかりました。
 一般的に、申請から登録までは三か月から六か月程度かかるとされていますが、年齢的に急がなければならない方も多くいらっしゃいます。申請の要件となっています研修の受講も、仕事等の都合で日程が合わず、数か月待つケースもございます。実親の養育が望めない場合には、なるべく早期の委託が望ましいと考えております。
 里親制度説明会や里親登録前研修について、都内共通で受講できる仕組みやオンライン活用などにより、十分な機会の確保を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、外国人共生について伺います。
 近年、外国人住民が増加しておりますが、留学ビザや高度人材と異なりまして、特定技能や技能実習ビザで暮らす外国人は、日本語での会話能力が十分ではないなどの理由から、地域との接点が乏しく、孤立が課題となっております。
 都は、こうした社会と接点が少ない外国人が地域活動に参加できるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 遺失物ロッカー返還の利用状況とその効果について伺います。
 警視庁では、オンラインによる遺失届の提出や遺失物ロッカー返還など、都民の利便性向上に取り組んでおられます。一方で、遺失物の受け取りのためには、平日の昼に飯田橋の遺失物センターまで出向かなければならず、負担が大きいとの声も聞かれます。
 そこで、遺失物ロッカー返還の利用状況とその効果について伺います。
 また、遺失物ロッカー返還の導入は評価いたしますが、都心部以外の都民にとっては依然として移動の負担が大きいわけです。今後、地域の警察署での受け取りや郊外における受け取り体制の充実など、さらなる利便性向上に向けてどのように取り組んでいくのか伺います。
 宿泊税の使途について伺います。
 先般可決されました宿泊税条例の改正を踏まえまして、宿泊税収は、今後約百億円増加すると見込まれております。旅行者の誘致競争が国際的に激化する中、宿泊税収が増える機会を捉え、観光振興の取組を進めていくべきであります。
 宿泊税は、今年度、ごみのポイ捨て対策などに充当されております。こうした取組も大変重要でありますが、宿泊税を投じることで旅行者が増え、それがさらなる消費や税の増収につながるという好循環につながる投資的な視野も不可欠であります。
 宿泊税の使途は都の観光計画に基づく施策ですが、計画の中でも旅行者を積極的に呼び込んでいく取組をしっかり位置づけ、強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 道路など、インフラを支える人材の確保について伺います。
 高度経済成長期に整備された道路や上下水道、住宅などの社会資本が更新期を迎える中、東京におけるインフラの維持更新は重要な課題であります。これは単なる公共工事ではなくて、都市の安全や防災力を高め、将来世代に都市を引き継ぐための未来への投資であります。
 私の地元、稲城市、多摩市におきましても、南多摩尾根幹線道路の整備、都営諏訪四丁目団地の建て替え、上下水道の再整備など、更新需要が見込まれていることから、こうした現場を担う建設や設備関連の人材を育てることが焦眉の急であります。
 業界団体と協働し、採用の成功事例を波及させるなどによりまして、人材獲得の底上げを図ることも効果的です。
 都は、インフラの整備や維持等を担う人材を育て、業界と連携した人材確保の取組を進めることで地域の企業をサポートすべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、伊豆諸島海域での洋上風力発電について伺います。
 世界的な資源、エネルギー価格の高騰や円安の影響が長期化する中、洋上風力発電は、再エネの主力電源化に向けた重要な切り札として位置づけられております。特に伊豆諸島の海域は、風況、風の強さに恵まれまして、日本屈指の導入ポテンシャルがあるとされておりまして、伊豆諸島海域では特に、洋上に風車を浮かべた浮体式の洋上発電、この導入に大いに期待するものであります。
 導入に当たっては、漁業や観光など利害関係者はもとより、そこで生活する地域住民の理解が欠かせません。地域の理解や共感を得ながら丁寧に進めていくべきですが、都の取組を伺います。
 ニュータウン市場について伺います。
 地元、稲城市、多摩市では、南多摩尾根幹線道路の整備が進められており、交通利便性の向上による地域の活性化も期待されております。ここに多摩地区唯一の中央卸売市場、多摩ニュータウン市場があり、近隣小学校給食や専門小売店等への青果物の流通も担っています。さらに、今でも残る引き売りによる移動販売の供給拠点にもなっているなど、特徴を持った市場であります。
 一方で、青果物の取扱数量が減少する中、市場施設の有効活用も課題となっており、都はこうした課題を踏まえて、取引時間外の駐車場を有効に活用する取組も行っていると聞いています。
 そこで、多摩ニュータウン市場では、市場本来の流通機能はもちろんのこと、多様な機能を発揮して地域社会に貢献できる取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 最後に、デジタル技術の復旧作業への活用について伺います。
 都では、地震等の災害に備え、水道管路の耐震化などを進めておりますが、被害を完全になくすことは困難であります。能登半島地震では、建物の倒壊などにより被害状況の確認に時間がかかり、水道の復旧が難航しました。
 我が党はこれまで、都の施策におきまして、デジタル技術の活用を提案してきました。インフラ施設の整備や管理に関しましても、日々様々な新技術が開発されており、水道の復旧作業においてもこうしたデジタル技術を積極的に活用していくべきと考えますが、見解を伺います。
 以上、私たちが当事者でもあります特別養子縁組から十問、一般質問をさせていただきました。質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 遠藤ちひろ議員の一般質問にお答えします。
 特別養子縁組など家庭養育についてでございます。
 全ての子供は、適切な養育を受け、健やかに成長する権利を有しており、社会的養護の下にある子供たちは、できる限り家庭と同様の環境において養育されることが望ましいと考えます。
 こうした考え方の下、都は里親への委託を推進するため、児童相談所の体制強化や里親への支援を包括的に行うフォスタリング機関事業等に取り組んでまいりました。
 現在、児童福祉審議会の部会におきまして、里親家庭への支援のさらなる充実のほか、家庭復帰が見込めない児童の特別養子縁組に関する児童相談所長による申立ての活用など、幅広い議論を行っております。
 こうした議論も踏まえまして、子供の最善の利益の確保に向けまして、家庭養育の一層の推進に取り組んでまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監筒井洋樹君登壇〕

○警視総監(筒井洋樹君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 都内における拾得物の受理件数は年々増加しており、警視庁においては、遺失、拾得物件の取扱いに関し、都民の利便性向上と職員の業務負担の軽減に継続的に取り組んでおります。
 まず、遺失物受取ロッカー返還の利用状況とその効果についてでございます。
 警視庁では、令和六年から行政手続オンラインシステムを活用し、遺失者が明らかであるなど一定の要件を満たした場合に、あらかじめ遺失情報の確認と身分確認を行うことにより、業務時間の内外を問わず遺失物の受け取りを可能とする遺失物受取ロッカーを警視庁遺失物センターに設置しており、本年一月から五月末までの利用件数は四百十九件で、前年同期比で百九十五件増加しております。
 同ロッカーは、オンライン申請により、対面での手続を経ることなく、夜間休日であっても遺失物を受け取ることができるため、都民の利便性向上と職員の業務合理化につながっているものと考えております。
 次に、都心部からの遠隔地居住者等に対する遺失物返還における利便性向上のための取組についてでございます。
 警視庁においては、遠隔地居住や高齢等の理由により、遺失物センターや警察署に来訪して遺失物を受け取ることが困難な方のため、遺失者が費用を負担すれば、送付による返還を可能としております。
 この送付による返還は、電話のほか、オンラインでも申請が可能でありますが、令和七年の都内における拾得物の受理件数が約四百五十万件、返還件数が約五十九万件と過去最多となっておりますところ、このうち送付による返還件数は約二万一千件となっております。
 引き続き、遺失物返還に係る警視庁の各種取組についてホームページで周知を図るなど、都民の利便性の向上に努めてまいります。
   〔福祉局長高崎秀之君登壇〕

○福祉局長(高崎秀之君) 里親希望者への研修等に関するご質問にお答えいたします。
 都は、里親支援業務を包括的に行うフォスタリング機関において、里親希望者が身近な地域で相談や研修を受けられる体制を構築しておりまして、各地域でオンライン説明会や相談会を随時開催しております。
 登録前研修は、希望者のアセスメントの機会としても活用するため、対面での実施を基本としておりまして、今年度からは、参加者同士の交流の機会を広げるため、複数のフォスタリング機関による合同開催も推進しております。
 今後も、より多くの希望者が研修等に参加できるよう、実施方法などを一層工夫してまいります。
   〔生活文化局長古屋留美君登壇〕

○生活文化局長(古屋留美君) 外国人の地域におけるつながりについてお答えいたします。
 地域との接点が少なく、孤立しがちな外国人に対し、交流を深める取組を進めていくことは重要でございます。
 都は、地域交流事業や外国人の居場所づくりなどを実施する市区町村の日本語教室に対して、財政支援を行っております。加えて、NPO法人等が行う外国人の情報不足や孤立解消をサポートする活動に助成するなど、地域との交流を促進しております。
 また、日本語でのコミュニケーションが地域とのつながりを生むことから、今年度は外国人の学習実態を調査いたしまして、日本語教育の充実を図ってまいります。
 引き続き、市区町村や民間団体と連携しまして、取組を進めてまいります。
   〔産業労働局長吉村恵一君登壇〕

○産業労働局長(吉村恵一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、旅行者を呼び込む施策の強化についてでございます。
 多くの旅行者を獲得することで、新たな消費が生まれ、産業の活力や雇用を生み出し、東京の魅力が一層高まることで、さらなる旅行者の獲得につながります。
 こうした好循環を生み出すために、先月、有識者を交えた議論を開始いたしました。江戸の歴史や文化を活用した効果的なプロモーションの視点、エンタメ産業の振興や観光人材の育成といった産業基盤の強化の視点、地域の生活環境との調和の視点などから幅広く検討を進めております。
 今後、関連事業者や区市町村とも議論を深め、具体的な方策を練り上げ、国内外の旅行者を呼び込む観光産業振興プランとして結実させてまいります。
 次に、インフラを支える人材の確保についてでございます。
 都市の基盤を支える担い手を確保、育成することは、都民生活や経済活動の維持に欠かせません。
 このため、都内の職業能力開発センターでは、専門的な技能訓練により建設や電気工事などの現場を担う人材を育成し、地域の企業への就職に結びつけております。
また、業界団体と連携し、求人を工夫し、採用に至った企業の事例を収集、発信するほか、今年度は、事業現場の魅力をSNS等で効果的にPRする取組を新たに支援いたします。
 生活基盤を支える企業への人材供給を通じ、持続可能な地域社会の実現につなげてまいります。
   〔環境局長宮澤浩司君登壇〕

○環境局長(宮澤浩司君) 伊豆諸島での洋上風力発電についてお答えいたします。
 洋上風力発電の導入に向けては、漁業者など利害関係者との丁寧な対話に加え、多様な手法で広く地域住民の理解を得ていくことが重要でございます。
 都はこれまで、漁業者や観光協会等の地元関係者に対し、鳥類等の生息状況や漁業実態に関する調査結果も活用しながら、丁寧な議論を重ねてまいりました。
 今年度は、地元広報誌等と連携して、導入の意義や効果等を全戸に発信するほか、新たに島内での日常的に利用される施設等への展示ブースの設置や学校での出前授業など、住民に身近な場を活用した取組を展開し、一層の理解促進に努めてまいります。
 これらによりまして、洋上風力発電の早期実装を目指してまいります。
   〔中央卸売市場長猪口太一君登壇〕

○中央卸売市場長(猪口太一君) 多摩ニュータウン市場についてでございますが、同市場は、供給拠点型市場として近隣地域における生鮮品流通を支えております。
 具体的には、地場産野菜等を集荷、販売するほか、学校給食や地元量販店等への納入を通じまして、近隣市への安定的な生鮮品供給を支えております。
 また、市場施設等を活用しまして地域貢献の機能も発揮しており、地元の自治体に対しまして、取引時間外の駐車スペースを提供するほか、小学生の社会科見学の受入れや、地元農協等との連携による青果販売などを行っております。
 今後もこうした取組を通じまして、多摩地域に貢献できる市場となるよう取り組んでまいります。
   〔水道局長山口真君登壇〕

○水道局長(山口真君) デジタル技術の復旧作業への活用に関するご質問にお答えいたします。
 地震などの発災により被害を受けた場合でも、水道水の供給を早期に再開するためには、供給ルートの確保に必要な設備などの埋設位置を迅速かつ確実に把握することが重要でございます。
 このため、水道局では、人工衛星からの情報などを利用しまして、バルブなどの位置データをあらかじめ取得する取組を進めております。具体的には、まずは、今後三か年で多摩地区の救急医療機関などの重要施設九十三か所に係るデータを全て整備するとともに、その管理や運用手法を確立した上で、他の地域への拡大を進めてまいります。
 今後も、デジタル技術を効果的に活用しまして、災害に強い強靱な水道の実現に取り組んでまいります。