令和八年東京都議会会議録第九号〔速報版〕

○副議長(菅野弘一君) 二十四番寺前ももこさん。
   〔二十四番寺前ももこ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十四番(寺前ももこ君) 都民ファーストの会、寺前ももこです。
 元小学校の教員、三人の子供を育てる母親の視点から、子供、子育て、教育に関する次世代を思う質問をさせていただきます。
 初めに、幼保小の移行期支援について伺います。
 令和六年度、都内の小学校一年生の不登校者数は、コロナ禍前と比べると三倍を超えており、不登校の低年齢化が課題となっています。
 幼稚園や保育所では、遊びを通して学ぶことが大切にされる一方、小学校では机に向かう時間が増えるなど、子供たちは大きな環境の変化を経験します。
 私は、この移行期のつまずきを子供個人の課題ではなく、大人の課題として受け止めることが重要だと考えています。そのためには、幼稚園、保育所、小学校、行政が連携し、子供と保護者を切れ目なく支えていく必要があります。
 都は今年度、幼保小の移行期ガイドブックを作成し、発信するとしていますが、家庭においても、子供たちが学校生活を安心して始められる環境を整えるために、保護者や現場の声を丁寧に取り入れ、ユーザー目線に立った分かりやすいものとし、就学前後の子供を持つ保護者をサポートすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、フリースクール等への支援について伺います。
 私は、大人がつくった不登校という言葉をなくし、子供たちがそれぞれに合った学びや居場所を選べる社会を目指したいと考えています。
 都は、令和六年度からフリースクール等への支援を開始し、多様な学びの場の充実を進めており、大変意義のある取組と評価しています。安心できる居場所を見つけた子供たちが元気を取り戻し、再び学びや社会とのつながりを広げていく姿が見られます。
 その背景には、一人一人の子供に寄り添い、日々試行錯誤を重ねながら支援を続けるフリースクール等の努力があります。都には、事業者の声を丁寧に聞き、子供たちへの支援の質をさらに高めていくことが求められます。
 フリースクール等における子供へのサポートの質の向上に向け、都はどのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 公立学校で働き方改革を進めるに当たっては、学校が抱える課題や実情に応じて、教員自身が主体的に考え、取り組んでいくことが重要です。
 また、社会環境や子供たちを取り巻く状況が大きく変化する中、これまで当たり前とされてきた学校の仕組みや慣行についても、今の時代を生きる子供たちに本当に合ったものとなっているかという視点で見直していく必要があります。
 例えば、担任一人に責任を集中させるのではなく、チーム担任制など、学校全体で子供を支える仕組みづくりを進めることや、通知表の在り方の見直し、時程の工夫など、従来のやり方にとらわれることなく、子供たちにとってよりよい学びと教員の働きやすさの両立に向けて、業務を大胆に見直ししていく必要があります。
 都教育委員会では、我が会派の提案を踏まえ、公立学校二十校に民間コンサルタントを派遣し、業務改革を進めており、様々な成果や工夫が生まれています。学校や教員が自ら業務の在り方を見直すとともに、学校が担うべき役割を整理し、先進的な取組を広げていくべきです。
 また、業務そのものだけではなく、教員の意識や仕事の進め方に対する考え方についても見直しを進めていく必要があると考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 近年、保護者や地域から学校に寄せられる要望は高度化、複雑化しており、教員個人や学校だけでは対応が難しい事案も増えています。都教育委員会では、こうした課題に対応するための取組を進めており、重要な施策だと評価しています。
 本来、教員の最も大切な仕事は、子供たちと向き合い、その成長を支えることです。しかし、過度な要求や長期化する対応に追われることで、本来、子供たちに向けるべき時間やエネルギーが失われてしまってはなりません。
 教員を守ることは、結果として子供たちの学びの環境を守ることにつながります。そのためには、学校がより早い段階から法的な専門家へ相談できる仕組みや、現場が活用しやすい支援体制をさらに充実させていくことが必要です。
 そこで、都教育委員会は、法的な専門家による支援体制のさらなる強化に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 肢体不自由のある児童が地域の一員として学区内の学校に通いたいと願うことは、インクルーシブ教育を進める上で極めて重要です。
 一方で、保護者の送迎負担、登下校時の安全確保、医療的ケアや車椅子利用への対応など、通学を支える仕組みが十分でないため、本人や家族の希望だけでは地域の学校を選びにくい現状があります。
 特別支援学校では通学支援の仕組みがある一方、区市町村立学校に通う肢体不自由児については自治体や学校ごとの差が大きく、結果として、保護者負担に依存している実態があります。
 東京都として、肢体不自由児が通学の心配をせずに学区内の学校を選ぶことができる環境を整えるべきと考えますが、見解を伺います。
 私の下には、受験生や保護者の皆様から、教育費負担に関する声が数多く寄せられています。中でも、進学しない大学への入学金支払いによる二重払いは、多くの家庭に重い負担を強いる大きな課題です。
 私立大学への入学金支払額は、平均二十四万三百六十五円に上ります。文部科学省は、昨年六月、入学金負担の軽減を求める通知を発出し、都内の若者による入学金調査プロジェクトの活動もあり、実際に入学金改革に踏み出す大学も出ています。
 我が会派は、本年第一回定例会で都立大学の入学金二重払い問題を取り上げ、都から具体的対応を検討していくとの答弁を得ました。入学金の二重払いに対する都立大学の対応は、東京から日本を変える先駆的な事例となり得るものと受け止めています。
 若者の挑戦と進路選択を後押しするため、都立大学における入学辞退者への入学金全額返金を実現すべきと考えますが、検討状況について伺います。
 先月、こども家庭庁から、夏休み期間中の子供の居場所づくりを推進する通知が発出されました。
 夏休みは、家庭環境や経済的事情などによる課題が表面化しやすい時期です。一人で長時間過ごす子供や十分な食事を取ることが難しい子供が生じないよう、安心して過ごせる居場所と食支援を一体的に進めていくことが重要です。
 この夏休みに向けて、区市町村への働きかけをさらに強化し、子供たちが安心して過ごせる居場所の確保を加速させるべきと考えます。特に、長期休業期間中の食事提供を含め、子供の居場所確保にどのように取り組んでいくのか伺います。
 また、障害の有無にかかわらず全ての子供たちが安心して過ごせる居場所づくりを進めることが重要ですが、こうした居場所を考える上では、障害のある子供たちについては支援ニーズや受皿の面でより一層の対応が求められます。
 例えば、障害のある子供の居場所である放課後等デイサービスでは、夏休みの開所時間が保護者の就業時間と合わず、仕事との両立が難しくなるケースもあります。
 さらに、障害のある子供の居場所は、放課後等デイサービスだけではなく、日中一時支援など様々な形で地域の実情に応じた多様な受皿を確保していくことが重要です。
 都は今年度から、長期休業期間中の障害のある子供たちの居場所づくりに向けた取組を開始していますが、夏休みを迎える前に必要な支援が行き届くよう、区市町村による多様な取組を柔軟に後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 市販薬のオーバードーズは、若者の心身の健康を脅かす深刻な社会問題となっています。
 特に近年は、中学生や高校生などの若者が比較的容易に購入できる市販薬を大量に服用する事例が後を絶たず、命に関わる重大な事故にもつながっています。
 背景には様々な要因がありますが、そもそもの課題として、若者がオーバードーズに使用されやすい市販薬を安易に購入できる状況があると考えます。
 本年五月に施行された改正薬機法では、特定成分を含む医薬品について、十八歳未満への販売規制が強化され、複数個、大容量製品の販売が禁止されるとともに、販売時には薬剤師等による対面などでの説明が義務づけられました。
 こうした法改正とともに、悩みや生きづらさを抱えた子供たちが薬に頼らざるを得ない状況を少しでも減らしていくためにも、販売現場において適切な対応が徹底されることが重要です。
 都としても、薬局やドラッグストアにおける若者への販売状況を適切に把握し、法令遵守の徹底に向けた監視や指導を強化していくべきと考えますが、見解を伺います。
 近年、働き方改革の取組により、労働時間の縮減は徐々に進んできています。海外ではデンマークのヒュッゲに代表されるように、家族や友人と穏やかな時間を過ごすことを大切にする文化が根づいており、そのことが幸福度の高さにもつながっているといわれています。
 一方で、東京を支える中小企業からは、人手不足や業務負担の増加により、長時間労働の改善が思うように進まないという声も伺っております。
 長時間労働の削減は単なる労働政策ではなく、都民一人一人の暮らしの質や幸福度の向上につながる重要な取組だと考えています。
 中小企業が生産性向上と働き方改革を両立しながら、従業員一人一人の人生の時間を創出できるよう、実効性ある支援を今後進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 最後に、都市農業についてお伺いします。
 私の地元日野市は、多摩川や浅川の豊かな自然に恵まれ、市内各地で農業が営まれています。農地は新鮮な農産物を生み出すだけではなく、子供たちが自然や食を学び、地域のつながりを育む大切な場でもあります。
 一方で、東京の農業は、この十年間で農家戸数が約三割、産出額も約二割減少するなど、担い手の減少や農業生産の低迷が続き、厳しい状況に置かれています。
 こうした課題に対して、都はこれまで、農業者への支援を続けてきましたが、農業者の努力や工夫のみに委ねるのではなく、農業に関わるプレーヤーを増やしていくなど、次の世代に農業を残すためにも発想の転換が必要であると考えます。
 東京は、世界有数の大都市であり、スタートアップや農的活動に関心を持つ企業などが集積しています。意欲ある彼らの知見や技術を活用して新たな協業を生み出し、人手不足の解消や都市型農業の技術開発を促進する、いわば農業分野におけるオープンイノベーションにより……。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 寺前ももこ議員の一般質問にお答えいたします。
 ライフ・ワーク・バランスについてのご質問がございました。
 家族や友人と共に過ごし、趣味を楽しみ、新たなことを学ぶ時間は人生を豊かにいたします。都民一人一人がこうした時間を持てるよう、生活と仕事の両立が実現できる働き方の見直しが必要です。
 都は、働き方改革に取り組む中小企業に対しまして、相談対応や専門家の派遣などによって、職場環境づくりを進めるためのノウハウを提供いたしております。
 今年度は新たに企業同士が交流する場を設け、現場の悩みや業務改善の取組を共有し、意識改革や行動の変容につなげる。長時間労働を削減し、手取り時間の創出に取り組む企業への伴走支援も強化いたします。
 DXによる生産性の向上も図りながら、誰もが生き生きと活躍し、自分らしく輝く都市東京を目指してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、公立学校の働き方の改革についてでございますが、公立学校での働き方を改革する上で、民間の経営の方法等を活用するほか、仕事の進め方に係る教員の意識や考え方を見直す後押しは重要でございます。
 都教育委員会では、学校に民間の経営の専門家を派遣し、ワークショップを開き、教員が仕事の効率化を図る主体的な取組を支援いたしました。
 これによりまして、給食時に教員が交代で対応し、担任が仕事を効率的に進める時間をつくるなどの事例が出ております。
 今年度は、様々な成果を学校間で共有するイベントも開催いたします。
 今後、学校行事等に係る仕事の進め方に関し、職場に根づいた考え方も含め見直し、改革を加速します。この取組を有識者会議の意見も踏まえ進めてまいります。
 次に、学校での弁護士の効果的な活用についてでございますが、都立学校への保護者や地域からの高度で複雑な要望等について、法律の専門的な知識により解決のできる事例は増えております。このため、弁護士を学校で効果的に活用することは重要でございます。
 こうした中、都教育委員会は、東京都教育支援機構、TEPROに窓口を設け、弁護士が都立学校からの相談に対応する取組を行っております。
 また、都立高校等に弁護士を派遣し、法律面の助言を行う仕組みも設けているところでございます。
 さらに、今年度から学校に代わり法律面のサポートを進める取組も実施をしています。
 今後、これらによる成果を取りまとめ、都立学校で幅広く共有し、弁護士の一層の活用に結びつけてまいります。
 最後に、肢体不自由のある子供の通学についてでございますが、肢体不自由のある児童や生徒が公立の小中学校に通う場合、保護者の送迎の負担を減らすサポートを効果的に行うことは重要でございます。
 これまで都教育委員会では、そうしたサポートのための国の様々な仕組みについて、区市町村に情報提供を行ってまいりました。
 これによりまして、それぞれの自治体では、車や介助の人材の利用に係る経費に対し助成等を実施しております。こうした支援は、地域の状況に応じ、助成の上限や対象などは異なっております。
 今後、都教育委員会は、関係局と協力し、区市町村による支援の状況を把握し取りまとめ、幅広く情報発信を行い、それらの一層の活用につなげてまいります。
   〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕

○子供政策連携室長(田中愛子君) 幼保小、幼稚園、保育所等、小学校の移行期支援についてでございますが、都は今年度、子供が学校生活を円滑に開始できるよう、親子が入学前後に感じることが多いリアルな不安や悩みと、それに対する解決策を掲載したガイドブックを作成し、配布いたします。
 作成に際しては、幼保小の接続に関する知見を持つ専門家等の監修を受け、実効性の高い内容といたします。
 具体的には、入学前に家庭で行うべき準備や、一年生が過ごす学校生活のイメージのほか、子供が登校を渋った際の接し方や相談先など、幅広い情報を掲載いたします。
 また、保護者に加えまして、幼稚園、保育所、小学校等へのヒアリングも行うことで、現場の実情を踏まえながら、子供や保護者に寄り添った内容としてまいります。
   〔生活文化局長古屋留美君登壇〕

○生活文化局長(古屋留美君) フリースクール等への支援についてお答えいたします。
 子供たちが自分らしく成長できるよう、フリースクールなどの多様な学びの場を確保するとともに、子供たちへのサポートの質の向上を図っていくことは重要でございます。
 そのため、都はフリースクール等に対し、子供一人一人のサポートプラン作成等への経費支援に加え、専門家の派遣を行うなどの様々な支援を実施しております。
 本年一月には、支援メニューの効果的な活用方法を取りまとめて周知したほか、サポートプラン作成の手引も改定いたしまして、それを来週から実施を予定しております講習会において、全ての対象事業者に説明いたします。
 引き続き現場の声にも丁寧に耳を傾けながら、フリースクール等による子供たちへのサポートの質の向上に取り組んでまいります。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 東京都立大学の入学料についてのご質問にお答えをいたします。
 東京都立大学の学部につきましては、前期入試の入学手続締切りを三月中旬とし、辞退数を正確に把握した上で後期入試の合格者数を見込むことで、受験者の入学機会を確保しております。
 一方、近年、私立大学では、三月下旬に追加合格を出すことが一般化し、入学料納付後に都立大学入学を辞退する者が一部発生をしております。
 こうした状況を勘案し、東京都立大学志望者の受験機会を確保しつつ、入学料負担による進路選択への影響を抑える観点から、令和八年度以降に行う学部一般選抜につきまして、入学手続締切り後に他大学の合格を得て辞退する者に対し、入学料の全額を返還いたします。
   〔福祉局長高崎秀之君登壇〕

○福祉局長(高崎秀之君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の居場所についてでございますが、都は、子供の学習支援と食事の提供などを一体的に行う居場所や、宅食を含む子供食堂の運営を支援する区市町村に運営費を補助しております。
 今年度からは、地域の実情に応じまして、より柔軟に居場所を確保できるよう、開催頻度や様々な体験活動に応じた補助額を設定するほか、運営費の補助を引き上げます。
 また、学童クラブにおいて、学校給食がない長期休業期間中に昼食提供ができるよう、包括補助により支援しております。
 こうした支援策を区市町村に働きかけまして、長期休業期間中を含め地域の子供の居場所の確保に向けて取り組んでまいります。
 次に、障害児の居場所づくりについてでございますが、学校の長期休業期間中も、障害児が身近な地域で安心して過ごし、その保護者が働き続けられる環境を整備することは重要でございます。
 都は今年度、長期休業期間中の朝の時間帯における障害児の居場所づくりへの支援を開始しておりまして、今年の夏に向けて、多くの区市町村で取組が進むよう積極的に働きかけてまいりました。
 本事業は、区市町村が地域の実情や利用者の状況に応じて柔軟に取り組めるよう、多様な場所や人員体制での実施を可能としておりまして、今後、好事例を共有するなど、区市町村における早期の取組を後押ししてまいります。
   〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕

○保健医療局長(山田忠輝君) 市販薬のオーバードーズ対策に関するご質問にお答えをいたします。
 若者を中心に風邪薬等の市販薬の乱用が深刻化する中、乱用防止に向けた取組を推進していくことが重要でございます。
 都はこれまでも、薬局等に加えまして、大手ECモール運営企業十社に対する独自の講習会等を通じて、十八歳未満への複数個の販売禁止など、改正薬機法における遵守事項の周知徹底を図ってまいりました。
 今後は、繁華街にある薬局等への重点的な立入調査を進めるとともに、インターネット上の店舗に対し、試買調査を通じた監視を拡充いたします。
 こうした取組により、若者に対する不適切な医薬品販売の防止に向け、監視指導を一層強化してまいります。

○議長(増子博樹君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩