令和八年東京都議会会議録第四号〔速報版〕

   午後五時二十五分開議

○議長(増子博樹君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 二十九番もがみよしのり君。
〔二十九番もがみよしのり君登壇〕

○二十九番(もがみよしのり君) 参政党のもがみよしのりです。
 さきの衆議院選挙において、私たちは、日本人ファースト、一人一人が日本というキャッチフレーズを掲げ、十五席お預かりするという大きな前進を果たすことができました。この言葉に込めた思いは明確であります。日本や東京都が直面する課題を決して他人事にせず、政治任せ、人任せにするのではなく、一人一人が当事者として受け止める社会を築いていきたい、その決意であります。
 都政の根幹に関わる問題意識について質問させていただきます。
 都は二〇五〇年ゼロエミッションを掲げ、推進してきました。これらは、エネルギー価格や住宅取得、改修費、事業者の設備投資の負担を通じ、都民生活や企業経営に直接影響を及ぼすものです。国際情勢も変化する中、政策の前提と妥当性を改めて検証する必要があります。
 そこで伺います。
 地球上のCO2濃度と地球温暖化との関連性をどのような科学的根拠に基づき評価しているのか。また、二〇五〇年ゼロエミッションの目標は、気候科学上の絶対的期限に基づくものなのか、それとも国際合意や我が国の政策動向を踏まえた政策判断なのか、その位置づけを明確にしてください。
 もし後者であるならば、なぜ現時点で、このペースで施策を進める必要があるのか、社会経済状況や技術進歩、国際環境の変化に応じて目標年次や達成プロセスを柔軟に見直す余地があるのか、都の考え方を伺います。
 近年、アメリカではトランプ大統領がパリ協定離脱を表明し、化石燃料開発を促進しているなど、脱炭素の一律的推進に慎重な姿勢を示しています。世界が同一方向で進んでいないという現実がございます。
 IPCCのデータ等に基づき、日本が二〇五〇年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにしても、地球全体の平均気温低下への寄与は最大約〇・〇〇六度にとどまるとの試算があり、こうした定量的分析を踏まえ、都の取組が地球規模でどの程度の実効性を持つと考えているのか、見解を伺います。
 また、特に伊豆諸島周辺の洋上風力発電については、現地視察において漁協関係者から、強風、高波、塩害など、厳しい自然状況下での耐久性への懸念、過去に八丈島で陸上風力が強風により三度にわたり失敗した経験、さらに、防波堤が動くほどの風力と潮力に対する懸念の声がございました。
 こういった経験や現場の声がある中、発電の実効性、維持管理コスト、漁業への中長期的影響をどのように評価しているのかを伺います。
 次に、脱炭素政策について、中国製等の海外製品をどうしても拙速に導入しなければならない理由は何かを伺います。
 以上の観点から、今後は、開発段階においては、拙速に脱炭素を進めるために島民の声を押し切ってまで洋上風力計画を進めるのか、もしくは、状況次第では凍結、中止を含めて抜本的に見直す考えはあるのか、明確な見解を伺います。
 先日の報道では、FIT制度の終了や耐用年数の到来で、全国で四百二十基を超える風車が廃止されていると、現実が示されました。
 都議会参政党として八丈島を視察した際に、島民の切実な声を耳にしました。島内には助産師が一人もおらず、少子高齢化が進行しています。また、台風被害や老朽化により、製氷機など漁業に不可欠な設備が更新できず、困難な状況にある漁業組合や、漁師の後継者不足といった課題もございます。
 八丈島をはじめとする漁協の方々からは、台風被害の復興を加速してほしい、施設の老朽化への対応を強化してほしいとの要望も寄せられています。まず守るべきは島の命と産業の基盤です。都議会参政党として、少子化対策や後継者の育成、復旧支援や施設整備を確実に進めることを強く求めます。
 次に、医療政策の根本について知事に伺います。
 私は、二十一年間、東洋医学の専門家として、約二十万人以上の方々の健康と予防医療について本気で向き合ってきました。その中で、医療過誤の問題を数多く聞いてまいりました。
 本定例会の知事の施政方針表明において、首都東京から明るい未来のモデルを示す意味は極めて大きいものがありますと述べられました。まさに東京の制度設計は、全国に影響を与える重みを持っています。
 行政が担う公衆衛生とは、本来、個人や市場だけでは守れない健康を、税財源と公的権限で支えることではないでしょうか。感染症のように他者への影響を及ぼす外部性がある分野や医療情報の非対称性が大きい領域こそ、行政の役割は明確となります。
 一方で、個人の選択で完結する分野にまで広く税金を投入するのであれば、どのような基準で行政介入を正当化するのか、その原則を都民に示す責任があると考えます。
 ヨーロッパ、例えばイギリスのNHSでは、人頭払い制度により、患者が健康であるほど医療機関の経営が安定する仕組みを築いています。すなわち、病気になってから治す医療から病気にさせない医療へと構造転換をするべきです。病気にさせないことが医療機関の経営的インセンティブとなる制度設計への転換をすべきではないでしょうか。
 首都東京が明るい未来のモデルを示すというのであれば、行政が関与すべき範囲とその判断基準を明確にし、治療偏重から予防重視へと構造そのものを転換する必要があると考えます。
 行政が関与すべき範囲の原則、そして制度設計への転換について、知事の見解を伺います。
 次に、女性のがん検診応援事業の質問に入ります。
 現代医療の検診は、症状が出なかった可能性のある微小ながんを見つけてしまい、不安や不必要な治療につながる可能性がございます。本当に必要なのは、受診率の数字でしょうか。それとも、死亡者数の実質的低下でしょうか。
 アメリカ予防医療専門委員会が、乳がん検診についての新しいガイドラインでは、マンモグラフィー検診の開始年齢を五十歳に引き上げ、年に一度ではなく、二年に一度にすべきだと発表しました。同委員会の勧告は、今までのマンモグラフィー検診に関するデータを分析した上で、利益と害をはかりにかけ、その有用性を判断した結果です。
 四十代女性では、マンモグラフィー検診を受けて命が助かるより十倍も誤診やそれに伴う不必要な治療が施されることが指摘されています。さらに、十年間、毎年マンモグラフィーを受け続けた結果、検査を受けた人が偽陽性と診断され、乳がんの疑いがあると告げられる確率は約五〇%にもなります。誤診によって検査のために切除を受けたり、乳房部分切除を受けたりした場合に、傷からがんが発生することも懸念されております。
 一九九五年七月のランセット誌にも、メリットがほとんどなく、デメリットが深刻で、コストが膨大にかかる検査として疑義を呈していますと、医療ビジネスの闇、崎谷博征医師の著書において警鐘を鳴らしています。
 がん全体の考え方として、医学博士石原結實によれば、血液を浄化すればがんの予防や改善につながる、現代の西洋医学は血液の汚れという原因にアプローチすることなく、がんといった結果への対処に躍起になっている、一時的に改善が見られても、そもそもの原因が取り除かれていないのだから、再発や転移が起きてしまうことが少なくありません。
 自然療法医森下敬一博士は、がんは血液の汚れによる全身病である、乳製品の取り過ぎは上半身のがんにかかりやすくなると研究結果を公表しています。がんは早期発見ではなく、早期予防が大切であると述べられています。
 そこで伺います。
 女性のがん死亡構造を見れば、死亡者数が多いのは大腸がん、肺がん、膵がんであり、乳がんは上位であるものの最多ではありません。早期発見の目的と併せて、死亡者数減少を主眼とするならば、なぜ乳がんと子宮頸がん限定なのか、政策目的と疾病負担構造との整合性を明確にお答えください。
 次に、成果指標について伺います。
 早期発見の目的は寿命の延伸であると認識しています。年齢調整死亡率が改善しても、それは人口構成を補正した統計指標であり、政策効果そのものを直接示すものではございません。
 がんは、最初に発生した臓器にとどまる疾患ではありません。血液やリンパを通じて全身へと広がる転移を特徴とする、いわば全身病です。そして、転移が進行すればするほど治療は困難となります。一方で、今回の政策は、特定のがん、例えば乳がんの有無を早期に発見する検診の受診率向上を成果目標としています。
 そこで伺います。
 成果指標として用いられる年齢調整死亡率は、人口構成を補正した統計指標にすぎず、実際の死亡者数そのものが減ったことを示すものではございません。がんが全身に進行する疾患である以上、単一臓器の検診受診率向上が、都民全体の死亡者数減少に直結するという根拠は何かを伺います。
 次に、東京都がん対策推進計画に、がん検診の受診率向上、科学的根拠に基づく検診の実施など、がん予防、早期発見に取り組んできましたと明記されているが、都における予防の定義をお示しください。
 全国的な医療技術の進歩や治療成績向上の影響であれば、それは都の独自施策の効果とはいえません。さらに、公衆衛生政策として重要なのは、因果連鎖の実証であります。受診率の向上、早期発見、治療成績の向上、死亡者数の減少、この連鎖が定量的に成立するかどうかが核心です。
 乳がん検診について、国際的にリードタイムバイアス、長期過剰診断、偽陽性による心理的負担が指摘されています。
 そこで伺います。
 都は、過剰診断率の推計を行っているのか、利益と不利益のバランスの評価を実施しているのか、利益は受診率の向上により早期発見、早期治療との認識ですが、乳がんにおけるマンモグラフィーと子宮頸がんで行われる細胞診における不利益をお答えください。
 そして、本事業に基づく検診によって、過剰診断や偽陽性、合併症等の不利益が生じた場合、その責任の所在はどこにあるのか、都はどの範囲まで責任を負うのか。また、事前に想定しているリスクの内容とその補償、救済の仕組みについて、明確にお示しください。
 次に、経済政策との整合性について伺います。
 東京都は、女性活躍推進を掲げています。しかし、過剰診断により、臨床的意義の低い病変の発見、不要な外科的処置、長期通院、心理的負担、就労制限が生じれば、女性活躍機会に負の影響を与える可能性があります。
 都は、本事業について、就労損失日数、治療関連離職率、精神的健康影響を含めた経済インパクト評価を行っているのか、健康政策と経済政策が整合しているのか、定量的分析を伺います。
 最後に、インセンティブ設計について伺います。
 二〇〇〇ポイントという外的報酬が、持続的健康行動変容を生むという科学的根拠を示すべきです。既受診層の再受診による見かけ上の増加と未受診層の純増を区別できる設計になっているのか、未受診層の主因は何か、費用要因、時間的制約、心理的抵抗、アクセス問題、エビデンスに基づく分析はあるのか、都の見解をお聞かせください。
 公衆衛生政策は、産業のためではなく、都民のためにあるべきものです。受診率という数字ではなく、健康寿命という実態を追い求めることを強く求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) もがみよしのり議員の一般質問にお答えいたします。
 健康づくりの施策についてでございます。
 いつまでも生き生きと自分らしく暮らすためには、都民一人一人が心身の健康づくりに取り組むことも大切であります。
 このため、都は、東京都健康推進プラン21に基づき、運動や休養といった生活習慣の改善やがんなどの生活習慣病の予防等を推進しまして、健康寿命の延伸を図ることといたしております。都民、関係機関の皆様と一体となって、健康づくりの取組を推進してまいります。
 その他の質問につきましては、関係局長が答弁いたします。
〔環境局長須藤栄君登壇〕

○環境局長(須藤栄君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、気候変動対策についてでございますが、IPCCによる科学的な知見やCOPにおける国際的な合意などを踏まえ、気候危機への対応は一刻の猶予もないとの認識の下、都は二〇五〇年ゼロエミッション等の目標を掲げ、施策の強化、拡充を図っております。
 今後も、未来を見据え、技術開発の動向なども踏まえ、都民、事業者のご意見を聞きながら、目標や施策をさらに高めてまいります。
 次に、都の気候変動対策についてでございますが、世界有数の大都市であり、エネルギーの大消費地として、都は、温室効果ガスの削減目標の達成に向け、先進的な取組を推進するとともに、国内外の都市間の連携を強化し、世界の脱炭素化をリードしてまいります。
 次に、洋上風力についてでございますが、確実な事業実施等に向け、都は、漁業者をはじめ、多くの関係者の声を聞きながら、風況や漁業実態など様々な調査を行っております。
 なお、漁業影響については、環境影響評価法に基づき、発電事業者が建設前から運転開始後までモニタリングを行うこととされております。
 次に、洋上風力発電設備についてでございますが、再エネ海域利用法においては、国が発電事業者の公募を実施し、選定された発電事業者が洋上風力を建設することとなります。また、国の洋上風力産業ビジョンでは、数万点の部品のうち、六割強を国内で調達する目標が掲げられております。
 最後に、洋上風力の計画についてでございますが、導入に当たっては、地域の方々のご理解、ご協力が必要であることから、これまでも地元自治体はもとより、漁業関係者など、地元の方々のご意見を聞きながら進めているところであり、引き続き丁寧に進めてまいります。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕

○保健医療局長(山田忠輝君) 七点のご質問にお答えいたします。
 初めに、女性のがん検診受診応援事業の対象についてでございますが、国はがん検診につきまして、死亡率減少などの利益が偽陽性や過剰診断等の不利益を上回るかどうかを科学的に評価をしております。利益が不利益を上回る検診として、現在、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの五つの検診を推奨しております。
 乳がん及び子宮頸がんは、他のがんに比べ、検診受診率が低いことなどから、都は本事業により受診を促進することといたしました。
 次に、がん検診による死亡率減少についてでございますが、国は、検診によるがん死亡率減少を目指し、科学的根拠のある五つのがん検診の受診率の目標を六〇%と設定しております。
 このうち、乳がんや子宮頸がんは、転移など重症化する前に発見し、治療することで、五年生存率は九〇%以上になります。一方で、他のがんに比べて検診受診率が低くなっております。そのため、これらのがん検診の受診率向上を図ることは、死亡率減少につながるものと認識しております。
 次に、がんの予防についてでございますが、都は、東京都がん対策推進計画におきまして、がんのリスクの減少を目指す一次予防、早期発見を目指す二次予防に取り組むこととしております。
 一次予防は、運動等の身体活動や喫煙等による健康影響などについて、正しい知識を広く普及し、生活習慣等の改善につなげる取組であります。二次予防は,がん検診により早期発見、治療につなげ、がんによる死亡率を減少させる取組でございます。
 次に、がん検診の利益、不利益についてでございますが、国の評価では、乳がん及び子宮頸がん検診の不利益として、偽陽性や過剰診断などが挙げられており、マンモグラフィー検査については、放射線被曝も挙げられております。
 これらのがん検診は、がんによる死亡率を下げる効果が確実であり、利益が不利益を上回ると科学的に評価されており、国は検診の実施を推奨しております。
 次に、がん検診のリスクと補償についてでございますが、都は、がん検診の利益とともに、不利益についても検診対象者自身が理解した上で受診できるよう、ホームページやパンフレットにより周知しております。また、各検診実施機関におきましても、検査の実施前に受診者へ説明することとしております。
 なお、がん検診では、偽陽性などを防ぐために、一次検診と精密検査の二段階での検査を行うことにより、精度を高めております。
 次に、女性のがん検診受診応援事業についてでございますが、人が社会で活躍するためには、基盤となる健康の保持が重要であり、生活習慣等の改善に加え、検診による早期発見、治療が大切でございます。
 がん検診につきましては、偽陽性や過剰診断等の不利益はあるものの、これらのがん検診は、死亡率減少などの利益が不利益を上回ることを国が科学的に評価をしております。がん検診の実施による医療費の軽減などについて、医療経済学的な研究も行われております。
 また、国は、女性特有の健康課題による経済損失の試算として、乳がん等の婦人科がんの治療に伴う休職等による労働損失などの経済損失を年〇・六兆円と推計しております。
 こうしたことから、がんの早期発見、治療により、仕事の継続にもつながるよう、本事業により検診の受診を促進してまいります。
 最後に、女性のがん検診受診応援事業のインセンティブについてでございますが、都が都民に向けて実施いたしました調査では、がん検診を受けない理由として、心配なときはいつでも医療機関を受診できるから、面倒だったからといった回答が寄せられております。
 こうした回答を踏まえ、がん検診の正しい理解を促すとともに、受診に踏み出すきっかけとしてインセンティブを提供することが、受診促進に有効であると認識し、本事業を実施することといたしたものでございます。
 また、本事業の申請者について、これまでの受診状況等を把握することとしております。