○議長(増子博樹君) 一番いいだ健一君。
〔一番いいだ健一君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○一番(いいだ健一君) まず初めに、デジタルとマーケティングの知見を最大限に生かした現役世代への経済支援について三点伺います。
一点目は、所得向上に向けたリスキリング支援についてです。
私自身、キャリアを開くために、職場での仕事とは別に、通勤時間などの隙間時間を生かし、IT技術やマーケティング等の新たなスキルを身につけてきました。これにより、昇進の後、自ら起業することにも結びつきました。しかし、現役世代や非正規の方の中には、スキルがないから低賃金から抜け出せないという方もおり、時間的な余裕もなく、学ぶハードルが高いのが現実です。
そこで、確実な所得向上に向けた実践的リスキリングとして、隙間時間を活用し、スマートフォンなどで学べるオンライン学習サービス等を活用して、例えば、サイバーセキュリティに対応できるような、高度でより転職市場で求められている技術を身につけるなど、即戦力のDXスキルを習得できるプログラムを拡充すべきです。さらに、習得したスキルが確実に正規雇用や年収アップにつながるよう、都として、企業とのマッチングを強力に推進すべきです。併せて知事の見解を求めます。
二点目は、就労に困難を抱える方への支援についてです。
病気や生活困窮等で就労に困難を抱える現役世代は、人手不足といわれる中、希望の仕事を得ることは決して容易ではありません。だからこそ、就労に困難を抱える現役世代を決して一人にさせないサポート制度のさらなる拡充が急務です。
誰もが安心して就職に再挑戦できるよう、包括的な支援策を講じるべきです。都の見解を求めます。
三点目は、中小企業の稼ぐ力の底上げについてです。
中小企業の賃上げ実現には、個人のスキルアップだけでなく、雇う側の企業の稼ぐ力の底上げが不可欠です。しかし、中小企業では、専門的なマーケティングの知見が不足しているなど、自社の技術やサービスの適正な価格設定ができず、結果としてコスト上昇分を価格転嫁できないという構造的な課題があります。
特に、中小企業では、発注企業への遠慮や立場の弱さから苦境に立たされています。都が主導して価格転嫁のガイドラインを徹底することはもちろんですが、現場が最も求めているのは価格の交渉や設定を裏づける実務的なサポートであり、客観的な数値に基づく交渉力や消費者から理解を得られる価格設定が適正な価格転嫁への近道です。
適正取引に向けた相談体制や価格転嫁の支援を強化すべきです。さらに、大幅な賃上げを実現した企業の支援もすべきと考えます。併せて都の見解を求めます。
次に、デジタル技術を活用した福祉及び防災の充実について三点伺います。
一点目は、都議会公明党が提案してきた利用者本位の介護DXについてです。
私は、母と共に祖母の自宅介護を経験いたしました。当時、私たちが最も苦しんだのは、自分たちの状況に合った施設やサービスが何なのか全く分からないということでした。膨大なリストから電話をかけ続けるだけの検索は、疲弊した家族にとって極めて苦しいものです。特に、働きながら介護を担う世代にとって平日の窓口相談は困難です。夜間や休日にスマホで検索しても、情報は散在し、支援にたどり着くのは容易ではありません。
そこで、家族がスマホで簡単な条件を入力すれば、AIが膨大なデータの中から、お母様に最適な施設はこちらです、この在宅サービスがお勧めですと選択肢を提示してくれるAIによる分かりやすい案内やスマホから相談予約ができるなど、都民が必要な支援へ円滑につながる介護DXを整備すべきと考えます。都の見解を求めます。
二点目は、単身高齢者の見守り対策についてです。
急増する単身高齢者の孤立は待ったなしの課題です。この年末年始、私は地元の消防署長や現場の方々から、発見が遅れ悲しい結末を迎えるケースが非常に増えているとの切実な声を伺いました。
こうしたことに対処すべく、東京都は、生活関連事業者等と東京都高齢者見守りサポーター協定の締結を進めています。さらに、ICTやAI技術を活用して安否確認などを行う取組も進んでおり、このたび高齢者の見守りアプリも開発されました。
この効果を最大化するためには、さらに多くの区市町村でICT機器を活用するとともに、協定締結事業者等への研修を行い、見守りアプリの具体的な活用方法等を周知徹底すべきです。都の見解を求めます。
三点目は、SNSとAIを活用した防災情報の見える化についてです。
近年、ゲリラ豪雨が発生した際は、河川カメラや水位計だけでは把握し切れない路地裏やアンダーパス等の局所的な浸水が多発しています。
局所的な浸水が発生すると、SNS上では、ここが冠水した、マンホールからあふれている等といった情報がリアルタイムで発信されています。一方、災害時には、偽情報や誤情報が入り込むリスクがあるため、これらをAI等を活用して除外し、情報の信頼性を確保することが重要です。
そこで、行政の死角を補う新たな防災資源として、こうした貴重な地域情報をDX等も駆使し最大限に活用すべきです。都の見解を求めます。
続いて、都民を偽情報、誤情報から守るマーケティング視点での対策について二点伺います。
一点目は、正しい情報を都民へ確実に届けるための対策です。
昨今、ネット上の偽情報や誤情報に対し子供たちは無防備であり、SNSで闇バイト、特殊詐欺へ誘導される若者、高齢者の悲劇が絶えません。
一方、都民の情報検索行動は劇的に変化しています。グーグル検索でリンクを開かず完結するゼロクリックの主流化に加え、生成AIへの直接質問やSNSを検索エンジン代わりに使う若者が急増しています。
都の調査では、三割が情報の真偽確認をしないと回答しており、都民が正しい情報に確実にたどり着けるよう、行政側も高度な技術を用いた対処が必要です。
そこで、情報のわなから都民を守るため、情報リテラシーの啓発強化に加え、検索エンジンや生成AI等で検索された際、正しい情報が引用され、かつ検索結果でも上位に表示されるよう、情報のつくり方そのものを最適化すべきです。都のデジタル部門のトップである宮坂副知事の見解を求めます。
二点目は、教育現場におけるハルシネーション対策についてです。
生成AIは、事実と異なる情報や架空の情報をさも真実であるかのように生成する、もっともらしいうそをつくことがあります。子供たちがその回答をうのみにするのではなく、出典を確認し、複数の情報と照合しながら真偽を判断する力を養うことが不可欠です。
そこで、全ての公立学校において、AIが誤情報を生成するリスクを理解させ、デジタル社会の中で適切に情報を取捨選別し判断できる能力を身につける教育を進めていくべきです。都の見解を求めます。
最後に、地元調布市、狛江市の命を守る体制について二点伺います。
一点目は、児童虐待防止についてです。
多摩地域の児童相談所の管轄区域と人口は極めて多く、市町村との緊密な連携や利用者の利便性の面で課題があります。
そのため、都は、管轄人口の適正化等を目的として、令和四年度に多摩地域児童相談所配置計画を策定し、再編を進めています。この計画により、管轄人口の適正化などの改善が図られることとなりますが、例えば、多摩児童相談所の管轄自治体数は五自治体のため、地元では、市の子供家庭支援センターと都児童相談所との連携を強化するためのサテライトオフィスの設置を求める声が上がっており、都としても、地元自治体の意見を踏まえながら対応を検討していくべきです。
今後、市町村と都児童相談所との連携を進めていく上で、都として子供家庭支援センターの体制強化を支援していくとともに、サテライトオフィスの増設を進めるべきです。都の見解を求めます。
二点目は、激甚化する水害から住民を守る治水対策についてです。
私の地元である調布、狛江地域を流れる野川、仙川は、近年のゲリラ豪雨により氾濫リスクが年々高まっています。先日も現場を視察しましたが、近隣住民からは、いつ水があふれるか長年にわたり不安だと切実なお声を伺いました。
昨年の九月にも、都内では記録的短時間大雨情報が発出され、野川、仙川においても氾濫危険情報が発表されました。その際は、野川大沢調節池で取水し、調節池下流部の水位上昇を抑制したと聞いています。
このような豪雨から都民の命と財産を守るためには、河川の整備とともに、一時的に水をためる調節池の整備も着実に推進し、地域の治水安全度を高めるべきと考えます。
そこで、野川及び仙川における河川整備の取組を加速すべきです。都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) いいだ健一議員の一般質問にお答えいたします。
所得向上に向けたリスキリングについてのお尋ねでした。
デジタル化が急速に進む中、成長産業分野におきまして望むキャリアを歩めるよう、新しいスキルの習得に挑む方を後押しすることは重要でございます。
都は、求職者がネットワークや情報セキュリティなど業務に必要なスキルをオンラインで学び、企業の現場において実践し、継続的な雇用を目指す取組を展開をいたしております。
来年度は、専門家による将来に向けた生活設計の相談を開始いたします。
また、今後一層求められるAI活用に関するプログラムの充実を図るなど、より多くの方を支援し、成長分野での正規雇用につなげてまいります。
一人一人が自らの意思でキャリアを切り開き、安定した生活基盤を築けますよう、支援を進めてまいります。
なお、その他の質問につきましては、副知事、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔副知事宮坂学君登壇〕
○副知事(宮坂学君) 偽情報、誤情報への対応についてでございますが、様々な情報がネット上にあふれる中、都民が正しい情報に基づき判断できるよう、情報リテラシー向上と都政に関する正確な情報発信の両輪で取り組んでいくことが重要です。
都はこれまでも、若年層から高齢層に至るまで世代に応じた様々な普及啓発等を行ってまいりました。
また、情報発信の基本となる公式ホームページの充実により、都民が必要な情報に到達しやすくするほか、#TOKYO CORRECTによるSNSでの誤情報拡散の抑制などに取り組んでまいりました。
来年度は、さらなる取組の強化を図ってまいります。具体的には、都民がAIの利便性やリスクへの対応を学べる機会を新たに提供するなど、リテラシー向上策の充実に取り組んでまいります。
また、AIの回答に都の情報が引用されやすくするため、公式ホームページの構造の見直しやQ&Aを質、量ともに充実させるなど対策を強化してまいります。加えて、国において進めている偽情報対策に関する技術開発実証への参加など、国との連携を図ってまいります。
デジタルの恩恵を都民の皆様が安心して享受できるよう、テクノロジーの力も活用しながら様々な取組を展開してまいります。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) AIによる誤情報に対する教育についてのご質問にお答えいたします。
公立学校の子供たちが生成AIを使う中、その特徴であるハルシネーションによる誤りの情報に触れる機会は増えております。こうした誤情報に気がつく力を高める教育を進める対応は重要でございます。
このため、都教育委員会は、来年度、公立学校の児童等が生成AIのつくる情報から誤りのものを的確に判断できる方法などを学ぶ取組を開始いたします。具体的には、身近な事例を使い、誤った情報を見分ける方法を説明する動画や不正確な内容の広がる様子を体験できるアプリをつくり、授業での活用を図ります。
また、教員向けの誤情報への対応を指導するための研修を実施し、授業で使う資料の提供も行います。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、就労に困難を抱える方への支援についてでございます。病気や家庭環境など様々な事情を抱える方に寄り添いながら、就職に向けたサポートを行うことは重要でございます。
都は、しごとセンターにおいて、キャリアカウンセラーや臨床心理士等がチームを組み、就職活動に向けたメンタル面でのケアや採用面接への同行、勤務先への訪問など、個別支援を行っております。
来年度は、一人一人の状況や希望を踏まえ、より多くの方の就職を実現できますよう、規模の拡充を図ってまいります。
これらによりまして、就労困難者の安定した就労に向け、切れ目ない支援を進めてまいります。
次に、中小企業の賃上げへの支援についてでございます。中小企業が適正価格での取引や生産性を高めることで収益を確保し、持続的な賃上げにつなげる取組は重要でございます。
都は、いわゆる取引適正化法の趣旨や価格交渉に関する指針を周知するほか、法令違反が疑われる事例につきまして、国の相談窓口の紹介や受託事業者の申出をサポートしております。
来年度は、新たにマーケティングの専門家による価格設定に必要な助言を開始するなど価格転嫁の支援体制を強化いたします。
また、中小企業向けのDX助成金において、大幅に賃上げを実施した際に助成限度額を引き上げるなど、中小企業の賃上げを強力に後押ししてまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕
○福祉局長(高崎秀之君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、介護分野におけるデジタル活用についてでございますが、都は、働きながら介護に直面した方が必要な支援につながりやすくなるよう、来年度、新たに介護情報ポータルを構築いたします。本ポータルでは、介護保険制度や相談先など多様な情報を一元的に提供しまして、AIチャットボットにより、利用者が知りたい情報を対話形式で分かりやすく取得できるようにいたします。
また、スマートフォンなどから地域包括支援センターへの相談予約を常時受け付ける仕組みを整備しまして、必要な支援につながるまでの負担を軽減いたします。
今後、デジタルの力を最大限に活用しまして、都民が必要な情報やサービスに円滑にアクセスできる環境を整備してまいります。
次に、ICTを活用した高齢者の見守りについてでございますが、都は、点灯状況を通知する電球などのICT機器を活用した見守りの仕組みづくりに先駆的に取り組む区市町村を、包括補助事業により補助率十分の十で支援しております。
また、今年度、高齢者に身近な生活関連サービス事業者などと見守りサポーター協定を締結するほか、サポーターが高齢者の異変に気づいた際に、位置情報を利用して迅速かつ簡便に管轄の区市町村などと情報共有できるアプリを開発いたしました。
今後、ICTの活用やアプリの利用促進に向け、区市町村や事業者への研修を実施するほか、利用者の声を聞きながら、アプリの継続的な改善を行うなど、高齢者の見守りの強化に取り組んでまいります。
最後に、子供家庭支援センターとの連携等についてでございますが、都は、子供家庭支援センターの体制強化に向け、関係機関との連携や調整を担う虐待対策コーディネーターなど、職員の増配置を支援しております。
また、基幹職員の専門性の向上を図るため、都児童相談所で研修派遣を受け入れております。
今年度は、保護者の心理的ケアなどにおいて心理職員が専門性をより発揮するためのガイドラインを作成しておりまして、今後、研修を実施し、周知を図ります。
こうした取組により、子供家庭支援センターの体制強化を図るとともに、区市町村の実情に即してサテライトオフィスの設置を進めるなど、連携を強化しまして、きめ細かな児童相談体制を構築してまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 発災時のSNS情報の活用についてのご質問にお答えをいたします。
大規模災害時に都民の不安や混乱を防ぐためには、正確な情報の収集と発信が重要でございます。
このため、都は、都民等がSNSで発信する地域情報を収集、分析するため、AIを活用したツールを導入しております。大規模災害時に都民等から寄せられた有用な情報については、区市町村や警察、消防等の関係機関と共有し、災害対応につなげることとしております。一方、真偽が疑わしい情報については、関係機関に確認の上、防災X等により広く注意喚起を行うこととしております。
今後も都民への情報収集、発信を的確に行うことで、災害対応力を強化してまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 野川及び仙川における河川整備についてでございますが、激甚化、頻発化する豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、河道や調節池の整備が重要でございます。
このため、野川では、流下能力を向上させるため下流から河床掘削を行ってきております。現在、箕和田橋上流の約二百メートル区間で工事を実施しておりまして、引き続き、上流に向け進めてまいります。
また、仙川では、洪水を貯留し下流の水位上昇を抑制するため、容量約四万二千立米の仮称仙川第一調節池を整備することとしております。現在、調節池の基本設計を実施しておりまして、令和八年度は施工計画等を検討する詳細設計に着手いたします。
こうした取組によりまして、水害対策を着実に進めてまいります。
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