令和八年東京都議会会議録第三号〔速報版〕

○副議長(菅野弘一君) 百番中山寛進君。
〔百番中山寛進君登壇〕

○百番(中山寛進君) 宿泊税について質問します。
 観光産業は、東京の重要な基幹産業であり、地域経済や雇用を支える柱であります。地元台東区も上野、浅草には、一年を通じて多くの観光客でにぎわいを見せております。
 しかし、一方で、観光客の集中により、夜間の騒音、路上の飲食、ごみ問題、民泊トラブル、公共トイレ不足など、住民生活への影響が顕在化していることも事実であります。
 宿泊税の税収は、誰のため、何のための財源なのか、定義を曖昧にしたままでは、使途の優先順位や都民への説明責任も果たせません。
 私は、宿泊税の財源は、観光に伴う外部負担を低減し、観光客、そして事業者、住民の三者が持続可能に共生するための調整財源と位置づけるべきだと考えます。
 そこで、宿泊税の目的について、都の定義を明確にすべきと考えますが、見解を伺います。
 都立高校について質問いたします。
 都立高校の定員充足率は、地域や学校によってばらつきがあり、私立志向の高まりや少子化の影響を受けております。そんな中で、選ばれる都立になるための魅力づくりは急務であり、都立学校の部活動特別強化プロジェクトは素直に評価できます。
 ソフト面では、プロチームとの連携やサポートチームの導入、優れた指導人材の確保等の計画、ハード面では、グラウンド改修や照明設置、練習機材の更新やトレーニング環境の整備等の計画が記されております。
 そして、魅力創出と同時に重要なことは、都立高校においても、有望選手や文化活動人材の早期把握、地域中学との連携強化、そして部活動体験会の戦略的実施といったスカウティング戦略を強化すべきであります。
 そこで、まずは都立学校の部活動特別強化プロジェクトに指定された部活動の活躍や練習の様子などを、生徒、保護者に伝えていく取組が重要だと考えますが、都の見解を伺います。
 マンションと地域のつながり強化について質問します。
 地域の防災、防犯、見守り、そして祭礼や清掃活動など、町会は地域のコミュニティの基盤として欠かすことのできない存在です。
 一方で、地元台東区の事例として、役員の高齢化が進み、担い手不足に加えて、従来の組織として総務、経理、交通安全、ブロックごとの活動など、機能を十分に果たせなくなったといった切実な声を聞いております。
 こうした中、重要となるのが新住民と町会の共存であります。都では、現在、町会とマンション住民が合同で防災訓練の実施などを促進しており、意義は大きいと考えます。
 そこで、マンションと町会のつながりを強化するためにも、平時からマンションと町会の合同防災訓練が実施されるよう、都がマンション側へ働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。
 医療情報連携基盤について質問します。
 二〇二六年六月の診療報酬改定により、急性期大病院への患者集中を是正し、地域の中小病院が緊急入院や回復期を担う流れが強まっています。もちろん、地域医療の役割分担を進める上で重要な方向性ではありますが、大病院の外来縮小により、かかりつけ先が遠くなる、大病院から中小病院への転院を急に求められるといった事例が発生し、患者や家族の不安やストレスが募ることにもなります。
 家族も安心して患者が転退院できるよう、医療機関が相互に必要な情報を共有し、円滑な連携を進めることが重要であります。そのためには、情報共有の基盤となる電子カルテの導入が不可欠でありますが、大病院と比べ中小病院の電子カルテ導入率は低くなっています。
 こうした状況を踏まえ、中小病院をはじめとする医療機関の電子カルテ導入を進めるとともに、切れ目のない情報連携の仕組みの構築に取り組み、迅速で質の高い医療提供につなげていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都立公園のスポーツ施設における猛暑対策について質問いたします。
 七月から九月にかけては、環境省の暑さ指数が危険水準に達する日が連続し、屋外スポーツにおける熱中症リスクも高まっています。そんな中、地元台東区における少年野球場も、朝の使用時間を繰り上げるなど柔軟な対応をしており、少年野球連盟からも一定の評価を得ております。
 そこで、都立公園のスポーツ施設について、施設の改修や、利用時間の延長や繰上げなど、施設ごとに柔軟な運用も視野に入れるべきだと考えますが、見解を伺います。
 江戸東京博物館について質問いたします。
 都内外、そして世界から多くの来訪者を迎える東京において、江戸から続く都市の歴史と文化を体系的に伝える拠点が、いよいよ三月、リニューアルオープンを迎えます。東京という都市の記憶と誇りを体現する、文化発信の中核拠点であります。
 今後は、多言語のデジタル発信や、上野、浅草、両国エリアとの広域連携、SNSや動画プラットフォームを活用した若年層へのアプローチなど、広報強化も重要であります。
 そこで、リニューアル後における年間来場者目標を明確に掲げ、その達成に向けた発信を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、展示を見るだけではなく、江戸の暮らし、商い、祭礼文化を体験できる仕掛けがあってこそ再来館につながります。文化を鑑賞から体験へと導いていくための施策を計画すべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、江戸東京博物館において、東京都が保有する東京空襲関連資料の展示のほか、証言映像の常時視聴を開始することになっております。戦争の悲惨さを伝えていくためには、江戸東京博物館でより多くの人たちに証言映像をご覧いただくことが必要であると考えますが、どのように取り組んでいくのか、見解を伺います。
 個別避難計画について質問いたします。
 近年、政府は、首都直下地震について、マグニチュード七クラスの地震が三十年以内に高い確率で発生するとし、東京を含む首都圏に甚大な被害が生じる可能性を示しております。
 こうした認識の下、政府は災害対策基本法を改正し、高齢者など避難行動要支援者について、個別避難計画の作成が極めて重要であると明確に位置づけました。また、首都直下地震では、避難所への一斉避難ではなく、在宅避難や近隣避難を基本とする考え方も示されております。
 しかし、現状では、首都直下地震を前提とした高齢者の個別避難計画が一部しか策定できず、実効性に課題のある市区町村が存在し、取組には地域差が生じているといわれております。
 そこで、市区町村が主体であることを前提としつつ、特に小規模自治体や高齢化率の高い地域、専門職やマンパワーが限られている市区町村に対して、都は積極的に支援をすべきと考えますが、見解を伺います。
 東京都中央卸売市場のDX化推進と食料安全保障強化について質問いたします。
 中央卸売市場は、単なる流通拠点ではなく、都市の食料安全保障を担う重点拠点であります。近年の気候変動の影響により、高温、豪雨、海水温上昇など、産地の収量は不安定化にあります。価格変動が激しくなり、調達リスクも高まっているといわれております。さらに、担い手不足や仲卸業者の高齢化や非効率な業務が続けば、持続性が問われかねません。
 そこで、都は、中央卸売市場を都市の食料安全保障拠点としてどのように位置づけているのか、また、DX推進について業務標準化、共通基盤整備に都として主体的に関与すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京しごとセンター、しごとセンター校について質問します。
 私たち会派は、先日、東京しごとセンターを視察いたしました。若者、女性、シニアなど、ライフステージごとにきめ細かな就労支援や技能習得を行っており、東京の雇用政策を支える中核的な拠点であることを認識したところであります。
 一方で、都民にこうした施設があることを知らないという声は少なくないと認識しており、そこで、区市町村やハローワーク、商工会議所など身近な接点と連携し、都民の目に触れる機会を増やすべきと考えますが、見解を伺います。
 また、就労意欲のあるシニアは年々増えておりますが、体力面への不安や長時間勤務が難しいといった理由から、仕事探しに踏み出せない方も多く見受けられます。
 そこで、よい事例などを分析して、体力負担が少ない業務や短時間勤務、柔軟な就労形態を提供できるよう一層の充実を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、併設されたしごとセンター校について伺います。
 東京の中小企業は、深刻な人材不足と技術継承の危機に直面しております。とりわけ建設、IT、設備関連などの現場では、育てたくても育てる余力がないという声が数多く寄せられております。
 しごとセンター校を、人を育てる場としての機能と同時に、企業を支える拠点として位置づけ、求職者や中小企業の従業員の育成を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 GovTech東京について質問いたします。
 昨年十二月、会派でGovTech東京を視察いたしました。行政の課題を起点として、データ連携やシステム実装に挑戦している点を意義深い取組であると感じました。特に、行政の現場を理解した上で、実装や運用までを見据えている点は、都や市区町村のDX化を進める上で評価できるものと考えております。
 国においては、現在、行政のデジタル化を進める観点から、基幹業務システムの標準化や共通仕様の導入が進められていますが、現場では、システム移行に伴うコストや職員負担など、財政面を含めた課題も指摘されております。
 こうした中で、東京都が国の方針を踏まえつつ、区市町村の実情や既存投資にも配慮しながら、技術の互換性を担保し、過度な負担を生じさせない形で支援していく役割があると考えます。
 そこで、国の標準化政策に対して、東京都としてどのような距離感を持って、市区町村の自主性を尊重しながら、技術の互換性やデータ連携を確保していくのか伺います。
 また、GovTech東京の技術や知見を活用し、区市町村のシステム整備などに伴うコストや事務負担を低減しつつ、支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、隅田川親水テラスについて質問します。
 隅田川は、古くから人々の暮らしと文化を育んできた東京の母なる川であります。散策を楽しむ高齢者、ジョギングをする若者、子供と川風を感じる家族連れ、隅田川は単なる河川ではなく、都民の心と体を潤す公共空間でもあります。
 しかし、隅田川の上流部では修景されていない区間が残っており、容易に水辺に近づくことができない状況にもあります。
 そこで、隅田川における親水テラスの修景整備の今年度の取組について、都の見解を求めます。
 以上で質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中山寛進議員の一般質問にお答えいたします。
 江戸東京博物館の発信強化についてでございます。
 江戸博は、四年間の休館を経まして、この春、リニューアルオープンを迎えます。これまで、オープン百日前のイベントなど、再開への機運を盛り上げてまいりました。
 今回の改修では、大型模型や映像で江戸を体感できる工夫を随所に凝らしております。また、駅からのアプローチは、来館者を江戸時代へと誘う映像で没入感を演出しております。
 開館記念といたしまして、選りすぐりの収蔵品による特別展を開催いたしますほか、目標としている年間百万人の来館に向けまして、触れる模型など、誰もが楽しめるよう工夫しております。
 SNS等、多様なメディアで発信をいたしまして、国内外から多くの来館者を集める東京のアイコンとなる博物館を目指してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 都立高校の部活動の強化の紹介についてのご質問にお答えいたします。
 都立高校の魅力を高めるため、部活動への重点的な支援を紹介をすることは重要でございます。
 これまで、都教育委員会は、都立高校を紹介するイベントなどを行ってまいりました。これによりまして、部活動の様子を含め、学校の様々な特色を中学生等に伝えております。
 こうした取組等を通じ、来年度からの都立高校の部活動の重点的な後押しについても発信をいたします。
〔主税局長武田康弘君登壇〕

○主税局長(武田康弘君) 宿泊税についてのご質問にお答えをいたします。
 宿泊税は、観光施策の財源を受益者である宿泊客に負担いただく法定外目的税であり、その使途については、多くの方から納得いただけるものとすることが重要でございます。
 このため、今回の宿泊税条例の改正案では、都の観光施策に関する計画に基づく事業を使途の範囲と定め、活用される施策領域の明確化を図っております。
〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕

○住宅政策本部長(山崎弘人君) マンションと地域のつながりについてでございますが、合同防災訓練などを通じて地域との共助の取組を促すことは重要でございます。
 都は、東京とどまるマンションの防災備蓄資器材の補助事業におきまして、登録マンションと町会等が合同で防災訓練を実施する場合、補助率を引き上げ、共助の取組を後押ししております。
 引き続き、関係団体等とも連携して制度の周知を行い、普及を図ってまいります。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕

○保健医療局長(山田忠輝君) 医療DXの推進に関するご質問にお答えいたします。
 都は、電子カルテの導入を進めるため、医療機関に対し導入経費等を補助しております。
 今年度は、中小病院等への補助率を二分の一から四分の三に引き上げるとともに、相談窓口の設置やDX人材の育成など、導入前から導入後までの伴走型支援を強化しております。
 こうした取組に加え、今後、医療機関同士や患者との情報共有を充実する新たな医療情報連携基盤の構築に着手するなど、デジタル技術を活用した医療連携を促進してまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕

○建設局長(花井徹夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立公園の運動施設の暑さ対策についてでございますが、都民が安心・安全に施設を利用するためには、暑さをしのげる施設の設置のほか、利用時間の工夫が必要でございます。
 都は、施設改修に合わせた日よけの設置や、井の頭恩賜公園などの運動施設におきまして、近隣への影響も配慮しながら、日没までの明るい時間帯の利用時間延長に取り組んでまいりました。
 今後も都民が快適に運動施設を利用できますよう、施設整備や利用時間の柔軟な運用について検討してまいります。
 次に、隅田川におけるテラス修景整備の取組についてでございますが、都は、親水性の向上を目的として、テラスの修景整備を実施しておりまして、令和六年度末までに対象延長約四十八キロメートルのうち、約八割が完成しております。
 今年度は、小台橋上下流左岸など、約三百メートルの区間で工事を実施しておりまして、整備が完了した区間はジョギングや散歩などに利用されております。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕

○生活文化局長(古屋留美君) 二点のご質問にお答えいたします。
 江戸東京博物館の来館につながる工夫についてでございますが、これまでも江戸の町火消しのまといなど、体験型展示によりまして、江戸の歴史と文化を楽しみながら学べる機会を提供してまいりました。
 リニューアル後は、屋台の再現のほか、甲冑の試着体験などのイベントも充実させまして、地域とも連携しながら、新たな来館者の開拓やリピーターの定着につなげてまいります。
 次に、東京空襲の証言映像についてでございますが、都はこれまで、証言映像のうち、公開や活用について同意をいただいた方の映像をデジタル化しまして、東京空襲資料展で公開してまいりました。
 リニューアルオープン後の江戸東京博物館では、映像ライブラリーに証言映像を視聴するための専用席を設置いたします。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕

○福祉局長(高崎秀之君) 個別避難計画に関するご質問にお答えいたします。
 都は、専任職員の確保や専門知識を有する事業者への委託など、個別避難計画の作成を効果的、効率的に行う区市町村に対して包括補助で支援するとともに、区市町村向けの研修や手引などの作成に取り組んでおります。
 引き続き、区市町村における計画作成の取組が進むよう支援してまいります。
〔中央卸売市場長猪口太一君登壇〕

○中央卸売市場長(猪口太一君) 卸売市場の役割とDXの推進についてでございますが、中央卸売市場は生鮮品等流通の基幹的なインフラとして、都民の豊かな消費生活を支えておりまして、今後もその役割を果たしていくことが重要でございます。
 現在、場内混雑の緩和が課題となっております大田市場において、デジタル技術を活用した物流効率化を推進するなど、各市場の特性に応じた取組を進めており、引き続き都と市場業界が協力し、市場運営全般にわたる改善に取り組んでまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、しごとセンターの認知度向上についてでございます。
 都は、求職者に東京しごとセンターの事業を周知し、利用につなげるため、ホームページやSNS、チラシの配布など、様々な媒体を活用してございます。また、ハローワークや区市町村、関係機関とも連携しながら、必要とする方に適切な支援が届きますよう、着実な広報の推進に努めております。
 次に、シニアの就業支援についてでございます。
 働く意欲のある高齢者の就業を促進するため、都は、東京しごとセンターにおいて就職に関する相談やカウンセリングを行い、併設するハローワークで職業紹介を実施しているところでございます。
 また、柔軟な働き方を望む方に対し、個別相談やセミナーの開催など、きめ細かな支援によりまして、高齢者の希望に応じた就業につなげております。
 最後に、しごとセンター校での人材育成についてでございます。
 都は昨年度、東京しごとセンターと同じ建物内にしごとセンター校を開設しておりまして、求職者に対し、家屋の内装仕上げ工事や建物の維持管理等の専門人材を育成する職業訓練を行っているところでございます。
 また、企業から人材を受け入れ、キャリアアップに資する在職者訓練も実施しておりまして、中小企業の人材育成を後押ししてございます。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕

○デジタルサービス局長(高野克己君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村の基幹業務システムの標準化についてでございます。
 標準化の推進に当たりましては、区市町村の実情を踏まえた支援を行うことが重要でございます。
 都は、GovTech東京と連携し、各区市町村のシステム構成等を踏まえた技術的助言を行っております。
 引き続き、システム間のデータ連携等、区市町村と開発事業者間の調整を技術的にサポートするなど、国とも連携しながら、区市町村の円滑な標準化対応に向けた支援を行ってまいります。
 次に、区市町村のDX推進についてでございます。
 都は、GovTech東京と連携し、専門人材のスキルを活用した伴走型の支援や、スケールメリットを生かしたツール等の共同調達により、区市町村のデジタル化を後押ししております。
 今年度は、AI活用等、七つのテーマで課題解決に向けた支援を行っております。また、経費削減やナレッジの共有を目的に、パソコンやAI議事録等の共同調達を行っております。
 引き続き、ニーズを踏まえたサービスを提供してまいります。