令和七年東京都議会会議録第十八号〔速報版〕

○議長(増子博樹君) 十一番江崎さなえさん。
〔十一番江崎さなえ君登壇〕

○十一番(江崎さなえ君) 都議会参政党の江崎さなえです。会派を代表し、質問させていただきます。
 初めに、我が党が掲げる反グローバリズムの姿勢は、行き過ぎたグローバリズムに歯止めをかけるという視点から政策を進めていくという思いを込めたものです。
 グローバリズムとは、情報や交通の発達により多国籍企業が台頭し、富と権力が一部の大企業や富裕層に集中し、彼らが一部のルールをつくって世界を動かしていく行為や思想のことです。国境をなくし、人、物、金の移動を自由にし、世界を一つにすることが正義であり、そうして生まれる混在化社会を多様性だと評価します。しかし、その結果を見ると、経済格差の拡大、民主主義の機能不全、中産階級の貧困化が進み、各国の主権や文化が損なわれてきました。
 こうした流れへの民衆の反発こそが反グローバリズムであり、日本人ファーストの政治運動です。このうねりは、グローバルエリートが既存のメディアを通じて世論をコントロールしようとする動きを超え、SNS等を通じて、欧米を中心に世界中に広がっています。
 参政党の理念や活動は、こうした世界の潮流の中から生まれたものであることを説明させていただき、質問に入ります。
 新型コロナワクチン接種による健康被害について伺います。
 アメリカ厚生省は、本年八月、mRNAワクチンの新規投資を停止し、CDCの諮問委員会は、全国民に対する年一回のコロナワクチン一律接種の推奨をやめるよう勧告し、個別判断への移行を行いました。一方、我が国では、六十五歳以上などを対象とした定期接種がいまだに推奨され、都では市区町村に対して一回当たり千円の独自補助を行っています。
 国の予防接種健康被害救済制度における新型コロナワクチン接種による死亡認定数は、全国で激増しています。本年十二月一日時点での死亡認定数は、全国で千五十二件に上り、都においても、本年九月三十日時点で死亡認定数が八十六件となっています。さらに、同制度における二〇二一年四月から本年十一月までの死亡認定数は、インフルエンザ二件、HPVワクチンはゼロ件であります。
 このように、新型コロナワクチン接種による死亡認定件数が他のワクチンと比べて極めて多い状況であることは、公式な数値からも明らかです。
 こうした前例のない規模の認定状況について、都としてどう認識しているのか、知事の見解を伺います。
 過去四十八年間に接種された全てのワクチンの累計認定数の総数を一つのワクチンが数年で上回るという、極めて異例の事態が生じています。厚生労働省の審議会では、新型コロナワクチン接種に重大な懸念は認められないとの評価が繰り返されています。一方、国会の厚生労働委員会における死亡認定に関する質疑では、重大な懸念の有無について、何をもって重大な懸念に当たるかの画一的な基準を設けることは困難と政府が答弁しており、矛盾が生じています。
 また、都においても、先日の決算特別委員会で、HPVワクチンについて重大な懸念は認められないとされていると答弁がありました。
 そこで、都における重大な懸念の基準を伺います。
 都は、国の基準に準拠するとの立場を示す一方で、国が定期接種としていない男性へのHPVワクチン接種については独自に費用補助を行っており、矛盾が生じています。このことからも、国の方針に従わず、都独自の体制を構築することは可能であるといえます。
 したがって、複雑で負担の大きい予防接種救済制度申請に伴う費用補助や後遺症の改善に資する取組の創出など、都独自の救済体制を構築することを強く要望いたします。
 ワクチン接種については、様々な意見があることは承知しています。しかし、これらの認定数を自分の大切な人に起きた健康被害であると考えれば、実際に起きている事象として直視すべき重大な問題であると認識できるのではないでしょうか。被害に遭われた一人一人の大切な命と真摯に向き合っていただきたいと申し上げ、次の質疑に移ります。
 東京都雇用・就業分野における女性活躍を推進する条例について伺います。
 本条例案第七条では、性別による無意識の思い込みの解消に向けて都が実施する施策に協力するよう努めなければならないと定めています。
 ここでいう無意識とは、本人ですら十分に認識することができない内心領域も含む概念であり、その解消を法的に要請する協力義務を課すことは、憲法第十九条、思想、良心の自由、個人の内心の自由等の国民の憲法上の権利をも侵害するおそれがあり、法律家等の慎重な検討を要すものと考えます。
 本条例の策定に当たり、憲法第十三条、第十九条、二十条一項、二十一条等との関係をどのように整理し得ると判断したのか、合憲性について伺います。
 また、合憲性について、都庁内における法律家による法的検証及び外部の法律家による法的検証は行ったのか、その有無をお答えください。行っていない場合、違憲でないと判断するに至った法的根拠と検討に用いた主な判例、学説を伺います。
 本条例案では、根強く残る性別による無意識の思い込みの解消という文言が用いられていますが、都が根強く残ると判断した根拠は何か伺います。
 また、性別による無意識の思い込みとは具体的に何を指し、どのような状態に至ったときに解消と判断するのか伺います。
 また、女性の活躍を広げるために、無意識領域の解消までを行政施策の対象としなければならないと判断した根拠は何か伺います。
 加えて、既存条例で十分対応し得る中で、新たに雇用就業分野に特化して女性活躍推進の理念条例が必要になった理由について伺います。
 本条例案は、ジェンダー理論をはじめとする特有の価値観がかいま見えます。理念条例はその曖昧な定義ゆえ、都民の内心領域へ特定の偏った思想が介入するおそれがあり、行政が特定の思想体系を制度として固定化することは避けなければなりません。
 最後に、少子化対策が喫緊の課題であるにもかかわらず、女性活躍推進の名の下に働く女性ばかりに光が当てられてきた結果、母親が家庭から離れざるを得ない状況が生じています。こうした流れの中で、母子の愛着形成よりも経済活動が優先され、子供のママと一緒にいたいというごく自然で切実な願いがないがしろにされているのではないでしょうか。私自身、仕事と育児の両立に葛藤を抱えながら日々を過ごしている母親の一人として、この現状に深い懸念を抱いております。
 真の女性活躍とは、働く女性も支援すると同時に、出産、育児、専業主婦といった家庭を支える役割も政策でしっかり支援することであると考えます。どの選択も尊重され、女性の選択が広がることが、女性が自分らしく活躍できる社会につながります。こうした環境の整備こそが、現在僅かに解消した出生率の動きを一過性のものとせず、継続的な出生数の向上へと結びつくものであると考えます。我が会派は、真に女性の活躍の推進が図られることを強く求めます。
 以上で質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 江崎さなえ議員の一般質問にお答えいたします。
 新型コロナワクチンについてでございます。
 ワクチンの安全性は、国の審議会におきまして継続的に評価、管理されておりまして、重大な懸念は認められないとされております。また、国内外の研究におきまして、重症化を予防する効果が報告されております。
 都は、引き続き、こうした科学的知見や専門家の意見も踏まえながら、感染症対策を推進してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕

○保健医療局長(山田忠輝君) ワクチンの安全性の評価に関するご質問にお答えいたします。
 ワクチンの安全性につきましては、国が予防接種法等に基づき、医師等からの報告により副反応疑い症例を全国的に収集し、審議会で専門家が個別に因果関係を評価、管理しております。
 都は、これを踏まえ、感染症対策を適切に推進してまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、無意識の思い込みについてでございます。
 本条例では、雇用就業分野における女性の可能性を広げていくため、性別による無意識の思い込みの解消に向けて取り組むこととしております。本条例での取組は、無意識の思い込みに影響された言動が意図せず他者に不利益を与えるおそれがあることについて関心や理解を深めていただくために様々な情報を提供するもので、個人の内心に踏み込むものではございません。
 なお、思想及び良心の自由を定める憲法第十九条に関する昭和三十一年七月の最高裁判例において、事態の真相を告白し、陳謝の意を表明するにとどまる程度のものは憲法に違反するものではないの判断が示されており、本条例についても問題はないものと考えております。
 次に、法的検証についてでございます。
 思想及び良心の自由を定める憲法第十九条に関する最高裁判例において、謝罪広告を命ずる判決について、事態の真相を告白し、陳謝の意を表明するにとどまる程度のものは憲法に違反するものではないとの判断が示されておりまして、本条例についても問題はなく、改めて意見照会を行う必要はないと判断しています。
 都は、司法関係や労働関係の団体の有識者や、経済団体、労働者の代表による検討部会での議論や、労働関係に知見を有する有識者、業界団体、企業経営者等へのヒアリングを踏まえて、条例の基本的な考え方を取りまとめました。これを第三回定例会に報告し、議会での議論を経て条例素案を取りまとめ、パブリックコメントで広くご意見をいただきました。それらを踏まえ、産業労働局において条例の原案を作成し、総務局において法令等の整合性などについて適切に審査を行った上で条例案を取りまとめたものでございます。
 次に、根拠についてでございます。
 地方自治体の条例制定権に基づき適正な手続を経て取りまとめたもので、憲法に反するとは考えておりません。
 次に、根強く残ると判断した根拠についてでございます。
 都はこれまで、女性が安心して働き続けられるよう施策を展開してまいりましたが、いまだに様々な場面で女性が個性や能力を十分に発揮できていない状況にございます。
 国の調査では、自分に何らかの無意識の思い込みが存在すると思う方が約八割となっております。また、都の検討部会では、育児休業明けの女性社員は短時間勤務をさせるべきとの空気がある、無意識の思い込みの影響で理系を選択する女子は少ないなどの意見がございました。
 先般実施したパブリックコメントでも、男性、女性それぞれに向くポストがあるとの思い込みがある、女性や子供世代にも無意識の思い込みが残っていると感じるなどの声が寄せられております。
 次に、性別による無意識の思い込みについてでございます。
 無意識の思い込みとは、これまでの経験や見聞きしてきたことにより形成されるもので、本人が意識しないところで日々の判断や言動に影響を与えているものでございます。
 性別による無意識の思い込みの具体例といたしましては、組織のリーダーには男性の方が向いている、女性は理系の進路には向かないなどがあります。
 次に、条例が目指す状況についてでございます。
 本条例では、無意識の思い込みに影響された言動が意図せず他者に不利益を与えるおそれがあることについて様々な情報を提供いたしまして、事業者や都民に関心や理解を深めていただき、意図せず他者を傷つけることがなくなっていることを目指しております。
 最後に、条例制定の背景についてでございます。
 都はこれまで、男女平等参画基本条例に基づき、社会のあらゆる分野の活動に男女がひとしく参画できるよう様々な施策を展開してまいりました。この間、女性の大学進学率が上昇し、就業者数も増加しておりますが、一方で、雇用就業分野においては、いまだに様々な場面で女性がその個性や能力を十分に発揮できていない状況にあるということでございます。
 人口減少社会が到来し、産業構造も変化する中、東京が今後も持続的に発展していくためには、女性が活躍できる環境整備を一層推進することが重要であり、そのためには、雇用主である事業者がその必要性を認識し、主体的に取組を進めることが必要でございます。
 こうしたことから、今般、雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例を新たに制定することとしたものでございます。