○副議長(菅野弘一君) 七十五番おくもとゆりさん。
〔七十五番おくもとゆり君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○七十五番(おくもとゆり君) 国民民主党東京都議団のおくもとゆりです。
まず、東京都の国民保護の取組について伺います。
ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に加え、中国による台湾有事のリスクなど、日本を取り巻く安全保障は厳しい状況となっています。
令和七年六月に、都は、東京都国民保護計画を変更し、従前のテロ対策だけでなく、弾道ミサイル攻撃を重視し、より実効性の高い計画としました。この計画は、住民の避難や救援、被害を最小化するための措置について定めており、都民の生命を守る重要な計画です。Jアラートだけでは命は守れません。いざというときに、この計画に基づいて、都と国や区市町村、関係機関等が連携し、円滑かつ迅速に対応することが、都民の命を守ることにつながります。
今回の変更は、あくまで現状考えられるリスクに備えるものであって、決して軍事拡大するものではなく、いざというときに、都民の命を守るための計画であることを都民に正しくご理解いただきたいと思います。
都営大江戸線麻布十番駅に併設する防災倉庫を活用したシェルターを整備するほか、緊急一時避難施設として、令和六年度末現在で、地下駅舎など四千六百三十施設を指定しています。弾道ミサイルが飛来する場合、短時間で到達する可能性もあることから迅速な避難が重要ですが、避難行動に対する都民の意識はまだ不十分です。
そこで、弾道ミサイルの飛来を告げるJアラートが発出された際の避難行動に際して、都民の理解促進に向けた取組について知事に見解を伺います。
国の重要施設が集まる首都東京だからこそ、外国人土地取得規制法の整備や中国国防動員法への対抗策となるスパイ防止法の整備が必要であり、国で議論が進められていますが、東京都からも後押しをしていただきますよう要望いたします。
次に、オーバーツーリズムによる混雑緩和対策について伺います。
国は、二〇三〇年までに訪日観光客数を六千万人にする目標を掲げています。東京に多くの観光客が訪れ、にぎわいや経済効果が生まれることは大変喜ばしいことですが、一方で、観光客が集中する一部の地域では、地元住民の生活への支障も出始めています。
例えば、SNSなどにより急激に注目を集めたスポットに観光客が集中することで、交通機関の混雑に加え、騒音やごみ、マナー違反による住民とのトラブルも発生しています。オーバーツーリズムによる問題が解消されないと、訪日観光客に対し、地元住民の嫌悪感につながってしまいます。世界中の観光地でオーバーツーリズムの問題が起きており、海外でも観光客の受入れを拒否する動きも出てきています。こうした問題が一度発生してしまうと、その流れを変えるには相当な時間と労力が必要になります。
そこで、観光客の急激な増加による混雑を未然に防ぐことが重要だと考えますが、都の見解を伺います。
宿泊税の見直し素案では、宿泊税の税収を観光産業振興実行プランに基づく観光施策に使う方針が示されています。その財源で観光施策が充実し、都民も観光客を歓迎するようになる好循環をつくるべきです。
都民にも便益のある形で観光振興を進めていくことが重要ではないかと考えますが、都の見解を伺います。
次に、民泊事業者について伺います。
新宿区は、管理不十分な民泊事業者に対し、業務改善命令、業務停止命令を出し、先日、改善が見られない四つの民泊事業者、十一施設に対し、初の業務廃止命令を出しました。都内で最も多くの民泊がある新宿区には、三千二百七十二件の民泊施設があり、ごみや騒音などの苦情件数は、二〇二四年度、五百六十一件にも上りました。現状の民泊新法は、住民生活を犠牲にしており、国に制度の改正を東京都からも求めるべきです。
新宿区では、民泊宿泊者のマナーをルールブックで例示するなど、事業者に対応を求めています。また、民泊仲介サイトに違法民泊の情報が掲載されるケースが後を絶たず、こうした面での改善を図っていくことも重要です。
住宅宿泊事業法に基づき区が実施する監視指導や立入りを、警察の協力を得ながら実施できるよう、区と一層の連携を図っていただきますよう、重ねて要望いたします。
民泊事業者が区の定めたルールを守り、民泊宿泊者が周辺住民とのトラブルを起こさないよう、より一層、区と連携して取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
次に、都庁おもいでピアノについて伺います。
都庁本庁舎の四十五階にある南展望室には、都庁おもいでピアノが設置されています。草間彌生さんがデザインを監修し、見た目も美しく、二〇一九年の設置以来、誰もが演奏できるストリートピアノとして人気があります。コロナ禍でイベントの自粛が続く中でも、限られた演奏時間で開放し、多くのピアニストたちが演奏する様子がSNSで発信され、ピアノを聴きたい人、演奏したい人に、音楽の魅力と感動を届けてきました。
また、都庁のおもいでピアノが注目されたことで、全国の様々な自治体でストリートピアノの設置が進み、二〇二五年七月時点で全国に七百二十四台設置されるほどになりました。莫大な資金を投入しなくても多くの人に喜んでいただける、自治体の政策の成功モデルといえます。
現在、ピアノの演奏時間は十時から十二時、十四時から十六時の日中の四時間となっています。展望室を訪れる観光客は、夕方から夜間の時間帯が最も多くなっています。夜間にも演奏できる時間帯があれば、夜景と音楽を楽しむことができます。現在、TOKYO NIGHTTIME PROJECTとして、体験型アートイルミネーション、Shinjuku Neon Walkやプロジェクションマッピングも行われています。これらの周辺イベントと連動してピアノを開放することで、観光客を回遊させ、より楽しんでいただけると思います。
都庁おもいでピアノについて、国内外の皆様に、より都政への理解を深め、親しみを持っていただけるよう、さらなる活用を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
歌舞伎町対策について伺います。
いわゆるトー横などの歌舞伎町周辺では、借金やDV、対人トラブルなど様々な困難を抱える青少年、若者が全国から集まってきています。都はこれまで、新宿区や警察、弁護士、児童相談所やシェルター、NPOなどの関係機関と連携し、歌舞伎町の問題に鋭意取り組んできました。
昨年度開設した相談窓口、きみまも@歌舞伎町には、都民以外の利用者も多く訪れ、また、支援の充実や体制強化の効果もあって、利用者も増えております。もはや若者にとってなくてはならない場所になりつつあります。
先日、私も施設を視察いたしましたが、若者が安心して過ごし、相談しやすい配慮が随所に見られ、様々な問題を抱えている青少年、若者が再び前に歩き出せるように背中を押してもらえる施設だと感じました。今の日本に、困難を抱えた若者がたくさんいること、彼らを支える場所があることを、多くの方に知っていただきたいと思います。
これからも、より多くの若者の悩みに寄り添い、応えていくためには、支援内容の充実が必要であると考えますが、都の取組について、知事に見解を伺います。
次に、いじめ、不登校対策について質問します。
文部科学省が十月二十九日に公表した二〇二四年度の問題行動、不登校調査では、東京都における公立学校の小中高校と特別支援学校でのいじめ認知件数は七万七千四百七十九件と過去最多を更新しました。また、重大事態の発生件数も百二十二件となり、こちらも過去最多となっています。SNSで悪口を書き込まれるなど、いじめ被害が分かりづらく、複雑、多様化し、早期対応が難しくなっています。そのため、いじめが原因で不登校になってしまうなど被害が深刻化する前に、初期の段階でいじめに気づき、解消する必要があります。子供自身がいじめについて考え、助けを求めたり、見て見ぬふりをせず主体的に行動していけるようになることが重要です。
年齢によって様々ないじめ問題の解決を進めるために、今後、教育現場ではどのように子供たちのサポートに取り組まれるのか、都教育委員会の見解を伺います。
東京都の公立小中学校の不登校の児童生徒数は三万一千三百三十五人となっており、前年度より三百九十一人減少しました。不登校の子供の状況は多様化、複雑化している中、国が認可する学びの多様化学校について、都として区市町村が設置することに対し支援を行っています。
東京都では、二〇二四年から都内十校でチャレンジクラスを開講し、不登校の子供たちに適した学びの場を設置しています。その取組の成果も僅かに出始めているのかもしれません。
しかし、依然として不登校の児童生徒は多く、区市町村が学びの多様化学校を設置できるよう支援を拡充するべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
次に、集合住宅向け環境施策として、家庭部門対策の推進について伺います。
都内エネルギー消費量の約三割を占める家庭部門は、二〇〇〇年比で唯一増加しており、さらなる対策が望まれます。新築戸建て住宅向けに太陽光パネルを設置する取組が進められていますが、都内に七百万戸以上ある住宅ストックのうち、大半を集合住宅が占めております。二〇三〇年カーボンハーフ、二〇五〇年ゼロエミッション達成に向け、集合住宅向けに家庭部門対策として重点的な取組が必要だと考えます。
集合住宅の共用部を含めた棟全体の省エネ化や再エネ導入を進めるためには、きめ細やかな支援の充実を図るとともに、支援策の普及啓発が必要であると考えますが、都の見解を伺います。
私たち国民民主党は、対決より解決、批判より提案で、都民の命、財産、権利を守り、この国を守るために働いてまいります。
以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) おくもとゆり議員の一般質問にお答えいたします。
避難行動に関する理解促進についてであります。
北朝鮮により繰り返されるミサイル発射など国際情勢が緊迫する中、武力攻撃等の脅威から都民の命、生命を守ることが都の責務であります。
都はこれまで、ミサイル攻撃による被害を軽減するための緊急一時避難施設の確保を進めるとともに、都民に対し、リーフレットや動画を活用し、Jアラートが発出された場合の、逃げる、離れる、隠れるといった適切な避難行動を分かりやすく周知をいたしております。また、毎年度、国や自治体と共同で、緊急一時避難施設を活用した住民参加型の避難訓練を実施しております。
こうした取組を通じまして、都民の安全・安心を確保してまいります。
次に、きみまも@歌舞伎町についてでございます。
昨年五月の開設以来、延べ一万六千人を超える利用者の相談に応じてきました。利用者の多くは、犯罪被害や市販薬の乱用など複雑な課題を抱えており、一人一人の状況に応じた支援の充実が重要であります。
そのため、きみまも@歌舞伎町では、利用者に寄り添った支援が行われますよう、法テラスなど専門的知見を有する団体の協力を得ながら、相談対応力の強化を図っております。また、支援団体との交流会や利用者の相談を促すイベントの共同開催などを通じまして、若者が抱える諸課題の解決に必要なネットワークを拡充しております。
今後とも、一人でも多くの若者が必要な支援に結びつきますよう、取組を進めてまいります。
なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、学校でのいじめ問題への対応についてでございますが、学校でいじめに関わる未然防止や問題の解決を進める上で、子供たちが主体的に考え、行動する取組をサポートすることは効果的でございます。
都教育委員会では、今年の六月に、いじめ問題に関する取組の進め方などを取りまとめたいじめ総合対策の子供向けの冊子をつくり、配布をしたところでございます。これによりまして、児童などがいじめの問題を考え、行動するきっかけづくりにつなげているところでございます。
今後は、都立高校の生徒会で、いじめ防止について話し合い、行動する機会をつくる工夫などの後押しも進めてまいります。
次に、不登校等の子供の学びの場の充実についてでございますが、不登校やそうした傾向のある児童生徒の学びに適した学校をつくる取組を着実に進めることは重要でございます。
このため、都教育委員会は、不登校の児童等の通う学びの多様化学校の設置に取り組む区市町村を支援しております。具体的には、学校の整備への助成や教員の配置を行っているところでございます。この学校では、始業の時間を遅くし、一日の授業の数も抑え、子供たちが学校に通いやすい環境を整えております。また、体験を通じた学びを増やし、学習意欲の向上等に結びつけているところでございます。
今後、こうした学校を増やす取組に力を入れてまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、旅行者による混雑の未然防止についてでございます。
東京の観光を活性化させるためには、都内の各地域において、住民の生活環境との調和を図ることが重要でございます。
都は、現在、区市町村による地域の実情に応じた取組を後押しするため、外国人旅行者の増加に伴う混雑緩和対策などを支援しております。また、多摩や島しょ地域などの様々な魅力を発信し、都内の幅広い地域への誘客を促しているところでございます。
今後は、旅行者の増加による混雑への対応につきまして、地域と連携したさらなる取組の強化を検討するなど、持続的な観光振興を図ってまいります。
次に、東京の観光振興についてでございます。
観光振興により東京の経済を活性化させる上で、都民生活との両立を図ることは重要でございます。
都は、区市町村に対し、多言語への対応やごみ箱設置など地域のニーズに応じた様々な取組を後押ししております。また、宿泊施設のバリアフリー化に対する支援など、都民や誰もが観光を快適に楽しめる環境づくりも進めておるところでございます。
こうした取組と併せまして、都民が地元への理解や愛着を深められるよう、自然や文化など多様な魅力を体感できるツアー等を実施しております。
これらによりまして、東京の観光の持続的な発展を図ることとしてございます。
最後に、民泊、住宅宿泊事業についてでございます。
旅行者が住宅宿泊事業の施設でルールを守るよう、事業者が適切に対応することは重要でございます。
都は、外国人旅行者にマナーを解説する冊子を作成し、住宅宿泊事業の施設を利用する際に、騒音やごみの出し方等のルールを守るよう周知しております。また、独自に策定しているガイドラインにおいて、住宅宿泊事業の施設を利用する上での注意事項を旅行者に確実に説明するよう事業者に求めておりまして、こうした内容を区とも共有しております。
今後とも、区と連携しながら、住宅宿泊事業の適正な運営を図ってまいります。
〔財務局長山下聡君登壇〕
○財務局長(山下聡君) 都庁おもいでピアノの活用に関するご質問にお答えいたします。
都庁展望室は年間二百万人が訪れる人気スポットでございまして、とりわけ南展望室に設置した都庁おもいでピアノは、連日多くの方に演奏され、来訪者にとって欠かせない存在となっております。
現在、日中の時間帯に演奏時間を設け、誰でも自由に弾いていただき、居合わせた方が足を止め、耳を傾け、中には撮影をするなど、思い思いに楽しんでいただいております。
今後は、夜景を見ながらピアノから奏でられる音楽を楽しんでいただけますよう、夜の時間帯にも演奏時間を拡充することを検討してまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕
○環境局長(須藤栄君) 家庭部門対策の推進についてでございますが、都内住宅戸数の約七割を占める集合住宅の脱炭素化には、共用部を含めた全戸で取り組む仕組みの活用と、その効果的な周知が重要でございます。
このため、都は、管理組合に専門家を派遣し、太陽光発電設備などの導入や共用部の省エネ化に必要な助言を行っております。加えて、取組の検討から設備設置までの経費助成を行うなど、脱炭素化に向けて一貫した支援を行っております。また、高断熱窓やドアへの改修の後押しにより、各戸の環境性能を高めております。
これらをホームページやSNSなどで効果的に発信するほか、業界団体と連携した多様な広報展開により、所有者などに適切に訴えかけてまいります。
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