○副議長(菅野弘一君) 二十六番松岡あつし君。
〔二十六番松岡あつし君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○二十六番(松岡あつし君) 小平市選出の松岡あつしです。
東京は今、世界都市としての競争力、日本全体の成長エンジン、そして都民の暮らしを守るという三つの大きな役割が同時に問われています。
政府は、地方税の偏在を指摘しています。しかし、既に都税収の一・五兆円が国に回り、都知事も不合理であると明確に述べられております。
税の三原則で考えると、公平、大都市は物価、地価、人件費全てが高く、多くの行政需要があること。中立、過度な税調整は、企業活動や都市成長を阻害すること。簡素、偏在是正が制度の複雑化を招き、都民利益を損ねること。これらの税の三原則を逸脱した是正であると考えます。
私は、市議として十年、地元の声に向き合ってまいりましたが、東京が力を失えば、日本全体の社会課題解決力が弱まり、容認できるものではありません。その危機感の下、セーフ、ダイバー、スマートシティの視点から、都民のために質疑、提案をいたします。
まず、セーフシティですが、青森県東方沖地震で被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。
首都直下地震の発生確率は三十年以内に七〇%程度、南海トラフ地震の発生確率も六割から九割程度、また、富士山噴火などの災害対策のため、知事が主導し、区市町村、学校、企業、地域同一行動の確立は急務であり、東京都一斉防災訓練の創設を提案します。
東日本大震災から十五年を迎えますが、当時、スマホの保有世帯率一四%程度から、十年で九割を超えています。都が主導して、実際に起こり得る想定のシナリオの下、区市町村、都民、地域、関係機関など多くの主体が参加し、実効性のある訓練を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
都内には千四十か所もの踏切があり、慢性的な渋滞、安全リスク、地域の分断、まちづくりの阻害要因になっています。
地元小平市の踏切解消や道路と鉄道の立体化は二十年以上進んでおらず、本日も述べられておりましたが、我が市でも、地域住民の交通不便や踏切事故対策として、ピーク時遮断時間三十九分の花小金井駅周辺、四十五分の小平第一号踏切など、解消を求める切実な声があります。
さて、踏切対策基本方針(改定)中間のまとめが公表されましたが、どのような視点で基本方針を改定し、踏切対策を進めていくのか、都の見解を伺います。
近年、局地的集中豪雨が頻発しており、本年九月十一日には、地元小平市においても、猛烈な雨により、市が管理するマンホールの蓋が飛散する状況が発生しました。即座に依頼し、東京都建設局と市の下水道課に復旧対応をしてもらいました。
多摩地域の市町村が下水道の浸水対策に重点的に取り組み、突発的な事案に対しても市町村がリスクを踏まえて対応ができるよう、都のサポートが必要です。
そこで、市町村下水道の浸水対策の取組に対する都の支援について伺います。
次に、ダイバーシティです。
小学校における不登校の予防政策について提言をします。
結論として、現在の都の対症療法的政策に加えて予防政策がないため、小学校段階での支援員配備、出席率等を把握、分析した施策、作業療法士などの多様な人材の活用が必要です。
現行の対策は中学校に集中されており、不登校を予防する観点から、小学校における不登校を生まない取組について、都教育委員会の見解を伺います。
小中学校での体験学習は、ノーベル経済学賞受賞者ヘックマン氏によると、非認知能力が高いと、教育達成、雇用、賃金ともに恩恵があり、高い社会への投資収益率があることが確認されています。
都でも、実際に起業家学習や環境学習等の小中学生向けの事業を展開しています。このような体験を通じた学びは、非認知能力を育成すると考えます。
これらの取組をより多くの学校に広げていくことは重要だと考えますが、都教育委員会の認識を伺います。
環境学習については、都では、都立公園において学習プログラムがありますが、学習機会の提供は点在的であり、学校、地域との接続が十分ではなくて、公園管理に関する技術的専門職の育成、資格制度が確立していません。
都にはなく、ニューヨーク市にあるような環境教育の担い手であるパークレンジャーは重要です。都の政策として、生物多様性の保全にも寄与する環境教育の質の担保、量の拡充を図るべきと考えます。
そこで、建設局所管の都立公園について見解を伺います。
同じく、保全地域を活用した環境学習について伺います。
多様な保全地域の特性に応じた学習内容の提供と、より多くの子供たちが参加できるよう拡充を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
私は、日本を代表する女性経営者である篠原欣子氏の下、パーソルグループで約八年間勤め、小平市議会当時においては約三二%が女性議員、さらには、小平市には、五千円札の顔の津田梅子氏ゆかりの津田塾大学があり、女性が活躍することで社会や組織が活性化するさまを見聞きしてきました。
働く女性の活躍を一層後押しするためには、誰もが自分の力を十分に発揮できる環境づくりが重要です。都庁においても、女性特有の健康課題への支援を含め、男女ともに活躍できる職場づくりをさらに進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
高齢化社会の中、高齢者政策を整備することは重要です。都内の健康寿命は延伸している一方、依然として平均寿命との差、不健康寿命の期間が男性約八年間、女性約十一年間あり、区市町村ごとに差があります。
そこで、都は、健康寿命の延伸に向け、区市町村ごとに食生活や睡眠などの生活習慣、地域文化やコミュニティ活動といった健康格差の要因分析を行った上で、地域の実情に応じた健康施策を進めることが必要と考えますが、見解を伺います。
高齢化が進み、多死社会が到来する都において、火葬場のハード面の課題が注目されていますが、ACP、アドバンス・ケア・プランニングという、当事者の意思を家族、医療、介護関係者と話し合うソフト面の取組は重要ですが、都民の認知度は低く、約六割が知らないと回答しています。
本人が希望する最期、みとりを迎えられるよう、アドバンス・ケア・プランニングを都民へ広く普及させるとともに、話し合われた内容が医療、介護関係者の中で確実に共有される取組が必要と考えますが、都の見解を伺います。
我が会派、山田ひろし議員からも一般質問で指摘がありますが、高齢者社会を支えるケアマネジャーの負担軽減について伺います。
ケアマネジャーの平均年齢は、介護関係職種の中で最も高い五十四・三歳。年齢を重ね、一線を退くケースが増えていけば、人手不足化します。
新規参入を促す業務負担の軽減は急務です。法定業務以外の申請代行、法的リスクの高い金銭管理、通院付添い、委任状取得、ごみ袋配布などのシャドー業務、書類のスキャン業務、広辞苑級の五年保管ファイル、倉庫費用の固定費化など、負担の状況を伺っております。
法定業務以外の、いわゆるシャドー業務や書類管理などの負担軽減に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
都は、子供・子育て支援総合計画の中で、障害児などについて、ニーズに応じたきめ細かい保育の提供や、子供の育ちの支援が行えるよう支援していく必要があるとしています。
小平市では、令和二年、八十四人から令和六年、百二十一人と増加。保育現場では、障害児の受入れ加配が赤字になり、苦労している声を聞いております。
区市町村によって対応に差があるため、都が各自治体の実態を踏まえながら支援をすることが必要です。
これまでの保育所や認定こども園における障害児受入れ人数の直近三年間の推移と都の見解を伺います。
次に、スマートシティですが、我が会派でも述べてまいりましたが、都は、農作物の知財化やブランド化など、付加価値向上に向けた取組の強化を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
特に、知財に関しては、日本の現在の国際収支は、知財と観光が重要な二大黒字要素です。ただ、日本で開発されたシャインマスカットが、国内の品種登録しかしなかったため、無断で海外で栽培され、権利金が支払われないなど、百億円を超える経済的損失が生じています。都は、知財を保護し、農作物のブランド価値の毀損を招かないようにしてください。
また、安定経営という観点からは、学校給食への東京都産農作物の供給も大事です。特に、多摩地域から畑のない区部への供給は、食育の面でも有効であり、要望いたします。
また、高齢化や担い手不足が進む中、東京の農業、農地を守り、次世代に継承していくために、新しい人材確保や農家の後継者の支援も重要です。
都は、農業に関わる人の裾野を拡大し、いわゆる半農半Xをはじめとした多様な人材の確保に向けた取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
代表質問でも触れましたが、スタートアップ企業が外貨を稼ぎ、経済を活性化させ、雇用を創出するスタートアップ界の大谷翔平を生み出すためには、戦略的に選定する、スケールアップとグローバルを徹底的に支える姿勢が重要です。
女性や外国人の経営層の割合を高めること、展開地域の見極め、現地政府、投資家との連携、IPOだけではなくM&Aを含めた成長戦略、ネガティブチェック、台湾、韓国といった近隣諸国との合同イベントの開催など、複合的なサポートを提案いたします。
日本の投資ロットは小さく、国内外の投資家から大きな投資を呼び込むことが必要です。このような観点も踏まえ、戦略的にスケールアップ可能な東京代表スタートアップを選抜、集中支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
AIの進化は著しく、都民生活や企業活動へ急速に浸透しています。他方で、生成AIの導入や活用が十分にできていない自治体も見られ、取組の温度差が住民サービスの格差を生じないように提案いたします。
AI活用の流れに取り残される自治体がないよう、GovTech東京の技術力も生かして、都内区市町村をしっかりと支援すべきと考えますが、都の見解を伺います。
私が住む小平市には、江戸時代初期に築かれ、今も豊かな水と緑で地域の魅力となっている玉川上水が流れています。四十キロもの距離を、僅か八か月、手作業で開削し、四百年にわたり、多くの多摩川の水を都内に供給し続ける土木技術は、江戸を支え、東京が世界に誇るものです。
都は、今年一月に江戸文化の有識者会議を設置し、世界遺産も見据えた取組を開始しましたが、東京が江戸文化の世界遺産登録を目指す意義について伺いたいと思います。
最後に、アートをはじめとする芸術文化は、都市の魅力として国内外の観光客を呼び込む力です。芸術文化への素養は国際社会で活躍につなげていくために子供たちや多くの都民に文化体験を届けていくことは、成熟した都市としての責務です。
都は、令和八年度より新たな芸術祭を開催するとしており、こうした機会を生かし、多摩地域を含む都内各地で文化に触れられる場を広げるとともに、芸術文化の力で世界の注目を東京に集めるべきと考えますが、見解を伺います。
質問作成に当たりまして、調査、協議、ご指導いただいた皆様に、そして、私が議会活動に専念できるよう支えてくださる小平市民の皆様に感謝を申し上げまして、私の一般質問を終了いたします。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 松岡あつし議員の一般質問にお答えいたします。
都庁における女性の活躍についてでございます。
私は、かねてより、女性の力を生かすことの重要性について幾度も申し上げてまいりました。
女性の力を最大限引き出すためには、男女を問わず、誰もが活躍できる環境づくりが重要です。隗より始めよの下、女性職員のキャリアアップ支援や、女性特有の健康課題等に対しましての啓発、健康相談、男性職員の育業促進、働き方改革など、様々な取組を積極的に進めてまいりました。
今後、育児や介護などの事情がありましても、働き続けられる環境の整備を一層推進してまいります。
加えまして、女性の健康課題をオンラインで気軽に相談できる仕組みを導入するほか、生理休暇の名称を変更し、取得者の心理的ハードルを下げるなど、さらなる取組を進めてまいります。
こうした都庁の率先行動によりまして、男性も女性も分け隔てなく、生き生きと活躍できる社会の実現につなげてまいります。
なお、その他の質問につきましては、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、公立小学校の不登校の未然防止についてでございますが、公立の小学校で児童の不登校を防ぐため、日々の授業を含めた学校生活での様子を踏まえたきめ細かい対応を行うことは重要でございます。
これまで都教育委員会は、不登校の傾向の出始めた子供の状況を速やかに把握し対応する知識やノウハウをまとめた冊子を公立小学校に配布をしております。また、スクールカウンセラーを小学校に配置し、子供の悩みに係る相談を受ける体制も設けているところでございます。
今後、小学校の教室で担任の教員と協力し、子供の状況の把握と対応をきめ細かく行う支援員を配置する区市町村の後押しに力を入れてまいります。これによりまして、不登校への対応を着実に進めてまいります。
次に、小中学校での体験を通じた学びについてでございますが、公立の小中学校において、子供たちが現場での体験等を通じ、様々な学びを進めることのできるようサポートをすることは重要でございます。
これまで都教育委員会は、公立の小中学校の生徒等が体験による学びを行う機会の提供などを行ってきたところです。
具体的には、子供たちに対し、起業した経営者の話を聞き、創業のプランをつくるワークショップを紹介し、参加者を増やしております。また、児童等が自然に触れ、環境問題を学ぶ授業を行うため、教員に様々なノウハウを提供する取組も進めております。
今後、体験を通じた様々な学びに係る優れた事例を取りまとめ、幅広く紹介する対応に力を入れてまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 踏切対策の推進についてでございます。
都は、平成十六年に策定いたしました踏切対策基本方針に基づき、鉄道立体化をはじめとする踏切対策を計画的に進めてまいりましたが、都内各地には、いまだ開かずの踏切が残っており、交通渋滞や地域分断などの課題がございます。
基本方針の改定に当たりましては、災害時の救急活動の確保など、都市強靱化の視点を強化し、重点的に対策を検討すべき踏切や、鉄道立体化の検討対象区間を抽出することとしております。
都は今後、基本方針を改定するとともに、鉄道事業者など関係者と連携を強化いたしまして、着実に踏切対策を推進してまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 防災訓練についてのご質問にお答えをいたします。
都は、いつ起こるとも知れない大規模災害に備え、毎年度、区市町村と合同で行う総合防災訓練におきまして、警察、消防、自衛隊などの関係機関や地域住民、関係団体と共に、避難所運営や救出救助等の訓練を行うほか、実際の災害に近い場面を想定した図上訓練を実施しております。
また、本年七月には、都が主体となり、都内自治体、国、近隣三県やインフラ事業者などと合同で、二十四時間、五日間連続で、災害対策本部体制を構築して、首都直下地震を想定した図上訓練を初めて実施いたしました。
今後も、より実践的な訓練を積み重ね、東京の災害対応力の強化を図ってまいります。
〔下水道局長藤橋知一君登壇〕
○下水道局長(藤橋知一君) 市町村下水道の浸水対策への支援についてでございますが、対策の実効性を高めるためには、市町村がリスクを評価し、その結果を踏まえて施策を推進することが重要でございます。
このため、都は、市町村が浸水リスクを評価するシミュレーションに基づき重点的な整備を行えるよう、技術講習会を実施しております。
これに加え、豪雨に伴う様々な被害やトラブル事例を踏まえ、都が持つノウハウを速やかに共有するなどの技術支援も行ってまいります。
また、強靱化補助により、小平市など十九の市町を支援しており、今後も計画策定から設計、工事まで幅広く財政支援を行ってまいります。市町村と緊密に連携し、多摩地域の浸水対策を強力に推進してまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 都立公園における環境教育についてでございますが、公園の豊かな緑を育み、次世代に継承していくためには、緑の創出や保全に関する都民の関心を高めていくことが重要でございます。
都は、パークマネジメントマスタープランに基づき、公園の特性に応じた環境教育プログラムを年間約二百五十件実施するなど、生物多様性への理解を深める取組も進めております。
野山北・六道山公園では、子供向けの雑木林や田畑の生き物観察などを通じ、自然環境保全の意識向上も図っているところでございます。
引き続き、プログラムを拡充するとともに、ノウハウ等を有するNPOや教育機関とも連携するなど、環境教育の取組を一層進めてまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕
○環境局長(須藤栄君) 保全地域を活用した環境学習についてでございますが、東京の緑を将来に継承するには、次代を担う子供たちが保全活動への参加を通じ、緑地保全への関心を高め、行動力を醸成していくことが重要でございます。
都は今年度、NPOなどと連携し、小学生向けに動植物の生態など生物多様性を学ぶプログラムを実施いたしました。また、中高校生向けには、樹木の管理や湿地の再生などのカリキュラムを予定しております。
今後は、活動する保全地域を広げるほか、関係自治体などの協力を得ながら事業内容を周知することで、参加する学校の増加を図ってまいります。これらにより、保全地域を活用した自然体験などの教育プログラムを展開してまいります。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕
○保健医療局長(山田忠輝君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、地域の実情に応じた健康施策についてでございますが、健康寿命を延伸するためには、地域の現状を把握し、実態に応じた施策を行うことが重要でございます。
このため、都は、区市町村別の六十五歳健康寿命を公表するとともに、都民の健康や地域とのつながりに関する調査を実施しております。
調査結果につきましては、区市町村の施策立案に生かせるよう分析して提供し、併せて包括補助により支援をしております。
また、区市町村と連携して都民の主体的な取組を支援するとうきょう健康応援事業により、地域における健康づくりを推進しております。
今後、こうした施策をさらに進め、健康寿命の延伸を図ってまいります。
次に、みとり支援に関するご質問についてお答えいたします。
患者自らが望む医療やケアを、家族や医療、介護関係者などとあらかじめ話し合い共有する、アドバンス・ケア・プランニングの取組を推進していくことは重要でございます。
このため、都は、小冊子、わたしの思い手帳を昨年度までに二十一万部発行し、都民や医療機関等に配布いたしました。また、小冊子を活用して住民同士が話し合う場を設けるなどの好事例を区市町村へ紹介しております。
さらに、医療、介護関係者の理解促進を図る研修を毎年度実施しており、昨年度は五百九十五人が参加しております。
こうした取組によりまして、住み慣れた地域で人生の最期を望みどおり迎えられる環境を整備してまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕
○福祉局長(高崎秀之君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、介護支援専門員の負担軽減についてでございますが、都は、介護支援専門員がケアマネジメント業務に集中できる環境を整備するため、事務職員を雇用し、業務効率化に取り組む居宅介護支援事業所を支援しております。
また、今年度から、事業所間でのケアプランデータのやり取りがオンラインで完結し、事務負担を軽減できるシステムの普及に向け、区市町村への補助を開始いたしました。
国は、法定業務以外のいわゆるシャドーワークなどのタスクシフトを支援する方針であり、都は、こうした動向を踏まえながら、事業所におけるデジタル化や書類管理などの業務実態の把握を進めまして、介護支援専門員の負担軽減に向け、取組を推進してまいります。
次に、保育所での障害児の受入れについてでございますが、都は、障害児保育の充実に向けまして、保育サービス推進事業や子育て推進交付金により、保育事業者や区市町村の取組を支援するとともに、保育士等のスキルの向上を図るため、専門的な研修の受講を支援しております。
こうした取組によりまして、保育所などにおける障害児の受入れ数は、令和三年度は八千百二十一人、四年度は九千七十八人、五年度は一万五百七十五人と年々増加しております。
今後も、保育を必要とする障害児がサービスを確実に受けられるよう、自治体や保育現場の実態も把握しながら、区市町村の取組を支援してまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 二点のご質問についてお答えいたします。
まず、農産物の高付加価値化についてでございます。
農業者の収益向上に向け、農産物の差別化を図り、その価値を高めていくことは有効でございます。
これまで都は、意欲ある農業者が個々の経営戦略に基づき、付加価値を高めて販売できるよう、専門家派遣や農園のプロモーションなど、現場ニーズに合わせた支援を行ってまいりました。
加えて、今後は、都として戦略的に東京農産物のブランディングを図るため、消費者ニーズなどから有望な品目を選定し、その品目に応じた商品の開発や知的財産の活用等への後押しについて検討いたします。
こうした取組によりまして、農産物の高付加価値化と東京農業の活性化につなげてまいります。
次に、農業の多様な担い手の確保についてでございます。
若者や幅広い分野からの人材確保は、新たな農ビジネスの創出や農業活性化の面から重要でございます。
このため、都は、産官学民が連携し、副業として農業を学びたい人材や農家の後継者、農業系のスタートアップ、大学など、多様な主体が活動できる拠点づくりに取り組んでおります。
さらに、本拠点で行います都市農業の最新の知見を学べる講座や、多様な人材をつなげるためのワークショップなど、プログラムの構築を進めております。
今後は、こうした取組に加えまして、若者や様々なキャリアを持つ方を農業に結びつける後押しを検討するなど、さらなる人材確保を推進してまいります。
〔スタートアップ戦略推進本部長吉村恵一君登壇〕
○スタートアップ戦略推進本部長(吉村恵一君) スケールアップ企業の創出についてのご質問にお答えいたします。
世界に飛躍し、大きく成長する企業を生み出すには、グローバル市場を見据えた思い切った後押しが必要でございます。このたび開始いたしましたSusHi Tech Global事業では、有望企業を順次選抜し、グローバル人材の確保や海外投資家とのマッチング、海外展開やM&A戦略など、第一線の支援者と共に徹底的にサポートいたしますとともに、来年度にかけて、十社程度に最大二億円の資金付プログラムを実施いたします。
また、官民連携ファンドや民間ファンドなどを通じて大規模な資金を呼び込むことで、グローバル目線の大胆な投資につなげますほか、内外の力を結集した支援を練り上げ、スケールアップを生み出すエコシステムを構築してまいります。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕
○デジタルサービス局長(高野克己君) 区市町村のAI活用への支援についてお答えいたします。
住民ニーズへの対応や業務の生産性向上に向け、現場の最前線を担う全ての区市町村がAIを効果的に活用できるようにすることは重要でございます。
都は今年度、三十七の自治体の参加を得て、生成AIの活用をテーマにしたプロジェクト型伴走サポートを実施しております。この中で、GovTech東京が提供する共通プラットフォームを用いて、仕様書作成等のアプリ開発を支援しております。
今後、この基盤を活用し、事例の共有やAIの有用性への理解促進を図ることで、開発された優良なアプリの横展開を進めてまいります。
こうした伴走型の取組を通じまして、全ての区市町村のAI活用を強力に後押ししてまいります。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕
○生活文化局長(古屋留美君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、江戸文化の世界遺産への取組についてでございますが、江戸が二百六十年の平和と繁栄の中で生み出してきた歌舞伎や浮世絵、寺社などの建築、江戸前の食などの独自の文化は、世界に誇る東京の魅力であります。
これまでに六回開催した有識者会議においては、世界遺産登録も見据え、候補となり得る江戸の文化資源や、その保存の在り方、他の登録事例との比較検証の重要性など、多くの意見をいただいているところでございます。
今後、国などの関係機関とも連携を図り、個々の文化資源の専門的、学術的な価値の整理を進めてまいります。
また、こうした取組により、江戸が育んだ文化を世界に発信し、東京のプレゼンス向上につなげてまいります。
次に、東京の新たな文化芸術祭についてお答えいたします。
芸術文化は、人々に幸福や創造性をもたらす社会に欠かせない存在であります。都は来年度より、秋冬の東京を舞台にクリエーティブの力で都市に新たな価値を生み出す文化芸術祭を立ち上げます。
多くの方が様々な形でこの芸術祭を楽しめるよう、都内の各地域で開催されている催しを巻き込みながら、観光部門をはじめ、関係局や企業、団体等とも連携し、プログラムや広報の充実を図ってまいります。
開催を機に、まちにアートのある景色を広げ、東京に暮らす人々の日常をより豊かなものとしながら、多様な文化に彩られた都市東京の魅力を国内外へ届けてまいります。
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.