○議長(増子博樹君) 十五番、竹内愛さん。
〔十五番竹内愛君登壇〕
○十五番(竹内愛君) 日本共産党、板橋区選出の竹内愛です。
初めに、豊かな学びを保障する障害児教育を求めて質問いたします。
私は、肢体不自由の都立特別支援学校の保護者の方から、お子さんが小学部四年生の頃から学校に行けなくなっていったと相談を受けてきました。会話ができるのに発語のない児童の学習グループに入れられ、おしゃべりする相手もいない、車椅子に座る時間が長過ぎて疲れてしまうこと、おむつが気持ち悪いと訴えても後回しにされたことなど、学校での嫌な思いの積み重ねで次第に表情が硬くなり、行き渋るようになりました。学校に連れていこうとすると、体を張って嫌がる子供をどうすることもできず、苦しかったと話してくれました。
今、小中学校では、不登校の増加が注目されています。特別支援学校でも、不登校になる子供がいることはあまり知られていません。障害児でも不登校になることを知ってほしい、そして寄り添った対応をしてほしいということが保護者の願いです。
知事は、特別支援学校でも不登校の子供がいることをご存じだと思いますが、どのように認識しているでしょうか。
文科省が行う学校基本調査では、長期欠席している児童生徒の数を調べています。都内公立特別支援学校について、小学部、中学部、高等部ごとに、長期欠席の総数とともに不登校の人数をそれぞれお答えください。
調査する中で分かったのは、特別支援学校でも不登校のお子さんが増えているということです。学校基本調査の全国結果では、特別支援学校の不登校の人数は二〇一四年度の三百三十八人から二〇二三年度は一千二百九十七人と、十年間で何と約四倍にも増加しています。東京でも同じような傾向と思いますが、人数が増えていることについて、どのように認識しているのか伺います。
なぜ不登校になっているのか、現状をつかむ必要があります。また、障害児ということで、障害があるからと、不登校として認知されていないことも懸念されます。特別支援学校の児童生徒の不登校の人数やその理由を子供や保護者に聞くことも含め、都として把握すべきですが、いかがでしょうか。
障害のある子供の状態は同じ障害種別でも一人一人異なるため、特別支援学校では個々の状況に応じたきめ細やかな教育ができる体制が整っているはずです。にもかかわらず、不登校の子供が増加しているということは、その体制に課題があるということではないでしょうか。
都教委は、二〇〇九年度から二〇一七年度までに肢体不自由特別支援学校の自立活動担当教員を大幅に削減してしまいました。
そこで伺いますが、北区にある北特別支援学校の自立活動担当教員は、削減前の二〇〇八年度の旧基準では何人配置していましたか、また、現在の配置人数は何人かお答えください。
現在の基準による自立活動担当教員の人数は、旧基準と比べ、中規模校の志村学園では十人、大規模校の光明学園では十九人も少なくなっています。一校で十人から二十人近くも教員が減れば、教育に支障が出るのは当然です。そのしわ寄せを受けるのは子供たちにほかなりません。
加えて、特別支援教育の経験のない小中学校や高校の教員が、一年または三年限定で特別支援学校に異動する制度が行われています。この教員は定数内にカウントされているため、受け入れる学校はさらに大変です。
障害のある子供にとって、食事やトイレも大事な教育です。子供の気持ちを尊重し、意欲を引き出しながら成長や発達を促す専門性の高い教育を安定的かつ十分に保障できる体制を整えることは、都教委の責任です。
自立活動担当教員を増やし、小中高等学校から期間限定で異動してきた教員は定数外とすることをはじめ、都立特別支援学校の教員を抜本的に増員すべきです。見解を伺います。
都教委は、自立活動担当教員を削減した代わりに、学校介護職員を配置しています。しかし、非常勤である会計年度任用職員のため、専門性や経験の蓄積、継承の保障がなく、年度内に欠員も生じるなど、人材確保も課題となっています。
学校介護職員について、賃金の引上げや雇用年限の撤廃、昇給制度を設けるなどの処遇改善を行うとともに、正規雇用とすることを求めます。見解を伺います。
子供たちが楽しく学校に通え、成長や発達を保障するためには、ふさわしい施設整備が欠かせません。
板橋の志村学園では、肢体不自由の子供が使用するトイレの洗面台の下に車椅子が入らず、蛇口に手が届かないため、自分で手を洗うという大事な教育の機会が失われていました。また、せっかくの屋内プールは、温水ではないことや夏場は日差しが強過ぎるなど、使える日が限られています。こうした状況は志村学園だけではありません。
子供たちの自立を阻害するような設備は改善すること、プールは自立活動に日常的に利用できる温水プールにすることを求めます。
どの子にも通学を保障することが必要です。肢体不自由の子供たちは原則スクールバスで通学していますが、毎日スクールバスに乗ることや、中学部でも三時まで学校にいることが負担になるお子さんもいます。子供の体調や状況に合わせて登下校しようとしても、保護者の送迎や付添いがなければ、通学すること自体、諦めざるを得ません。こうした児童生徒にも、福祉タクシーを含め、個別のニーズに応えるよう求めます。見解を伺います。
次に、高島平まちづくりと三田線高島平駅の改善についてです。
私が住んでいる高島平は、かつて東洋一といわれたURのマンモス団地があるまちです。今、高島平まちづくりの名の下に、賃貸団地の一部である七棟、一千九百五十五戸を解体し、小学校跡地にURが百十メートル級の賃貸型タワーマンションを建設する計画の強行が狙われています。解体予定の地区に暮らす方の多くが年金生活者です。高齢になって住み続けられないことに、不安と怒りが寄せられています。
また、学校跡地にタワーマンションを建設することを理由に、新たな道路整備も予定されていますが、緑道を分断する計画に反対の声が上がり続けています。住民を追い出し、居住環境を壊す計画の撤回を求めるものです。
この計画を前提に、高島平駅と団地周辺をつなぐペデストリアンデッキの建設も検討されています。区は、昨年度から三か年かけて、デッキ整備の基本方針、基本計画の検討を行うとしています。
高島平駅は改札口が地上階にあり、周辺からのアクセスも良好で、何のためにデッキを整備するのかが問われます。駅とつなぐというなら、当然、都との協議が必要です。ペデストリアンデッキの整備について、区との協議は行われているのでしょうか、お答えください。
今求められているのはデッキ整備よりも高島平駅のバリアフリー化です。高島平駅は四方から改札口を利用できますが、いずれも十数段の階段があります。東西にスロープがありますが、特に東口のスロープは、位置が悪く、距離もあるため使いにくい状況です。
高島平団地から駅東口を利用するほとんどの方が、この段差の大きい十一段の階段を上っていますが、都はこのことを把握しているでしょうか、伺います。
高島平駅をはじめ、利用者が多く、かつ便利な場所にエレベーターやエスカレーターを急ぎ整備することを求めますが、いかがでしょうか。
次に、危険な崖、擁壁の安全対策についてです。
今年九月、杉並区内の住宅地で擁壁が崩壊する事故が発生しました。こうした事故は、いつどこで起きてもおかしくない状況です。
板橋区が危険な擁壁として文書指導している箇所は、昨年度実績で危険度大が百四十六件、危険度中を加えると六百六十件に上ります。しかし、そのうち改善されたのは計八件で、相談件数五十件に対し、工事助成は僅か一件です。
板橋区は、補修への支援として上限七百万円の補助を行っていますが、自己負担が重く、新築や建て替え以外では改善に至らないのが現状です。
私の地元地域でも、擁壁の一部が崩れ、大きな亀裂が入り、退避勧告が出ている場所がありますが、協議は難航しています。擁壁の周辺住民は日々おびえる生活を余儀なくされています。
都は、危険な擁壁の改善が進まない現状についてどのように認識しているでしょうか。お答えください。
熱海での大規模な土砂災害を受け、国は盛土規制法を制定しました。都は、同法に基づき、二〇二四年七月三十一日から新たな規制を開始し、盛土対策のための補助金制度を創設しました。
しかし、都補助金は全都を対象にしているにもかかわらず、今年度の予算額は僅か百三十万円です。今までの補助制度含め、対策への支給実績はありません。制度があっても使えないのでは意味がありません。安全性の担保は重要ですが、使える制度に改めるべきです。
現行の都補助を使い勝手のよいものに見直し、上限額の引上げとともに予算額の増額を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 竹内愛議員の一般質問にお答えいたします。
特別支援学校での不登校についてご質問がございました。
誰一人取り残さず、全ての子供が将来への希望を持って、自ら伸び育つ教育を行うことは重要でございます。
特別支援学校におきましても、一人一人の子供の状況に応じたきめ細かな教育を行っております。
今後とも、子供に寄り添った教育を着実に進めてまいります。
なお、その他の質問につきましては、教育長、都技監及び交通局長が答弁をいたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 八点のご質問にお答えいたします。
まず、特別支援学校の長期欠席についてでございますが、国では、特別支援学校の小学部と中学部で長期の欠席をしている子供の数の調査を行っております。
東京都の公立の特別支援学校について、令和五年度の長期欠席の小中学部の子供の数は千四名で、このうち不登校は六十八名でございます。
なお、国のこの調査では高等部は対象としておりません。
次に、特別支援学校の不登校の状況についてでございますが、全国の不登校の子供の数が増加をしていることは承知をしております。
次に、特別支援学校の不登校の状況等についてでございますが、特別支援学校に通う子供たちは、健康の管理に十分に留意することが必要な場合も多くあります。そうした中で、長期間、学校に行くことのできない理由を見極めながら適切に対応をしております。
このように、特別支援学校の不登校の子供たちについて、一人一人の状況に応じた適切な支援を丁寧に行っているところでございます。
次に、自立活動担当教諭の配置の状況についてでございますが、都立の北特別支援学校について、自立活動担当教諭を平成二十年度には三十人配置をしておりました。こうした教員は、現在の基準では六人となっており、その一方、学校介護職員を今年度は三十六人配置し、それぞれが協力して指導する体制としております。
次に、都立特別支援学校の教員の配置についてでございますが、教員の定数は、公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律等に基づく都の基準により、適切に配置をしております。
次に、学校介護職員についてでございますが、都教育委員会は、肢体不自由特別支援学校で教員と学校介護職員がそれぞれの専門性を発揮しながら、連携、協働して指導する体制をつくっております。
次に、特別支援学校の設備や施設についてでございますが、都教育委員会は、特別支援学校からの要望を踏まえ、設備等の状況に応じ必要な修繕や改修を適切に実施しております。
また、学校のプールについて、水泳指導のため、障害の種別や校舎の建築条件などを踏まえ整備しており、水温を上げる加温装置を導入する場合もございます。
最後に、特別支援学校の通学についてでございますが、特別支援学校への通学の方法について、児童等の心身の発達段階や障害の状態などを踏まえ、学校ごとに決めております。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、危険な擁壁の改善についてでございます。
都は、熱海市で発生した土石流災害を契機とした国の法改正を踏まえ、法の規定を強化した条例を定め、区市町村と連携し、擁壁を含めた盛土対策に取り組んでおります。
次に、盛土対策の補助制度についてでございます。
都は、盛土規制法の運用開始に合わせて、危険な宅地擁壁を改修する所有者に補助を行う区市町村に対する支援制度を創設しております。
引き続き、区市町村に都の支援制度の活用を働きかけるなど、連携を図ってまいります。
〔交通局長堀越弥栄子君登壇〕
○交通局長(堀越弥栄子君) 三点の質問にお答えいたします。
初めに、三田線高島平駅へのペデストリアンデッキ整備についてでございますが、交通局では、板橋区からまちづくりプラン等の説明は受けておりません。
次に、高島平駅のお客様のご利用についてでございますが、高島平団地方面から訪れる多くの方が、駅東口の階段を利用されております。
最後に、都営地下鉄のバリアフリー整備についてでございますが、都営地下鉄では、局が管理する全駅でエレベーター等によるワンルート整備を完了しており、駅の構造や周辺状況などを踏まえながら、バリアフリールートの充実を図っております。
なお、高島平駅では、駅構内にエレベーターを整備しているほか、歩道から二か所の改札口までの経路に、それぞれスロープが設置されております。
○議長(増子博樹君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後三時二十四分休憩
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