令和七年東京都議会会議録第十八号〔速報版〕

○副議長(菅野弘一君) 十八番谷公代さん。
〔十八番谷公代君登壇〕

○十八番(谷公代君) 私は、都議会議員になる前からペットの命を守るペットセーバーの資格を持ち、愛犬と共に地域の安全・安心を見守る活動を続けています。
 その活動中の昨年九月上旬、小学校の校門の前で朝一人でぽつんと立っている小一の児童と出会いました。話を聞くと、仕事に向かうお母さんと一緒に早く家を出て、開門時間まで校門の前で待っているというのです。
 いわゆる小一の壁を目の当たりにし、何か事故が起きる前に対策をと、私は早速、公明党豊島区議団と連携し、昨年九月十九日に豊島区長へ小一の壁解消に向けた要望書を提出しました。その結果、豊島区は本年四月から、全ての小学校で児童の朝の居場所と夕方の見送りを実施し、子供が安心して過ごすことができると保護者から喜びの声が届いています。
 しかし、この小一の壁は、学校の対応だけではなく、本来であれば保護者の働き方の改革こそが大事であります。
 小学校への進学を機に勤務時間の調整が難しくなり、仕事を変えたり、辞めざるを得なくなるのは、ほとんどが母親です。
 また、小一の壁だけでなく、発達障害のあるお子さんがいる家庭では、仕事と子育てとの両立に悩み、これまで積み上げてきたキャリアを手放し、仕事を辞めたという方の声も伺っています。
 仕事と子育て、家庭との両立に悩む方々が安心して働き続けられる社会を実現していくために、希望する働き方を続けられる職場環境づくりに取り組む中小企業を都がしっかり支援し、広げていくべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 また、働く現役世代、特に一人で家計を支える女性や子供がいない共働き世帯の皆様からは、将来が不安、健康を崩したら収入が途切れてしまうといった切実な声が寄せられています。
 また、生活の安定のため、副業、兼業を始めてみたいが、どこに相談すればいいのか分からないとの声も多く届いています。副業、兼業は収入を増やすだけでなく、新たな知識や技術の習得、スキルの向上にもつなげていける可能性もあると考えます。一方で、健康管理や働き方のバランスなど、専門的なサポートも求められています。
 働く現役世代、とりわけ女性のキャリアの可能性を広げるため、都が開設したはたらく女性スクエアに副業、兼業に関する相談体制を強化する必要があります。
 そこで、将来まで見据えたワンストップの総合窓口として、副業、兼業を専門とする新たな相談窓口を設けるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、青少年の安全・安心を確保する観点から質問いたします。
 初めに、自転車の安全利用についてです。
 自転車の交通反則通告制度、いわゆる青切符を導入する改正道路交通法が来年四月から施行されます。
 スマートフォンの操作やイヤホンを使用しながらの運転、夜間ライトの無灯火といった行為が事故につながるおそれがある上に、十六歳以上の高校生をはじめとする若い世代も取締りの対象となります。
 通学で自転車を利用する中学生、高校生などを交通事故の加害者にも被害者にもさせないため、制度導入を機に、正しい交通ルールの理解と安全意識の向上に向けた取組を強化すべきと考えますが、見解を求めます。
 また、自転車が安全に走れる通行空間を整備することも重要です。
 自転車通行空間の整備に当たっては、都道、国道と区市町村道との連続性を確保するネットワークの形成が重要であると考えます。
 都と区市町村が連携を図り、安全かつ連続性のある自転車空間の整備に取り組むべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、特殊詐欺対策についてです。
 警視庁によりますと、今年十月末までに都内で発生した特殊詐欺の被害額はおよそ二百三十六億八千万円、件数にして三千六百二十四件に上り、既に過去最悪を更新しています。
 被害が、かつては高齢者が中心だったものが、最近では二十代、三十代など若年層の詐欺被害が急増しており、特に、警察官を名のるオレオレ詐欺やSNSを介した投資詐欺などの手口でインターネットバンキングから送金を強いられ、高額な被害につながる事例が報告されています。
 中には、被害者として金銭を失った後、その損失を取り戻したいという気持ちや経済的な困窮から犯罪に加担してしまい、加害者にもなってしまう場合があると聞きます。
 被害が広がっている若年層を守る対策として、若年層に響く新たな効果的な対策を講じるべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、東京アプリについて質問いたします。
 今回の生活応援事業を契機に、東京アプリのダウンロード数が伸びていくと予想されますが、生活応援事業のみならず、都民に東京アプリを活用していただける取組が重要です。
 そこで、数ある都の事業において、都民に役立つ有益な情報を効果的に提供する東京アプリの機能強化を図っていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、エスカレーターの安全利用について質問します。
 エスカレーター上を歩くことが習慣化されている現状を踏まえ、都議会公明党は、昨年第四回定例会において、条例制定も見据えたエスカレーターの安全利用の対策を講じるべきと訴えてきました。
 この提案を受け、都では、十月から東京都商品等安全対策協議会で検討が開始されたと伺っています。また、本年夏には、全国の鉄道事業者や商業施設、自治体が共同で、エスカレーターの安全利用を呼びかけるキャンペーンが実施されています。ターミナル駅である私の地元池袋駅を利用される方からも、エスカレーター上を歩行する方と接触して怖いとの声も寄せられています。
 今後の検討に当たっては、高齢者や障害者への合理的配慮を踏まえ、誰もが安心して利用できる対策を講じていくべきです。見解を求めます。
 次に、都立高校における日本語指導が必要な生徒の支援について質問します。
 都教育委員会は、都議会公明党の要望を受け、在京外国人枠設置校を八校から十二校へ拡大し、さらに国籍要件も撤廃するなど、入試制度の改善を進めておりますが、一方で、令和七年度入学者選抜では、二百四十人の定員に対して四百八十一人が応募しており、依然として受入れ枠が不足しています。
 そのため、日本語指導が必要な生徒の中には、希望する学校に進学できず、日本語指導が十分に受けられない学校に進学せざるを得ないことで、将来の職業選択の幅を狭めてしまうおそれがあります。受入れ枠を拡大するなど、全ての生徒が同じスタートラインに立って学びを築いていけるよう、日本語指導が必要な生徒を支援できる体制を拡充すべきです。見解を求めます。
 次に、赤ちゃん・ふらっと事業について質問いたします。
 東京都では、令和五年に八千百八十七人の低出生体重児が生まれており、赤ちゃんが入院中のため直接授乳ができず、苦労して搾乳を続けている母親も少なくありません。
 授乳やおむつ替えができる専用スペース、赤ちゃん・ふらっとが都内で千六百六十一か所整備されています。しかし、区市町村施設や民間協力施設の中にある赤ちゃん・ふらっとは、搾乳での利用が可能かどうか分かりづらい状況があり、ある施設では、子供連れでないと入室できないや授乳目的以外での利用はできないと表示されているため、搾乳のために女性が一人で入室しづらいこともあります。
 搾乳が必要な方がためらわず赤ちゃん・ふらっとが利用できるよう、搾乳が可能と分かる専用マークを表示するなど、事業主の取組を実施要綱に追加し、女性一人でも利用しやすい環境づくりを進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、災害発生時の通信環境について質問いたします。
 都議会公明党は、十月十六日、台風で甚大な被害を受けた八丈島を現地調査し、携帯電話がつながりにくい地域も依然残っていたことから、翌十七日、副知事に対し、通信インフラの早期復旧と、衛星通信など先端技術の活用による高速Wi-Fi環境の整備を緊急要望いたしました。災害発生時だけでなく、平時から島民が安心して使える高速かつ安定した通信環境を、島内各地域、避難所、公共施設に整えることが極めて重要であります。
 そこで、災害に強い衛星通信とWi-Fiの技術などを活用し、広く都民が使える環境を整備すべきと考えますが、見解を求めます。
 最後に、私の地元豊島区の道路整備の課題について二点質問します。
 初めに、放射第九号線の整備についてです。
 放射第九号線の整備が進められているとげぬき地蔵入口交差点では、地域の皆様の要望に応じて横断歩道橋が撤去され、令和二年に地蔵通り側へ横断歩道が設置されました。
 しかし、巣鴨駅側には横断歩道が設置されておらず、地元住民からは、反対側にも安全に渡れる横断歩道の整備を求める強い要望をいただいています。
 放射第九号線の道路拡幅事業に当たって、とげぬき地蔵入口交差点における巣鴨駅側横断歩道を整備し、安全で歩きやすい道路環境整備を進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、環状第五の一号線についてです。
 環状第五の一号線の整備に合わせ、豊島区では、池袋駅東口エリアにおいて池袋駅コア整備計画が策定されるなど、まちづくりの機運が大いに高まっています。この計画を着実に推進していくためには、池袋駅前を通る明治通りのバイパスとなる環状第五の一号線の早期整備が不可欠です。
 しかし、平成十年事業着手以降、平成二十三年に事業期間を延伸したものの、用地取得の遅れなどから、令和二年度完成予定が令和十年三月まで事業期間が延伸されました。地元の皆様からは早期の完成を求める声が高まっており、豊島区の発展、そして渋谷、新宿、池袋の三つの副都心を結ぶ東京全体の成長のためにも、明治通りの高戸橋付近からグリーン大通りまで早期に完成すべきです。見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 谷公代議員の一般質問にお答えいたします。
 いわゆる小一の壁への支援についてでございます。
 働き方改革を通じて手取り時間を増やし、子育てなど様々なライフステージと仕事を両立できる職場づくりを進めることは重要です。
 都は、柔軟な働き方によりまして仕事を効率的に行い、手取り時間の創出や育児、介護など様々な事情を抱えた方々を支援する企業を後押ししております。
 小一の壁に対しましては、労働時間の短縮や始業時間の繰下げなど、子育てと仕事を両立できる仕組みづくりをサポートしております。
 今後、働く時間の見直しも含め、柔軟な働き方を一層進めることで、誰もが生き生きと活躍し、やりがいを感じられる社会を実現してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 都立高校での日本語等の指導についてのご質問にお答えいたします。
 都立高校において、日本語を基本から学ぶ必要のある生徒に対し、言葉に加え、文化に係る知識や生活面のルール等を教えることは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、在京外国人等の生徒を受け入れる都立高校で日本語指導の優れた力のある教員の配置などを行っているところでございます。また、生徒の学びをきめ細かく支援する人材の派遣も行っております。
 今後は、学校に入る前や入学後の一定の期間、日本語に加え、我が国の伝統文化や地域のルールを集中的に学ぶ取組に力を入れてまいります。さらに、文化などの違いを、海外の現地で学ぶ交流の機会の充実も検討いたします。これらによりまして、日本語指導等の充実を図ってまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) はたらく女性スクエアについてのご質問にお答えいたします。
 女性が個性や能力を発揮して働く場で活躍できるよう、これまでの経験やスキルを生かした働き方を選択できる支援は重要でございます。
 これまで都は、はたらく女性スクエアにおきまして、キャリアアップに関する悩みなどに対し、キャリアコンサルタントや管理職経験者等のメンターによる専門的な相談対応を行ってまいりました。
 また、今年度、女性特有の健康課題に対し、専門家による相談対応を開始いたしました。
 今後は、多様な働き方の相談におきまして、兼業、副業や起業の経験者などから体験に基づいた助言を受けられるよう、支援窓口の充実を検討いたします。
〔都民安全総合対策本部長竹迫宜哉君登壇〕

○都民安全総合対策本部長(竹迫宜哉君) 中高生などへの自転車安全利用啓発についてでございますが、都はこれまで、自転車シミュレーターや啓発リーフレット、東京都自転車安全学習アプリ、輪トレ等を活用して普及啓発を実施してまいりました。
 今年度は、いわゆる青切符制度導入を契機に、いわゆるながらスマホなど、日常的に見られる違反行為に注意喚起をするショート動画を配信しているほか、分かりやすくまとめた交通ルールブックを制作いたします。さらに、年内には、主な反則行為や金額などを都ホームページに掲載し、周知を図ってまいります。
 今後、動画やルールブックを学校に提供し、交通安全教育で活用を促すなど、教育庁などの関係局、区市町村と連携し、一層の普及啓発に取り組んでまいります。
 次に、特殊詐欺の被害防止対策についてでございますが、都では現在、詐欺の手口を周知し、注意喚起を行うターゲティング広告や、防犯対策に関する情報発信など、インターネット利用の多い年齢層の行動様式に合わせた啓発を実施しております。
 今後、最新の手口や犯罪の事例を踏まえながら、若者が自分事として捉え、警戒心を持つよう促すターゲティング広告を実施するなど、若年層への対策を強化いたします。
 引き続き、若年層を含め、あらゆる世代の特殊詐欺に対する防犯意識を向上させることで、被害防止対策を推進してまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕

○建設局長(花井徹夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車通行空間の整備についてでございますが、誰もが安全で快適に自転車を利用できますよう自転車通行空間の整備を進め、連続したネットワークを形成することが重要でございます。
 都は、令和三年度に策定した整備推進計画に基づき整備を進めておりまして、令和六年度末までに累計四百十三キロメートルが完成しております。
 また、国や区市町村等で構成する調整会議を開催し、区市町村ごとの自転車ネットワーク計画策定に向けた取組を促しておりまして、令和七年九月末時点で三十区市が策定済みでございます。
 今後とも、安全に利用できますよう、地元自治体等と連携しながら自転車通行空間の整備を着実に進めてまいります。
 次に、放射第九号線についてでございますが、本路線は、千代田区大手町から板橋区舟渡に至る延長約十五キロメートルの都市の骨格を形成する重要な幹線道路でございます。
 このうち、豊島区巣鴨三丁目から巣鴨五丁目に至る約四百七十メートルの区間で道路拡幅事業を進めております。これまでに八九%の用地を取得し、排水管や電線共同溝の設置工事を実施いたしました。
 とげぬき地蔵入口交差点において未設置となっております巣鴨駅側の横断歩道につきましては、設置に向けて関係者と協議を進めてまいります。
 引き続き、地元の理解と協力を得ながら、早期完成に向け着実に整備を推進してまいります。
 最後に、環状第五の一号線についてでございますが、本路線は、都心に集中する交通の分散化や、渋谷、新宿、池袋の連携強化などの役割を担う延長約十四キロメートルの重要な幹線道路でございます。
 このうち、豊島区高田三丁目から南池袋二丁目に至る一・四キロメートルの区間で事業を実施しておりまして、これまでトンネルや擁壁などを整備してまいりました。
 現在、交差する目白通りの千登世小橋及び都電荒川線の直下にトンネルを構築するための立て坑築造工事を、橋梁の保全や都電の安全運行に配慮しながら慎重に進めているところでございます。地元区と連携し、引き続き地域の皆様の理解と協力を得ながら、早期開通を目指してまいります。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕

○デジタルサービス局長(高野克己君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京アプリについてでございます。
 都民がスマホから簡単に行政とつながるアプリにしていくためには、行政の様々なサービス等を分かりやすく提供していくことが重要でございます。
 現在、アプリでは、安全・安心に係る情報や子育てに役立つサービスなど、都民に身近で関心の高い情報を提供しております。
 今後、こうした情報に、より簡便にたどり着けるよう、暮らしに役立つコンテンツをテーマごとにまとめて閲覧できるようにいたします。
 また、就職、出産、介護などライフシーンに応じた行政サービスへアクセスできる機能も設けるなど、都民がより利便性を実感できるアプリへと発展させてまいります。
 次に、災害時の衛星通信とWi-Fi活用についてでございます。
 災害情報や支援活動など住民が必要とする情報を得られるよう、その生命線となる通信の確保は重要でございます。
 都は今年度、島しょ地域において、災害に強い衛星通信を活用したWi-Fiスポットの整備を進めております。設置場所の選定に当たりまして、平時に多くの人が利用し、有事には避難場所として活用される施設等を対象に、町村と協議を行っております。
 今後は、整備した通信環境を有事の際に円滑に利用していただけるよう、住民向けに丁寧に説明を行ってまいります。
 こうした取組を通じまして、災害時にも都民がつながる環境を提供してまいります。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕

○生活文化局長(古屋留美君) エスカレーターの安全利用についてのご質問にお答えいたします。
 都は今年度、事業者団体、学識経験者等で構成する東京都商品等安全対策協議会におきまして、エスカレーター利用者のための安全対策について検討しております。
 本年十月に開催しました第一回の協議会におきましては、エスカレーター事故の傾向や利用実態に関する実地調査案について意見交換を行いました。
 今後、実地調査の結果を踏まえ、障害者や高齢者も含めた利用者の安全につながる実効性のある対策について、都内の駅等の混雑状況や社会的影響にも配慮しつつ、慎重に検討を行ってまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕

○福祉局長(高崎秀之君) 乳幼児の保護者が外出しやすい環境の整備に関するご質問にお答えいたします。
 都は、乳幼児の保護者が安心して外出を楽しめるよう、図書館や大型スーパーなど不特定多数の方が利用する施設の協力を得まして、授乳やおむつ替えのできる設備などを備えた赤ちゃん・ふらっとの設置を進めております。
 授乳スペースにつきましては、利用者のプライバシーを確保するよう実施要綱で定めておりまして、多くの施設で搾乳時にも利用可能な環境となっております。
 今後、要綱を改正しまして、搾乳できる施設であることを分かりやすく示すよう事業主に求め、希望する方が気兼ねなく利用できる環境を整備してまいります。