○副議長(菅野弘一君) 五十五番銀川ゆい子さん。
〔五十五番銀川ゆい子君登壇〕
○五十五番(銀川ゆい子君) 現代においても、男女間で様々な格差があります。知事は、女性が東京で、そして日本で活躍していくために、どんな方策や支援が必要と考えるのか、知事の見解を伺います。
私が令和七年予算特別委員会で取り上げた女性トイレの混雑問題について、国が動き出しました。六月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針二〇二五において、女性トイレの利用環境の改善に向け、国内外の動向などの把握を進め、対策を推進するとしています。これを受け、国土交通省は、トイレ設置数の基準と適用のあり方に関する協議会を立ち上げ、十一月六日に第一回目が開催されました。
こうした問題意識も踏まえつつ、女性活躍を推進する都としても、東京の都市づくりに際し、誰もが活躍できる都市を実現することが重要だと考えますが、見解を伺います。
既存施設においては、トイレ混雑状況の可視化によるIoTやデジタルサイネージの導入といった方策も考えられます。こういった比較的早期に取り組める対策について、まずは女性の来訪者も多く、様々なイベントが開催される都の文化施設での導入を検討してはどうか、見解を伺います。
火葬について伺います。
都は十二月一日、二十三区内の火葬料の高騰をめぐり、都内外の火葬場や設置自治体などに対し、火葬場の運営実績を尋ねる調査を開始しました。
調査の目的や対象、調査項目について伺います。また、調査結果を今後どのように活用していくのか伺います。
特別区長会事務局によると、関係六区合同で東京博善株式会社に調査が入った際、財務諸表の提出は、あくまでも任意であり、その内容も火葬業に特化した収支ではないと聞きました。
都は特別区長会と連名で、国に対して法整備を求める要望書を提出しましたが、いつになるか分からない国の対応を待っているだけではなく、火葬料高騰に対して取り組むと決意したならば、都としても特別区と連携して火葬の事業収支が分かるような財務情報の提供を求めるべきと考えますが、見解を伺います。
公共交通について伺います。
鉄道事業者においても、人手不足が深刻となっています。都としても、東京の鉄道における持続可能な運行に関する検討会を行っているところですが、鉄道現場の実態調査をするなどして、現場を支える人たちの確保、育成に取り組むべきと思いますが、見解を伺います。
公共交通機関であるバス交通は、シフト制や長時間勤務が当たり前となっています。また、命を預かる責任、遅延や乗客からの理不尽なクレームなど、常に大きなプレッシャーがのしかかっているにもかかわらず、賃金水準はほかの職種平均より低く、若年層から選ばれなくなっています。人材不足解消のためには、賃金をはじめとした処遇を上げていくことが何より重要だと思いますが、現状はそこまで及んでいません。
都も、AI翻訳やキャッシュレス顔認証システムなどの支援を行っていくこととしていますが、直接の解決策にはつながりにくく、今も各地で路線廃止や減便が続く中、スピード感が重要です。
事業者だけで解決できる問題ではなく、バス事業に対するさらなる支援の拡充を求めますが、見解を伺います。
公共交通機関の人材不足を切り抜けるためには、女性の力も必要です。特にバス事業者において、現状、女性が働きやすい職場環境が整っているとはいえません。女性職員の雇用拡大には、施設内外でのトイレや休憩施設などハード面の整備、短時間勤務正社員など、ライフスタイルに合わせた整備が必要だと考えます。
産業労働局は、女性が働きやすい環境整備を進める事業者に対し、女性の活躍推進助成金制度を設けています。女性が少ない運輸業には、この事業の補助率の引上げなど、さらなる手厚い支援をするべきと思いますが、どうか伺います。
技術職員の育成について、都の採用でも、建築、土木、電気、機械の四大技術の応募が厳しい状況にあります。都は、交通や水道など、技術系職員が働く職場を多く抱えています。民間との人材獲得競争が厳しくなる中、技術職員の確保、育成が求められると思いますが、交通局が独自に採用を行っている運輸系の技術職員における取組状況について伺います。
住宅価格高騰について伺います。
都内の急激な住宅価格の高騰により、資産家、高額所得者、投機目的の個人もしくは法人などしか購入できなくなっています。このような状況について、都はよしとしているのか見解を伺います。
国も、やっと不動産登記情報を活用した新築マンションの取引について調査を始めました。日本人による投機目的や日本の不動産業界など、ルール上問題はなく正当ではあるものの、急激な住宅価格の高騰の原因となっていることは否定できません。
そこで、都としては、早急に実態調査や関係団体との議論を重ね、これ以上、マンションをはじめとした住宅の価格高騰にならないよう、効果的な対策をすべきと考えますが、見解を伺います。
不動産高騰の影響により、固定資産税、都市計画税の高騰も著しくなっています。
都としては都税収入の約二五%を占めており、令和六年度も三年に一度の評価替えということもあり、前年比六百八十億を超える大幅増収となっています。
今年度も地価高騰や負担調整措置などで税額は上昇し、その予算で様々な施策を行えるありがたいものとは認識していますが、納税者は非常に困っています。
もちろん、様々な軽減措置などがあり、税額が抑えられていますが、所有者のみならず、賃貸物件でも、固定資産税などのアップにより賃料を値上げされた入居者にとっても大きな痛手となっています。
都としては、景気動向にかかわらず、安定かつ継続的に税収を得られるものですが、納税者は居住しているだけ、借りているだけで毎年のように負担が増加しています。
先日も、足立区の外れでも毎年五千円ほど上げられ、四年間で二万円も高くなったと、納税通知書を見せられました。収入が年金のみ世帯の方などからは、東京に住めなくなるとの声が届いています。
住宅用地に対する固定資産税、都市計画税の現状の軽減にプラスする、さらなる軽減措置を物価高騰策の一つとして検討することを求めますが、どうか伺います。
今提案したような固定資産税などにおける軽減措置の減収による補填としては、居住用資産と投機目的資産の区分けなども可能にし、非居住者の外国人はもとより、日本人であっても不動産投機目的物件への軽減措置の除外や課税強化なども同時に検討すべきと思いますが、伺います。
東京都住宅供給公社、JKKについて伺います。
公社の決算書を見ると、剰余金がかなりの額に上っています。資本金一億五百万円のところ、四千五百三十五倍となる四千七百六十二億円となっています。事業計画には、昨今、物価上昇が続き、経営が一段と厳しさを増しているとありますが、この剰余金を見る限り、どのように厳しさが増しているのか疑問に思います。
都が出資する政策連携団体である以上、都民が納得するような剰余金の活用や説明が求められます。
剰余金で、目に見える形で、本来の事業の再投資や家賃の引下げなど、居住者への還元が可能なのではないでしょうか。都は公社に対して、こうした観点から指導するべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、東京都関連団体などの人事について伺います。
都は現在、政策連携団体と事業協力団体合わせて六十六団体を抱えています。これらの団体には、毎年多額の予算と人材が投入されています。ところが、都とは別団体ということで、情報公開や事業評価が十分とはいえず、都幹部職員の再就職も多いため、天下りの温床ではないかとの声が常にあります。都民の信頼を損なわないように、都も情報公開などに取り組んでいます。
そこで伺います。政策連携団体などの適材推薦団体への幹部職員の推薦について、団体において、都庁で培った経験やノウハウ、技術の継承など、必要なことは理解できますが、再就職状況の公表を見ると、明らかに分野違いの再就職先も見受けられ、団体の効率化に役立つのかも不明です。推薦した説明責任も生じると思いますが、見解を伺います。
毎年行われている幹部職員の再就職先の公表は、役職のみとなっています。天下りとの疑念を少しでも持たれないためにも、再就職先の一つである政策連携団体において、役員の報酬額や退職金額も明らかにするなどして透明性を高めるべきと思いますが、見解を伺います。
以上で質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 銀川ゆい子議員の一般質問にお答えいたします。
女性活躍についてでございます。
全ての都民が性別に関わりなく個人として尊重され、その個性と能力を十分に発揮できる社会づくりは重要です。
都は男女平等参画推進総合計画に基づきまして、誰もが多様な生き方を選択できる社会を実現するため、様々な施策を推進しております。
今後予定している計画の改定や女性活躍推進条例の制定を原動力といたしまして、東京から女性活躍のうねりを起こしてまいります。
その他の質問につきましては、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、誰もが活躍できる都市の実現についてでございます。
都民の誰もが生き生きと輝く東京とするためには、国の動向や地域の実情も踏まえつつ、あらゆる人が多様な働き方や憩い方などを選択できる都市としていくことが重要でございます。
このため、質の高いオフィス環境の整備や、利便性が高く魅力的な文化交流拠点の形成を誘導するなど、誰もが自分らしく活動しやすい都市づくりを進めてまいります。
次に、鉄道事業における人材の確保、育成についてでございます。
首都圏の鉄道事業におきましては、現状、安全な運行に必要な体制は確保されているものの、今後、他の運輸事業や建設業等と同様に、技術者不足が見込まれております。
都は鉄道事業者等と共に、本年七月に検討会を立ち上げ、現状把握や技術者不足に起因して生ずる課題への対策の検討等を実施しており、引き続き、関係者と連携しながら取り組んでまいります。
最後に、バス運転士の確保に向けた支援についてでございます。
バス交通につきましては、運転士不足が深刻化し、事業を取り巻く環境が厳しさを増しております。
都は運転士の確保等につきまして、支援の充実を国に要求するとともに、事業者が参画する連絡会議で意見交換を行っております。
今年度は、さらに外国人乗客向けAI翻訳等のDXの試験導入を実施しており、運転士の負担軽減にも取り組んでおります。
引き続き、国や事業者と連携し、運転士確保に向けた対策の検討などに取り組んでまいります。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕
○生活文化局長(古屋留美君) 都立文化施設のトイレについてお答えいたします。
劇場などでの公演では、休憩時に利用が集中するなど一時的に混雑することがございまして、その際は案内スタッフがお客様をすいているトイレへ誘導しております。
また、女性客が多いことが予想される公演におきましては、男性用トイレを女性用に臨時に変更するなどの工夫を行っているところでございます。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕
○保健医療局長(山田忠輝君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、火葬に関する調査についてでございますが、都は安定的な火葬体制を確保し、火葬能力の強化に向けた様々な検討を行うために、都内や隣接する自治体、都内全ての火葬場等を対象として、火葬場の概要や火葬実績などの調査を実施しております。
この調査結果を基に、安定的な火葬体制を確保するために、様々な対応策を区市町村と連携して検討してまいります。
次に、火葬場についてでございますが、都は現在、都内全ての火葬場の実態について調査を実施しているところでございます。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 女性が働きやすい環境整備についてのご質問にお答えいたします。
都は、女性専用のトイレや更衣室などを整備し、女性の採用を進める中小企業を支援しております。
女性の働く場を広げるため、職場において必要な設備の整備が進みますよう、引き続き事業者を後押しいたします。
〔交通局長堀越弥栄子君登壇〕
○交通局長(堀越弥栄子君) 技術系職員の確保、育成についてでございますが、交通局では、採用選考において、学歴や年齢等の受験資格を見直すなど、応募者の裾野拡大に取り組んでまいりました。
また、都立工科高校からのインターンシップ生の受入れを拡充するとともに、採用ホームページやSNS等により、仕事の魅力を分かりやすく発信しております。
職員の育成につきましては、段階に応じた集合研修のほか、模擬実習設備を活用した訓練などを通じて実践力を養うとともに、外部の専門研修も活用して最新の知見を習得させるなど、能力向上に努めております。
〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕
○住宅政策本部長(山崎弘人君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、都内の住宅価格に対する認識についてでございますが、住宅価格につきましては、市場における需要と供給との関係や建設費など様々な要素が影響していると認識しております。
都としましては、区市町村や民間等と連携し、既存ストックの活用等により、誰もが安心して生活できる住まいの供給に取り組んでおります。
次に、都の対応についてでございますが、都は都民の主要な居住形態であるマンションにつきまして、現在、管理状況等の実態調査を実施しており、その中で、価格に影響を及ぼす可能性がある区分所有者の入れ替わり状況等も調査しております。
引き続き、都としましては、区市町村や民間等と連携し、既存ストックの活用等により、誰もが安心して生活できる住まいの供給に取り組んでまいります。
次に、固定資産税等の課税についてでございますが、固定資産税等は資産の価値に応じて課税する財産税であり、不動産投機の抑制など特定の政策目的に用いることにつきましては、公平性や実務面など様々な課題があると認識しております。
最後に、東京都住宅供給公社の経営に対する指導についてでございますが、公社は、法に基づき賃貸住宅の建設、管理を行っており、建て替えに当たってはシニア住宅の整備や東京こどもすくすく住宅の認定取得など、様々な世代のニーズに応える取組も行っております。
都は、毎年度の事業計画の承認や経営目標の達成状況の管理などを通じ、公社に対しまして適切に指導監督を行っております。
なお、公社の貸借対照表に計上されています剰余金の多くは、公社が賃貸事業を行うに当たり必要な土地建物等の資産として保有するものでございます。
〔主税局長武田康弘君登壇〕
○主税局長(武田康弘君) 固定資産税及び都市計画税の軽減についてでございますが、固定資産税等は資産価値に応じて所有者に課税する財産税であり、地方自治体の重要な基幹税の一つとなっております。
住宅用地に対しては、地方税法上の軽減措置に加えまして、都は、独自に小規模住宅用地の都市計画税を二分の一とする軽減措置等を実施しているところでございます。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、適材推薦団体への推薦についてですが、都においては、幹部職員の退職時の職務だけではなく、これまで都庁で培ってきた知識、経験、能力などを踏まえ、それぞれの団体に適切な人材を推薦しております。
なお、各団体における人事については、団体自らの経営判断により決定をしております。
続きまして、政策連携団体の役員報酬等についてのご質問にお答えをいたします。
政策連携団体では、関係法令に基づく公表に加えまして、個人情報に配慮した上で、常勤役員の平均報酬支給額を公表することとしており、より透明性を確保しております。
なお、政策連携団体の役員退職金につきましては、指導監督基準に基づき、支給しないこととしております。
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