令和七年東京都議会会議録第十八号〔速報版〕

   午後一時開議

○議長(増子博樹君) これより本日の会議を開きます。

○議長(増子博樹君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(増子博樹君) 次に、日程の追加について申し上げます。
 議員より、議員提出議案第十一号、東京都議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例外条例四件が提出されました。
 これらを本日の日程に追加いたします。

○議長(増子博樹君) 昨日に引き続き質問を行います。
 七十番両角みのる君。
〔七十番両角みのる君登壇〕

○七十番(両角みのる君) 都民ファーストの会東京都議団、両角みのるです。
 質問に先立ち、青森県東方沖地震の被災地の皆様に心からお見舞い申し上げます。
 さて、現在、都内には約五十四万人の認知症患者がいると推計されており、今後さらに増加すると見込まれています。
 都は、認知症に関し、市区町村の実情に応じた支援をしており、年々取組を充実してきていると承知しております。
 こうした中、自治体に対する認知症対策のバックアップ機能を充実させることは重要です。都では、今般、都内医療機関等の実態調査の中間取りまとめを行ったと聞いておりますが、その概要を伺います。また、調査結果を認知症対策にどのように生かしていくのか伺います。
 私は認知症の母親を六年間介護し、みとりましたが、その経験を通じて、認知症の方がどのようなときに幸せを感じることができるのかといった視点に立った取組が重要だと考えております。
 そこで、認知症の方の視点に立って、地域や社会の理解を促進する取組を一層加速していくべきと考えますが、見解を伺います。
 ところで、現在、認知症に関する市区町村の窓口は各自治体の地域包括支援センターとなっていますが、地域包括支援センターは基本的に介護につなぐ機関であり、認知症の相談窓口としては分かりにくく、都民からの認知度は低いのではないでしょうか。
 今後ますます認知症に関する様々な相談が増えると思われますが、誰でも一目で分かる敷居の低い窓口が必要と考えます。
 パネルをご覧いただきたいと思います。
 これは試しに私が作成したものでありますが、このようなデザインを作成して都内に広く展開することで、認知症窓口の認知度を上げることができるのではないでしょうか。
 そこで、都民の皆さんの意見を基に、都が認知症窓口の統一デザインロゴなどを作成し、都内の全市区町村の地域包括支援センターに掲示してもらうことで認知症窓口を分かりやすくすることを提案いたしますが、見解を伺います。
 ケアラー支援について伺います。
 都では、それぞれの所管がケアラーの支援に取り組んでいますが、例えば、教育面の配慮が必要なヤングケアラーが、アルバイトで生計を支えるといったワーキングケアラーでもあるという場合もあります。こうした現実を踏まえると、都のケアラー支援は局間のさらなる連携が必要と考えます。
 そこで、都のケアラー支援の理念や基本的考え方を一度整理し、都におけるケアラー支援に横串を通し、さらなる総合的な取組を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 鉄道駅へのホームドア設置については、都の旗振りにより、鉄道事業者参加の下、ホームドアの整備加速に関する協議会が立ち上がりました。同時に都は、事業者への補助拡充や事業採択基準の見直しを行い、ホームドア整備のスピードアップに取り組んでおります。
 こうしたことにより、都立盲学校の最寄り駅となっている私の地元、JR西八王子駅は令和十年度までの実施と、従前計画から前倒しの整備となったことを評価します。
 今後、鉄道各社の新たな整備計画を着実に進めることが重要ですが、目標達成に向け、確実な整備に結びつけるためには、これからも鉄道事業者に働きかけを続けていくべきと考えますが、都の取組を伺います。
 ところで、都は、令和五年度に都内の駅を対象に鉄道バリアフリー調査委託を実施いたしました。本調査結果で明らかになった残された駅は、それぞれに構造上等、困難な課題を抱えているものと拝察いたしますが、そうした中でも、ハードの状況だけでなく、利用状況なども踏まえ、優先度をつけて整備に取り組むことが必要です。
 そこで、現時点でのバリアフリーワンルート未整備駅の数を伺います。あわせて、各駅の実情に応じた都内の全駅バリアフリー化に向けた今後の取組を伺います。
 こちらのパネルをご覧いただきたいと思います。こちらはJR高尾駅の写真です。地域の中核病院である東京医科大学八王子医療センターの最寄り駅でもある高尾駅でありますが、南口利用者は、中央線のホームに行くにも病院に行くにもこの階段を使わざるを得ません。
 階段はたった十三段です。しかし、シニアカーを使用するお年寄りやバギーを使うお母さんにとって越えなければならない壁となっており、私は、この階段を魔の十三段階段と呼んでいます。
 ところが、都基準では、JR高尾駅はバリアフリー化済みの駅とカウントをされております。
 JR高尾駅は、市内で唯一エレベーターが設置されていない駅です。こちらの写真のように、私が現地に行った際にも、階段を前に立ちすくむお年寄りのシニアカーを運ぶ手助けをするご婦人の姿がありました。
 こうした状況を何とかしてほしいとの声が私の下にも届いております。
 JR高尾駅には橋上化計画があり、これによりバリアフリー化を図るとされていますが、計画発表から十三年が経過した現在も市とJRの溝が埋まらず、協議が続いています。
 JR高尾駅のように、都条例の基準ではバリアフリー対応済みとされていても、現実には利用困難者がおり、改善見込みが立っていない駅があります。こうした現実に対し、都も鉄道事業者に対し、何らかの支援を行うことが必要と考えますが、見解を伺います。
 避難所について伺います。
 大規模な災害発生時に開設された避難所の様子を見るたびに、私は、日本の避難所は、十年一日、いや二十年、三十年一日変わっていないなと強く感じます。
 本来は国が主導していくべきと思いますが、それもままならない状況では、都が主導して、日本の体育館雑魚寝避難所をスフィア基準に基づいたプライバシーの確保されたものへと変えていくべきと考えます。
 そのために、都が台湾やイタリアなど先進事例の避難所状況を研究し、企業等と連携し必要な避難所の備品を開発するなどし、東京避難所モデルを定めて、予算面も含めた支援体制を整え、都内自治体に全面展開し、スピード感を持って避難所環境の抜本改善に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 本年三月、長野県諏訪市では、イタリア式避難所システムを取り入れた日本初の避難所設置訓練が県内外から約二百五十人が参加して実施されました。
 県内自治体関係者のほか、県内外の複数のNPO、民間企業、ボランティアなど、市外の広域的な支援団体が主体となり、短時間で避難所開設をする訓練です。
 大規模災害時に被災していないエリアの行政機関や訓練された民間支援者がパッケージ化された資機材を持って駆けつけるという試みは、多くの防災関係者から注目されました。
 現在、発災時の対応について、自助、共助、公助の考えの下、被災地域自らが対応し、足らざるところを外部助力に頼る発想ですが、大規模災害時にこうしたことが機能するかは疑問です。
 このため、今後は、避難所設営や各所の防災施設の物資受入れなど、災害時にボランティアやNPOなど民間の支援団体等を受け入れ、多様な活動をしてもらえるよう連携を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都では、二〇三〇年の一般廃棄物リサイクル目標三七%を掲げるとともに、排出量四百十万トンの目標をさらに引き上げるべく議論が続けられております。
 私の地元、八王子市は、一般廃棄物の一人当たり家庭ごみ排出量が人口五十万人以上の都市で最少、すなわち全国一位であり、このことを誇りに思っております。
 しかし、ここに至るまでには、市と住民の長きにわたる大変な努力があり、二十年前の有料化導入当時、住民説明会は約千七百回開催をされております。
 三十年前、青梅市に始まった家庭ごみ収集有料化は、武蔵村山市が実施をし、今や多摩二十六市、全て家庭ごみ有料化が導入をされています。
 こうした経緯を経て、多摩地域はリサイクルが進んだ全国の先進地域となっております。
 現在、区長会においては、清掃工場の再整備に向けて、より効果的なごみ減量施策の検討を進めているとのことですが、都内全体のごみ排出量削減には、区部の取組が鍵を握ります。
 一部事務組合を組織し、共同処理を行う特別区では、家庭ごみ収集有料化に関し、横並びの導入を前提とした議論となっているとお聞きしておりますが、できるところから導入することを前提に、都がその取組を支援することで、都内全体のごみ排出量の削減に結びつけることが可能と思います。
 そこで、特別区における一般家庭ごみ収集有料化に対する都の考え方と今後の具体的な取組を伺います。
 以上で質問を終わります。
 ご清聴大変ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 両角みのる議員の一般質問にお答えいたします。
 ケアラーへの支援についてのお尋ねでございました。
 これまで主に家族が担ってきた高齢者や障害者の介護を、社会全体で支え合うという介護保険法等の理念を踏まえまして、家族介護者の負担軽減に向けた取組を進めることは重要です。
 都は、介護サービス基盤の整備を進めるほか、ヤングケアラーやひきこもりなど、複雑化、複合化した課題に対しましての包括的な相談体制の確保など、分野を超えた施策の充実を図っております。
 関係各局が連携しながら、こうした取組を一層進め、介護を担っている家族を総合的に支援をしてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、ホームドアの確実な整備についてでございます。
 ホームドアは、駅利用者の転落を防ぎ、人の命を守る重要な施設であり、鉄道事業者等から成る協議会におきまして検討を進め、これまでの目標を二年前倒しすることを宣言いたしました。
 今年度から、都が事業者に直接補助する制度を創設し、特別支援学校の最寄り駅では、番線当たりの補助上限額を引き上げ、事業者は新たな補助制度の活用等により、ホームドア整備のさらなる加速に取り組んでおります。
 今後は、協議会を通じまして、各鉄道事業者の進捗状況の確認などフォローアップを進め、目標達成に向け、整備を促進してまいります。
 次に、鉄道駅のバリアフリー化についてでございます。
 駅のバリアフリー化の促進には、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠であり、都は、国や区市町と連携し、鉄道事業者への補助を実施しております。
 都は、令和五年度にエレベーター等の整備状況を把握する鉄道駅バリアフリー調査を行っており、東京都福祉のまちづくり条例に適合するバリアフリールートは、現在、七百三十四駅で整備済みであり、未整備の駅は二十二駅でございます。
 未整備として残る駅につきましては、駅の構造や利用者の実態等の課題を踏まえながら、バリアフリールートの充実を進める鉄道事業者の取組を支援してまいります。
 最後に、JR高尾駅のバリアフリー化についてでございます。
 高尾駅では、地元市による駅周辺整備事業におきまして、橋上駅舎化や自由通路の整備に合わせて、新たなエレベーターの設置など、駅構内のバリアフリー化に取り組んでいるところでございます。
 都は、バリアフリールートのワンルート整備に加え、駅周辺における病院などの立地特性や、複数の出入口が離れた位置にあるなどの駅の特徴を考慮いたしまして、令和二年度からは複数ルートの整備に対して補助を拡充しております。
 引き続き、市と連携いたしまして、バリアフリールートの充実に向け、事業者の取組を支援してまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕

○福祉局長(高崎秀之君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、認知症医療の実態調査についてでございますが、都は今年度、都内の認知症医療の実態を把握するため、当事者、家族、区市町村、介護事業所、医療機関などに対して調査を実施いたしました。
 調査では、認知症と診断されることへの不安が早期の受診を妨げていることや、病院と介護施設などでの認知症対応力や相互の連携に課題があることなどが明らかとなりました。
 今後、調査結果を踏まえまして、都民の認知症に対する理解の促進、医療、介護従事者の認知症対応力の向上、関係機関の連携強化などに向けた対応を検討してまいります。
 次に、認知症当事者の視点に立った取組についてでございますが、認知症のある人が社会の一員として尊重され、希望を持って暮らすことができる社会を実現することが重要でございます。
 そのため、都は、認知症のある人をとうきょう認知症希望大使に任命しまして、シンポジウムでふだんの生活の様子をお話しいただくなど、都民の認知症に対する一層の理解につなげております。また、今年度、当事者やその家族を委員とした専門部会を新たに設置しまして、部会での意見を施策の検討に生かしております。
 今後も、当事者自らの言葉などによる発信を支援するとともに、丁寧に意見を伺いながら、当事者の視点に立った施策を一層推進してまいります。
 最後に、認知症の相談窓口の周知についてでございますが、区市町村の地域包括支援センターは、認知症のある人や、その家族からの相談にも対応し、医療や介護などの必要なサービスにつなげております。
 区市町村は、センターに独自の分かりやすい名称を用いるなど工夫をしながら、ガイドブックなどで相談窓口を周知しております。
 都は、こうした区市町村の普及啓発に係る経費を支援するとともに、認知症のポータルサイトやパンフレットにより情報を発信しております。
 今後も区市町村と連携しまして、認知症のある人やその家族が相談につながりやすくなるよう取り組んでまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 避難所の環境改善の促進についてのご質問にお答えをいたします。
 大規模な震災が発生するたび、避難所の生活環境が問題とされてまいりました。こうした状況を改善するため、都は本年三月、避難所運営指針を策定し、スフィア基準に準拠した生活空間やトイレの確保など、目指すべき避難所の姿を示すとともに、簡易ベッドやマンホールトイレ設置に必要な資機材の確保など、直ちに区市町村が行う取組を提示いたしました。これらを着実に進めるため、今年度、補助制度を創設し、区市町村を支援しております。
 今後、専門家によるセミナーを実施し、国内外の避難所運営の工夫も紹介してまいります。こうした取組を通じまして、避難所の環境改善を進めてまいります。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕

○生活文化局長(古屋留美君) 災害時のNPO等との連携についてお答えいたします。
 都は、東京都地域防災計画において、災害時に東京都社会福祉協議会やNPOなどの支援団体と共に、東京都災害ボランティアセンターを運営し、被災地の支援活動が円滑に進むよう取り組むこととしております。
 先日、台風の被害を受けた八丈島におきましても、災害ボランティアセンターを通じ、民間支援団体と連携しながら、給水活動や倒木の片づけなど、被災地での復旧、復興が進むよう支援を行っております。
 また、東京都総合防災訓練におきましても、毎年、災害支援を担うNPO等の民間団体と合同で活動しておりまして、災害時に備えて引き続き連携の強化を図ってまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕

○環境局長(須藤栄君) 一般廃棄物排出量の減量についてでございますが、都内の一般廃棄物排出量を二〇三〇年度までに年間四百十万トンとする目標を掲げ、減量化などに取り組んだ結果、約四百八万トンまで減少いたしました。
 有料化を導入している多摩の自治体では、ごみ排出量の少なさが全国でトップクラスとなるなど、住民意識の向上やリサイクル促進につながっております。今後、目標を強化し、さらなる削減に取り組むに当たり、家庭ごみの有料化は有効な手段となります。
 このため、ごみ減量に積極的な自治体と連携し、収集運搬の効率化や減量化への対応など、具体的な取組について検討することで、地域の実情を踏まえた家庭ごみの発生抑制を進めてまいります。