令和七年東京都議会会議録第十七号〔速報版〕

   午後五時五十分開議

○副議長(菅野弘一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百七番、まつば多美子さん。
〔百七番まつば多美子君登壇〕

○百七番(まつば多美子君) 八日、青森県東方沖を震源とする震度六強の地震が発生しました。被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
 十月二十七日、名誉都民、宇井理生様、十一月八日、名誉都民、仲代達矢様がご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、衷心よりご冥福をお祈りいたします。
 都議会公明党を代表して質問します。
 都は、都議会公明党の緊急要望を受け、八丈島などの島しょ地域の台風被害への対応や、物価高対策の補正予算を組み、今定例会に提案したことを評価するものです。
 初めに、補正予算案に関連して質問します。
 まずは、東京アプリ生活応援事業についてです。
 都議会公明党は、十五歳以上の都民への七〇〇〇ポイント付与について、物価高対策の視点から、繰越金を活用し、一万ポイントへ増額すべきと、第二回定例会代表質問で提案し、度重ねて訴えてきました。
 都は、今回、一万一〇〇〇ポイントへ増額するため、四〇〇〇ポイント分の予算を計上しました。
 補正予算成立後の都民へのポイント付与について、対象の十五歳とは、いつの時点を起点とするのか、また、いつから付与を開始するのか、明らかにすべきです。
 加えて、都民に行き渡るように周知するとともに、利用者が多いペイペイなど、ポイント交換先の決済事業者をさらに増やすべきと考えます。
 宮坂副知事の見解を求めます。
 また、スマホを持たない高齢者へのスマホ購入費補助についても都議会公明党は提案し、区市町村を通じて支援をしていますが、実施していない区市町村への働きかけも必要と考えますが、見解を求めます。
 次に、東京ゼロエミポイントについて質問します。
 都は、本年八月、都議会公明党の要望を受け、今夏の猛暑の状況を踏まえ、高齢者の方や障害のある方のエアコン購入の負担を軽減すべく、東京ゼロエミポイントの支援拡充を実施しました。この拡充は、都民に好評である一方で、エアコン新商品の入れ替わり時期と重なり、販売価格を抑えた一部の製品で在庫不足が生じ、購入できなかったとの声を聞いています。こうした状況から、今年度後半においても、省エネエアコンを購入したい方々にしっかり支援を届ける必要があります。
 来年の夏の猛暑を見据え、東京ゼロエミポイントを活用し、省エネ性能が高いエアコンの購入支援がより多くの方に行き渡ることが重要と考えますが、今回、補正予算で対応した知事の見解を求めます。
 また、都議会公明党は第三回定例会代表質問において、福祉施策として、六十五歳未満の低所得者に対するエアコン設置支援も進めるべきと提案し、都は、区市町村独自の補助支援について、実態把握をしていくと答弁しました。
 そこで、都が進めている実態調査の概要について答弁を求めるとともに、都としての支援を検討すべきです。見解を求めます。
 島しょ地域の災害対策強化について質問します。
 七月三十日には、カムチャッカ半島付近を震源とする巨大地震が発生し、日本列島の広範囲に津波警報が発令されました。
 東京都においては、八丈島八重根で八十センチの津波が観測されるなど、小笠原、伊豆諸島では約千人が学校体育館などの避難所に身を寄せましたが、猛暑の中、空調設備がない避難所もありました。
 また、島民からは、災害時に電源が喪失された場合に、空調設備を動かせる体制の確保は大丈夫なのかといった不安の声が上がっています。
 こうした不安を解消していくためには、避難所における空調設備の設置状況など、避難所環境の実態をしっかりと把握し、必要に応じて財政的、技術的支援を講じるなどの対策を検討していくことが重要です。
 都は、避難所の現状を踏まえ、暑さ寒さに配慮した避難者の健康管理体制の確保など、避難所の環境整備を進めるべきです。見解を求めます。
 次に、十月九日から相次いで台風に襲われた伊豆諸島、八丈島の復旧、復興についてです。
 猛烈な暴風雨により建物やインフラに甚大な被害が発生してから、二か月が経過します。
 都議会公明党は、発災当時から即座に現地の町議会議員らと連携を取り、さらに、現地調査を踏まえて、具体的な支援策を三度にわたり、小池知事に求めてきました。
 都議会公明党の要望を受け、都が、予備費を活用して、島民の生活再建に向けた応急的な対応を行うとともに、住居の補修や確保、農業、漁業など基幹産業の復旧、復興に向けた補正予算を編成するなど、総力を挙げて取り組んでいることを評価します。
 一方で、島民からは、迅速な取組の実施に加え、対策の継続や拡充を求める声も寄せられています。
 そこで、台風被害からの復旧、復興に関して、今後も島民に寄り添った支援を継続、拡充していくべきであると考えますが、十月の予備費及び今回の補正予算の考え方も含め、知事の見解を求めます。
 このたびの八丈島で発生した長期にわたる断水は、島民生活に大きな打撃となりました。
 島しょ地域の給配水の仕組みは、東京の内陸部の多重経路と違い、水源からの導水経路が単線となっており、今回の八丈島のように、水源や給配水経路が被災、寸断してしまうと、その先の地域が広範囲にわたって断水になることが想定されます。
 島しょの水道事業は、各町村が事業主体であることは承知しておりますが、今後も激甚化していく自然災害や巨大地震に備え、島しょ地域特有の状況を踏まえ、給配水施設などへの対応については、都は財政的、技術的支援を行っていくべきです。見解を求めます。
 また、膨大に発生する八丈町の災害廃棄物等で、島内施設で処理できない物については、都が所有する百基のコンテナを活用して、処理の迅速化を図るべきです。見解を求めます。
 次に、区市町村への止水板設置支援について質問します。
 都議会公明党が一貫して推進してきた東京都地下空間浸水対策ガイドラインを参考に、激甚化、頻発化する豪雨や高潮による浸水被害対策を積極的に進める必要があります。
 このため、補正予算の緊急要望で、区市町村への止水板設置支援を求め、補正予算案に取り入れたことを評価します。
 そこで、現状、事業所や個人宅への止水板設置助成などの対策は、一部自治体に限られており、都は、地元自治体が進める地下空間の浸水対策の取組を一層支援していくべきと考えますが、見解を求めます。
 次に、住宅政策について四点質問します。
 初めに、アフォーダブル住宅の家賃設定についてです。
 都議会公明党が提案をし、事業の推進を求めてきた官民連携アフォーダブル住宅のファンド運営事業者候補が、十一月七日に四つ選定されました。それぞれのコンソーシアムの目的には、子育て支援、ひとり親支援、空家活用などが挙げられていますが、具体的な運営段階においては、若い世帯の支援も実施すべきであります。
 また、家賃水準も市場家賃の七五%から八〇%となっています。明年二月には、この四つのコンソーシアムと契約を結び、令和八年度には、総計三百戸のアフォーダブル住宅の募集が開始されます。東京都が出資する百億円のリターンを最小限に抑えることで、家賃水準をさらに下げることも可能と考えます。併せて、見解を求めます。
 また、都議会公明党は、公営住宅プロジェクトチームを立ち上げ、これまで何度も検討を重ねてきました。本年十一月二十一日、子育て支援の一環として、公社住宅をアフォーダブル住宅として活用するべきであると都に提案をしました。
 知事は今定例会の所信表明で、公社と連携してアフォーダブル住宅を供給する旨の表明をしたことを評価します。
 そこで、公社住宅を活用するなど、子育て世帯に対する住宅支援に一層取り組むべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、都営住宅の共益費徴収についてです。
 都営住宅では、名義人の約七割が六十五歳以上となるなど高齢化が進む中、共用部の維持管理や共益費の徴収を自治会が行うことが、自治会役員や居住者の大きな負担となっています。
 都は、平成二十九年から、自治会等が維持管理業務の一部を外部に委託できる共益費徴収事業を導入しましたが、住民合意を得る困難さや委託費用も課題となり、全自治会の四分の一程度の採用となっています。
 今後、さらなる高齢化が見込まれ、共益費徴収事業のニーズが高まることが予想されることから、自治会にとってこの事業を利用しやすいものとなるよう、都は、積極的な支援策に取り組むべきです。
 本年の第一回定例会で、我が党の代表質問に対して、周知や自治会等への個別の説明、委託費用の低廉化にも努めるとの答弁がありましたが、この間の具体的な取組状況や今後の方針について、都の見解を求めます。
 次に、都政の喫緊の課題について六点質問します。
 初めに、宿泊税の定率課税と都民割の導入についてです。
 東京都は、十一月二十六日に宿泊税の見直し素案を公表し、パブリックコメントを実施しました。
 見直しの内容の一つは、課税対象の見直しです。課税免除基準額を一人一泊一万円から一万三千円に引き上げ、かつ、簡易宿泊所や民泊の利用も対象としたことです。
 もう一つは、課税方式の見直しです。東京においては、外資系ホテルの進出により高額の宿泊費の増加が見られるなど、税負担能力に対する公平性、宿泊料金の設定に対する中立性、税率の簡素な制度という観点から、三%の定率方式に変更したことです。
 都議会公明党は、課税免除基準額を一人一泊一万五千円まで引き上げるべきと主張してきました。料金を基準とした課税免除は、低廉な宿泊への配慮として有効である一方で、適正な運営がなされていない施設もある民泊への対応も同時に求められます。
 今回、課税免除基準額を一万三千円にとどめた理由と、税率が海外の主要都市や国内観光都市で導入されている宿泊税より低い三%の定率方式に変更した理由について、見解を求めます。
 また、東京都の宿泊税は、旅行客の受入れ環境の整備のみならず、新たな観光資源の開発など、観光施策の推進を財政面から支えてきました。今回の宿泊税の見直しによって、約百二十億円の増収が見込まれるとのことです。
 東京は、都心の名勝地のみならず、多摩地域や島しょ部など多彩な観光地があります。
 そこで、この増加した税収を活用し、外国人観光客のみならず、都民がこうした東京の多彩な観光の魅力を体験できるように、都内のホテルや飲食店、美術館などの文化施設に都民割を導入すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例案について質問します。
 都議会公明党は、ハード、ソフトの両面で環境整備を図る施策とセットで進めることが必要であると考えます。
 中でも、女性の選択肢の拡大を図る施策展開を行うことは、最重要であると考えます。
 例えば、土木建設現場の女性が働く環境整備は重要な課題です。都議会公明党は、土木建設現場で働く女性たちからトイレの問題について相談を受け、移動式のトイレである軽トラトイレなどの導入補助の提案を行ってきました。
 ソフト面だけでなく、こうしたハード面の環境整備のために補助制度を創設するなど、女性が就業しやすい環境整備を図る後押しを、都が積極的に行うべきと考えますが、見解を求めます。
 条例で掲げた理念を実現するためには、今後、指針において具体的な内容を示していくことが重要となります。
 多くの事業主は、自社の従業員に対して環境整備を進めるものと受け止めていると思いますが、本条例の趣旨を踏まえると、取引先企業の社員や個人事業主などへの配慮も必要と思われます。こうした点も正確に理解し、取り組まなければ、現場の改革は進みません。
 また、条例を実効性あるものとするためには、取組状況を把握し、社会変化に応じた施策を展開することも必要です。
 条例の実効性を確保するための取組について、見解を求めます。
 次に、民間火葬場について質問します。
 国は、民間火葬場の規制等は条例策定で可能との立場に対し、都は、現行法では実効性が担保されないとして、特別区長会と共に厚労大臣に法改正を求めました。国と地方に見解の相違があります。
 また、都は、民間が火葬以外の事業を行う場合、他事業との経理、会計を区分するよう求めました。
 しかし、これでは火葬事業が赤字になれば火葬料金の引上げを認めざるを得ず、指導の法的根拠が与えられても、今と変わらないと考えます。赤字で事業が成り立たないなら、無理に公益事業を行う必要はなく、自治体に公益事業を売却すべきです。
 そこで、都は、今回なぜこうした対応を取ったのか、料金の引上げを拒否できるのか、見解を求めます。
 次に、知事は、都議会公明党の代表質問答弁で、火葬場の現状を精緻に把握し、経営管理が適切に行える方策を検討するとしました。
 例えば、公共の福祉に不可欠な減額と公費による火葬件数は、令和五年度実績で、都の瑞江葬儀所は全体の約五五%を占めているのに対し、六つの火葬場を持つ東京博善株式会社は僅か六・三%です。
 また、コロナ感染の遺体受入れでは、令和二年から令和五年五月までを比較すると、同社は千八百六十二名を受け入れたと公表しておりますが、火葬炉の総数で割り返すと、一炉当たり約三十名となります。
 これに対し、我が党の調査では、瑞江葬儀所は約百八十名、臨海斎場は約百三十六名となり、圧倒的に少ないことが分かります。これでは、厚労省通知にある、火葬場は公共的な施設といえるのか疑問が湧きます。
 そこで、都は、今回の調査で、民間火葬場の減額と公費による受入れ数や、コロナ感染による遺体の受入れについても詳細に把握、分析した上で、民間火葬場がふだんから公的役割を十分に果たすとともに、新たな感染症にも対応できるよう、包括協定締結などを働きかけるべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、都民生活の安全・安心について二点質問します。
 まず、特殊詐欺対策についてです。
 東京都内の特殊詐欺被害が、昨年を大きく上回っております。その主要因は、オレオレ詐欺が大幅に増加していることであり、令和七年十月末現在、オレオレ詐欺の認知件数は二千四百八件、被害総額は二百四億円で、前年同期比三・四倍となっています。
 これまでの被害は自宅の固定電話にかかってきていたのに対して、近年は国際電話番号を使い携帯電話にかかってきています。
 詐欺を防ぐためには、見覚えのない国際電話に出ないということが有効的な対策であると考えます。
 警視庁は、国際電話番号ブロックシステムを開発して、十二月一日に、防犯アプリ、デジポリスに登載しましたが、国際電話ブロックシステムの効果と普及啓発の取組について、警視総監の見解を求めます。
 次に、AIの安全性の確保について質問します。
 近年、生成AIは急速に普及しており、都民の生活の質を向上させる可能性を秘めている一方、生成AIの活用には、誤情報の生成をはじめとする課題が指摘されています。
 海外では、生成AIの安全性に欠陥があったことが原因で子供の自殺につながったとして、開発企業が遺族に提訴されたり、無断で著作物などの情報を収集し、AIに回答を作成させ、提訴されるケースも発生しており、都として、生成AI開発企業に対し、不適切な行動をしないよう促していくべきです。
 また、AIを利用する都民にも、その利便性とともに、リスクも含め学ぶことができる機会を提供していくことが重要です。
 AIを提供する民間事業者への働きかけや、都民のリテラシー向上などを通じて、都民が安心してAIを利用し、利便性の向上を図るべきと考えます。宮坂副知事の見解を求めます。
 次に、福祉施策について六点質問します。
 初めに、高齢者施設の大規模改修への補助スキームの拡充についてです。
 第二回定例会において、都内高齢者施設のうち、築二十年を超えている施設が実に七割以上占めており、建物や設備の更新時期を迎えているにもかかわらず、財源の問題で十分な対応ができていない実情を指摘しました。
 そのため、都議会公明党は、現在の都の大規模改修の補助スキームの補助率二分の一を大幅に引き上げるよう求めました。これを受け、都は、老朽化の状況や今後の改修の予定など、現場の実情を調査すると答弁しました。
 今後、都は、この実情調査を踏まえ、都内高齢者施設の大規模改修に対して具体的にどう支援していくのか、見解を求めます。
 次に、介護関係者への居住支援特別手当の対象拡充についてです。
 都は、都議会公明党の提案を受け、高齢者施設で働く介護福祉士やケアマネジャーなどの処遇を改善するために、月額一万円、就労後五年以内の職員には二万円の居住支援特別手当を支給する制度を実施しました。今後も継続すべきです。
 その上で、この制度は、介護保険制度を前提として仕組みがつくられているため、同一法人、同一敷地内で設置されている養護老人ホームで働く介護福祉士は対象外となっています。同じ法人で採用された介護福祉士であっても、養護老人ホームで勤務となった場合には居住支援特別手当を支給されないのは不公平であります。
 都として、このような支援の不公平を解消していくべきであります。見解を求めます。
 次に、東京子供ホスピスについて質問します。
 都議会公明党は、これまで、小児がんなどの重い病気を抱える子供であっても、体験や成長発達の機会が保障され、家族を含め、孤立せずに、生きるを実感できるための支援を求め、東京子供ホスピスの創設を提案してきました。
 こうした取組は、医療と福祉の両側面が必要であり、公明党が国にも働きかける中、このたび、こどもホスピス支援モデル事業を実施することになりました。
 そこで、都は、このモデル事業に積極的に取り組み、医療、福祉、教育などの関係機関をはじめ、NPOや当事者家族などとも連携を図り、東京子供ホスピスの実現に向けて取組を加速、具体化していくべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、病児保育のDX支援について質問します。
 子育て家庭にとって、子供が病気の際に、病院や保育所等が一時的に保育を行うことは、子育てしやすい社会をつくるために必要な事業であり、今年十月末時点において都内の百九十四施設が対応に取り組んでいます。
 しかし、保護者にとって、受入れ施設の空き状況を探して予約を取ることが、時間と手間がかかり大きな負担となっています。また、施設側も、多くの利用者から予約の電話が入るため、業務に支障が出る場合もあると聞いています。
 既に、一部の自治体では、二十四時間のオンライン予約が始まっていますが、共働き世帯が増加する中、病児保育のニーズは今後ますます伸びてくると考えられ、都民にとって使いやすいサービスになるよう、利便性を高めるための取組を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 また、産後ケアについても、今後、広域化、共通化が図れるよう要望しておきます。
 次に、都内共通受診方式による産婦健康診査と一か月児健康診査の導入について質問します。
 これまで、都議会公明党は、妊婦健診と同様に、都内共通受診票を用いて、都内の産科医療機関、助産所等、都内どこでも産婦健診が受けられる仕組みをつくるべきと求めてきました。
 都は、都内共通受診方式の公費負担制度の導入と体制構築に向けた検討会を設置し、協議されているとのことですが、一日も早く都内共通受診票の導入に向け、さらなる取組を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 一方、産婦健診に加え、子供の健康状態の把握や虐待の早期発見などに向けては、一か月児健康診査も重要です。国は、令和十年度までに全自治体での実施を目指し、取組を行っており、都としても、区市町村の取組が進むよう支援すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの資格更新について質問します。
 ケアマネジャーは利用者の最適なケアプランを作成し、多様化する介護ニーズに対応しながら医療や福祉サービスを調整するなど、高齢社会において、介護が必要な高齢者とその家族を支える重要な存在です。
 ケアマネジャー資格は、五年ごとに資格更新のための法定研修を受講しなければなりません。この研修は、実務経験や更新の回数により約三十時間から八十時間以上の長期間にわたる受講が必要で、更新に二か月を要するケースもある上、約六万円の研修費用も大きな経済的負担になっていると聞きます。
 人材不足や低賃金に苦労する介護現場の要となっているケアマネジャー更新研修の負担軽減に向け取り組むべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、都有地を活用した農的活動支援について質問します。
 近年、都市の空きスペースを利用して農的活動を行う、いわゆるアーバンファーミングが注目されています。この取組には、多世代交流や地域コミュニティの活性化、食育、環境教育の推進等、多面的な効果が期待できます。
 しかし、都心部においては農地がなく、地価の高さや土地利用の競合など、農的活動に適した土地を探すことが困難な一方、都の未利用地の合計は約百二十ヘクタール、東京ドーム二十五個分も存在します。
 こうした中、原宿にある未利用国有地では、国から渋谷区が委託を受け、さらに民間団体が再委託を受けて管理運営している、原宿はらっぱファームという、誰もが参加できる農園が開設され、注目を集めています。
 そこで、都は、狭小な都有地など未利用公有地を活用し、農的活動を推進する民間団体等を支援するための仕組みづくりに取り組むべきと考えます。見解を求めます。
 次に、教育施策について六点質問します。
 まず、不登校対策についてです。
 都内公立小中学校においては、不登校児童生徒数は減少したものの依然高く、不登校対策は喫緊の課題です。子供たちが安心して学べるよう、一人一人に寄り添ったきめ細やかな支援が必要であり、それぞれのニーズに合った学びの環境を整備することが重要です。
 国は現在、公立の小中学校の学校内の空き教室等を活用し、児童生徒の相談や学習指導に当たる支援員を配置する補助制度を創設し、都内公立小中学校九十一校で実施されています。
 しかし、会計年度任用職員が要件となっており、学校によっては人材確保に苦慮しており、短時間でなら働けるという場合も多く、支援員の要件を柔軟にする必要があります。
 一方、都は、国に先駆けて、令和五年度から、校内別室指導支援員を配置する場合、十分の十で費用を支援しており、これまで三百八十八校で実施し、着実に成果を上げています。
 しかし、この事業は二年間だけの補助で、今年度で終了となり、継続を求める声を聞いています。
 そこで、校内別室指導支援員の配置について、全校での設置が進むよう、国の事業も活用しつつ、各地区や各学校の実態に応じて柔軟に運用できるよう、都として新たな制度構築を図るべきと考えます。教育長の見解を求めます。
 次に、保護者への対応についてです。
 学校に寄せられる保護者からの要望は、時に過度な要求となる場合があり、教員の負担感につながっています。
 そこで、都議会公明党は、学校の負担軽減のため、弁護士等の専門家と連携し、的確に対応できる体制を整備するべきと訴えてまいりました。
 都教育委員会では、本年五月に有識者会議を立ち上げて議論を進め、先週、対応困難な保護者に対応するためのガイドラインの素案が示されたところであります。
 しかしながら、学校がガイドラインを活用して保護者対応を効果的に進めるためには、早い段階から弁護士などの第三者を参画させるなど、学校が柔軟に対応できる体制を構築するべきです。
 また、都立学校だけでなく、区市町村立の小中学校でも十分に活用できるようにすべきです。併せて、教育長の見解を求めます。
 次に、公立小中学校の空調設備の更新に対する財政支援についてです。
 普通教室の空調は、二〇一一年からの三か年で一斉に整備されたため、二〇二六年度以降の三か年で耐用年数の十五年を迎えます。今回の更新は、当時の整備費と比べ、人件費の上昇や資機材の高騰により、現状の国単価では実工事費と大きく乖離します。
 そのため、都議会公明党は、第一回定例会に続き、第三回定例会でもこの問題を取り上げ、都による財政支援を検討すべきと主張したことに対し、教育長は、国や区市町村の動向を踏まえながら、必要となる対応を検討するとしました。
 しかしながら、教育庁の令和八年度予算要求には、普通教室の空調更新に対する区市町村への財政支援は盛り込まれませんでした。
 子供たちの健全な教育環境を確保する意味でも、普通教室の空調設備の更新費用について、都も財政支援を行うべきであります。改めて、教育長の見解を求めます。
 次に、若者支援について三点質問します。
 初めに、若者の居場所についてです。
 都議会公明党は、自宅に居場所がない、自宅にいても一人で孤独であるなど、居場所を必要とする若者が、夜の時間を含めて安心して過ごせる場が都内各所にあることが必要であるなど、困難を抱える若者の支援強化について提案してきました。
 都は、都議会公明党の要望を受け、本年作成した第三期東京都子供・若者計画において、多くの区市町村で、それぞれのニーズに応じた若者の居場所づくりが進むよう働きかけていくことを掲げ、今年度からは、区市町村の居場所設置に対する補助を拡充しました。
 子供・若者計画の五年間の計画期間の中で、都内各地に様々な若者の居場所が創出されるように、より一層の支援が必要と考えます。見解を求めます。
 社会の諸課題の解決に関与しようとする若者の居場所をつくり、取組を支援することも必要と考えます。
 都は、Tokyo Innovation Baseを二〇二三年十一月に開設し、国内外からのスタートアップや支援者が集まるイノベーションの結節点を目指しています。
 中でも、学生等コミュニティ形成のためのプロジェクトであるTIB JAM事業では、毎週水曜日を学生が気軽に立ち寄れる、日常的な居場所づくりも行っています。こうした居場所づくりを中高生や二十代の若者に広げるなど、さらに充実していくことは、今後の若者支援の新しい展開になると期待するものです。
 そこで、Tokyo Innovation Baseの場を学生や若者の探求の居場所として、若者の可能性を引き出す取組をしていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、奨学金返還事業についてです。
 都議会公明党は、社会人となった若者の多くが重い負担を感じている奨学金の返済と、人手不足が課題となっている中小企業の人材確保を同時に解消するための支援制度を都に提案し、中小企業人材確保のための奨学金返還支援事業が創設されました。そして、その後も、都議会公明党は、対象者の拡充を求めてきました。
 第二回定例会では、転職時代を踏まえた、より多くの若者がチャレンジできる制度とすべく都に拡充を求め、前向きな答弁を得たところです。
 そこで、中小企業の人手不足の解消と、競争力を高めるための専門人材を確保するため、大学院を卒業した高度人材を採用できるよう、支援を強化すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 次に、中小企業支援について質問します。
 ディープテック支援についてです。
 我が国には、気候変動対策、高効率なエネルギー利用、ロボティクス、宇宙分野など、都民の暮らしを豊かにし、持続可能な社会を生み出す先端技術研究であるディープテック分野が数多く存在します。しかし、このような分野は高度な技術が求められ、開発の拠点が必要となり、多大な費用と時間を要します。
 そこで、先月バージョンアップしたスタートアップ戦略二・〇での取組を加速するに当たり、ディープテック分野について、技術開発、経営支援、そして大胆な投資など、官民を挙げた息の長い、そして思い切った支援に注力すべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 次に、環境施策について四点質問します。
 初めに、土壌汚染対策についてです。
 中小事業者の工場跡地等において円滑な土地利用転換を進めるためには、低コストで持続可能な土壌汚染対策の普及が課題です。
 都が令和五年度から開始した、工場跡地で行う土壌汚染対策の実証等を支援する制度は、利用した事業者からは大変好評と聞いています。
 都は、本年第一回定例会での都議会公明党の求めに応え、本年十一月から新たに、操業中の事業場にも適用できる対策技術を認定しました。操業中の対策はまさにこれからです。
 業界団体からは、より多くの事業者に使ってもらうために、制度の普及とともに、さらなる充実が求められています。
 事業の終期は今年度末となっておりますが、今後も事例を積み上げ、土壌汚染対策に取り組む中小事業者を支援していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、サーキュラーエコノミーについてです。
 我が国は、昨年八月、循環型社会形成推進基本計画を改定し、大量生産、大量消費、大量廃棄につながる一方通行型の経済から、持続可能な形で資源を効率的、循環的に有効利用するサーキュラーエコノミーへの移行を全面的に打ち出し、国家戦略に位置づけました。
 都は、資源循環・廃棄物処理計画を軸として施策を展開していますが、今年度末に予定される改定に向け、審議会等での検討が進んでいると聞いています。
 そこで、次期計画の改定に当たっては、資源の大消費地である東京として、サーキュラーエコノミーへの移行に向けた施策を一層強化すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、食品ロス対策について質問します。
 都議会公明党は、食品ロス削減問題について、備蓄食品の有効活用やフードドライブの実施など、これまでも提案し、都もそれに応え施策を進めてきました。
 本年三月、都は、二〇五〇年食品ロス実質ゼロを見据えて、二〇三五年に六五%削減という新たな高い目標を掲げたところです。
 都内の事業系の食品ロス削減は着実に進展している一方、家庭系では近年、増減はあるものの、おおむね横ばいで推移しています。また、水分を多く含む調理くずなどの食品廃棄物約九十万トンの大半が焼却されており、焼却時に燃料を使うこともあることから、CO2の排出につながっているのが現状です。
 現在、区市町村によっては、生ごみを堆肥などに変えるコンポストなどの購入費助成や、一部の市では家庭の生ごみを収集し、肥料化が進んできていますが、誰もが環境への意識を持ち、取り組めるようにしていくことが必要です。
 そこで、都は、区市町村とも連携し、家庭における効果的な食品ロス対策を講じるとともに、食品リサイクルの推進にも一層力を注ぐべきと考えますが、見解を求めます。
 また、近年、気候変動問題が大きな課題となる中で、食品ロスと気候危機を一緒に考えていくことの重要さも指摘されています。
 都としても、気候変動問題の具体的解消策としての観点から、食品ロス削減を一層強化し、都民に周知するとともに、具体的アクションについて、若者などによる仮称ユース協議会を設けるなど、幅広く英知を結集して取組を進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次いで、交通施策について二点質問します。
 まず、地域公共交通の区市町村支援についてです。
 今、バスの運転手不足などの影響により、民間バス会社等の減便や路線廃止が進んでいることから、これまでの交通空白地のみならず、各自治体が課題を抱える地域においても取組を進めていくことが、持続可能な地域公共交通の実現につながると考えます。
 特に、高齢化の進行などを踏まえると、高齢者等の地域における移動を細かくサポートし、気軽な外出を支える移動手段の充実を図っていくことも重要であります。
 昨今、人件費、車両購入費をはじめ導入に関わる経費が高騰する中、自治体の取組を支える都の支援充実を求める声が区市町村より多く届いています。
 こうした身近な移動手段の充実など、地域公共交通の取組をさらに促進すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、ホームドアの設置について質問します。
 都議会公明党は、政策目標チャレンジエイトの一つである、鉄道駅のホームドアの設置促進について、繰り返し提案してきました。
 昨年には、技術的な課題への対応に加え、財源の確保が不可欠であり、整備の加速には補助制度の拡充による、より踏み込んだ支援が必要と訴え、その結果、今年度から、都が事業者に直接補助する制度を創設しました。都が踏み込んだ支援をしたことで、事業者がホームドア設置を加速していると認識しています。
 今までの取組に加え、ホームドアを設置する際には、車両とプラットホームとの段差や隙間を解消し、車椅子やベビーカーをお使いの方が乗りやすくすることも併せて行うことが効果的と考えます。
 ホームドアの整備加速を進めるとともに、それに併せ、段差、隙間の解消策などの取組について見解を求めます。
 最後に、国による、都の税収を狙い撃ちにした、法人二税と固定資産税の他の自治体への再配分の動きについて述べます。
 公明党は、昨日、党東京都本部の緊急役員会において、令和八年度税制改正大綱において、本来あるべき地方税財政制度と地方分権への流れに逆行する見直しにより、東京都の税財源がさらに国に奪われ、日本経済を牽引する東京の活力をそぐ動きとならぬよう、緊急要望を取りまとめました。
 そして、本日、公明党税制調査会で了承の下、与党税制調査会に申入れを行いました。
 都議会公明党は、今後も、知事と共に、国による都の税収狙い撃ちに対しては断固阻止すべく取り組んでいくことをお誓い申し上げ、代表質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) まつば多美子議員の代表質問にお答えいたします。
 東京ゼロエミポイントについてであります。
 今年の夏は、熱中症の緊急搬送者数が最も多くなるなど、気候変動は都民生活に深い影響を及ぼしており、先般の支援拡充の成果を踏まえまして、来年の夏も見据えた都民の命を守る取組につなげていく必要がございます。
 支援拡充後のエアコン申請台数は、約二か月で前年同期比の約三倍となりまして、都民の反響も大きく、関係者からなども評価の声が届いております。
 現在も前年度を大きく上回る申請が続いておりまして、補正予算を活用し、切れ目のない支援を継続することで、命を守ることを最優先にした施策を強力に推進してまいります。
 こうした実効性のある施策を展開しまして、災害級ともいえる暑さへの対策と脱炭素化の歩みを両輪で加速させてまいります。
 台風被害への対応についてであります。
 台風被害からの復旧、復興に当たりましては、被災された方々の視点に立ったきめ細かな支援を迅速に進めていくことが重要です。
 こうした考えの下、速やかに予備費を活用し、被災世帯への生活再建支援金の支給や、被災者の住まいの確保に加えまして、島しょ町村に対する財政支援など、当面必要な対策を講じることといたしました。
 さらに、今回、補正予算を編成しまして、国の支援対象とならない住宅の補修費用を都独自に支援するなど、住民の生活再建に向けた取組を加速させてまいります。
 これらの施策をスピード感を持って着実に実行すると同時に、今後も、現地の状況を的確に把握し、被災地の復旧、復興に向けまして、全力を挙げて取り組んでまいります。
 子育て世帯に対する住宅支援についてでございます。
 安心して子供を産み育てることができる社会の実現には、子育て世帯に対して、安心した暮らしの基盤となる住まいを確保することが重要であります。
 都は、これまで、子育て世帯の都営住宅への優先入居や、コミュニティ形成にも配慮された、東京こどもすくすく住宅の普及などの取組を推進してまいりました。
 さらに、今後、子供の成長やライフステージの変化による住み替え需要に一層応えるため、東京都住宅供給公社と連携しまして、既存の公社住宅を活用したアフォーダブルな住宅供給の実施に向けて、具体的なスキームの検討を進めてまいります。
 こうした取組を通じまして、子育て世帯が住みやすい環境の形成に取り組んでまいります。
 火葬場についてであります。
 火葬場には高い公共性や継続性が求められておりまして、平時のみならず、危機発生時におきましても、安定的な火葬体制を確保することが重要でございます。
 現在、都は、今後の火葬需要の増加を見据えまして、民間火葬場も含めた都内火葬場の実態について調査を実施しており、今後、様々な対応策を検討してまいります。
 都民が将来にわたって安心して生活を送ることができますよう、火葬体制の確保に向けて適切に対応してまいります。
 なお、感染症流行時におきまして需要が一時的に高まった場合は、火葬場の状況を把握し、受入れ体制の強化を要請いたします。
 ディープテックへの支援についてのお尋ねがございました。
 気候危機を克服し、持続可能な都市を築く、そして都民の豊かな生活を導き出す、こうした革新的なイノベーションを社会に実装していくことが、スタートアップ戦略が目指す未来であります。
 これに向けまして、戦略二・〇では、企業を大きく育てるスケールアップへ注力するとともに、とりわけ、研究開発に多額の費用と期間を要するディープテック分野に重点的に取り組むこととし、大胆な支援を盛り込んだところでございます。
 具体的には、民間の多様な領域での開発支援拠点の整備を強力に後押しをいたします。
 官民が連携して、世界市場に挑戦する企業に対しまして、経営戦略、研究開発の資金、そして、集中投資などの多面的な施策を展開いたします。
 新たな戦略に基づきまして、多くの民間事業者の協力を得ながら、ディープテック分野の飛躍的な発展につなげてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔副知事宮坂学君登壇〕

○副知事(宮坂学君) 二点の質問にお答えします。
 初めに、東京アプリ生活応援事業についてでございますが、東京アプリは、行政と都民が直接つながることで、行政手続や個人宛て通知等をアプリから行えることを目指しております。
 そのため、単独で行政手続を行うことが可能であり、本人確認を行う時点で十五歳以上の方を本事業の対象としております。
 こうした一千万人を超える方々を対象とした本事業を円滑に実施していくためには、都民の皆様にご協力いただき、検証を行うことが欠かせません。
 そのため、今月から実施する都民参加型の最終検証では、技術的な動作や操作性、アクセス数や処理性能の分析に加え、運用面も含めた総合的な確認を行ってまいります。
 年明けに検証結果の分析と必要な対策を行った後、事業の速やかな開始を目指します。
 また、本事業の知りそびれがないように、参加手順などをホームページやSNS、アプリのプッシュ配信等で分かりやすく伝えてまいります。
 デジタルに不慣れな方へも情報が行き届くよう、「広報東京都」や区市町村と連携したチラシの配布など、きめ細やかに対応してまいります。
 さらに、ポイント交換ができる決済事業者の拡充の検討など、さらなる利便性の向上に取り組んでまいります。
 都民と行政の新たな形となる東京アプリを、より多くの方に届け、利用してもらえるよう、本事業の準備を万全にしてまいります。
 次に、都民のAI利用についてでございますが、AIは、私たちの生活や社会の在り方を根底から変革し、都民の暮らしをより豊かにする力を持っています。
 一方で、権利侵害や情報の正誤といった慎重な対応が求められる側面もあり、両面から向き合うことが欠かせません。
 お話の事業者における適正なAIの開発、利用の促進は、国境を越えるグローバルな課題です。現在、国において指針策定に向けた議論が行われており、その動向を踏まえ、今後、国とも連携を図りながら取り組んでまいります。
 また、都民自らが生活の質を高めるための道具としてのAIを恐れることなく使いこなせるよう、リテラシーを高めていくことも重要です。
 現在、都民が感じるAIへの期待や不安などの現在地を把握するための意識調査を行っており、そこで得られた結果やAI戦略会議での議論も参考にしながら、政策の充実に向け、検討を進め、具体化を図ってまいります。
 これらにより、都民がAIを安心して使いこなし、生活が便利になったと実感できる社会をつくり上げてまいります。
〔警視総監迫田裕治君登壇〕

○警視総監(迫田裕治君) 国際電話番号ブロックシステムの効果と普及啓発の取組についてでありますが、本システムを搭載した警視庁防犯アプリ、デジポリスを利用することにより、特殊詐欺の犯行利用電話番号の八割を占める国際電話番号、また、警察が把握した犯行利用電話番号の着信を制限することなどが可能となり、特殊詐欺の被害防止に大きな効果が期待できます。
 警視庁では、こうした機能を持たせたデジポリスを広く社会に浸透させるため、SNSを活用した幅広い世代への発信はもとより、防犯講話や各種イベント等、あらゆる機会を通じて、デジポリスの認知向上と利用促進を図るとともに、自治体やメディア等にも働きかけ、官民連携による普及啓発に取り組んでまいります。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、不登校の子供への対応の充実についてでございますが、公立の小中学校の学級で学ぶことが難しい不登校の児童等について、校内の部屋で受け入れ、学習の指導などをきめ細かく行う取組は重要でございます。
 これまで、都教育委員会は、不登校の子供に関し、空き教室で勉強の指導等を行う人材の活用を後押しをしてまいりました。
 具体的には、区市町村がそうした人材を配置する経費に助成をするほか、これに合わせて教室の整備も行う場合は、国の補助を使い、費用負担の軽減を図ってきたところでございます。
 今後は、国の補助の活用のほか、区市町村からの要望への柔軟な対応に向け、都の助成を受ける学校を増やす取組に力を入れてまいります。
 次に、公立学校での保護者等への対応についてでございますが、都立学校が保護者や地域の方々とより良好な関係をつくるガイドラインの効果を高める上で、現場で柔軟な対応もできることは重要でございます。
 このガイドラインでは、保護者等との日頃からの関係づくりに加え、要望などへの対応に係る基本ルールを示しております。そのため、保護者等との面談に当たり、現場の実情に応じ、専門家が早めに教員と同席するなど、柔軟な対応を可能といたしております。
 また、本ガイドラインを踏まえ、公立の小中学校でも対応を進める視点は重要でございます。このため、その内容を区市町村教育委員会とも共有し、各学校の取組につなげてまいります。
 最後に、小中学校の普通教室の空調更新についてでございますが、小中学校に通う児童や生徒のため、学習を行う上で良好な環境を整備することは重要でございます。
 都教育委員会では、小中学校の普通教室の空調機器の導入を支援し、全校での設置を実現したところでございます。このサポートによるものを含め、普通教室の空調に関し、更新時期を迎えている場合がございます。
 こうした中、都教育委員会は、普通教室の空調の更新について、実態や整備等に係る調査を行い、課題整理を進めているところです。
 暑さの厳しい状況が進み、一層適切な取組が必要となる中、国や区市町村の動向を踏まえ、空調更新に係る必要な対応に力を入れてまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、地下空間における浸水対策についてでございます。
 事業所や住宅などの地下室や地下駐車場は、浸水リスクが高く、地元自治体と連携して浸水対策を推進していくことが重要でございます。
 都は、地下空間での取組を強化するため、九月にガイドラインを改定し、円滑な避難を実現するタイムライン整備などについて広く周知しております。
 今後、地下空間における浸水対策の充実を図るため、防潮板の設置による護岸のかさ上げや、流域対策等を定めた豪雨対策計画の策定に対して、自治体への支援を行います。
 また、止水板設置への補助制度を新たに創設し、ソフト、ハードの両面から浸水対策を推進してまいります。
 次に、地域公共交通の取組についてでございます。
 都は、これまで、地域公共交通の基本方針に基づき、コミュニティバスの導入を支援するなど、区市町村の主体的な取組を後押ししてまいりました。
 地域公共交通のさらなる充実を図るには、社会経済情勢の変化や利用者ニーズにきめ細かく対応することが重要でございます。このため、物価高騰や人手不足などの現状を踏まえた取組の充実や、住民等で構成する、地域が主体となった移動手段の導入を促す方策を検討しております。
 この結果を、令和八年度の基本方針改定に向けて年明けに公表いたします中間まとめに反映し、地域公共交通の充実に向けた取組を促進してまいります。
 最後に、ホームドアの設置についてでございます。
 ホームドアは都民の命を守る重要な施設であり、整備加速には官民連携の課題解決が不可欠でございます。
 都は、新たに創設した補助の活用により、事業者が整備の加速に取り組む駅を含め、令和十年度末までに整備率約六三%を達成する見込みを示しております。
 ホームと車両の段差及び隙間対策につきましては、ホームドアと一体的に整備する場合は補助の対象となるため、今後は、協議会の場を活用し、ホームドア整備と併せて対策を促進してまいります。
 引き続き、官民が連携協力し、ホームドアの整備加速に取り組んでまいります。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕

○デジタルサービス局長(高野克己君) 高齢者スマートフォン活用支援事業についてお答えいたします。
 東京アプリの利用を促進する上でも、高齢者のデジタルデバイド解消に向けた支援は重要でございます。
 都は、アプリに対応したスマホを初めて購入し、操作方法を学ぶ高齢者を対象に、購入費を助成する区市町村を支援しており、現在、二十一の自治体が事業を実施しております。より多くの自治体に参加していただくため、十月に実施したアンケートに寄せられた自治体の声を丁寧に受け止め、課題解決に必要な検討を行うとともに、様々な機会を捉え、事業実施を強力に働きかけてまいります。
 アプリを活用した便利な暮らしを実感していただけるよう、高齢者のスマホ活用を後押ししてまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕

○福祉局長(高崎秀之君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、低所得世帯のエアコンの設置に対する支援についてでございますが、都は、熱中症対策としてエアコンの適切な利用を周知しておりますが、国の調査では、低所得世帯などでエアコンの保有率が低い傾向が示されております。
 一方、区市町村によるエアコンの購入等に対する支援状況を都が調査した結果、熱中症対策、生活困窮対策などを目的としまして、高齢者や障害者のほか、住民税非課税世帯などを対象に様々な支援を独自に実施していることが明らかとなりました。
 こうした状況を踏まえまして、地域の実情に応じた区市町村の取組が進むよう、支援の在り方を検討してまいります。
 次に、高齢者施設の大規模改修についてでございますが、都は、建築費高騰に対応するため、施設整備費の補助に物価スライド方式を導入しておりまして、大規模改修の補助基準額についても引き上げております。
 今年度実施した都内の高齢者施設に対するヒアリングの結果、施設の老朽化が進んでいる一方、近年の物価や人件費の高騰などにより十分な自己資金を確保できず、改修をためらう事業者も多いことが分かりました。
 今後、高齢者施設の大規模改修が着実に進むよう、今般の急激な物価高騰の影響による施設の厳しい経営状況を踏まえまして、支援の充実を検討してまいります。
 次に、養護老人ホームの人材確保についてでございますが、養護老人ホームは、虐待を受けていたり、社会生活への適応が困難な高齢者の受皿として重要な役割を担っております。
 加えて、利用者の入所期間の長期化に伴い、介護を必要とする方も増加しておりまして、養護老人ホームに勤務する職員には、高度な支援スキルや経験が求められます。
 都内の養護老人ホームでは、職員の高齢化が進み、新たな人材の確保が課題となっておりまして、養護老人ホームが必要な人材を確保できるよう取り組んでまいります。
 次に、緩和ケアなどが必要な子供への支援についてでございますが、国は、小児がんや難病などにより緩和ケアが必要な子供に対する療養環境の充実の取組、いわゆる子供ホスピスの普及に向け、関係者による協議会の設置や実態調査などに取り組む都道府県などを支援するモデル事業を開始いたしました。
 都は今年度、子供ホスピスを運営する事業者や小児緩和ケアに取り組む医療関係者などと、活動内容や支援対象、人員体制、運営上の課題などについて意見交換を行っております。
 今後、こうした国の動向や事業者などとの意見交換を踏まえまして、具体的な対応について検討を進めてまいります。
 次に、病児保育の利便性向上についてでございますが、都は、病児保育の利便性向上を図るため、区市町村による病児保育施設のオンライン予約システムの構築を支援するとともに、都内の病児保育施設の情報をSNSなどの活用によりまして、広く都民に発信しております。
 また、区市町村などを通じて都民のニーズを把握したところ、複数の施設の空き情報を確認できるシステムの導入や、自治体の枠を超えた施設の広域的な利用などを望む声がございました。
 今後、病児保育が都民にとりまして、より利用しやすいサービスとなるよう、一層の利便性の向上に向けた取組を検討してまいります。
 次に、産婦健康診査についてでございますが、産後鬱や新生児への虐待の予防などを図るため、全ての産婦が産婦健康診査を受診しやすい環境を整えることが重要でございます。
 都は、都内共通受診票の導入に向け、区市町村や都医師会などの関係者で構成する検討会を本年三月に設置しまして、健診項目や費用などについて協議を進めてまいりました。
 今般、都内全区市町村におきまして、来年十月から共通受診票を導入することに合意したことから、都は今後、医療機関などに向けた手引の作成や、妊産婦等への制度の周知など、準備を着実に進めてまいります。
 次に、一か月児健康診査についてでございますが、一か月児に対して健康診査を行い、早期に疾病を発見し、適切な支援等につなげることは重要でございます。
 このため、都は、全ての乳児が一か月児健康診査を受診できる環境の整備に向けまして、本年三月、都内共通受診票の導入に向けた検討を開始いたしました。区市町村や都医師会などの関係者と健診項目や費用などについて協議を重ねまして、今般、来年十月から全区市町村において実施することに合意いたしました。
 今後、区市町村における一か月児健康診査の円滑な実施に向けまして、必要な取組を進めてまいります。
 最後に、介護支援専門員、いわゆるケアマネジャーの研修受講の負担軽減についてでございますが、ケアマネジャーは資格更新時に法令で定める研修の受講が必須となっておりますが、研修時間の多さや内容が重複した科目の履修などが負担となっております。
 都はこれまで、研修のオンライン化のほか、昨年度から受講料を補助するなど、受講者の負担軽減に取り組んでまいりました。また、質の担保と負担軽減が両立した研修内容となるよう、国に対し繰り返し提案要求しております。
 今後、国は、研修受講を要件とした更新制度を廃止する方針であり、こうした制度改正も見据えまして、都としても、ケアマネジャーの研修事項に係る負担軽減に取り組んでまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 避難所の環境整備についてのご質問にお答えをいたします。
 発災時に避難者の健康を確保するためには、避難所等における良好な生活環境を確保することが重要でございます。
 都は、平成三十年度に独自の補助制度を創設して、災害時に避難所として活用される公立小中学校の体育館等への空調設備の整備を促進いたしました。
 また、昨年度、目指すべき避難所の基準と直ちに取り組むべき具体的な方策を取りまとめた避難所運営指針を策定し、暑さ寒さ対策に必要な措置を講じることとしております。
 現在、各避難所における状況を調査しており、課題を把握するとともに、対応を検討してまいります。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕

○保健医療局長(山田忠輝君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、八丈町の水道の復旧についてでございますが、台風により甚大な被害を受けた町営の水道施設について、水道局と連携して現地を支援し、十一月中旬には全世帯で通水が完了いたしました。
 今後は、地域で相互に水を融通できる連絡管の設置などに向け、技術的な支援を継続し、より安定的に水を供給できる体制を目指してまいります。
 今回明らかになった課題や対応事例につきまして、町村営水道を有する他の島しょ町村と共有し、意見交換を行うなど、水道の強靱化を支援してまいります。
 次に、火葬料金に関するご質問についてでございますが、火葬場は、公共的な役割を担っておりますが、民間火葬場の料金は行政が関与する仕組みとなっておらず、金額の妥当性を判断する基準がございません。
 このため、都は、指導監督権限を有する自治体において、法的に実効性がある規制ができるよう、指導権限を法上明示した上で、料金設定にあらかじめ行政が関与する仕組みを法令等に規定すること、火葬事業と他の事業の会計を明確に区分し、公表を義務づけることなどを特別区と共に国に要望いたしました。
 経営管理への関与の仕組みが構築された場合には、適切な対応が可能となるよう、条例の必要性の検討も含め、様々な方策について検討してまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕

○環境局長(須藤栄君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、八丈町の災害廃棄物処理支援についてでございますが、早期復旧に向け、災害廃棄物を大量かつ効率的に島外に輸送し、処理する体制の構築が重要でございます。
 八丈島では、まちの年間処理量の約十一年分に相当する最大三万六千トンもの大量の木くずや解体廃棄物などが発生する見込みでございます。
 このため、都は、能登支援の際に使用した百基の鉄道コンテナについて、船舶輸送にも対応できるよう改造工事を順次進め、積極的な活用を図ります。
 加えて、これまでの広域的な処理支援で培ったノウハウを生かし、都内自治体などの協力を求め、コンテナによる輸送ルートを確立することで、迅速な処理につなげてまいります。
 次に、土壌汚染対策についてでございますが、中小事業者が安価で確実な土壌対策技術を活用し、円滑に対策を講じることで、土地利用転換を推進することが重要でございます。
 このため、都は、令和五年度から、高額な掘削除去を行わない対策技術の実証を支援し、これまでに二十三件の技術を認定、うち六件を実証いたしました。また、本年十一月には、操業中で作業に制約を受ける場合でも適用できる対策技術を新たに十件認定いたしました。
 今後は、これまで認定した技術を現場で実証することで対策技術を確立し、広く普及させるとともに、持続可能な土壌汚染対策の推進に向けた取組の充実を検討してまいります。
 次に、循環型経済への移行についてでございますが、世界的な社会経済の変化や、環境課題の深刻化に対応するには、持続的に資源の有効利用を図るサーキュラーエコノミーの実現が重要でございます。
 都は現在、一般廃棄物排出量などの二〇三五年度目標について、全国最高水準への引上げを議論しております。その実現に向け、容器包装や製品プラスチックの分別収集の底上げ、粗大ごみの水平リサイクルの促進、自治体や事業者と連携したSAFの普及拡大を検討しております。
 また、サプライチェーン全体で資源を有効活用する仕組みの構築など、各施策の充実に向けた検討を進めており、これらにより持続可能な資源利用を推進いたします。
 次に、家庭の食品ロス削減と再資源化についてでございますが、都内発生量の約四割を占める家庭からの食品ロスを削減するには、無駄のない消費行動を促しながらリサイクルを進める仕組みが重要でございます。
 都はこれまで、身近でできる削減行動をまとめた冊子の活用や、SNSを通じたPRなどにより、家庭での賢い食品の消費を啓発してまいりました。
 今後は、食品ロスの削減につなげていくため、家庭での食材の在庫状況やロス発生の実態調査を検討いたします。
 加えて、複数の自治体や食品リサイクル事業者などと連携した家庭ごみの広域的な資源回収ルートの構築等を検討し、食品の循環利用に取り組んでまいります。
 最後に、食品ロス対策の効果と具体的取組についてでございますが、気候変動問題の解決に向け、各国で脱炭素化の取組が進む中、家庭や運輸部門のほか、食料の生産や流通、廃棄における取組も重要でございます。
 このため、都は、食品ロス対策をゼロエミッション戦略の柱の一つに位置づけ、先進技術を活用したサプライチェーンにおける発生抑制などの施策を推進してまいりました。
 また、外食産業と連携したキャンペーンを展開し、都民への意識啓発を図ってまいりました。
 今後、食品ロス削減に取り組む学生が企業や自治体と意見交換する機会を設け、研究発表や取組事例の共有などを通じ、取組のブラッシュアップを図り、食品ロス削減を一層推進してまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 六点のご質問についてお答えいたします。
 まず、アフォーダブル住宅ファンドについてでございます。
 都は、来年二月のファンド契約締結を目指し、ファンドスキーム等の詳細について、先月選定した運営事業者候補四社と個別に調整を進めております。
 入居者対象については、入居時点では子供を有していませんが、子育て世帯となることが見込まれる世帯も申込み可能とするなど、このファンドの趣旨に沿った運用となるよう各事業者候補に求めてまいります。
 家賃水準につきましては、現在、運営事業者候補がファンド理念に賛同する民間からの出資を募っており、都においても、可能な限り出資利回りを抑制することで、極力低廉な住宅が供給されるよう、ファンド契約締結までの過程において調整してまいります。
 次に、都民による都内観光の促進についてでございます。
 東京の持続的な成長に向けて、国内外から多くの旅行者を呼び込むことで観光消費を拡大させ、経済の活性化につなげる取組は重要でございます。
 都内を観光する都民の数はコロナ禍以前の水準まで回復しておらず、外国人旅行者の誘致とともに、都民に都内観光を促す視点も必要となります。
 都は、伝統文化や豊かな自然など、東京の多彩な観光の魅力を都民が体感する機会を提供しておりまして、こうした取組を着実に進めてまいります。
 今後、東京の観光を取り巻く様々な状況を踏まえ、お話の点なども含め、都民を含む幅広い誘客の方策を検討してまいります。
 次に、女性が就業しやすい環境整備についてでございます。
 女性が希望する分野で個性や能力を発揮するには、働きやすい環境を整えることが重要でございます。
 今般提出した条例案では、事業者の責務として、女性が就く業種、職種の拡大など、特定の性別に偏らない組織づくりの推進を定めておりまして、今後、都は、事業者がそれぞれの状況に応じて、ソフト、ハードの両面で計画的に環境整備を進められるよう、具体的な事例等を指針で示してまいります。
 また、女性の働く場を広げるため、普及啓発を行うとともに、建設現場をはじめとする職場において、必要な設備の整備が進むよう、事業者への支援を検討してまいります。
 次に、条例の実効性の確保についてでございます。
 今般提出した条例案では、事業者に対し、女性が活躍できる環境整備を求めておりますが、その対象には、自社の就業者のみならず、その事業活動に関わる取引先や就活生なども含めております。
 こうした考え方を事業者が理解し、具体的な行動につなげていくため、例えば、取引先に対し適切な配慮を行うことなど、現場の実情に沿った事例等を指針で示してまいります。
 また、社会状況に合わせ、効果的な施策を展開するため、女性活躍の取組状況を把握する調査を実施し、その結果を踏まえて、施策の見直しや改善などにつなげてまいります。
 次に、公有地を活用した農的活動についてでございます。
 農業体験をはじめとした農的活動の促進は、地域コミュニティの活性化などとともに、農業への理解促進や担い手育成にも有効でございます。
 このため、都は、自治体が生産緑地を購入し、農的活動を進める際や、体験農園等の整備を行う場合に、必要な経費への助成等を行っております。
 今後は、都や地元自治体などが所有する公有地と、農的活動に意欲のある民間団体等を結びつける取組の後押しを検討いたします。
 これらにより、農業の関係人口を増やし、持続可能な東京農業を展開してまいります。
 最後に、奨学金返還支援による人材確保についてでございます。
 中小の建設、IT、ものづくり分野の企業が、学生等を将来の技術面の中核人材として採用し定着を図る上で、奨学金返済の支援は効果的でございます。
 都は、これまで、事業の周知を図るとともに、本年八月から年齢要件を引き上げるなど、利用促進を行っておりまして、年々実績が伸びております。
 事業を活用している企業からは、専門的な分野での高度な知識や研究の経験のある技術者を求めるニーズもありまして、こうした人材の確保を支援することは中小企業の将来の発展に不可欠であります。
 今後、大学院を卒業した高度な人材の獲得に努めます中小企業の後押しに取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕

○住宅政策本部長(山崎弘人君) 都営住宅の共益費徴収事業についてでございますが、都は、本事業の活用を促進するため、改めて居住者に事業内容を周知したほか、希望する自治会への個別説明を開始いたしました。
 また、今年度末申込み分から、自治会等の負担軽減のため、これまで共益費徴収の対象外としていた集会所の光熱水費を追加いたします。
 加えて、新たに入居を開始する建て替え団地の共用部の光熱費は、申込みなしで対象としてまいります。
 さらに、今後、草刈りや落ち葉清掃等の単価や作業の範囲、回数等について、自治会等の意向も聞きながら見直すことなどを検討してまいります。
 こうした取組により自治会等を支援し、都営住宅における良好な居住環境を確保してまいります。
〔主税局長武田康弘君登壇〕

○主税局長(武田康弘君) 宿泊税の見直しについてでございますが、低廉な宿泊への配慮や宿泊料金の上昇も考慮しながら、新たな課題等への対応の財源を、来訪者からも広く支えていただく観点から、課税免除の基準を、ホテル、旅館、民泊の宿泊者ともに、約三割の方に負担いただく水準となる一人一泊一万三千円といたしました。
 さらに、民泊等の利用が新たに課税の対象となることから、関係機関とも連携しながら、追加となる施設も対象に幅広く調査を行い、適正な課税の確保を図ってまいります。
 また、税率につきましては、他都市との比較をしつつ、観光の競争力にも配慮し、財源確保策として過重なものとならない三%といたしました。
〔都民安全総合対策本部長竹迫宜哉君登壇〕

○都民安全総合対策本部長(竹迫宜哉君) 若者の居場所についてのご質問でございますが、社会的自立に困難を抱えている若者には、身近な地域に、安心して過ごし、支援を受けることのできる環境が必要でございます。
 このため、都は、若者の居場所づくりに取り組む区市町村に対する補助金の補助率を上げるとともに、設置前の実態調査から開設に至る一連の経費を補助するスタートアップ支援を開始いたしました。今年度は、児童養護施設等の手から離れた社会的養護経験者の居場所や、食事とともに就労体験を提供する居場所等が新たに設置されております。
 今後も、子供・若者計画の目標達成に向け、多くの若者の居場所整備が進むよう、一層の支援に取り組んでまいります。
〔スタートアップ戦略推進本部長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ戦略推進本部長(吉村恵一君) 若者の可能性を引き出す取組についてのご質問にお答えいたします。
 社会課題に向き合う若者の挑戦を応援することは、TIB、Tokyo Innovation Baseの重要な役割でございまして、先般公表いたしました戦略二・〇にも、その取組の加速を盛り込んだところでございます。
 先月、TIBに集う若者十名がフィンランドの世界的スタートアップイベントに参加し、グローバルな視点を学ぶとともに、学生主体で大規模イベントを運営する姿に大いに刺激を受けました。この経験を皆で共有し、来春のSusHi Techに向けた活動に生かしてまいります。
 また、支援対象を中高生に拡大するほか、TIBを居場所として、探究する若者が日常的に集う場の充実を図り、議論や切磋琢磨、起業家の出会いなどを通じて、若者の挑戦を力強く後押ししてまいります。