○議長(増子博樹君) 八十九番増山あすかさん。
〔八十九番増山あすか君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○八十九番(増山あすか君) まず最初に、昨日発生しました青森県東方沖地震で被害に遭われた全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
次に、名誉都民、宇井理生さん、仲代達矢さんのご逝去を悼み、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
このたび、国政では高市新政権が発足し、我が国の政治は新たな局面を迎えました。首都東京はもとより、国家の中枢としてその動向を鋭敏に受け止め、国と連携しながらも、自立した都市としての矜持を持って、都政を一層力強く推進していかなくてはなりません。
私たち都議会自民党は、都政のさらなる発展と都民福祉の向上に向け、建設的かつ責任ある議会活動を行ってまいります。
こうした観点に立ち、都議会自民党を代表して質問をいたします。
先日、知事は、Tokyo Innovation Baseの二周年に合わせて、スタートアップ戦略二・〇を公表しました。高市新政権が進める危機管理投資、成長投資の十七の戦略分野も踏まえ、今後の成長性や東京、日本の勝ち筋を掛け合わせた分野への集中投資を議論すると掲げています。
日本の成長に資する投資を将来有望なスタートアップへと振り向けるという大きな流れをつくることが極めて重要です。そのためにも、国や経済界としっかりと連携して取り組んでいくことが不可欠です。東京にとどまるものではなく、これまで我が会派が主張してきたように、オールジャパンで協力していかなければなりません。
都は、この戦略二・〇に基づき、東京、日本の経済成長に向け、どのように役割を果たしていくのか、知事の見解を伺います。
国では、未来への不安を希望に変え、経済の新たな成長を切り開くため、危機管理投資として、安全保障や国土強靭化に資するAI、半導体などへの大胆な投資を推進しています。こうした動きは、大規模な研究所や工場などが集積している多摩地域などにとって、今後その効果が期待できるものです。
景気が回復の兆しを見せる中、我が国が持続的な発展を遂げるためには、都がこれまで先導してきたGX分野のみならず、国の成長戦略と歩調を合わせ、日本経済の成長エンジンとなる多様な分野において、力強く果敢に産業政策を推進することが極めて重要です。
都内への成長投資を加速させるため、国と足並みをそろえ、東京の産業競争力を強化する取組を積極的に展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
なお、東京は多くの食料を海外からの輸入や他の道府県に頼っています。しかし、古くは江戸野菜、そして今は様々な東京ブランド農林水産物があります。多摩地域はアグリテック拠点としての可能性も秘めています。東京の食料自給率の改善も兼ねて、こうした分野にも注力すべきことを提言し、次の質問に移ります。
中小企業の多くが事業承継という課題に直面しており、東京の経済を支える高度な技術や独自のノウハウを次世代に確実に継承することが今後の産業発展に欠かせません。
国の調査報告においても、代替わりした企業の売上高は、同一業種の平均を上回って成長していることが示され、事業承継は企業価値の向上や競争力強化につながる機会となっております。
都は、こうした企業がより一層成長できるよう支援を強化し、都内経済の成長につなげていくべきと考えますが、その見解を伺います。
近年、あらゆる産業分野で人手不足が続いており、特に中小企業では、採用活動の負担が増大し、事業承継に深刻な影響を及ぼしています。これに加えて、原材料費高騰の長期化や為替変動の影響等もあり、中小企業を取り巻く環境は厳しい状況が続いており、経営者の方々からは切実な声が寄せられています。
これを受けて我が会派は、先月二十五日に都に対して、事業者等への資金繰り、経営相談などの対応を求める緊急要望を行いました。企業活動の継続や発展のために必要となる人材の確保は喫緊の課題です。企業の個々のニーズに応じて人材を確保できるような支援を強化していくことが必要であると考えます。都の見解を伺います。
続いて、エネルギー政策について伺います。
日本生まれの技術であるペロブスカイト、Airソーラーは軽量かつ柔軟という特徴を持ち、既存の太陽光パネルの導入が困難な壁や窓などにも設置が期待できるため、都市部の再エネ活用につながります。
また、この太陽電池の主な原材料であるヨウ素は、国内に豊富に存在するため、エネルギーの安定供給にも資するといわれています。経済安全保障の観点からも、我が会派は、都に対して、早期実現化の後押しを強く求めてまいりました。
先般の高市総理の所信表明におきましても、Airソーラーをはじめとする国産エネルギーの重要性に言及されています。都としても、国の方針と軌を一にして、Airソーラーの普及拡大に向けた取組を一層強化すべきと考えます。都の取組を伺います。
先日、新潟県の花角知事が、安全性の確保等を条件に柏崎刈羽原子力発電所の再稼働を容認すると発表しました。これまで都が、電力供給の安定化に向け、省エネ、再エネに率先して取り組んできたことは評価しますが、生成AI等の進展により、今後、大幅に電力需要は増加する見込みです。加えて、来年の夏季の電力不足が懸念される状況下にあっては、電力を豊富に供給する原発の再稼働は不可欠です。
エネルギーの大消費地である東京で生活する都民や事業者が供給地に対する理解が十分だろうかという点について、改めて思いをはせることができるよう、都として、電源立地地域や地域住民への感謝を示すことの大切さについて普及啓発すべきではないでしょうか。
また、地方への貢献として、都が取り組んできた共存共栄の理念の下、経済交流をより活発化することが必要です。
そこで、このたびの新潟県の動きを踏まえ、柏崎刈羽原発の再稼働や立地地域への貢献について、知事の見解を伺います。
なお、都民の代表たる知事が、しかるべきときに新潟へ赴き、知事の思いを県民にじかに伝えていただきたいと思います。
また、都には、二〇二二年度に締結した新潟県との連携協定をさらに進化することを求めておきます。
我が国の最南端である沖ノ鳥島では、島を守るため、国は護岸の整備などの取組を着実に進めています。
かつては東京都も、地元漁業者の協力を得ながら、周辺の豊かな水産資源に着目し、魚礁を設置するなど、島の利活用につながる取組を行ってきました。小笠原の地元住民が住むことによって、国境離島維持保全に大きく貢献していることを強く認識するべきです。
他方、国の最東端である南鳥島周辺には、我が国の経済にとって不可欠なレアアースが大量に分布しており、国が進めるプロジェクトでは来年一月に試掘が行われるなど、その重要性はますます高まっています。先日の日米首脳会議でも、レアアースの採掘について具体的に進め方を検討すると高市総理から発言がありました。
この重要な国境離島を守ることは国の責務ですが、都においても、その維持保全に連携協力し、貢献していくことが必要です。沖ノ鳥島、南鳥島の重要度が一層高まる中で、都もできる限りの取組を行うべきと考えますが、知事の見解を伺います。
SNSによるフェイクニュースが蔓延し、都市間競争が激しさを増す中、首都東京のプレゼンスを向上させていくためには、国際社会への貢献を果たすとともに、東京が安全・安心ですばらしい都市であることを正確な情報として伝えていくことが重要です。
また、首都である東京がこうした取組によりプレゼンスを高めていくことは、平和国家である日本としてのプレゼンス向上にも直結するものです。
世界で一番の都市東京を実現するため、プレゼンス向上に向けた都市外交を一層推進すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
我が国の成長型経済への移行を確実なものにするためには、海外活力の取り込みが不可欠です。一方、一部の外国人による犯罪や迷惑行為、各種制度の不適切な利用などにより、国民が不安や不公平感を有する状況も生じています。
そのため、ルールを守らない方々への厳格な対応や、制度、施策の見直しが必要であるとし、政府は、内閣官房に外国人との秩序ある共生社会推進室を設置しました。
先日、我が会派の有志で埼玉県川口市に視察に行き、地元市議などの話を聞いてきました。その現状は、行政などの対応能力をはるかに超え、許容範囲を超えていると感じました。集住することで、地域との摩擦や衝突が起きてしまう可能性があります。
外国人コミュニティの実態把握や外国人に対する指導啓発を強化する必要があり、また、犯罪行為や迷惑行為を行う外国人に対しては、警察官による積極的な職務執行を徹底していく必要があると考えますが、警視庁の見解を伺います。
インバウンドの増加に伴い、公道カートを利用する観光客が急増しています。パネルは、我が会派が、公道カートが特に集中する渋谷スクランブル交差点の視察をした際のものです。写真は、交差点で運転者自らがカートから降り、記念撮影を行うなど、極めて危険な行為を捉えたものであり、こうした状況が日常的に発生しているとの指摘もあります。
さらに、テールランプが点灯していない車体など、整備不良が疑われるカートも散見され、交通安全上看過できません。また、利用者の免許確認について、団体代表者のみを対象とし、他の利用者の確認を行わない事業者が存在するとも聞いております。
こうした悪質な事業者に対する指導、取締りの徹底や、悪質な違反行為に対する取締りを強化していく必要があると考えますが、警視庁の見解を伺います。
訪都旅行者の増加は、観光消費の拡大など経済活性化に寄与する反面、日本のマナーを十分に理解できていないインバウンドの影響や、適正な管理運営が行われていない民泊の問題、ごみや深夜の騒音問題など、都民生活に対する悪影響を与えています。
先般、都は宿泊税の見直しについて素案を公表しました。外国人旅行客と都民生活が適切に共存していくための具体策が急務となる中、宿泊税はごみ対策などの財源として活用されるべきです。
また、今回の見直しでは民泊の利用者が課税対象となりました。民泊に対する強制捜査なども行われている中、宿泊税の現場実務においても、こうした適正な運営がなされていない民泊への対策が強化されるべきです。
今後の宿泊税の在り方として、宿泊税をごみ問題などの財源として活用するとともに、宿泊税の調査を通じて民泊の適正な税務運営を確保していくことが必要と考えますが、都の見解を伺います。
次に、物価高騰対策について伺います。
我が会派は過日、補正予算の編成に向けた緊急要望を行い、物価高騰の影響が長引く中、今後、国が策定する経済対策を踏まえ、物価高に対する都民生活の負担軽減を行うべきと主張しました。この要望を踏まえ、東京ポイントの付与を四〇〇〇ポイント上乗せすることとし、生活者への支援をさらに充実させることとしています。
一方、高市政権の責任ある積極財政の下、先月発表された国の総合経済対策では、物価高対策として重点支援地方交付金が拡充されました。
政府の経済対策に基づく交付金を活用し、物価高に対して、都民生活はもとより、事業者の経営活動をどのように支援していくのかも重要ですが、都の見解を伺います。
次に、東京アプリの今後の展開についてです。
東京アプリは、今回のようなポイント付与の取組のみならず、行政の様々なサービスを一元的に行えるようにすることを目指しています。住民の多くの手続やサービスが区市町村で行われていることや、せたがやPayやふちゅペイなどの地域通貨が先行されていることを踏まえると、区市町村の意見を丁寧に伺いながらサービスを拡充し、都民の利便性向上を図ることが重要です。
そこで、今後どのように東京アプリを育てていくのか、今後の展開について都の見解を伺います。
続いて、台風二十二、二十三号の被害と復興支援について四点お伺いします。
台風二十二、二十三号は、島しょ部を中心に甚大な被害をもたらしました。先日、我が会派は現地視察を行い、損壊した住宅の補修に対する支援のほか、農林水産業や観光業などの中小事業者の経営支援、社会基盤であるインフラの迅速な復旧、復興などの取組について、さらなる対応を知事に求めました。
島しょ部の復旧はもとより、今後の復興も見据え、島内事業者を下支えする取組が重要であると考えますが、今回提出された補正予算に対する考えについて、知事の見解を伺います。
また、八丈島、青ヶ島の商工業者は、建物や機械設備などに甚大な被害を受けています。国の制度を活用して復旧に取り組むことになりますが、島の産業が今後も発展していくためには、都が独自に新たな収益の確保につながるよう強力に後押しすべきです。
島の中小企業の復旧、そして復興までを見据え、現地の実情に寄り添った支援を行うべきと考えますが、その見解を伺います。
今回の台風被害への応急復旧対策について、都が振り返りを行ったと聞いています。激甚化する風水害に向けた防災対策などを一層推進することが重要です。振り返りにより見えてきた様々な教訓や対策が明らかになったと考えますが、今後、今回の対策を踏まえ、どのように都の防災対策に生かしていくのか、知事の見解を伺います。
台風が直撃した島内各地では、家屋の損壊や倒木、土砂混じりの瓦礫等の大量の災害廃棄物が発生し、仮置場に堆積されています。
我が党は十月十日、十一月十八日の二回にわたり、都に対し迅速な処理を求める要望をしました。都は、島外での処理を早期に開始するため、町役場や支庁、島内の廃棄物処理や解体に関わる事業者等との緊密な連携をさらに促すとともに、海運会社や島外の処理施設の活用も含め、積極的に支援すべきと考えますが、見解を伺います。
本年七月、九月と記録的短時間大雨情報が発表され、時間百ミリを超える猛烈な雨により、目黒区や世田谷区では同じ地域で家屋が浸水しました。これに対して、都は地元自治体と合同で住民説明会を開催し、当日の降雨状況や今後の対策を説明し、多くの関心が寄せられました。
また、九月の豪雨では、品川区や大田区も含め、二千五百を超える床上、床下の浸水被害が発生し、被災者から我が会派に対し、浸水被害が毎年発生していることから、緊急的な浸水対策として止水板設置を進めるべきではないかとの声が多くありました。
現在、都内では止水版設置に関して区市町村が補助制度を有し、取り組んでいますが、将来的にさらに頻発化するとされる豪雨に備えるには、都内全域の区市町村を対象として、スピード感を持って取り組む必要があります。
そこで、都が区市町村の止水板設置を支援し、来年の雨期に備えるべきだと考えますが、その見解を伺います。
都内には、海底火山も含め、二十一の活火山が島しょ部に存在し、北海道に次いで多い状況です。特に、伊豆大島や三宅島は噴火から数十年が経過しています。
富士山についても、一度大噴火が発生した場合、風向きによっては大量の降灰が都内の広範囲に及び、都市機能に甚大な被害を及ぼすことが想定されています。
令和五年の活火山法改正により、国や自治体に対し、専門人材の育成及び継続的な確保が努力義務化されました。富士山を抱える山梨県では、火山の専門知識を有する職員を配置しています。都においても、火山防災対策の強化に向けて、火山専門人材の知見を有効に活用すべきと考えますが、都の見解を伺います。
森林には、土砂災害防止、地球温暖化防止、水源の涵養など、我々の生活を守る様々な効果があり、林野火災から森林を守ることは重要です。かねてから我が会派は、東京の面積の四割を占める森林には、急峻な地形ゆえの対策が必要であることを訴えてきました。
そして、今年、岩手県大船渡市で発生した大規模林野火災には、総務省消防庁から部隊の出動要請があったため、東京消防庁は現地に緊急消防援助隊を派遣しました。
そこで、東京消防庁のこうした災害経験と、これまでの知見を生かした林野火災の被害を抑えるための対策について伺います。
首都直下型地震に備え、災害時の医薬品供給体制のさらなる強化と備えが必要です。
災害時薬事活動ガイドラインの改定や、今年度モバイルファーマシーを配備するなど、着実に災害対応を進めていますが、例えば、各区市町村の実態を踏まえた訓練や研修の実施、さらに、東京都災害薬事コーディネーターと関係機関との連携、モバイルファーマシーの具体的な運用などの課題があると、我が会派としては強い懸念があります。
今後の災害時の医薬品供給体制について、都の見解を伺います。
なお、都内には十二の薬科大、薬学部があります。帰宅困難者が八百四十万人、建物の全壊、消失は四十万棟といった未曽有の大災害が想定される中、区市町村、医療機関のみならず、大学との連携に向けた検討は不可欠であると強調しておきます。
今年の夏は、東京都心の猛暑日が過去最多記録を更新するなど、子供が外で安全に遊ぶことが難しい災害級ともいえる暑い夏となりました。
都議会自民党は、さきの第三回定例会において、子供が暑い夏においても多様な経験を積み重ねることができるよう対応すべきと提案しましたところを受けて、来年度の予算要求に暑さ対策緊急事業が入ったことは評価いたします。
子供の健やかな成長に欠かすことができない遊びの機会が、暑さによって失われることがあってはなりません。この夏の暑さが、子供の遊びの機会に具体的にどのような影響を及ぼしたのか伺います。
あわせて、暑い時期においても、区市町村や子供の遊びを支える地域の団体と連携しながら、暑さ対策を強力に進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
東京消防庁のデータによると、都内で事故により救急搬送された子供の人数は依然として横ばい傾向にあり、減少には至っていません。
一方、安全基準に適合したSGマークを表示した製品の流通状況について見ると、だっこひもやベビーカーは減少傾向にあるなど、少子化の進展に伴い、子供関連製品の市場規模は近年縮小傾向にあります。
このため、子供の事故予防に資する製品開発に対して、企業の投資や産学連携の取組は進みにくい状況です。様々な企業や研究機関が、子供にとってより安全で安心な製品の開発や研究に積極的に取り組むよう、都が後押しすべきと考えますが、その見解を伺います。
都は、二〇一六年に東京都地域医療構想を策定し、二〇二五年に向けて、住み慣れた地域で安心して医療を受けられる体制の構築に取り組んできました。
目標としていた二〇二五年を迎え、国は、今後のさらなる人口減少や高齢化に伴う医療ニーズの変化、生産年齢人口の減少などを念頭に、二〇四〇年頃を見据えた新たな地域医療構想に向けた検討を進めています。
国が今年度中に策定を予定しているガイドラインを踏まえ、各都道府県は具体的な策定作業に取りかかります。新たな地域医療構想の策定に当たり、現行の構想策定後の振り返りを行った上で、今後さらに重要となる医療機関同士の情報共有や役割分担を進めるなど、実効性のある内容とすべきと考えますが、都の見解を伺います。
民間病院の経営は厳しい状況が続いており、現在の診療報酬では物価高騰分を十分に補えていないとの声があります。本来、病院経営を下支えする役割は国の診療報酬制度が担うべきものですが、都は今年度、民間病院を支援するため、緊急臨時支援事業を実施しました。
また、都は病院経営等に関わる調査を実施しており、先月、都内病院の経営状況について公表し、国へ緊急提言を行ったところですが、都の調査を踏まえて今後の取組につなげるべきと考えます。都の見解を伺います。
都は、全国に先駆け、花粉発生源対策を開始し、二〇三五年に四万二千立方メートルの杉、ヒノキを花粉の少ない樹種に植え替える目標を掲げています。
こうした中、二〇二六年度からアレルギー性鼻炎用の抗ヒスタミン薬が保険適用外になる可能性が出てきました。これにより、花粉発生源対策はより一層重要性が増します。
また、森林循環のためには花粉削減と林業振興の両立が重要であり、我が会派は、原木市場の機能強化や林道整備を求めてまいりました。先日、檜原村に板東沢丹田林道が開通し、新たに四百ヘクタールを超える森林の木材活用が可能となりました。
都は、花粉発生源対策を一層促進し、目標を達成するため、伐採量をどのように増やしていくのか、見解を伺います。
次に、女性の健康支援について伺います。
女性活躍の前提となるのは、何といっても健康であり、我が会派は、女性特有の健康課題への支援を公約に掲げておりました。
全ての女性が生涯にわたり充実した日々を過ごすためには、ライフステージごとに異なる女性の健康課題について、正しく知っていただくことが不可欠です。こうした情報を効果的に届けるためには、年代ごとのアプローチや東京ポイントの活用など、工夫を凝らした取組が必要です。
女性活躍推進のためにも、女性の健康への理解を広げる取組を進め、自身の年代に特有の健康課題を正しく知り、必要に応じて相談や受診ができるようサポートしていくべきと考えます。
都は、年代に応じた効果的な普及啓発など、女性が健康に関する知識を高め、健康課題に適切に対応できるよう取り組むべきと考えますが、その見解を伺います。
本定例会に、知事は、東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例案を提出しました。本条例が有効に機能することで、東京の経済を支える中小企業においても女性活躍の取組が進むことを期待するものです。
我が会派としてとりわけ重要だと考えているのが、さきにも述べた女性特有の健康課題への対応でありますが、今般提案された条例には、事業者における女性特有の健康課題への配慮が明示されたことは高く評価します。
国の試算では、女性特有の健康課題による経済損失は、社会全体で年間三・四兆円にも上ると見込まれており、その対応は待ったなしです。一方、都の調査によると、自社の女性従業員がどのような健康支援を求めているのか、把握している企業は全体の四分の一にとどまるなど、企業の多くがそのニーズを把握できていない現状が浮き彫りとなっています。
今般提案された条例に基づき、事業者における女性特有の健康課題への取組をどのように後押ししていくのか、女性活躍を所管する松本副知事の見解を伺います。
次に、介護人材確保について伺います。
女性も男性も働く現代、介護ニーズは高まる一方です。しかし、介護人材が不足しているため、施設型介護サービスは、ベッドが空いても定員いっぱい利用者を受け入れることができない状況にあります。
特に、地域密着の介護施設は、人材を募集してもなかなか応募がないため、人材派遣会社や紹介会社を頼らざるを得ず、一人紹介してもらうだけで百五十万程度の紹介料を払わなければならず、公定価格で運営している経営を圧迫しています。
都でも就職支援サイトの運営をスタートしたものの、まだまだ利用普及に課題があり、都ではこの状況を改善するためにどうすべきと考えるか、見解を伺います。
また、確保した人材が介護業界で長く働き続けられるようにすることも大切です。そのためには、働きやすい環境づくりや、スキルや経験に応じた処遇が図られることが必要であると考えますが、都の取組を伺います。
続いて、教育について伺っていきます。
近年、都立高校の教育環境や学びの質をいかに高めるかは、我が会派が一貫して重視してきた重要課題です。特に、私立高校や通信制高校など、多様な選択肢との競争がますます厳しくなる中、都立高校では全日制普通科の応募倍率が過去最低水準にまで低下しています。この状況は、都立高校の競争力が相対的に低下していることを示しており、危機感を持って対応する必要があります。
我が会派は、第三回定例会でこの問題を取り上げ、都立高校の魅力向上に向けた対応を強く求めてまいりました。
少子高齢化が進み、働き方も変わり、私学との競争も一層激化する中で、都立高校を行ける学校から行きたい学校へ転換し、都民に選ばれる学校とするため、どのような取組を進めていくのか、知事の見解を伺います。
先日、都教育委員会が開催した都立高校の魅力向上等に係る懇談会で、委員から出ました部活動の活性化に向けた意見を踏まえ、教育庁として部活動の強豪校をつくるプロジェクトを進める方針が示されました。
都立高校の魅力を高める上で、スポーツや文化部活動の一層の活性化を図ることは重要で、特に、スポーツや文化の分野で著しい成果をコンスタントに上げる強豪校の発想は、我が会派がかねてから提言してきたものです。
ポテンシャルのある学校を選び、施設や人材の支援を集中的に行うなど、その魅力によって多くの生徒から選ばれるため、取組を今こそ進めるべきと考えますが、都の教育委員会の見解を伺います。
小学校教員らがSNSグループをつくり、児童を盗撮した画像をSNS上で共有したというおぞましい事件が起こりました。盗撮だけでなく、教員によるわいせつ事案も減少するどころか増加しています。
教員という子供を守り、育てるべき立場にある者が、信頼を裏切り、最も脆弱な存在である児童を搾取する、その尊厳を踏みにじる行為は断じて許されません。
社会全体が、被害に遭われた児童と保護者の皆様に深く寄り添い、二度とこのような卑劣な事件が起きないよう、責任を持って再発防止に取り組まなければなりません。
都教育委員会は、教員から児童生徒への性暴力を防止し、学校をより一層安心・安全な場所とするためにどのように取り組んでいくのか伺います。
学校の教育活動を円滑に進めていく上では、学校と保護者との関係を円滑に保つことが重要です。
保護者からの相談や要望は多岐にわたり、私立学校からも、いじめの重大事案が発生した場合は対応に関わる負担が大きく、学校と保護者との関係性の確保は大きな課題だという声があります。
都教育委員会では、五月に有識者会議を立ち上げ、今月の第五回会議では、保護者対応等に関わる都立学校向けガイドラインの素案が示され、こうした取組は学校の助けとなります。
しかし、教員だけでは対応困難な事例も見られ、的確な対応のためには、保護者と面談する教員の対応力を高めていくことが重要です。
また、高度な知識を必要とする事案には、専門家の助力も必要と考えます。都教育委員会の見解を伺います。
続いて、別居親との面会交流について伺います。
両親は離婚して他人になっても、親子の関係は変わりません。しかし、子供が希望していても、別れて暮らす親に会うことができないケースや、別れて暮らす子供の運動会に学校から参加を拒否されるなど、課題が多いと聞いております。
そのような中、来年四月に改正民法が施行され、単独親権だけでなく、共同親権も選択できるようになり、また、離婚後も父母が子供に対して負う義務が明確化されます。行政が使う一人親という誤解を招く表現も、この際改めるべきではないでしょうか。
制度改正を広く周知するとともに、子供が別居している親と交流が続けられるよう、当事者間の調整などを行う支援が一層重要となりますが、都の取組を伺います。
続いて、都市インフラについて伺います。
知事の所信表明では、新たな整備方針案を年内に公表するとのことでしたが、どの路線を選定するかが重要です。
近年、自然災害は激甚化しており、災害に強い安全な東京の実現には、首都機能を支える都市計画道路ネットワークの形成が必要です。骨格幹線道路の整備は、多摩南北五路線の整備率は八割に達する一方、北多摩北部、西部では整備率が低く、防災力に課題を抱える地域もあります。
我が会派は、整備方針の改定に当たり、強靱化の視点を加味し、検討すべきと訴えてまいりました。強靱化に資する道路を優先整備路線に位置づけ、早期整備を図ることが重要です。現在改定中の整備方針において、これまで以上に強靱化の観点を重視し、優先整備路線を選定すべきと考えますが、都の見解を伺います。
にぎわいと活力に満ちた多摩の実現に向けて、さらなる発展を促す取組が必要です。そのため、都市活動や都民生活を支える重要な都市基盤である道路網の拡充に向け、都市の骨格を形成する幹線道路の整備が進められています。
また、骨格幹線道路と一体となって道路網を形成する地域幹線道路についても、その整備がいまだ道半ばであり、生活道路への交通流入等の影響を及ぼしています。骨格幹線道路の整備とともに、地域の安全性向上に向けて、地域幹線道路の整備についても推進していく必要があります。
そこで、多摩地域の地域幹線道路の整備に向けた取組について伺います。
JR中央線は、都市部と多摩地域をつなぐ重要な路線です。三鷹─立川間については、昭和四十五年の通勤五方面作戦に複々線化が位置づけられ、平成六年にはJR東日本の輸送力増強の意向も踏まえ、都市計画が決定されました。
我が会派としても、令和五年三月にJR中央線複々線化PTを発足させ、地元の大きな期待を受けて、実現に向けた取組を強化してきました。
一方、国の答申によると、多額の事業費や収支採算性に課題があり、適用可能な国の補助制度もないため、鉄道事業者による自主事業で整備するしかなく、事業予定者であるJR東日本にはいまだ実現に向けた動きがありません。
中央線の複々線化は多摩地域の長年の悲願であり、国やJR東日本としっかりと連携し、膠着状況を打破していく必要があります。
そこで、JR中央線複々線化の実現に向けた都の取組について伺います。
多摩都市モノレールは、多摩地域の公共交通ネットワークの形成に欠かせない重要な路線です。
都は、開業済みの上北台駅から箱根ケ崎駅までの区間について、延伸事業を進めることを表明し、本年三月には都市計画を決定、五月にはモノレールの整備に必要となる軌道法の特許を取得しました。
いよいよ事業が動き出しますが、延長が七キロと長い一大プロジェクトであり、事業の推進には、安定的な財源の確保と、複数の地元市町ともしっかりと調整を図り、地元の理解を得ていくことが求められます。
そこで、多摩都市モノレールの箱根ケ崎延伸事業についての整備に向けた取組について伺います。
世界陸上、デフリンピックが終わりました。
両大会は、都民、国民、とりわけ次代を担う子供たちにスポーツの価値、感動や勇気を届ける大きな契機となりました。様々な効能やレガシーを東京のみならず日本全国にもたらし、国際社会における日本のプレゼンス向上につながるものであることを改めて実感することができました。
そこで、引き続き国際スポーツ大会を東京で開催し、両大会の経験をつなげていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
三年後の令和一〇年に東京で初めて、ねんりんピックが開催されます。
大会の主催者には、厚生労働省も名を連ねています。都において、スポーツ部局が所管するということですが、健康と福祉のイベントであることから、スポーツに限らず、広く高齢社会を考えるきっかけとなることを希望します。
都内三十七の区市町村では、スポーツや文化の交流大会が開催されますが、ねんりんピックという大会名は、正直、広く認知されていません。
例えば、大会をきっかけにフレイル予防に関心を持つ人が増えたなど、東京で大会を開催する以上、意味のあるものにすることが大切です。
都は、大会準備を進めるに当たり、大会に向けた機運を高めつつ、区市町村や関係各局と連携した取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
全国の市街地で熊の出没や人身被害が増加している状況を受け、国は先月、クマ被害対策パッケージを公表し、駆除の体制強化という点で、ガバメントハンターの育成や自衛隊、警察OBの活用が盛り込まれました。
都議会自民党においても、山岳救助隊員に狩猟免許を取得してもらい、多摩の市町村が行う緊急銃猟を支援する担い手となることが実効性があるため、緊急銃猟時の山岳救助隊の活用について緊急要望を行いました。
最近では、熊の出没が広範囲になり、多摩川が流れる世田谷区などの市街地に迷い出る可能性があるという専門家の声もあります。これまで出没したことがない場所での対応も視野に入れながら、担い手の育成を進めることが重要です。
また、地域住民や観光客、登山者等に適時適切に情報提供するためにも、我が会派が名称を提案したTOKYOくまっぷを、都は、東京を訪れる方々のニーズに適した改善を図る必要があります。
都は、熊出没に備えるために、捕獲の担い手確保や情報発信の取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
最後に、偏在是正について伺います。
都は、これまで様々な子育て支援策を充実させ、少子化の打開に向け、積極的に取り組んでまいりました。
しかし、総務省や一部自治体からは、こうした支援策に対して、都の高い財政力により行政サービスの格差が生じているとして、いわゆる偏在是正を行うべきという意見があります。
あたかも東京対地方という構図で語られますが、あるべき地方創生とは、東京のポテンシャルと地方の強みや個性を生かし、東京と地方が共に栄え、日本全体の持続的成長につなげていくものです。
それにもかかわらず、先日、地方法人二税や固定資産税までも対象として、さらなる偏在是正が検討されているという報道がありました。
今後、税制改正大綱に向けた議論が佳境に入る中、こうした流れに機先を制すべく、国政とのパイプを持つ我々都議会自民党は速やかに行動を起こし、昨日、東京都連に対してさらなる偏在是正措置を招かぬよう、強力に働きかけを行ったところです。
こうした動きが実を結び、本日午後、東京都連から小野寺税制調査会長に対し、断固反対の立場を直接示すべく、直ちに緊急の申入れを行いました。
いずれにしても、これ以上都民の財源を奪い、東京の活力をそぐことがあってはなりません。
偏在是正の議論に対しては、都内事業者とも連携しつつ、都の主張を展開していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
最後に、引き続き都政を取り巻く多くの課題に真正面から取り組み、活気ある東京の実現に向けて全力を尽くすことをお誓い申し上げ、都議会自民党の代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 増山あすか議員の代表質問にお答えいたします。
スタートアップ戦略の推進についてでございます。
あらゆる挑戦者を全力で応援し、持続可能な社会と人々の豊かな暮らしにつなげる、東京だけでなく、日本全体の成長を目指し、関係者の総力を挙げて取組を進めてまいります。戦略二・〇に込めましたこうした強い思いを、発表に同席いただいた国の担当大臣とも協議をいたしました。
直ちに実践を開始しているところでございます。先日のTIBの二周年では、国や全国の自治体が集い、課題やノウハウを共有する様々なイベントを開催いたしました。
北欧のイベントに四つの自治体や企業等が共同で参加し、日本のエコシステムをPRをいたしました。
今後、TIBやSusHi Tech Tokyoを舞台に、AIや創薬等にフォーカスいたしまして、幅広い人々と議論を重ね、国の成長投資分野も踏まえました東京、日本の未来を開く投資戦略を練り上げてまいります。
そして、内外の資金を大胆に呼び込むことで成長への大きな流れを生み出してまいります。オールジャパンの総力を結集し、世界に打って出る。東京がその先頭に立って取組を牽引してまいります。
東京の産業競争力の強化についてでございます。
激甚化する自然災害や人口減少に伴う人手不足等、東京は大きな変化に直面しております。こうした社会課題の解決に挑む成長産業への参入や投資を促進することは、都市のレジリエンスを高め、活力ある東京の経済を実現する上で欠かせません。
都は、二〇五〇東京戦略の下、企業の人材、資金、資産を活用して、スタートアップの成長を支援するとともに、今年度から地域経済を牽引する中堅企業が行う新事業展開や技術開発への後押しを開始いたしました。
今後、これらの支援をさらに進めるとともに、経済活動の中心である東京が日本全体の発展に貢献するため、研究開発拠点や生産拠点の立地促進など、次世代を担う新産業の創出に向けた成長投資を加速してまいります。
こうした取組によりまして、未来の競争力を高める産業を東京から生み出し、日本経済を力強く牽引してまいります。
次に、電源の確保と立地地域への貢献についてであります。
柏崎刈羽原子力発電所は、首都東京の経済活動を支える重要な電源であり、安定した電力供給の確保が課題となる中、新潟県知事が再稼働を容認するとの判断をされたことは非常に重みのあるもの、そのように受け止めております。
エネルギーの大消費地である東京は、都市活動に欠かせない電力の多くを他県からの供給に支えられていることを忘れてはいけません。
こうしたことも踏まえまして、都は、東京と地方が共に支え合い発展する共存共栄の実現に向けまして、中小企業の販路の拡大やスタートアップ支援、全国自治体のDXの後押しなどを通じまして、地方の活性化につなげてまいりました。
今後も、電源立地地域を含めました地方の豊かな資源と、東京の購買力と発信力を結びつけまして、日本全体の発展につなげてまいります。
次に、国境離島に関する取組についてのお尋ねでございました。
小笠原諸島の沖ノ鳥島、南鳥島は、それぞれが日本の国土面積を上回る排他的経済水域を持つ国境離島であります。海底資源のレアアースなど、そこからもたらされる豊かな海の恵みは、都民生活や東京の都市力の維持発展に欠かせません。
都は、その維持、保全、利活用につなげるため、令和三年以降、研究者等と連携し、周辺海域の海洋環境を把握するなど、毎年、基礎的な研究の現地調査を実施いたしております。
あわせまして、国境離島の重要性について、PRイベントやシンポジウムを通じまして都民、国民に広く発信をいたしております。
今後とも、国、小笠原村、関係機関などと緊密に連携をしながら、沖ノ鳥島、南鳥島の維持、保全、利活用に取り組んでまいります。
東京のプレゼンス向上に向けた都市外交についてであります。
不安定で、不確実な時代。世界で有数の大都市東京は、世界の諸都市と共有する課題解決に向けまして、リーダーシップを発揮して取り組むなど、そのプレゼンスを高めていかなければなりません。
都は、SusHi Tech Tokyoと同時に開催いたしておりますG-NETSや都市間交流の強化をいたしまして、課題を同じくする海外諸都市と連携を深めるとともに、国際会議などへの積極的な参画を通じ、都の先進的な施策や魅力を世界に幅広く発信をしてまいりました。
東京から国際協調の流れを生み出し、東京の安全・安心な環境など、様々な魅力を世界に発信することは、国際会議などを呼び込むことにもつながり、東京の持続的な成長を後押しする原動力となります。
今後、さらに国際社会を積極的にリードし、東京のプレゼンスを高めていくことで、成長と成熟が両立した世界で一番の都市東京を実現してまいります。
補正予算についてであります。
八丈町や青ヶ島村の一日も早い復旧、そして、その先の復興に向けまして、島内事業者への支援を着実に進めていくことが重要でございます。
こうした考えの下、今回の補正予算では、経済活動の基盤となるインフラの本格復旧はもとより、被災した農業者等の施設整備を支援するなど、事業再建への後押しを行ってまいります。
さらに、中小企業者等に対しまして、被害を受けた建物や設備の復旧費用を新たに補助するほか、今後の復興に向けまして、経営力強化に取り組む事業者に対して都独自の支援を行います。
今後も町村と連携しながら、必要な支援を展開すると同時に、早期の復旧、復興に向けまして、全庁を挙げて取組を加速させてまいります。
次に、台風被害に伴う応急復旧対策についてでございます。
都は、連続する台風の接近に備えまして、各支庁にリエゾンを派遣し、速やかに災害即応対策本部を立ち上げました。警察、消防、自衛隊など関係機関とも連携しまして、人命の確保を第一に災害対応に取り組んだところでございます。
自衛隊の輸送機等も活用しながら、停電、断水、通信の途絶を早期に解消するため、資機材や復旧要員を輸送するとともに、先手先手で飲料水や食料、生活必需品などを送り、現地のニーズに応えてまいりました。
一連の災害対応を通じまして、改めて無電柱化などのライフラインの強靱化を加速させる必要性を強く感じたところでございます。また、物資の輸送が困難な島しょ地域、特に小離島におきましては、飲料水や生活必需品などの備蓄をより充実させることが必要だと認識をいたしました。
今回の振り返りを島しょ地域全体の防災対策の充実強化につなげまして、都の災害対応能力のさらなる向上を図ってまいります。
次に、都立高校の魅力向上についてであります。
我が国の社会や経済の変化が急速に進む中、将来の東京を担う子供たちの活躍を確実に後押しのできる教育の展開は不可欠であります。この取組を都立高校から率先して進め、その魅力向上につなげる有識者の議論が始まりました。
こうした検討を通じまして、今後の経済活動でのデジタルに係る人材ニーズの高まりを踏まえました教育に加え、様々な産業の枠を超えて、より柔軟に知識やスキルを幅広く学ぶ授業を行う、新たなタイプの学校が必要との提案が出ております。
これからの子供たちが世界を舞台に活躍できますよう、英語力を伸ばすための教育を集中して行う学校づくり、部活動で優れた成果を上げるための重点的なサポートの実施など、多様な発想を受け止め、着実に実現することは大切であります。
様々な議論を踏まえながら、教育委員会との連携の下、優れた魅力を持ち、数多くの生徒から選ばれる都立高校をつくり上げてまいります。
次に、世界陸上とデフリンピックについてであります。
両大会の開催は、スポーツのすばらしさや国際スポーツ大会の価値を日本全体へ届ける機会ともなりました。
世界陸上におきましては、世界中から訪れた約六十二万人の観客が国立競技場を埋め尽くし、多くの国民がともに大会を盛り上げました。会場では、全国から集った次世代アスリートが参加するエキシビションレースも開催し、子供たちに夢を届けることができました。
また、先日閉幕いたしましたデフリンピックにおきましては、全国から有望な選手を発掘、育成するチャレンジトライアウトを実施し、初めて全ての競技で日本選手の出場を果たしました。こうした取組によりまして、各地でデフアスリートへの関心を呼び起こし、応援の輪を広げることにつながりました。
これら両大会の経験を、来年のアジア大会をはじめ、今後の国際スポーツ大会の開催に生かしまして、東京から日本全体へと活力を広げてまいります。
最後に、地方税制度の不合理な見直しについてであります。
偏在是正の名の下に、都の財源を奪う地方法人課税等の見直しは、地方分権の理念に逆行する極めて不合理なものであります。
昨今、行政サービスの地域間の相違を理由に税収の偏在を是正すべきとの主張がなされておりますが、首都である東京が果たすべき役割を顧みず、税収規模など、都の一面のみを取り上げた乱暴な議論であります。
もとより、地方税収に地方交付税などを加えました人口一人当たりの一般財源額で見ますれば、東京は全国平均と同水準であり、是正すべき偏在はございません。
日本が持続的成長を遂げるには、限られたパイの奪い合いではなく、地方の役割と権限に見合う地方税全体の充実こそが重要でございます。
こうした考えの下、さらなる不合理な措置を求める意見に対しましては、都内の区市町村とも連携しながら、様々な機会を捉え、しっかりと反論してまいります。
なお、その他の質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔副知事松本明子君登壇〕
○副知事(松本明子君) 女性の健康課題への対応に関するご質問にお答えいたします。
女性が職場において個性や能力を十分発揮していくためには、その基盤となる健康の保持が重要でございます。
今般提出いたしました条例案では、事業者の責務として女性特有の健康課題への配慮を定めています。今後、男性管理職を対象とした生理痛の体験会等の具体的な事例を指針で示すなど、事業者の取組を促してまいります。
また、女性の健康課題への理解を深める普及啓発や、働きやすい職場づくりを積極的に進める事業者への後押しを強化することも検討してまいります。
新たな条例を原動力に、性別に関わりなく、誰もが自らの希望に応じて輝ける社会の実現を目指してまいります。
〔警視総監迫田裕治君登壇〕
○警視総監(迫田裕治君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、犯罪行為や迷惑行為を行う外国人に対する取組についてでありますが、こうした一部の外国人による行為に対し、都民、国民の皆様から不安の声が寄せられることがあります。
警視庁では、刑罰法令に違反する行為については、法と証拠に基づき厳正に取り締まるとともに、行為態様に即した必要な指導を行っているところでございます。
引き続き、刑罰法令に違反する行為に対する厳正な取締りを行うとともに、関係行政機関等と連携した指導啓発活動や、外国人コミュニティの実態把握を推進するなど、都民、国民や国内で生活する外国人が安心して暮らせる秩序ある社会の実現に向けて、組織の総合力を発揮した対策を強化してまいります。
次に、いわゆる公道カートについてでございますが、警視庁では、関係事業者に対し、利用者の運転免許証の確認を含めた安全指導や、利用者の安全な利用に向けた申入れを行うとともに、関係機関が行う事業者に対する立入検査に協力し、必要な指導を行っておりますところ、悪質な事業者に対しては、より一層指導を強化してまいります。
また、悪質、危険な違反行為に対しては、看過することなく厳正な取締りを行うなどの取組を強力に推進してまいります。
今後も公道カートの安全利用のため、総合的かつ効果的な取組を推進してまいります。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都立高校部活動の後押しの進め方についてでございますが、都立高校の魅力を高める上で、生徒が部活動で優れた成果を上げ、達成感を得て将来の成長を図ることのできる重点的な支援を行うことは重要でございます。
これまで都教育委員会は、部活動に関し、スポーツに係る健康管理の指導を行う人材派遣や、文化芸術活動の成果を発表する場の確保を支援してまいりました。また、全国大会の出場経費への補助も行っているところでございます。
今後は、部活動で高い成果の期待できる学校に対し、施設や設備等のハード面のレベルを高める取組に力を入れてまいります。これに加えまして、優れた指導のできる人材を配置するなどの取組を進めます。
これらを重点的かつ速やかに実施し、都立高校の魅力向上を図ってまいります。
次に、教員の児童生徒への性暴力の防止についてでございますが、教員による児童生徒への性暴力は、断じてあってはなりません。その未然防止の体制を万全にすることを目指し、性暴力をしてはならないとの意識を教員に一層徹底し、犯罪行為のできない仕組みをつくる取組は不可欠でございます。
最近の性暴力に関わる状況を踏まえ、都教育委員会は先月、教員向けの服務のガイドラインを見直しを行いました。これによりまして、教員が日頃の行動をチェックするリストをつくるほか、教室に不審なカメラ等がないか点検する仕組みを強化いたしました。
なお、都立学校で業務に利用する教員用のスマートフォンの活用等について検討をいたします。
今後とも、学校での児童生徒の安全の確保を全力で進めてまいります。
最後に、都立学校での保護者等への対応についてでございますが、都立学校が保護者や地域の方々とより良好な関係をつくるガイドラインにのっとり、適切な対応のできる後押しは重要でございます。
具体的には、教員が相談や要望への対応の力を高めるサポートが必要となります。これまで都教育委員会は、学校の管理職になる教員に、保護者等への日頃の関係づくりや要望対応の研修を実施してまいりました。今後、都立学校の多くの教員に保護者対応等の研修を行う取組に力を入れてまいります。
また、高度で複雑な要望に関し、法律の専門家の知識を活用することも必要でございます。このため、保護者等との面談において弁護士が同席するなどの仕組みの充実も検討してまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、止水板設置の支援についてでございます。
止水板につきましては、豪雨対策基本方針に基づく浸水対策といたしまして、災害拠点となる公共施設などで設置を促進してまいりました。
一方、本年九月、複数の自治体において広範にわたり住宅等が甚大な浸水被害を受けたことを踏まえ、公共施設に加え、戸建て住宅や集合住宅等への止水板設置について検討をしてまいりました。
都といたしましては、来年の雨季に備え、今般、都内全域を対象とした止水板設置に対する区市町村への補助制度を創設するなど、財政面を含む浸水対策の支援に取り組んでまいります。
次に、都市計画道路の整備方針の改定についてでございます。
安全で快適な都市の実現に向けては、首都東京の都市活動を支える道路網の形成が不可欠でございます。
優先整備路線の選定では、これまでの骨格幹線道路網の充実に加え、豪雨による浸水被害からの避難路確保などの新たな視点を取り入れてまいります。
また、優先整備路線のうち、立川広域防災基地へのアクセス強化や東部低地帯における水害地域からの避難に資する路線等につきまして、都市強靱化の観点から早期整備を検討してまいります。
年内には、こうした優先整備路線等を盛り込んだ整備方針案を公表し、区市町と連携しながら、年度末までに新たな整備方針として取りまとめてまいります。
最後に、JR中央線の複々線化についてでございます。
本路線は、速達性の向上や混雑緩和による移動の利便性を高めるなど、多摩地域と都心との連携強化に寄与し、その事業効果は山手線周辺から立川より西側にも広く及びます。
また、人員、物資の緊急輸送等を担う立川広域防災基地に近接しており、災害時には首都機能の早期復旧につながるなど、都市強靱化にも資する事業でございます。
このため、都は、国の財源確保やJRによる構造検討を求めるとともに、収支採算性改善に向けた検討などに取り組んでおります。
今後、複々線化の実現に向け、関係者との連携を強化し、取組を積極的に進めてまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 四点のご質問についてお答えいたします。
中小企業の事業承継支援についてでございます。
事業承継を契機に会社の技術やノウハウを生かした新たな取組を行う後継者を支援することは、円滑な世代交代や企業の成長につながります。
都は、後継者が新たな事業に取り組む第二創業に踏み出せるよう、経営者を補佐する新規事業の開発経験のある人材とのマッチングを行うほか、必要な設備の導入等の費用を助成しております。また、マーケティングの専門家を派遣し、販売戦略の策定や新規市場の調査、分析等の助言を行っております。
今後、後継者のニーズを踏まえ、承継を契機とした新たな分野への進出に必要なサポートを検討してまいります。
次に、中小企業の人材確保についてでございます。
採用に対するニーズが多様化する中、中小企業の持続的な発展に向けまして、企業に寄り添った支援をしていくことは重要でございます。
都では、人材不足に悩む中小企業に対し、企業の魅力を適切に伝えて効果的な採用につなげるコンサルティングや、定着等の課題に関する相談対応を実施しております。また、企業の中核となる人材とのマッチングに向けた支援やその費用の助成を行うなど、企業の取組を総合的にサポートしております。
今後、中小企業の人材確保の活動を後押しするため、アウトリーチ型の支援など、さらなる方策を検討してまいります。
次に、台風被害を受けた事業者への支援についてでございます。
今回の被害により、島内の中小企業の経営に深刻な影響が出ておりまして、事業活動を速やかに再開できるよう支援を進めることが必要でございます。
このため、都は、島内の中小企業等に対して、被災した建物や設備等の復旧に必要となる経費について、国の補助制度に上乗せして五分の四を助成する取組を開始いたします。また、都独自の支援として、被災した事業者が復旧を契機に事業転換などに取り組む場合の経費も対象といたします。
こうした取組によりまして、一日も早い復旧と島の産業のさらなる発展につながる復興に向けて、全力で取り組んでまいります。
最後に、花粉発生源対策に向けた伐採促進についてでございます。
伐採時期にある杉などを伐採、供給し、花粉の少ない杉に植え替えることは花粉対策として重要でございます。
都はこれまで、伐採量を増やすため、経営体の人材確保や育成への支援、先進林業機械の導入を進めてまいりました。
今年度からは、間伐材を原木市場に供給するため、経営体に対し、作業道の整備や林業機械の導入を一体的に支援する取組を開始いたしました。さらに、原木市場の機能強化に向けた設計に着手しております。
今後は、森林循環を加速するため不可欠な林道の開設や拡幅、老朽化した橋梁の改修など、ボトルネックの解消を進めてまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕
○環境局長(須藤栄君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、Airソーラーの普及拡大についてでございますが、都内の脱炭素化やエネルギー自給率向上の実現に向け、日本の技術や国産の資源を活用したAirソーラーの実装を加速することは重要でございます。
都は、港湾施設など複数の都有施設において耐久性等を検証するほか、東京二〇二五世界陸上等と連携し、その機能や魅力を広く発信するなど、実装に向け精力的に取組を進めております。
今後は、住宅など生活に根差した様々な場面での検証を支援し、多様な場所への導入を促進してまいります。また、都有施設や民間施設などへの設置を強力に推進して、さらなる需要拡大につなげ、Airソーラーの普及を一層加速してまいります。
次に、八丈町の災害廃棄物処理支援についてでございますが、早期の復旧、復興には、都が町や島内外の事業者などと協働して処理する仕組みを整え、島外での迅速で円滑な処理につなげることが重要でございます。
このため、都は、島外搬出から内地での処理に至る総合的な調整を実施いたします。
具体的には、廃棄物専用コンテナによる搬出に向け島内に拠点を確保するほか、平時よりも高い輸送力を確保するため、船舶事業者と調整をいたします。さらに、都内自治体などのご協力をいただき、受入れ処理先の確保等を進めてまいります。
こうした速やかな島外処理に向けた取組を円滑に実施するため、町と協定を締結し、支援体制の充実を図ることで早期の復旧、復興を後押しいたします。
最後に、出没するツキノワグマ対策についてでございますが、行動範囲が広く、人里に頻出する熊との遭遇を未然に防ぐには、分かりやすく正確な情報発信と機動的に対応できる捕獲体制の強化が重要でございます。
このため都は、目撃情報を可視化したTOKYOくまっぷによる迅速な発信を行ってまいりました。また、捕獲の担い手となる狩猟免許取得者に対して、猟友会と連携して、経験豊富な狩猟者による実践的な講習会を開催してまいりました。
今後は、隣県と連携し、より広域な出没情報を発信するほか、警察や猟友会との連携強化による銃猟の担い手の育成や必要な地域へのハンター派遣などにより、都内における人身被害を防止してまいります。
〔主税局長武田康弘君登壇〕
○主税局長(武田康弘君) 宿泊税についてのご質問にお答えをいたします。
先般、公表いたしました素案では、使途の明確化や活用事業の考え方を示しております。観光客の増加に伴う課題が発生していることを踏まえ、観光スポットをはじめとしたごみ問題等への対応など、観光と生活の調和に向けた取組に活用する方向で検討してまいります。
また、課税の在り方については、公平性の観点から民泊の利用を対象に追加することといたしました。
今後、民泊など新たに対象となる施設も含め、申告納入などが適切に行われる必要があることから、関係機関の届出情報も活用しながら調査を行い、税の信頼性の確保に努めてまいります。
〔財務局長山下聡君登壇〕
○財務局長(山下聡君) 物価高騰対策に関するご質問にお答えいたします。
物価高騰の影響が続く中、事業者の負担を軽減し、賃上げや生産性向上を後押しすることが必要でございます。
そのため、今回の補正予算では、国の重点支援地方交付金を活用しながら、保育施設や運輸事業者など、価格転嫁が困難な事業者への支援を継続、拡充するとともに、賃金引上げ計画を策定する中小企業に対し、高性能な機器、設備の導入支援などを拡充いたします。
国の経済対策と連携した取組を迅速に実施することで、都内事業者の経営活動を確実に下支えしてまいります。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕
○デジタルサービス局長(高野克己君) 東京アプリの今後の展開についてお答えいたします。
東京アプリは、行政の様々なサービスをスマホ一つで提供することを目指し、これまで季節に応じた情報や保活など、子育てに関する行政サービスの提供等に取り組んでまいりました。今後、東京アプリ生活応援事業を通じ、都民一人一人とつながる機会を捉え、利便性を実感できるサービス提供を進めてまいります。
具体的には、今年度中にアプリから区市町村が提供するサービス等にアクセスできる環境を整えてまいります。また、様々な公共施設の予約から支払いまでアプリ一つで行えるワンストップサービスの実現に向け、取組の具体化を検討してまいります。
これらを通じまして、都民により身近で便利なアプリへと育ててまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 火山専門人材の活用についてのご質問にお答えをいたします。
都は、火山噴火対策を強化するため、平成三年度から、火山防災に関して高い見識を有する防災専門員を配置しておりまして、現在二名を任用しております。地域防災計画や火山避難計画の策定に当たり、都や島しょ町村、関係機関等で構成する火山防災協議会に出席し、専門的な助言を行っております。
また、火山の活動状況等を把握するため、気象庁等と緊密に連携し、大島や三宅島などに設置している地震計等の観測データを解析するほか、火山防災訓練の際には技術的助言を行っております。
今後も、専門人材を積極的に活用するなど、火山対策を一層強化してまいります。
〔消防総監市川博三君登壇〕
○消防総監(市川博三君) 林野火災での被害を軽減させるための対策についてでございますが、迅速かつ効果的な消火活動が重要であると認識しており、東京消防庁では、過去に発生した林野火災への対応等を踏まえ、山林での資器材搬送、民家等への延焼防止及び広範囲への消火等、さらなる強化を検討しております。
具体的には、機動性に優れ、多くの資器材が積載可能な車両のほか、飛び火等による民家への延焼を防止するための資器材の導入及び消防ヘリコプターを活用した空中消火体制の強化等を検討しております。
さらに、林野火災の未然防止のため、都民への注意喚起を強化するなど、今後とも様々な対策を推進してまいります。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕
○保健医療局長(山田忠輝君) 四点のご質問にお答えいたします。
初めに、災害時の医療品供給体制についてでございますが、都は災害時、医療救護所等へ医薬品を迅速かつ適切に供給するため、薬剤師班の派遣や協定締結団体を通じた供給などの体制を確保しております。
今年度は、災害時を想定した医薬品供給等の訓練や専門的な研修を実施し、東京都災害薬事コーディネーターの活動内容の充実を図りました。
今後、区市町村や薬剤師会等と共に、地域の実態を踏まえた防災訓練や研修も充実させ、連携強化につなげてまいります。
また、来年三月にはモバイルファーマシーの配備を予定しており、災害薬事コーディネーターを中心とした医薬品供給体制を一層強化してまいります。
次に、新たな地域医療構想についてでございますが、都は今年度、二次保健医療圏ごとに開催する調整会議において、現行の構想における救急医療、在宅医療等の取組の振り返りや新たな構想策定に向けた意見交換を実施いたしました。
また、地域医療に関する調査を実施し、受療率や患者数の将来推計に加え、今後の医療需要の変化を見据えた医療連携や人材確保など、医療提供体制の課題等の把握、分析を進めております。
今後、地域の意見や調査結果などを踏まえ、新たな構想の検討を進め、医療機関相互の連携による効率的で質の高い医療提供体制の確保につなげてまいります。
次に、地域医療の確保についてのご質問でございますが、都が今年度実施しております地域医療に関する調査では、約七割の病院が赤字であり、急激な物価高騰などが病院運営を圧迫していることが明らかとなりました。
また、医業収益以上に費用が増加しており、現在の診療報酬が、人件費や診療に係る材料費などの上昇に対応できていないことを確認いたしました。
こうした調査結果を踏まえ、先月、診療報酬の引上げ等を求める国への緊急提言を実施しており、引き続き国の動向を注視するとともに、都の医療政策の検討を進めてまいります。
最後に、女性の健康に関するご質問についてでございますが、都は、ポータルサイト、TOKYO#女子けんこう部において、女性特有の病気に関する知識などを分かりやすく発信しております。
また、若い女性に影響力のあるインフルエンサーを起用し、子宮頸がん検診の受診を呼びかけるなど、年齢層に応じた啓発に取り組んでおります。
女性は、体の変化など、ライフステージごとに様々な健康上の問題に直面するため、生涯を通じて健康づくりを支援することが重要でございます。
今後、女性の健康への正しい理解が適切な相談や受診などにつながるよう、より多くの方に情報を提供する方策を検討してまいります。
〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕
○子供政策連携室長(田中愛子君) 二点のご質問にお答えします。
まず、子供の遊びにおける暑さ対策についてでございますが、今夏の暑さが子供の遊びに与えた影響等につきまして、都が区市町村や遊びの現場を支える団体を対象に行った調査によりますと、都内四十一自治体では、暑さにより公園等の利用が制限された実態が明らかとなりました。
また、遊びの現場では、運用上の工夫のみでは暑さ対策に万全を期すことが困難であることに加えまして、ノウハウの不足等の課題に直面する状況も把握いたしました。
こうした状況を踏まえまして、今後プレーパーク等での暑さの軽減に資する施設、設備のハード面に加え、備品の導入や人材育成等のソフト面も含め、暑さ対策に取り組む区市町村への支援の在り方につきまして検討してまいります。
次に、子供の事故予防の取組についてでございますが、防げる事故を確実に防ぐためには、変えられるものを変えるの視点に立ち、事故が起きにくい環境づくりの推進が重要でございます。
都はこれまで、事故データの収集と普及啓発等に取り組んでまいりましたが、今後は、調査研究や予防策の開発に向けた環境づくりが課題でございます。このため、研究機関等と企業とをマッチングし、産学連携の研究活動による新たな知見の創出や企業等の製品開発、改良を促進する仕組みづくりについて検討いたします。
これにより、データ収集、調査研究、予防策の開発、普及啓発といった一連の事故予防のサイクルを確実に回し、子供を事故から守る環境づくりを推進いたします。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕
○福祉局長(高崎秀之君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、介護人材確保に向けた取組についてでございますが、都は、介護施設など、福祉の仕事に関心のある方を着実に採用につなげるよう、福祉分野の就職支援サイト、ふくむすびの機能を充実しまして、最適な求人情報を提供することで、就業希望者と事業者をマッチングできるようにいたしました。
また、未経験者を対象に、職場体験から就業、定着までを一貫して支援する取組を実施しておりまして、今年度からは介護分野で入職を促進するため、本人の希望する働き方などに応じた求人情報などを継続的に提供しております。
今後、他の福祉分野の職場体験希望者にも介護の職場体験を案内することによりまして、介護分野への就業につながるよう取組を進めてまいります。
次に、介護人材の確保、定着についてでございますが、都はこれまで、資格取得支援や介護職員の宿舎借り上げ支援のほか、居住支援特別手当の支給に取り組む事業者への支援など、様々な取組を実施してまいりました。
介護人材の確保、定着には、実効性の高い人事給与制度の構築が有効なことから、今年度、有識者会議で検討を進めておりまして、先月、会議での意見などを踏まえ、適切な基本報酬単価の設定や小規模事業者の経営力強化などについて、国への緊急提言を行いました。
今後、資格やスキルなどが適切に反映される人事給与制度の在り方を示すとともに、経営力強化の方策についても検討してまいります。
最後に、離婚後の親子交流についてでございますが、都は、一人親家庭支援センターにおきまして、父母の合意の下、子供の利益を最優先として交流実施までの連絡調整、当日の子供の受渡しや付添いなどの支援を行っております。また、相談があった父母に対し、希望に応じて国が公表している親子交流支援団体を紹介しております。
今般の離婚後の子の養育に関する民法改正も踏まえまして、関係機関の支援も得ながら、父母が協力して子供の健やかな成長のための親子交流が行われるよう、区市町村の相談支援員に対する研修やホームページ等での情報提供など、相談支援体制の充実や周知に取り組んでまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、多摩地域の地域幹線道路の整備についてでございますが、都は、骨格幹線道路とともに道路網を形成し、地域の円滑な交通の確保や防災性、安全性の向上などに資する地域幹線道路の整備を推進しております。
例えば、あきる野市内の秋多三・三・九号線では、五日市街道から永田橋通りまでの区間について、本年十月に交通開放いたしました。また、甲州街道と並行する府中三・四・三号線では、地域の東西方向の道路ネットワーク強化に資する府中街道からかえで通りまでの区間について、今年度事業認可を取得し、事業に着手いたします。
今後とも、多摩地域のさらなる発展に向け、地域幹線道路の整備に着実に取り組んでまいります。
次に、多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸についてでございますが、多摩都市モノレールは、多摩の成長に欠くことができない基幹的なインフラでございます。
都はこれまで、国や沿線市町、運営会社など関係者と連携し、延伸区間の事業化に向けた検討や環境影響評価等の手続を進めてまいりました。
先月下旬には、都市計画事業の認可を取得し事業に着手いたしました。今後は、工事の発注に向け、用地取得やモノレール構造物の設計を進めてまいります。
あらゆる機会を捉え、財源の確保について国に要望するとともに、引き続き、地元の理解と協力を得ながら事業を推進してまいります。
〔スポーツ推進本部長渡邉知秀君登壇〕
○スポーツ推進本部長(渡邉知秀君) ねんりんピックに向けた取組についてでございますが、大会開催に当たっては、スポーツや文化の交流大会等を通じまして、健康保持、増進、地域や世代を超えた交流の促進等の効果を、より多くの都民が実感できるようにすることが重要でございます。
このため、心身の健康について見直すきっかけとなるなど五つの目標のもと、スポーツ、文化、健康と福祉、それぞれの分野の取組を融合させ、あらゆる世代の方々に親しまれる大会としてまいります。
今後、運営組織を立ち上げ、区市町村等との関係団体とも連携して、令和十年の大会開催に向けた機運を醸成しながら、誰もが生き生きと活躍し続ける社会の実現に向けまして、準備を着実に進めてまいります。
○副議長(菅野弘一君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩します。
午後五時二十五分休憩
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