令和七年東京都議会会議録第十七号〔速報版〕

   午後三時開議

○議長(増子博樹君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十一番中田たかし君。
〔百二十一番中田たかし君登壇〕

○百二十一番(中田たかし君) 昨夜、青森県東方沖を震源とする震度六強の地震が発生しました。被災した方々には、心からお見舞いを申し上げます。
 また、名誉都民、宇井理生氏、仲代達矢氏がご逝去されました。心よりご冥福をお祈りいたします。
 私は、東京都議会立憲民主党・ミライ会議・生活者ネットワーク・無所属の会を代表し、都政の諸課題について質問をいたします。
 税収が過度に集中しているとして、東京がやり玉に上げられています。政府・与党は、地方法人課税と固定資産税について、新たな偏在是正策を導入する方向で調整していると報じられています。他の道府県とのサービス格差が生じているといわれていますが、地価の上昇による税収増は、そのことで不利益を被っている都民に還元されるべきであり、偏在是正と称して収奪するなど言語道断です。
 このような動きは知事として断固として阻止すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 知事の基本姿勢について伺います。
 物価高騰が続く中、物価上昇を上回る持続的な賃上げが必要ですが、物価上昇に賃上げが追いつくまでは、都民の家計への直接的な支援が必要です。
 私たちは、小池知事が打ち出す施策は、インパクトや見せ方に重点を置き過ぎ、実質的な改善や根本的な課題解決にはつながらないと度々指摘してきました。今回の物価高騰対策に係る補正予算においても、インフレ局面に入った経済状況の中、賃金上昇が追いついていない、あるいは年金や手当を頼りに生活している人への支援策は十分でなく、引き続き支援を求めるものです。
 私たちが指摘してきたように、三十年の長きにわたったデフレマインドから脱却し、物価上昇、住宅価格、家賃上昇の中で拡大する格差に目を向け、幅広く社会的な平等を実現する視点から、弱い立場の人、声の小さな人に光を当てる都政を実現すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、これまで一貫して、都事業の検証が不十分であると指摘をしてきました。近年、都の方針や戦略が上書きされるたびに、たちまち検証不可能となり、新たな取組が妥当であったかの検証も不十分なまま、再び上書きされることが繰り返されてきました。
 都が巨額を投じる事業の目的、成果が判然としないことは、東京一極集中批判が高まる中、首都固有の課題に財源が必要という反駁を弱めかねないとも指摘をしてきました。改めて都の方針や戦略をしっかりと検証することを求めるものですが、見解を伺います。
 次に、物価高騰対策について伺います。
 令和四年四月に生鮮食品を除く消費者物価指数が二%を超えて以来、物価高騰が止まらず、多くの都民が物価高騰対策を切実に求めています。今定例会に、台風被害からの復旧、復興への支援に関する補正予算が提出されたことは、時宜にかない、また、おおむね会派の要望に沿ったものと評価したいと思います。
 他方、今定例会に提出された補正予算のうち、直接家計を支える都民に対する支援の第一に、東京アプリ生活応援事業が計上をされました。日々の生活に追われ手続の余裕がない人、スマートフォンやマイナンバーカードが使えない人、使わない人は除外をされてしまいます。生活応援というのであれば、さきに行った水道の基本料金の無償化のように、あまねく都民、特に困っている人が除外されない方法で実施すべきです。
 このポイントを受け取るには、スマートフォンにアプリをダウンロードし、マイナンバーカードとひもづける必要があります。物価高騰対策として給付を行うのであれば、こうしたことを前提とした事業ではなく、全ての都民に行き届く対策を講じるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、東京アプリ生活応援事業については、都が生活応援とする七〇〇〇ポイントについてもいまだ実施できていない状況で、さらに四〇〇〇ポイントを追加するための補正予算四百五十億円を提案しながら、その実行に問題がないかは、これから実証実験を行うとのことです。物価高騰に苦しむ都民に対して迅速に届ける観点からは、非常に疑問といわざるを得ません。確実に予算を執行できるのか、見解を伺います。
 賃上げについて伺います。
 実質賃金が上がっておらず、さらなる取組が必要です。連合はいわゆる二〇二六春闘で五%以上の賃上げにこだわるとの方針を決め、経団連も賃上げの維持強化のさらなる定着を図る方針ですが、中小企業には波及していません。原材料の高騰が価格転嫁に十分反映できておらず、賃上げを実施できない理由になっています。
 二〇二六年一月から下請法が取適法に改正され、適用対象及び適用取引が拡大、追加され、厳格化が求められます。都の施策の改善も必要です。また、さきの定例会で我が会派からの求めもあり、知事は公労使会議を開きましたが、経済団体に向けた中小企業への取引適正化を含め、賃上げに向けた強いメッセージは発せられませんでした。
 物価高騰対策として、大企業だけではなく、中小企業まで賃上げが浸透させられることが重要ですが、見解を伺います。
 次に、災害対策について伺います。
 このたびの台風二十二号、二十三号による大雨、強風被害について、東京都の皆様においては、引き続き対応に当たっていただいていることに感謝と敬意を表します。
 台風に慣れているはずの島の方々が、経験したことがない、本当に怖かったと口をそろえる猛烈な暴風雨により、住宅、農地や事業所に大きな被害が生じました。中でも被害の大きかった末吉地区を視察した際には、地域の未来がどうなってしまうのかと、心を痛める声も聞かれました。
 このたび、知事は、台風被害からの一日も早い復興のためとして、補正予算案を提出しました。私たちも補正予算案を含めた対応を求めてきましたので、評価をしております。八丈島、青ヶ島の復興に向けた知事の見解を伺います。
 移住して営農し、島の作物のブランド化を進めるなど、新しい事業を立ち上げて頑張っている人は、今年の収穫に被害が生じ、収入の大幅減を避けられないことに加え、投資に伴う借金もあり、自然の猛威に立ち向かって挑戦を続けるには早急に現金が必要です。
 国の支援事業、都の補正予算案を見ると、台風被害で大きな影響を受けた各種事業者の事業継続を下支えできるのか、疑問といわざるを得ません。事業全般に広く使える、いわば持続化給付金を支給すべきと考えますが、見解を伺います。
 被災者生活再建支援法では、家屋の再建支援は最大で三百万円にすぎません。今回の補正予算案では、国の対象となっていない一部損壊住宅の補修工事に対して、最大三十五・八万円を計上しています。
 しかし、八丈島の復旧、復興には、東京の南方海上二百八十七キロメートルに位置する離島ゆえの困難さがあり、特有の事情をよく酌んだ対応が求められます。中でも住宅再建に向けては、資材の海上輸送が必要であるため、激増する需要に対し速やかな資材運搬が可能となるよう、海上輸送の確保に取り組むことが必要と考えますが、見解を伺います。
 また、離島ゆえに高額な海上輸送費がかかることから、その費用について支援することを求めるものですが、見解を伺います。
 私たちは能登半島を訪問しました。石川県が本年八月に公表した能登半島地震の初動対応に関する検証報告書は、全自治体が重く受け止めるべきです。また、応急体制の強化や災害関連死の防止、NPOや民間企業との連携など、同震災の教訓は本年の災害対策基本法等の改正につながりました。
 そこで、まず法改正を受けた都の対応について見解を伺います。
 また、今回、NPOやボランティア団体等を被災者援護協力団体として事前に登録する制度も創設され、災害中間支援組織の育成や、間もなく運用開始となる登録団体データベースの活用が必要となります。今後、災害支援NPO等との連携を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 災害時に活動する支援者への支援の視点も重要です。珠洲市では、精神科医が発災直後からボランティアに入り、その役割を担ってくださったとのことです。都の「災害時「こころのケア」の手引き」や災害派遣精神医療チームのマニュアルでも、支援者の支援が必要だと明記をされていますが、具体的な取組内容とその充実についての見解を伺います。
 次に、子供施策について見解を伺います。
 東京都こども基本条例が、国のこども基本法成立に先立ち施行されてから四年がたちました。この間、子供の参加や子供の意見聴取、子供への広報、啓発などの施策が進みました。条例の附則では、施行三年後に、時代の要請に適合するために必要な措置を講じるとしています。子供を取り巻く状況は変化しており、常に子供一人一人の声に耳を傾け、政策につなげることが必要です。
 子供目線に立った政策の推進に向け、子供の定点調査、とうきょうこどもアンケートの結果を子供施策に反映するとともに、子供が施策の検証に参加し、意見反映できる取組が必要と考えますが、見解を伺います。
 こうした調査や意見聴取に基づく施策反映をはじめ、新たに子供コミッショナー制度を創設すべきです。子供の権利擁護などの相談事業や調査等から見える課題から子供の声を受け止め、提言を行う機能を導入すべきと考えますが、子供の権利擁護を所管する福祉局と子供政策の推進を中心的に担っている子供政策連携室に、それぞれ見解を伺います。
 都内で生後三か月の女児が殺害、そして、風俗店での乳児死体遺棄と痛ましい事件が続いています。これらの事例に限らず、子育てに係る深刻な問題の解決は社会の責任であると考えます。
 熊本県では慈恵病院がこうのとりのゆりかご、兵庫県では民間団体が小さないのちのドアという支援を行っており、東京からの利用者も多くあると聞いています。
 東京都でも墨田区の病院がベビーバスケットを開始していますが、妊娠時から出産と産後の子育てを支える二十四時間相談、住まいの確保や就労など寄り添い型の支援など、民間団体や助産師等、区市町村と連携した取組を充実させる必要があると考えますが、見解を伺います。
 新しくなったきみまもを視察しました。創設当初と比べ、施設や支援が拡充されたことは率直に評価をします。しかし、以前から指摘してきた二十一時閉所の問題はいまだに解決をしていません。
 都は、青少年健全育成条例を踏まえて設定しているとのことですが、家に居場所がない、帰れない若者は、閉所後、違法宿泊に流れたり、深夜にトー横エリアへ戻ったりして、事件やトラブルに巻き込まれるリスクは消えません。
 夜間帯に若者が安全に滞在、相談できる体制を早急に確保するため、きみまもを青少年健全育成条例の適用対象外にすることによる開所時間の延長、見守り活動の強化をはじめ、帰宅や連携支援機関への確実な同行などの追跡的な支援など、夜間の支援体制を抜本的に強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、女性活躍の推進について伺います。
 本定例会には、東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例が提案をされています。
 私は、条例はもとより、女性活躍に対する制度の壁を乗り越えるためには、選択的夫婦別姓の導入が不可欠であると考えます。高市政権が拡大を目指している通称使用は、海外では理解されづらく、ダブルネームとして不正を疑われ、トラブルが起こることもあると指摘をされています。
 小池知事は、二〇二一年の予算特別委員会で、私個人は、以前から、選択的夫婦別姓についてイエスと答弁をしており、その姿勢を評価いたします。私は、小池知事が東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例を提案した今だからこそ、改めて政府に対して選択的夫婦別姓の導入を求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 小池知事は、所信表明の中で、条例では事業者による主体的な取組を促すことで、女性がその個性と能力を発揮できる環境の創出を目指すとしています。条例を単なる理念に終わらせないため、男女間賃金格差の是正に向け、性に中立でない諸手当の見直しを後押しするとともに、中小企業においても条例の実効性を高めるインセンティブが必要だと考えますが、今後の取組について伺います。
 非正規雇用やフリーランス等、多様な働き方をする女性の実態調査を行い、同一労働同一賃金でない、男女で賃金格差が生じている場合には、必要な対策を講じるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、困難を抱える女性への支援について伺います。
 働く女性活躍の施策は積極的に展開している都政ですが、二〇二四年施行の困難女性支援法に基づく事業には同じ熱意を感じません。一時保護の委託先を七から十施設に拡充するなど一定の取組は進めていますが、支援を必要とする女性との重要な接点の多くは、依然として民間団体の献身的な活動に委ねられています。
 法が目指す女性の人権尊重と自立支援を具体化するためには、既存事業の焼き直しではない、より踏み込んだ支援体制の構築が必要です。都として、アウトリーチやPR活動、新たな保護施設の増設や女性支援相談員の増員など、施策をより一層拡充する必要があります。困難を抱える女性への支援について見解を伺います。
 次に、教育施策について伺います。
 物価高騰の影響は義務教育にも及んでいます。公立の小中学校では、原則として教科書等は無償のはずですが、隠れ教育費である教材費、制服、ホテル料金高騰による修学旅行費などが家計を圧迫しています。
 教育は、未来を見据えた未来への投資であり、学用品や修学旅行費などを含めた教育の完全無償化に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、都立の小中学校についても同様に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 中学校英語スピーキングテスト、ESAT-Jは、受験環境に関わる問題が毎年度繰り返されています。今年、都教委が自ら公表したのは、会場準備に時間を要し、終了時刻の遅延が発生したというものだけですが、私たちには、受験した子供たちや保護者から数多くのトラブル事例が寄せられています。
 こうした実態について、都教委は、具体的な件数、そして内容も把握をしていません。また、不受験者への見込み点方式についても信頼性に重大な懸念があることを繰り返し指摘していますが、改善されておらず、構造的欠陥があるといわざるを得ません。
 ESAT-Jについて、受験生全員及び学校を対象とした実施状況の調査とその公表を行い、実態を責任を持って把握する体制を構築するとともに、採点方式、見込み点の根拠など、制度の妥当性を検証可能な形で明らかにすべきです。加えて、令和八年度の入試での活用について、中止を含め、制度の抜本的な見直しを検討すべきと考えますが、併せて見解を伺います。
 都立高校の志願者が三千人減少するなど、都立高校離れが深刻化しています。都内十五歳人口の減少幅を上回るペースでの減少は、少子化だけでは説明ができません。授業料無償化で私立の選択肢が増えたことに加え、英語スピーキングテストへの不安などから、私立単願を選択する生徒が一定数存在するとも指摘をされています。都立高校を志望しても、第二希望、第三希望が選べない今の入試制度についても課題があると考えます。
 こうした複合的な要因を踏まえ、現在の志願動向をどのように分析しているか伺います。
 都立高校の魅力向上に向け、都は懇談会を設置し、学校施設の更新、ICT環境整備などに加え、多様な背景を持つ生徒が安心して学校に通うことができる仕組みづくりを検討しています。
 都内の不登校生徒は年々増加し、今年四月に開校した立川緑高校をはじめ、チャレンジスクール各校の応募倍率が高くなっており、必要とする生徒が入学できていません。背景には、不登校に加え、家庭の困難など、支援ニーズの多様化、複雑化があります。都立深沢高校のように、全日制普通科の単位制高校として多様なニーズの受入れを行う、あるいは志願者減が続く定員割れ校についてはチャレンジスクール化するなど、都立高校の再構築を進めることも不可欠です。
 こうした増大し、多様化するニーズに対し、都は今後どのようなビジョンで都立高校改革を進め、単位制への移行やチャレンジスクールのさらなる拡充など、多様な学びの場を再構築していくのか、今後の見解を伺います。
 次に、フリースクールについて伺います。
 公教育の枠組みでは支援が難しい子供たちの最後のとりでとなっているのが、フリースクールです。中でも、家から出られず、スクールに通えない子にとって、ICTを活用した通信制オンライン型のフリースクールだけが社会とつながる接点となっています。しかし、現在、都の支援は基本的に通所が要件となっており、こうした子供たちが都の支援から取り残されています。
 誰一人取り残さないため、通所を前提としない通信制のフリースクールについても補助の対象として明確に位置づけるべきと考えますが、見解を伺います。
 障害のある子供や青少年の居場所づくり、余暇活動の充実について伺います。
 障害児が十八歳になると放課後等デイサービスを利用できなくなることから、特別支援学校を卒業し、福祉施設に通所する障害者が夕方や週末に過ごす場や活動の機会が少なくなる十八歳の壁の問題があります。
 都には、包括補助を活用した支援制度がありますが、自治体財源が必要なため取組が限られています。仲間と一緒に過ごす余暇活動を社会参加として保障することは、生活の質を高める大事な取組です。当事者や家族の声を聞きながら、障害のある青年、成人の居場所づくり、余暇活動への支援を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、障害者スポーツについて伺います。
 スペシャルオリンピックスは、知的障害のある人が主体となるスポーツ大会です。二〇二六年に東京で全国大会が開催されますが、二〇二七年スペシャルオリンピックス夏季世界大会日本代表選考も兼ねる極めて重要な大会です。
 そこで、二〇二六年スペシャルオリンピックス全国大会を、パラリンピック、デフリンピックに続く重要な障害者スポーツのレガシー創出の場として位置づけ、認知度向上や理解促進、そして知的障害のある人のスポーツ参加、そして、地域活動支援の拡充につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、ねんりんピックについて伺います。
 健康長寿社会を実現するには、シニアが元気で活躍できる場をどれだけ社会に用意できるかが鍵です。その意味で、二〇二八年に東京で開催されるねんりんピックは絶好の機会です。
 大会を一過性のイベントにせず、シニアが参加し続けられる環境づくりを進め、大会準備や運営の段階からシニアが参画し、地域の担い手として活躍できる仕組みを整えることが必要です。また、デジタルを活用した新しい健康づくり、交流モデルを構築することも必要だと考えます。
 こうした観点から、ねんりんピックを契機に、シニアが元気に活躍し続ける東京を実現していくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、環境施策について伺います。
 我が会派は、二〇三〇年カーボンハーフについて、目標達成がほぼ絶望的であるとの懸念を指摘してきました。
 先般、都が国に対して、データセンターの拡大を踏まえた、省エネ化、高効率化に向けた技術水準の早期明確化と新技術の開発支援を提案したことは評価するものです。
 令和六年、東京では三・九万トンのCO2が削減されましたが、例えばデータセンターの一つであるGLP昭島プロジェクトのCO2年間排出量は、この四十六倍の百七十七・五万トンです。
 知事は、所信表明で、都民への強力な支援を通じ、ゼロエミッション東京を実現していくと述べました。都が二〇三〇年カーボンハーフを本気で諦めていないのであれば、国への要望や都民への補助事業だけではなく、都として都内データセンターを調査し、対策を講じるべきですが、見解を伺います。
 次に、住宅政策について伺います。
 都内の住宅価格が上昇し、賃料も上がり、都民負担が増えています。私たちは、住宅確保が最もベーシックな生活保障の一つであると考えています。
 そこで、民間賃貸住宅に住む多子世帯に家賃補助制度を創設することや、東京の社会インフラを支える職業、エッセンシャルワーカーで一定収入にあり、住宅に困っている方々への家賃低廉化支援策などの取組が必要と考えます。
 都民が東京に住み続けられる環境をあらゆる施策でつくるよう取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 第三回定例会において、我が会派の関口議員から、東京都住宅供給公社を活用し、安価で良質な住宅を供給することを求めたところ、今定例会における知事の所信表明で同様の言及がありました。
 今後、我が会派が求めてきた低廉な価格の住宅を広く都内で供給することが必要だと考えますが、見解を伺います。
 続いて、住宅政策において官民連携ファンドを活用する手法について伺います。
 都は、官民連携ファンドを通じ投資を行ってきました。この政策効果を評価するには、ファンド期間中の運用状況をチェックする必要がありますが、これまで税金を原資とする投資活動について、守秘義務条項の存在を理由にして情報公開を十分に行ってきませんでした。
 都は、地方自治法の規定に対応した情報公開義務を負っています。議会、監査委員、または包括外部監査人の資料要求や説明要求があれば、私的な契約に基づく守秘義務よりも法令上の開示義務を優先すべきであり、守秘義務に基づき開示制限する場合にも、開示義務と守秘義務を個別具体的に比較考量した上で、制限する理由を具体的に説明すべきだと考えております。法令解釈を踏まえた上の都の見解を伺います。
 アフォーダブル住宅供給促進ファンドは、都民の税金を原資として優良な住宅を安価に供給する公共サービスを目的としています。ファンドの下に設立された特定目的会社の投資内容に係る情報は、都営住宅等事業会計や東京都住宅供給公社であれば当然明らかにされるべき情報であり、今回の官民連携ファンドでも、事業の妥当性を検証するため、毎年度、都民や議会、監査機関に対してこれらの情報を開示すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 次に、救急活動に向けた体制強化について伺います。
 立川防災センターを視察しました。私たちは、多摩地域の防災拠点の強化を求めてきましたが、今回、知事の所信表明で基本計画の策定に言及されて、いよいよ本格化していくことは期待をしております。また、消防庁の多摩司令室を視察し、デジタル化による業務改善の必要性を強く感じました。
 一一九番通報時に、通報者のスマートフォンで現場の映像を消防に送信するLive一一九は、音声だけでは伝え切れない事故情報や傷病者の状況などをリアルタイムで伝えることが可能です。
 しかし、このLive一一九を活用した際に、通報者等の救命活動が、周囲の方から個人的な動画撮影と誤解される事例があると伺っています。今後、さらなる普及促進を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 多数の一一九番通報により、通報を受ける体制が逼迫をし、通報がつながりにくい事態が発生をしています。令和六年度東京消防庁管内の一一九番通報受付件数は、百九万五千五百三十一件に上り、七割以上が救急要請ですが、軽症者の割合は五二・八%となっています。不要不急な救急要請が一一九番通報の受付体制を逼迫させる要因の一つとなっており、不要不急な救急要請を減らすことが必要です。救急車の適時適切な利用を促進する取組について消防庁の見解を伺います。
 次に、青切符制度、自転車通行空間の整備について伺います。
 来年度、令和八年四月一日から自転車の交通違反に対する青切符制度が始まります。都は、東京都自転車通行空間整備推進計画に基づき、自転車走行空間の整備を進めていますが、車道との分離方法はカラー化などの視覚的なものがほとんどです。
 そこで私は、都議会の議事堂前にもあるようなラバーポールを設置するなど、構造的に分離し、自転車通行空間を整備するべきだと考えますが、見解を伺います。
 青切符制度に対し、都民の中には、歩道を走るだけで青切符を切られると思っている人も少なくはありません。そこで、都民の不安に応えるべく、四月一日以降、警視庁はどのような場合に取締りを行うのか、明らかにすべきです。
 また、この間、都民への周知徹底をどのように行い、今後どのように周知徹底を図っていくのか、警視総監の見解を伺います。
 最後に、平和施策について伺います。
 夢の島にある第五福竜丸展示館を訪れ、一九五四年にアメリカが太平洋ビキニ環礁で実施した水爆実験で被爆したマグロ漁船、「第五福竜丸」を視察してまいりました。来年二〇二六年には、開館五十周年、核兵器禁止条約が発効してから五年という節目でもあり、核兵器禁止に向け、より多くの都民に訴えかけるよう取り組んでいく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
 また、代々木公園で発見された、戦時中に首都圏の防空を担っていた高射砲が廃棄をされました。国内の現存数が少ない貴重な戦争遺物、戦争遺跡が、このような形で次々と失われてしまっていいのでしょうか。そこで、高射砲を破棄した経緯について伺います。
 さきの定例会で、戦争遺跡の指定、保存を求めた細貝議員の質問に対し、教育長は、戦争当時の様子を伝える遺構を都の文化財に指定した事例はないと答弁をしています。
 しかし、戦後八十年がたち、戦争の記憶を後世に伝える人が減り続けている中、戦争遺跡の重要性はますます高まっています。十の道県では、戦争遺跡について独自調査を実施しており、私は、都においても同様に、都内全ての戦争遺跡の所在や概要を把握するための調査を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 以上、東京都議会立憲民主党・ミライ会議・生活者ネットワーク・無所属の会を代表しての質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中田たかし議員の代表質問にお答えいたします。
 地方税制度の不合理な見直しについてのご質問がございました。
 法人二税であれ、固定資産税であれ、都民に還元されるべき都の税収を奪う措置は、地方分権に逆行する極めて不合理なものでございます。
 そもそも、地方税収に地方交付税等を加えました人口一人当たりの一般財源額で見ますと、東京は全国平均と同水準でありまして、是正すべき偏在はございません。
 東京を狙い打ちし、限られたパイを奪い合うのではなく、日本の成長を促すための議論こそ重要であり、様々な機会を捉えて反論してまいります。
 次に、基本姿勢についてのお尋ねでございます。
 いうまでもございません。東京の活力の源は人であり、これまでも人に焦点を当てた政策を推進してまいりました。例えば、都民生活を下支えし、中小企業の賃上げを後押ししてきたほか、今回の補正予算案にも強力な支援策を盛り込んでおります。
 また、セーフティーネットの強化充実のみならず、成長分野等への就労支援や子供たちの力を最大限に伸ばす学びなど、未来を担う人々の新たな挑戦を強力に後押しをしてまいりました。
 子育て家庭等も住みやすい都市づくりにも取り組んでいるところでございます。
 今後もこうした取組を着実に進め、人が輝く東京を実現してまいります。
 次に、台風被害からの復興についてでございます。
 都は、人命確保を第一に災害対応に取り組んでまいりました。
 八丈町や青ヶ島村へ応援職員を派遣いたしまして、避難所の運営などの支援を行うとともに、断水の早期解消にも取り組み、現在は復興へとフェーズが移行しております。
 今後は、インフラの強靱化や産業への支援等、復興に向けました取組を強力に進める必要がございます。今般、補正予算を編成したところでございまして、町、村と連携して、地域の声を丁寧に聞きながら、島の魅力向上につながるよう取り組んでまいります。
 選択的夫婦別姓についてであります。
 選択的夫婦別姓には、様々な意見がございます。都は、都民に生じている不便、不都合を解消するという観点から、選択的夫婦別姓制度に係る議論を早急に深め、結論を出すこと、これを国へ提案要求いたしております。
 次に、住宅政策についてであります。
 住宅は生活の基盤であり、都民の居住の安定の確保は重要でございます。
 都はこれまで、都営住宅の供給や民間住宅を活用した住宅セーフティーネット機能の強化、空家活用などの取組を総合的に進めてまいりました。
 民間活力や既存ストックを活用し、都民が多様な選択肢からニーズに応じた住まいを適切に選択できる環境の整備に引き続き取り組んでまいります。
 核兵器禁止の取組についてご質問がございました。
 我が国は唯一の被爆国であり、その記憶を人類共通のものとして次の世代に語り継いでいくことは、今を生きる私たちの重要な使命でございます。だからこそ、第五福竜丸展示館におきまして、実物の「第五福竜丸」や展示資料の貸出しを通じまして、広く都民の皆様に対して被爆の状況の普及に努めているところでございます。
 一方、これまで申し上げてきたとおり、核廃絶に向けた取組は、国の安全保障に関わる問題であります。核の脅威に対する都民、国民の不安を踏まえまして、国にしっかりと対応していただきたい。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監迫田裕治君登壇〕

○警視総監(迫田裕治君) 自転車に適用される交通反則通告制度についてでありますが、自転車の運転者による反則行為のうち、交通事故につながる危険な運転行為や、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合といった悪質、危険な行為が取締りの対象となります。
 また、警視庁におきましては、同制度及び自転車の交通ルールを分かりやすく説明したチラシを作成し、キャンペーンなどにおいて配布をしておりますほか、警視庁公認の交通安全情報サイトにおける広報啓発動画の公開やSNSによる周知など、様々な媒体を活用した情報発信を行っているところでございます。
 今後は、これらに加えまして、公共交通機関等と連携し、駅や電車などのデジタルサイネージに広報啓発動画を表示するなど、さらなる周知に努めてまいります。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、義務教育の無償化についてでございますが、保護者の負担する教育費に対する支援は、設置者がそれぞれの判断で対応をするものでございます。
 憲法が定める義務教育における無償とは、最高裁判決で、授業料の不徴収の意味と解するのが相当であり、その他教育に必要な一切の費用の無償を定めたものではないとされております。
 都は、こうした考え方によりまして、保護者の負担する教育費について判断をしているところでございます。
 次に、英語スピーキングテストについてでございますが、都教育委員会は、スピーキングテストに関し生徒の申出を直接聞く体制を整えております。また、事業者や区市町村教育委員会等を通じ報告を受けており、実施状況は教育委員会で報告をしております。
 さらに、やむを得ない理由でテストを受験できなかった生徒に対する不受験者の措置は、様々な事情等のある多様な生徒が受検する都立高校入試では、合理的で最善の方法でございます。テストは適切に実施をされており、引き続き、都立高校入試でスピーキングテストの結果を活用してまいります。
 次に、都立高校への応募者についてでございますが、都立高校について、その志願者に係る様々な状況の変化のある中、数多くの生徒が入学を希望する優れた魅力を高めることは重要でございます。
 都立高校の現状把握に関する調査によれば、志望する高校を選ぶに当たり、生徒は授業や学校行事のほか、部活動など様々な内容を基に判断をしているものと分析をしているところでございます。
 引き続き、こうした内容の魅力を高め、都立高校を目指す生徒を増やす取組に力を入れてまいります。
 次に、困難を抱える生徒の受入れについてでございますが、都立高校で不登校など様々な困難を抱える生徒を受け入れる取組を図ることは重要でございます。
 都教育委員会は、不登校の経験等のある生徒を都立高校で受け入れるためのプランを作成しました。これにのっとりまして、教室外での居場所の確保やチャレンジスクールの規模拡大等を進めているところでございます。
 また、先月、都立高校の魅力向上に向けた有識者の会議を設けました。今後は、そこでの議論も踏まえ、引き続き、困難を抱える生徒の受入れを図ります。
 最後に、都指定の文化財についてでございますが、都教育委員会では、学術的に価値の高い遺跡について、一定の基準を満たす場合、文化財として指定をしているところでございます。
 これに当たりましては、所有者や関係自治体の意向を踏まえ、条例等に基づき、審議会が調査と検討を行い、答申する仕組みとなっております。
 このため、文化財の指定について、所有者などの意向のない遺跡に関し、調査を行う予定はございません。
〔政策企画局長佐藤章君登壇〕

○政策企画局長(佐藤章君) 戦略の検証についてのご質問にお答えします。
 都はこれまでも、長期戦略等の策定に当たり、取組の成果を検証し、次の計画に適切に反映してきております。
 二〇五〇東京戦略では、その前身となる「未来の東京」戦略の下で進めてきた取組の実績や成果を分析し、お示しするとともに、全ての目標を検証し、これまでを大幅に上回る二百九十六の政策目標を設定しております。
 また、戦略の推進に当たっては、毎年度、事業の進捗状況や取組成果を調査分析し、施策の充実強化につなげるなど、PDCAサイクルを徹底しております。
〔財務局長山下聡君登壇〕

○財務局長(山下聡君) 物価高騰対策に関するご質問にお答えいたします。
 物価高騰の影響は長期化しており、都民生活は依然として厳しい状況にあることから、補正予算を編成し、都民の負担軽減を図ることといたしました。
 具体的には、東京アプリ生活応援事業において、より多くの都民に参加いただけるよう取り組むとともに、出産後の家庭に対する支援を充実いたします。
 これらの対策を迅速かつ着実に実施することで、都民の暮らしを下支えしてまいります。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕

○デジタルサービス局長(高野克己君) 東京アプリ生活応援事業についてお答えいたします。
 本事業は、都民生活のより一層の応援とアプリのさらなる普及促進を目的に実施するものでございます。多くの都民が対象となることから、円滑に事業を実施できるよう、都民参加型の最終検証を行います。
 検証では、操作性やアクセス集中時の処理性能等に加えまして、事業実施時のオペレーションについても確認を行い、これらの検証結果を踏まえて、事業を開始する予定でございます。
 都民に安心して参加いただけるよう着実に準備を進め、事業の実施につなげてまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、賃上げについてでございます。
 都は、中小企業の持続的な賃上げに向けて、適正な価格で取引できるようサポートするなど、多面的な支援を行っております。また、中小企業が働きがいや労働生産性の向上等により、賃金の持続的な引上げができますよう、働き方改革等の取組に合わせて賃上げを行う場合に奨励金を支給しております。
 なお、この事業におきまして、賃上げの実効性の確保と奨励金の速やかな支給の両立を図る方策について検討を進めております。
 次に、台風被害を受けた事業者等への支援についてでございます。
 事業活動を速やかに再開できるよう支援を進めることが重要でございます。
 このため、都は、被災地の状況を踏まえまして、今回の補正予算において、島内の中小企業や農業者等に対して、被災した設備等の復旧に必要となる経費への支援策を盛り込んでおります。
 引き続き、こうした取組により、復旧を強力に後押しいたします。
 男女間賃金格差の是正についてでございます。
 男女間の賃金格差は、管理職比率や平均勤続年数、労働時間など、複数の要因により生じているといわれております。
 都は、女性管理職の増加や家庭と仕事の両立支援の充実のほか、収入制限を設けている配偶者手当の見直しなどに取り組む企業に対し、様々な支援を行っておりまして、引き続き事業者を後押ししてまいります。
 次に、男女間賃金格差への対応についてでございます。
 働く女性が男性と比べ収入や処遇の面で格差が生じている状況を解消することは必要でありまして、都は、女性管理職を増やすほか、短時間勤務の女性従業員の処遇向上に取り組む企業に奨励金を支給するなどの支援を行っております。
 次に、ファンド事業に係る情報開示についてでございます。
 都はこれまで、官民連携ファンドに関する情報につきまして、契約上の守秘義務に配慮しつつ、必要な内容を公表するとともに、議会に対して必要な情報提供を行っております。
 東京都情報公開条例に基づく開示請求が行われた場合につきましては、適切に情報を開示するとともに、その全部または一部を開示しない場合は、その理由を示しております。
 監査委員による監査等につきましては、法令等に従って必要な情報の提供を行うこととしております。
 次に、アフォーダブル住宅ファンドについてでございます。
 本ファンドでは、運営事業者の決定や出資、清算等の際に概要を公表するほか、募集要項において運営事業者と協議の上、投資物件や入居募集開始等を公表できる旨記載しておりまして、ファンド運営段階での住宅の供給状況等について、運営事業者等と調整し、適時適切に公表することとしております。
 また、監査委員による監査等につきましては、法令等に従って必要な情報の提供を行うこととしております。
〔港湾局長田中彰君登壇〕

○港湾局長(田中彰君) 台風による被災地への海上輸送に関する質問にお答えいたします。
 都は、災害発生直後より、船会社に協力を要請し、飲料水をはじめ、被災地が求める物資の優先度に応じて迅速な輸送ができるよう取り組んでまいりました。
 現在、岸壁など港湾施設の保全を図りますとともに、住宅再建を含めまして、復旧、復興に関する情報を船会社と共有するなど、地元自治体の意向を踏まえ、船舶の輸送能力が最大限発揮されるよう関係局と連携し、対応しておりまして、引き続き適切に取り組んでまいります。
〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕

○住宅政策本部長(山崎弘人君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、被災住宅の補修工事への支援についてでございますが、都の住宅被害対策区市町村支援事業は、国の応急修理制度の対象とならない一部損壊住宅等を対象としており、補助限度額は、国制度における準半壊住宅への支援の限度額と同等としております。
 なお、国制度の対象費用には、原材料費、労務費等のほか、輸送費も含め、一切の経費が含まれており、都の事業も同様としております。
 次に、都内での住宅の供給についてでございますが、民間活力や既存ストックを活用し、子育て世帯等が手頃な価格で安心して住むことができる住宅の供給を誘導することが重要でございます。
 都は、今年度取り組んでおります官民連携ファンドの組成のほか、今後、東京都住宅供給公社の既存の住宅を活用した取組などについても検討してまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 能登半島地震を踏まえた都の対応についてのご質問にお答えをいたします。
 国は、能登半島地震の教訓等を踏まえ、被災者支援の充実など災害対策の強化を図るため、災害対策基本法を改正し、本年六月から施行いたしました。
 都は、地震発生直後から職員を現地に派遣し、現場の最前線で応急復旧から復興に当たってまいりました。この経験を踏まえ、都は昨年九月、大都市東京の特性も加味した今後の防災対策の方向性を取りまとめ、本年三月、避難所運営指針や東京防災アクションプラン等を策定し、避難所の環境改善や要配慮者への支援体制の構築などを推進しております。
 引き続き、東京の防災力を向上させてまいります。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕

○生活文化局長(古屋留美君) 災害時におけるNPO等との連携についてお答えいたします。
 東京都地域防災計画では、都と東京都社会福祉協議会により東京都災害ボランティアセンターが設置され、その運営に災害支援を行うNPOなどの団体が加わることとされております。そのため、日頃からNPOや地域の社会福祉協議会との情報交換を行っているほか、都の総合防災訓練では合同での活動を行っております。
 引き続き、NPOなどの団体との連携を進めてまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕

○福祉局長(高崎秀之君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時の支援者への心のケアについてでございますが、都では、精神保健福祉センターにおきまして、災害発生時に被災者を支援する医療機関や区市町村、保健所の職員を対象に、支援に当たる際に生じやすいストレスや対処方法等を学ぶ研修を実施しております。
 また、支援者向けに、災害時のストレス症状や相談窓口を掲載したリーフレット等を配布しております。
 発災時に、支援者が心の健康を維持しながら被災者支援を行えるよう、引き続き取り組んでまいります。
 次に、子供の権利擁護についてでございますが、都は、子供の権利の向上等を図るため、子供の権利擁護専門相談事業において、いじめ、虐待、体罰など、様々な悩みや訴えを受け付けております。
 寄せられた相談のうち深刻なものにつきましては、弁護士などの専門員が事実関係の調査や関係機関への助言、調整活動を行いまして、解決につなげております。
 次に、妊産婦への支援についてでございますが、都は、妊娠相談ほっとラインにより妊娠や出産に関する様々な相談に応じるほか、妊産婦への相談などを行う区市町村を支援しております。
 また、民間団体による一時的な住まいや食事の提供、医療機関等への同行受診など、家庭生活に困難を抱える特定妊婦などへの取組を支援しております。
 引き続き、区市町村や関係機関と連携しながら、悩みや不安を抱える妊産婦の支援に取り組んでまいります。
 次に、困難な問題を抱える女性への支援についてでございますが、都は、困難な問題を抱える女性への支援のための基本計画を策定しまして、対象者の把握から地域での自立までの切れ目のない支援や女性への相談支援体制の強化など、取組を広げてまいりました。
 具体的には、一時保護委託先の拡大やSNSによる相談の開始、女性相談支援員等を対象とする研修の充実などの様々な取組を実施しております。
 困難な問題を抱える女性への支援の充実に向け、策定した基本計画に基づきまして、施策を推進してまいります。
 最後に、障害者の余暇活動についてでございますが、障害者施策の推進に当たりましては、東京都障害者施策推進協議会などに当事者である障害者団体に参画いただくなど、意見を聞いております。
 障害の有無にかかわらず、レクリエーションなどの余暇活動を楽しむことは、人生を豊かにするものであり、都は、青年、成人期の障害者の余暇活動支援に取り組む区市町村を支援しております。
 引き続き、障害者の余暇活動が充実するよう、区市町村に働きかけてまいります。
〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕

○子供政策連携室長(田中愛子君) 三点の質問にお答えします。
 まず、子供の意見等の施策への反映についてでございますが、都は、子供の意見やエビデンスに基づき、子供の実情や抱える課題を的確に把握し、実効性のある施策を展開することを子供政策の基本スタンスとしております。
 これまでも、様々な手法により子供の意見を聞くとともに、子供に関する実態や意識を継続的に把握するため、とうきょうこどもアンケートを実施しております。これらの結果につきましては、政策への反映状況を様々な手法により子供にフィードバックするとともに、チルドレンファーストの社会の実現に向けた子供政策強化の方針や、こども未来アクションの策定に反映しております。
 次に、子供の声を受け止めた提言機能についてでございますが、都はこれまで、子供の率直な意見を多様な手法により聞くとともに、子供の実態や意識を把握しており、これらの結果について継続的に施策に反映しております。
 最後に、フリースクール等への支援についてでございますが、フリースクール等利用者支援事業は、学校生活になじめない子供が将来社会で自立していく力を身につけていく観点から、人とのリアルなつながりを持つことができる通所型施設を支援対象としており、自宅での活動が中心となるオンラインフリースクールのみの利用につきましては、対象としておりません。
〔都民安全総合対策本部長竹迫宜哉君登壇〕

○都民安全総合対策本部長(竹迫宜哉君) きみまも@歌舞伎町についてでございますが、窓口では、相談員が青少年、若者の困り事を傾聴し、適切な支援先につなげるほか、犯罪に巻き込まれないための助言や注意喚起を行っております。
 閉所後の利用者の犯罪被害防止の観点から、午後九時閉所としておりますが、相談内容などから事件やトラブルに巻き込まれるリスクが高いと判断される場合は、民間支援団体等に確実につなぐなど、個々の状況に応じた支援を引き続き推進してまいります。
〔スポーツ推進本部長渡邉知秀君登壇〕

○スポーツ推進本部長(渡邉知秀君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、知的障害者のスポーツ振興についてでございますが、都はこれまでも、知的障害者向けの運動会や体験会等を実施してまいりました。また、パラスポーツのイベントにおきまして、スペシャルオリンピックスの関係者を招くなど、指導者やボランティアといった地域で支える方への周知、啓発にも取り組んでおります。
 今後とも、知的障害のある方のスポーツ参加の促進や普及を図ってまいります。
 次に、ねんりんピックについてでございます。
 大会は、六十歳以上を中心として、あらゆる世代の方々が楽しみ、交流を深めることのできるスポーツ、文化、健康と福祉の総合的な祭典でございます。
 東京大会では、基本構想の素案に掲げましたデジタル技術や先端技術の可能性の実感など五つの目標を踏まえ、東京の持つ様々な強みを生かしてまいります。
 この大会を通じて、誰もが心豊かに暮らし、いつまでも輝ける社会の実現につなげてまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕

○環境局長(須藤栄君) データセンターについてでございますが、デジタル社会においては、都民の生活の質を高め、経済を成長させながら、持続可能な社会を実現していく必要がございます。
 都は、キャップ・アンド・トレード制度などの義務制度を強化し、データセンターを含む大規模な建築物に対して、計画から運用までの各段階を捉え、省エネや再エネ利用など実効性ある対策を求めております。
 加えて、再エネ発電設備を新設する小売電気事業者を後押しするなど、データセンターの脱炭素化に向けた取組の拡大を図っております。
〔消防総監市川博三君登壇〕

○消防総監(市川博三君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、Live一一九の普及促進についてでございますが、スマートフォン等からの一一九番通報時、口頭指導が必要な場合に、通報者等と映像を共有することにより応急手当ての実施率が高まり、救命効果の向上が期待されることから、東京消防庁ではさらなる普及促進に取り組んでおります。
 具体的には、救命講習や防火防災訓練等での広報紙の配布、SNSによる動画配信並びに報道機関を通じた広報等により周知に努めております。
 引き続き、あらゆる機会を捉えてLive一一九の普及促進を図ってまいります。
 次に、救急車の適時適切な利用促進についてでございますが、都民が緊急性の有無や受診の必要性を適切に判断できることが重要でございます。
 このため、救急車を呼ぶか迷ったときに電話で相談できる救急相談センターの受付体制の強化や、インターネット等で自ら緊急性を判断できる東京版救急受診ガイドの広報に努めております。
 今後、東京版救急受診ガイドにAI機能を導入し、チャットボットの活用や音声入力が可能となるほか、GPS情報から最寄りの医療機関を案内できる機能の追加等、さらなる利便性の向上を図り、救急車の適時適切な利用促進に努めてまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕

○建設局長(花井徹夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、自転車通行空間の整備についてでございますが、誰もが安全で快適に自転車を利用できますよう、自転車通行空間の整備を進めることは重要でございます。
 都は、市区町村への意見照会等を実施した上で、令和三年度に東京都自転車通行空間整備推進計画を策定いたしました。現在、本計画に基づきまして、限られた道路幅員の中で道路構造や交通状況等を踏まえ、自転車道、自転車レーンなどの形態で自転車通行空間の整備を進めているところでございます。
 今後とも、関係機関と連携しながら、自転車通行空間の整備を着実に進めてまいります。
 次に、代々木公園で発見された高射砲についてでございますが、高射砲は、令和七年二月に、陸上競技場の改修工事の作業中に地中から発見されました。
 都は、高射砲が発掘された土地を所有する国や地元渋谷区教育委員会にその取扱いについて確認した上で、適切に処分したものでございます。