令和七年東京都議会会議録第十七号〔速報版〕

   午後一時開議

○議長(増子博樹君) これより本日の会議を開きます。

○議長(増子博樹君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(増子博樹君) これより質問に入ります。
 百十六番後藤なみさん。
〔百十六番後藤なみ君登壇〕

○百十六番(後藤なみ君) 質問に先立ち申し上げます。
 昨日発生した青森県東方沖を震源とする地震で被害に遭われた全ての皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 また、去る十月二十七日に、名誉都民の宇井理生さんが逝去されました。また、十一月八日、同じく名誉都民の仲代達矢さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
 現在国は、東京の地方法人二税や固定資産税を狙い打ちし、地方に再分配する案を検討しています。既に都の財源は、年間約一・五兆円も国に収奪されており、これ以上の負担は都政の持続可能性に直結することから、到底容認できるものではありません。
 見直しの理由として、国は税収の地域格差を挙げていますが、地方と東京の一人当たり一般財源を比較すれば、その差は極めて小さく、さらに、東京は家賃や物価、都市インフラの維持コストが高いことを鑑みれば、格差があるとの国の主張は説得力を欠いています。
 デジタル、スタートアップ、国際金融都市戦略など、本来国が応援すべき取組に対し、逆にさらなる税財源の吸い上げを図ることは、首都の成長力をそぐもので、日本全体の競争力低下にも直結します。
 また、東京のみを標的とした税財源の収奪は、地方財政制度の根幹にある地方自治と自立を否定するものです。本来求められているのは、奪い合う制度ではなく、各地域が成長と自立を実現できる仕組みへの転換です。
 本日、私たちは、検討されている不当な税の収奪に対して、国へ緊急要望を提出してまいりました。東京は、少子高齢化、防災、国際競争力、気候変動対策など、日本が直面する最前線の課題に挑み、その解決策を示す責任があります。私たちは、この動きに断固反対するとともに、都民ファーストの視点で、東京から未来を切り開く政策を提案することをお誓いし、質問に入ります。
 国は、偏在があるとして、地方法人二税に加え、住民の皆様が納める固定資産税についても検討の対象にしているとされています。事実であれば、都民の大切な税金が国によりさらに収奪される大変な事態であり、決して見過ごすことのできない問題です。
 こうした動きに対しては、都として断固として反論していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 今年は、長引く物価高騰により、都民の暮らし、そして事業者や地域経済に大きな負担がのしかかった一年でした。都民の生活と経営を守ることは、まさに都政の最重要課題です。都民の家計を直接支える施策など、実効性の高い対策が求められています。また、福祉、医療、保育などの事業者に向けては、食料品など、物価高騰の最新トレンドをしっかりと反映させた支援も重要です。
 こうした観点から、私たちは、先日、小池知事に、総合的な物価高騰対策を速やかに展開するよう、補正予算の編成を求めました。
 そこで、物価高騰の状況を踏まえ、今般の補正予算について、どのような考え方で編成したのか、知事の見解を伺います。
 家計を支える直接的な支援として、私たちは、東京アプリを活用した支援の拡充も求めてきました。今回、都民認証の付与ポイントが七千円から一万一千円分のポイントへ拡大されたことで、多くの都民から歓迎の声が届いています。東京アプリは、マイナンバーと連携することで、都民一人一人に直接かつ迅速に支援を届けることを可能にします。また、現金給付でなくポイントにしたことで、行政手続の負担コストを抑えられる強みもあり、今後、この仕組みが都民生活の標準となることを期待するものです。
 一方、懸念は、この事業が、一千百万人を対象とする大規模な取組であるということです。アクセスが集中し、通信システム障害が起きぬよう、事前検証や調整が不可欠です。都民参加型の検証結果を踏まえ、申込時期の分散など、安心して利用できる工夫をすべきです。
 都は今月から、都民参加型の最終検証を実施するとしておりますが、利用者目線に立ち、安心して利用できる仕組みとなるよう、きめ細かな検証、改善を進めていくことを求めますが、見解を伺います。
 物価高騰は、乳幼児を育てる家庭にも大きな影響を与えています。育児用品に加え、ミルクやおむつなど、日々の消耗品に至るまで価格が上昇し、家計への負担を大きくしています。
 私たちは、令和三年度予算の最重点要望として、十万円相当の赤ちゃんファースト事業を提案、実現し、多くの子育て家庭から安心につながるという声をいただいています。しかし、現在の物価状況を考えると、さらなる支援の拡充が必要です。
 現在の物価高から出産直後の家庭を守るため、支援をさらに進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 今年十月、台風二十二号と二十三号が相次いで八丈島や青ヶ島を襲いました。八丈島では、観測史上最大の大雨が記録され、深刻な被害となりました。私たち都民ファーストの会東京都議団は、現地を視察し、直接聞いた声を基に、知事へ緊急要望を行いました。知事は、発災直後に八丈島を視察し、復旧と復興を進める方針を示しましたが、一日も早い対応が求められています。
 台風による被害を受けた町村が、一日も早く本格的な復興が進むよう、今後どのように取り組んでいくのか知事の見解を伺います。
 また、早期の復旧復興には、倒木や建物解体に伴う災害廃棄物を迅速に処理することが不可欠です。今後も、ライフラインの復旧や塞がれた道路の開通に取り組むとともに、災害廃棄物の処理の支援について、町とも連携して実施すべきです。
 そこで、八丈町における早期の復旧復興に向けた都の取組状況と今後の展開について伺います。
 さらに、喫緊の課題は雇用です。働く場所を失えば、生活の立て直しはより困難になります。特に、島しょでは、一度人材が島の外に出てしまうと戻りにくく、人口減少を加速させるおそれもあります。今回の補正予算に雇用を支える施策が盛り込まれたことで、現地からは安堵の声が寄せられています。
 今定例会に補正予算案として計上された緊急特別雇用支援などをスピード感を持って実行に移すべきと考えますが、見解を伺います。
 今年九月には、都内でも、豪雨による大規模な浸水被害がありました。こうした風水害の際、病院は負傷者を受け入れ、学校などは避難者の一時滞在場所として活用されるなど、まさに災害拠点施設となります。また、都内には、国民保護法に基づく緊急一時避難施設として地下にある施設も多く、優先的に浸水対策を進めるべきです。
 都は、本定例会に補正予算として新たに止水板設置に四億円を計上しました。この機会を着実に捉え、民間施設においても、災害時に重要となる施設に対して、止水板設置を加速させるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、災害発生時の通信環境の確保の重要性も改めて認識されました。これまで都は、衛星通信アンテナを区市町村に配備するとともに、災害直後に貸出しを行うなど、柔軟に対応してきました。
 一方、情報通信分野での技術革新は速く、従来の移動型や可搬型の基地局のみならず、最近は、衛星と携帯電話をダイレクトにつなぐ技術や電波を海上から直接地上へ届ける船舶型の基地局あるいは飛行体を用いた通信など、実用化に向けた研究が進んでいます。現時点でこれらのサービスはアメリカ製品とのことですが、今後は、国産技術による研究や普及も後押しすべきです。
 そこで、災害などあらゆる状況においても通信環境が確保できるよう、これらの先端的な通信手段について積極的に導入を図るとともに、研究段階のものについては、実用化の後押しをすべきと考えますが、見解を伺います。
 加えて、新たな感染症や首都直下地震など大規模災害を想定した保健医療体制の整備も重要です。
 都はこれまで、災害時医療体制の充実や保健所における有事に備えた体制整備を進めてきました。東京都医師会も、昨年九月、大規模災害発生時の対応を世田谷区内の施設を使って検証するなどしています。
 これらを踏まえ、災害拠点病院の耐震化や電源の七十二時間化はもとより、災害発生時に傷病者を受け入れる病院が確実にその機能を発揮するとともに、避難生活が長期化した場合の健康被害を防ぐための備えに取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちの求めもあり、都は今年度、赤字が続く民間病院に大胆な支援策を実施し、経営危機に直面する医療機関を支えました。並行して行われた実態調査によって、昨年度赤字になった病院は、約七割にも上ることが判明しました。このエビデンスに基づき、知事が国に対して、二六年度の診療報酬改定に向けて、少なくとも一〇%の改定が必要と具体的な数字を添えて緊急提言を行ったことに、医療機関からは感謝の声が届いています。国には早急な対応を求めるとともに、来年度も必要な支援を継続して行うことを要望します。
 巨大化する台風は、気候変動の見える警告です。地球沸騰化ともいわれる状況を踏まえ、東京の防災力強化と脱炭素化の取組を加速していく必要があります。そのため、私たちは、先月、防災力強化と脱炭素化の取組につながる太陽光発電やゼロエミ住宅の普及などに係る予算の増額を小池知事に要望し、補正予算案が迅速に計上されました。
 こうしたタイミングを捉え、都民の脱炭素化に向けた取組のギアをさらに引き上げていくことが重要と考えますが、今回の補正予算編成に当たっての知事の思いと今後の取組について伺います。
 私たちは、緑が持つ様々な機能をまちづくりに生かすグリーンインフラの導入を政策目的に掲げ、海外諸都市の取組を紹介し、地域の実情に合わせた取組を求めてきました。
 都は令和六年度から、都有施設で先行導入し、今年度は民間事業者による実装を進めるなど、都内各所でグリーンインフラの導入が進み、多くの都民や事業者が直接触れ合う機会が増えています。
 今後は、都が取り組む猛暑日における暑熱緩和や降雨時の雨水流出抑制の効果を区市町村に具体的に示し、地域の実態に合ったグリーンインフラの実装を後押しすべきです。
 そこで、都がこれまで検証してきたグリーンインフラの効果を示し、地元自治体とも連携を図り、実装を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 気候変動対策の目標として重要な二〇五〇年のゼロエミッション実現に関し、第三回定例会代表質問において、私たちは、CO2削減を目的に、都が充電施設を整え、EV購入支援を行うのであれば、日常的に都内を走る商用車のEV化を優先すべきと訴えました。都からは、バス、トラック以外の業務用車両も含め、補助実績データなどを分析し、活用することで、普及に向けた実効性のある方策につなげていくとの答弁を得ています。
 今後、そうしたデータを活用し、業務用車両における一層のEV導入促進を図るとともに、事業者が多く保有するガソリン車をEVに置き換えていくための環境整備も重要と考えますが、見解を伺います。
 運転士不足などにより、バス路線が廃止、減便され、多くの都民から移動に困るとの声が広がっています。通勤、通学、買物などに不可欠な地域公共交通は、渋滞解消とCO2削減に資する重要なインフラです。
 都は、交通空白地域に自動運転バスの試行導入や、コミュニティバスやデマンド交通の導入支援などをしてきましたが、実用化までには時間がかかる、一人当たりの輸送コストが高いなどの課題があり、交通不便地域の拡大は止まっていません。
 私たちは、公共交通の持続可能性を公約に掲げ、第三回定例会では、主要なバス路線について議論を始めたことを確認しました。公共交通の持続可能性を高めるためには、利用者を増やすなど、一人当たりの輸送コストが低い手段の選択が不可欠です。
 今後、人口減少や高齢化の進行に加え、運転士不足によるバスの減便、廃止が進む中、都民の移動手段である地域公共交通の維持を目指して、地域公共交通ネットワークの再編方針をまとめ上げていくべきと考えますが、今後の取組について伺います。
 とはいえ、喫緊の課題は、バス運転士の確保です。交通局や事業者、自治体が連携し、バス事業が地域に果たす役割やバス運転士の仕事のやりがいなど、その社会的意義や魅力を若い世代や転職希望者に分かりやすく伝えていく必要があります。
 そこで、バス事業の魅力向上に向けて、シフト制における不規則勤務や勤務時間の長さなど、バス乗務員の特性も踏まえ、住まいを含めた就労環境の向上が必要と考えますが、見解を伺います。
 続いて、私たち都民ファーストの会東京都議団が一貫して取り組んできた子育てしやすい東京の実現に向けた施策について伺います。
 先日、都は、今年半期の出生数が前年より〇・三%増加したことを公表しました。長期的減少傾向の中での下げ止まりは、特筆すべき兆しです。子育て世代の約九割が、東京は子育てしやすいと回答しており、私たちと知事で進めてきた都独自の包括的な子育て施策の成果と評価しています。
 一方、国の調査では、子供を持たない理由の最多が経済的不安となっています。都の支援内容を結婚前や妊娠前の段階で伝えることで、子供を持つことの不安は大きく軽減できるはずです。
 今後は、婚活、住宅、企業等との連携、支援内容の可視化ツールなどの施策を、SNSなどを活用し、結婚前の世代へ効果的に届け、行動変容につなげる情報発信戦略を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都内では、出生数の先行指標である婚姻数も大幅に増加しました。近年婚活では当たり前の手段となったマッチングアプリですが、多くの民間サービスが普及する一方、ロマンス詐欺に使用されるなど、新たな課題もあります。
 都のTOKYO縁結びは、開始から一年余りで申込者が二万八千人を超え、成婚数が百組を超えるなど成果が出ています。今後は、マイナンバーカードと連携した身元確認や独身証明の電子化なども行い、行政サービスとしての信頼性と利便性をさらに向上させていくべきです。さらに、都が先行して築いた安全で公正な仕組みを民間サービスにも広げ、業界全体を牽引すべきです。
 都は引き続き、縁結びを運用しながらも、この業界全体の安全性を高めていくために貢献していくべきと考えますが、見解を伺います。
 結婚というと、若い世代のことと捉えられがちですが、十年後には都の独居高齢者が百四万人を超える見込みです。結婚を希望する幅広い年代の出会いを積極的に後押しするよう要望します。
 子育て世代にとって、教育費とともに重い経済的負担となっているのが住居費です。ファミリー向け住宅の家賃相場も上昇傾向で、東京の住宅環境は大変厳しい状況となっています。
 私たちの求めに応じ、今年度予算に民間ファンドと連携したアフォーダブル住宅の支援制度が盛り込まれました。今回、基金を活用し、ファンドと連携して供給予定となっているアフォーダブル住宅は約三百戸とのことですが、都内全域の住宅ストックと比較すると、まだ緒についた段階といえます。今後は、公社住宅など既存ストックの活用やこれから建設される住宅への容積率の緩和など多様な手法を組み合せ、局横断的に供給を増やしていくべきです。さらに、こうした多角的な施策を都民に分かりやすく伝えることも重要です。
 都としてアフォーダブル住宅供給の全体像をどのように描き、今後どのように取組を強化していくのか、知事の見解を伺います。
 また、事業の展開に当たっては、手頃な価格に設定することだけでなく、入所者の流動性が著しく低くなることのないよう公平性を確保すること、また、地域偏在をできるだけなくすべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、突発的な子供の発熱など体調不良に対応する病児保育があらゆる子育て家庭に利用できるよう提案をしてきました。このたび、十二月から、ベビーシッターを活用した病児保育が開始されることになります。子供が病気の際には仕事を休めることが一番ではありますが、子供の発熱などは突発的なことも多く、急遽仕事をキャンセルし看病することが難しい場合もあります。
 施設型に加え、突発的な体調不良に自宅で子供の対応ができるベビーシッター対応も必要と考えますが、見解を伺います。
 また、今後は、オンライン予約など病児保育の利便性向上に向け、補助対象となる区市町村の稼働実態の把握や広域での利用についても調査検討することを求めておきます。
 小学生と一緒につくり、一緒にアップデートしてきた東京都こどもホームページは、閲覧数の指標であるページビューが十一月までに一億三千万を突破しており、圧倒的な人気を博しています。中高生からも、自分たちの世代に特化したサイトが欲しいとの声もあり、今年度新たに中高生Webを制作しています。中高生は、スマートフォンの保有率が極めて高い世代であり、ユーザー目線を徹底しながらも幅広い情報にアクセスできるサイトにしていく必要があります。
 そこで、新たな中高生Webサイトが、東京都こどもホームページと同様、中高生が日常的に利用したくなる魅力的なサイトとなるよう、工夫を凝らし、幅広く浸透を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 近年、災害級の暑さの中で、夏の子供の安全な外遊びが困難になり、体力低下や運動不足による健康被害、社会性の発達への懸念が高まっています。その中でも、スペシャルニーズのある子供も含め、全ての子供の思い切り遊びたいという声に応えることは重要です。
 多様な子供のニーズを踏まえながら、安全・安心に外遊びや室内遊びができる環境を創出していくべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、スウェーデンのユースクリニックを参考に、子供、若者にとってセーフティーネットとなる支援体制を提案してきました。ユースクリニックは、子供や若者が安心して、性のことや健康のこと、心や人間関係まで幅広い悩みを相談し、正しい知識を得て、検査や治療が必要な場合は専門家につながります。私たちは、とうきょう若者ヘルスサポート、わかさぽについて、若者にとってより利用しやすい相談窓口になるよう提案を重ねてきました。
 都は、利便性向上など若者のニーズに沿った相談体制の確保に向け、さらなる取組を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 教育については、私学無償化が進む中、都立高校の魅力向上が喫緊の課題です。大阪では、無償化後に公立の衰退が進み、東京も同様の状況とならないかが危惧をされています。
 私たちは、都立高校改革を公約に掲げ、都立高校における学びと教育環境の充実を訴えてきました。AIの進展などにより、学びの在り方も大きく変化する中、都立高校の魅力向上に向けた懇談会が設置されました。多様な方々による自由闊達な意見交換に期待しています。
 懇談会での議論も踏まえ、これからの社会に求められる人材を育成するとともに、生徒や保護者の多様なニーズに応える魅力ある都立高校となるよう、改革を一層進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都立高校の魅力向上に向けては、国際教育の強化が不可欠です。世界と伍する首都東京としても、今後、希望する全ての都立高生が海外に触れることのできるよう、抜本的拡充を図るべきです。現在、都では、一週間の現地交流プログラムのほか、一年間の留学支援を通じ、年間約四百名の海外交流支援を行っていますが、十万人という都立高生の数を考えれば、まだまだ十分とはいえません。
 そのため、今後、現在の一週間の交流を行う高校を増やすほか、現地にいる期間を延ばすなど交流数を増やす取組を進めるべきです。また、今後海外に行く高校生が増える場合は、外部の機関に一括して任せる工夫も必要となると考えますが、こうした取組に係る都の見解を伺います。
 給特法の改正により、令和十一年度までに教員の残業時間などを月平均三十時間程度に削減する目標が示されましたが、現場では、いまだ事務作業などが多く、子供と向き合う時間が不足をしています。
 働き方改革には、業務削減だけでなく意識改革や第三者の視点が不可欠です。こうした観点から、私たちは公約に、東京都版教職員ワークルールの設定を掲げました。私たちの提案を踏まえ、都教委は、令和六年度より四つの公立学校にコンサルタントを派遣し、業務分析や効率化のサポートを行い、今年度は、事務作業の学校外での集約化や勤務時間の見える化を進めていると聞いています。
 コンサルタントを活用した業務改革支援について、この取組の成果をほかの学校にも広げていくべきと考えますが、見解を伺います。
 公立小中学校の不登校の児童生徒が十二年ぶりに減少し、これまで教育庁が進めてきた取組が実を結びつつあります。一方、保護者の不登校離職も大きな課題となっており、さらなる支援の強化が必要です。特に、校内別室支援員は、不登校の初期段階のサポートとして効果的であり、これまで約四百八十校に支援員の配置を行っていますが、都内全体では、公立学校が約一千九百校あることから、さらなる拡充を図るべきと考えます。
 小中学校において、学校に通いたいと思う不登校の子供たちに対し、校内別室の設置や支援員の配置をさらに進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都立高校では、発達障害がある生徒の支援やチャレンジスクールなどでの個別の学びを充実させ、多様なニーズに応えてきました。特別支援学校との交流も始まり、インクルーシブな教育も推進しています。知的障害がある生徒とほかの生徒が教え合いながら学びを深めるよい事例も伺いました。一方、高校教員には、知的障害のある生徒への教育に不慣れな面もあるようです。
 そこで、これからは、特別支援学校のセンター的機能とそのノウハウを生かし、現場の対応力を高めていく取組が必要と考えます。また、その際には、高校の教員の負担軽減を図る取組を併せて行うことも重要と考えますが、見解を伺います。
 私たちの求めに応じ、都は、放課後等デイサービスをはじめとする障害児通所支援の実態調査を行いました。その中で、通いたい事業所の空きがない、自宅まで送迎してほしい、自己負担額が気になるなど、切実な声が寄せられています。
 私たちは、公約として、障害者福祉の所得制限の撤廃を掲げましたが、収入がおおむね八百九十万円以下の世帯は、負担上限月額が四千六百円である一方で、それより上の世帯は、負担上限月額が三万七千二百円とされており、こうした所得制限の撤廃に向け、一層の実態把握、分析が必要です。
 放課後等デイサービスの事業所数の増加など量の拡大、送迎サービスを含めた質の向上、そして、保護者負担の軽減策を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、障害のある方々の地域での日中、夕方の居場所不足について、繰り返し指摘をしてきました。都が実施した区市町村調査でも、就労する家族の増加に伴い、特に夕方時間帯の居場所ニーズの高まりや、人材確保や移動支援の不足といった現場の課題も明らかになってきました。
 私たちの求めに応じ検討されている障害者の居場所づくり事業は、十八歳以上の障害者のQOL向上と同時に、保護者の就労環境の基盤として大いに期待がされます。
 そのためには、調査で明らかになった、さきの課題への対応に加え、事業者がより多くの利用者を受け入れるインセンティブが働くよう、一か所当たりではなく、利用者人数や利用時間に応じた補助を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 先月、デフリンピックが東京で開催され、大盛況のうちに幕を閉じました。閉会式では、聞こえない人と聞こえる人が盆踊りのおはやしに合わせて輪になり、会場全体が一つになる印象的なフィナーレとなりました。都議会で制定した東京都情報コミュニケーション条例を受け、会場では、ユニバーサルコミュニケーション技術も活用されました。
 今後は、大会で育まれた知見と経験をスタートアップなどとも共有し、技術開発など社会実装に向け役立てていくべきです。
 成功裏に終わったデフリンピックの成果と、それを今後どのように生かしていくのか、知事の見解を伺います。
 誰もが支え合える社会を実現していくためには、高齢者施策の強化も不可欠です。都では、六十五歳以上人口が約三百十二万人に上り、その約半数が単身高齢者となっています。単身高齢者は、急変時の対応、孤立、孤独死、入院時の身元保証、退院時の受皿確保など、あらゆる意思決定の課題を抱えています。民間の身元保証サービスなどもありますが、費用や契約内容に制限があり、全ての方々が利用できるものではありません。
 私たちは、令和六年度の予算要望において、東京都版身元保証サービスの創設を求め、事業化されました。しかし、多くの自治体では、現状、相談窓口機能にとどまっており、入院時保証、退院後の受皿確保や継続的な見守り支援など、実効性の高い政策が求められています。
 今後は、全ての単身高齢者が安心して暮らせるよう、身元保証に加え、医療連携、緊急時対応、関係機関との情報連携などを含めた包括的な単身高齢者サポート制度へ拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇二五年には、高齢者の約六人に一人は認知症になるといわれています。認知症は、早期発見、早期支援が重要である一方、医療、介護、家族支援が複雑に関わる疾患であり、適切な診断や治療が行える専門病院や医療体制の整備は欠かすことができません。地域によっては、認知症専門外来や専門病床が不足をしており、家族の介護負担や受診調整の長期化、そして入院先が見つからないなど、深刻な課題が発生しています。
 都は今年度、認知症専門病院の検討に向けて実態調査を行っており、その結果を踏まえ、早急に支援策を講じるべきです。
 調査から見えてきた課題と今後の取組の方向性について、知事の見解を伺います。
 高齢化によって、たんの吸引や経管栄養など、日常的に医療行為を必要とする高齢者が増えています。しかし、特別養護老人ホームなどでは、医療的ケアに十分に対応できる体制が整っていない施設もあり、施設に空きがあるのにもかかわらず、医療的ケアに対応できず、受入れができないミスマッチが起きています。
 令和六年第四回定例会で私たちの提案を受け、都は実態調査を行っていますが、この結果も踏まえ、夜間対応ができる看護師等の配置支援の強化など、速やかに必要な対応を講じるべきです。
 特別養護老人ホーム等における医療的ケアに関する調査結果を踏まえ、医療ニーズの高い方を受け入れるための体制整備を一層進めるため、効果的な施策を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都では、介護離職者が約八千五百名となっており、ビジネスケアラー支援の強化が求められています。特に、介護開始から半年以内に離職に至るケースが約半数で、初期段階の取組が欠かせません。一方、制度が知られておらず、多くの方が複雑さを理由に介護保険制度につながらず、結果として支援の遅れや離職につながるケースが少なくありません。こうした状況を踏まえ、制度にアクセスできる仕組みを整えること、そして早期に支援につなげることが不可欠です。
 初期段階から分かりやすくタイムリーに介護に関する情報を提供する仕組みを強化し、切れ目なく介護サービスにつなげていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 ビジネスケアラーだけでなく、全ての都民が働く意欲を諦めず、自らの力を発揮できる社会づくりは、東京の成長に欠かせません。本定例会において、東京都雇用・就業分野における女性の活躍を推進する条例案が提案されました。世界に比べ大きく立ち遅れる日本の女性活躍は積年の課題であり、本条例によってこの現状を打破し、東京から女性活躍を力強く推進する起爆剤として大いに期待するものです。都が実施したパブリックコメントでは、期待の声だけでなく、男女平等参画基本条例の改正、強化で対応すべき、男性の働きやすさにも目を向けてほしいなど、多様な意見があったと聞いています。
 私たちは、女性活躍推進の要は、雇用、就業分野においても、性別によらず経験を積み成長する機会があることが重要であると考え、時短で勤務する女性の管理職登用や、働く意欲のある女性が働き控えをせず経済的な自立を手に入れられる取組等の実施を強力に後押しをしてきました。
 そこで、新たな条例の制定を通じて、都内企業や社会にどのような変化を起こしていくのか、知事の決意を伺います。
 一方、働く場以外にも、家庭や地域コミュニティなど、女性が活躍する場は多様であり、こうした取組を支えることも重要です。
 本条例とともに、計画改定を予定している東京都男女平等参画推進総合計画では、働く場に限らず、幅広く活動する女性を支援すべきと考えますが、次期計画にどのように反映させるのか伺います。
 また、提案されたこの女性活躍推進の条例では、健康課題に取り組む責務が明記されました。女性は、月経痛やPMS、鉄欠乏性貧血、甲状腺疾患や子宮内膜症、更年期障害などの気づかぬまま抱えやすい健康課題があり、この経済損失は年間約二・八兆円に上るとも指摘をされています。しかし、女性特有疾患の病院受診率は依然として低く、現行の企業健診の仕組みでは十分に把握することができない状況となっています。
 既に都は、私たちの提案を受け、AMH検査助成などを実施していますが、今後は、妊孕性の領域にとどまらず、無自覚の疾病に気づき、健康管理へとつなげる企業向けプレコン健診として領域を広げていくべきと考えます。
 今後、都内で働く女性の健康課題解決に向け、企業健診や職域健診の仕組みも活用し、幅広い女性の健康課題に対応した支援策を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 働く環境の整備に加え、未来の産業をつくることも重要です。都は、今年十一月二十五日、バージョンアップしたスタートアップ戦略二・〇を発表しました。この間、五年間でスタートアップに関わる指標を十倍にする野心的な戦略に基づき、SusHi Tech Tokyoなどのグローバルイベントを開催するなど、都のスタートアップに関する取組には、日本全国から注目が集まっています。
 また、TIBを通じて全国自治体とスタートアップをつなげる取組も成果が出ており、まさに地方との共存共栄の取組と評価しています。今後重要になるのは、ユニコーン企業からグローバルに外貨を稼ぎ、日本に雇用を生み出す新たな産業へ昇華させていくことです。そのために、例えば、これまでにない金額規模で行う官民協働や資金が渡りにくいミドル、レイター期への資金的な支援の強化、有望なスタートアップに集中した伴走支援が必要です。
 スタートアップ施策の三年間の成果と、グローバルでの活躍を生み出すスケールアップの取組について、知事に伺います。
 今年のノーベル賞では、坂口志文氏と北川進氏という二人の日本人研究者が栄誉に輝きました。お二人の研究成果は、健康、医療分野の発展や気候変動対策の強化など、社会生活の質向上に直結するもので、経済成長にも大きく寄与するまさにイノベーションです。
 しかし、世界のイノベーションランキングにおいて、東京は、かつての首位から第二位へと後退しました。産業における国際競争力を強化するためには、企業や大学、研究機関、金融機関や行政など多様な主体が連携協力し、社会に実装していくイノベーションエコシステムの形成が重要です。
 都は、企業における研究開発などを促進し、東京におけるイノベーションの力を一層高めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京の成長を支えるのは、いうまでもなく人材です。AI時代においては、事務系業務の自動化が進む一方で、専門性を持つ職種の重要性が一層高まっています。一方、東京の社会基盤を支える現業職の人材不足は深刻で、特に運輸業や建設業などでは担い手が減少し、トラック運転手や電気工事士、自動車整備士など、現場を支える職種の育成と確保は急務となっています。
 都は、東京の基盤を支える現業職の方々へ、資格取得など企業による各種の育成経費の補助を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 加えて、警察官や消防署員も、首都東京の安全を担う一方で、採用環境は厳しく、人材確保が喫緊の課題です。奨学金返済支援の対象に警察官や消防署員を追加するなど、抜本的な人材確保策の強化も求めます。
 あわせて、賃上げ支援も急務です。物価高騰の影響は、資産を持たない若者に特に大きく、住宅価格や家賃の上昇により、都内で家を購入することはもちろん、住まいを借りることさえ難しい状況となっています。若い世代が将来設計を描けないことは、東京全体の活力低下にもつながります。一方、人手不足が深刻な中小企業では、若手人材を確保するため、物価上昇を上回る賃上げや働きやすい職場づくりが求められています。
 都が進めている手取り時間創出・魅力ある職場づくり推進奨励金は重要な支援策ですが、現場からは、人事担当者がおらず、賃上げ制度の設計方法などが分からないといった声も聞かれ、伴走型支援の必要性が高まっています。
 こうした声に応え、中小企業の賃上げなどを速やかに進めていくため、都は中小企業に寄り添った支援を積極的に行うべきと考えますが、見解を伺います。
 近年は災害級の暑さといわれる中、私たちは継続して、子供たちや高齢者などの暑さに弱い方や、建設土木、清掃事業者、訪問介護サービスなど屋外で働かざるを得ない方々への支援強化も求めてきました。現在、屋外労働者への支援は、テレワーク助成事業の一部に位置づけられていますが、私たちの下には、制度の目的や対象が分かりにくいだけでなく、テレワークの導入が要件になっていることで手を挙げられないとの切実な声も伺っています。現場の声に寄り添った暑さ対策を推進すべきです。
 子供や高齢者に加えて、障害者などの熱中症リスクの高い方、建築土木や廃棄物の収集事業者やヘルパーなど屋外で働く人のニーズに寄り添った暑さ対策を進めていくべきと考えますが、各局の見解を伺います。
 東京の稼ぐ力の大きなポテンシャルとなるのは観光産業です。都は、宿泊税導入から二十年が経過する中、見直しの素案を公表しました。本年第三回定例会での私たちの代表質問に対し、都は、地域生活と観光の調和の重要性が増しているとの認識を示しました。宿泊税は、観光と生活のバランスに関する都民の声を使途に反映させることが重要で、この視点が素案に反映されていることが重要でございます。
 また、今回課税の在り方も見直しがされる予定となっており、一部には増税との意見もありますが、今回の見直しは、来訪者向けの施策の財源を、普通税だけでなく、受益者である観光客にも負担を求めるものであります。これは、教育や福祉など地域住民の施策の財源確保にもつながります。政策の価値を判断するためには、その本質を見極めることが不可欠であり、税率引上げの真意を問うことが重要です。
 そこで、宿泊税の見直しに関する基本的な視点と、見直し後の使途や課税の在り方を通じて何を実現していきたいのか、今後の宿泊税の在り方について、知事の見解を伺います。
 大規模改修中の江戸東京博物館は、三月末にリニューアルオープンとなる旨が知事の所信表明で示されました。約四年にわたる休館期間を経てのリニューアルオープンになります。
 リニューアル後は、子供や海外の方々も含め多くの方が江戸博を訪れ、江戸東京の魅力に触れてもらうようにすべきと考えますが、リニューアルのポイントと併せて見解を伺います。
 江戸東京博物館は、江戸から現代に至る東京の歴史を伝える博物館です。忘れてならない出来事として、関東大震災と東京大空襲があります。防災とともに、戦争を二度と繰り返さないという願いを育む上でも欠かせません。
 また、江戸東京博物館のすぐそばには、犠牲者の方々を慰霊する東京都慰霊堂と当時の記録を伝える東京都復興記念館があります。こうした歴史をより多くの方々に知っていただくために、江戸東京博物館の来館者がこれらの周辺施設も訪れていただく工夫ができるよう要望しておきます。
 都は、「国際金融都市・東京」構想の実現に向け、キャッシュレス決済の比率を二〇二五年には六〇%、二〇三〇年には八〇%に引き上げる目標を掲げています。キャッシュレス化は支払いがスムーズになるだけでなく、事務の効率化や透明性の向上など多くの効果が期待できます。
 私たちは、これまで、特に円と同じ価値を持つデジタル通貨の活用により、行政手続の負担軽減の可能性があると提案してきました。都は、既に、補助金を模擬的に預金を裏づけとしたデジタル通貨で配布する実証実験に参加し、問題なく運用ができることを確認したと伺っています。
 世界では、ステーブルコインと呼ばれる安定した価値を持つデジタル通貨が広がり、法律整備も進んでいます。日本でも、今年十月には、日本初の円建てステーブルコインの発行が始まり、今後の活用が期待されます。
 そこで、現在、国や民間などの動向について確認するとともに、今後、都事業でステーブルコインの利用につなげられるよう、まずは都内での利用拡大を目指すべきと考えますが、見解を伺います。
 知事は、就任直後から、都民ファースト、情報公開、賢い支出を掲げて、私たちと共に東京大改革を推進してきました。都政を見える化し、情報公開の一環として公金支出情報の公開も行っており、原則全ての支出について案件ごとの内容や金額などの公開がされています。
 今後は、改革の効果を高めるためにも、公開情報の内容をさらに充実するとともに、会計事務などのDXを一層推し進め、データ活用などを通じて都政の情報公開をさらに進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 以上、私たちはこれからも都民ファーストの視点で未来を切り開く政策を提案することをお誓いし、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 後藤なみ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、地方法人課税等の不合理な見直しについてのご質問でございます。
 偏在是正の名の下に都の税収を奪う一連の措置は、地方分権に逆行する地方税制度の改悪でございます。
 現在でも、都民の財源である地方法人二税が、年間一・五兆円も国に奪われております。また、固定資産税は、土地や建物などの資産価値に応じ、行政サービスの対価として都民の皆様にご負担いただいている市町村税であります。こうした都民のための税収を一方的に収奪し、他の自治体に分配するとすれば、もはや地方自治の根幹を否定するものにほかなりません。
 都はこれまで、チルドレンファーストの取組を先駆的に推し進めてきておりまして、こうしたことによって、今年上半期の都内の出生数は十年ぶりに増加に転じております。
 このように、本来、各自治体が地域の実情を踏まえ、必要な行政サービスを展開することが地方自治の基本でありまして、各自治体が個性や強みを発揮できますよう、地方税全体の充実、確保こそが重要でございます。
 東京を狙い打ちしたさらなる不合理な見直しを進める動きには、ファクトを示し、強く反論することに加えまして、地方税財政制度の抜本的な改革に向けて、国などに対しまして、しっかりと働きかけを行ってまいります。
 物価高騰に係る補正予算についてでございます。
 物価高騰の影響は長期化しております。都民生活や中小事業者の経営環境は、依然として厳しい状況に置かれております。このため、都としてなすべき対策を迅速に講じるべく、総額一千八十二億円に及びます補正予算を編成することといたしました。
 具体的には、東京アプリのポイントを活用しまして、都民の生活応援を強化することに加え、現下の物価高の中でも望む人が安心して子供を産み育てられますよう、出産後の家庭に対する支援を充実いたします。
 また、福祉施設など価格転嫁が困難な中小事業者等を下支えするため、物価高騰緊急対策事業につきまして、食材費高騰を踏まえ、支援単価を引き上げるなど、取組内容を拡充しました上で、来月の一月から六か月間継続をいたします。あわせまして、中小企業の賃上げと生産性向上につながる取組など、都内事業者の支援を強化いたします。
 補正予算に盛り込みましたこれらの施策によりまして、対策の強化を図ることで、都民の暮らしや事業者の経営をしっかりと支えてまいります。
 次に、台風被害に関する今後の取組についてでございます。
 台風二十二号、二十三号の接近に備えて、都は、伊豆諸島の各支庁にリエゾンを派遣いたしまして、速やかに災害即応対策本部を立ち上げました。警察、消防、自衛隊など関係機関とも連携いたしまして、人命確保を第一に災害対応に取り組んだところでございます。
 被害のあった八丈町や青ヶ島村へは、先手先手で飲料水や食料等を送るとともに、直ちに応援職員を派遣しまして、避難所の運営や生活再建に向けました住家被害調査のための支援を行いました。関係機関と連携しまして、停電や通信途絶、断水の早期解消にも取り組みました。
 応急復旧から復興の段階となりまして、今後、無電柱化や水道等インフラの強靱化、被災した農業や漁業、中小企業等の施設の再建、整備、観光の本格的な再開、島内の産業を支える雇用の維持など復興に向けました支援を強力に進める必要がございます。
 今般、補正予算を編成したところでございまして、町村と緊密に連携しまして地域のニーズを丁寧に聞きながら、より魅力と活気あふれる島となりますよう、スピード感を持って全力で取り組んでまいります。
 次に、脱炭素化に向けた都の取組についてのお尋ねがございました。
 気候危機の影響が深刻さを増す中、エネルギーの大消費地である大都市といたしまして、レジリエンス向上にも資する脱炭素化に向けた取組の加速は不可欠でございます。
 都はこれまで、先進的な制度の導入や多様な支援策の拡充を重ねてまいりました。都民の省エネ、再エネ支援制度の利用実績は近年急速に伸びてきておりまして、三年前と比較して約五倍となっております。
 都の気候変動対策が広く浸透する中、理解と共感に基づく脱炭素化に向けたムーブメントが都内で大きく進展していると実感をいたしております。
 こうした機運の高まりを捉えまして、今回の補正予算による切れ目のない支援によって、当初予算規模の二倍となる三万世帯に災害時の自立電源にもなります太陽光発電の導入等を強力に後押しするとともに、東京ゼロエミ住宅や省エネ家電のさらなる普及拡大につなげてまいります。
 これらによりまして、世界のモデルとなる災害にも強い発電する未来都市を実現してまいります。
 次に、結婚、子育て支援の情報発信についてでございます。
 少子化の要因は複合的でございますため、私は、結婚や妊娠、出産、子育てといったライフステージごとに都民の共感の得られる施策をスピード感を持って切れ目なく展開をしてまいりました。
 今では、都内の約九割の子育て家庭に、東京は子育てしやすいと実感いただいております。こうした中、今年上半期の都内での出生数は十年ぶりに増加に転じまして、下げ止まりの兆しが見えてまいりました。
 一方で、結婚はリスクとの考え方や子育て罰などの悲観的な捉え方が依然として根強くございます。こうしたネガティブなイメージを払拭し、これから結婚や子育てを考える若年層に対しまして、ポジティブな機運を醸成することが今後の鍵であります。
 このため、都は、幅広い支援策に加えまして、都民の声や取組の成果などについて、若者目線を徹底して、より共感を生む工夫を凝らしながら、戦略的に発信してまいります。
 さらなる施策のバージョンアップを図りながら、結婚や出産を望む都民のかなえたいを強力に後押ししてまいります。
 次に、アフォーダブルな住宅の供給についてでございます。
 都民の生活の基盤を確保し、都市の活力を維持していくためにも、民間活力や既存ストックを活用しまして、子育て世帯等が手軽な価格で安心して住むことができる住宅の供給を誘導していくことが重要でございます。
 このため、都は、二〇五〇東京戦略に子育て世帯等へのアフォーダブル住宅の供給を掲げまして、今年度、官民連携ファンドの組成や空家の活用を推進しております。
 さらに、今後、都市開発に合わせました誘導のほか東京都住宅供給公社と連携しまして、周辺環境や間取りなど子育て世帯に適した既存の公社住宅を活用した供給につきましても、実施に向けて具体的なスキームの検討を進めてまいります。
 こうした取組を含めて、アフォーダブル住宅の全体像を都民に分かりやすく示しながら、施策を総合的に展開しまして、次代の東京を担う子供を育てる世帯などにとりましても、住みやすい都市づくりを推進してまいります。
 次に、都立高校の魅力向上についてでございます。
 これからの社会や経済の変化の加速する中、東京を担う子供たちが、多様な状況を柔軟に受け止め、力を発揮する教育の展開は不可欠でございます。この取組を都立高校から率先して進め、その魅力向上につなげる有識者の議論が始まりました。
 こうした検討では、子供たちが世界を舞台に活躍できますよう、英語やAI等のデジタル技術の教育に重点を置く学校づくりの提案などが出ております。これに合わせまして、日々の学校生活を快適な校舎で送るため、ハード面からの環境整備も重要なテーマとなりまして、速やかな対応が大切でございます。
 デジタルの力を使い、子供たちが時間や場所を自由に選び学習を進める新たな教育のスタイルの展開に合わせまして、教員も知識を伝えるだけではなく、個々の生徒に応じた学びをつくり上げる力を高めることは不可欠でございます。
 これらの議論をしっかりと受け止めて、教育委員会との連携の下、数多くの生徒から選ばれる優れた魅力のある都立高校へと磨き上げてまいります。
 次に、デフリンピックの成果についてでございます。
 日本で初めて開催されましたデフリンピックは、大会史上最大規模の選手を世界中からお迎えをしまして、約三十三万人の観客が来場するなど、百周年の記念にふさわしい大会となりました。
 大会の象徴である開閉会式では、聞こえない人と聞こえる人が心を通わせ、息の合ったダンスなどで、共に一つのパフォーマンスをつくり上げました。互いを深く尊重し合うその光景は、目指すべき共生社会の姿を鮮やかに映し出す、希望に満ちたものでございました。
 デフリンピックスクエアでは、最新のユニバーサルコミュニケーション技術を集めたみるTechを展開しまして、多くの方に技術の力で言葉の壁を越える感動と驚きに満ちた体験を届けました。
 大会を通じて紡がれましたこうした様々な成果を社会に根差すレガシーへと昇華させ、全ての人が輝くインクルーシブなまち東京の実現に向けまして、その歩みをさらに加速させてまいります。
 次に、認知症の医療についてでございます。
 認知症のある高齢者の増加が見込まれる中、認知症になってからも住み慣れた地域で安心して暮らし続けられますよう、かかりつけ医や病院、介護施設等が連携しまして、必要なサービスが切れ目なく提供されることが重要であります。
 都は今年度、都内の認知症医療の実態を把握するため、当事者や医療機関等に対して調査を行いました。
 ご本人やご家族からは、入院先がなかなか見つからなかったという声、医療機関や介護施設からは、入退院の際、施設間の連携などに課題があるなどの意見が寄せられております。
 今後、調査結果を踏まえまして、認知症のある人や家族が安心して地域で暮らせますよう、認知症の医療提供体制について検討してまいります。
 次に、女性活躍推進条例についてのお尋ねでございます。
 都市の活力の源泉は人であります。人口の半分を占める女性が、その個性や能力を発揮できる、すなわち活躍できる環境を創出し、東京の明るい未来を切り開くため、新たな条例案を提出いたしました。
 雇用、就業分野におけます女性の活躍は、本人の自己実現だけではなく、企業の競争力にもつながるものであります。
 都はこれまで、性別によらず経験を積み、成長できる職場づくりが進みますよう、様々な施策を展開してまいりました。
 本条例を契機に、それらを統合、強化いたしまして、男女ともに活躍できる環境整備に前向きに取り組む企業を後押しいたします。個性や能力を発揮する女性の姿を通じまして、社会全体の意識醸成につなげてまいります。事業者には、さらなる一歩を主体的に踏み出していただきたいと考えております。
 新たな条例を原動力として、持続可能で誰もが生き生きと暮らす社会を目指してまいります。
 次に、スタートアップ戦略の加速についてであります。
 三年前、五年で十倍という高い目標を掲げましたスタートアップ戦略は、幅広い関係者と試行錯誤を重ねまして、爆速で取組を進めてきた結果、この間、官民協働は二十八倍になり、SusHi Tech Tokyoはアジア最大級に成長いたしました。TIBは、二年で三十一万人が来場する都内、全国、そして世界を結ぶ結節点となりました。
 世界の都市で成長に向けた競争が激化する今、築き上げたプラットフォームを土台に、戦略をバージョンアップいたしまして、取組を加速してまいります。キーワードは、グローバルとスケールアップであります。
 世界市場を見据える有望企業を厳選し、その第一弾として、約三十社を今月発表いたします。官民の様々なファンドから成る新たな枠組み、SusHi Techグローバルファンズを創設いたしまして、クライメートテックなどへの戦略的な投資によって飛躍的な成長を生み出してまいります。
 みんなでつくる、みんなで進めるを合い言葉に、持続可能な社会と都民の豊かな暮らしに向けまして、戦略二・〇を強力に推進してまいります。
 イノベーションの集積についてであります。
 東京は、革新的な技術を持つ中小、スタートアップや大学、グローバル企業が集う世界有数の産業集積地でございます。東京が持つポテンシャルを伸ばし、イノベーションの好循環を生み出すことは、都内経済を牽引する原動力となります。
 新たな技術、サービスの実用化に向けまして、大企業とスタートアップとの連携や協業を促進するとともに、脱炭素の鍵を握るCO2回収技術など、先進的なGX技術の社会実装を支援しております。
 技術の進展のスピードは加速しています。今後は、社会課題を解決するディープテックの発掘やAIやロボティクスなどをはじめとする革新的な研究開発拠点等の立地を進めるなど、イノベーションの苗床を増やしてまいります。
 こうした取組によりまして、イノベーションの種を次々と花開かせ、東京の持続的な経済成長を実践してまいります。
 宿泊税の見直しにつきましてご質問がございました。
 各国の観光都市との競争に打ち勝つためには、観光施策を充実強化し、東京の魅力に一層磨きをかけるとともに、持続可能な観光の発展に向けた取組も推進していくことが不可欠でございます。
 こうした考えの下、東京を訪れる皆様からも応分の負担をいただき、持続可能な観光振興を財政面から支える観点から、このたび宿泊税の在り方を見直しまして、素案として公表いたしました。
 見直しに合わせまして、各種調査などを踏まえて策定される観光振興計画の活用など、使途の明確化や透明性の向上を図ってまいります。
 さらに、観光に関する都民の皆様の声も踏まえまして、観光と生活の調和を図る取組を推進するため、ごみ対策やマナー啓発等の財源に活用するなど着実に対応してまいります。
 その上で、低廉な宿泊への配慮や税の公平性、中立性などの観点も踏まえまして、課税免除の基準や税率を改めることといたしました。
 観光の発展が東京を訪れる観光客だけでなく、都民の皆様にも共感をいただけるものとなりますよう、今後も全力を尽くしてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校生の海外での交流の推進についてでございますが、都教育委員会では、国際交流に意欲的な都立高校の生徒が、海外で現地の高校生や企業の幹部等と一週間程度の交流を図る取組を進めてまいりました。
 こうした学校に加えまして、今後、より多くの高校で海外での交流が実施できるよう、交流数の拡充のほか滞在期間の延長を検討し、取組を強化いたします。また、海外交流の拡充に伴いまして実務の増加が想定されるため、外部機関との連携を含め適切で持続可能な体制づくりについても研究を進めてまいります。
 これらの取組を通じまして、都立高校全体の国際教育の質と量のさらなる向上を図り、国際都市東京にふさわしいグローバル人材育成を力強く推進してまいります。
 次に、公立学校の働き方改革の推進についてでございますが、公立学校の働き方の改革を進める上で、教員が仕事を効率的に行う取組を主体的に進め、それを現場同士で共有することは効果的でございます。
 これまで都教育委員会は、公立学校に専門家を派遣し、ワークショップを開き、教員自ら仕事の効率化に積極的に取り組む後押しを行いました。これによりまして、業務のデジタル化や書類の共通化を図るなどの工夫が進み、仕事の負担軽減が数多く実現をしたところでございます。
 今後、こうした事例を増やすほか、優れた成果に関し取組の過程を含め取りまとめ、多くの学校と共有し、教員の主体的な業務改善につなげます。
 これによりまして、学校での働き方改革を着実に進めてまいります。
 次に、不登校の子供への支援の充実についてでございますが、公立の小中学校の学級で学ぶことが難しい不登校の児童等について、校内の部屋で受け入れ、学習の指導や相談などの充実を図ることは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、不登校の子供に関し、空き教室で勉強の指導を行う人材の活用等を後押しをしてまいりました。具体的には、区市町村が人材を配置する経費に助成するほか、これに合わせ教室の整備も行う場合は、国の補助も使い支援を実施しております。
 今後、不登校の子供を別室で指導する学校を増やすため、人材確保や施設整備に関し、地元負担を抑えつつ、国の補助も活用した対応に力を入れてまいります。
 これによりまして、不登校の子供を適切に支援をいたします。
 最後に、都立高校に通う障害のある生徒についてでございますが、都立高校で様々な障害のある生徒に係る教育を行うため、教員が知識やスキルを確保し、より適切な指導に力を入れる体制をつくることは重要でございます。
 これまで都教育委員会は、発達障害のある生徒が都立高校に通う場合、その指導を担う教員に対し、特別支援学校による支援を行ってまいりました。具体的には、特別支援学校の教員が高校に出向き、生徒の障害の状況に応じた相談や助言等を実施しているところです。
 今後、高校で知的障害などのある生徒も含めた教育をより適切に進めるため、特別支援学校からのサポートの充実に力を入れてまいります。また、そうした生徒への指導等に専念できる仕組みづくりも進めてまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害拠点への止水板設置についてでございます。
 災害時に要支援者が使用する病院などの施設におきまして、止水板設置等による浸水対策を進めていくことは重要でございます。
 止水板設置につきましては、これまで補助制度を有する区市町村が、都民や民間事業者の整備に合わせ助成してまいりました。
 都は、この取組を加速するため、区市町村の補助事業を対象に、今般補正予算を計上し、区市町村負担分の二分の一を補助する制度を立ち上げました。
 これにより、住宅や民間施設を含む災害拠点などの施設で浸水対策を強化してまいります。
 次に、グリーンインフラについてでございます。
 グリーンインフラは、自然環境が有する機能を社会の様々な課題解決に活用する考え方でございます。
 都は、令和六年度から雨水貯留浸透量や暑熱緩和効果の計測を行い、有識者の意見を聞きながら、年度内公表に向け、グリーンインフラの定量評価の検討を進めております。
 また、今年度は、自治体における補助要綱策定が進むよう、定量評価の手法や効果を共有するなど、技術的な支援を実施しております。
 こうした取組により、地元自治体と連携し、効果的な流域対策としてのグリーンインフラ実装を強力に推進してまいります。
 次に、地域公共交通の取組についてでございます。
 運転士不足などから路線バスの減便、廃止が進んでおり、持続可能で利便性の高いネットワークの実現が急務でございます。
 このため、都は、路線バスに加え、これを補完するコミュニティバス等を含めた地域公共交通につきましてサービスの在り方を検討しております。
 また、各地域において運転士不足にも対応しつつ、区市町村による効率的かつ利便性を確保したネットワークへの再編を促す方策を検討しております。
 こうした結果を令和八年度の基本方針改定に向け、年明けに公表する中間まとめに反映し、持続可能な地域公共交通の実現に取り組んでまいります。
 最後に、バス運転士確保の取組についてでございます。
 不足するバス運転士を確保するためには、官民が一体となり、多角的な対策を早急に進めていくことが重要でございます。
 都は、業界団体と連携した就労イベントや中高生対象の職業体験の開催等、多様な人材の獲得に向け、バス運転士の魅力を効果的に発信しております。
 一方、外国人を含む多様な乗客への対応や、深夜、早朝勤務にも適した職住近接など働きやすい環境整備に向け取り組む必要がございます。
 こうした状況も踏まえ、バス運転士の確保に向けたさらなる方策につきまして検討し、公共交通としてのバス事業が持続可能となるよう取り組んでまいります。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕

○デジタルサービス局長(高野克己君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京アプリに係る最終検証についてでございますが、都民生活のさらなる応援のため、一万一〇〇〇ポイントへ引上げ実施する東京アプリ生活応援事業は、多くの都民が対象となるため、その円滑な実施に向け様々な視点からの検証が必要でございます。利用者が安心して参加いただけるよう、検証では、都民の協力を得て、ポイント申込みまでの一連の操作を行っていただきます。重複申込みなどエラー発生の有無、アクセス集中時の処理性能等を検証するとともに、コールセンターなど運用面の確認も行います。
 年明けに検証結果の分析と必要な対策を行った後、事業の速やかな開始を目指します。多くの都民に利用いただけるよう準備を丁寧に進めてまいります。
 次に、先端的な通信手段の活用についてでございます。
 災害時でも通信を可能とするため、多様な手段によりつながる環境を確保することは重要でございます。
 都はこれまで、山間部や島しょ地域、船舶での衛星通信の実証を行い、実装につなげてまいりました。
 現在、成層圏を活用し、地上基地局を必要とせず高速大容量の通信を可能とする最先端の技術、いわゆるHAPSの開発が進んでおります。都としてこうした動向を注視しながら、有識者等との議論を深め、災害対策や通信困難地域の解消等に向け、社会実装を見据えた検討を行ってまいります。
 こうした取組により、多様な通信手段を組み合わせ、いつでもどこでもつながる東京を実現してまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕

○福祉局長(高崎秀之君) 九点のご質問にお答えいたします。
 まず、赤ちゃんファーストプラスについてでございますが、都は、現在、子供を産み育てる家庭を後押しするため、育児用品や子育て支援サービスなどと交換できる十万円相当の赤ちゃんファーストギフトを提供しております。
 今般、現下の物価高の状況などを踏まえ、国の交付金を活用しまして、出産後の子育て家庭への負担を軽減するため、令和八年一月から令和九年三月までの間に子供が生まれた家庭に対し、従来の十万円に三万円を加え、合計十三万円相当の支援を実施いたします。
 こうした取組を通じまして、望む人が安心して子供を産み育てられる環境を整えてまいります。
 次に、病児保育についてでございますが、都は、病児保育の充実を図るため、病児保育施設の運営や保育所などで体調不良の子供に対応する看護師の確保に要する経費を都独自に補助するほか、オンラインでの予約システムの構築を支援するなど、利用者の利便性向上を推進しております。
 また、今月から新たにベビーシッターを利用した病児保育を開始しまして、その効果や課題について多角的に検証いたします。
 今後、こうした検証で得られた知見なども踏まえながら、安心して子育てができる社会の実現に向けまして、病児保育の充実に積極的に取り組んでまいります。
 次に、とうきょう若者ヘルスサポートについてでございますが、都は、思春期特有の健康上の悩みなどに対応するため、電話、メール、対面での相談を実施しておりまして、今年度は毎日応じられる体制を確保するとともに、対面相談の会場を拡充するなど利便性の向上に取り組んでおります。相談窓口には、体や心に関する相談のほか、月経痛や予期せぬ妊娠への不安などの相談も寄せられておりまして、相談から受診まで切れ目なく対応できる医療機関において、支援を受けられるようにすることも重要でございます。
 こうしたニーズを踏まえまして、今後、中高生等の若者が、身近な地域で体や心の悩みを安心して相談できるよう、医療機関の活用を含め対応を検討してまいります。
 次に、放課後等デイサービスについてでございますが、障害児の状況などに応じて自立支援などのサービスを適切に提供することは重要でございます。放課後等デイサービスの利用料は、国が保護者の収入に応じて負担上限月額を設定しておりまして、都は、国に対して、利用者負担の在り方の検討を行うよう提案要求しております。
 また、昨年度の調査では、約半数が負担上限月額までサービスを利用していないほか、障害の特性に応じた支援が十分でないなどの状況が見られました。
 今後、障害者・障害児施策推進計画の改定を見据え、サービス量の拡大、質の向上に向けて詳細な分析を行いまして、利用者負担の実態をさらに把握しながら、施策の充実を検討してまいります。
 次に、障害者の居場所の確保についてでございますが、特別支援学校などを卒業した障害者が、ニーズに応じて切れ目のない支援を受けられる体制を構築することは重要でございます。
 都が実施した調査では、四十三の自治体から、就労する家族の増加などにより、夕方の居場所のニーズがあるとの回答がある一方で、居場所の検討に当たっては、人材や場所、移動手段の確保など様々な課題が挙げられました。
 都は、こうした課題の解消を図り、より多くの障害者や家族のニーズに応えられるよう、区市町村と連携しまして、地域における居場所の確保に向けた具体的な施策の検討をさらに進めてまいります。
 次に、一人暮らし高齢者への支援についてでございますが、都は、高齢者が元気なうちに、死後の対応などの助言が受けられる総合相談窓口の設置などを行う区市町村を包括補助により支援しておりまして、現在、八自治体が活用しております。
 それらの自治体では、相談業務に加えまして、病気や死亡時に必要な情報を医療機関などに伝えられるよう、あらかじめ登録する事業などを展開しております。一方、登録していない方が医療機関に緊急に入院した場合などの対応が求められております。
 今後、一人暮らし高齢者の大幅な増加が見込まれる中、区市町村が地域の実情に応じた取組を積極的に展開できるよう、支援の充実を検討してまいります。
 次に、特別養護老人ホームにおける医療的ケアについてでございますが、今年度実施した特別養護老人ホームへの調査では、医療ニーズの高い方の受入れには、看護職員の二十四時間配置が有効であるとの意見があった一方、経管栄養を必要とする方などの受入れが困難な状況が分かりました。また、区市町村への調査では、医療的ケアを理由に施設入所ができないという相談を受けたことがあるとの回答が約四割ございました。
 こうした結果も踏まえまして、特別養護老人ホームにおいて、医療的ケアを必要とする高齢者の受入れがさらに進むよう、施策の充実を検討してまいります。
 次に、ビジネスケアラーへの支援についてでございますが、介護と仕事の両立には、介護に関する情報を適時適切に入手できることが重要でございまして、都は、介護保険制度などについてホームページ等で周知するほか、利用者が適切にサービスを選択できるよう、事業所の情報を公表しております。
 また、今年度から、中小企業における介護離職を防止するため、知識、経験が豊富な介護支援専門員を派遣しまして、介護サービスの利用などについて講義や個別相談を行う事業を開始いたしました。
 介護に関する必要な情報に迅速にたどり着けるよう、現在デジタルを活用した取組を検討しておりまして、介護に直面しても安心して働き続けられる環境の整備を推進してまいります。
 最後に、福祉分野における暑さ対策についてでございますが、都は、今夏の記録的な暑さを踏まえまして、保育所などでの日よけ等の設置や高齢者に対する暑さ指数計測器の配布など、熱中症対策に取り組む区市町村に対し、今年度に限り緊急的な対応として補助率を引き上げて支援いたしました。
 また、サービス提供に外出が伴う訪問介護事業所などを対象に、ファン付作業着等の購入経費を今年度から支援しております。
 今後、障害者をはじめ熱中症リスクの高い方への支援や事業者における暑さに配慮した職場環境づくりが進むよう、区市町村や訪問系サービス事業所への支援を検討してまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕

○環境局長(須藤栄君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、八丈町の災害廃棄物処理支援についてでございますが、都は、発災直後から、職員を延べ四十人以上派遣し、迅速な復旧に向けた支援に取り組んでまいりました。
 具体的には、倒木や片づけごみなどの災害廃棄物について、六か所の仮置場の開設を支援するとともに、廃棄物の適切な分別等に係る現地での助言など円滑な運営をサポートいたしました。加えて、速やかな処理に不可欠な町による廃棄物発生量の推計や処理基本方針の作成について、積極的に携わってまいりました。
 今後、円滑な公費解体に向けた支援を行うとともに、都内自治体などとの連携体制の構築により、災害廃棄物の島外への搬出と都内での処理を早急に進めることで、早期復興に全力を挙げてまいります。
 次に、屋外で働く方への暑さ対策についてでございますが、暑熱環境は、屋外で働くエッセンシャルワーカーに深刻な健康影響を及ぼすため、事業者などと連携した作業環境の改善を図る取組が重要でございます。
 このため、都は、各業界の現場に専門家を派遣し、業務特性を踏まえた暑さ対策のガイドラインの作成を支援しております。また、屋外作業員等の健康リスク低減に効果的なファン付ウエアなどの購入を後押ししております。さらに、廃棄物の収集事業者に向けた相談窓口を設け、従業員の熱中症予防のために必要な助言を行っております。
 今後、猛暑の中、屋外で生活基盤を支える業務の従事者が快適に働けるよう、随時サポートする仕組みを検討いたします。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、台風被害への対応についてでございます。、
 被害を受けた産業の復旧、復興に向けまして、事業者の再建を進めるとともに、その担い手である従業員の雇用を維持することは重要でございます。
 都は、被災事業者の早期かつ安定的な事業立ち上げに向け、建物等の復旧支援や給料等相当額の五分の四を補助する事業を速やかに開始いたします。
 また、雇用が継続できますよう、被災した月の給料等に遡って補助対象とするとともに、現地で申請方法等の説明機会を設けるなど丁寧なサポートも行います。離職し島外へ転出した従業員が島に戻り再就職する際の交通費も補助対象といたします。これらによりまして、一日も早い復旧を強力に後押ししてまいります。
 次に、業務用車両のEV化への後押しでございます。
 事業者が大規模にEVを導入するためには、受皿となる環境を整えることが重要でございます。
 都はこれまで、事業者へのEV購入費用の補助を行ってまいりましたが、事業者がEVをまとめて導入するには、充電スケジュール等の管理計画の策定など業務用車両特有の課題への対応が必要となります。
 今後は、導入計画から実際の運用までシームレスな後押しを検討いたします。また、補助実績データなどから、EVの導入状況を分析いたしまして、EV活用が見込まれるにもかかわらず採用が進んでいない事業者に対して、アウトリーチで導入を促すなど、業務用車両のEVへの置き換えを推進してまいります。
 続きまして、アフォーダブル住宅の供給についてでございます。
 都は現在、来年二月のファンド契約締結を目指し、ファンドスキーム等の詳細につきまして、選定した運営事業者候補四者と個別に調整を進めております。
 家賃につきましては、市場家賃の八割や平均で七割五分程度とする提案を受けてございます。
 今後、より多くの子育て世帯等が入居できますよう、供給戸数の増加や事業趣旨に合った入居要件等の設定、定期借家契約の活用などを各事業者候補と調整してまいります。
 また、投資対象物件につきましては、戸建ての空き家や集合住宅など多様な住戸が提案されております。具体的な物件は今後選定されることとなっておりまして、ファンド契約締結までの過程において、可能な限り供給地域の偏在に配慮するよう求めてまいります。
 次に、働く女性の健康支援についてでございます。
 女性が健康を保ちながら仕事を続け、その力を十分に発揮できる職場環境づくりを進めることは重要でございます。
 都は、女性に特有の健康課題への理解を促すため、専門家による解説や健康診断の工夫を行った企業の取組事例等の情報を発信しております。企業健診の活用に当たりましては、検査内容を理解する研修の実施や相談体制の充実など、受診者である女性従業員への配慮が求められます。
 今後、女性が健康を維持しながら働き続けられるよう、普及啓発等を進めますとともに、企業の実情やニーズの把握を行い、幅広い女性の健康に関する方策について検討してまいります。
 次に、東京の産業の担い手育成についてのご質問でございます。
 人手不足が深刻化する中、東京の持続的な成長を実現するためには、働く方のスキルアップを強力に支援し、生産性を高める取組が重要でございます。
 このため、都は、職業能力開発センターで、中小企業の従業員に対し、電気工事や管工事等に必要な技能の向上や資格取得を支援してございます。
 また、中小企業が社員に行う研修の受講経費を最大百五十万円助成するなど、スキル向上を促しております。
 今後、中小企業が従業員の資格取得等を後押しできる支援を検討し、都民の生活を支える人材の育成を進めてまいります。
 次に、賃上げへの支援についてでございます。
 働く方が安心して生活できますよう、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものとしていくことは重要でございます。
 都は、手取り時間の創出や従業員のエンゲージメント向上に向けた取組等と併せて賃上げを行う中小企業を支援しております。具体的には、専門家による課題把握や制度構築等への助言の後、企業が取組を行い、その実施を確認した上で奨励金を支給することとしております。
 今後、賃上げの実効性の確保と奨励金の速やかな支給の両立を図る方策について検討を進め、中小企業の持続的な賃上げを後押ししてまいります。
 次に、働く方への暑さ対策についてでございます。
 近年、猛暑日の増加など夏の暑さが課題となっておりまして、現場で働く方々の熱中症対策や企業の事業継続を後押しすることは重要でございます。
 都は、テレワークを導入する中小企業等への助成金におきまして、猛暑時等のBCPとしてテレワークを活用することを求めております。また、現場作業の社員に対して、電動ファン付ウエア等を貸与するなどの熱中症対策を併せて行う場合は、最大五十万円を加算しております。
 今後、企業等の実態を踏まえた利用しやすい支援策を検討するなど、暑さに配慮した職場環境づくりが一層進むよう取り組んでまいります。
 最後に、都内のステーブルコイン利用の拡大についてでございます。
 都はこれまで、金融のデジタライゼーションを国際金融都市構想の柱の一つに掲げまして、フィンテックなど新たなイノベーションの普及支援を行ってまいりました。
 新しい決済インフラとして期待されますステーブルコインにつきましては、日本で初めて本年十月に発行されて以降、既に保有者は三万人に達し、流通サービスも複数登場しております。
 また、国もメガバンク等による共同発行の実証実験を支援するなど、デジタル決済の高度化に向けた検討が進んでおります。
 都といたしましても、先進的な発行事例の紹介等の方策を検討し、ステーブルコインの社会実装を促進してまいります。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕

○保健医療局長(山田忠輝君) 災害時の医療体制に関するご質問にお答えをいたします。
 都は、災害時における傷病者の受入れ体制を確保するため、現在八十四の災害拠点病院を指定しており、その全てが耐震化を実施し、非常用自家発電設備を備えております。
 また、避難生活における災害関連死を防ぐため、今年度、災害医療協議会において、区市町村や医療関係者と共に、高齢者などの要配慮者に対する医療提供について検討を進めております。
 今後、病院が災害時に医療を担うための施設整備、BCP策定等への支援や区市町村が設置する避難所への医療チーム派遣の仕組みづくり等を推進し、災害時の医療体制を充実してまいります。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕

○生活文化局長(古屋留美君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都の結婚支援事業についてでございますが、結婚を希望する方が、婚活を安心して進められる環境を整備していくことは重要でございます。
 都は、マッチングシステムであるTOKYO縁結びの運用に当たりまして、本人確認書類や独身証明書の提出を求め、さらに、面談も行うなど安全性を確保しております。また、昨年度は、民間事業者団体との連携会議を立ち上げまして、その中でマッチングアプリの信頼性についても議論をしております。
 今後は、独身を誓約することを要件とした事業者団体による認証制度について、その普及や認知度向上を図り、PRのための動画を官民協働で制作、発信するなど、業界全体の安全性を一層強化してまいります。
 次に、東京都男女平等参画推進総合計画の改定についてでございますが、誰もが社会のあらゆる分野で個性や能力を発揮できる社会の実現は重要でございます。
 計画改定に向けた審議会の議論の中では、男性も女性も自らが希望する生き方を選択できるよう、雇用や就業などの働く場に限らず、ボランティアなどの地域での活動や、家事や育児などの家庭生活においてもそれぞれ力を発揮できるよう支援すべきとされております。
 今後、最終答申を踏まえ、例えば女性活躍推進大賞では、地域で活躍する女性にもより光を当てるほか、男性の家事、育児参画を支援する取組なども計画に盛り込んでまいります。
 最後に、江戸東京博物館のリニューアルに当たってでございますが、江戸東京の歴史を伝える体験型の博物館として、江戸の庶民に身近であったまち中でのアサガオ売りや天ぷらの屋台などを再現するほか、将軍家の婚礼で使われた豪華なかごの内部を姫君の目線でかいま見られる3D画像などを用意いたします。また、甲冑や着物の試着体験など、子供や外国人向けのイベントも充実いたします。
 さらに、三階のオープンスペースの天井を広大なスクリーンに見立て、収蔵する北斎の富嶽三十六景の浮世絵などをダイナミックな動きで魅せる屋外展示などを行います。
 こうした取組で、国内外から新たなファンを獲得し、江戸から東京に続く文化の魅力と歴史的な価値を広く発信してまいります。
〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕

○子供政策連携室長(田中愛子君) 二点のご質問にお答えします。
 まず、中高生Webサイト(仮称)についてでございますが、都は、公募で選ばれた中高生と共に、今月中のベータ版公開に向け制作を進めております。サイトには、AI相手の英会話コンテンツに加え、ギュッとチャット等の相談サービス、中高生自らが都の関連施設や事業を取材した記事等を掲載いたします。ベータ版公開後は、都内中高生から広く意見を聞き、来年三月の本格稼働に向け、コンテンツの内容をさらに充実させてまいります。
 今後、本サイトが、中高生と都政をつなぐ結節点の役割を果たせるよう、SNSやインフルエンサーを活用した戦略的な広報を行ってまいります。
 また、各局や区市町村等と連携し、学校や地域のユースセンター等にも周知徹底を図ってまいります。
 次に、子供の遊びにおける暑さ対策についてでございますが、子供は遊びを通じて実社会で生きる力を育んでいきます。子供の遊びの環境づくりを推進するため、都はこれまで、子供の意見を踏まえた様々な遊び場の整備を支援してまいりました。
 今後は、夏の暑さが深刻化する中にございましても、障害の有無にかかわらず、全ての子供が思い切り遊べるよう、インクルーシブな視点も取り入れながら、遊び場の暑さ対策を進めることが求められます。
 このため、プレーパーク等での暑さの軽減に資する施設の設置や屋内遊び場の整備、障害など子供の特性に応じた暑さ対策用品の導入など、暑さ対策に取り組む区市町村への支援の在り方について検討してまいります。
〔会計管理局長梅村拓洋君登壇〕

○会計管理局長(梅村拓洋君) 公金支出情報の公開に関するご質問にお答えをいたします。
 公金支出に係る情報公開は重要でございまして、都はこれまでも、支払い内容や支払い額等を毎月公開するなど、透明性の向上を図ってまいりました。また、デジタル化による事務の共同化についても準備を進めてまいりました。
 こうした考えの下、これまで各局ごとに公開してきた補助金等の支出情報について、データを集約し、令和六年度決算分からオープンデータとして公開をいたします。
 これまで準備を進めてきました新たなシステムの構築等により、AIなど先端技術を活用しながら、会計事務全体のDXを進め、支払い先を含めた公金に係る情報公開の充実に向けて取り組んでまいります。

○議長(増子博樹君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時三十五分休憩