令和七年東京都議会会議録第十四号〔速報版〕

○議長(増子博樹君) 四番さとうさおりさん。
   〔傍聴席にて拍手する者あり〕

○議長(増子博樹君) 傍聴席に申し上げます。拍手はやめてください。
   〔四番さとうさおり君登壇〕

○四番(さとうさおり君) 特別会計の消費税が二十年間以上未納であった件について伺います。
 令和七年九月、都は、東京都都営住宅等事業会計における消費税の無申告を公表しました。無申告期間は、二〇〇二年度から二〇二二年度の二十一年間分です。
 しかしながら、国税庁からの照会を受けた令和七年五月より前、令和六年には、都は、担当税理士法人であるデロイトトーマツ税理士法人から、二〇二二年度以前も課税売上高が一千万円を超えている、すなわち過年度も申告義務があるとの指摘を受けていました。
 なぜ、この指摘の時点で、都は期限後申告をしなかったのでしょうか。令和七年五月に、国税庁の照会を受けるまで放置していたことは、都の重過失であると考えます。
 二〇二三年度の申告時点には、過年度の課税売上高が一千万円を超えていたということは、担当税理士法人と都の間での共通認識であったのか、いま一度、都の認識を伺います。
 また、当時、どのような判断により期限後申告をしなかったのか、都の対応を伺います。
 特別会計は、地方自治法二百九条の二に定めがあるとおり、一般会計とは区分して経理されています。
 東京都会計事務規則第九十九条の四及び第百条のとおり、歳入歳出予算の執行状況などは各局の責任で記録され、税務申告や申告後の書類保管に関しては局長が保管することになっています。
 つまり、特別会計は他局や議員が関知せず、局の責任で税務申告まで完結することができてしまうという体制で運用されており、東京都が重大な税務リスクを打ち取れる内部統制を構築できていなかったということだと受け止めています。
 内部統制の再構築を強く要望するとともに、特別会計は、会計士や監査法人などの専門家に任意監査を依頼するのが適切だと考えますが、東京都の見解を伺います。
 また、監査委員、監査事務局、包括外部監査、東京都議会、これだけの行政監視機関があるのにもかかわらず、二十年以上誰も無申告に気づきませんでした。
 現状、議員に与えられた調査権限は不十分です。開示請求によらずとも税務申告書類を閲覧できるようにすること、担当税理士法人などの専門家にもヒアリングができるようにするなど、議員の調査権限を拡充すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 情報公開について伺います。
 東京都は平成二十八年、都政改革本部を設置し、情報公開は都民ファースト都政の基盤、自律改革を進めていく上では、原則全て情報公開の考え方が有効、補助金等を所管する全局の情報公開ポータルサイトにおいて、補助金等の支出状況を公開との考えを示しました。
 しかしながら、令和二年、都政改革本部が廃止されてから、東京都各局の補助金等支出状況は、ほぼ全ての局で更新されなくなりました。
 補助金等支出状況を公開している各局の直近決算年度と更新が止まっている理由及び公開していない局は、この先、公開していく考えがあるのか、都の見解を伺います。
 また、都は今後、地方自治法で求められている情報開示以上の決算情報を、自主的に公開するつもりはありますでしょうか。その際、会計管理局が主導して、補助金の支払先、金額、日時ごとの決算情報を公開する考えはありますでしょうか。都の見解を伺います。
 次に、宿泊税の見直しについて伺います。
 現在、主税局内で宿泊税の見直しをしており、年内までに方向性を決めるとのことですが、宿泊税増税となると、廃止されたはずの特別地方消費税との違いがいよいよなくなってきます。
 特別地方消費税は、昭和二十五年の二〇%から始まり、平成十二年には免税点一万五千円を超える宿泊料金に三%の税率がかけられていました。
 廃止を求める声の高まりにより、平成十二年に廃止されましたが、平成十四年には宿泊税と名前を変え、宿泊料金の一%程度に課税する法定外目的税として、事実上の復活を果たしました。
 都が観光産業に本腰を入れ始めた二〇一五年頃から、観光産業振興費は増加の一途をたどっていますが、戦略的に増やした予算の財源を、ホテル、旅館業界の利用者狙い撃ちで増税を求めるのは不公平ではないでしょうか。都の見解を伺います。
 また、観光客増加に伴い、治安維持の予算が必要になるのは明らかですので、東京都宿泊税条例第一条に、治安維持に要する費用という文言を追加すべきではないかと考えますが、目的の範囲を広げることに関して、都の見解を伺います。
 宿泊税は、宿泊者に課されますが、物価高に苦しむ日本国民に、これ以上の増税は避けるべきです。
 日本国が締結した二国間租税条約には、ほぼ例外なく、無差別条項が置かれていますが、居住者と非居住者を区別してもよいことが暗黙の前提とされています。
 例えば、日本の所得税は、居住者に対しては、全世界所得に課税し、非居住者に対しては、国内源泉所得に課税します。租税条約の無差別条項が内外差別を禁止するとはいえ、国内法で合理的な内外区別を行うことは許容せざるを得ないという揺るがない事実があります。
 非居住者に対してのみ宿泊税を課す案について、都の見解を伺います。
 次に、免税店について伺います。
 二四年の外国人観光客による国内消費は八兆円台、消費税免税額は二千億円超と推計されています。
 免税制度を撤廃すると、国内全体で二千億円の税収増が見込めますが、うち都内の消費金額と免税額を把握していますでしょうか。都の認識を伺います。
 また、都は、免税手続カウンターの設置や電子マネーによる支払手続の導入などの助成をしてきましたが、今後も免税店の拡大に向けた取組を続ける方針でしょうか。都の見解を伺います。
 観光産業のために、そこに住まう我々都民の生活が犠牲にならないような取組を要望します。
 次に、都立病院の未払い医療費について伺います。
 近年、外国人患者の未払い医療費について、都民の関心が高まっております。
 そこで、地方独立行政法人になった後の令和五年度、六年度の都立病院の個人未収金総額と、うち外国人患者の未収金額を在留資格別に伺います。
 都は、不法入国者や不法残留者等を緊急治療した結果生じた未払い医療費を、医療機関に対し補填しています。
 令和四年度から六年度までの補填金額及び対象となった施設数を伺います。
 医師法第十九条一項には、医師の応招義務が定められており、治療費を支払うことができないこと、または不法滞在者であることのみを理由として診療を拒むことはできません。
 未払い医療費は、医療機関の経営を悪化させ、結果として医療の質の低下や社会保険料の増加を招く要因となっています。
 国籍別、在留資格別に未払い医療費の実態把握に取り組まれるよう、強く要請します。
 次に、訪日外国人の診療単価について伺います。
 言語や文化的、宗教的背景の違いから、コミュニケーションに時間がかかるなどの理由により、訪日外国人の診療に要する時間は日本人より長くなる傾向にあり、医療機関は通常の診療と比較して多くの費用を負担する必要があります。
 厚生労働省は、訪日外国人の診療価格算定方法マニュアルを示しており、国立国際医療研究センター病院では健康保険点数の三〇〇%を設定しています。
 一方、都立広尾病院では、健康保険に加入していない外国人に対して一〇〇%、すなわち保険診療に相当する金額を請求しており、相対的に低い治療費で医療を提供しています。
 広尾病院の一〇〇%という診療単価は、厚労省マニュアルに基づいた算定結果なのでしょうか。また、診療単価の設定に当たり、外国人未保険者における未払いリスクを考慮しているのか、都の見解を伺います。
 最終的には、訪日外国人の民間医療保険の加入義務が望まれますが、足元では、訪日外国人に医療の安売りをすることのないよう、都立病院では厚労省マニュアルに基づいた診療単価に統一することを要望します。
 次に、東京都全域の未払い保険料の徴収力強化について伺います。
 令和八年度の国保システム改修により、国籍別に未収金が把握できたとしても、実際に徴収を実行するのは各自治体です。
 都と区市町村の連携を強化し、都全体の徴収を主導する歳入課をつくるのはいかがでしょうか。国税庁の徴収担当者OBを配属するなどして、徴収能力の底上げをすることも一案ですが、都の見解を伺います。
 再質問を留保しまして、質問を終わります。
   〔傍聴席にて拍手する者、発言する者あり〕

○議長(増子博樹君) 傍聴人はご静粛に願います。ご静粛に願います。従わないときは退場を命じます。
   〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕

○住宅政策本部長(山崎弘人君) さとうさおり議員の一般質問にお答えいたします。
 都の認識についてでございますが、都営住宅等事業会計における令和五年度分の消費税の申告納付の業務委託の中で、税理士法人から令和四年度以前の納税義務についても確認が必要であるとの指摘があったことを確認しております。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、消費税申告漏れ事案への対応についてのご質問でございます。
 徹底した原因究明を行うため、現在、監察を実施しております。税理士法人から指摘があったことについては既に把握をしておりまして、これをどのように受け止めたのか、なぜ申告がなされなかったのかなどの事実関係を監察において明らかにしてまいります。
 続きまして、調査についてのご質問でございます。
 議会及び委員会の調査等につきましては、地方自治法で定められております。
 また、委員会では、執行機関に対して資料要求などが行われております。
   〔監査事務局長安部典子君登壇〕

○監査事務局長(安部典子君) 監査における専門家活用に関するご質問にお答えいたします。
 監査委員は、地方自治法の規定に基づき、毎年各局の事務執行等を対象とする定例監査や各会計の決算書類を確認する決算審査などを行っております。
 その際、必要に応じて専門家を活用し、業務に必要な専門的知見を得ております。
   〔会計管理局長梅村拓洋君登壇〕

○会計管理局長(梅村拓洋君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、補助金等の支出状況の公開についてでございますが、都は、全庁的に、補助金を含む原則全ての公金支出に係る支払日や内容、支払額などについて速やかに翌月に公表しております。また、各局がそれぞれ状況に応じて、年度、事業名、決算額、支出先など、補助金等の支出状況を公開、更新しております。
 次に、決算情報についてでございますが、補助金情報の公開については、科目単位の決算データから補助事業ごとに各局が情報を整理する必要があることから、それぞれが状況に応じて行っております。都は、法定の歳入歳出決算書等のほかに、独自の決算参考書や、複式簿記・発生主義会計に基づく財務諸表を作成、公表しております。
   〔主税局長武田康弘君登壇〕

○主税局長(武田康弘君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、宿泊税の課税対象についてでございますが、宿泊税は、観光振興施策の受益者である旅行者等に負担を求める応益課税の考え方に基づく法定外目的税でございまして、制度創設以来、観光施策の推進を財政面から支えております。
 次に、宿泊税の使途についてでございますが、東京都税制調査会や、有識者、宿泊施設事業者の皆様などから、使途の在り方なども含めてご意見をいただいておりまして、年内に素案を公表する予定でございます。
 次に、宿泊税の課税の在り方についてでございますが、こちらも東京都税制調査会や、有識者、宿泊施設事業者の皆様などから、課税対象なども含めまして、ご意見を頂戴しておりまして、年内に素案を公表する予定でございます。
 最後に、消費税の免税制度についてでございます。
 消費税は、国において賦課徴収する制度となっておりまして、都内の免税購入金額や免税額につきまして、都は承知しておりません。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 免税店に関する都の取組についてのご質問にお答えいたします。
 国による消費税の免税制度は、外国人旅行者などの非居住者に対する土産品等の販売が輸出取引に当たると判断された場合に、内国消費税である消費税が免除される仕組みでございます。
 都は、外国人旅行者による売上げの拡大につながるこの制度の内容を事業者に周知しております。
 また、外国人旅行者の受入れ体制の充実に向けた支援を幅広く行ってございます。
   〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕

○保健医療局長(山田忠輝君) 四点のご質問にお答えいたします。
 初めに、都立病院の未収金についてでございますが、令和五年度末時点での過年度未収金残高は七億六百三十三万円、令和六年度末時点では六億八千四百十七万円でございます。
 このうち外国人分は、令和五年度末時点では一億五千三百七十七万円、令和六年度末時点では一億七千百五十五万円でございます。
 なお、在留資格別の未収金額は把握しておりません。
 次に、外国人未払医療費補てん事業についてでございますが、都は、外国人の不慮の傷病に対する緊急的な医療の確保及び医療機関の負担軽減を図るため、事業を実施しております。実績は、令和四年度は三十八施設、九百二十五万七千円、令和五年度は三十三施設、八百十四万三千円、令和六年度は三十六施設、一千三百十八万七千円となってございます。
 次に、都立病院の医療費についてでございますが、都立病院の診療料は、中期計画において、健康保険法等に基づき厚生労働大臣が定める診療報酬の算定方法により算定した額と規定されております。
 日本の公的医療保険に加入していない患者の自己負担割合は、原則十割となります。
 次に、国民健康保険料についてでございますが、保険料の賦課徴収は、住民に身近な自治体である区市町村がその事務を行っております。
 都は、税の徴収事務の知識と経験を有する専門職を任用し、区市町村における収納確保の取組を支援しております。
   〔四番さとうさおり君登壇〕

○四番(さとうさおり君) 特別会計の消費税が二十年間以上未納であった件について、先ほど都民ファーストの会の議員の質問で、担当税理士法人は、デロイトトーマツ税理士法人と発言がありました。
 しかしながら、私が局に担当税理士法人はデロイトトーマツ税理士法人ですかと聞いたところ、それは勘弁してくださいと明確な回答をいただくことができませんでした。
 なぜ、都民ファーストの議員には情報が渡り、無所属議員には情報を隠すのでしょうか。隠蔽体質といわれても仕方ないと思いますが、都の見解を伺います。
 都は、遅くとも二〇二三年度の消費税の申告期限である二〇二四年九月には無申告状態を把握していながらも、期限後申告もせずに放置をしていました。さらには、無申告発覚から都が公表するまでの間に一年以上が経過しています。あまりにもずさんな会計、税務の実態です。
 期限後申告をしなかった理由は、総務局で実施される監察の中で明らかになるとのことですが、監察はコンプライアンス推進部で実施される内部の調査にすぎません。外部の調査でない以上、幾らでも仮装、隠蔽ができます。既に一年以上隠蔽状態であった都内部の調査は、都民にとって受け入れ難いものですが、なぜ第三者機関を利用しないのでしょうか。調査結果の詳細内容や改善策は、都民が納得できるまで示していただきたいと思います。
 調査結果はいつ、どのように発表されるのか、期限後申告をしなかった理由を公開する考えはあるのか、都の見解を伺います。
 次に、特別会計の任意監査について、監査委員は必要に応じて専門家を活用しているとのことですが、都は、過去に公認会計士や監査法人を活用しての特別会計の任意監査は実施していないと認識しています。
 また、監査事務局は、監査委員と通常の議員の資料要求における権限の違いを把握していませんでした。通常の議員は、税務申告書類を閲覧することもできません。監査委員も閲覧していない、もしくは閲覧する権限がないのであれば、監査の意味がありません。実際に、監査委員に公認会計士がいながらも、無申告は二十年以上見過ごされていました。
 過去、監査委員は、会計士や監査法人を活用したことがあるのでしょうか。都の認識を伺います。
 また、補助金についてです。各局が状況に応じて補助金等の支出状況を公開、更新しているとの答弁でしたが、そもそも公開されていない、もしくは更新が停止されています。
 どのような状況になれば、各局は補助金等の支出状況を公開、更新するのでしょうか。都の見解を伺います。
 補助金を含む公金支出に係る支払額について、翌月に公表していると答弁がありましたが、都政改革本部会議資料にもあるとおり、公金支出に係る支払額は、補助金の支払日時、支払先、金額ごとに公開されている資料ではありません。
 公金支出に係る支払額は、補助金等の支出状況とは別であるとの認識であるか、都の認識を伺いまして、再質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕

○住宅政策本部長(山崎弘人君) 再質問にお答えいたします。
 税理士法人への委託の関係についてでございます。
 都は、都営住宅等事業会計における令和五年度分の消費税の申告納付のために税理士法人に業務委託を行っております。委託の契約に関する情報につきましては、東京都のホームページで公表されております。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 監察結果の取扱いについての再質問にお答えいたします。
 監察結果がまとまり次第、適切に対応いたします。
   〔監査事務局長安部典子君登壇〕

○監査事務局長(安部典子君) 特別会計の監査の再質問にお答えいたします。
 繰り返しになりますが、監査委員は、地方自治法の規定に基づき、毎年、定例監査や各会計の決算審査などを行っております。
 その際、必要に応じて専門家を活用し、必要な専門的知見を得ております。
   〔会計管理局長梅村拓洋君登壇〕

○会計管理局長(梅村拓洋君) 補助金等の支出状況の公開に関する二点の再質問にまとめてお答えをいたします。
 繰り返しになりますが、都は、全庁的に、補助金を含む原則全ての公金支出に係る支払日や内容、支払額などについて速やかに翌月に公表をしております。
 補助金等の支出につきましては、個人情報など情報公開条例上の不開示情報に該当する場合がございますが、各局がそれぞれ状況に応じて、支出情報を基に、年度、事業名、決算額、支出先など、補助金等の支出状況を公開、更新しております。

○議長(増子博樹君) 以上をもって質問は終わりました。