令和七年東京都議会会議録第十四号〔速報版〕

○副議長(菅野弘一君) 五十一番望月まさのり君。
   〔五十一番望月まさのり君登壇〕

○五十一番(望月まさのり君) 東京都議会参政党幹事長の望月まさのりです。我が会派初の質問の機会をいただき、感謝申し上げます。
 初めに、参政党は、日本人ファーストというキャッチコピーを掲げ、多くの国民の皆様からご支持をいただきました。このキャッチコピーは、排外主義的な意図を持つものではなく、国境を越えた経済競争による行き過ぎた新自由主義、すなわち多国籍企業に富が偏在し、各国における中間層が没落するという、いわゆるグローバリズムといわれる状態に警鐘を鳴らすものであります。
 我々は、国境の垣根を越えて、人、物、情報、資本が自由に移動し一体化していくグローバル化ではなく、国境や国籍を維持したままで、各国の伝統や文化、制度を尊重し、お互いの相違を認めつつ、積極的に交流していく国際化こそが、あるべき姿だと考えております。
 都政においても、太陽光パネルの設置義務化をはじめとする脱炭素政策やコロナ政策、中国資本の火葬場事業参入、東京メトロ株の売却問題など、多国籍企業の参入が相次いでいます。これらは、東京都が国際化ではなくグローバル化の道を進んでいるのではないかという懸念を抱かせる要因です。最大都市東京都がどちらの方向性を目指すかは、今後の国の在り方にも影響を及ぼす、極めて重要な問題であります。
 以上を踏まえ、二〇一九年から始まった新型コロナウイルス感染症に関連する都の対応について伺います。
 参政党は、当初より一貫して、コロナ対策やワクチン政策に対して疑問を呈してまいりましたが、我が国においては、WHOをはじめとする国際機関や海外の医療機関が推奨する政策が多く受け入れられてきました。
 先日、厚生労働省が公表した新型コロナワクチンの副反応疑い報告によると、これまでの新型コロナワクチン接種後の死亡報告は、本年七月二十九日時点で二千二百九十四件に上っています。これは過去最大の薬害といっても過言ではありません。
 そもそもワクチンは、感染を確実に防ぐものではなく、複数の死亡、健康被害が報告されている中、その効果検証と政策の見直しは不可避であると考えます。
 このような状況下、第二回定例会において知事は、世界における日本の存在感を取り戻す、例えば、国連安保理やWHO、OECDの機能を東京に移し、そして、国際的なイニシアチブを握るぐらいの外交的なゲームチェンジを打ち出してはどうか、政府がこうした動きに打って出るのであれば、都はためらうことなく全面的に協力してまいります、要はスピードですと述べられました。
 しかし、近年では、アメリカをはじめとする諸外国がWHOからの脱退を表明するなど、その信頼性や中立性に対する疑義も表面化しています。さらに、兵庫県のWHO神戸センター撤退の動きもある中、都による誘致の積極姿勢には違和感を覚えます。
 以下、質問します。
 所信表明において、改めて誘致に言及された理由と、スピード感を持って行うべきとされた具体的根拠を示し、国際的なイニシアチブとは具体的にどのようなことを想定されているのか、知事のご所見を伺います。
 また、WHO等、国際機関を東京に誘致するための法的、制度的根拠をお示しください。
 さらに、仮にWHOを東京に誘致した場合、その方針に従うことなく、東京都が独自に異なる政策提言や方針転換を行う余地はあるのか、ご所見を伺います。
 次に、本年八月、エジプト・アラブ共和国との教育、労働者雇用、高専、グリーン水素に関する四つの合意書や覚書の締結について、これらは幾ら法的拘束力を持たないとされていても、国際的な影響力を持つものです。
 アメリカやヨーロッパ各国の外国人移民問題を受け、国民の関心が高まっている中、これらの合意書等は、我が国の外交権限の枠組みを超えかねないものです。都が独自に締結することについては、極めて慎重な対応が求められることから、締結前に議会の承認を得る必要があるのではないでしょうか。
 以下、質問します。
 締結に至る法的根拠及び都議会で議決を経る必要がなかったのかについてご説明いただき、外務省等、国の関係機関とはどのような確認、調整を行ったのか、具体的にお答えください。
 法的拘束力のない本合意書等を締結した目的と活用方法について、ご所見を伺います。
 また、エジプトの経済団体との合意書をもって、昨今、海外で大きな問題になっている、いわゆる移民政策の助長となるのではないかという指摘が多くありますが、見解を伺います。
 次に、都内の火葬場においては、平成二十四年度の墓地、埋葬等に関する法律の法改正により、東京二十三区内における火葬場、墓地等の設置許可権限は、都知事から特別区長へ移譲されたことから、運営内容や料金に直接関与できない状況です。
 そもそも、厚生省の通知等により、経営主体は、原則として地方公共団体でなければならず、永続性と非営利性の確保が必要です。
 しかし、歴史的経緯により、東京二十三区では九か所中七か所を民間が運営しており、そのうち六か所を東京博善が占めています。さらに、その親会社である広済堂ホールディングスに中国資本が参入して以降、火葬料金が五万九千円から九万円へと引き上げられました。公共性の高いインフラが資本市場で売買され、公益性が損なわれる典型例といえるのではないでしょうか。
 また、明治時代以降の都市化や人口集中により、限られた土地での衛生的な埋葬が求められた結果、我が国の火葬率は約九九%に達しています。東京都でも条例に基づき土葬禁止地域が指定されており、実質的には土葬は行われておりません。
 なお、次期宮城県知事選の争点ともなりそうですが、土葬は、土地利用や公衆衛生の面からも時代に逆行しており、地下水汚染や感染症への懸念も拭えません。公衆衛生や周辺住民の感情を軽視してまで、土葬を再び容認するというのは、バランスを欠いた対応だと考えます。
 葬儀は、誰もが必ず直面する最後の公共サービスであり、死者への弔いをお金もうけに使うべきではないという公共性や倫理的観点から、いま一度、法規制や条例策定に向け、動き出す必要性が生じているのではないでしょうか。
 以下、質問します。
 国に対し、設置、運営に係る東京都の権限回復や、無秩序な外資参入の規制など、必要な法整備を要望すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、火葬料金が市場に左右されない公営の火葬場の新設について検討すべきかと思われますが、併せて見解を伺います。
 都市環境や公衆衛生、土地利用の制約といった現実的な課題を踏まえ、引き続き土葬の制限を堅持していく方針に変わりはないか、また、今後、土葬の再導入や緩和を求める声が上がった場合、都民の安全と生活環境を最優先にした対応を取るお考えがあるか、見解を伺います。
 最後に、全ての政策において、多様性の名の下に、逆に日本人の安心・安全が損なわれてはなりません。全国的にも世界的にも影響力のある都の政策が日本人の思いとかけ離れないように、引き続き注視してまいります。
 これにて質疑を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 望月まさのり議員の一般質問にお答えいたします。
 国際機関の誘致についてのお尋ねでした。
 世界各地で紛争や混乱が続いており、国連憲章や安保理の機能不全が指摘されるなど、国際社会は新しい段階を模索する状況にあります。
 世界がこうした現状にある今こそ、我が国が内向き、また、縮み志向を脱して、世界のゲームチェンジャーとしてイニシアチブを発揮し、仕組みから変える役割を担うべき時期が到来いたしております。
 こうした認識の下、外交の主体である国が動くのであれば、都はためらうことなく全面的に協力をしていくと述べたものでございます。
 その他の質問につきましては、関係局長が答弁いたします。
   〔政策企画局長佐藤章君登壇〕

○政策企画局長(佐藤章君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、国際機関の誘致に協力する根拠等についてでございますが、外交の主体である国の誘致活動に都が協力することは、地方自治法に定める自治事務でございます。
 国際機関を誘致するか否かにかかわらず、国連等の国際会議では幅広く自治体にも発言機会が与えられており、これまでも都の考えを示してきております。
 次に、合意書の根拠等についてでございますが、国際交流に係る合意書の締結は、地方自治法に定める自治事務でございます。また、議会で議決すべき事項は、地方自治法第九十六条に限定列挙されており、合意書の締結はこれに該当しておりません。
 本合意書については有効である旨、外務省に確認しており、多くの自治体でも国や都市との合意書に基づく国際交流は広く行われており、自治体国際化協会に報告されているだけでも、令和六年度の一年間で三百件を超える実績がございます。
 最後に、合意書の目的等についてでございますが、今回の合意書は、人的交流や情報交換等を通じて、特定分野の協力関係を促進することを目的として締結しております。
 今後、本合意書に基づき、共通の課題解決に向けた知見や経験を共有することにより、東京の技術力にさらなる磨きをかけ、国際社会における東京のプレゼンス向上につなげてまいります。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) エジプトとの経済団体との合意書についてのご質問でございます。
 合意書は、エジプト側で実施される、エジプトの労働者、技術者に対して日本での雇用に必要なスキル、基準の研修等について、都が助言や情報提供などを行うものでございます。
 エジプトの労働者、技術者を積極的に誘導するものではなく、移民の受入れを促進するものでもありません。
 また、今回の合意により特別なビザが発給されることもありません。
   〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕

○保健医療局長(山田忠輝君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、火葬場についてでございますが、都内には、区部を中心に民間火葬場が多く存在しております。指導監督権限を有する区と連携し、火葬料金などの指導が適切に行えるよう、法改正等を国に要望してまいります。
 また、実態を精緻に把握した上で、火葬能力の強化に向けた取組を検討いたします。
 次に、土葬についてでございます。
 島しょ部は都が、それ以外は区市町村が、条例により土葬禁止地域を定めております。現在、都内では五十二の区市町村で土葬が禁止されております。
 土葬禁止地域の設定に当たりましては、公衆衛生上の観点から判断するものでございます。