○副議長(菅野弘一君) 八十八番渋谷のぶゆき君。
〔八十八番渋谷のぶゆき君登壇〕
○八十八番(渋谷のぶゆき君) 我が国の少子化は、想定を上回るスピードで加速しています。昨年の出生数は、国の推計よりも約十五年早く七十万人を下回っており、いかに少子化に歯止めをかけるか、まさに国家的な課題となっています。
少子化の要因は様々であるものの、結婚や出産は一生に関わる重大な選択です。少子化対策は、今まさに子育てをしている方はもとより、これから結婚したい、子供を持ちたいと考えている方が明るい将来展望を持てるかが重要です。
結婚や子育てを望む若者のニーズを捉え、先進的な政策に果敢にチャレンジすることは、国の少子化対策の議論を常にリードしてきた東京都の責務です。若者が人生のターニングポイントで安心して一歩踏み出せるよう、都として強力に後押ししていくべきと考えますが、知事のご見解を伺います。
文部科学省が令和三年度に実施した調査によれば、小中学校には読み書きに困難のある子供たちが三・五%在籍していることが推定され、計算上全ての学級に在籍している可能性があります。
東京都教育委員会が発達性ディスレクシア支援の一環としてICTを活用したリーフレットを作成したことは、関係者、特に保護者との連携を深める契機となりました。一方で、本リーフレットを学校現場で生かすためには、教員が支援方法や効果的な指導方法について理解を深める必要があります。
今後、東京都は、本リーフレットを学校現場で普及していくためにどのように取組を進めていくか、見解を伺います。
今月、いよいよ京浜島で水素製造拠点が稼働するなど、東京都は水素エネルギーを強力に推進しています。脱炭素社会の実現に向け、大型トラックなどの長距離を走る商用モビリティーでは、電化し、巨大なバッテリーを積むのは現実的でなく、長時間の充電も課題であることから、水素の活用が重要です。特に、自動車全体のCO2排出量の約三〇%を占めるともいわれる大型トラックは、脱炭素化に大きな影響を与えます。しかし、事業者からは、水素ステーションが遠方にしかなく、導入に踏み切れないとの声が寄せられています。
都は、燃料電池商用モビリティーの普及目標として、二〇三五年度までに約一万台という目標を掲げています。燃料電池バスやトラックの普及には、水素ステーションのインフラ整備と一体的に進めることが不可欠です。都は、どのように水素ステーションの整備を推進していくのか、見解を伺います。
アライグマは、もともと日本に生息しない外来種で、野生化し農産物を荒らす、家屋に侵入して荒らす、保持する病原菌によって人やペットに感染症のリスクをもたらすなど、様々な害が指摘されています。
近年、狭山丘陵と多摩湖周辺に相当数のアライグマが生息するようになっています。狭山丘陵は自然豊かで様々な動植物が生息していますが、その生態系が脅かされています。地元市の調査によれば、令和六年度は、武蔵村山市で五十一頭、東村山市で十一頭、東大和市で四十七頭が捕獲されました。都が管理する緑地と湖がねぐらや繁殖の場となっている可能性があることから、対策を求める声が寄せられています。
関係者が連携して対策を強化していくことが重要と考えますが、都の見解を伺います。
前例のない長さで続いた猛暑や記録的な豪雨といった気候変動は、様々な問題を東京にもたらしており、脱炭素化など最先端技術による解決に期待が高まっています。こうした技術はディープテックともいわれ、様々なスタートアップが挑戦していますが、実現するまでに長時間を要し、費用もかかることから、その間の資金を安定的に確保することが特に重要な課題です。民間のファンドが投資を行っても、期間の終了によって、社会を変え得る技術が日の目を見ずに失われてしまうおそれもあります。将来性のあるスタートアップを長期間にわたって支援し、成長に必要な資金を供給する仕組みに行政が率先して取り組むべきではないでしょうか。
有望な研究開発型のスタートアップに資金を供給する官民連携ファンドの取組を今後も拡充していくべきと考えますが、見解を伺います。
商店街は住民に身近な買物の場であるとともに、高齢者の見守りや子供の預かりなど、地域コミュニティを支える機能を有しており、日常生活に欠かせない存在です。しかし、ネットショッピングやデリバリーサービス等の普及により、商店街離れが進んでいるといわれています。また、近年の記録的な猛暑により外出を控える人が増え、客足にも影響が出ることや人手不足など、これまでにない課題に直面しています。私の地元でも、こうした変化に対応し、にぎわいを取り戻すための対策が必要であるといった声が聞こえています。
地域に根差した商店街の活性化に向けて、商店街を取り巻く環境の変化に応じた支援メニューに見直していくべきと考えますが、見解を伺います。
東京の農業者の出荷先は地域内での流通が中心ですが、新鮮で高品質な東京産農産物は都心部でも需要が期待できます。私の地元の農業者からも、都心部のホテルやレストラン向けの取引により高価格販売が実現したという声を聞きます。一方、小ロットの農産物を都心部に納入する上で、流通コストを抑えつつ、鮮度を保持して効率的に配送することが課題です。また、東京産の需要を喚起するためには、消費者に一層PRすることも重要です。
都は、都心部で東京産農産物の取引が拡大するよう後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
今年、東京の猛暑日は、一昨年の記録を超え過去最多を記録しました。そうした中、都は、企業が猛暑時の熱中症対策として現場従業員に空調服を貸与する際の支援を行っていますが、多くの農家は対象になっていません。厳しい暑さの中でも、農業者の方々は炎天下で作業しなければなりません。畑では日陰がなく、また、ビニールハウスの中は、日中かなりの高温となります。このような環境にあっても、農業者の方々は、厳しい状況に耐えながら農業を営んでいます。
都は、農業者が安定した経営を確保しながら、暑い中でも快適な作業ができるように環境の改善を後押しすることが必要と考えますが、都の取組について伺います。
都内には、朝夕のラッシュ時に四十分以上も遮断している開かずの踏切が約二百九十か所残されており、全国の半数を占めます。開かずの踏切は、道路交通のボトルネックとなるだけでなく、交通渋滞や地域の分断により都市の活力や魅力を損ないます。また、災害時には、列車の緊急停止などに伴い、長時間にわたって踏切が閉鎖され、緊急、救急活動の妨げとなります。
連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、道路交通の円滑化と市街地の一体化により、都市防災の強化とともに、安全で快適なまちづくりに寄与する事業であり、東京のさらなる発展に必要不可欠です。連続立体交差事業の今後の取組について伺います。
多摩地域の下水道において、都民の生活環境や都市機能を支えるためには、都の流域下水道の役割はもとより、住宅等からの下水道への入り口である公共下水道の役割は重要です。
都は、令和五年度から強靱化補助制度を整備し、市町村の対策を促進してきましたが、昨今の下水道事業を取り巻く環境は、激甚化、頻発化する豪雨への対応や、令和六年能登半島地震の発生、そして、今年一月の埼玉県八潮市の道路陥没の発生などを踏まえた対策の強化が求められている状況です。
様々な課題に適切に対応し、安全・安心な下水道事業を実施していくためには、市町村の実態に即した都の支援が必要であると考えます。市町村下水道強靱化について、都の見解を伺います。
近年の豪雨は激甚化、頻発化しており、今年も全国各地で水害が発生しており、対策は喫緊の課題です。都内においても、先月には記録的短時間大雨情報が発出され、百ミリを超える大雨により谷沢川や立会川が溢水するほどの被害が発生しました。地元の柳瀬川流域では、七月五日に豪雨が発生し、柳瀬川で氾濫発生情報、空堀川などで氾濫危険情報が発表されました。柳瀬川流域は、令和元年東日本台風などの過去の浸水状況や降雨状況などを踏まえ、令和三年度に東京都豪雨対策基本方針における対策強化流域に追加するなど、河川整備を強化してきたと認識しています。今後も気候変動の影響により降雨量はさらに増加する見込みであり、河川整備を一層推進する必要があります。
そこで、柳瀬川流域における河川整備の取組について伺います。
都市計画道路東村山三・四・一五の二号線は、小金井街道の混雑緩和や防災機能の強化にも寄与する道路として地元の方々から早期の開通が望まれています。
現在、小金井街道との接続箇所において交差形状の変更が進められているなど、開通に向けて工事が進捗しています。一方、私の地元である清瀬市内は、地形の起伏が大きく、豪雨の際、道路の冠水が懸念されています。
そこで、都が整備を進めている東村山三・四・一五の二号線のうち、新小金井街道から埼玉県所沢市境までの区間における道路の排水対策と開通に向けた取組状況について伺います。
公園には様々な役割がありますが、誰にも一層愛される公園づくりを進めていくためには、利用者はもとより、地域の意見の把握に努め、地元市とも連携しながら公園整備を進めていくことが大切です。
都立六仙公園は、用地取得や整備が進められており、今後一定の時間がかかると考えますが、地元からは全面開園が大きく期待されています。六仙公園の整備の進捗と今後の取組を伺います。
以上で質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 渋谷のぶゆき議員の一般質問にお答えいたします。
少子化対策についてのお尋ねでございました。
少子化は社会の存立基盤を揺るがす重大な危機でありまして、国を挙げて真正面から取り組むべき喫緊の課題でございます。
私は、一刻の猶予もないとの認識の下で、望む人が安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けまして、ライフステージを通じた切れ目のない支援を展開してまいりました。
〇一八サポートや学校給食費の負担軽減等は、社会全体で子育てを応援するとのメッセージとなり、国の政策をも動かしております。
今後とも、都民の悩みやニーズに寄り添いながら、一人一人の自己実現を全力で応援しまして、結婚や子供を持つことへの安心感を醸成してまいります。
なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 学習障害のある児童生徒への支援についてのご質問にお答えをいたします。
公立学校の教員が学習障害のある児童生徒を適切にサポートできるよう、様々な知識やノウハウを確保することは重要でございます。
このため、都教育委員会は、読み書きや計算等に困難を抱える児童生徒の教育を行う方法や事例を取りまとめたデジタルの冊子を作成いたしました。これを活用し、今後、小中学校の現場において、教員が授業を行い、成果や課題の共有を進めます。
また、こうした取組を踏まえまして、冊子の内容の改善を図るとともに、教員が学習障害に関する教育の進め方を学ぶ機会の一層の充実につなげてまいります。
これらによりまして、様々な子供への教育内容の向上を実現いたします。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、水素ステーションの整備についてでございます。
燃料電池商用車の活用が見込まれるエリアでステーションを整備していくことは重要でございます。
これまで都は、ステーションを開設する事業者に対し、設備導入費や運営費への助成を行ってまいりました。
さらに、今年度からは、新規ステーションの誘致や整備を進めるため、輸送事業者などに燃料電池商用車導入の意向を確認し、水素需要の見える化を図ることで水素ステーション事業者が投資計画を立てやすくすることとしてございます。
また、ステーション候補地調査も実施いたしまして、開設を検討している事業者に情報提供いたします。
今後とも、関係事業者からの意見も踏まえながら、ステーションの装置の整備を一層促進してまいります。
次に、商店街の活性化についてでございます。
商店街が将来にわたり、住民の買物の場であるとともに、地域コミュニティを支える役割を果たすためには、時代や環境の変化に応じた取組を進める必要がございます。
このため、都は、商店街のデジタル化や省エネルギー等の推進などを後押ししております。
さらに、今年度からは商店街が利用者層を広げるために行います子供向けのイベントへの新たな助成メニューを設けるとともに、暑さ対策として休憩スペースなどを設置する場合に手厚い支援を行っております。
今後とも、時代の流れに対応した商店街の取組を積極的に支援してまいります。
続きまして、東京産農産物の取引の拡大についてでございます。
大消費地である都心部にも販路を拡大することで、農業者の収益向上を図ることは重要でございます。
これまで都は、集荷や配送の工夫により、効率的に東京産農産物を都心部の小売店や飲食店などに納品するため、流通事業者を対象として集荷等の経費を助成してまいりました。
今年度は、都心部などでの販路を広げるため、農業者と飲食店などとのマッチングを促進するサイトを新たに立ち上げるほか、東京産への関心を高め、消費を促すため、東京産農産物を取り扱う飲食店などを消費者が巡るスタンプラリーを実施いたします。
これらを進めまして、東京農業の収益性向上につなげてまいります。
最後に、農業者の作業環境の改善についてでございます。
農業の収益性を確保しながら、高温下でも安全で働きやすい環境を整備することは重要でございます。
都はこれまで、農業者の収益性を高めるため、栽培や加工の施設の整備を助成するとともに、農産物のブランド化を図る取組に専門家を派遣する等のサポートを実施しております。
今年度からは、快適に農作業ができるよう、遮光設備など温度を下げる機能を持つ栽培施設や空調設備のついた出荷調整施設、エアコンのついたトラクター等を導入する際の支援を強化いたします。
こうした取組を進めまして、東京農業のさらなる振興を図ってまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕
○環境局長(須藤栄君) アライグマ対策についてでございますが、多様な生態系を有する狭山丘陵では、アライグマによる被害が発生しており、豊かな自然を守るためには、関係者が連携して対策を講じる必要がございます。
都はこれまで、都立野山北・六道山公園などで捕獲を行い、生物多様性の保全、回復を進めてまいりました。
また、自治体向けに防除技術を学べる講習会を開催するとともに、捕獲に係る費用を支援するなど、地域での取組を後押ししております。
加えて、今後、村山貯水池周辺で関係局が行う捕獲に対して技術的支援を行い、地域全体で防除体制を強化いたします。
こうした取組により、アライグマによる被害の防止を図ってまいります。
〔スタートアップ戦略推進本部長吉村恵一君登壇〕
○スタートアップ戦略推進本部長(吉村恵一君) スタートアップ支援ファンドについてのご質問にお答えいたします。
新エネルギーやバイオなどのディープテックは、都市課題解決に資する有望な技術であることから、官民共同での息の長い支援が不可欠でございます。
都は昨年、大学発スタートアップ等促進ファンドを立ち上げ、現在九つのベンチャーキャピタルと連携して、全国の大学発のディープテック企業等に投資をしております。
今年度は、脱炭素などのGXを推進する新ファンドの組成を進め、運営事業者を選定したところでございまして、年明けに投資活動を開始いたします。
また、長期の研究開発などへの効果的な資金供給の在り方を検討し、官民連携ファンドを通じまして、スタートアップの飛躍的な成長を後押ししてまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、連続立体交差事業の取組についてでございますが、本事業は、道路整備の一環として実施しており、数多くの踏切を同時に除却することで交通渋滞や地域分断を解消し、地域の活性化にも資する事業でございます。現在、六路線八か所で事業を実施し、四路線四か所で準備を進めております。
このうち、西武新宿線東村山駅付近では、本年六月に新宿線下り線を高架化し、四か所の踏切で遮断時間が平均約三割減少するなど効果が得られております。また、新たに、東急大井町線戸越公園駅付近では、今年度事業認可を取得し、事業に着手いたします。
今後とも、地元区市や鉄道事業者と連携し、連続立体交差事業を一層推進してまいります。
次に、柳瀬川流域における河川整備についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸や調節池等の整備を推進することが重要でございます。
都はこれまでに、柳瀬川流域で護岸の約七割と貯留量四万六千立米の金山調節池を整備してまいりました。
今年度は、清瀬市内の金山橋下流など四か所で約二百メートルの護岸整備や、前原橋下流の二か所で河床を計画高まで掘り下げる工事などを実施いたします。また、貯留量約二万立米の仮称柳瀬川上流第一調節池の基本設計を進めております。
今後は、気候変動に対応するため、新たな調節池等を検討し、河川整備計画を改定するなど、柳瀬川流域の水害対策を一層強化してまいります。
次に、東村山三・四・一五の二号線についてでございますが、新東京所沢線の一部となる本路線は、広域的な道路ネットワークを形成し、交通物流機能の強化や防災性の向上に資する骨格幹線道路でございます。
このうち、清瀬市内の新小金井街道から所沢市境までの約一・六キロメートルの区間では、これまで、街路築造工事や電線共同溝設置工事等と併せて道路の排水に必要な雨水管や貯留施設などの整備を実施してまいりました。現在、舗装工事等を実施しており、今年度末の交通開放を目指しているところでございます。
今後とも、地元の協力と理解を得ながら、着実に事業を推進してまいります。
最後に、六仙公園の整備についてでございますが、本公園は、北多摩北部の緑の拠点でございまして、隣接する南沢緑地保全地域と一体となって、武蔵野の現風景を再現するとともに、地域のレクリエーションの場としても重要な公園でございます。
これまで、保全地域に連続する雑木林や多目的運動広場の整備を進め、現在、約七・六ヘクタールを開園しております。
今年度は、既に開園している区域におきまして、子供たちの意見を生かした遊具の整備を進めますとともに、健康遊具等の整備に着手いたします。
今後とも、地域の声を踏まえ、地元市と連携し、公園の整備に着実に取り組んでまいります。
〔下水道局長藤橋知一君登壇〕
○下水道局長(藤橋知一君) 市町村下水道の強靱化についてでございますが、多摩地域において、安全で安心な下水道サービスを提供するためには、都と市町村が連携して強靱化に取り組むことが重要でございます。
このため、都は、市町村の実情に応じて、強靱化に向けた対策の検討から計画策定、施設整備などについて、都の持つ様々なノウハウを提供する技術支援や人材育成支援を行っております。
また、市町村下水道のレベルアップ、スピードアップを後押しするため、浸水、地震対策に対する補助制度により財政支援も行っております。
市町村のニーズや課題を踏まえ、技術と財政の両面から支援を行い、強靱化を促進してまいります。
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