令和七年東京都議会会議録第十四号〔速報版〕

○議長(増子博樹君) 五十四番関口健太郎君。
   〔五十四番関口健太郎君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○五十四番(関口健太郎君) 東京には二つの顔があります。日本の首都としての経済都市としての顔、そして、忘れてはならないのが生活都市としての顔。
 しかし、私は、都の施策を眺めて感じるのは、今の東京に欠けているのは生活都市としての哲学であります。生活都市東京を考えるに当たって、その中で最も必要な政策は住宅政策です。そして、何よりも今、東京の弱点は住宅問題です。東京は住宅費負担が高過ぎます。全ての人の住宅負担を軽減しなければなりません。
 まず、マイホームを維持するための税金が高過ぎます。年々固定資産税や都市計画税が上がって、払うだけで大変だ、そんな声を聞いてまいりました。東京を住み続けられるまちにしなくてはなりません。
 固定資産税や都市計画税の引下げをすべきと考えます。見解を伺います。
 住宅価格の高騰も顕著です。東京で家を買う、これが本当に困難になっています。海外マネーの流入による住宅価格の高騰に歯止めをかけなければなりません。
 昨年の第四回定例会で私は、非居住者の外国人や外国法人による住宅投資に規制をかけるべきだと質問したところ、都の答弁は、国において検討がなされるべき課題でありました。私は、東京の課題なのだから、東京で解決すべきと考えます。しかし、答弁にあるように、国において検討されるべき課題という都の認識なのであれば、国と協議をしているのでしょうか。また、外国人や外国法人の投資規制に対し、国に対し要望すべきではないでしょうか。見解を伺います。
 ほかにも、税制面の優遇を変える必要があります。都では、小規模住宅用地の都市計画税軽減措置を講じています。しかし、投機目的での住宅に軽減措置は必要でしょうか。非居住者の外国人や外国法人が保有する不動産に関し、軽減措置の適用を行わないことも検討すべきであります。
 都として、国への要望も含め、こうした税制見直しの必要性をどう認識しているのか、見解を伺います。
 家賃の高騰が止まりません。家賃の抑制策が東京に必要です。
 市場よりも家賃を安くする賃貸オーナーに対して固定資産税や都市計画税の減税を進め、民間活力を活用した家賃軽減策を進めるべきではないでしょうか。見解を伺います。
 都は、アフォーダブル住宅を打ち出しています。何戸の戸数を供給できるかが明らかになっていないものの、規模は限定的であります。市場に与えるインパクトは希薄です。まずは既存ある住宅から手を打たなければなりません。
 その中でもキーとなるのが住宅供給公社であります。私の家の近くにある住宅供給公社の住宅は、最寄り駅から徒歩十七分にもかかわらず、家賃は最大二十六万八千円です。地上には外車が並んでいます。高過ぎます。地域の方からは、住宅供給公社に対して、こんなぜいたくで家賃が高いところには住めないと羨望のまなざしが向けられています。
 これは東京都の政策連携団体がやるべき事業ではありません。まず、政策連携団体である住宅供給公社を活用し、安価で良質な住宅を供給することに重きを置くべきです。見解を伺います。
 火葬について伺います。
 私は一年半前の予算特別委員会で、火葬料金の高騰について問題提起をいたしました。二十三区の火葬場は、東京博善の独占、寡占状態にあり、火葬料金は高騰し、二十三区の区民は料金の値上げにあらがうことができないことを問題視し、公営火葬場の整備など、都としてリーダーシップを持って対応することを求めました。
 そして、今期が始まった直後、東京博善が特別区の火葬料金を安価にする特別区民葬から脱退することを知り、このままではいけないと、座長として会派に立ち上げたのが火葬料金引き下げプロジェクトチームでありました。特別区区長会や厚生労働省、外部の有識者の皆様をお招きし、政策論議や政策提言をいただき、会派内で議論し、私たちは火葬について取りまとめた要望書を小池知事に提出をいたしました。
 その後、知事が、所信表明で、私たちの要望を基に、墓地埋葬法の国への法改正を求めたことを評価いたします。
 しかし、一昨日の福岡厚生労働大臣の記者会見では、火葬料金の指導等は現行法の運用で可能と考えていると述べるなど、法改正に対して積極的とは思えないような発言がありました。
 より強力に、よりスピード感を持って法改正をしなければなりません。
 墓地埋葬法の法の見直しに向けた知事の決意を伺います。
 なお、火葬料金引き下げプロジェクトチームでは、先々週、立憲民主党の国会議員と共に、厚生労働省と墓地埋葬法についてのヒアリングをしました。その中で、厚生労働省に対し、墓地埋葬法の改正の必要性を訴え、法改正を求めたところであります。墓地埋葬法の見直しに対し、我々立憲民主党も国政を巻き込み、協力をしてまいりたいと思います。
 私たちは、火葬についての要望書において、都が独自で条例化することも要望しました。法改正がかなわない場合には、早期に都で火葬料金の透明化と価格の適正化を目的とした条例制定をすべきであります。見解を伺います。あわせて、火葬料金の適正価格とは幾らなのか議論すべきであります。見解を伺います。
 火葬についての要望書では、公営火葬場の整備を求めました。民間の火葬場の火葬料金が高騰する中、安価な料金設定の公営の火葬場の選択肢が必要であります。
 また、多死社会を迎える中で、さらなる火葬能力の強化が必要です。肝となるのは、二十三区の火葬能力よりも、むしろ多摩地域の方が火葬能力が低いということであります。また、地域によって大きく偏りがあることも重要であります。
 公営火葬場を新設すべきであります。
 火葬場の新設には時間がかかるため、早期に都営火葬場を整備すべきと考えますが、見解を伺います。
 また、基礎自治体が公営火葬場を整備する際には、基礎自治体への建設費の補助の拡充と用地の確保に向けた支援など、積極的にすべきであります。見解を伺います。
 美容医療について伺います。
 消費相談センターに寄せられる美容医療の相談件数が急増しています。
 脱毛サロンの大手であったミュゼプラチナムは、今年六月に会社を解散、昨年十二月には脱毛大手のアリシアクリニックが倒産するなど、大手の美容医療サロンの倒産が続いています。
 そうした中、消費者問題として解約や返金のトラブルが相次いでいます。こうした課題に対応するためにも、若い人たちがアプローチできる美容医療専門窓口を設置すべきであります。そして、被害の早期把握と助言を強化すべきです。見解を伺います。
 二重の手術や脂肪吸引など美容医療のニーズが高まる一方で、一部では合併症や後遺症などの健康被害が起きています。場合によっては亡くなるケースもあり、医療トラブルも増加をしています。
 そこで、都立病院に美容医療トラブルに対応する窓口を設置すべきです。見解を伺います。
 ドクターヘリについて伺います。
 都のドクターヘリの運航を担うヒラタ学園が、今年の十月、十一月、十二月と毎月六日間、運航休止をすることが明らかになりました。全国で東京を含め、十の都府県、十の自治体でドクターヘリを運航休止します。
 そもそもヒラタ学園は、ドクターヘリの整備記録に不備があるなどとして、国交省の大阪航空局に立入調査を受け、事業改善命令が出されるなど課題山積の法人であります。運航を担っているヒラタ学園の整備士不足とのことでありますが、運航休止になった詳細を伺います。
 また、ドクターヘリ運休によって都の医療体制に支障はないのか、見解を伺います。
 そもそもヒラタ学園のドクターヘリの運航休止は、間違いなく契約不履行になります。損害賠償を求めるなど厳しい対応を求める必要があると考えますが、今後の都の対応を伺います。
 精神障害について伺います。
 精神障害者の慢性期の身体合併症医療です。現在、精神障害者の慢性期の合併症医療を担う民間医療機関は都内で二か所しかありません。そして、そのうちの一か所は虐待が繰り返されてきた旧滝山病院であります。現状は合併症医療のニーズを満たしているとはいい難い現状があります。
 そこで、昨年度から都は、慢性期の透析のニーズに応えるため、身体合併症(慢性維持透析)に係る医療提供体制の確保事業を実施しました。残念ながら、実績は極めて低く、この制度の実効性が疑われています。
 慢性維持透析の身体合併症に係る医療提供体制の確保事業の現時点での実績を伺います。そして、本事業をより多くの方々にご利用いただけるためにも改善をすべきと考えますが、見解を伺います。
 質のよい給食にしましょう。
 私たちが求めてきた学校給食の無償化が実現をしたことは評価をします。しかし、保護者や子供たちからは、もっとおいしい給食、ボリュームのある給食が食べたいという声を聞いてきました。私も来年、娘が区立小に入学します。親心としては、質のよい給食を食べてほしいと思うのは当然であります。
 子供たちに対して栄養ある給食、質の高い給食を食べてもらうためにも、都が定めている一食当たりの給食の単価上限額を引き上げるべきです。見解を伺いまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 関口健太郎議員の一般質問にお答えいたします。
 火葬に関する国への要望についてでございます。
 都内には多くの民間火葬場が存在しておりますが、その料金は行政が関与する仕組みとなっておりませんで、金額の妥当性を判断する基準も示されておりません。
 今後、指導監督権限を有する区と連携いたしまして、料金を含む経営管理の指導が適切に行えますよう、必要な法改正等を国へ要望をいたしてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 学校給食についてのご質問にお答えいたします。
 学校給食費については、国がその責任と財源において無償化を実現すべきものでございます。
 都は、国に先行し、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減に取り組む場合に支援をしているところでございます。この取組に当たりましては、食材価格の上昇を踏まえ、児童等に良質な給食の提供ができるようにしております。
   〔主税局長武田康弘君登壇〕

○主税局長(武田康弘君) 固定資産税等の軽減についてのご質問にお答えをいたします。
 住宅用地の固定資産税及び都市計画税に対する地方税法上の軽減措置に加えまして、都は、独自に小規模住宅用地の都市計画税を二分の一とする軽減措置等を既に実施しております。
   〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕

○住宅政策本部長(山崎弘人君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、外国人等による住宅への投資規制についてでございますが、国際法上の内外無差別の原則との関係等を踏まえる必要があるため、国が検討すべき課題と認識しております。
 国におきましては、外国人施策の司令塔となる新たな組織を七月に設置したと承知しており、今後、引き続き、国の動向を注視してまいります。
 次に、非居住者の外国人等が保有する不動産への規制についてでございますが、国際法上の内外無差別の原則との関係等を踏まえる必要があるとともに、税の観点におきましても、公平性や実務面など様々な課題があると認識しております。
 次に、家賃負担の軽減についてでございますが、都は、民間事業者が空家を子育て世帯向けに改修し低廉な家賃で賃貸するなど、地域の課題解決に資する空家の活用を支援しております。
 また、東京ささエール住宅の専用住宅への家賃低廉化補助を行う区市に対して財政支援を行うなど、既存住宅ストックを活用しながら様々な施策を実施しております。税の観点では、都は独自に小規模住宅用地に対する軽減措置等を実施しております。
 最後に、東京都住宅供給公社の活用についてでございますが、公社住宅の家賃につきましては、法令に基づき、近傍同種の住宅と均衡を失しないよう募集家賃を定めることとされております。
 なお、公社では、市部の一部住宅の空き住戸を活用し、ひとり親世帯向けなどに対象を限定して一定期間家賃を減額するなど、自立的で持続的な経営を堅持しながら社会ニーズに応える施策展開も行っております。
   〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕

○保健医療局長(山田忠輝君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 初めに、火葬についてでございますが、指導監督権限を有する特別区と連携し、民間火葬場の火葬料金などの指導を適切に行えるよう、必要な法改正等を国に要望してまいります。また、都内の火葬場の実態を精緻に把握してまいります。
 次に、公営火葬場についてでございますが、都は今年度、都内の火葬場の実態を精緻に把握した上で、火葬能力の強化に向けた取組を検討いたします。
 なお、平成十六年に、五区で構成する一部事務組合が臨海斎場を開設した際には、都は区の要請に応じて、都市計画交付金を活用した財政支援や都有地の減額売却を実施いたしました。
 次に、美容医療のトラブルに関する相談についてでございますが、美容医療に関する苦情や相談は、都や保健所を設置する区市が運営する医療安全支援センター等の相談窓口で対応をしております。
 なお、都立病院では、医療機関からの紹介等により、必要な診療を行っております。
 次に、東京都ドクターヘリの運航休止についてでございますが、今回の運航休止は、運航事業者においてヘリコプターに搭乗する整備士の確保が困難となったことによるものでございます。
 都は、休止の間、陸路で迅速に救急搬送できるよう、消防機関と情報共有を図りながら連携して対応していくこととしております。
 次に、ドクターヘリ運航事業者への対応についてでございますが、再度の運航休止が発生したことを踏まえ、都は、運航事業者に対し具体的な改善計画の提出を求め、安定した運航体制の確保を強く要請をしております。
   〔生活文化局長古屋留美君登壇〕

○生活文化局長(古屋留美君) 美容医療に関する消費者からの相談についてでございますが、昨年度、都内消費生活センターに寄せられた相談件数は三千百六十八件となっております。
 そのため、都は、センター内に美容に関する相談を専門に扱うグループを設置しておりまして、専門家からも助言をいただきながら対応しております。
 また、ホームページやSNSで被害防止のための注意喚起を行うほか、トラブルが生じた際は消費生活センターに相談するよう呼びかけを行っております。
   〔福祉局長高崎秀之君登壇〕

○福祉局長(高崎秀之君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、医療保護入院患者の実態把握についてでございますが、精神科病院の管理者は、精神保健福祉法に基づきまして、医療保護入院の措置を取ったときは、患者の症状などを病院が所在する都道府県等に対し届け出ることとされております。届出を受けた都道府県等の精神医療審査会は、病院の管理者に報告や書類の提出を求めながら、入院の必要性や入院中の処遇を審査することとされております。
 なお、法令違反などがある場合の指導等についても、病院が所在する都道府県等が行うこととされております。
 次に、精神科患者の身体合併症についてでございますが、都は、精神科病院の入院患者が身体疾患を併発し、その病院での対応が困難な場合、患者の病状に応じまして、身体治療を行う医療機関への転院や、慢性維持透析が必要な患者の通院を支援する仕組みを構築しております。昨年度、腎不全による転院は九件であり、通院は、補助要件であります精神科病院による送迎が行われなかったことから、仕組みの利用には至りませんでした。
 今年度の事業の実施に当たりましては、医療機関にヒアリングなどを行い、合併症患者が適切な医療を受けられるよう取り組んでおります。