午後三時開議
○副議長(菅野弘一君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
百十二番小松大祐君。
〔百十二番小松大祐君登壇〕
○百十二番(小松大祐君) 本定例会は、改選後最初の議会であり、都民の皆様にお約束した公約の実現に向け、スタートを切る議会であります。都政の根幹をなす都民生活に密着した各分野の施策を着実に推進することはもとより、首都東京のプレゼンス向上に向けた中長期の施策についても積極的に提言していくことを冒頭に申し上げ、都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
国際情勢の先行きが不透明な中、我が国の成長の原動力である東京がそのポテンシャルをフル活用し、我が国の国際的な存在感を向上させていくということは極めて重要です。
日本は、長年、国連常任理事国入りを外交方針の政策の一つに掲げてきました。国際的な政治上の影響力や国際的ステータスの向上、安全保障環境の改善などの効果が期待されています。
そして何より、今なお国連憲章に残る敵国条項の削除に向けて一石を投じたい。こうした我が国の悲願も踏まえ、第二回定例会において、東京に国連本部を誘致することを真剣に検討すべきと代表質問したところ、小池知事からも、政府がこうした動きに打って出るのであれば、全面的に協力をしていくとの答弁がありました。国連の誘致に向けたその後の取組と誘致により期待される効果について、知事の見解を伺います。
世界中で自然災害が頻発、激甚化しています。都はこれまでも、TOKYO強靱化プロジェクトをはじめ、都市課題の解決に積極的に取り組んでいます。例えば富士山噴火等の大規模な災害に備え、下水道管の中に堆積した火山灰などを、水を使わずに除去できる都下水道局の全国初の技術は、先日、国土交通大臣から、循環のみち下水道賞を受賞しました。都のこうした技術を国内外に広くアピールし、事業展開することも世界的な貢献といえます。
都は、世界の都市が共通する自然災害のリスクに対応するため、海外都市との国際ネットワークを活用するなど、連携をより一層強化すべきと考えます。知事の見解を伺います。
近年、都の税収は堅調ですが、終わりの見えない紛争、米国による関税措置や為替、金利の動向など、世界の情勢の不確実性はますます高まっており、我が国、そして都財政を取り巻く環境の先行きは不透明であります。
足元では、長引く物価高騰により、都民生活や事業活動が厳しさを増しています。我が会派では、これまで都民生活や中小事業者の事業活動を下支えし、企業の生産力を高める取組を後押ししてまいりました。先般、国の対応を待たずして、今月末までの物価高騰緊急対策を十二月まで延長を決定したということは評価しますが、今後も国の動向を注視し、機敏に対応する準備をしていくことこそ重要であります。
こうした目下の課題のみならず、日本全体の成長と発展を牽引すべく、スタートアップの育成、都市インフラの整備、子育て支援など、将来に向けた投資も積極的に行っていかなくてはなりません。
これらの課題に的確に対応するためには、強固な財政基盤の堅持が不可欠であります。そのためにも、徹底した事業の精査により財源を確保する必要があります。令和八年度予算編成に向けてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
我が国が持続的な経済成長を実現するためには、イノベーションを促進し、グローバルに活躍できるスタートアップの創出が欠かせません。
一方、日本社会全体で労働力不足が深刻化しており、スタートアップ企業も例外ではありません。我々は、こうした企業と継続的に意見交換を行っていますが、人材の確保、定着に苦戦し、事業展開にも支障があるといった声も聞かれております。
都は、東京から世界に挑戦するスタートアップに対する人材面の支援を行い、成長を強力に後押しすべきと考えます。見解を伺います。
コロナ禍で急速に普及したテレワークですが、対面によるコミュニケーションの有用性が再認識され、最近では出社回帰を進める企業が増えてまいりました。
一方、従業員の方からはリモートワークを希望する声が依然として根強くあります。大切なことは、出社かテレワークかの二択ではなく、双方の利点を生かすことで労働生産性が向上し、企業の業績拡大につながる好循環をつくることであります。
そのためには、仕事とプライベートを両立できるような人事制度の導入を後押しするとともに、出社のメリットを実感できる魅力あるオフィスづくりへの投資を促すということも重要です。都は、柔軟性の高い職場環境づくりに取り組む企業を支援すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、女性活躍について伺います。
有識者会議での議論を踏まえ、仮称女性の活躍に関する条例の基本的な考え方が示されました。女性の経済的自立を促していくということは、企業の持続的な成長にもつながり、ひいては東京全体の経済成長にもつながってまいります。当然のことながら、都内中小企業においても、その取組を進めることが欠かせません。
また、女性特有の健康課題と仕事の両立を可能とするためには、従業員の健康に配慮した職場環境の整備などの健康経営に事業者が積極的、戦略的に取り組むことも重要です。
しかしながら、重要性を認識しながらも、組織体制の問題やノウハウ不足などによって、具体的な取組に踏み出せないといったケースも少なくありません。
そこで、今般示された条例の基本的な考え方を踏まえ、中小企業に対して、女性活躍の取組をどのように後押しをしていくのか、都の見解を伺います。
失われた三十年でデフレマインドがはびこり、国際社会の成長から取り残されてきた日本経済も、物価、賃金ともに上昇に転じ、変化の兆しが現れつつあります。
経済の成長に重要なことは、物価の安定的上昇と、それを上回る賃金上昇の好循環であります。日本のエンジンである東京から、こうした流れをつくり出していかなくてはなりません。
都はこれまでも、国の施策を先導し、我が国の経済成長を下支えする様々な政策を進めてまいりました。現在は道半ばでありますが、東京都のスタートアップ協働件数や賃上げを予定する都内中小企業の割合が増加するなど、着実に成果も現れています。
我が国の経済を確実に上昇軌道に乗せていくためには、都がこれまでの取組をさらに進化させるとともに、成長を阻む旧態依然とした社会構造を変革し、好循環を生み出すことが必要です。東京の持続的成長に向けて、二〇五〇東京戦略の下、どのように施策を推進していくのか、知事の見解を伺います。
都議会自民党は、首都東京の強靱化を進めることを重要政策に掲げ、切迫する首都直下地震や激甚化する風水害等災害に対する取組を都に強く求めてまいりました。
今月十一日、関東地方は記録的短時間の大雨に見舞われました。目黒区では一時間に百三十四ミリの猛烈な雨が観測され、気象庁は記録的短時間大雨情報を発表したところです。この影響で、都内各地で河川の氾濫や住居、店舗への浸水被害も発生しております。
こうした状況を踏まえ、翌十二日、東京都に対し、記録的な降雨被害への対応に関する緊急要望を都議会自民党は行ったところであります。予想を超えるゲリラ豪雨が頻発する中、都民の生命、財産を守るためにも、早急に抜本的な対策を講じることが求められます。
都は、令和五年十二月に東京都豪雨対策基本方針を改定し、気候変動に対応した豪雨対策に取り組んでいますが、近年の状況を踏まえると、計画の早期完成に向け、雨水貯留施設や下水道管路の増強を一層加速させる必要があります。今回の豪雨被害を踏まえ、区部における下水道の浸水対策を強力に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
都はこれまでに、豪雨や洪水対策として護岸整備や地下調節池等の整備も進め、効果を発揮しています。激甚化、頻発化する豪雨や線状降水帯などに対し安全性を確保していくためにも、調節池等の整備を一層推進していくということが重要です。中小河川における調節池等の整備について、都の見解を伺います。
また、雨水浸透ますなどの流域対策に取り組むことも重要です。都は、我が会派の質問において、流域対策としてデジタル技術を活用した評価手法を検討するとの答弁をしていますが、これを具体化することで、参画する自治体も増えることも期待されます。基礎自治体との連携強化や評価手法の実現により、流域対策を積極的に進めていくべきと考えます。都の見解を伺います。
今年七月のカムチャツカ半島付近での大地震では、都内でも津波が観測されました。都民を守る防潮堤や護岸、また、生活と産業に欠かせない港湾施設については、東京港及び島しょ港湾において、耐震対策など強靱化の取組が着実に進められていますが、被災した場合の対策をさらに強化し続けていくということが必要です。
また、被災状況の把握こそ早期復旧への第一歩です。被災が広範囲に及んでいる場合や人が立ち入るのが難しい場合など、現在では、多くの災害現場でドローンを用いた被災状況の確認が行われています。東京港及び島しょ港湾は重要インフラであるからこそ、災害に対する万全の備えとして、新たな技術を積極的に活用し、被災時の対応も強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
令和六年の能登半島地震では、停電や光ファイバーの断線等により多数の携帯電話基地局が停止し、救助活動等に深刻な影響が出たと聞いています。我が会派は、大災害においても耐え得る強固な通信環境の確保が極めて重要となるということを主張し続けてまいりました。
今年度から国と都が開始した衛星通信や蓄電池等を活用した基地局の強靱化に向けた取組や、公衆電話ボックスを活用した公衆Wi-Fi環境の整備を高く評価します。
今後は、基地局が停止した際においても、災害対応の拠点や避難所等において、モバイル通信だけではなく、Wi-Fiを活用した対策も講じておくことが重要です。災害時におけるWi-Fi環境のさらなる強化に向け、どのように取り組んでいくのか、都の見解を伺います。
先般、大阪道頓堀で発生したビル火災において、消防職員二名が殉職するという痛ましい事故が発生いたしました。火災が発生した建物の中には、強い熱気と有害なガス、足元すら見えない煙の中、倒壊した家財や柱などで屋外に避難することは容易ではなく、想像を絶する恐怖の空間であります。そのような状況においても、逃げ遅れた住民を救出に向かう勇敢な消防職員の皆様に対し、都民を代表して深く敬意を表します。
このような痛ましい事故を繰り返さないためにも、消防職員の装備資器材は、最新で最高水準であることをはじめ、安全を最優先とした消防活動が求められます。安全に対する体制整備について、消防庁の見解を伺います。
平成十三年には都内でも新宿歌舞伎町の雑居ビルで死者四十四人が発生する火災が起こりました。このような雑居ビルをはじめとした繁華街には火災リスクが多くあるため、火災予防対策が非常に重要です。道頓堀の火災においては、大阪市の事故調査委員会での検証も進められておりますが、雑居ビルへの火災予防対策について、消防庁の見解を伺います。
本年五月、都内産廃施設においてリチウムイオン電池が原因の火災事故が発生し、人的な被害はなかったものの、建物や施設に大きな被害が発生しました。これにより産業廃棄物の処理がストップしており、社会的、経済的な影響をもたらしています。
都はこれまで、産業廃棄物を排出する事業者の責任を明確化するなど、廃棄物へのリチウムイオン電池の混入を防ぐ取組を行ってまいりました。こうした取組に加え、排出事業者への分別の徹底の呼びかけ、リチウムイオン電池の混入が避けられない事態も想定した廃棄物の処理工程における火災防止対策も必要であると考えますが、都の取組について伺います。
先般の気象庁発表によりますと、今年の夏の気温は、昨年、一昨年の記録を大幅に上回り、三年連続で最も暑い夏を更新しました。子供が夏休みに外で体を動かせない、公園の遊具が熱くて遊べない、プールの水温が高くて入れない、そういった様々な体験機会が猛暑によって失われました。子育て家庭からは、外遊びができず、家の中でスマホやゲームに長時間夢中になるなど活動が制約されることで、子供の成長を心配する声も寄せられています。
子供の健やかな成長には、危険な暑さとなる夏であっても、子供が健康を損ねることなく、多様な経験を積み重ねることが必要です。子供たちが、夏に学校外においても安全に活動できる機会を確保できるよう対応すべきと考えますが、都の見解を伺います。
外国人との秩序ある共生社会の実現に向けて質問します。
都内における不法残留及び不法在留の外国人の検挙件数は、令和四年が不法残留と不法在留それぞれ一千百四件と二十三件であったものが、昨年は二千三百十九件と三十一件と、それぞれ増加をしています。
日本人の犯罪と比較して、外国人犯罪が突出して高いという状況にはありませんが、同一の人種で徒党を組み、組織的に不法行為を繰り返すケースも増え、地域社会には大きな不安を与えています。
こうした不法行為が資金を確保する仕組みにつながっていることを考えると、不法な残留や在留、そして不法就労に対する取締りの強化は重要です。そして、外国人犯罪に甘い東京というイメージを持たれてしまうと、都民の不安を助長し、排外的な世論も醸成され、日本人と外国人との分断を生みかねません。
そこで、不法残留及び不法在留の外国人や不法就労を助長する事業者に対する取締り等の対策について、警視総監の見解を伺います。
現在、インバウンドの増加により、訪日外国人観光客によるレンタカーでの事故も問題となっております。訪日外国人のレンタカーの事故率は、日本人に比べ高く、約五・五倍に達するといったデータもあります。
主な原因としては、異なる交通ルールへの理解不足や運転感覚の違い及びレンタカー利用期間の長さにあるともいわれています。事故を防止するためには、交通ルールの相違点を国ごとに動画などで分かりやすく伝える取組や、アルコールチェッカーなどの推奨が有効です。
また、都内に一定期間居住する在留外国人も増加傾向にあることから、例えば住民登録の際に、区市町村の窓口で交通安全に関する案内を行うことも有効と考えます。増え続ける外国人観光客や在留外国人が日本の交通ルールを正しく理解し、安全運転につなげる取組を都としても進めるべきと考えますが、見解を伺います。
近年、外国人による不動産取得等の問題で都民の不安を招くような事態も発生しています。板橋区では、賃貸住宅のオーナーが外国人へ替わったことを契機に、住民に対して急激かつ法外な家賃の値上げを要求し、応じなければ立ち退きを迫るといった事例が発生しました。このマンションでは違法民泊が行われていた疑いもあり、そのための部屋の確保のため、不当な家賃値上げを行った可能性もあると報道されています。
加えて、先日、青色申告会の皆様と意見交換した際、商業ビルのオーナーが外国人へ替わったことを契機に、これまでの二倍のテナント料を要求され、事業継続が困難となる事例が発生したといったお話も伺いました。
こうした事態に対し、先般、都において的確な対応をするよう要望書を提出したところでございますが、都はどのような対応を行うのか伺います。
昨今、人件費や燃料費等が上昇しており、生活全般にわたり物価が高騰している中、民営火葬場の料金についても都民の関心が高まっています。
一方で、事業者は、指導監督権限がある特別区との調整により、火葬に関する事業を公益事業と位置づけ、透明性を確保するため、会計を分離し、公表したとも聞いています。都は、民間の火葬場の料金について、区とともにどのような対応を行っていくのか、知事の見解を伺います。
都内に十四の病院とがん検診センターを運営する都立病院機構の令和六年度決算は、二百三十九億円の純損失と聞いています。都立病院の使命は、将来にわたり都民が必要とする医療を提供し続けることであり、純損失が直ちに悪いとはいいませんが、持続可能な経営のためには、経営改善の取組は必要であります。都立病院機構の令和六年度の決算状況と経営改善の取組について伺います。
民間病院の経営も厳しい状況が続いています。約七割の病院が赤字を抱えており、現在の診療報酬では、物価高騰分を十分に補えていないとの声も聞いています。
本来、病院経営を下支えする役割は、国の診療報酬制度が担うべきものでありますが、都は今年度、民間病院を支援するための緊急臨時支援事業を実施しています。東京の医療を守るためにも、民間病院や医療機関への継続的な支援拡充は大変重要です。
都は、病院経営等に係る調査を実施することとしていますが、経営状況をつぶさに把握し、今後の取組につなげるべきと考えます。都の見解を伺います。
人と動物の健康、そして環境保全を一体的に捉えるワンヘルスの理念を、長きにわたり推進してきた自民党所属の福岡県議会議員でもある日本獣医師会の藏内勇夫会長が、昨年、日本人として初めて世界獣医師会の次期会長に就任することが決定いたしました。
我が会派は、この歴史的な機会に、世界都市東京において国際会議を戦略的に誘致すべきと提言し、来年四月にこの東京で世界獣医師会大会が開催される運びとなりました。
都は、この大会を後押しするとともに、ワンヘルスの理念を踏まえた動物との共生社会を見据えて、この機会に小池知事からも世界にメッセージを発信していくべきと考えます。知事の見解を伺います。
あらゆる障害特性に応じた情報保障が必要だとの考えから、本年の都議会第一回定例会で東京都障害者情報コミュニケーション条例が可決、成立し、七月一日に施行されました。
近年、デジタル機器の進歩は目覚ましく、視覚障害者を例にすると、靴に小さな機器をつけ、スマホのアプリを通じて目的地まで誘導する歩行支援用具や、慣れない場所での道案内をスムーズに行うアプリの開発が進められており、大変好評です。
しかし、経済的理由でスマートフォンを持てない障害者の方もいます。条例の施行を踏まえ、情報保障への理解をさらに進めるとともに、障害者の社会参加の促進に向け、情報、意思疎通を支援するアプリと一体となるスマートフォンも、区市町村の日常生活用具給付等事業の対象にするべきだと考えますが、都の見解を伺います。
高校教育について、三点伺います。
緊迫する国際情勢や人口減少など、日本、東京を取り巻く環境は、不確かで不安定な状況にありますが、未来を切り開くのは常に次代を担う子供たちであります。AIに代表される急速なデジタル化などの時代の変化に柔軟に対応できる力を確実に育成するためには、特に高校での学びは重要です。
これまで都立高校改革に対し様々な提案を行ってきましたが、新たな時代に対応する都立高校に生まれ変わる必要もあります。都においても、将来的には子供が減っていくということが見込まれる中、都立高校がこれからも優れた学びの場として、生徒や保護者に選ばれる魅力ある学校となるよう、早急に改革を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
工科高校は、これまで様々な分野で活躍するものづくり人材を育成、輩出してきました。
一方、現代社会では技術革新のスピードが非常に速く、これまでのカリキュラムに加え、専門的な知識、技術を十分に伝える工夫が重要となっています。
都教育委員会では、教員が現場に出向き、先端技術の研究等を行うことを支援していると聞いています。教員が授業を通じて生徒に伝えるということも重要ですが、生徒が直接先端技術に触れ、新たな知識や技術の学びを取り入れることこそ重要だと思いますが、見解を伺います。
グローバル化する社会において、都立高校生等が海外を訪問し、様々な体験をすることは有意義です。都教育委員会では、令和四年度以降、都立高校生を海外に一週間派遣する取組を行っています。一週間と限られた期間を、より実りのあるものとするためには、さらなる取組の工夫が重要です。
また、海外の高校生を複数の都立高校で受け入れる事業についても、学校の単位を超え、様々な国の高校生と交流できる機会を提供することも重要です。日本人としての自覚と誇りを持ち、世界を舞台に活躍する人材の育成に向けて、国際交流の取組は、今後も積極的に拡充していくべきであります。
そこで、これからの国際感覚を育む上で必要な取組について、教育長の所見を伺います。
博士号取得者は、世界で積極的な登用を推進していますが、日本では、人口百万人当たりの博士号取得者の減少傾向が継続しており、博士人材の育成と活躍機会の重要性を指摘したところであります。
減少の背景として、博士課程に進学すると、三年間の学費や生活費といった経済面の負担が大きいということが、進学を断念する大きな理由として挙げられています。
今回、東京都では、博士人材の活用を図るため、政策連携団体等で研究に資する実践的な場を提供する新たな取組を開始していますが、博士人材の経済的な負担を軽減し、社会で活躍できる機会を創出することは極めて重要です。今後の取組について伺います。
人格形成の基礎を養う幼児教育は重要であり、東京では、私立幼稚園が大きな役割を果たしています。都民が、所得によらず希望する幼児教育を子供に受けさせるためには、保護者負担の軽減が機能することが必要です。
令和元年の幼児教育無償化から七年が経過し、その間の物価上昇等に伴い、私立幼稚園の保護者への助成が現実の保育料上昇に追いついていない現状を改めるべきと考えます。都の見解を伺います。
先般、三菱商事が資機材や建築費等の高騰などの理由から、千葉県と秋田県で計画する洋上風力発電事業からの撤退を公表いたしました。地元では、地域経済の活性化の観点から大きな期待が寄せられ、多大な協力をいただいていたことから、非常に落胆しているとも聞いています。
伊豆諸島での計画は、ゼロエミッション東京の実現に大きく貢献し、島しょ地域の地域振興や防災力向上など、地元の期待にも応えられる一大プロジェクトであり、今後の国内産業の進展やエネルギー安全保障にも大きく寄与するものだと思います。
都は、国と連携し、果敢に取り組んでいただきたいと思いますが、本プロジェクトの実現に向けた知事の決意を伺います。
ツキノワグマ対策について伺います。
熊の市街地への出没が増加している状況を受け、国は、鳥獣保護管理法を改正し、本年九月から、熊等が人里近くに出没した際、市町村長の判断で市街地で発砲が可能となる緊急銃猟制度が導入されました。
都内においても熊の目撃情報が続き、奥多摩町では八月に人身被害が発生しています。
引き続き、都と市町村が連携し、新たな制度の活用も想定して被害防止の体制を構築するとともに、銃猟の担い手の育成を進めておくことが重要です。
都として、緊急銃猟制度の導入にどのように対応していくのか、都の見解を伺います。
多摩振興について伺います。
これまでの歴史を振り返ると、高度経済成長期には、人口が急増し、急速に都市化が進展したことから、無秩序な郊外開発、いわゆるスプロールの防止と良質な住宅供給を目的として、ニュータウンの開発に着手しました。
オイルショック以降は、ハイテク中小企業や研究機関が集積、大学等の移転も転機に、職と住の均衡した自立的な都市づくりを推進してきました。
平成以降は、多摩都市モノレールや圏央道といった交通インフラを整備するなど、ダイナミックな都市施策が展開され、今日につながる多摩の発展の礎が築かれてまいりました。
数十年にわたり、我が会派は、この長期的な展望に立って幅広い分野で様々な提案を行い、多摩の振興に向けたビジョンを都と共に描き、施策を一歩ずつ進めてまいりました。
大きな成長のポテンシャルを有する多摩地域は、移住先として若い世代が注目するといった動きも出ている一方、解決すべき課題も残されています。これらの課題を克服していくためには、多摩振興アクションプランに基づく施策を前に進め、成果を上げていくことで、さらなる振興につなげていかなくてはなりません。
今後の多摩振興に向けた知事の決意を伺います。
東京の農地は、狭小な上、昨今の物価高騰により、経営がより厳しくなっています。また、相続税納税猶予の対象となっていない農機具倉庫や出荷作業場といった、農業を行う上で必要な施設の敷地にも課税されるなど、高額な相続税の負担により、毎年百ヘクタールを超える農地が減少しています。
さらに、農業を続けたくても、高齢化や担い手不足により耕作できず、放置される農地も少なくありません。
農地は、生産だけではなく、防災や教育など多面的機能を有しており、こうした農地を何としても保全していかなくてはなりません。そのためには、本業での収入の安定が第一ですが、農地保全の意義を我々都民も改めて認識することも重要です。
都は、農地の減少をどのように食い止めていくのか、見解を伺います。
多摩地域では、新たな都市基盤である多摩都市モノレール箱根ケ崎方面への延伸が本年三月に都市計画決定されました。地元で開催された事業説明会でも、会場の住民から大きな期待の声が上がったと聞いています。
こうした住民の期待を追い風としながら、二〇三〇年代半ばの延伸部の開業に先駆け、沿線の地元自治体の声をしっかりと受け止め、連携しながら取組を進めることで、まちづくりの機運をさらに高めていくことが重要です。
この地域は、狭山丘陵や多摩湖をはじめとする豊かな自然、沿線に広がる農地、先端技術を備えた工場など、特徴ある地域産業の多彩な魅力が存在する地域となっています。こうした地域資源を十分に生かしながら、この地ならではの新たなまちづくりを進めることで、沿線の魅力を引き上げるべきと考えます。
そこで、多摩のまちづくり戦略の中で示された多摩都市モノレール延伸部の地域の将来像をどのように実現していくのか伺います。
連続立体交差事業は、複数の踏切を同時に除却することで、道路交通の円滑化と市街地の一体化により、都市防災の強化とともに安全で快適なまちづくりに寄与する事業であり、東京のさらなる発展に必要不可欠なものであります。連続立体交差事業は、多くの時間や多額の事業費を必要とするものですが、都はこれまで、約四十か所で事業を完了させるなど、大きな成果を積み重ねてきました。
一方で、東急線自由が丘駅付近では、歩行者が安心して歩きやすい環境の確保や、緊急車両の通行を阻害する桁高の低い架道橋の解消が求められていますが、いまだ鉄道立体化には至っていない状況です。
都では、基本方針の改定に向けた検討を進めているところですが、現行方針で鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられている自由が丘駅付近のような区間については、改定後も引き続き検討を進めるべきと考えます。先般、改定に向けた基本的な考え方を示す踏切対策基本方針の中間まとめも公表されました。
そこで、基本方針の改定に当たり、どのような視点で鉄道立体化の検討対象区間を抽出し、鉄道立体化を進めていくのか、都の見解を伺います。
昨年一月に発生した能登半島地震では、配水管が広範囲で損傷するなど水道施設の復旧に時間を要したことから、長期間の断水が発生しました。
都は、首都直下地震を踏まえ、優先順位を明確にし、重点的な配水管の耐震化を進めることで強靱なネットワークを構築してきました。
国土交通省の報告書によれば、能登半島地震においても、耐震化された管路の被害は少なく、都の取組の有効性が再確認されたところであります。
しかし、約二万八千キロにも及ぶ配水管の震災時における断水被害の軽減と早期復旧に向けては、さらなる取組が必要です。
配水管ネットワークの強靱化に向けた取組について伺います。
東京の下水道は、今日に至るまで東京都民の生活や都市活動を支えてきました。
下水道局は、令和七年度までを計画期間とする経営計画二〇二一に基づき事業を運営しており、今年度はその最終年度です。計画で掲げた目標達成はもとより、埼玉県八潮市の道路陥没により社会的課題となった老朽化対策、激甚化する豪雨、能登半島地震などを踏まえた災害への備えも課題となっています。都民の不安を払拭し、安全・安心な東京を実現するためには、事業のさらなる推進が必要です。一方で、物価上昇等により経費の増加も見込まれます。
こうした近年の社会経済情勢の変化を踏まえつつ、将来を見据えた下水道事業の今後の経営の考え方について伺います。
また、下水道の強靱化に向けて、大規模な下水道幹線の老朽化対策に加え、複線化を図るなどバックアップ機能の強化に向けた対策も重要です。見解を伺います。
能登半島地震では、多くの電柱倒壊や電線の断線により避難や救護活動にも支障が生じ、無電柱化の重要性を改めて実感しました。
無電柱化は、防災機能の強化や都市景観の向上に資する重要な取組です。
先般、都は、開発許可を受けて行う宅地開発における無電柱化の条例の基本的な考え方を示しました。都が条例を制定することについて、都市の強靱化をより一層推進していくという観点からどのような意義があるのか、知事の見解を伺います。
我が会派は、かねてより築地を食文化の拠点とするのであれば、土壌汚染対策や埋蔵文化財調査をしっかりと行うべきと強く主張をしてまいりました。
当時、築地市場跡地の所管替えに際し、土壌汚染対策や埋蔵文化財調査に係る費用として二百億円が留保されていました。しかし、今回の都の公表資料によれば、築地まちづくり事業で、今後必要となる概算費用は一千四百五十億円と示されています。当初の見込みが甘かったといわざるを得ません。
食文化の拠点として適切な対応は当然ですが、引き続き費用の精査と継続的な縮減努力は不可欠です。
費用算定の考え方とともに、今後どのように土壌汚染対策等を進めていくのか伺います。
築地まちづくり事業における土壌汚染対策や埋蔵文化財調査の費用は、市場会計で負担されます。市場会計を支えているのは、使用料を払っている市場業者であり、いうまでもなく市場業者に寄り添った丁寧な対応が不可欠です。
今回の件を受けて、多くの市場業者が心配するのは、今後の施設整備だと考えています。各市場では老朽化も進んでいる中、本件の影響によって各市場の施設整備が止まるような事態は、断じてあってはならないことであります。
都は、各市場の施設整備を今後も計画的に進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
先日、成功裏に閉幕した世界陸上は、躍動するトップアスリートに国内外から多くの人が大歓声を送るという、東京二〇二〇大会では実現ができなかった国際スポーツ大会本来の光景を見せてくれました。
都では、この機会を捉えて、国立競技場を訪れた国内外の観光客に、江戸東京の文化の魅力発信を行ったほか、併せて実施したイベントでは、都民も参加、発信する側となってまちじゅうで行い、多くの旅行者の方々に見ていただいたと聞いています。
令和七年予算特別委員会において、我が会派より、世界遺産を見据えて江戸の魅力や価値を国内外に届ける意義について質疑を行いました。文化発信は、一過性ではなく継続的に行うことで、東京のファンを国内外に増やすことになります。
都は、今後とも、東京に注目が集まる機会を捉えながら、江戸東京の文化発信を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
先日、知事の所信表明において、大学生等を対象とした都独自の海外留学支援制度、東京グローバル・パスポートに触れ、自ら主体的に海外に挑戦しようとする学生の最初の一歩を力強く後押しするとの発言がありました。若者が世界を舞台に果敢に挑戦する姿を応援したいとの思いには、強く共感するものであります。
バスケットボールの八村選手をはじめ、現在、スポーツの分野では、さらなる成長を求め、若くして海外に飛び出し、活躍する若手アスリートも増えています。
そこで、スポーツの分野においても、世界を舞台に挑戦することを主体的に目指す若者を都が積極的に支援する留学支援などの仕組みがあってもよいのではないかと考えますが、知事の見解を伺います。
先日、日本ラグビー協会の土田会長は、二〇三五ワールドカップの開催地に立候補をする意向を表明しました。都は、スポーツ推進本部を立ち上げたわけでありますから、これからもあらゆる機会を生かして国際大会の招致などにも積極的かつ継続的に取り組み、東京のプレゼンス、国際都市としての競争力向上につなげていただきたいと思います。
都政を取り巻く課題は、日々変化してまいります。変化を生み出す社会の動きに常に目を配り、機敏に、本質的な課題解決に向けて全力で取り組んでいくことをお誓いし、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 小松大祐議員の代表質問にお答えいたします。
国際機関の誘致についてのお尋ねがございました。
混迷を極める国際情勢の中、さきの定例会におきまして、国際機関の機能を東京に移す、外交的ゲームチェンジを打ち出してはどうかと申し上げました。
七月の米国出張では、世界的なシンクタンクでの講演や国連主催の会議などにおきまして、こうした考えを直接訴えてまいりました。また、グテーレス国連事務総長との会談におきましては、東京として国連機能の受入れに協力していくことを伝えております。
事務総長からは、気候変動対策など東京の国際社会への貢献に称賛の意が示されるとともに、都市の安全性やIT環境、人材の観点から、東京が国連機関の拠点として優れた条件を備えているとの評価を得たところでございます。
首都東京に国際機関を誘致することは、我が国から国際的な協調の流れを創出し、日本のプレゼンスの飛躍的な向上につながります。同時に、高度人材や国際会議の呼び込み等によりもたらされます経済、社会の活性化は、東京の成長の原動力となるものと考えております。
次に、都市間連携の強化についてでございます。
世界は今、気候変動に起因する洪水や山林火災など、様々な危機に直面しております。その対応の最前線に立つ世界の都市が協働して、課題に立ち向かわなければなりません。
そのため、世界の都市が共通して抱える課題を解決するために都が立ち上げました国際ネットワーク、G-NETSを再編し、自然災害に対する都市のレジリエンスに着目した多都市間連携のプラットフォームとして、その機能を強化いたします。
九月には、早速、G-NETSの下に、レジリエンス強化を目的とした部会を新たに立ち上げるとともに、参加都市による高潮対策などの視察や意見交換など、現場での実践的な取組を開始いたしました。
先進事例の共有や現場での技術交流、国際的な発信などを通じまして、東京が誇る安全・安心を支える技術にさらに磨きをかけて、世界の都市のレジリエンス向上につなげてまいります。
令和八年度予算編成についてでございます。
国際秩序の不安定化、グローバル市場の環境変化など、世界情勢は、かつてない激動のときを迎えております。
首都東京からゲームチェンジを起こし、日本の持続的な成長へつなげていくためには、迅速かつ積極的な施策の展開と、これを支え得る強靱な財政基盤の堅持が不可欠でございます。
こうした考えの下、令和八年度予算に向けまして、大都市東京の強みを遺憾なく発揮し、明るい未来を実現するための施策を構築してまいります。
あわせまして、より成果重視の視点から、評価制度をさらに強化いたしまして、事業の見直しを徹底することで、社会の変化に的確に対応すると同時に、施策の効率性、実効性を一層高めてまいります。
これらの取組を通じまして、都政に課せられた使命を確実に果たし、東京、ひいては日本の希望ある未来を切り開くための予算をつくり上げてまいります。
次に、東京の持続的な成長についてであります。
世の中が加速度的に変化し、極めて不確実な時代である今だからこそ、東京の成長を確固たるものとし、日本を明るい未来へ牽引していかなければなりません。
都は、二〇五〇東京戦略の下、これまで進めてまいりました未来への歩みをさらに加速させてまいります。成長の源泉であります人への投資はもとより、国際競争力を高めるスタートアップの育成や成長産業への投資促進、賃上げの後押しとなる中小企業の生産性向上等、経済、産業、社会をアップデートする政策を積極的に展開してまいります。
あわせまして、政策の効果を高めるため、制度や仕組みの根源に遡りまして在り方を見直す構造改革を徹底いたします。働き方や女性活躍など、時代の変化に即した制度の見直しや次世代モビリティー等の新技術の社会実装を促すルールの整備等に取り組みまして、都が率先して、我が国の成長の障壁を取り除いてまいります。
日本をリードする政策を先手先手で実践し、東京の持続的な成長につなげ、都民一人一人が幸せを実感できる、世界で一番の都市東京を実現してまいります。
民間火葬場の火葬料金についてのお尋ねでございます。
国内の火葬場の多くは基礎自治体が運営しておりますが、都内には、歴史的な背景から、区部を中心に多くの民間火葬場が存在いたします。
火葬場は、経営主体にかかわらず公共的な役割を担っておりますが、民間火葬場の料金は、公営の場合と異なりまして、行政が関与する仕組みとはなっておりません。
国は、民間火葬場の料金につきまして、区市に指導監督を求めているものの、金額の妥当性を判断する基準や具体的な指導方法は示されておりません。
安定的な火葬体制を確保するため、指導監督権限を有する区と連携いたしまして、料金を含む経営管理の指導が適切に行えますよう、今後、必要な法改正等を国に要望してまいります。
動物との共生についてであります。
動物は、私たちの生活に潤いや癒やしを与えてくれる大切な存在でございます。飼い主にとりましては家族の一員であり、社会にとってもその一員であります。
こうした考えの下、関係団体やボランティアなどと力を合わせまして、適正飼養の普及啓発、そして保護動物の譲渡推進などを進めて、殺処分ゼロを継続しております。
本年七月、ワシントンDCで開催されました世界獣医師会大会に出席いたしました。大会では、人、動物、環境の健康が相互に関連しているというワンヘルスの理念も踏まえまして、取組を一層進めていく考えを述べております。
来年四月の東京大会では、日本の優れた文化に触れる機会の提供などのサポートを行ってまいります。そして、動物愛護管理に係る都の取組やワンヘルスの理念を広く発信いたしまして、共生社会の実現に向け、取り組んでまいります。
都立高校の改革についてであります。
我が国の社会や経済の変化は急速に進み、産業や日常生活を支える技術の発展は加速しております。少子高齢社会も進展しまして、将来の東京を担う人材とその働き方が大きく変わることの見込まれる中で、子供たちへの教育の仕組みや基盤の改革は待ったなしであります。
東京で活躍するための学びを行う都立高校で、これまでにない新たな教育を確実に展開いたします。日々の学校生活を一層充実して送ることのできる環境づくりも進め、都立高校の魅力を格段に高めてまいりたい。
そして、新たな教育のスタイルといたしまして、デジタルとリアルの学びを巧みに組み合わせました取組を開始しております。斬新な知識をリモートで確保し、学校外の様々な現場で学習する方法を広げてまいります。
これに加えまして、グローバルな舞台で力を発揮し、多様な分野で活躍のできる学びの新たな展開を進めてまいります。より快適に学習や様々な活動のできる施設等のレベルアップにも力を入れてまいります。
こうした対応を総合的に進めることで、生徒に選ばれる都立高校が速やかに実現するよう、教育委員会と連携して取り組んでまいります。
次に、島しょでの洋上風力の導入についてでございます。
洋上風力発電は、海洋大国の強みを生かした脱炭素社会への重要な切り札でございます。数万点の部品のうち六割強を国内で調達する政府目標が掲げられ、地域や産業界から大きな期待が寄せられております。このため、風況のよい伊豆諸島におきまして、世界最大クラスの浮体式洋上風力を導入いたします。
本年六月、法に基づく準備区域に整理をされまして、大きな一歩を歩み出しております。事業実施に向け、地元への丁寧な説明とともに、島の将来像や振興策等の意見交換を重ねてまいります。
また、地元の期待が高いこの一大プロジェクトにつきまして、事業者の撤退等が生じないよう、国に対しましては、実効性ある事業者公募制度への改善を強く働きかけてまいります。
再エネの基幹エネルギー化に向けまして、浮体式洋上風力発電の導入を積極的に推進し、世界有数の大都市東京のエネルギー自給率向上と脱炭素化を全力で進めてまいります。
次に、多摩地域の振興についてであります。
多摩地域は、豊かな自然や良質な住環境、企業や大学など、多様な地域資源を有しております。同時に、少子高齢化への対応、産業振興、交通インフラの整備など、地域ごとに課題も抱えております。
こうした強みや課題をつぶさに把握した上で、本年三月、多摩振興アクションプランを策定いたしました。本プランに基づきまして、南北方向の道路をはじめとした道路、交通インフラの整備、空家を活用した移住、定住の促進、地域産業の振興などの施策を推進いたしております。
また、市町村総合交付金につきましては、今年度、七百五億円を計上しておりまして、市町村の自主、自立的な取組を後押ししております。
市町村と連携をいたしまして、多摩振興アクションプランに掲げた施策を着実に進め、多摩地域を緑のTAMA手箱として発展させるよう、全力で取り組んでまいります。
次に、宅地開発におけます無電柱化についてであります。
首都直下地震への備えをより確かなものとすることは急務でありまして、円滑な避難や救助活動に欠かせない無電柱化の取組を一層加速することが重要です。
都はこれまで、既存の道路に加えまして、新たなまちづくりにおいて無電柱化を推進してまいりました。
一方、民間による宅地開発につきましては、無電柱化が法に基づく開発許可の要件に位置づけられておりませんため、新たな仕組みづくりが必要でございます。
このため、防災性向上の必要性が高い地域等を対象とし、宅地開発における電柱新設を原則禁止する都独自の条例を制定することで、無電柱化の実効性を確保することといたしました。
こうした取組によりまして、災害の脅威から都民を守る、世界で最も強靱な都市の実現を目指してまいります。
スポーツに取り組む若者の支援についてのお尋ねでございます。
先日開催されました世界陸上におきましては、東京ゆかりのアスリートをはじめ、多くの日本人アスリートが活躍をいたしました。
この活躍の背景には、海外に拠点を移し、厳しいトレーニングに取り組むなど、世界の第一線で果敢に挑戦してきた努力の積み重ねが挙げられます。
都は、ジュニア層の発掘や競技力の強化、海外で競技経験を積むために必要な渡航費などを支援してまいりました。
スポーツの分野におきましても、自分の可能性を信じ、未来を切り開く力を育んでもらえますよう、次代を担う若者の海外への挑戦を力強く後押しをしてまいります。
なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監迫田裕治君登壇〕
○警視総監(迫田裕治君) 不法残留及び不法在留の外国人や不法就労を助長する事業者に対する取締り等の対策についてでありますが、警視庁におきましては、東京出入国在留管理局などの関係機関と連携した不法滞在者及び不法就労助長被疑者の摘発に努めております。また、検挙した被疑者からの突き上げ捜査及び各種事件情報に基づく取締りを鋭意行っております。
さらに、不法就労を防止するため、外国人雇用企業等に対する情報発信及び在留外国人に対する指導啓発活動等の対策を推進しております。
今後も違法行為に対する取締りを厳正に行うとともに、企業や在留外国人に対する指導啓発活動を強力に推進するなど、組織の総合力を発揮した対策を強化してまいります。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、工科高校での教育内容の充実についてでございますが、これからの東京のものづくりを担う人材の育成に向け、工科高校で学ぶ生徒が最先端の技術に触れる機会を増やすことは重要でございます。
これまで都教育委員会では、工科高校の教員が製造業の会社に出向き、最先端の技術やその開発の動向に触れる機会の確保を進めてまいりました。こうした教員が授業で最新の知識などを伝えて、教育内容のレベルの向上を行っております。
今後は、生徒がそうした企業を訪れ、新たな知識に触れるとともに、授業で最先端のドローン等の内容や操作などを学ぶ機会を増やす取組に力を入れてまいります。これらによりまして、工科高校の教育の充実を図ってまいります。
次に、都立高校の生徒等の国際交流についてでございますが、将来の東京を担う都立高校生等が世界の様々な舞台で力を発揮するため、海外や国内で様々な国際交流を行う機会を増やすことは重要でございます。
このため、都教育委員会は今年度、都立学校の生徒約三百名が海外十一か国へ研修に出向き、同世代の学生との意見交換や視察等を行います。また、様々な都立高校で海外の生徒九十名を受け入れ、授業や部活動を共に行うなどの交流を進めてまいります。
今後は、海外を訪問する高校生が現地でのより多くの交流を図る機会の充実に一層力を入れてまいります。また、多くの都立高校の生徒が一緒になり、都内で海外の高校生と交流する機会づくりにも力を入れてまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、地域と連携した豪雨対策についてでございます。
都はこれまで、豪雨対策基本方針を改定し、目標降雨量の十ミリ引上げなどを実施してまいりました。この目標降雨量に対しまして、今年度から流域ごとに雨水貯留浸透施設の対策目標量を設定してまいります。
また、施設の設置効果をデジタルマップ上で視覚的に分かりやすく表示できるシステム開発に着手してまいります。これにより、優先すべきエリアを明確にし、施設の効率的な整備促進を図ることで、対策目標量の達成につなげてまいります。
今後ともこうした取組を地元自治体と連携して行い、都内全域で流域対策を推進してまいります。
次に、多摩都市モノレール延伸部沿線のまちづくりについてでございます。
多摩の魅力を引き上げるためには、箱根ケ崎方面延伸の機会を捉え、沿線のまちづくりを進めることが重要でございます。本年六月には、有識者や地元二市一町等で構成する検討会を設置し、多摩のまちづくり戦略で示した子育て世代が住みやすいまち、イノベーションが創出されるまち等の実現を目指し、検討を進めております。
こうしたまちづくりを誘導するため、地域資源を積極的に活用したプロジェクトを実施計画として今年度末に取りまとめ、関係者と連携、協働により、沿線のまちづくりの機運を高めてまいります。
次に、鉄道立体化の推進についてでございます。
都は、踏切対策基本方針におきまして、鉄道立体化の検討対象を二十区間選定し、取組を進めてまいりました。本方針は、策定から約二十年が経過しており、改定に当たりましては、これまでの道路渋滞の解消等の視点に加え、ウオーカブルの推進や防災意識の高まり等を踏まえることが重要でございます。
中間のまとめでは、駅周辺の回遊性や災害時の救急活動の確保など、まちづくりや都市強靱化の視点を強化し、立体化の検討対象区間を抽出することとしております。
これらを踏まえ、都は今後、基本方針を改定するとともに、地元区市や鉄道事業者と連携しながら、鉄道立体化を着実に推進してまいります。
最後に、築地まちづくりについてでございます。
築地の開発に当たりましては、埋蔵文化財調査や土壌汚染対策などに適切に対応し、都民の安全・安心の確保に努めていくことが重要でございます。
費用につきましては、開発計画を具体化していく中で、事業者と工事範囲や工法等の協議を重ねながら、近年の労務単価や建設物価の高騰を反映するとともに、先月、事業者が公表いたしました基本計画を踏まえ、適正に積算してございます。また、事業の進捗に応じまして、継続してコストの縮減にも努めてまいります。
引き続き、関係法令に基づき、関係局や事業者とも連携を図りながら適切に取り組んでまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、スタートアップの人材確保についてでございます。
スタートアップの事業展開を促進するためには、成長段階に応じて必要な人材を採用し、定着を図る取組を後押しすることが重要でございます。このため、都は本年七月から、スタートアップへの就業意欲を喚起するセミナーや、就業を希望する人材とスタートアップとの交流イベント等を開催する取組を新たに開始いたしました。
来月からは、採用計画や採用後の人事制度の構築等に取り組むスタートアップを募集いたしまして、二十社程度に対して、オーダーメード型で支援するプログラムを提供いたします。こうした取組によりまして、スタートアップの成長を加速させてまいります。
次に、柔軟性の高い職場環境づくりについてでございます。
社員の働きがいを高め、質の高い仕事ができる働き方の実現に企業が取り組むことは重要でございます。このため、都は今年度より、業務の内容に合わせて、従業員自らが働く時間や場所を選択するABWの導入を目指す中小企業への支援を開始いたしました。
具体的には、支援対象として五社を選定し、勤務制度の見直しや魅力ある空間づくりへの助言など専門家による伴走支援を実施しております。また、助言に基づきますオフィス整備の経費を助成するとともに、モデル事例として発信いたします。
これらを通じまして、働き手にとって快適で、企業の生産性を高める職場環境づくりを後押ししてまいります。
次に、女性活躍に取り組む企業の後押しでございます。
社会状況が変化する中、東京の経済と雇用を支える中小企業が成長を続けるためには、女性の活躍をより一層進めることが重要でございます。
都はこれまで、企業の職場環境整備を支援するため、経営者向けセミナーや働きやすい職場づくりへのコンサルティングなどを実施してまいりました。
今後は、事業者がそれぞれの状況に応じた取組を着実に進められるよう、採用や人材育成、さらに女性特有の健康課題への対応等について、業種や企業規模なども踏まえた事例等を指針に示してまいります。
また、経済団体とも連携して、業界における機運醸成を図るなど、企業の取組を促進してまいります。
最後に、農地の保全についてでございます。
新鮮な農産物を供給し、多面的な機能を持つ農地を守り、その価値を伝えることは重要でございます。
このため、都は、高齢化などにより管理が難しくなった農地等を意欲ある農業者が活用できるよう、貸手と借手のマッチングをサポートしてまいりました。今年度は、農業者が借りた農地を再生する際の造成等の経費への支援を強化してございます。また、十年以上農地を貸し出す方へ支給する奨励金の枠を大幅に引き上げております。
さらに、農地が持つ多面的価値を再評価し、その結果を都民と共有してまいります。
加えまして、営農に不可欠な施設用地への相続税の猶予等につきまして、引き続き国に要望してまいります。
〔下水道局長藤橋知一君登壇〕
○下水道局長(藤橋知一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、区部における下水道の浸水対策についてでございますが、下水道局では、時間七十五ミリ降雨を目標整備水準とし、浸水の危険性が高い六十七地区を重点化して、幹線などの施設整備を推進しており、二十九地区で完了、十九地区で事業を進めております。今年度は、新たに三地区で工事に着手し、対策を加速させてまいります。
大規模な施設の整備には長期間を要するため、一部完成した施設を暫定的に貯留施設として稼働させることや、バイパス管の整備により下水の流れを切り替えるなど工夫し、早期に整備効果を発揮させてまいります。
今後、これらの取組を一層推進し、強靱な都市の実現に貢献してまいります。
次に、今後の下水道事業経営についてでございますが、下水道は、都民生活や首都東京の都市活動を支える基幹インフラであり、二十四時間三百六十五日、その機能を発揮していく必要がございます。
このため、下水道局は、五か年の経営計画に基づき、施設の再構築や浸水、震災対策、脱炭素など、各施策の目標の達成に向け、着実に取組を進めてまいりました。
一方で、今後も老朽化が進む膨大な施設の維持管理や再構築に加え、さらなる気候変動への対応、DX技術の進展など、下水道事業を取り巻く環境は変化しております。こうした課題に迅速かつ的確に対応するため、企業努力の徹底や新たな技術開発に取り組み、強靱で持続可能な下水道を実現してまいります。
最後に、下水道幹線の機能確保についてでございますが、老朽化対策に合わせて、雨水排除能力の増強や耐震性の向上等を図る再構築を推進するとともに、災害等に備えたバックアップ機能を確保することが重要でございます。
下水道局では、水位が高く対策が困難な幹線で再構築を実施するために下水の流れを切り替えることや、災害等が発生した場合においても既存の幹線の機能を補完することを目的として、代替幹線の整備を推進しております。
今年度、計画的な再構築に合わせ、新たに町屋幹線や乞田幹線で工事に着手するなど、五つの代替幹線の整備を推進してまいります。
今後も下水道管の再構築を着実に推進し、安全・安心な東京の実現に貢献してまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 河川における調節池等の整備についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、護岸の整備に加え、調節池等の整備が重要でございます。
都はこれまでに、二十九か所の調節池と八か所の分水路を整備し、豪雨による河川の水位上昇を抑制してまいりました。今月十一日の豪雨におきましても、十三か所の調節池で洪水を取水し、効果を発揮いたしました。
今年度は、石神井川上流地下調節池等三か所で新たに本体工事に着手するなど、九か所の調節池と谷沢川分水路の整備を着実に進めてまいります。
また、将来の気候変動に備えるため、地下河川の事業化に向けた取組を推進してまいります。
こうした取組によりまして、水害に強い東京を実現してまいります。
〔港湾局長田中彰君登壇〕
○港湾局長(田中彰君) 新たな技術を活用した防災対策の強化についてのご質問にお答えいたします。
災害から都民の生命と財産、生活と産業を守るためには、DXを積極的に活用し、港湾機能を早期に復旧させることが重要でございます。このため、災害時に機動性を発揮するドローンのさらなる活用に向け、実証を進めてまいります。
具体的には、ドローンにより防潮堤や岸壁等の3Dデータを取得し、設計に反映するための検証を行います。さらに、職員が常駐しない小離島にドローンポートを設置し、島外からの遠隔起動による自動点検を行います。
これらの取組を被災状況の速やかな把握と港湾施設の一刻も早い復旧につなげてまいります。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕
○デジタルサービス局長(高野克己君) 災害時におけるWi-Fi環境の強化についてお答えいたします。
有事に備え、安全で利便性の高いオープンローミング対応Wi-Fiによる通信の多重化は重要であり、都は都有施設等への整備を進めてまいりました。この取組を加速するため、先月、大手通信事業者と協定を締結いたしました。
この協定に基づき、発災時に人が集まる駅前等の電話ボックスにWi-Fiの設置を進めるとともに、これまで事業者が整備したWi-Fiにつきましても、安全性の高い方式に切替えを促進いたします。
さらに、今年度拡充した区市町村への補助により、避難所等への導入拡大を図ってまいります。
災害時に必要不可欠となる通信の確保に向けて、つながる東京の取組を強力に展開してまいります。
〔消防総監市川博三君登壇〕
○消防総監(市川博三君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、安全に対する体制の整備についてでございますが、東京消防庁では、あらゆる災害に安全かつ的確に対応するため、最新の車両及び資器材の導入や、実戦的な消防活動訓練の推進等に努めてまいりました。
また、消防業務の安全を追求する全国唯一の専門組織として安全推進部を創設し、事故の調査分析や再発防止対策を実施するのみならず、組織として目指すべき安全の理想像となる東京消防庁安全憲章を制定し、安全を最優先とする文化を醸成するための取組を組織横断的に推進しております。
今後とも、安全文化を醸成するとともに、装備資器材の調査研究をはじめとした実効性のある安全対策をさらに推進してまいります。
次に、雑居ビルへの火災予防対策についてでございますが、雑居ビルは構造が特殊で営業実態が多様なことから、実効的な火災予防対策の策定が重要でございます。
このため、日中の立入検査のみならず、二十四時間即応可能な本庁機動査察と地元消防署が連携し、休日や夜間にも行政措置である物件除去命令などを行い、雑居ビルの火災予防に努めております。
さらに、先般の大阪市のビル火災を受け、繁華街地域において火災予防上の危険を早期に発見するため、年内に緊急一斉立入検査を実施してまいります。
これらの取組を通じ、政策目標である都内二十三か所の繁華街地域への立入検査を完遂し、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕
○環境局長(須藤栄君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、廃棄物処理における火災防止対策についてでございますが、産業廃棄物処理におけるリチウムイオン電池に起因する火災の防止には、事業での排出時の分別の徹底と処理の際の安全対策の強化が重要でございます。
都はこれまで、オフィスや建設現場などにおいて廃棄時に混入されやすい製品を例示したポスターを作成し、廃棄物関連団体や経済団体等の協力を得ながら、事業現場での適切な分別を啓発してまいりました。
今後は、事業者へのごみの減量や正しい分別方法を学ぶ講習会などの開催を通じ、さらなる意識向上を図るほか、処理過程での電池の混入実態等を踏まえ、火災の未然防止につながる取組を検討いたします。
これらにより、廃棄物処理の安全を確保してまいります。
次に、緊急銃猟制度への対応についてでございますが、新たな制度を円滑に運用するためには、関係者の役割や手順を明確にするなど、必要な備えを講じておくことが重要でございます。
このため、都は、改正法の施行に合わせ、熊の出没を想定した対応マニュアルに緊急銃猟の実施基準などを反映させ、市町村等に周知を図るとともに、現在、机上訓練の準備を進めております。
また、来月、猟友会と連携し、ベテランハンターと共に狩猟を体験できる実践的な講習会を実施するなど、銃猟の担い手の育成を進めてまいります。
これらの取組をスピード感を持って実施していくことで、都民の安全確保を図ってまいります。
〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕
○子供政策連携室長(田中愛子君) 子供の暑さ対策についてでございますが、子供の健やかな成長を支えるため、夏の暑さが深刻化する中にあっても、子供が多様な体験活動にチャレンジできる機会を確保することは重要でございます。
都では、こどもスマイルムーブメントの特設ページにおきまして、都や区市町村、民間団体等によるクーリングシェルター等での夏休みの子供向けイベント情報に係る特集を新たに掲載するとともに、これらの情報を検索しやすいよう、利便性の向上を図りました。
また、保護者に対しまして、子供の熱中症予防のポイント等について、SNSや交通広告等により積極的に情報発信しております。
これらを通じ、安全で安心な子供の体験活動をサポートしてまいります。
〔都民安全総合対策本部長竹迫宜哉君登壇〕
○都民安全総合対策本部長(竹迫宜哉君) 外国人への交通ルールの周知等についてでございますが、外国人観光客などが日本の交通ルールを正しく理解し、安全に運転していただくことは重要でございます。
都では、東京を訪れ、暮らす外国人が安全・安心な生活を送れるよう、日本の交通ルールやマナーなどを説明する動画を東京動画に掲載し、活用していただくこととしております。
また、警視庁におきましても、交通ルールを分かりやすくまとめた外国人向け運転ガイドを作成し、レンタカー店を通じて外国人運転者に提供しております。
今後とも関係機関などと連携し、観光客や在留外国人に交通ルール等が効果的に周知されるよう、外国人の交通事故防止に向けた取組を強化してまいります。
〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕
○住宅政策本部長(山崎弘人君) 外国人の不動産取得等の問題についてでございますが、都民の安全・安心な住環境の確保は重要でございます。
都は、不当な家賃値上げへの借地借家法を踏まえた借主の対応方法等を情報発信しているほか、業界団体や区を通じて実態把握に取り組んでおります。
外国人貸主によるトラブルの原因の一つとして、商慣習の違いが考えられるため、今後、日本の賃貸住宅のルールをまとめた多言語チラシを作成し、啓発を図るとともに、トラブルに直面した都民のための専用相談窓口を速やかに設置いたします。
引き続き、さらなる実態把握を進め、より効果的な普及啓発など、都民生活を守るために必要な対策を国や区市と共に連携しながら検討してまいります。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕
○保健医療局長(山田忠輝君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、都立病院機構の決算と経営改善についてでございますが、令和六年度は、医業収支は前年度比四十四億円改善いたしましたが、コロナ補助金の皆減や物価高騰の影響等により二百三十九億円の純損失となりました。
都立病院では、収支改善に向け、国立大学病院などとの診療材料の共同調達事業等を通じ、費用削減の取組を進めております。
また、収益確保に向け、積極的に医療機関を訪問し、地域との連携を一層強化する取組を推進することなどにより、患者数は回復傾向にございます。
今後とも不断の経営努力を重ねながら、都民の命と健康を守ってまいります。
次に、地域医療の確保についてでございますが、急激な物価高騰や人件費の増加が病院運営を圧迫しております。本来、こうした課題は国が対応すべきであり、都は診療報酬の見直しなどを国に提案要求しております。
加えて、現下の状況を踏まえ、民間病院を対象に緊急的かつ臨時的に、入院患者数に応じた支援金を交付しております。
また、都内病院等を対象に地域医療に関する調査を実施しており、コロナ禍以降の患者数の減少や物価高騰等による経営状況の変化、他の地域との費用の差などを分析しております。この結果を、国へのさらなる提案要求や医療政策の検討に活用し、持続可能な医療提供体制の確保につなげてまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕
○福祉局長(高崎秀之君) 障害者の情報保障の充実に関するご質問についてお答えいたします。
都は、障害者情報コミュニケーション条例の施行に当たりまして、ポスターやリーフレットを交通機関などに広く配布いたしました。今後、情報コミュニケーションへの理解が一層進むよう、様々な障害の特性に応じたコミュニケーション手段や事業者における配慮の事例を分かりやすく紹介するデジタルブックを作成いたします。
また、現在、外出のサポートやコミュニケーション支援などのアプリが普及しており、都は、情報保障の観点から、こうしたアプリと組み合わせたスマートフォンなどを日常生活用具給付等事業の対象とするよう、積極的に国に働きかけてまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 政策連携団体等における博士人材の活用についてのご質問にお答えをいたします。
都は、博士人材が社会の様々な分野で活躍できるよう、政策連携団体等において、博士課程の学生等に対し実践的な研究の場を提供いたします。
政策連携団体等は、大学と共同研究を行う際、大学から推薦を受けた学生等を採用し、学生等は給与を受け取ることができる仕組みといたします。給与相当額を都が補助することで、博士人材が経済的な不安なく研究に打ち込める環境を創出するとともに、政策連携団体等の研究力向上や人材確保にもつなげてまいります。
この取組をリーディングケースに、企業や大学のニーズ調査なども踏まえ、キャリアパスを多様化し、さらに活躍の場を広げてまいります。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕
○生活文化局長(古屋留美君) 二点のご質問にお答えいたします。
初めに、都民が希望する幼児教育の選択に向けた支援についてでございますが、建学の精神に基づく私立幼稚園の多様な教育を、都民がその希望に応じて選択できるよう支援を行うことは重要でございます。
そこで、都は、令和元年の幼児教育無償化の際、私立幼稚園について、国制度に加え都独自の補助を行い、都内平均保育料まで支援いたしました。また、都内の区市なども独自の支援を行っておりまして、一定の水準まで負担軽減が図られております。
都は、本制度に責任を持つ国に、支援の拡充を継続して強く要望してまいります。
次に、江戸東京の文化の発信についてでございますが、江戸から続く文化の奥深い魅力を国内外に認知していただくには、東京に世界の注目が集まる機会を戦略的に活用することが重要でございます。
先般の世界陸上の際には、東京駅前の行幸通りで、江戸東京を象徴する二十三の団体による祭りのイベントを行いました。国や世代を超えた約十一万人の方に楽しんでいただき、多くのメディアに取り上げられたところでございます。
また、マラソンコースの沿道には、その地域を題材にした広重の浮世絵のフラッグを掲げ、江戸文化を身近に感じていただきました。
十一月に開催するデフリンピックにおきましても、選手の交流拠点で華道や茶道等の伝統文化体験を提供するなど、今後もさらに江戸東京の魅力を国内外に広く発信してまいります。
〔水道局長山口真君登壇〕
○水道局長(山口真君) 配水管ネットワークの強靱化に関するご質問にお答えいたします。
能登半島地震の復旧支援では、配水管網の上流側に位置する管路の損傷により、被害箇所の特定に必要な通水が確保されず、漏水調査や修繕などが困難となり、断水が長期化したことを確認しました。
この教訓を踏まえまして、断水の早期復旧に向けた取組を強化するため、これまで進めてきました重点的な耐震継ぎ手化の取組に、比較的口径が大きく、地域配水の骨格をなす重要な管路を新たに加え、今後、具体的な対象を検討してまいります。
こうした取組によりまして、災害時における給水安定性の向上を図り、断水による都民生活への影響を一層軽減してまいります。
〔中央卸売市場長猪口太一君登壇〕
○中央卸売市場長(猪口太一君) 市場施設の整備についてでございますが、品質管理の高度化や施設の老朽化への対応が求められる中、中央卸売市場が生鮮食料品等の流通の中核的役割を果たしていくためには、各市場の施設整備を計画的に進めることが重要でございます。
このため、都は、淀橋市場の拡張整備や板橋市場の機能強化、足立市場における衛生管理の向上等に向けた施設整備を、市場関係者と調整を重ねながら進めており、今後着実に推進してまいります。
こうした整備に当たりましては、これまで同様、財政負担の平準化等を図る観点から、企業債を活用するなど適切な財政上の措置も講じながら、各市場の施設を計画的に整備してまいります。
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