午後一時開議
○議長(増子博樹君) これより本日の会議を開きます。
○議長(増子博樹君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(増子博樹君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。
○議事部長(小河原靜子君) 知事より、地方自治法第二百四十一条第五項の規定により、令和六年度東京都区市町村振興基金及び東京都用品調達基金の運用状況に関する調書等の提出がそれぞれありました。
次に、地方自治法第百五十条第六項の規定により、令和六年度東京都内部統制評価報告書等の提出がありました。
次に、監査委員より、住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条第三項の規定により、通知がありました。
(別冊参照)
○議長(増子博樹君) 次に、日程の追加について申し上げます。
知事より、令和六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について外一件が提出されました。
これらを本日の日程に追加いたします。
○議長(増子博樹君) これより質問に入ります。
百十九番森村隆行君。
〔百十九番森村隆行君登壇〕
○百十九番(森村隆行君) 令和七年第三回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び副知事、警視総監、教育長、関係局長に質問をいたします。
都議会の新たな期の始まりを迎え、改めて私たちが進める東京大改革にかける決意を申し述べます。
我が国は超高齢化社会に突入し、二〇三〇年には東京でも人口がピークアウトし減少に転じます。そんな中、東京の活力と国際競争力の維持向上はますます重要となり、気候変動や首都直下地震などへの備えも急務です。私たちは将来を見据え、持続可能な政策を推し進めてまいります。
また、都民のセーフティネットを一層整備しながらも、一人一人に多様な選択肢と居場所があり、自分らしく輝くことができるウエルビーイングな都民の暮らしを支えてまいります。
さきの都議選では、都民ファーストの十の約束を示しました。十のプロジェクトチームを立ち上げ、総力で実現に向けて取組を進めています。これまで構築してきた、人が輝く東京を支える社会基盤をさらに磨き上げていくことを誓い申し上げ、質問に入ります。
今年は観測史上最も暑い夏でした。気候変動が都民生活に与える影響は甚大です。
私たちは災害級の暑さから命を守るため、水道基本料無償化やエアコン購入費補助、クーリングシェルターの活用支援、教育現場での暑さ対策など多くの提案を行ってきました。都は、今後も酷暑の夏が続くことを前提に、あらゆるニーズに応える暑さ対策の拡充に加え、社会の仕組み自体を酷暑に最適化し、行動変容につなげる取組を行うべきです。例えば清掃事業では時間帯の工夫、建設業では猛暑を避けた工期設定など制度改善が求められます。また、外出制限による子供の体力低下や高齢者のフレイル予防といった課題も重要です。
都は、既に暑さ対策を二〇五〇東京戦略に位置づけ、全庁横断のチームで取り組んでいますが、来年の夏に向け、今年の酷暑を教訓に、さらなる対策強化を進めるべきと考えます。知事の見解を伺います。
暑さの中でも暑熱対策としての効果を実感できたのが、まちじゅうの街路樹をはじめとする緑です。
私たちは二〇二〇年から、緑の持つ雨水浸透能力、生物多様性の確保に加え、暑熱対策などの様々な機能をまちづくりに積極的に生かすグリーンインフラの導入が、ロンドン、パリ、ニューヨークなどの諸都市で進められていること、そして、これらの都市と競うグローバル都市東京でも取り組む必要性を訴えてまいりました。
知事は二〇二三年八月に、このグリーンインフラの導入も含む百年先を見据えた東京の緑を守る、育てる、生かすプロジェクト、東京グリーンビズを公表、緑あふれる東京の実現に向けて取組が加速しています。
今年も記録的な猛暑となり、風通しが良く心地よい木陰空間を形成するなど、緑に対する期待はこれまで以上に高まっています。
都市緑地法の二〇二四年度の法改正により、緑の広域計画を都道府県が策定できることになったことを踏まえ、世界の主要都市以上に緑の恵みを存分に享受できる東京を目指すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
九月十一日にあった災害級の豪雨は、都内に浸水被害を引き起こしました。グリーンインフラ導入の一層の加速と併せて、豪雨対策基本方針の目標降雨の見直しも検討するように求めておきます。
都は二〇五〇年のゼロエミッション実現に向け、部門別にCO2削減目標を設定し取り組んでいます。中でも運輸部門では、二〇三〇年までに産業、家庭部門を上回る二〇〇〇年比約六五%削減を目標としています。ただし、これまでは自家用車と商用車の区別は明確にされてきませんでした。
トラックやバス、運送や配達事業者などの商用車は、入替えサイクルは自家用車よりも早い傾向にあり、また、日々の業務で使用されるため、自家用車に比べEVに置き換えた場合の一台当たりのCO2削減量は大きなものになります。
CO2削減を目的に、都民の税金で充電設備を整え、EV購入支援を行うならば、日常的に都内を走る商用車のEV化を優先すべきです。
都は、トラックやバスのみならず、都内の商業用車両についての実態をしっかりと把握した上で目標値を定め、強力にZEVへの置き換えを進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
リチウムイオン電池の普及により、関連する火災が増加しています。二〇二三年の発生件数は過去最高となり、今年一月の埼玉県川口市の清掃工場や、五月の大田区産廃処理施設での大規模火災もリチウムイオン電池が原因と考えられています。これらの火災により、処理施設は復旧までごみの受入れができなくなるなど、住民生活への影響は甚大です。
国は来年度からモバイルバッテリー等の回収をメーカー等に義務化しますが、その他の内蔵製品についても引き続き適切な廃棄が必要です。
これまでの都の取組に加え、国の回収義務化を踏まえた適切な対応や、電池や内蔵製品の回収時のインセンティブの仕組みを含め、各主体による適切な回収、処理に向けた取組を強化し、火災予防につなげていく必要があると考えますが、知事の見解を伺います。
防災に関する質問を続けます。
私たちは、さきの都議選において、あらゆる危機から都民の命を守る首都防衛を十の約束の一つに掲げ、都民から大きな負託を得ました。
都がこれまで都道府県で初めて条例を制定するなど、無電柱化の取組を強力に推進してきたことを高く評価します。東京を電柱や電線のない安全安心で美しい景観を備えた都市へと進化させるため、私たちはさらなる施策の拡充を訴えてきました。
一方で、開発許可を受けた宅地開発においても、依然として電柱が設置され続けています。
先日の知事の所信表明では、宅地開発における無電柱化を推進する条例の制定に取り組んでいくということでしたが、条例の基本的な考え方について、知事の見解を伺います。
能登半島地震では、死者、行方不明者の約六割以上が災害関連死とされました。災害後の避難所や在宅避難における生活環境の質の向上が求められます。
私たちは、避難所改革と東京とどまるマンション事業を提案、推進してきました。
東京とどまるマンションの登録戸数は十万戸を超えましたが、いまだ道半ばです。来るべき首都直下地震に向け、マンション防災の普及率に係る具体的な目標値を定めた上で、住宅政策と防災施策が連携しながら必要な施策を強化すべきです。
今後はとどまるマンションの登録促進に加え、備蓄推進や、希薄になりがちなコミュニティ支援など、さらなるマンション防災に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
先日、大阪で発生した雑居ビル火災では、二名の消防士が尊い命を落とされました。心よりご冥福をお祈り申し上げるとともに、日々危険と向き合いながら現場で任務を遂行されている消防職員の皆様の献身に深く敬意を表します。
令和六年版消防白書では、老朽建築物の火災リスク評価と対策の強化が火災予防に向けた重点項目とされています。特に雑居ビルなどの密集市街地における火災延焼を想定した予防と対策を進めることが重要です。
大阪市と同様に、都内の繁華街には老朽化した雑居ビルが多数存在していることから、火災リスクが高いと考えます。繁華街地域への火災予防対策について、消防庁の見解を伺います。
警察は、私たちの暮らしを守る重要な役割を担っており、その使命を果たすためには、都民からの揺るぎない信頼が不可欠です。
しかしながら、警視庁公安部が大川原化工機の代表取締役ら三人を逮捕した事件は、国家賠償請求訴訟において違法と判断されました。六月には、警視庁副総監が同社を訪問し謝罪、八月には警視総監が記者会見で謝罪を表明、都議会警察・消防委員会でも謝罪を行い、捜査の問題点と再発防止策を取りまとめ、公表しました。
本件によって冤罪で逮捕された方々や捜査対象となった皆様が被った精神的、社会的なご負担は計り知れず、このような冤罪事件を二度と起こしてはなりません。
大川原化工機事件について、国家賠償請求訴訟判決を受け、検証結果が発表されましたが、今後の再発防止策について、警視総監の見解を伺います。
警視庁の役割は多岐にわたります。近年、都内では記録的短時間大雨による河川氾濫が発生し、災害対策の重要性が増しています。また、特殊詐欺の被害額も過去最悪になるなど、都民不安は増大しています。
警視庁では、警視庁大規模災害対策推進プランに基づく訓練や資機材の充実、匿名・流動型犯罪グループ対策本部の新設など、各種治安課題への対策を推進していると承知しています。
しかし、警察官のなり手不足は深刻で、採用試験の受験者数は過去十年で半減し、合格後に辞退するケースも少なくないと聞いています。
東京の治安を守る警視庁が、人材不足を理由に都民の安全・安心を守れないような事態があってはならず、時代に合わせた取組が必要です。
そこで、我が国の労働力人口が減少する中、都民の安全・安心を確保するための今後の警察運営について、警視総監の見解を伺います。
次に、持続可能なまちづくりに向けた取組について質問します。
知事は七月のワシントン出張にて、来年東京で開催される世界獣医師会大会に向け、ワンヘルスの理念を発信されました。人、動物、環境の健やかな関係を築くこの考え方は、動物由来感染症対策や、今年策定されたペット同伴避難の方針にも通じます。
今後は、都市のレジリエンスを高めるため、施策の体系化や条例化も視野に入れながら、獣医師会などとも連携協力し、様々な施策を未来志向で展開すべきと考えます。
ワンヘルスの理念を都政の柱と位置づけ、施策をさらに推進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
コロナ禍を経てバス路線が廃止または減便され、ご高齢の方を中心に移動に困るとの声が届いています。交通不便地域が広がる中、私たちはかねてより、民間主導ではなく、行政として都市公共交通網の維持に取り組むよう求め、さきの都議選でも公共交通の持続可能性を高めることを十の約束の一つに掲げました。
本年の第一回定例会では、地元自治体とサービス水準の考え方を整理、共有し、来年度に改定する東京における地域公共交通の基本方針に反映するとの答弁を得ています。
加えて、バス路線の持続性を高めるためには、利便性の向上を図り、利用者を維持確保することも重要です。
こうした考えなどを踏まえ、基本方針改定を検討すべきと考えますが、九月に行われた東京都における地域公共交通の在り方検討会での議論の状況について伺います。
火葬場も、地域住民の生活環境や公衆衛生を守るために欠かせない重要なインフラです。
区部では歴史的な経緯から、多くの火葬場が民間によって運営されています。これまで民間事業者と墓地埋葬法に基づく設置責任者である区が連携し、標準的で費用を抑えた区民葬という葬儀プランを提供してきました。しかし、今回、民間事業者が一方的に区民葬の提供から撤退したことで、信頼関係が損なわれるとともに、都民の不安も広がっています。
今回、知事の所信表明において、区市町村とともに火葬行政について取り組んでいく旨の方針が表明されました。今後の取組について、知事の見解を伺います。
知事は、多摩は東京のもう一つの顔と位置づけ、就任以来、多摩地域を何度も訪れるとともに、特に市町村の一般財源を補完する市町村総合交付金を大幅に増額するなど、ハード、ソフト両面から多摩地域の振興を進めてきました。
一方で、静かなる有事と知事が述べられている人口減少は、日本の極めて大きな課題でありますが、東京都においても多摩地域、とりわけ西多摩地域では、既に大きな影響を及ぼしています。
多摩地域の自治体の財政はますます厳しい状況になることが見込まれることから、これまで都が行ってきた多摩振興の取組をもう一段レベルアップすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
多摩地域の振興は、都市の過密を緩和し、地域の均衡ある発展と持続可能な暮らしの実現にも有効です。新築マンションの平均価格が一億円に達するなど、二〇二五年地価調査で都内の地価が軒並み上昇する中、多摩地域における不動産価格は、上昇傾向にはあるものの、さほど過熱している状況にはなく、また、豊かな自然に囲まれた住環境にも魅力があります。
都は、アフォーダブル住宅の整備など、既に住宅価格の高騰への対策を行っておりますが、都として多摩地域への移住、定住の取組をさらに加速し、都民の住環境に係る選択肢を提供すべきと考えます。見解を伺います。
東京都は、世界でも珍しい、熊が生息する首都とされています。二〇二〇年の調査で、都内の生息数は約百六十頭と推定され、準絶滅危惧種に指定されていますが、近年、熊と人が遭遇するリスクが高まっています。
国は本年九月、熊等が人の日常生活圏に侵入し膠着状態にあるとき、市町村長の判断で予防的に発砲できる新たな制度を創設しました。この制度では、捕獲を担う従事者をあらかじめ市町村が確保しておくこととされています。一方、猟友会のメンバーが少ない支部もあるなど、狩猟者の確保が課題です。
都として、捕獲を担う狩猟者の育成を図ることが重要と考えますが、見解を伺います。
また、多摩地域では、市立、町立の公立病院が中心となって地域医療を支えており、救急医療や小児、周産期医療などの不採算医療を積極的に担っていますが、物価高騰の影響等で極めて厳しい経営環境に置かれています。
都が今年度行っている民間病院に対する経営支援は極めて有効であり、引き続き適切な支援を行うことを望むものですが、同様に公立病院が今後も地域医療を支えるには、小児科や救急など、人材確保が難しい診療科や高齢者の受入れ体制などを維持確保できるよう支援が必要です。
都としても、多摩地域の地域医療を守っていくため、公立病院の経営状況等を丁寧に把握し、しっかりと支えていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
都内医療体制に関してさらに伺います。
毎年約三千人が命を落とす子宮頸がんの予防にはHPVワクチンが有効です。しかし、日本での接種率は先進国で最低水準にとどまってきました。二〇二二年に女性への勧奨は再開されましたが、男性は定期接種の対象外で、自費では高額のため接種が困難です。
こうした中、私たちの提案により、昨年度から全国初の男性接種助成を開始し、都内四十二の区市町村で補助が実現しています。さらに、先般九価ワクチンが男性にも承認され、より広い疾患予防が可能となりました。
都においては、HPVワクチンの普及啓発を一層進めるとともに、男性接種に関する助成制度について、九価ワクチンを補助対象に含めるなど、さらに拡充を図るべきと考えますが、見解を伺います。
以上、人の暮らしを支えるまちや医療体制など、インフラ整備について述べてきました。ここからは、知事と共に進める、人が輝く東京の一層の推進に向けての質問を行います。
私たちは、女性が安心して出産や育児をしながらもライフステージに合わせた働き方や、多様なキャリアパスを描けるよう提案してきました。都では、就業率は向上しているものの、非正規雇用がその半数以上で、管理職の比率も低い状況が続いています。
さらに、女性が出産や育児の機会に昇進や重要な仕事から外され、キャリア形成の道が閉ざされてしまうマミートラックがあります。都として、出産が不利とならず、また三十から四十代以降からも活躍できるよう、職業訓練やあっせんを産業界と連携して大規模に展開し、マミートラックを解消すべきです。
今般、女性活躍基本条例の方向性が示されましたが、本条例によって、出産育児と社会的活躍がトレードオフとならない仕組みを後押しすべきです。条例制定に込めた知事の決意を伺います。
今回示された新たな条例の基本的な考え方では、企業に対して主体的な取組を求める内容となっています。ただ、これまでの状況を大きく変えるためには、さらに一歩踏み込んだ仕掛けが必要ではないでしょうか。
新たな条例により、女性活躍が着実に進むよう、実効性を高めていくべきと考えますが、見解を伺います。
私たちは、知事と連携し、不妊治療助成や赤ちゃんファースト事業、〇一八サポートなど、出産や子育てを社会全体で支えるための施策を提案し実現してきました。さらにきめ細やかな、都民に寄り添った仕組みにするために質問をいたします。
まず、不妊鬱について伺います。
最新の研究では、不妊治療を途中でやめた女性の約三六%がPTSDである確率が高いという報告がなされるなど、不妊治療を受けても子供を授からない人の支援も重要であることが分かってきています。
都は、不妊・不育ホットラインを行っています。こうした相談窓口の相談状況も踏まえ、丁寧な支援が必要と考えますが、見解を伺います。
出産時には、予期せぬ課題に直面することもあります。早産や低出生体重で生まれた新生児は、NICUで専門的な治療を受けながら回復を目指しますが、退院後は支援や情報が途絶え、療育や福祉につながれないなど、保護者に大きな負担がかかっていました。
私たちは、NICU入院児支援手帳「のびのび」を改定することを提案し、明るく、希望が持てるデザインにすべきと求め、都は、保護者を交えた議論を経て手帳を改定し、優しいムーミンのイラストを表紙に採用しました。既に都内の全てのNICU設置病院に配布されたと伺っていますが、さらに活用を広げるための啓発が必要です。
十一月十七日の世界早産児デーに都がイベントを実施するとのことですが、この機会も活用して、改定した「のびのび」を都として積極的に周知啓発するべきと考えます。見解を伺います。
RSウイルス感染症は、呼吸器感染症の一種で、二歳までにはほぼ全ての子供が一度は感染するとされていますが、特に早産児や基礎疾患を持つ乳児は重症化のリスクが高く、入院が必要となるケースもあります。
昨年五月、RSウイルスに対する母子免疫ワクチンが発売されました。
生まれてくる子の重症化を心配する全ての妊婦が希望した場合、RSウイルスワクチンを接種できるようにすべきと考えますが、国での検討状況を踏まえ、都の見解を伺います。
私たちは、障害がある子もない子も共に学び育つインクルーシブ社会の取組を進めています。
近年、特に増えているのは発達障害です。この十年で児童発達支援事業所は約二・七倍に増加し、発達障害児者の相談件数も急増しています。
私たちの提案により、昨年度、発達障害の早期診断や支援の整備が緊急対策事業として実施されましたが、いまだ発達検査や特別支援教室への配置には十四から十七週間を要し、診断から療育、教育への移行が滞っています。その主な理由は、人材不足であり、療育から教育現場まで切れ目のない支援体制の構築が課題です。結果的に、インクルーシブ教育の理念が十分に実現されず、本人の自立や社会参加の機会が損なわれてしまいます。
都は、人材育成、確保を強化し、区市町村や医療機関における格差を是正しつつ、療育から教育現場まで切れ目のない支援体制を構築していくべきと考えますが、見解を伺います。
この八年間、私たちは知事と共に八千五百人を超えていた待機児童の解消に向けて取り組んできましたが、次の課題は小一の壁への対応です。
本年より、認証学童クラブ制度が始まりましたが、学童支援員の処遇は依然厳しく、約四割が年収百五十万円以下というデータもあります。質の向上のためには、常勤支援員の処遇改善が不可欠です。
都では、保育人材の確保等を目的として、宿舎借り上げ支援等を実施しており、学童クラブにも取組を拡充すべきです。小一の壁打破に向け、学童の質向上を図るためにも、学童クラブで働く職員の確保、定着に向けた処遇改善の取組を進めるべきですが、都の見解を伺います。
次に、子供たちの学びについて伺います。
学校のデジタル化が進む中で、成績や学習ログなどの学習データに加え、出欠や成績などの校務データ、そして、保健室来室記録や体力テスト結果などの健康管理情報を併せて記録、分析できる教育ダッシュボードの導入と活用は重要です。これによって、一人一人に寄り添った指導と教職員の業務改善が期待されます。
都内では、既に独自にダッシュボードを構築し、分析を進める例もありますが、都内のどの学校に通ってもデータに基づく個別最適な学びが可能となるよう、都がリーダーシップを発揮し、教育ダッシュボードの整備を進めるべきです。
教育に資するデータ活用の仕組みを早期に導入し、データに基づく教育活動を推進すべきと考えますが、見解を伺います。
一方、不登校児童生徒数は依然として増加しており、その要因や背景は複雑多様化しています。
これまで私たちは、未然防止、早期支援、長期化対応など、様々な視点から子供たちに寄り添うよう求め、不登校対応巡回教員や個別別室指導支援員の配備強化、チャレンジクラスの設置促進、そしてフリースクール支援などが進められてきました。
中でも、都が独自に導入したチャレンジクラスは、学校に戻りたいと願う子供の思いを後押しする場所として役立っており、現在、都内で十四校が設置されています。
早期支援対応としての校内別室の強化のみならず、中学校におけるチャレンジクラスの設置促進などを通じて、不登校の長期化対応も強化すべきと考えますが、見解を伺います。
チャレンジクラスの設置は、現在は中学校を中心に進められていますが、小学校における不登校の拡大も踏まえ、小学校におけるチャレンジクラスの設置を検討することも求めます。
子供の自殺が過去最多を更新しました。子供たちが抱える悩みや苦しみを社会として見過ごさないよう、都は相談窓口を設置し、その存在を広く伝えてきましたが、多くの子供たちにまだ届いていません。また、最近の調査や統計では、消え去りたい気持ちを持つ若者が多く、オーバードーズのような自傷行為も身近になっていることが示されています。
今こそ、子供の命を守ることを最優先課題とし、自殺につながるリスク要因のある子供たちに対して、生きる支援を届ける対策を一層推進すべきと考えますが、見解を求めます。
チルドレンファーストの社会の実現に向けて、子供の声に基づき施策をブラッシュアップしていることを高く評価します。中でも、自宅以外の居場所があると幸福度や自己肯定感が高いという結果は大変興味深いものであります。
これまで私たちは、異年齢の交流が共感力や思いやりを育んだり、協力やルールの理解を深めること、さらにはリーダーシップを発揮する経験で自己肯定感が高まるなどの効果を繰り返し訴えてきました。加えて、学校現場等で推進されているアントレプレナーシップ教育では、刺激を受け、考え、対話し、実践を重ねることで、夢を語れる若者に育つことが分かっています。
単に空間をつくるだけでなく、そこで誰と出会い、何ができるかといった観点からも、多様な子供の居場所の創出に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
これまで私たちは、インクルーシブな教育や社会の実現に向けて、都の率先的な取組を繰り返し求め、さきの都議選の十の約束の一つとして、障害者の十八歳以降の居場所と学びの場の拡充を掲げました。
さきの第一回定例会では、障害のある人も十八歳以降に学びを継続する選択肢が必要とし、一例として、特別支援大学の創設を提案。都からは、実態調査の上、学びを続ける新たなプログラムをつくり上げ、卒業後にモデル的に提供するとの考え方が示されました。
特別支援学校で学ぶ子供たちが様々な児童生徒と交流を深めるとともに、卒業後の学びの意欲を支えていく取組はますます重要になると考えますが、今後の取組について伺います。
学びの継続に加えて、障害のある人の十八歳以降の居場所の問題は切実です。学校卒業後の日中の居場所は生活介護や作業所に移行しますが、これらは十五時三十分には閉所しますので、その後の居場所がなく、保護者の就労継続が難しくなっています。また、障害児にとっても、自宅や日中の居場所以外で仲間と過ごす時間は大切です。
第二回定例会で、十八歳の壁打破に向け、障害者の夕方以降の居場所の在り方についても実態を把握し、支援策につなげていくよう求め、実態把握とそれを踏まえた施策を検討するとの答弁を得ています。
障害者の居場所に関する調査結果について伺うとともに、その結果を踏まえて十八歳の壁の打破に向けた具体的な政策につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、トイレの介助用ベッドの設置について伺います。
障害の種別によっては、介助用ベッドがあることで、介助者の負担が下がり、行動できる範囲が大きく広がりますが、都は設置を推進してはいるものの、都内の公共施設で介助用ベッドがあるトイレは九百六十六か所にとどまります。今後、介助用ベッドをインフラ整備の一環として考え、新規の公共施設や大規模施設では設置を義務化、既存施設では設置を促すとともに、スペース確保が難しい場合は簡易型の移動式介助用ベッドの導入を必須にすべきと考えます。
そこで、まずは既存施設で改修が難しい場合、都立施設のみならず、区市町村や事業者にも簡易型移動式介助用ベッドの導入など柔軟な対応を働きかけ、利用者や家族の負担を一刻も早く解消すべきと考えますが、見解を伺います。
障害者のためのグループホーム整備も喫緊の課題です。障害者が、友人、知人がいる住み慣れたまちで暮らすことは、自立の可能性を広げます。しかし、都心部では施設が足りず、遠方の施設に入所せざるを得ない状況が続いています。新しい環境は自立への高い障壁となるだけでなく、医療機関を変えることは、時には命に関わるリスクになります。
私たちの求めもあり、都は整備補助を拡充しましたが、都心部の家賃や物価高騰もあり、高まるニーズに応えることが難しい状況です。都立施設のさらなる活用が必要であり、多くの都営住宅が建て替えの時期を迎えているこの機を捉え、計画的に都営住宅内にグループホームを誘致すべきです。
そこで、福祉局は、住宅政策本部や地元自治体とも積極的に連携し、都営住宅内にグループホームを増やすことを推進すべきと考えますが、見解を伺います。
十一月にはデフリンピックが開催されます。パラリンピックの開催以降、どんな背景を持つ人も、その人らしく生きられるユニバーサルな社会を目指す共通認識が広がりました。都内では、援助や配慮が必要なことを知らせるヘルプマークが定着していますが、障害者差別解消法の施行から九年が経過する中、行動に移せる人を増やす取組が求められています。
私たちの要望に応じ、都は、都立大学と連携し、周囲に援助や配慮を求めやすくするために必要なことを調査、令和七年第一回定例会では、調査結果を踏まえ、優先スペースでの掲示や共生社会の理念に賛意を示すシンボルデザインを公募により作成し、企業等と連携して啓発に活用、障害者理解の機運醸成を推進するとの答弁を得ています。
民間の主体的な取組によってマタニティーマークが広く浸透していることを参考に、シンボルデザインは広く募集し、多くの企業の参画とともに発表するなど、大きなムーブメントにしていくべきと考えますが、今年度の取組を伺います。
本年七月一日より、都障害者情報コミュニケーション条例が施行されました。
障害特性に応じて、手話や点字、コミュニケーションボードなど、様々な形でコミュニケーション手段がありますが、当事者団体などからは、行政からの情報を得るのが極めて困難な状況にある旨を繰り返し訴えられています。
私たちは、十一月に開催されるデフリンピックに向けても、テクノロジーを活用したユニバーサルコミュニケーション手段の導入を訴えてきました。障害者情報コミュニケーション条例の施行に伴い、それぞれの障害特性に応じた環境の整備を抜本的かつ網羅的に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
以上、私たちは、人が輝く東京を目指し、女性活躍を推進し、出産、子育て、育児まで切れ目のない支援を充実するとともに、チルドレンファースト社会につながる子供健やかな成長の応援や、都民一人一人がその人らしく輝くインクルーシブな社会の実現に向けて質問を行いました。
続いて、世界に選ばれる都市として都市間競争に勝ち抜くための、世界を視野に入れた戦略について質問いたします。
都は、MICEを観光ビジネス振興の重要な柱と位置づけ、その誘致と開催を積極的に推進するための戦略と施策を展開しています。本年七月、知事は国連本部を訪問し、グテーレス事務総長に都への国連機能の誘致の意欲を伝えました。
シンガポールやスイスのジュネーブ、米国のニューヨークなどは、国際機関があることでMICE誘致につながっています。東京に国際機関の一部でも移転することは、国際社会での我が国のプレゼンス向上に加え、都のMICE政策にも弾みをつけるものと思いますが、知事の見解を伺います。
データセンターは、デジタル社会の基盤となる重要な社会インフラであり、日本の国際競争力や経済力の強化のため、国内での整備が不可欠です。
整備の最大の課題が電力の確保です。国は、再生可能エネルギーの豊富な地方への分散配置を構想していますが、多くの事業者が都心への近接立地を望んでいます。
一方、生成AIの進展に伴い、データセンターの消費電力は今後大幅に増加すると予測されています。カーボンニュートラルとの整合性を保つためには、電力インフラの整備と同時に、省エネや脱炭素化の取組を促進することが重要です。
都内へのデータセンター整備を進めるため、電力基盤の強化を国や東京電力に働きかけるとともに、事業者に対して徹底した省エネ、再エネ利用を求めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
都のスタートアップ戦略では、ユニコーン企業を十倍に増やすなどの目標を掲げています。SusHi Tech Tokyoはアジア最大級のカンファレンスに育ち、TIBはエコシステム関係者が集う結節点になるとともに、利用者のステータスを把握し、それに合わせたイベントを行うようにするなど、成長のプラットフォームとして整備が進んできました。
ギアを一段上げ、ユニコーンの誕生を目指すなど、戦略二・〇を起動し、さらに加速する時期に来ています。TIBを活用し、グローバル市場で成功した先輩起業家によるマインドセットや経営戦略の伝授、資金面での大胆な支援が必要です。また、世界に向けて、SusHi Techブランドを生かした戦略的なプロモーションを展開すべきです。
都は、SusHi TechやTIBで培った海外とのつながり等を生かし、これまで以上に大胆な支援策を展開し、社会を変えるイノベーションを生み出すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
グローバルなイノベーションを生み出すためには、高度外国人材を東京に呼び込むことも必要です。高度外国人材に、世界各地の先進都市の中から東京を選んでいただくためには、その家族にとっても暮らしやすい、暮らしたいと思えるまちとしての環境整備も重要です。
私たちは、その一環として、教育環境の充実が必要だと考え、世界最高峰レベルの英語環境での教育が受けられるようなインターナショナルスクール誘致や拡充を訴えてまいりました。第一回定例会では、都は、学校へのヒアリング等を通じて把握した諸課題を踏まえ、解決に向け、取組を進めていくとの答弁がありました。
そこで、インターナショナルスクール誘致、拡充に向けて、さらなる取組の拡充を図るべきと考えますが、見解を伺います。
世界を視野に入れた取組は、経済活動だけでなく、スポーツ、芸術、文化にも広がります。世界陸上東京大会が閉幕して一週間余り、その熱気と感動の余韻が残っています。四年前の東京二〇二〇大会では、コロナ禍により無観客でしたが、今回は大勢の観客で盛り上がりました。大会を支えた全ての方々に深く敬意を表します。
今回の世界陸上は、東京二〇二〇大会後初の大規模国際スポーツ大会であり、ボランティアの活躍などレガシーを継承し、新たな価値を創出したことは重要です。さらに、本大会は、大手広告代理店に依存しない初の開催となりました。都はこの経験を生かし、広告スポンサーシップを広告代理店任せにせず、組織力とノウハウを強化すべきです。世界陸上で得られたレガシーを次のスポーツ施策につなげるべきと考えますが、見解を伺います。
そして、次はいよいよデフリンピックです。
私たちは、二〇二二年九月の開催決定直後から、国内外から多くのデフアスリートや観客が集うこの大会を契機に、AIなどを生かしたユニバーサルコミュニケーション技術の社会実装化の取組を通じて、誰もが円滑にコミュニケーションができる共生社会の実現に取り組むよう都に求めてきました。
デフリンピックの大会本番時には、様々な場面でユニバーサルコミュニケーション技術を活用し、国内外にPRするとともに、大会後もレガシーとして継承されるよう取り組むことが重要と考えますが、見解を伺います。
本年七月、私たちが求めた二〇二〇大会レガシーコースを活用したTHE ROAD RACE TOKYO TAMA 二〇二五が、国際競技団体UCIの公認レースとして開催されました。交通規制を伴うため、様々な課題も生じましたが、国内外から集ったトップアスリートが多摩地域を駆け抜ける姿に、こんな本格的なレースを国内で見ることができるとはとの声も寄せられました。
また、十二月には、レインボーブリッジ、東京ゲートブリッジを自転車で走り抜けるレインボーライドが四回目の開催を迎えます。
自転車は、温室効果ガスを排出せず、健康増進のための運動習慣の醸成につながるスポーツであり、GRAND CYCLE TOKYOの取組を高く評価いたします。今後、GRAND CYCLE TOKYO事業を通じ、都民の自転車利用の裾野を拡大していく必要があると考えますが、見解を伺います。
都市の成熟度を測る指標の一つが文化資源です。先進諸国と比べ、日本は文化芸術市場が小さいことから、私たちは、まちの魅力を高めるアートや障害者アート等の可能性を発掘、育成するよう求めてきました。
私たちは、新たな文化芸術祭の必要性を訴え、都は来年度から、臨海地域をはじめ複数のエリアを舞台に都市の祭典を始動することとしています。世界的に見ても、東京にはエリアごとに異なるまちの魅力があります。新たな芸術祭では、個性豊かなまちとアートをつなぎ融合させることで、都でしかできない唯一無二の芸術祭にしていくべきです。
新たな文化芸術祭ならではの仕掛けや開催の機運を高める取組等、先進的で発信力ある祭典とすべきと考えますが、見解を伺います。
続いて、東京の魅力をつかさどる食文化について伺います。
先月、事業者により、築地地区まちづくり事業の基本計画が公表されました。私たちはこれまで、水や緑に加え、築地が持つ歴史や食の魅力などの資源を生かすよう求めてきましたが、この計画では、シンボリックな景観デザインに加え、食文化の発展に取り組むことなどが示されました。
また、先日、埋蔵文化財調査や土壌汚染対策等に要する概算費用が示され、現地でも、都有地活用に向けた準備工事が動き出しています。
このように、新たな段階に入りつつある築地まちづくりですが、引き続き、食の魅力をはじめとする築地らしさをまちづくりの中にしっかりと取り入れ、発信していくべきと考えます。見解を伺います。
世界と伍して戦える魅力ある都市であり続けるためには、それを支える財源も重要です。
現在、都の宿泊税については見直し議論が進められていると承知していますが、持続可能なインバウンドという観点から、受入れ環境の整備などの観光振興に加えて、観光客の増加に伴うごみ問題への対応など、都民ファーストの視点で、インバウンドの環境整備に資する財源として宿泊税を活用すべきと考えます。見解を伺います。
都は、先般、特別会計である東京都都営住宅等事業会計において、令和四年度以前の事業分に関する未納の消費税及びそれに伴う延滞税、無申告加算税を申告納付したことを公表しました。
これまで我が会派の清水やすこ都議は、監理団体や公営企業会計における消費税処理の誤りにより、加算税や延滞税といったペナルティーが発生していることを指摘し、同様の支出を繰り返さないよう求めていました。税収が重要であるのと同様に、税の支払いにおいても厳正な対応が求められます。
まず、ほかに同様の事例がなかったか、特別会計を所管している局が点検を行っているとのことですが、都営住宅以外の特別会計の状況について伺います。
あわせて、今回の消費税の未申告の件について、事務方の責任者である中村副知事に基本的認識を伺います。
支出の無駄をなくすとともに、都民の信頼を得るためにも、消費税申告手続の適正化を強く求めておきます。
最後に、偏在是正措置について伺います。
私たちは、知事と共に東京大改革を推し進め、国をリードする多くの政策を実現してきました。一方、一部の自治体からは財政力格差であるという声も聞かれ、国に税源の偏在是正措置を求める要望書が提出されたほか、国においても、自治体間の税収偏在の分析が進められています。
都は、賢い支出の徹底などで財源を確保した上で、生活コストが高い都の事情等を踏まえながら積極的な施策を展開してきたのであり、改革努力を無視した都への批判は大いに疑問です。また、都市間競争に勝ち抜く戦略的な取組の基盤となる税収をこれ以上奪われることは、国全体の損失にもなりかねません。
偏在是正措置により、既に年間約一・五兆円、都民一人当たり年間十万円以上が国に収奪されています。こうした国の不合理な措置に対しては、党派を超えて、都議会が一丸となって対応を進めていくべきです。
都を狙い撃ちにする偏在是正措置の動きに対しては、国などに都の主張を毅然と訴えていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
以上、私たちは引き続き、都知事と車の両輪である都議会の立場から、都民ファーストの都政に邁進していくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 森村隆行議員の代表質問にお答えいたします。
まず、暑さ対策についてのお尋ねでございます。
今年の夏の記録的な暑さはこれまでの常識をはるかに超えておりまして、都民の命と健康を脅かす危機そのものでございます。
災害級の暑さに対し、命を守ることを最優先にして、水道の基本料金を無償とする特別措置や、東京ゼロエミポイントの拡充によりますエアコン購入支援など、緊急的な対策を講じました。
また熱中症リスクの高い高齢者や子供、現場作業員に対しまして、スタートアップが開発した機器の活用、学校への空調設置、都発注工事の工期延伸など幅広い対策を展開してまいりました。
さらに、来年夏の対策の早期着手を見据えまして、暑さ指数計測器や日よけなどを設置する区市町村等への支援を今年度に限り拡充するとともに、先週には、夏の暮らしの必需品となりました日傘の普及啓発イベントを開催いたしました。
今後、暑さに適応したライフスタイルや働き方への転換など、さらなる行動変容を促す取組を進めることで、暑さに対するレジリエンスを高め、都民が安全、快適に暮らせる東京を実現してまいります。
緑の広域計画についてでございます。
都市の豊かな緑は、人々に安らぎや潤いを与えるとともに、日差しを遮る木陰を生み出すなど、快適な都市環境の形成に寄与いたします。
都はこれまで、東京グリーンビズの下、公園の整備や農地の保全、まちづくりに合わせた良質かつ重層的な緑空間の創出など、緑を守り、育て、生かす取組を進めてまいりました。
近年の気象環境の変化や、ウエルビーイングへの関心の高まり等を踏まえますと、よりスピード感を持って強力に取組を進めることが必要です。
都民や民間事業者、行政などあらゆる主体が一丸となって取り組めますよう、その羅針盤となる緑の広域計画を新たに策定いたしまして、世界一緑を実感できる都市を目指してまいります。
次に、リチウムイオン電池の火災対策についてのお尋ねでございます。
軽く機能性が高いリチウムイオン電池は、生活に身近な電化製品に幅広く使用されております。一方で熱や衝撃に弱く、発火リスクがあるため、普及とともに関連火災は急増しております。
特にごみ収集の際に混入しまして、処理の過程で火災が発生した場合は、施設等の復旧に相当の期間を要しまして、都民生活に影響を及ぼしてまいります。このため、ごみの分別の徹底と安全な回収体制の構築が重要でございます。
都は、都民への分別促進に向けました注意喚起や、自治体単独での改修に財政支援を行っております。また、都内自治体等と連携いたしまして、広域的に回収する事業等により、安全で効率的な回収体制を構築しております。
今後は、国に対しまして、回収義務化が適切に行われますよう求めるとともに、製造販売から回収まで、各関係者と連携しまして、分別の徹底に向け、実効性を高めながら、安全な廃棄物処理につながるよう取り組んでまいります。
これらによりまして火災の未然防止に努め、都民の安全・安心を確保してまいります。
次に、宅地開発における無電柱化についてのご質問がございました。
今月、台風十五号によりまして、静岡県では電柱が倒壊し、停電など大きな被害が出ました。地震も含めまして、都市の防災機能強化に無電柱化は極めて有効でございます。
都はこれまで、道路の電柱を減らす取組や、まちづくりにおきましても補助を実施するなど無電柱化を推進してまいりました。電柱をこれ以上増やさない取組を強化するため、宅地開発において無電柱化を推進する条例を検討することといたしました。
今般、防災性向上の必要性が高い地域などを対象としまして、電柱新設を原則禁止するとともに、無電柱化実施についての届出を義務化することや、実効性を確保する手段など基本的な考え方をお示しいたしました。
宅地開発におけます無電柱化を推進する全国初の条例制定に向け検討を深め、電柱のない安全・安心な都市東京を実現してまいります。
次に、ワンヘルスについてであります。
新興、再興感染症の多くが動物を感染源としております。こうしたことから、人、動物、生態系の健康を一つとして捉えるワンヘルスの理念が国際的にも広がっております。
都は、動物由来感染症のモニタリングや感染症の正しい知識の啓発、自然環境の保全など、各分野におきまして施策を推進いたしております。
来年四月には、ワンヘルスの推進と発展をテーマに世界獣医師会大会が東京で開催されます。この大会も契機といたしまして、ワンヘルスの考え方も踏まえ、獣医師会等の関係者と連携して、人と動物との調和の取れた共生社会の実現に向けて、様々な取組、一層推進してまいります。
火葬についてのお尋ねでございます。
都内には、歴史的背景から、区部を中心に、民間が経営する火葬場が多く存在しております。また、日本は既に多死社会に突入しておりまして、東京においても、今後の人口動態を踏まえますと火葬需要の増加が見込まれております。
これらの状況を踏まえて、民間火葬場に対して、火葬料金などの指導を適切に行えるよう、指導監督権限を有する区と連携しまして、今後、必要な法改正等を国に要望してまいります。
また、都内の死亡者数の長期推計と、都内全ての火葬場の火葬能力などの調査を今年度実施するなど、実態を精緻に把握してまいります。その上で、火葬能力の強化に向けました様々な対応策を区市町村と連携し、検討してまいります。
都民が将来にわたりまして安心して生活を送ることができますよう、人生最後の儀式である火葬につきまして、安定的な体制の確保を目指してまいります。
次に、多摩地域の振興についてのお尋ねがございました。
高度経済成長期に急速に発展した多摩地域がさらなる成長を遂げるには、人口減少や高齢化、道路交通インフラの整備など、地域の課題を逆にチャンスに変えていく発想が重要でございます。
こうした考え方の下、本年三月に策定いたしました多摩振興アクションプランに基づいて、空家を活用した移住、定住の促進や、地域のポテンシャルを生かした産業振興、多摩都市モノレールの延伸をはじめ、交通ネットワークの充実などの取組を戦略的に推進をいたしております。
また、市町村総合交付金は、知事就任以来、二百十五億円増額をしまして、市町村と連携して取り組む政策課題にも対応いたしております。
地域の課題等をきめ細かく把握し、市町村と緊密に連携しながら、にぎわいと活力にあふれた多摩をつくり上げてまいります。
三十市町村、色とりどりの個性を伸ばすことで、多摩地域を緑のTAMA手箱として、さらに発展させますよう、全力で取り組んでまいります。
次に、女性活躍に関する条例の制定の意義についてであります。
都は、全ての都民が性別に関わりなく、その個性と能力を発揮できますよう、男女平等参画基本条例により施策を講じてまいりました。雇用分野におきましては、家庭と仕事の両立支援や男性の育業の促進などを進めております。
社会の変化が加速し、不確実性が高まる中、東京が今後も持続的に発展するためには、様々な形で働く女性の活躍を推進することが重要でございます。こうした認識の下、今般、新たな条例の基本的な考え方をお示しいたしました。
女性の活躍は男性の活躍にもつながります。事業者には、性別に偏りなく個性や能力を発揮できる組織づくりに主体的に取り組んでいただきたい。都は、働く女性がライフイベントとの両立を図りながら自己実現できますよう、その可能性を認め、育てる企業を後押しいたします。また、様々なライフステージにおけます女性の選択肢を拡大するため、社会の意識改革にも取り組んでまいります。
新たな条例を原動力に、東京から今までにないうねりを起こし、誰もが希望に応じて自分らしく輝ける社会を目指してまいります。
次に、国際機関の誘致についてであります。
過去三十年間にわたり、内向き、また縮み志向に陥り、国際社会で存在感を失っていた我が国に国際的プレゼンスを取り戻す。そうした思いで一石を投じたものでございます。
分断が進む世界情勢の中、地政学的要所にある日本に国家の枠組みを超えた国際機関を誘致することは、我が国から国際的な協調の流れを生み出すとともに、日本の安全・安心な環境など、様々な魅力を世界に発信する契機となります。
さらには、世界から高度な専門人材や国際会議などを呼び込んで、国際的なビジネス拠点の形成につながるなど、東京の持続的な成長を後押しする原動力となります。
今後も、国内外の情勢を注視しつつ、国際機関の誘致に、外交の主体であります国が動くのでありますならば、全面的に協力し、様々な活動を通じて、東京、日本のプレゼンスの向上を図ってまいります。
次に、データセンターの電力需要対策についてであります。
都民の日々の暮らしや企業の経済活動は大量の情報やデータを基盤に成り立っております。膨大な情報を正確に把握し、分析、活用できるデータセンターの存在こそが都市の競争力を左右いたします。
一方で、AIの普及によりましてデータセンターは高度化、大型化が進んでおり、都は、電力需要増加への対策といたしまして、省エネ効果の高い最新の冷却技術の実装化や、事業者による大規模な再エネ電源確保の取組を支援してまいります。
加えまして、電力の供給面の対策といたしまして、国や東京電力に対して再エネの導入拡大や電力系統の増強を強く求めております。
今後は、各データセンターの情報を把握するための都独自の仕組みを整備するなど、より実効性の高い対策を進めてまいります。
環境に配慮したデータセンター整備を後押しすることで快適な都民サービスの提供と経済活動の発展を強力に推し進め、世界に誇るデジタル先進都市東京を実現してまいります。
次に、スタートアップ戦略についてでございます。
あらゆる挑戦者を応援することを掲げまして、戦略を皆で推進し、世界市場へ果敢に挑戦する起業家が生まれ始めています。次なるステージへの鍵は成長であります。有望企業の飛躍的な成長を強力に後押しし、社会全体の成長につなげることが何より重要であります。スケールアップに軸を置き、戦略の取組をバージョンアップしてまいります。
先日、スケールアップ企業を生み出す新たな枠組み、SusHi Tech Globalを多くの支援者と共に始動いたしました。
AIや資源、エネルギーなどの分野で革新的な技術を持つスタートアップを厳選し、集中的に投資をする。世界の有力な支援機関等と連携いたしまして、現地のエコシステムとつながり、投資家や海外企業との協業に結びつけるなど、世界市場へ本気で挑む企業を徹底的に支援をしてまいります。
TIBとSusHi Techのプラットフォームを最大限に生かして、私自身も海外でトップセールスを展開し、イノベーションが次々と生まれ、成長する東京を実現してまいります。
いわゆる偏在是正措置についてのお尋ね、最後にございました。
地域間の財政力格差を是正する名目で繰り返されてきた地方法人課税の見直しは、地方分権の理念に逆行する不合理な措置であります。
昨今、行政サービスの地域間の相違を理由に税収の偏在を是正すべきとの主張がなされておりますが、地方交付税等を加えました人口一人当たりの一般財源額で見ますと、都は全国平均と同水準であり、是正すべき偏在はございません。本来、各自治体が地域の実情を踏まえ、それぞれの優先度に応じて必要な行政サービスを展開することが地方自治の基本でございます。
こうした観点から、各自治体が個性や強みを発揮できますよう、地方税の充実、確保こそが重要であり、地方同士で限られたパイを奪い合う内向きの議論の先に日本の持続的な成長はありません。
さらなる不合理な見直しを求める意見には、そもそも是正すべき偏在はないことや、東京特有の財政需要を含めまして様々なファクトを示し、あらゆる機会を捉えて強く反論してまいります。また、地方税財政制度の抜本的な改革に向けましては、国などに対してしっかりと働きかけを行ってまいります。
なお、その他の質問につきましては、副知事、警視総監、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔副知事中村倫治君登壇〕
○副知事(中村倫治君) 消費税未申告に関します基本的認識についてお答えを申し上げます。
今回の事案は、都民の皆様の信頼に関わる重大な問題と認識しております。特に、未申告の状況が長期間継続したことは、組織運営上の課題であると考えております。
現在、組織運営上の課題も含めまして、徹底した原因究明を行うため、総務局が監察を実施しております。
詳細な結果を監察によって明らかにし、徹底した再発防止策など必要な措置を講じまして、これにより都民の皆様の信頼回復に努めてまいります。
〔警視総監迫田裕治君登壇〕
○警視総監(迫田裕治君) 二点のご質問にお答えをいたします。
その一つ目、国家賠償請求訴訟判決を受けた再発防止策についてでありますが、まずもってご指摘の事案につきまして、この場をおかりいたしまして皆様に改めておわびを申し上げます。
本事案の当時、公安部において捜査の基本を欠き、その結果、控訴審判決において違法であるとされた捜査を行ったことを真摯に反省しております。これを踏まえ、組織としての捜査指揮を適正かつ実効あるものとするための仕組み、体制を再構築することといたしました。
重要事件につきましては、公安部長が主宰する捜査会議を開催し、消極要素を含む捜査の全体状況について検討するなどの仕組みを導入いたしました。
また、公安部の筆頭課長である公安総務課長の役割として、適正捜査指導を明確化するとともに、同課に公安捜査監督指導室を新設いたしました。重要事件についての捜査の監督指導を行うこととしております。
さらに、捜査員からの相談、意見などを受け付ける体制を整備いたしましたほか、公安部で現場捜査指揮に当たる幹部を対象に多面観察を実施し、意思疎通の円滑化を図ってまいります。
警視庁といたしましては、警察に与えられている捜査権の重みを十分に理解し、緻密かつ適正な捜査を推進することにより、都民、国民の期待に応えられるよう、たゆみない努力を積み重ねてまいる所存であります。
次に、都民の安全・安心を確保するための今後の警察運営についてでありますが、我が国の人口が減少する中、人員の確保は官民問わず深刻な問題であり、警視庁におきましては、多様な人材が受験しやすい採用試験制度への変更などに取り組んでいるところであります。
さらに、業務の合理化、効率化を図るため、AI技術やデジタル技術の導入を進めておりますほか、今後の取組として、警察官が不在となる交番をパトカーの駐留拠点に活用することで、パトカーの機動力を生かし、犯罪抑止対策や地域警察活動を推進してまいります。
また、有明地区の特殊性に鑑み、パトカーの駐留拠点のリーディングケースとして、令和八年三月から有明パトロールステーションの運用を開始する予定であります。
引き続き、都民の安全・安心を確保するため、災害対策や、匿名・流動型犯罪グループ対策をはじめとした新たな治安課題への対策を含め、治安情勢に的確に対応した警察運営を強力に推し進めてまいります。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、小中学校の教育に関わるデータ活用についてでございますが、公立の小中学校で子供たちの個別最適な学びを図る上で、学習の成果などのデータを活用したきめ細かな指導を行うことは重要でございます。
現在、小中学校の教員が児童の成績等を入力する統合型校務支援システムは、区市町村ごとに異なっております。都教育委員会は、同システムを令和十年度から順次共通化する方針を来月に策定し、この中で、学習の成果等をダッシュボードを使い分かりやすく示す取組も明らかにいたします。
また、校務支援システムの子供の出欠に係るデータをダッシュボードに表示するほか、これらに先駆け、学習の結果を分析するツールの区市町村への導入を推進してまいります。
次に、不登校の子供たちへの支援についてでございますが、子供たちの不登校を防ぎ、通学が困難となった場合にも速やかに対応し、長引くことがないようサポートをすることは重要でございます。
都教育委員会は、不登校の傾向の出始めた子供や学校を休み始めた直後の児童等に対し、校内の別室で教育や相談を行う支援員の導入を進めております。
また、不登校の続く中学生をチャレンジクラスで受け入れ、登校しやすい環境を整えてまいりました。特にこのクラスにおきましては、今年八月時点で七割近くの生徒の出席日数が増える等の着実な成果を上げております。
今後、これらの支援に力を入れ、不登校対応の充実につなげてまいります。
最後に、特別支援学校に係る様々な取組についてでございますが、インクルーシブな社会の実現に向け、特別支援学校で学ぶ生徒等が都立高校生と交流する取組は効果的でございます。
このため、学校間で協議を進め、特別支援学校の生徒が高校の文化祭に参加するほか、それぞれの敷地を行き来できる通路の整備等を行ったところでございます。
今後は、交流の機会を増やし、バリアフリー化の加速にも力を入れてまいります。
また、特別支援学校を卒業する生徒が適性や能力に応じ、学びを続ける環境づくりは重要でございます。
このため、高等部の生徒等に行った調査を踏まえまして、今年度、健康づくりなどを学ぶプログラムを開始いたします。
さらに、より幅広く小中学部生の意向も調べ、次のプログラムの充実に役立ててまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、地域公共交通の基本方針改定についてでございます。
都はこれまで、高密な鉄道網とバス等を組み合わせ、交通ネットワークの充実を図ってまいりました。近年、バスの運転手不足による減便、廃止が進んでおり、地域特性や利用者ニーズ等に応じた効率的なネットワークの構築を進める必要がございます。
このため、有識者や地元自治体等で構成する検討会におきまして、駅や公共施設などを結ぶ主要なバス路線の考え方やサービス水準の在り方の議論を開始するとともに、適切な交通モードへの転換などについても検討に着手いたしました。
こうした議論を深め、都民の身近な足である地域公共交通の維持充実に向け取り組んでまいります。
次に、築地まちづくりについてでございます。
本事業は、先進性と国際性を兼ね備えた東京の新たな顔となる重要なプロジェクトでございます。八月に事業者が公表いたしました基本計画では、築地市場の歴史を継承する扇をモチーフとした景観デザインや、多様な活動の舞台となる隅田川沿いの水辺空間等を創出することとしております。
また、場外市場とも連携して、食の専門家を入れた検討体制を構築いたしまして、築地が培ってきた食文化のさらなる発展に取り組むなど、広く国内外に魅力を発信してまいります。
今後は、この基本計画を基に、地元関係者とも連携して事業の具体化を図り、世界に誇れるまちづくりの実現に向けて取組を推進してまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、商業用車両のZEV化の推進についてでございます。
商業用車両の実態を的確に捉え、EVへの置き換えを効果的に後押しすることは重要でございます。
これまで都は、EVバスやトラック、カーシェアリングの車両購入費への助成を行ってまいりました。本年三月に、二〇三五年までのEVバスやトラックの導入台数の目標を新たに設定し、補助上限額を引き上げるとともに、支援規模を拡充いたしました。
今後、商業用車両の確実なEVへの置き換えを図るため、事業者に支援制度のさらなる周知を行ってまいります。
また、バスやトラック以外の業務用車両も含め、補助実績データなどを分析し活用することで、普及に向けた実効性のある方策につなげてまいります。
次に、女性活躍に関する条例の実効性についてでございます。
都は、都域全体での政策目標を定めるとともに、事業者が条例の目的を理解し、女性の採用や人材育成、意思決定層への登用などに計画的に取り組めるよう、具体的な事例などを示した指針を策定することとしております。
また、例えば従業員の男女比率や両立支援制度の利用率など、女性活躍の状況を把握するための調査を実施いたします。調査結果に基づきまして、事業者の実情を踏まえ、施策の見直しや改善を図るほか、指針を改定するなど、より多くの事業者がそれぞれの状況に応じて女性活躍の取組を進められるよう後押ししてまいります。
最後に、インターナショナルスクールについてでございます。
都が昨年度実施した調査では、インターナショナルスクールをめぐる課題といたしまして、既存校の情報や地域における理解の不足、学校設立等に向けたきめ細かなサポートの必要性などが明らかになりました。
このため、都は、都内インターナショナルスクールの情報を一元的に発信するポータルサイトを来月開設し、十一月には、新たに地域の理解促進に向け、地元自治体と連携した交流イベントを実施いたします。
さらに、都内への進出や増設を検討する事業者等に対し、予定地域における需要調査から事業計画の策定、各種申請手続等に至るまで、包括的な伴走支援を行うなど取組を加速してまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答えをいたします。
まず、マンション防災についてのご質問でございます。
都内には約九百万人がマンション等に居住しておりまして、マンション防災の強化は重要な課題であります。
都は、各局が連携して、マンション防災の普及啓発や、東京とどまるマンションの登録を促進しております。今年度は、地域とのつながり強化のため、マンションと町会が合同で行う防災訓練への支援拡充のほか、マンション特有の課題等を紹介する動画を作成いたしまして、防災意識の向上を図ります。
さらに、今後、マンション防災の促進に向けまして、とどまるマンションの登録目標、エレベーターの安全対策、在宅避難者を含めた避難者全体への生活支援等の検討を進めまして、都民の安全・安心を確保してまいります。
続きまして、多摩地域の移住、定住の取組についてのご質問でございます。
多摩地域は豊かな自然や居住コストも含めた良質な住環境、都心へのアクセスのよさなどのポテンシャルを有しております。都は、移住、定住の取組をより効果的なものとするため、今年度、市町村や地域団体が地域の実情に応じまして、移住体験や交流活動などの事業を積極的に進められるよう、新たな支援制度を構築いたしまして、自主的な取組を後押ししております。
さらに、地域資源である空家を活用し、移住した方との交流や暮らし体験など、移住後の生活をイメージできるツアーを新たに行っております。移住先としての多摩地域の認知度を一層高めまして、移住、定住につながるよう取組を進めてまいります。
〔消防総監市川博三君登壇〕
○消防総監(市川博三君) 火災予防対策についてでございますが、繁華街地域は、テナントの入替えが頻繁な雑居ビルが多いことから、継続的な対策が重要でございます。
このため、繁華街地域に存する約一万棟の雑居ビル等に対し、高度な対応力を有する本庁機動査察と地元消防署が連携して、避難経路の安全確保等に向けた繁華街立入検査を継続的に行っております。
さらに、先般の大阪市の火災を受け、繁華街地域において、消防法令違反を繰り返す危険な建物に対し、年内に緊急一斉立入検査を実施してまいります。
今後、政策目標である都内二十三か所の繁華街地域への立入検査を完遂し、セーフシティの実現に努めてまいります。
〔環境局長須藤栄君登壇〕
○環境局長(須藤栄君) 狩猟の担い手の育成についてでございますが、熊などによる被害防止を図るには、狩猟者の裾野を広げるとともに、免許保有者が技術を高めていく機会を提供していくことが重要でございます。
このため、都は、昨年度から、狩猟免許試験の実施回数を年五回から六回へと増やし、その結果、新たな受験者は、前年度に比べ約二百名増加いたしました。
また、来月には、西多摩地域で猟友会と連携し、初心者が狩猟技術や解体作業などを学べる実践的な講習を実施いたします。
加えて、ベテランハンターとの交流の機会を設け、捕獲などのスキル向上につなげてまいります。
今後、関係者と一層緊密に連携して、担い手の育成を図り、安全・安心の確保につなげてまいります。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕
○保健医療局長(山田忠輝君) 五点のご質問にお答えいたします。
初めに、公立病院への支援についてでございますが、市町村公立病院は地域における基幹的な公的医療機関として、他の医療機関と連携しながら、地域医療の確保のため重要な役割を果たしております。
都は、公立病院の安定的な運営を支援するため、がん、救急など、提供する医療の内容や病床数等に応じて運営費を補助しております。
また、今年度新たに地域医療を支える観点から、高齢者用の病床確保や、小児科、産科等を担う病院への支援を開始しており、公立病院も支援対象といたしました。
今後、公立病院の経営状況等も丁寧に把握しながら、診療報酬改定の動向も踏まえつつ、国への提案要求や都の医療政策の検討を行います。
次に、HPVワクチンについてでございますが、HPVワクチンは女性のみならず、男性のがん予防や、男女ともに接種することによる集団免疫の効果が期待できます。
このため、都は、ワクチンの有効性や接種に関する相談窓口などをポータルサイトに掲載するなど、広く周知してまいりました。
加えて、昨年度から、男性への接種が定期接種化されるまでの措置として、四価ワクチンを対象に、区市町村への接種費用の補助を実施しております。
本年八月、より高い予防効果を期待できる九価ワクチンが男性への接種にも適応拡大されたことを踏まえ、今後ワクチンの供給量等を注視の上、都の対応についても検討してまいります。
次に、NICU入院児支援手帳についてでございます。
都は、NICU入院児の成長や発達を継続的に記録できる手帳「のびのび」を作成いたしました。当事者などの意見を聞き、家族と共に医療従事者等も記録できる構成とするなど、より使いやすい内容としております。
この手帳をより多くの家族に活用していただけるよう、NICUのある病院等を通じて配布するほか、都のホームページにも掲載し、広く周知しております。また、医療従事者などを対象に、手帳の活用方法に係る説明会を実施いたしました。
今後、十一月に開催する早産児支援に係るイベントで、有識者の講演会やパネル展示により手帳を紹介するなど、さらなる普及啓発に取り組んでまいります。
次に、RSウイルスワクチンについてでございます。
RSウイルス感染症は、生後六か月以内に感染すると肺炎など重症化する場合があり、特に乳児の感染を予防することが重要でございます。
昨年一月、妊婦に接種することで抗体が胎児に移行するRSウイルス母子免疫ワクチンが薬事承認されました。現在、定期接種化に向け、ワクチンの有効性や安全性等に関する科学的知見をまとめたファクトシートの作成が国において進められております。
都は、国に検討の促進を働きかけるとともに、今後の動向等を注視してまいります。
最後に、子供の自殺対策についてでございます。
子供の自殺は極めて深刻な状況にあり、困難を抱える子供への支援は一層重要となっております。
都は昨年度から、こころといのちのサポートネットに子供サポートチームを設置し、リスク要因に応じて必要な支援につなげております。今年度は、新たに支援事例などを掲載したリーフレットを学校等に配布し、活用を促しております。
また、ゲートキーパーを担う教職員などや保護者に向け、子供の自傷行為に対する理解や対応力向上のための研修などを実施しております。
今後、自傷を行うなど、生きづらさを抱える子供の命を社会全体で守る取組の充実に向け検討をしてまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕
○福祉局長(高崎秀之君) 八点の質問にお答えいたします。
まず、不妊治療をしても子供を授からない方への支援についてでございますが、都は、不妊・不育ホットラインを設置しまして、不妊などに悩んだ経験を持つピアカウンセラーが、医師の指導の下、不妊症や不育症に関する相談に丁寧に対応しております。
令和六年度の相談実績は四百五十六件であり、このうち、出産に至らずに治療を終えた方や治療の継続に悩む方からの相談など、治療以外の相談が約三割となっております。
今後、こうした相談の詳細な内容や対応状況を分析しまして、不妊治療をしても子供を授からない方に対し、さらに寄り添って支援してまいります。
次に、発達障害の支援体制についてでございますが、発達障害の可能性のある子供を適切に支援するには、検査及びその後の支援につなぐ体制の充実が重要でございます。
都は今年度、医療従事者や区市町村の相談支援員を対象とした研修に、検査結果のアセスメント技法等を盛り込むなど充実を図っております。また、待機解消に取り組む医療機関や、検査後のフォローなどを行う区市町村への支援を開始いたしました。
今後、こうした発達検査の待機解消の取組や、検査後に関係機関と円滑に連携した事例を検証し、効果的な手法を取りまとめまして、区市町村での取組を働きかけるなど、都として必要な支援を行い、切れ目のない支援体制の構築を進めてまいります。
次に、学童クラブ職員の確保、定着についてでございますが、昨年の都の調査では、約九割の学童クラブが、職員の職場環境や処遇に課題があると回答しておりまして、安定した生活基盤の下、長く働き続けられる環境整備が必要でございます。
都は、今年度開始した認証学童クラブ事業において、常勤職員の配置を必須とするなど、国を上回る都独自の基準を設けまして、必要な経費を補助しております。また、職員の経験年数などに応じた賃金改善を支援しております。
今後、学童クラブ職員の確保、定着が着実に進むよう、働きやすい環境の整備や処遇改善に向けた取組を一層推進してまいります。
次に、成人期の障害者の居場所についてでございますが、都は、特別支援学校などを卒業した障害者が地域において切れ目のない支援を受けられる体制構築に向けまして、区市町村の取組状況を把握するため、調査を実施いたしました。
この調査では、四十三自治体が、就労する家族の増加などにより、夕方の居場所のニーズがあると回答しております。一方、居場所の検討に当たっては、人材や場所、移動手段の確保など、様々な課題が挙げられました。こうした結果を踏まえまして、都は、区市町村の取組に対し、必要な財源を措置することを国に提案要求するとともに、地域において利用者ニーズに応じた居場所の確保ができるよう、具体的な施策の検討を進めてまいります。
次に、トイレへの介助用ベッドの整備についてでございますが、都は、福祉のまちづくり条例施設整備マニュアルにおいて、施設の新設や改修の際に望ましい整備の一つとして、車椅子使用者用トイレの一か所以上に介助用ベッドを設置することとしております。
介助用ベッドのうち移動式のものは、既存施設の改修などによる整備が難しい場合でも導入できるため、有効な選択肢でございます。
今後、関係各局と連携しまして、スペースを確保できる都立施設のトイレには、移動式介助用ベッドの導入を進めるとともに、区市町村や民間事業者にも導入を働きかけるなど、全ての人が安心して外出できるまちづくりを推進してまいります。
次に、都営住宅内のグループホームの整備についてでございますが、都は、障害者・障害児施策推進計画において、令和八年度末までの三年間で、グループホームの利用者数を二千七百人増やす目標を掲げまして、整備費の事業者負担を軽減する特別助成等を実施しております。
グループホームは、都営住宅の空き住戸を活用した整備が可能でありまして、今後、活用を希望する事業者に対して必要な手続や手順、相談窓口などを分かりやすく情報提供してまいります。
また、区市町村や関係局と連携しながら、具体的な手続などの相談にきめ細かく対応しまして、身近な地域でのグループホームの整備が一層進むよう取り組んでまいります。
次に、共生社会の実現に向けた取組についてでございますが、共生社会の実現には、一人一人が障害や障害特性を理解し、支援が必要な方に対して、ちゅうちょなく行動するなど、社会全体での取組が必要でございます。
都は今月、障害者などが優先的に利用できるスペースの設置に取り組むなど、共生社会の理念に賛同する企業等の募集を開始いたしました。また、それらの企業等が活用できるシンボルデザインも公募しておりまして、多くの都民の参画を促すため、SNSで周知するとともに、都民投票で選定を行います。
今後、十二月の障害者週間に、賛同企業等と選定したデザインを公表するなど、支援が必要な方に対し、より多くの都民が行動に移せるよう後押ししてまいります。
最後に、障害者情報コミュニケーション条例についてでございますが、都は、条例の施行に当たりまして、情報保障に係る積極的な取組を全庁的に進めるとともに、区市町村や事業者団体などに対し協力を要請しております。
また、障害の特性に応じた意思疎通の手段などを紹介するデジタルブックを広く都民に周知するほか、大学などと連携した手話と音声をAIで変換するシステムの実用化など、情報通信技術を活用した取組も進めてまいります。
今後、障害者の意思疎通などが円滑に行われるよう、当事者の意見も聞きながら、多様なコミュニケーション手段を利用しやすい環境づくりを一層推進してまいります。
〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕
○子供政策連携室長(田中愛子君) 子供の居場所づくりについてでございますが、自宅以外の居場所は、子供の幸福度や自己肯定感を高める上で重要な存在でございます。
このため、都は、多様な子供の居場所創出をリーディングプロジェクトに新たに位置づけ、政策のバージョンアップに取り組んでまいります。
とりわけ中高生になると、地域に安心できる居場所が少なくなる傾向がございます。今後、中高生の意見反映や主体的な参画といった視点を政策の柱に据え、区市町村等と連携した中高生の居場所づくりの在り方について検討してまいります。
また、中高生の活動を日常的に支える人材が果たす役割等を踏まえ、支援のあるべき方向性につきまして、有識者の意見も伺いながら検討してまいります。
〔スポーツ推進本部長渡邉知秀君登壇〕
○スポーツ推進本部長(渡邉知秀君) 三点のご質問にお答えいたします。
初めに、世界陸上におけるレガシーについてでございます。
今回の世界陸上東京大会は、今後の国際スポーツ大会のモデルとなるよう、都と世界陸上財団とが一体となり、情報公開の徹底や、引率者を含め四万人を超える子供たちの観戦招待など多くの都民の参画を進めるとともに、スポンサーを直接公募するなど、様々な取組を進めてまいりました。
また、都は、世界陸上財団に職員を派遣し、競技会場の運営や、宿泊、輸送のオペレーション、国際競技連盟との調整など、大規模大会ならではの貴重な経験を積むことができました。こうした大会の成果や知見をレガシーとして、今後のスポーツ施策の推進に活用してまいります。
次に、デフリンピックにおけるレガシーについてでございます。
都はこれまで、百十の都有施設への透明ディスプレーの設置、区市町村や鉄道施設への支援など、社会における技術導入を促進してまいりました。大会時には、デフリンピックスクエアで、国際手話を多言語テキストに変換する先端技術等を展示、PRし、体験した選手から意見を収集して、さらなる技術開発にもつなげてまいります。
さらに、まち中では、大会後も見据えまして、民間企業と連携し、駅のアナウンスをスマホで確認できる技術や、ホテルにおける多言語翻訳タブレットの活用などを行ってまいります。
これらの取組がレガシーとして社会に浸透していくよう、関係者と連携を進めてまいります。
最後に、GRAND CYCLE TOKYOについてでございます。
多摩地域で開催をいたしましたロードレースでは、様々な関係者のご協力の下、大会を実施し、国際レースを多くの方に間近で体感していただきました。
また、今年で四回目の開催となります臨海部のレインボーライドでは、自転車ファンから家族連れまで楽しめるより魅力のあるコースを設定いたします。また、当日開催のイベントでは、自転車をさらに身近に感じてもらえるよう、コンテンツを充実いたします。
寄せられた意見なども踏まえまして、環境に優しく、健康づくりにもつながる都民の自転車活用の裾野を広げるよう、本事業をさらに展開してまいります。
〔生活文化局長古屋留美君登壇〕
○生活文化局長(古屋留美君) 東京の新たな文化芸術祭についてお答えいたします。
都内には多彩な催しがあり、それらをつないでいくことにより、これまでにない視点や価値の連鎖が生まれます。そこで現代アートや舞台演劇、エンターテインメントなど東京の秋から冬を彩るイベントを結び合わせ、都市の新たな魅力を創出する国際的な文化芸術祭を立ち上げます。
多くの催しが集積する三つのエリア、臨海地域、代々木、日比谷・丸の内を核として、各エリアを印象づける魅力的な企画、祝祭感を演出するまち中のドレッシング、一体的なプロモーション等を展開いたします。
また、都内各地にある様々なイベントとも連携することで広がりを生み出し、クリエーティブの力で世界を魅了する新たな東京の都市像を描き出してまいります。
〔主税局長武田康弘君登壇〕
○主税局長(武田康弘君) 宿泊税についてでございますが、高額な宿泊を含む観光客の増加に加え、地域における生活と観光の調和を図る視点が重要性を増すなど、宿泊税をめぐる状況は大きく変化しております。
こうした中、制度の見直しに向け、有識者や宿泊施設事業者の皆様などとの意見交換を実施し、課税方式など、見直しの論点についてご意見を伺いました。また、使途に関して、観光の持続的な発展に向けた施策や観光客の増加の対応の財源としての活用、使途の積極的な公開などのご意見もいただいております。
こうしたご意見も参考にした上で、年内の事業公表に向け、使途の在り方や公表方法についても検討を深めてまいります。
〔財務局長山下聡君登壇〕
○財務局長(山下聡君) 特別会計における消費税の取扱いに関するご質問にお答えいたします。
都営住宅等事業会計におきまして、消費税の未申告が判明したことを受け、各局がその所管する全ての特別会計を対象に、申告義務の有無について点検を行いました。
この結果、その他の特別会計において、新たに消費税の申告が必要な事案はないことを確認いたしました。
○議長(増子博樹君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後二時三十七分休憩
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.