○議長(増子ひろき君) 百一番中田たかし君。
〔百一番中田たかし君登壇〕
○百一番(中田たかし君) 質問に先立ち、名誉都民であり、ミスタープロ野球と呼ばれた長嶋茂雄氏がご逝去されました。ここに哀悼の意を表し、謹んでお悔やみを申し上げます。
私は都議会立憲民主党を代表して、都政の諸課題について質問をいたします。
初めに、知事の基本姿勢について伺います。
今定例会は、私たちの任期の最後の都議会であり、六月二十二日にはいよいよ東京都議会議員選挙を迎えます。
私たちは、いわゆる小池与党の過半数割れによって議会のチェック機能を高め、各会派がそれぞれ議論を闘わせる熟議の都議会を目指していく考えです。
小池知事においても、異論を排さず、積極的に答弁に立ち、議会と真摯に議論を交わすことで、より多くの都民の理解と共感が得られる都政の実現に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
都議会立憲民主党は、東京に住まう一人一人の生活を支え、誰にでも居場所と出番があり、活躍できる東京をつくる。それが多様性あふれる力強い都市へとつながると考えています。
そのために、物価高騰にあえぐ生活者を支える取組など、徹底的に人への投資を貫き、生活都市東京を取り戻さなければなりません。
物価高騰対策では、物価高騰を上回る持続的な賃上げを進めることこそが求められています。私たちは、これまで何度も知事に、賃上げ機運を盛り上げる旗振り役を求めてきましたが、知事はいまだにその姿勢を示していません。そのためか、都の賃上げに係る中小企業への支援策は使い勝手が悪く、煩雑な申請事務などは中小零細企業の負担となっています。
さらには、都の賃上げ等の支援事業は都内中小企業数四十一万社に対し、対象は僅か千四百社、予算は三十億円です。あまりにも少な過ぎます。本当に賃上げを加速する気があるのか、疑問といわざるを得ません。
知事を筆頭に賃上げを促進する取組を都としてしっかりと進め、しっかりとこの賃上げを加速して全力で取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
賃上げに加えて、従業員の手取りを増やす、そして福利厚生の充実への支援にも、都として、より力を入れて取り組むべきです。
例えば、ランチ補助は従業員の日々の経済的負担を軽減するには即効性もあり、積極的に取り組んでいくべきと考えます。また、月額三千五百円以内などの要件を満たせば非課税にもなるため、規模の小さな事業者でも取り入れやすいサービスです。
都は、若手人材の確保、定着のためとして、コンサルタント派遣と食事提供などに支援を行っていますが、その規模は六十社と大変限られています。
賃上げへの支援に加え、従業員の手取りを増やすランチ補助を行うなどの福利厚生を充実させる支援を、より多くの中小企業に対して行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
私たちは、物価高対策の第一は、物価上昇を上回る賃上げだと考えていますが、急激な物価上昇に賃上げが追いつくまでは家計への直接支援が重要だと考えます。そこで、補正予算で行う水道料金の引下げについて伺います。
都議会立憲民主党が都議選公約で考えていた水道料金の引下げは、物価高と景気の好循環が生まれるまでの当分の間、実施するというものです。
しかしながら、都が行うと発表したのは、暑さ対策として、都議選、参議院選のある四か月間に期間を限定するというものでした。私たちは、物価高対策という観点から、継続して実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
また、私たちは、基本料金の引下げだけでは、家族の人数が多い世帯ほど、一人当たりが受ける恩恵が小さくなるため、家計を応援するという観点から、使用量に応じて支払う従量料金についても対象にすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、家賃補助について伺います。
私たちは、都内で住宅費が高騰する中、家賃補助制度を新設すべきと考えています。
今年三月の二十三区賃貸マンションの平均募集家賃は、単身向け世帯が前年同月比で六・六%、ファミリー向けでは八・七%と価格が上昇しています。都内の家賃高騰によって、特に子育て世帯の住宅確保が困難になっています。
物価、住宅費高騰で苦しむ都民の暮らしの底上げを行うために、家賃補助制度を新設して支援すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
二〇二三年、二十三区新築分譲マンションの平均価格が約四割上昇しています。さらに、民間の調査で、今年一月の都心三区の新築物件のうち、外国人が購入した割合は二一・九%にも上ったとのことです。
投機目的で売買されることで価格が高騰し、都民が住めないことがあってはなりません。都として、外国人などの住宅投資規制を検討し、都民が安心して暮らせるよう、住宅の高騰対策に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、教育について伺います。
物価高騰の影響は、義務教育にも及んでいます。基本、公立小中学校では、入学金や授業料、教科書代はかかりませんが、隠れ教育費である教材費をはじめ、制服などの学用品、さらには物価高騰が直撃してホテル代が高騰しているため高くなってしまっている修学旅行費など、様々なものが家計を圧迫しています。
教育については、将来を見据えた未来への投資、教育予算の拡充が必要であると述べてきましたが、義務教育においては、学校給食に続き、学用品や修学旅行費などの学校教育費についても積極的に支援に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
私立高校の授業料の実質無償化は評価しますが、このことで都立高校離れが進むことのないよう、都立高校においても、引き続き魅力や質の向上に取り組む必要があります。
その上で私たちは、都立高校の入試の在り方も検討していくべきだと考えています。
現在、国においてもデジタル併願制が議論されていますが、都立高校を志望する子供が安全な受験に流れてしまうという状況は避けるべきで、改めるべきです。
また、課題の多い英語スピーキングテストは高校入試に活用しないことも重要です。
都立高校を志望する子供が、一回の受検で確実に自分の学力に応じた都立高校に合格できるよう、入試制度改革に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
次に、介護離職について伺います。
誰もが活躍できる東京の実現には、小池知事の公約であった介護離職ゼロの実現が重要です。二〇二三年七月の総務省の調査では、東京都で介護、看護離職をした人数は一万四千二百人と、五年前に比べてほぼ倍増しています。全国と比べても著しい増え方で、これまでも指摘してきたとおり、ゼロどころの状況ではありません。また、仕事をしながら家族の介護を担うビジネスケアラーの増加により、二〇三〇年の日本の経済損失は約九・二兆円に上ると試算されています。
管理職にも多いであろう介護をしなければいけない世代のテレワークは、子育て世代と比べても遅れがちで、両立支援などの事業も含めて、より手厚い支援が必要であると考えます。
介護離職ゼロ、仕事と介護の両立、生産性向上への取組について見解を伺います。
次に、IR、カジノについて伺います。
都議会立憲民主党は、IRの検討調査に係る予算を計上しないこと、カジノ誘致を断念することを繰り返し求めてきました。この予算は毎年計上されていながら、令和二年度から執行率はゼロ%です。
執行しない予算を計上し続ける一方で、知事は、IRは経済成長や国際競争力を高める観光拠点として期待される一方で、ギャンブル依存症等の懸念の声もあることから、メリット、デメリット両面から総合的に検討する必要があるとの旨の答弁を繰り返しています。
総合的に検討などと答えていながら、調査予算を執行しないことを何年も続けている現状は、でたらめも相当であるといわざるを得ませんし、知事がいっているワイズスペンディングでもありません。
知事、なぜこの予算を計上し続けるのですか。カジノをやりたいから、この予算を計上し続けているのですか。カジノの誘致は断念すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、政治と金の問題に関して、知事の政治資金パーティーについて伺います。
立憲民主党は、国の政治と金の問題で、政治家本人の処罰強化、政治資金の透明性確保、政治資金パーティーの禁止、この三つの制度改革が必要と考え、取り組んでいます。
この都議会では、いわゆる裏金問題の真相解明なくして、再発防止なしの立場から、政治と金の問題に取り組んできました。
今日、深刻な政治不信を招いている根源の一つは、政治資金パーティーです。
都議会立憲民主党は、巨額の予算編成権を持ち、事業執行にも強大な権力を持つ自治体の長は政治資金パーティーを行うべきでないと考え、小池知事に度々自粛を求めてきましたが、これだけ問題が起きても、小池知事は、法律にのっとって適切にの答弁を繰り返すのでしょうか。知事がいう勉強会は、法律にのっとっていえば、政治資金規正法に定める対価を徴収して行われる催物、政治資金パーティーです。強大な権力、権限を持つ知事は、この勉強会、パーティーを自粛するべきと考えますが、知事の見解を伺います。
再質問を留保し、都議会立憲民主党の代表質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 中田たかし議員の代表質問にお答えいたします。
答弁についてでございます。
二元代表制の下、議会におきまして、ご質問の趣旨に応じ、執行機関である知事として適切に対応をいたしているところでございます。
そして、基本姿勢についてのお尋ねがございました。
政治資金につきましては、法に基づき適切に対応すべきことはいうまでもございません。こうした考えの下で、これまでも政治活動に邁進してきたところでございます。
その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず学校教育費の無償化についてでございますが、憲法では義務教育を無償とすることが定められていますが、無償とは、最高裁判決で、授業料不徴収の意味と解するのが相当であり、その他教育に必要な一切の費用の無償を定めたものではないとされております。
保護者の負担する教育費に対する支援は、設置者がそれぞれの判断で対応するものでございます。
次に都立高校の入試制度についてでございますが、都教育委員会では、都立高校において、多様化する生徒のニーズを的確に捉え、各学校が期待する生徒を選抜できる仕組みをつくり上げてきております。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、賃上げについてでございます。
働く方が安心して生活できる環境を整えるため、物価上昇を上回る賃上げの流れを確かなものとする必要があります。
都は、労働者の処遇改善に取り組む中小企業に対し、様々なサポートを行うなど多面的な支援を適切な事業規模で実施しておりまして、今年度、賃上げへの助成等も強化して、賃金の持続的な引上げにつながるよう、後押ししております。
次に、福利厚生への支援でございます。
都は、中小企業が若手人材の採用や定着のために行います社員満足度を高める取組を後押ししております。具体的には、若手社員が少ない企業へ専門家を派遣し、職場の魅力向上に向けた計画づくりをサポートするとともに、取組に要する経費に助成しておりまして、適切な事業規模で実施しております。
最後に、介護離職防止についてでございます。
都は、介護に直面しても働き続けられるよう、介護休業制度の充実などに取り組む中小企業等に対して奨励金を支給しております。
また、介護休業を取得する方の同僚の負担感を和らげる取組の後押しのほか、介護と仕事の両立に取り組む企業や従業員の体験談の紹介なども行っております。
〔財務局長山下聡君登壇〕
○財務局長(山下聡君) 水道の基本料金を無償とする取組についてのご質問にお答えいたします。
物価高騰の影響により実質賃金がマイナスの状況が続く中、この夏に予想される猛暑において、都民の命と健康と暮らしを守るため、この夏場の四か月分に限った臨時的な特別措置として実施するものであり、継続することは考えておりません。
〔水道局長山口真君登壇〕
○水道局長(山口真君) 水道料金の無償臨時特別措置の対象に関するご質問にお答えいたします。
今回の措置は、物価高騰やこの夏の猛暑の予想を踏まえ、都民の命と健康と暮らしを守るため、一般会計からの補填を受け、水道の基本料金を無償とするものでございます。
〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕
○住宅政策本部長(山崎弘人君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、家賃補助制度についてでございますが、対象世帯の範囲、民間家賃への影響、財政負担の問題のほか、生活保護制度との関係など、多くの課題があると認識しております。
次に、都内の住宅価格についてでございますが、市場における需要と供給との関係や建設費など、様々な要素が影響していると認識しております。また、立地のよい一部の高価格帯のマンションが平均価格を押し上げている側面もあると指摘されております。
都におきましては、区市町村や民間等と連携し、既存ストックの活用等により、誰もが安心して生活できる住まいの供給に取り組んでおります。
なお、外国人等による住宅への投資の規制につきましては、国際法上の内外無差別の原則との関係等を踏まえる必要があるため、国において検討がなされるべき課題と認識しております。
〔港湾局長田中彰君登壇〕
○港湾局長(田中彰君) IRについてのご質問にお答えいたします。
都はこれまでIRについて、メリット、デメリットの両面から総合的に検討してきたところであり、引き続き検討を行ってまいります。
〔百一番中田たかし君登壇〕
○百一番(中田たかし君) 今、様々ご答弁をいただきましたが、特に賃上げのところに関しては、やはりこれ、一千四百万都民が暮らすこの東京都で、この一千四百社、予算三十億円というこの賃上げの政策、全くといっていいほど予算が足りないと考えております。やはり賃上げをしっかりと加速をさせていく、そうした知事の思いがあるのであれば、こうした予算もしっかりと倍増させていく、そうしたことがやはり都民の皆さんの生活を支えていく、そうしたことになるのではないかと考えております。
どうした政策も様々な政策取っても、やはり予算規模が小さく、本気度が全くと見られない。特にこの物価高対策もしっかりと抜本的にやはり行っていかなければ、この東京都に都民の皆さんが住み続けられなくなってしまう。しっかりと住宅政策もしっかりと前へ進めていかなければいけないと考えております。
その上で、この賃上げの質問に関しても、カジノの質問に関しても、ほとんどの質問に対して知事は答弁に立ちませんでした。私たち都議会議員は、都民の代表として知事に質問をしています。その都民の声を無視するのですか。二元代表制であるはずの都議会を軽視することは大きな問題です。さらには、この都議会が知事をチェックする機能を果たせなくなってしまっていることも大きな問題です。
今回の都議選では知事与党の過半数割れを実現し、しっかりと機能する都議会をつくっていくことが、都民の皆さんの理解と共感を得られる都政の実現だと考えております。
適切に答弁をしていると様々いっておりますが、やはり港湾局長がカジノをつくるということを決められるわけがありません。知事がやはり大英断をして、つくる、つくらないという判断をしなければやはり進まない政策もこれまでも山ほどありました。その中で知事がやっぱりやってきたことに対して、しっかりと私たちはそれに対して質問をしていく。そうしたことがこの都議会の大きな役割であると思っております。
改めて、知事に対して、しっかりと答弁をしていただきたい。先ほども述べましたが、どの政党に所属しようが、全員が都民の代表です。再度、知事に答弁を求めた全ての質問に対して知事が答弁することを求め、質問を終わります。(拍手)
〔政策企画局長佐藤章君登壇〕
○政策企画局長(佐藤章君) 答弁についての再質問にお答えいたします。
二元代表制の下、質問の趣旨に応じまして、執行機関として適切に答弁しております。
なお、地方自治法の逐条解説によると、議会の質疑に必要な説明について職員等へ委任することは執行機関側の任意であるとされております。
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