午後三時十五分開議
○副議長(谷村孝彦君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
質問を続行いたします。
三十九番うすい浩一君。
〔三十九番うすい浩一君登壇〕
○三十九番(うすい浩一君) 初めに、本日早朝、名誉都民長嶋茂雄氏がご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、衷心よりご冥福をお祈りいたします。
都議会公明党を代表して質問します。
初めに、物価高騰対策について伺います。
まず、学生パスの導入について質問します。
都議会公明党は、令和七年度の予算要望の際、最重点項目として、シルバーパスの住民税課税の方の利用料を二万五百十円から一万二千円に引き下げるよう要望しました。この要望を受け、知事は、シルバーパスの利用料を令和七年度から一万二千円に引き下げる追加予算を計上しました。このことを高く評価します。
他方、都内で大学に通う学生から、電車における通勤定期に対する通学定期の割引率に比べ、バスは割引率が低く、バス料金が大きく負担になっているという声がありました。JRや都営地下鉄の場合、通勤定期に対する通学定期の割引率は約五〇%になっています。
そこで、電車における通学定期の割引率を参考に、都内のバスに対する小学生から大学生までの低額の学生パスの導入を検討し、希望する学生に対して提供していくべきと考えます。見解を求めます。
次に、つながるキャンペーンのポイントの引上げについて質問します。
現在、都民は、お米価格の高騰など物価上昇により家計の生計が打撃を受けています。一方、東京都の税収は好調であると仄聞しています。
そこで、決算時に生じる財源を活用して、物価高騰対策として、本年秋にスマホを活用して支給するポイントを七千円から一万円に増額してはどうかと考えます。見解を求めます。
ポイント付与キャンペーンは、多くの都民から期待の声をいただいている一方、デジタルに不慣れな方や視覚障害がある方などから、自分は東京アプリを活用できないのではないかと不安の声をいただいています。
都議会公明党は、さきの第一回定例会の代表質問において、操作が不慣れな方やスマホを持っていない方々もキャンペーンに参加できるよう手だてを講じるべきであると、都に対応を求めました。特に高齢者は、アプリのダウンロード方法やアプリの操作が分からないなどの不安があり、スマホの購入時からきめ細かなサポートを行うべきと考えます。見解を求めます。
また、デジタルに不慣れな高齢者やスマホでの操作が難しい視覚障害者、さらに知的障害者や認知症の方々も含め、東京アプリの利便性を全ての人が享受できるようにすることが重要です。このような方々は、ご自身で東京アプリを介して行政サービスを利用することができないため、ご家族等の代理の方が手続を行えるよう配慮していく必要があります。
そこで、様々な障害等がある方々も東京アプリの利便性を享受できるようにすべきと考えます。見解を求めます。
次に、水道料金の基本料金の無償化について質問します。
今回の水道の基本料金無償化を受け、日本共産党都議団は、共産党が提案すれば都政が動くと、こぞって喧伝しています。
しかしながら、さきの第一回定例会代表質問で日本共産党都議団が主張していたのは、水道料金の一〇%、消費税分の値下げであります。都議会公明党の要請を受けて今回行われる措置は、一般会計の財源を活用することで、水道の基本料金を無償化し、現下の都民の暮らしと健康を守るとともに、基幹インフラの維持更新にも目配せし、将来にわたる都民の安全・安心に配慮したものです。
そこで、今回の水道基本料金の無償化の経緯と期待される効果について、知事の見解を求めます。
あわせて、今回の無償化と将来にわたる水道インフラの維持更新について、都の水道サービスを担う立場としてどのように認識しているのか、一〇%の値下げを求める主張に対する考え方を含め、水道局長の見解を求めます。
次に、中小企業での賃上げ支援について質問します。
都議会公明党は、各種の国策とも連携し、今後の五年間で、都内現役世帯の平均収入において約二百万円の増額を目指しています。現役世帯の収入増を図る上では、就労先の企業や事業所の純益増が最も確実な近道です。
一方、賃上げしたいが何をどう改善すればよいか分からない経営者も多く存在します。都は都議会公明党の要望に応え、令和六年度から、DX化を中心に無料のアドバイザー派遣を開始し、助成金も活用して、生産効率を高め、かなりの確率で賃金増につなげています。本事業を通し、どのようなDX化、機器やソフトの導入が賃金増に結びつくのかが判明すれば、賃金増を目指す中小企業にとって極めて有益な情報となります。
また、助成金は利用していなくても、アドバイザーの派遣などによって経営の改善が進み、賃金増を果たしている可能性もあります。都は、アドバイザー派遣での成果を細かく調査分析をしてノウハウの普及拡大を図り、都内の多くの中小企業での賃金増に結びつけるべきです。見解を求めます。
次に、夏の酷暑対策について四点伺います。
初めに、公共工事についてです。
今月から、働く現場における熱中症対策が義務化され、WBGT、暑さ指数に基づく迅速的確な対応が求められます。今夏は、殺人的な暑さが予想されます。都議会公明党は、先日、働く人々の命を断固守るべく、知事に対し、対策の強化を求めたところです。
そこで、都は、今年六月からの職場における熱中症対策の義務化を踏まえ、都発注の各工事現場において、暑さ指数を随時的確に把握できる環境を強く後押しするとともに、厳重警戒を意味する暑さ指数の二十八、危険を意味する三十一に基づき、室内外に応じた工事の中断について、受注者と下請事業者に対し、改めて強く適切な対応を求めるべきと考えます。
加えて、作業員の体調を把握するためのウエアラブル機器や電動ファン付ウエアなどの購入や、中断、中止に伴う工期の延長については、事業者側がためらうことがないよう、必要経費が事後的に確実に補填されるべきと考えます。併せて見解を求めます。
二点目に、中小企業についてです。
熱中症対策の義務化では、都内の中小企業も対象となります。屋内、屋外の別を問わず、屋内で即時的確に取り組める予防対策の強化が必要です。
産業労働局は、令和七年度、テレワークを新たに開始することを条件に、電動ファン付ウエアや保冷剤つきの作業着などへの幅広い補助を開始しています。
しかし、自宅やサテライトオフィスなどのテレワーク化になじまない業種や、まだ十分に対応できていない企業でも、この幅広い暑さ対策の補助を利用できるようにするべきであります。
加えて、中小企業は、費用や工事期間などの課題から、本格的な断熱、遮熱工事を選択しにくい実情を抱えています。その点、最近では、放射熱を大幅にカットできる断熱、遮熱素材や塗装製品など、コストパフォーマンスに優れ、消費電力の抑制でも効果が期待され、暑さ指数の軽減に役立つ新しい技術が登場しています。夏場を前に積極的に紹介し、導入負担も軽減して活用の進展を図るべきです。酷暑対策に取り組む中小企業への支援の強化について、併せて見解を求めます。
三点目に、教育現場についてです。
生徒の安全を確保するべく、学校でも熱中症対策の徹底が必要です。そのためには、暑さ指数についての考え方を全ての教職員が理解した上で教育活動を継続できるよう、暑さ指数を日々測定できる機器や、生徒の体温を把握できるウエアラブルな機器の整備など、熱中症への警戒を強化するべきと考えます。教育長の見解を求めます。
関連して、都立高校について質問します。
都議会公明党の提案で、トイレの洋式化や全都立高校の女子トイレに生理用品の配備をしていますが、その上で温水洗浄機能付トイレの設置を進めるなど、都立高校施設の快適性の向上を図っていくべきと考えます。教育長の見解を求めます。
四点目に、障害者福祉現場についてです。
暑さ対策は、福祉サービスに従事される方々にとっても重要な課題です。都は今年度、暑さ対策グッズの購入費補助を実施するとしていますが、対象は、介護保険の対象となる事業者に限られています。
障害福祉サービスの居宅介護や、重度訪問介護、同行援護なども、暑いまち中を移動するため、命に及ぶ危険を伴います。
そこで、障害福祉での訪問系のサービスを提供する事業者に対しても、酷暑を耐え忍ぶ暑さ対策グッズの購入経費の補助を実施するべきと考えます。見解を求めます。
次に、中小建設系企業での資格取得支援について質問します。
中小の建設系企業では、工事に必要な資格取得者の不足や高齢化から、受注の依頼を受けても対応できない事態が現実の危機として迫っております。設計や施工管理に係る試験の合格率は毎年変わらず、むしろ近年で若干下降ぎみです。建設人口が急減する中、合格率に変化がなければ不足するのは当然です。まず、都は、中小建設系企業での工事受注に必要な資格者の増加に向け、支援を強化し、その利用の普及を図るべきです。
加えて、資格の取得後も大企業には転職せず、中小企業への引き続きの就労が選択されるよう支援するべきと考えます。併せて見解を求めます。
建設系企業の経営者は、若手技術者が取り組みやすい試験制度への改善を望んでいます。一次試験である学科試験の重要性は誰もが認めるところでありますが、若い技術者が不合格となった場合、一年先まで待つよう励ますことに困難を感じる経営者が多いようであります。そのため、年に一度の受験機会の見直しを望む声が聞かれています。
また、二次試験では、設計での製図のほか、施工管理での実技、すなわち論文について、試験内容が実務にそぐわないとの声が聞かれます。例えば製図は手書き試験でありますが、今日、図面は皆、CADしかり、BIMしかり、OA機器やソフトを用いて作成します。
また、論文の得手不得手は実際の施工管理とは無関係であり、むしろ二級試験合格後の経験年数に応じて二次試験を免除した方がよいとの声も聞かれます。建設工事に必要な有資格者不足は、企業側だけの問題ではなく、官民にわたり様々な新築や維持更新を困難にして、社会機能の停滞や麻痺を招く深刻な問題です。都は、建設系企業での受注応募に必要な資格者の増加に向け、業界団体と連携しつつ、若い技術者がより意欲を抱きやすい試験への改善を国に求めるべきです。見解を求めます。
次に、中小企業の人材確保のための奨学金の返還支援事業について質問します。
本事業は、都議会公明党の提案により創設された、人手不足の建設やIT、ものづくり分野の企業に就職をした学生等に、三年間にわたって最大で百五十万円の奨学金の返済を都と中小企業で支援するものです。この事業に対しては、貴重な若手人材の採用につながっていることから、高い評価を受けています。その際に、二十代という年齢の要件をさらに広げてほしいという声も聞かれます。
さきの予算特別委員会において、都議会公明党が、三十代の転職者を含め、より多くの若者がチャレンジできるようにすべきとの質問に対し、都は、労働市場の動向等を踏まえた支援の在り方を検討するとの答弁がありました。
そこで、奨学金返還支援事業における年齢要件のこれまでの検討状況と今後の取組について見解を求めます。
次に、小児インフルエンザワクチン接種について質問します。
鼻の中に直接噴霧するだけのインフルエンザ経鼻ワクチンの流通が昨年十月から始まりました。経鼻ワクチンの接種は、シーズンごとに一回で済み、針を刺さないため、痛みを嫌う子供への接種に期待されており、荒川区では今年度、中学三年生までの接種を無償化しました。
都議会公明党は、さきの第一回定例会において、これまでの注射のワクチンに加え、経鼻ワクチンへの補助を実施する区市町村に対し支援するべきであると求め、都から、今季の接種実績と流通を注視するとの答弁がありました。
そこで、この五月にまとまったと仄聞している接種実績の調査結果はどうだったのか、改めて区市町村に対する経鼻ワクチンに対して補助すべきと考えます。見解を求めます。
次に、介護老人保健施設の改修等に対する支援について質問します。
都内における介護老人保健施設は、令和六年度末時点で百九十九か所、定員数は二万一千七百六十人を数え、退院後のリハビリテーションや在宅復帰を通じて、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるための要であります。
本年四月に行われた東京都老人保健施設協会の調査では、築二十年を超えている施設が実に七割以上を占めており、建物や設備の老朽化が進み、更新時期を迎えているにもかかわらず、財源の問題で十分な対応ができていないのが実情です。
その理由として挙げられていたのが、現状の都の補助では、老朽化した施設の改修や建て替えに対して、財政的に対応できないということでした。
そこで、東京の介護サービス基盤を担う介護老人保健施設が、超高齢社会において確かな役割を果たすことができるよう、現在の補助額二分の一を三分の二まで引き上げるなど、支援の充実を図るべきです。見解を求めます。
次に、シルバーパスの更新手続について質問します。
シルバーパスは、十月一日から翌年の九月三十日までの有効期限に合わせ、都は、毎年一斉更新手続を実施しています。この更新手続は、新型コロナウイルス感染症の流行後、令和二年から昨年までの五年間、郵送方式に切り替えて一斉更新を実施してきました。令和六年度は、千円パス対象者全員の所得確認を実施したことから、手続が難しい、分かりにくいとの声が多くありました。
そこで、手続の方法を簡単にし、利便性を高めるとともに、分かりやすい広報をすべきです。見解を求めます。
次に、小中学校におけるネーティブ人材の活用について質問します。
子供たちが公教育の中で英語を話すことができるようになり、人生の選択肢が広がるように、全ての子供が英語を話せる東京を目指すべきであります。
第一回定例会の代表質問において、都議会公明党が、区市町村立小中学校においてネーティブ人材の活用ができるよう提案したことに対し、都教育委員会は、区市町村における課題やニーズの把握を行うとの答弁がありました。そこで、その後の進捗状況と今後の取組について見解を求めます。
防犯対策について質問します。
川崎市で発生したストーカー殺人事件では、都民の間にも不安が広がり、今後、警視庁管内で同様の事案が発生した場合の対応について関心が高まっています。
事件の詳細は報道ベースに限られていますが、初期対応時における相談対応や事実確認後の加害者へのアプローチ、さらにはストーカー規制法に基づく警告や、接近禁止命令等の措置が講じられなかった点や、被害者の行方不明に対する捜査の徹底などの点で疑念が広がりました。
とりわけストーカー被害にあっては、被害が拡大することへの恐怖などから、被害者が警察への相談をためらうことが多く、家族や近親者による相談は、被害者本人からの相談と同等に受け止め、真摯に対応すべきです。ストーカー犯罪に端を発した殺人事件などの重大犯罪を発生させないための警視庁の取組について、警視総監の見解を求めます。
関連して、都営住宅での防犯対策の強化について質問します。
都議会公明党は、昨年の第四回定例会において、闇バイト等による凶悪犯罪を防ぐため、カメラ付インターホン等の普及が不可欠であると考え、緊急対策の実施を提案いたしました。これに対し都は、小池知事の英断により、今後、全都を対象に、防犯機器の二分の一負担で整備を進めることになりますが、低所得者世帯での活用の促進には、さらなる負担の軽減が必要です。
そこで、都議会公明党は、都が管理する都営住宅では、カメラ付インターホンの普及に向け、障害や要介護状態などから玄関への移動が困難な入居者を対象に特別な配慮を講じるように今年三月の予算特別委員会で提案をし、前向きな答弁を得ていたところです。都は、都営住宅でのカメラ付インターホンの設置推進に向け、新たな事業のスキームを明らかにするべきです。見解を求めます。
都営住宅での防犯対策では、団地外からのごみの不法投棄や自転車の盗難防止も課題となっています。都営住宅は、地域に親しむため構造的に開放された設計であり、その分、防犯カメラを望む声が高まっています。
そこで、都は、カメラ付インターホンでの設置を進めるこの機を捉え、現状はエレベーターに限られている防犯カメラを、ごみの集積場と駐輪場にも拡大すべきと考えます。見解を求めます。
最後に、水害対策について質問します。
本年三月、国が最新の知見、成果を盛り込んだ日本の気候変動二〇二五を発表し、世界的な気温上昇の影響で、大雨、高温など極端な現象の発生頻度と強度が増加していることから、今後は、より一層強化した対策を取らなければ影響はさらに大きくなることが報告されています。
こうした気候変動を見据えると、豪雨に対する都民の安全・安心を確保するためには、水害対策の着実な推進が重要となります。河川における水害対策の取組について見解を求めます。
また、水害リスクが高まる中、都心部には十二の大規模地下街等があります。浸水時に多くの要避難者が想定されます。先日報道で、AIを活用した災害時の避難支援システムの開発が取り上げられていましたが、地下街においては、浸水実績を基に、リスクの低い出入口をAI等で予測をし、避難誘導する仕組みを検討していくことも必要と考えます。
現在、都は、地下空間浸水対策ガイドラインの改定作業を行っていますが、進捗とその後の取組について見解を求め、代表質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) うすい浩一議員の代表質問にお答えいたします。
物価高騰対策についてのお尋ねでございました。
都はこれまでも、国の交付金や繰越金などを活用いたしまして、LPガスを利用する家庭の負担軽減や、医療機関、中小事業者などへの支援など、物価高騰の影響を踏まえました重層的な対策を講じてきております。
また、令和六年度最終補正予算では、今年の秋頃の本人認証を契機といたしました東京アプリの普及促進と都民生活の応援に向けて、七〇〇〇ポイントを付与するキャンペーンを実施することといたしました。
今後、物価高騰対策につきましては、社会経済情勢や国の経済対策の動向などを見極めながら、財政状況も踏まえ検討をしてまいります。
水道の基本料金を無償とする取組についてのお尋ねでございます。
物価高騰の影響が続く中、この夏に予想される猛暑におきまして、都民がエアコンなどの利用を控えることのないよう、都民の命と健康と、そして暮らしを守ることが重要でございます。
五月十九日には、課題意識を共有する公明党、自民党、都民ファーストの会の三会派の皆様方からご要望いただいております。
こうしたことを踏まえまして、都がスピード感を持って独自になし得る対策について検討し、この夏に限りまして、四か月分の水道料金の基本料金を無償といたします。
今回の取組によって、都民の光熱水費を抑え、生活費の軽減を図るとともに、この夏に予想される猛暑におきましても、都民が安心して暮らせる環境を整えてまいります。
その他の質問につきましては、警視総監、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔警視総監迫田裕治君登壇〕
○警視総監(迫田裕治君) ストーカー事案をはじめとする人身安全関連事案に対する取組についてでありますが、警視庁では、人身安全関連事案は、事態が急展開して重大事件に発展するおそれが極めて高いことを念頭に、事案の認知時から関係部門が連携し、本部が確実に関与した上で、あらゆる法令を適用した検挙措置等により、加害行為の防止を図っております。
また、被害者の避難措置等の保護対策を徹底するなど、取り得る措置を講じているところであり、被害者が被害の届出をためらうなどした場合であっても、その親族等に働きかけ及び説得を行うほか、事態の危険性等を見極めた上で、危険性が高いと認められる場合には、被害の届出がなくとも事件化を図ることとしております。
引き続き、被害者等の安全確保を最優先に、関係機関と連携しながら、迅速かつ的確な事案対処を徹底してまいります。
〔教育長坂本雅彦君登壇〕
○教育長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えをいたします。
まず、教育現場での暑さ対策についてでございますが、夏の暑さが厳しさを増す中、公立学校の教職員が、熱中症について、より正確な知識等を持つことは重要でございます。
このため、都教育委員会は熱中症対策のガイドラインをつくり、公立学校に周知をしております。この取組に関しまして、熱中症の警戒アラートの説明をよりきめ細かく行い、チェックリストも示し、活用を促す改定を六月上旬に実施をいたします。
また、全都立学校に暑さ指数測定器を導入するほか、体温の上昇を知らせる腕時計型の最新の機器を八校約五千人に配布し、屋外実習や部活動等で効果検証を行います。
これらの取組を区市町村教育委員会と共有し、熱中症対策を強化いたします。
次に、都立高校における快適性の向上についてでございますが、都立高校において、生徒が校内での生活を快適に過ごす上で、設備の使いやすさやその機能の向上を図るほか、利便性を高める工夫を進めることは重要でございます。
都教育委員会は、現在までに、学校生活に不可欠なトイレの洋式化を約九割まで進めており、今後は、温水洗浄機能のついたものを増やす取組にも力を入れます。
また、子供たちは経済的な理由等で生理用品の入手の難しい場合がございます。このため、全ての高校の女性用トイレに生理用品を置き、その管理や補給を適切に実施をしているところでございます。これらによりまして、都立高校での生活の快適性を高めてまいります。
最後に、小中学校でのネーティブ人材の活用についてでございますが、公立の小中学校において、子供たちの英語の聞き取りや会話の力を高めるため、ネーティブ人材の活用に係る状況等を把握することは必要でございます。
都教育委員会は、現在、公立の小中学校での外国語の教育に関する調査を進めており、この中でネーティブ人材による指導の状況等についての項目も設けております。
具体的には、外国語の授業で教員をサポートするネーティブ人材等の配置のほか、オンライン英会話の導入の現状について調べております。また、夏休みなどの短期間、外国人と交流する機会の提供の様子も把握をします。
これらの結果につきまして、今後の外国語教育の施策展開に反映をしてまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、技術人材の確保についてでございます。
建設業の高齢化と若者離れが深刻化する中、都市の強靱化等に対応する様々な施設の設計や施工管理等を着実に行うには、資格を有する技術人材の確保が重要でございます。
都はこれまで、DXの活用などによる品質管理や業務の効率化等につきまして、全庁横断的に知見を共有し、関係団体等とも連携して建設業の魅力を発信しております。また、都発注工事におきましては、工事関係書類の削減等を推進し、建設業の働き方改革を後押ししております。
今後、関係団体と連携いたしまして取組を進めるとともに、技術人材の安定確保に向け、社会状況に応じた資格制度の在り方の検討等を、制度を所管する国に働きかけてまいります。
次に、地下空間浸水対策ガイドラインについてでございます。
激甚化する豪雨への備えといたしまして、浸水リスクの高い地下空間で対策を強化していくことは重要でございます。今年度立ち上げました検討委員会では、浸水実績や洪水ハザードマップの分析による対応策について、また、地元自治体や施設管理者等の役割の明確化などについて議論をしております。
一部の大規模地下街等におきましては、AI等を活用した浸水時の避難計画や、地元自治体からの避難情報を踏まえたタイムラインの作成などを検討してまいります。
今後は、本年八月までにガイドラインを改定いたしまして、地元自治体の地域防災計画へ反映するなど、地下街を利用する都民等の安全性向上につなげてまいります。
〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕
○子供政策連携室長(田中愛子君) 学生等の通学費についてでございますが、学生等が安心して学ぶことができる環境を確保していくことは重要でございます。
一方で、バスの運賃や通学定期購入者への割引は、交通事業者それぞれの経営判断により設定されており、国や自治体等により、家庭の経済状況や通学距離等を勘案した通学費への支援もなされております。
こうした状況を踏まえ、学生等の通学費に係る現状と課題について、国や交通事業者などと共に整理する必要があるものと認識しております。
〔デジタルサービス局長高野克己君登壇〕
○デジタルサービス局長(高野克己君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、東京アプリの利用に向けた高齢者支援についてでございますが、より多くの方々にアプリを使っていただくためには、様々な場面に応じた支援を行うことが重要でございます。
都は、アプリに対応したスマホを初めて購入する高齢者を対象に、三万円を上限として、本人認証等の機能を備えた機種の購入費を助成する区市町村を支援いたします。さらに、円滑なアプリ登録や助成の申請ができるよう、購入店舗がワンストップでサポートする体制を整えてまいります。
また、つながるキャンペーンの実施に合わせてコールセンター機能を拡充し、デジタルに不慣れな方からの様々な問合せにも対応してまいります。
こうした取組により、都民が利用しやすい環境を整え、アプリの一層の普及につなげてまいります。
次に、障害等を抱える方のアプリの利用についてでございます。
誰一人取り残されず、多くの都民が東京アプリを通じて快適なサービスを受けられることが重要でございます。
都は、区市町村と連携し、視覚や聴覚に障害のある方を対象としたスマホ教室を通じて、東京アプリの使い方を学べる機会を提供いたします。
また、スマホの利用が困難な知的障害等を抱える方につきましては、ご家族などが代理で手続等を行う必要がございます。その際、本人との関係性に関して、なりすまし防止等の観点から、厳格な確認が必要となるなどの課題がございますため、都といたしましては、誰もが使いやすいアプリの構築に向け、制度運用面や技術面などから検討を進めてまいります。
〔水道局長山口真君登壇〕
○水道局長(山口真君) 水道の基本料金無償措置に関するご質問にお答えいたします。
水道事業は、独立採算制及び受益者負担を原則としておりまして、施設の維持管理、更新をはじめ、サービスを適切に提供するために必要な経費を、利用者に料金として応分の負担をしていただくことにより成り立っております。
今回の措置は、物価高騰やこの夏の猛暑の予想を踏まえ、都民の命と健康と暮らしを守るため、一般会計からの補填を受け、水道の基本料金を無償とするものでございます。
お話しの、水道料金を単純に一〇%引き下げるようなことは、この夏に限り臨時的に行う今回の措置とは異なりまして、水道事業に必要な費用が賄われなくなることにつながり、公営企業の原則と相入れないものでございます。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業の賃上げについてでございます。
中小企業が生産性の向上や高付加価値化を図り、収益を確保することで事業を発展させ、持続的な賃金の引上げにつなげることは重要でございます。そのため、都は、専用の相談窓口で、賃上げに必要な経営の分析や社内規定の整備などを助言するほか、DXの専門家が企業を巡回し、最新の設備やシステムの提案から導入後のフォローまでを一貫してサポートしております。
また、提案の実現に必要な機器等を導入する際に手厚い助成を行っており、着実に申請事業者の計画的な賃上げにつなげております。
今後は、業種別の取組事例を分析いたしまして、ノウハウを分かりやすく発信することで、中小企業のさらなる賃上げを後押ししてまいります。
次に、中小企業の酷暑対策の推進についてでございます。
労働環境整備や省エネへの取組の後押しは重要でございます。
都は、テレワークを推進する事業におきまして、屋外現場から会社にデジタル機器で業務報告する取組も対象にいたしております。この事業では、テレワークに要する経費に合わせて、猛暑時の屋外作業用に電動ファン付ウエア等を貸与する取組に係る費用も、今年度新たに支援いたします。
省エネ設備の導入等の支援事業では、除湿効果のある高効率空調設備に加え、新たに温度変動を抑える遮熱シートの更新への補助も行います。今後、区市町村等とも連携し、設備の導入事例などを広く速やかに周知いたします。
これらによりまして、暑さ対策を含みます職場環境改善と省エネの取組を推進してまいります。
次に、建設や建築を担う人材の支援についてでございます。
建設や建築分野の中小企業で働く人のキャリアアップを支援するとともに、従業員の定着につながる職場環境づくりを後押しすることは重要でございます。
都は、職業能力開発センターの在職者向け訓練で、現場の施工管理などに必要な資格取得や建築用CADの技能習得を後押しするほか、今年度はオンラインによる建築士の受験対策を開始するなど、担い手の育成に努めております。
また、社員の定着等に向け、資格手当の導入など、資格の取得や活用に資する制度の整備を行う企業に最大四十万円の奨励金を支給する取組を七月から開始いたします。
これらによりまして、中小企業の人材育成を着実に支援いたします。
最後に、奨学金返還の負担軽減による人材確保についてでございます。
中小の建設、IT、ものづくり分野の企業が、学生を将来の技術面の中核人材として採用し、定着を図る上で、奨学金の返還の負担を減らす支援は効果的でございます。
都はこれまで、企業や学生等への周知や要件の見直しを行うことで利用の促進を図り、令和四年の募集開始以来、百八十名を超える採用、内定につなげております。
労働市場では、三十歳前後において転職等による人材の流動性が高まっており、中小企業の若手人材の採用では、三十代前半を対象とする求人も多い状況を確認しております。
こうした状況を踏まえた対応を行い、中小企業の中核人材の獲得を後押ししてまいります。
〔財務局長山下聡君登壇〕
○財務局長(山下聡君) 公共工事での酷暑対策に関するご質問にお答えいたします。
屋外での長時間作業を伴うなど、熱中症のリスクを抱えている工事現場におきましては、WBGT値に応じた対策の実施が重要でございます。このため、WBGT値を計測する機器を当初から工事費に含め、その設置を工事現場に求めるとともに、計測値が三十一以上の場合は、現場の状況を踏まえ、作業の一時的な中止を含めた検討を行うなど、適切な対策を実施するよう監督員から受注者に助言を行ってまいります。
あわせまして、ウエアラブル機器や電動ファン付ウエア等の対策及び工期変更に伴う経費につきましても、受注者の要請に対応するなど、暑さ対策の取組の実効性を高めてまいります。
〔福祉局長高崎秀之君登壇〕
○福祉局長(高崎秀之君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、障害福祉の訪問系サービスの暑さ対策についてでございますが、障害者の訪問系サービスの安定的な提供を支える人材を確保するためには、事業者において、熱中症予防など職場環境の整備を行うことが重要でございます。
訪問系サービスには、視覚障害者への外出のための支援や、行動障害等のある方に対する危険回避のための同行支援など、利用者とともに外出するサービスがあり、障害特性に応じて様々な配慮をしながら提供されております。
訪問系サービスにおける暑さの対応につきましては、今後、事業者へのヒアリングなどを通じて実態把握に努めてまいります。
次に、介護老人保健施設への支援についてでございますが、介護老人保健施設は、高齢者が病院から在宅生活へと復帰する拠点として、地域包括ケアシステムに不可欠な施設でございます。
都は、建築費高騰に対応するため、大規模改修などに関する補助に物価スライド方式を導入するとともに、今年度からは、入所者を一時的に移転させつつ、建物の構造部分を残して全面的な改良を行う工事に対する補助や、老朽化した空調設備の更新に特化した補助を新設しておりまして、これらの支援策が各施設で一層活用されるよう努めてまいります。あわせて、老朽化の状況や今後の改修の予定など、現場の実情を調査してまいります。
最後に、シルバーパスの一斉更新についてでございますが、シルバーパスの一斉更新は、新型コロナを契機に令和二年度から郵送方式を導入しまして、昨年度からは、利用者負担額が千円の方へ所得額の確認を再開いたしました。
今年度は、更新案内などを分かりやすく刷新するとともに、コールセンターの回線数拡充や時間の延長を行うほか、手続に不安を抱える方に対応するため、都内郵便局五十五か所にて対面相談を行います。
また、マイナポータルと連携して所得額を確認し、スマートフォンで申請できる方式を導入いたします。
利用者が一層円滑に更新手続を行えるよう、こうした取組を進めてまいります。
〔保健医療局長山田忠輝君登壇〕
○保健医療局長(山田忠輝君) 小児インフルエンザワクチン接種に関するご質問にお答えいたします。
都は昨年度より、子育て支援の観点から、注射による二回接種が必要な十三歳未満の自己負担額が、一回接種の十三歳以上と同程度になるよう、注射による接種費用を助成する区市町村への補助を行っております。
昨年十月から流通が始まりました経鼻ワクチンについて、独自に接種費用を助成した六自治体への調査では、経鼻ワクチンを選択した方は接種者の約一割未満であり、そのうちの多くが十三歳未満でございました。また、注射に比べて親子ともに接種への負担感が減少したなどの声がありました。
都は、こうした自治体や医療機関の状況、ワクチンの供給見込みなどを踏まえ対応を検討してまいります。
〔住宅政策本部長山崎弘人君登壇〕
○住宅政策本部長(山崎弘人君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都営住宅におけるカメラ付インターホンの設置についてでございますが、都は、本年七月から順次、玄関までの移動や対面での対応が困難な身体状況にある要介護三以上及び聴覚、肢体不自由の身体障害者手帳四級以上の居住者を対象として、カメラ付インターホンを設置し、機器の仕様や設置方法、費用対効果等を検討して、課題整理を行う調査に取り組んでまいります。
次に、ごみ置場等への防犯カメラの設置についてでございますが、都営住宅の安全性を確保していくことは重要でございます。
都はこれまで、ごみ置場や駐輪場の整備に当たり、周囲からの見通しをよくすることで防犯性を確保しております。また、防犯カメラにつきましては、自治会等が共用部の日常管理として都の承認を受け、地元自治体の補助を活用するなどして設置しております。
今後、防犯カメラが設置されていない団地に関し、プライバシー保護や居住者の合意形成、経費負担などの課題を含め、都として自治会等へのヒアリングを行うなど、実態を把握してまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 河川における水害対策についてでございますが、豪雨から都民の命と暮らしを守るためには、ハード、ソフト両面から効果的に対策を進めることが重要でございます。
ハード対策では、豪雨に大きな効果を発揮する調節池の整備を推進しておりまして、昨年八月の台風十号の際には、十一か所の調節池で洪水を取水し、下流の水位を低下させました。現在、八か所で工事を進めており、このうち境川木曽東調節池では、本年秋に取水を開始いたします。
ソフト対策では、百七十四か所で河川監視カメラの映像を公開しておりまして、今年度十五か所増設いたします。また、水位周知河川の指定拡大など、避難につながる情報発信を充実させてまいります。
こうした取組によりまして、豪雨に対する安全性を高めてまいります。
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