令和六年東京都議会会議録第十六号〔速報版〕

  午後一時開議

○議長(宇田川聡史君) これより本日の会議を開きます。

○議長(宇田川聡史君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(宇田川聡史君) 謹んでご報告申し上げます。
 名誉都民堀田力氏は、去る十一月二十四日、逝去されました。誠に哀悼痛惜の念に堪えません。
 ここに生前のご功績をたたえるとともに、故人のご冥福をお祈りし、議会として深甚なる弔意を表します。

○議長(宇田川聡史君) 次に、知事より、第二百七十三号議案の訂正の申出がありましたので、議事部長をして報告いたさせます。
   〔小河原議事部長朗読〕
一、議案の訂正について
(速報においては公文省略)

○議長(宇田川聡史君) 本件は、議長において、十二月四日付をもって訂正を許可いたしました。

○議長(宇田川聡史君) これより質問に入ります。
 百十二番松田康将君。
   〔百十二番松田康将君登壇〕

○百十二番(松田康将君) 都議会自由民主党を代表して質問をいたします。
 去る十一月十五日、三笠宮崇仁親王妃百合子殿下が薨去されました。謹んで哀悼の意を表しますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 また、去る十一月二十四日には、東京都名誉都民であられます堀田力さんが逝去されました。謹んで哀悼の意を表しますとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 首都直下地震、激甚化する風水害、富士山噴火など、切迫する自然災害への対策、コロナ感染症への備え、凶悪化する犯罪への対策など、都民の安全・安心を守る取組は喫緊の課題です。同時に、物価高騰対策、働き方改革の対応など、課題は山積をしております。
 第四回定例会は、来年度予算につながる定例会であり、都議会自民党は、来年度予算編成に向けて、都民生活の向上、東京の発展のため、本日の質疑を行ってまいります。
 我が国が世界に伍して成長していくためには、社会を変革するイノベーションを起こす必要があり、全国の政令指定都市をはじめ各都市でもスタートアップ支援が進められております。共存共栄の観点から、オールジャパンでの取組が必要であります。
 TIBは様々な関係者の結節点を目指していますが、開設から一周年を迎えた今、その機能をさらに強化し、まさに全国各地をつなぐ結節点とするべきであります。
 昨日もこのTIBで、さきの代表質問でただした福島県の実証フィールド等で研究開発に取り組むスタートアップによるビジネスマッチングイベントが早速開催をされ、大企業やベンチャーキャピタルなどをはじめ多くの関係者が集まり、大変盛況だったと聞いております。
 こうした動きを拡大することが日本経済全体の成長につながり、ひいては豊かな都民生活や都内経済の発展にもつながります。
 東京は、企業、大学などが集積する強みを生かし、オールジャパンの視点に立って、イノベーションの創出につなげていくべきですが、知事の見解を伺います。
 先日、東京都は、東京都AI戦略会議を設置し、日本のAI界をリードする専門家たちによる議論を開始いたしました。多角的に大変有意義な意見が交わされており、都民サービスの向上につながる、都ならではの戦略策定に大いに期待するところであります。
 AI戦略会議の議論において、都の目指す方向性の一番目として、行政活用のジャパン・モデルを目指すとの構想が示されました。これは、令和六年第三回定例会で示した東京と地方の共存共栄に向けたDXの推進という我が党の主張にも沿うものであります。
 都は、第一歩として、都庁内業務での生成AIをGovTech東京と共に進めることを明らかにいたしましたが、その成果は他の自治体にも横展開できるように取り組むべきですが、見解を伺います。
 次に、区市町村の基幹業務システムの標準化についてお伺いをいたします。
 都民サービスを支える税、福祉の二十の基幹業務システムの標準化については、令和七年度までの一律の移行期間設定により、事業者のリソースが逼迫し、期限には間に合わない自治体も増加をしてきております。区市町村の置かれた状況を真摯に受け止め、前向きな反応を得られたとのことであり、標準化を取り巻く区市町村の状況が改善されることを期待いたします。
 都は、安全第一の標準化の実現に向け、これまでに得られた区市町村支援のノウハウや現場の意見なども踏まえ、取組を一層強化すべきと考えますが、その見解を伺います。
 我が会派はこれまでも、5GやWi-Fiなど、様々な通信手段で災害時にも耐え得る通信環境の確保を主張してまいりました。
 昨年東京都は、「つながる東京」展開方針を発表し、二〇三〇年を見据えた整備を進めるとしており、公衆Wi-Fiについては、セキュリティが確保され、利便性の高いオープンローミング対応Wi-Fiを都有施設に整備をしてまいりました。
 一方で、医療機関のように、民間施設であっても、都民生活や生命、財産という観点から通信のニーズや重要度が高い施設があり、そのような施設への支援が欠かせません。有事における都民の生命、財産を守る病院は、最優先で整備するべきでありますが、強靱な通信環境が整っていないのが現状であります。
 こうした病院をはじめとする災害時に重要となる官民の施設に対して、強固な通信環境を整備するべきと考えますが、都の見解を伺います。
 自動運転技術は世界各国で進化をし、ドライバーの運転をシステムが支援するレベル2はもとより、無人で運行するレベル4のタクシーの実用化が、アメリカや中国などでは急速に進んでおります。
 このような技術をバスなどの公共交通にも取り入れることによって、深刻化する運転手不足への対応など、社会的課題の解決が期待できます。
 都も積極的に自動運転の取組を進めており、杉並区、多摩市、瑞穂町などのレベル2のバスの運行や、ロードマップに基づいて、二〇二六年度から、レベル4社会実装を見据えた民間事業者の取組を、青海、お台場、有明など、ベイエリアの推進区域内で支援をしていると聞いております。
 自動運転の実装をより加速させていくために、都としてどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 既に首都圏の路線バスでは、乗務員不足による減便が相次いでおります。都心部での自動運転バスの実装には、交通量が多いことなどの課題もある中、路線バス事業を将来にわたり安定的に継続させるため、事業者においては、足元の乗務員確保に取り組むとともに、長期的な視点に立って、ノウハウを生かして自動運転の技術開発に積極的に関与することが重要です。
 都営バスにおいても、人材の確保はもとより、これまで以上に自動運転の実現に向けて取り組むべきと考えますが、その見解を伺います。
 都議会自民党は、東京を世界一の都市とするため、7up!TOKYOプロジェクトの中で、百年先も安心な東京の実現に取り組んでおります。このプロジェクトにおいて、いつ発生してもおかしくない首都直下地震、風水害や火山噴火等の危機に備え、都市の強靱化を加速し、防災力を上げることを第一に掲げております。
 都は、東日本大震災以降、防災対策を進めてきたことで、令和四年の被害想定では、建物の全壊棟数は十二万棟から八万棟、焼失棟数が二十万棟から十二万棟に減少しました。
 都の掲げるTOKYO強靱化プロジェクトは、さらなる減災に向けた取組をより強力に進めていくものであります。プロジェクトの推進に当たっては、都内各自治体との連携が不可欠でありますが、我が会派が調査を行ったところ、都内区市町村議会などでTOKYO強靱化プロジェクトを踏まえて議論が進んでいる自治体もあれば、そうではない自治体もあり、取組に格差が生じているように見えます。
 各自治体の実情やニーズを酌み取りながら取組を進めるべきですが、今後、区市町村とどのように連携をしていくのか、都の見解を伺います。
 同時に、都の防災力を高めていくためには、防災都市づくり推進計画に基づいての対策の加速化を図ることが重要です。そのためには、区市などの地元自治体の取組が着実に推進されることが不可欠です。
 また、木密地域に広がる東京の市街地の特性で、いざというときに一か所でも道路が閉塞をしてしまえば、全体の救助や復旧に影響が出かねません。
 首都直下地震など、具体的な被害に対する取組が遅れている地域の対策を進めるためには、なぜ進まないか地元区や地元住民にしっかり認識をしていただき、さらに考えていただき、なぜ強靱化が必要なのか、なぜ防災都市づくりが必要なのか、共通認識を得ない限り、これまでどおり何も変わりません。
 地域住民に震災のリスクと防災都市づくりの重要性をしっかりと認識をしていただき、都との連携を促すことが必要であり、効果的と考えますが、その見解を伺います。
 年始に発生した能登半島地震においては、被害の大きかった地域につながる主要道路が寸断をされ、救助活動や物資輸送が滞る要因となりました。さらには、水道管の損傷などにより、消火用水の確保が困難となり、火災への対応に苦慮されたそうです。加えて、倒壊家屋が多数存在し、危険な状況下で消防、警察、自衛隊の方々が活動されていたと聞いております。
 首都直下地震が発生した際、都内においても、ビルの倒壊、あるいは土砂崩れの影響等により、孤立地域が生まれるリスクは同様と考えます。
 そこで、東京消防庁の今後の震災対策についてお伺いをします。
 近年は、全国各地で甚大な被害をもたらす豪雨が発生しており、都内でも、本年夏に台風や、例年を上回る頻度で局地的な集中豪雨が発生し、いつ大規模な水害が起きてもおかしくない状況であります。
 また、低地河川が流れ、人口、資産が多く集積をしている東部低地帯は、一たび大規模な高潮が発生をすると、広範囲で長時間の浸水による被害が想定をされます。
 都は、昨年度は、石神井川上流地下調節池の工事に着手するなど、これまで護岸や調節池、防潮堤や水門等の整備を進め、豪雨や台風時に大きな効果を発揮させてきました。
 こうしたハード施設は、地域の安全性が向上することから、住民は施設の早期完成を望んでいる一方で、大規模な工事には時間を要し、生活への影響も懸念されるため、より一層丁寧な対応が重要であります。
 そこで、将来の気候変動により激甚化、頻発化する風水害に対して、河川施設の整備を推進することが重要と考えますが、都の見解を伺います。
 水道局は、震災などによる大規模な停電時においても安定的に給水が確保できるよう、浄水場における自家用発電設備の整備を推進してまいりました。
 しかし、高度浄水処理が導入されており、継続的な電力供給が必要な浄水場に設置を進めている常用発電設備は、大型のエンジンやタービン等で構成されることから、騒音、振動等による周囲への影響に配慮した施設が必要であります。
 世界的な半導体不足等の影響もあり、事業の長期化や費用の増加傾向も見られると聞いております。近年の豪雨発生に伴い、落雷も頻発するなど、震災に加え、停電への懸念が一層高まっている状況を踏まえれば、課題の解決に向け、常用発電設備以外の手法も検討すべきと考えます。
 そこで、浄水場におけるより効率的な停電対策について伺います。
 次に、下水道事業における震災対策について伺います。
 能登半島地震では、下水道管が損傷するといった被害が発生し、避難所等で生活用水が排水できない状況に陥りました。また、液状化により多くのマンホールが浮上し、車両の通行が妨げられるなど、交通機能が阻害され、復旧活動の支障となりました。
 首都直下地震が起こり、能登半島地震のように下水道管で被害が発生すれば、大きな影響を及ぼすこととなります。
 東京都では、避難所など、震災時に人が集まる施設などで下水道管の耐震化を実施してきていますが、首都直下地震に備え、下水道管の震災対策をより一層推進すべきと考えます。現在の進捗と今後の取組について伺います。
 ホームドアは、駅ホームの安全性を高めるのに有効な施設です。都内の地下鉄全体は来年度には整備が完了する一方で、JRや私鉄は現状では三五%にすぎません。
 首都圏の鉄道は、地下鉄やJR、私鉄が相互に乗り入れ、正確無比な運行で世界に誇る交通ネットワークを形成しておりますが、ホームドアの設置により、駅での事故を防ぐためにも一層整備を推進することは重要です。
 しかし、沿線の区市からは、加速が急務とされていますが、整備費用が高額であり、都と協調して補助するに当たり、負担が大きいとの声もあります。
 都は、本年八月に、官民一体の協議会を設置いたしました。さきの第三回定例会では、八月に開催をした第一回協議会での意見などを踏まえ、効率的な事業推進につながるよう、今後、官民が一体となって知恵を出し合い、加速策を検討し、整備効果を最大限発揮できるよう取組を進めていくことが示されました。
 中央線や埼京線など、JRや私鉄における未整備駅が多い路線の整備加速に向けた、これまでの検討状況と今後の取組について伺います。
 次に、災害時における地域内での連携について伺います。
 都は今年度から、マンションと連携をして防災訓練を行う町会を支援する事業を開始いたしました。しかしながら、マンション側には、防災用品を購入する補助がある一方、町会側にはメリットが少ないという声も聞かれます。この取組でできた町会とマンションの関係が続くような工夫も必要だと考えますが、都の見解を伺います。
 在宅医療については、災害発生時、自宅にいる患者への医療提供をどのように継続するかが課題となります。また、在宅療養患者には、訪問診療を行う診療所や訪問看護ステーションなど、様々な職種の複数の機関が関係しています。
 災害により診療機能が制限される中でも、地域の関係機関が連携する体制を構築し、在宅療養患者の安全確保や在宅医療提供の継続を図っていく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 次に、働く方の猛暑対策について伺います。
 気象庁によれば、今年の夏の全国の平均気温は平年に比べて一・七六度高く、これまで一番高かった昨年と並び、最も暑い夏となりました。これに伴い、本年五月に熱中症で救急搬送された方は全国で約九万八千人となり、こちらも過去最多となっております。
 一部の企業では、猛暑対策として在宅勤務を推奨するなど、テレワークをBCP対策として積極活用する動きも見られ、テレワークを推進する都の立場からは望ましい傾向といえますが、こうした対応の多くはIT企業や事務職に限定をされています。
 総務省消防庁の調査によれば、熱中症の約一割は道路工事現場や工場などの仕事場で発生しており、例えば空調服、水冷服、冷蔵服の導入を図るなど、テレワークができない現場作業員を多く抱える企業への支援が必要だと考えます。
 都は、猛暑対策としてのテレワークを積極的に進めつつ、どのような気候でも現場に出ざるを得ない労働者のいる企業についても対応を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 防犯カメラは、その整備を契機に、地域の見守り活動の活性化や地域防犯力の向上に大きく貢献するものであるとして、我が会派としてもその設置促進に尽力をしてまいりました。
 東京都は、令和六年度予算において、町会、自治会等の防犯カメラ設置補助率の引上げを計上しております。地域における防犯力の向上のためにも、町会、自治会等の負担軽減は重要であります。
 全国でいわゆるヤミバイト強盗が相次ぎ発生をしております。都は今年度、防犯カメラの設置補助の充実を図りましたが、こうした緊急事態にあっては、防犯カメラの設置をはじめとする地域の見守り活動への支援をさらに一層充実させるべきと考えますが、その見解を伺います。
 多摩地域は、豊かな自然、歴史や文化、大学や産業、人材の集積といった多くの魅力を有する一方で、少子高齢化や人口減少、過疎化、そしてニュータウンの再生といった課題にも直面をしております。
 こうした課題を踏まえ、都は本年一月に多摩のまちづくり戦略の素案をまとめ、魅力的な多摩地域を実現するための具体的な取組を提示いたしました。
 一方で、気候変動の影響による災害リスクの増大、AIや自動運転等の新たな技術の進展など、社会は急速に変化をしております。
 これらの課題に対処するために、二〇四〇年代はもとより、その先の将来も見据えて地域ごとの可能性を最大限に引き出すための戦略を早急に策定し、実行に移すことが不可欠であります。
 そこで、今後、多摩地域のまちづくりをどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 四百二十万人の人口を擁し、にぎわいと活気のあふれる多摩の実現に向けては、道路整備は都市活動や都民生活を支える重要な都市基盤であります。多摩地域の持続的発展のため、都市の骨格を形成する幹線道路の整備が不可欠ですが、都の見解を伺います。
 我が会派は、平成二十八年第一回定例会の代表質問で、旧立川政府倉庫を取得する際には、広域的な防災力を高めていく施設として積極的に活用することが不可欠と主張をいたしました。都は、現在、この旧立川政府倉庫を多摩広域防災倉庫として活用し、立川地域防災センターとともに、多摩地域の防災拠点として運用をしております。
 先般、これらの施設について、新たな防災拠点の整備に向けた基本構想を公表しましたが、どのような防災拠点としていくのか、知事の見解を伺います。
 先月、厚生労働省が発表した人口動態統計によると、我が国の本年一月から六月までの出生数は前年比六・三%減の三十三万人にとどまっており、令和四年に八十万人を割り込んでから、僅か二年で七十万人を割る可能性が高い状況であり、少子化の進行に歯止めがかかっておりません。
 生産年齢人口の減少につながる少子化の進行は、我が国の経済を牽引する東京の活力が損なわれるだけでなく、国全体の社会経済基盤の存続にも悪影響を及ぼすおそれがあります。
 そして、東京の人口移動をひもとくと、二十代は転入超過でありますが、三十代、四十代の働き盛りの方々の転出超過が続いています。とりわけ、都県境を接する、埼玉、千葉、神奈川の三県へ、令和元年からの五年間で二十代は約六万人流入超過をしているのに対して、子育て世代でもある三十代、四十代が約七万人流出超過をしていることに強い危機感を持っています。
 都はこの間、国に先駆け〇一八サポートをはじめ、第二子以降の保育料無償化、乳幼児から高校生までを対象とする医療費助成、高校授業料の実質無償化に取り組み、我が会派の試算では、これら全てを受けた場合、子供一人当たり約五百万円相当の、もう一度いいます、ゼロ歳から十八歳まで約五百万円相当の支援となるなど、南関東三県では実施されていないような、子育て家庭や子供に対する様々な支援策を講じてまいりました。
 しかしながら、都のこうした支援についての情報が、子育て世代や、今後子供を持ちたいと考えている方に対してまだまだ十分に届いていないと考えます。
 東京都の調査によると、子育て世代においては、東京都の子育て施策が充実していると思う、やや思うと答えた人が約六割であったのに対して、未婚、若年世代では約三割にとどまっております。これまで積み上げてきた都の手厚い支援策を知ってもらうとともに、この歩みを止めることなく、さらなる子育て支援策を講じていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京都は今年度、社会的養育推進計画を見直し、新たな計画を策定に向けて議論を進めており、また、一時保護条例の制定も予定されていると聞いております。
 社会的養育推進計画においては、計画全体を貫く共通の考え方として、家庭養育優先原則やパーマネンシー保障を掲げており、子供たちが家庭的な環境で健やかに育つことを目指すとしております。
 一方で、児童虐待により、一時保護を必要とする児童は増加の一途をたどっており、一時保護所が担う役割はますます大きくなっております。
 現在、都においては、トー横など大都市特有のケースやケアニーズが高く、個別支援が必要な児童の一時保護が増加しており、受け入れる児童の状況は一層多様化、複雑化をしていることから、さらなる体制強化が必要と考えます。
 今後、都として一時保護所の体制強化をどのように進めていくのか、都の見解を伺います。
 東京都における年間離婚件数は近年減少してきているものの、依然として多くの母子家庭や父子家庭が存在をしております。
 ひとり親家庭をめぐっては、本年五月、離婚後も父と母の双方が子供の親権を持つ共同親権の導入を柱とした民法改正が行われました。
 令和八年五月までに施行される新たな制度にも対応しながら、ひとり親ならではの悩みや子育ての不安などに寄り添い、自立に向けた支援を行っていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 高齢化の進展により在宅医療のニーズは増大をしていますが、都が令和五年二月に公表した保健医療に関する世論調査によりますと、長期療養が必要な場合に、自宅で療養を続けたいと思わない都民が三六%、自宅で療養を続けたいと思う都民のうち実現が難しいと思う都民は五八%となっており、自宅療養中に容態が急変した場合の不安や、同居する家族に負担がかかることを理由に、在宅療養の希望がかなわないと考える都民が多いという課題があります。
 安心して在宅療養できる環境の整備が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 都はこれまで、区市町村と連携をし、経済的支援に加え、相談支援や産後ケア事業など、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援を実施してまいりました。
 経済支援については、国の交付金も活用し、妊婦などに育児用品などを提供していますが、国は来年度から、区市町村を主体とする現金支給を原則にすると聞いており、区市町村の事務負担の軽減に向けて都の事業を再構築するべきと考えます。
 あわせて、子育て家庭への支援をさらに充実すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 知事の公約でもある保育料の第一子無償化は、都民の期待も大きいですが、第三回定例会でも指摘をしたとおり、区市町村や関係団体等が円滑に事業を実施できるよう取組を進めるべきであります。第一子保育料無償化につきましては、都民の要望に応え、できる限り速やかに実施すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 保育所の施設長は、様々な保育サービスの検討、実施や保護者へのきめ細やかな対応、保育士等の職員の人事や福利厚生など、多種多様な業務を行っています。こうした中、様々な補助金申請書や記録書類の作成、会計処理などの事務も増加傾向にあり、施設長の業務が逼迫をしています。
 保育所に通う子供たちが、安心・安全な環境の中でより健全な心身の発達が図られるよう、施設長の事務負担を軽減することが必要と考えますが、都の見解を伺います。
 高齢者の外出を促し、健康の保持に寄与するシルバーパスは、都営無料乗車券制度開始から半世紀が経過をし、この間、高齢者の雇用や収入の状況、地域の交通事情等が変化をしています。
 小池知事も公約でシルバーパスの改善を掲げていらっしゃいますが、今後も高齢化が進む中で制度を持続可能なものとしつつ、より多くの方が利用しやすい新しい時代のシルバーパスに充実、改善していく必要があります。
 例えば、近年、キャッシュレス化への進展に伴い、電車やバスの利用時に多くの方が利用しているICカードについて、利便性を向上する観点からシルバーパスにも導入すべきと考えます。知事の所見を伺います。
 国は、経済財政運営と改革の基本方針二〇二四において、医師偏在是正対応を盛り込み、年末には総合的な対策パッケージとして取りまとめるとのことであります。
 また、一部の新聞報道では、診療所不足の地域では診療報酬単価を上げ、過剰な地域では下げるといった考え方が報じられています。
 国は、医師偏在指標に基づき、機械的に上位三分の一を医師多数県、そして、下位三分の一を医師少数県とし、都は全国一位の医師多数県として国から位置づけをされています。
 パッケージ案の一つに、医師多数県の病院の臨床研修医が、医師少数県の病院でも半年以上研修をする広域連携型プログラムを、令和八年度から導入する方針が示されています。
 国は、当該プログラムによって医師少数区域等の現場を経験できる機会の充実などを挙げていますが、都を含めた医師多数県では、その間、都県内で従事する医師の減少につながることとなります。
 都は決して医師が充足しているわけではないと考えますが、都の見解を伺います。
 物価高騰が続く中、医療機関は大きな影響を受けています。
 そもそも東京は、地方と比べて用地費や人件費等のコストが高く、都内の一般病院は半数以上が赤字となっています。実際に老朽化による建て替えが困難で、二次救急病院が診療を休止するケースが生じています。
 建築資材の高騰が、都民の安全・安心を守るべく地域医療に影響を及ぼすような事態が起こり始めています。
 また、救急の現場では、二十四時間対応のため医師や看護師等の負担が大きいことから、診療体制が維持できず、救急医療からの撤退や縮小の声も聞かれます。
 都民の命を守るべく、医療が崩壊することがないよう、都として病院の建て替えや救急医療に対する支援など、地域医療を守るための対策を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 高齢化の進展等に対応しながら、都民によりよい医療サービスを提供するため、医療機関が必要な情報を効率的に共有できるネットワークの構築が重要であり、そのためには、各医療機関に電子カルテの導入を進めることが不可欠です。
 国は、昨年六月、医療DXの推進に関する工程表を取りまとめ、遅くとも二〇三〇年には、おおむね全ての医療機関に必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテの導入を目指すとしていますが、二〇三〇年までにはあと六年しかありません。
 そこで、電子カルテ導入のさらなる推進に向けて医療機関への支援を拡充すべきと考えますが、都の見解を求めます。
 知事は、所信で、女性の活躍の輪を広げるプロジェクト、Women in Action、WAを始めるとして、まずは隗より始めよで、都庁におけるフレックスタイム制を活用した週休三日など、より柔軟な働き方を可能とする制度を来年度から導入すると表明をされました。
 女性活躍は、知事の公約であり、現在、条例制定に向けた検討が進められております。
 こうした中、とりわけ重要なのが女性特有の健康課題であります。
 月経随伴症、更年期症状、婦人科がん、不妊治療など、性差による特有の健康課題が存在することで、経済損失は社会全体で年間三・四兆円にも上ると見込まれております。
 働く女性の割合が年々増え、その役割がますます増加する中、健康づくりへの取組を推進することは、健康面だけではなく、社会の成長にもつながる鍵となります。
 そこで、さらなる女性活躍を進める上でどう取り組んでいくのか、女性活躍を所管する松本明子副知事の見解を伺います。
 次に、フロン対策の推進について伺います。
 冷凍冷蔵機器や空調等の冷媒として多く活用されているフロンは、二酸化炭素の約十倍、数十倍から一万倍以上の温室効果があることから、都は、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向け、二〇三〇年までに都内フロン排出量を二〇一四年比で六五%削減することとしています。
 都内では、六十万を超える事業所の空調設備や数十万台規模の業務用冷凍冷蔵設備が設置をされています。こうした機器からのフロン漏えいによって、二〇二二年度の都内フロン排出量は、二〇一四年比で、逆に約六二%増加をしており、温室効果ガス総排出量の約一割にも及んでおります。
 いまだ減少傾向にないフロンは、直ちに抜本的な対策強化をするべきです。
 モントリオール議定書により世界で段階的な削減が進む中、都においてもフロン排出削減の切り札の一つとして、機器のノンフロン化や温室効果の低い冷媒の活用を推進していくことが重要です。
 フロン削減目標の達成に向け、どのように対策を強化していくのか、伺います。
 次世代型ソーラーセル、いわゆるペロブスカイト太陽電池は、薄くて軽くて折り曲げられるのが特徴で、設置箇所の大幅な拡大が期待できます。
 主な原料のヨウ素は国内で調達できることから、サプライチェーンを海外に依存する必要がなく、経済安全保障や人権の面からも普及すべきであります。
 一部企業によって来年から商用化される見込みですが、海外企業においても量産に向けた動きが見られるなど、国際競争が激化をしております。
 日本は、実用化の鍵となる耐久性や大型化などの点で海外企業をリードしており、技術的な優位性を確保しつつ、早期実用化と量産体制の構築を推進することが課題との声もあります。
 今後、民間企業による積極的な導入の後押しなど、さらなる取組を展開すべきですが、見解を伺います。
 我が党はこれまで、幾度となく、島しょ地域における再エネポテンシャルの活用について、特に洋上風力の導入に関して進言を行ってまいりました。
 国においても、洋上風力は再エネ主力電源化の切り札と位置づけ、一般海域に加え排他的経済水域、EEZへの導入拡大に向け、改正法案が国会に提出をされております。
 知事は、先日、COP29において、伊豆諸島の海域にギガワット級の浮体式洋上風力の導入を目指していく旨の発言をされました。仮に、一ギガワットとなれば原発一基分に相当する発電規模であり、都内で必要とされる膨大な電力を確保する上で大変有意義なものです。
 伊豆諸島の海域においてこの規模の洋上風力を導入するに当たっては、地元の理解や地域の発展が重要と考えますが、今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 都内の温室効果ガス排出量は減少傾向にありますが、脱炭素社会の実現に向けては、より一層の取組が必要な状況であります。
 脱炭素化の切り札の一つとなるのが水素であり、モビリティーの燃料としてだけでなく、幅広い分野でも活用が期待をされます。特に、再生可能エネルギーからつくるグリーン水素は、製造の過程でも二酸化炭素を排出しないため、カーボンニュートラルに大きく寄与するものであり、COP29でも、知事は水素の普及に向けた様々な取組について言及をされました。
 我が会派は、エネルギーの大消費地である都が自らグリーン水素の製造を行い、率先して普及拡大に取り組むべきとかねてから主張してまいりました。脱炭素化に向け、グリーン水素の普及をさらに強力に推し進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 企業等と連携をした自然環境の保全について伺います。
 都内に残された貴重な自然地である保全地域などでは、ボランティアなどによる保全活動が展開をされていますが、昨今の少子高齢化の進行などによって必要な人材が不足し、活動の継続が危ぶまれるといった声も聞かれます。
 一方で、近年、生物多様性を回復軌道に乗せるネーチャーポジティブが世界の潮流となっており、大企業を中心に、自然環境の保全に対する意識や行動に変化が見られます。
 企業活動は、水や森林などの自然の恵みに大きく依存しており、これらを適切に保全していくことが、自社ビジネスの持続的発展にも欠かせないという認識が広がっております。また、企業活動が自然に及ぼす影響を評価する国際的な枠組みが整い、自主的な開示も始まっております。
 こうした機運も捉え、企業をはじめ様々な主体と連携、協働しながら、自然環境の保全活動を支える人材育成に取り組んでいくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 近年、環境への配慮等から、建築物の木造、木質化が進むなど木材需要が増加しています。木材の利用を進め、森林循環を促進することは、緑を守る、育てる、生かす東京グリーンビズの取組を推進する上で重要です。
 また、都は、二〇三〇年に多摩産材取扱量三万六千立方メートルの目標を立てていますが、目標達成のためには、山林からの伐採量を増やすとともに、切った丸太を円滑に取引につなげることも重要です。
 先日、都議会自民党は、多摩木材センター、通称原木市場の競りを視察いたしましたが、高く積まれた丸太の山を目の当たりにし、山からの搬入量が増えたときに市場がボトルネックになる可能性を感じました。
 都は、多摩産材の取扱量を増加させるため、伐採量のさらなる増加や搬出した木材の円滑な流通に向けて取組を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 第三回定例会で、全国初のカスタマー・ハラスメント防止条例が全会一致で成立をし、大手企業やチェーン店では次々に対応方針が発表されるなど、カスタマーハラスメント防止の流れが広がりつつあります。
 一方、民間の調査によると、都内企業では七割が対策を講じていないことが指摘をされております。カスハラを放置することは、経営リスクになると分かっていても、なかなか手をつけられず、都のガイドラインを待ち望む声も聞かれます。
 都は、カスタマー・ハラスメント防止条例に基づく対策が、個社で対応することが難しい、規模の小さい事業者に対しても浸透するよう、業界団体や商工団体の取組を促すとともに、閉ざされた空間で顧客対応をするタクシーや、スタッフ一人で現場を取り仕切る小さな店舗においては、録音や録画など、業態に応じた効果的な防止対策が進むよう支援すべきですが、その見解を伺います。
 東京の産業を維持、発展させていくためには、独自の技術やサービスを持つ中小企業が確実に事業承継を進め、会社を成長させていく必要があります。ここ数年で後継者不在の企業は約半数にまで減少していますが、一方で、後継者の候補がいるとされる企業の中でも、実際の承継に当たっては多くの課題があります。
 経営者からは、後継者の育成が進んでおらずに承継に踏み切れないといった声や、後継者からは、会社の将来性に懸念があるといった声があり、お互いに不安を抱えていることも承継が進まない要因となっております。
 都内中小企業の事業承継を着実に進めるためには、後継者の育成はもとより、承継後の企業の成長をサポートできるよう支援を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 農業分野においても、円安等を背景にして、農作物を栽培するための肥料や堆肥などの資材価格が高止まりをしております。しかし、日々の生活に欠かせない農作物については、生産コストを価格に直ちに転嫁することは難しく、農業者の経営を圧迫しています。
 特に、パイプハウスに張るビニールは頻繁に使用する資材ですが、長引く価格高騰から張り替えをちゅうちょする農業者もおり、対策や支援を強く求める多くの声が聞かれています。
 都はこれまでも、東京農業を守るため、経営の安定化や収益力の向上のための様々な支援を行っていますが、現下の物価高騰に対応し、農業経営の安定化を図るさらなる対策に取り組むべきと考えますが、その見解を伺います。
 我が会派は、長引く物価高騰により、厳しい状況に直面している都民や事業者への支援について、以前から強く要望を実施しております。
 これを受けて、都は、令和六年第三回定例会において補正予算を編成し、燃料費の高騰により大きな影響を受けている運輸事業者に対して、燃料費の支援を実施しているところであります。
 本事業においては貸切バスは対象としておりませんが、貸切バスは、東京を訪れる観光客の移動や児童生徒の送迎を担うなど、都内の経済活動や安全確保などにおいて大きな役割を果たしています。燃料価格の高騰に直面している貸切バス事業者についても、他の事業者と同様に燃料費の支援を実施すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 市場業者への経営支援についてお伺いをさせていただきます。
 市場業者は、長く続いたコロナ禍を乗り越えた今も厳しい経営環境下に置かれていますが、生産年齢人口の減少や働き方に対する意識変化等を背景に、人材確保はとりわけ困難な状況にあります。
 我が会派は、これまでも、持続可能な市場運営のためには、取引を担う市場業者の人材確保は必要不可欠であると訴えてきました。それに対して、都は、令和六年度に中央卸売市場経営強靱化推進事業において、人材確保の支援制度を拡充しましたが、市場業者からは、人材不足の解消は道半ばであると聞いております。
 そこで、市場業者の人材確保の取組に対して、これまで以上に支援を講じていく必要があると考えますが、見解を伺います。
 我が会派は、これまで、将来に向けて市場施設の機能強化や計画的な維持更新をしっかりと行うべきと求めてまいりました。日々の市場施設の管理運営に当たっては、卸、仲卸業者など直接取引に関わる方だけではなく、警備や清掃など、取引を間接的に支える民間事業者の方との連携が不可欠であります。
 しかし、昨今は、人手不足の深刻化、人件費単価の増加が見られ、一部には入札不調も起こるなど、業務の安定的な継続が難しくなっている状況があると聞いております。
 そこで、デジタル技術が進展する中、労務環境等の変化を的確に捉え、将来を見据えて、市場施設の管理運営の在り方もしっかりと検討すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 四方を海に囲まれ、国際貿易により経済発展を遂げてきた我が国にとって、港湾は国力を支える重要な社会インフラであり、今後もその役割を果たしていく必要があります。
 世界の主要港がコンテナターミナルの整備を大胆に進め、DX、脱炭素化を積極的に進めている中で、東京港への投資が十分でなければ、東京港といえども主要なグローバルサプライチェーンから脱落をし、その結果、国民生活や日本経済への悪影響も免れません。
 先日、知事も、東京港の将来像を描き、戦略的にアップグレードをしていくと表明をされました。
 現在、都は、中央防波堤外側コンテナふ頭など、整備に取り組んでおりますが、国際物流網の中で、東京港が引き続き存在感を発揮していくためには、東京港の機能強化を戦略的に進めるべきと考えますが、知事の所見を伺います。
 次に、都立高校と都立大学の連携について伺います。
 現在、我が国は人口減少問題という最大の課題に直面しており、都立大学においても、大学としての教育研究力を高める一方で、学生から選ばれる大学となっていかなければなりません。
 都立大学は、グローバル人材やものづくり人材の育成などに取り組んでおり、都立高校と都立大学で共通する分野も増えております。都立大学が都立高校と連携することで、都立高校の魅力が高まるとともに、都立高校に通う意欲ある学生が都立大学に進学をすることにもつながり、シナジー効果が期待できるのではないでしょうか。
 今後、授業などによるさらなる交流や推薦枠の拡大など、都立大学と都立高校との連携をさらに強めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 将来の予測が困難な時代において、自らが社会のつくり手となり、課題解決を通じて持続可能な社会を維持発展させていくことが求められており、それには探究的な学習方法の活用が有益であります。
 都立高校同士がつながりながら取組を進めるという考え方も重要です。
 都立高校の探究学習の充実と都立高校同士の連携について、都教育委員会の見解を伺います。
 次に、都立工科高校の魅力向上について伺います。
 東京の地域経済を支えるものづくり人材を数多く輩出してきた工科高校においては、ここ数年来、志願者が伸び悩んでおります。
 都教育委員会は、我が会派の提案を受け、ものづくりの資格取得支援制度などを新たに開始するなど、魅力向上に向けた取組を行い、今年度の志願者は数年ぶりに増加するなど一定の成果を上げております。
 しかし、私立を含めた高校授業料の無償化に係る所得制限が今年度から撤廃をされ、進学先の選択の幅が広がるとともに、今後数年は増加する都内の中学生の卒業予定者数も、いずれは減少期を迎えることとなります。
 こうした状況を踏まえ、工科高校の魅力向上への取組をもう一段、二段、ギアを上げていく必要があります。
 先日の新聞報道では、アメリカでは、プログラミング教育を実施する非営利団体が州の教育機関などから支援を受け、高校を卒業した就業者に対して、アプリやウェブサイトのつくり方などの技能の学習支援を実施した結果、収入は入学前から二から四倍に増えたというミシシッピ州の事例が紹介をされていました。
 高校生の早期の段階からデジタルスキルを身につけることは、とても重要な取組であります。工科高校の生徒が社会に出て役立つものづくりの資格取得への後押しをさらに進めるとともに、プログラミングなど、デジタル技術にも対応できる力を涵養していくべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 なお、将来的には、新たな学科新設や都立大学とのさらなる連携も含め、検討を要望しておきます。
 不登校対策の一つとして、都教育委員会は、子供たちの居場所、学びの場として、インターネット上にバーチャルラーニングプラットフォームを構築し、令和四年度から都内の自治体に提供する支援を開始しております。
 現在提供されているものを拝見すると、二年前のものより画像の質が向上し、アバターの種類が増えるなど大幅に進化をしていました。また、渋谷区では、この空間に臨床心理士を配置して子供の心のケアを行っているそうですが、このように各自治体の創意工夫にも対応しています。
 そこで、不登校の児童生徒が増加している現状において、仮想空間を利用する自治体をさらに拡大していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会を契機として、都民のスポーツへの関心が高まり、いよいよ来年には東京で世界陸上とデフリンピックが開催をされ、スポーツに関心を持ち、実際にスポーツに親しむ都民が増えることが見込まれます。
 世界陸上では、代々木公園の陸上競技場、通称織田フィールドをウオームアップ会場として利用する計画であり、国際大会の使用にふさわしい競技場となるよう、現在改修が行われております。
 都立公園の陸上競技場は、こうした織田フィールドのような競技場から、学生や愛好家などが本格的に練習できる四百メートルのトラックを備えた競技場まで複数あり、これらの競技場が活用されることで、陸上への関心やスポーツに親しむ機会の創出につながることが期待されます。
 そこで、代々木公園をはじめ、都立公園の陸上競技場について、今後どのような整備を進めていくのか伺います。
 我が会派としては、スポーツの力で、次代を担う子供たちの未来に輝きをもたらすことが重要であると考えております。
 世界陸上については、世界中のトップアスリートが集う舞台であり、子供たちが夢と希望を育むすばらしい機会となることを強く望みます。特に歓声と感動が交錯するスタジアムで実際の競技を観戦することは、子供たちにとって何物にも代え難い経験となります。
 都は、今後、大会の開催に向けて、子供の観戦機会をつくっていくべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、デフリンピックについてですが、世界各地からデフアスリートが集う大会であるデフリンピックを間近で観戦し、デフスポーツの魅力に触れることは、子供たちが学び、成長できる絶好の機会であります。また、大会開催の前に、様々な機会を捉えて、デフリンピックやデフスポーツについて触れる場を創出することで、より効果の高い取組となります。
 そこで、東京二〇二五デフリンピックにおける子供の観戦やデフスポーツに触れる学びの創出について、どのように取り組むのか、見解を伺います。
 ここまで多岐にわたって、東京のプレゼンス向上、防災、医療体制、福祉、熱中症対策、少子化対策、燃料費高騰対策、デジタル化、教育、スポーツなどについて質問をしてまいりました。
 高齢者が安心して住み続けられる東京を、流出をしてしまっている三十代、四十代にも東京都の魅力をもっと知ってもらい、生涯にわたって住み続けたいと思う東京を、子供の笑顔がもっともっとあふれる東京をつくっていくために全力を尽くしてまいりますことをお約束を申し上げまして、都議会自由民主党を代表しての質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 答弁に先立ちまして、一言弔意を申し上げます。
 十一月二十四日、名誉都民である堀田力さんが逝去されました。
 ここに謹んで哀悼の意を表し、心よりご冥福をお祈りいたします。
 松田康将議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、オールジャパンでのイノベーション創出についてのお尋ねがございました。
 イノベーションは、異なるものが交わり、結びつく中で生まれる、そこに地域の垣根はない。日本中の熱意あるスタートアップや支援者が集まり、交流することで大きなイノベーションが生まれ、社会変革や都民生活の向上へとつながっていく。その結節点がTIBであり、全国各地の支援拠点や実証フィールドとの連携が始まっています。
 先日の一周年アニバーサリーウイークでは、全四十七都道府県の自治体関係者が初めて一堂に会し、支援ノウハウの共有など活発に交流したほか、公共調達拡大に向けました取組についても議論を深めました。
 TIBで培ったこうした関係を生かしまして、スタートアップの世界への飛躍を後押ししてまいります。さらに、世界の展示会などでも、各都市と連携しました一体的なプロモーション活動を展開するなど、オールジャパンの視点で取組を進めてまいります。
 次に、自動運転についてでございます。
 自動運転技術は、運転手不足の解消、高齢者や移動に制約のある方へのサービスの提供など、人口減少社会におけます課題解決とともに、人々のQOL向上をもたらす可能性を有しています。
 早期の実装に向けましては、様々な地域で走行を重ね、着実にステップを踏み、技術精度の向上につなげることが重要でございます。また、新しい技術に対する都民の不安を払拭し、都民生活にもたらす効果への理解を深めていただくことも必要でございます。
 さらなる技術水準の向上のため、今年度、西新宿でバスの通年運行を開始するほか、今後は、タクシーを含め、臨海部や東京駅周辺など複数の地域へ運行を拡大してまいります。
 加えまして、地元自治体や民間事業者等との連携の下で、都民が自動運転を体験できる機会を充実させるなど機運を高め、二〇二六年度の自動運転レベル4の実現に向けまして取組を加速させてまいります。
 次に、多摩地域のまちづくりでございます。
 多摩地域は、都心へのアクセスのよさ、企業や大学の集積など、多様な魅力やポテンシャルを有しております。一方、社会状況の変化によりまして、まちづくりの抱える課題は多様化、複雑化しております。
 このような状況に的確に対応し、ハードとソフトの両面からまちづくりを進めるため、多摩のまちづくり戦略(素案)を本年一月に公表いたしました。また、多摩都市モノレールの箱根ケ崎方面への延伸や自動運転の実証なども進めております。
 こうした交通ネットワークの拡充やデジタル技術の進展も踏まえまして、現在、モノレール延伸部のまちづくりや多摩ニュータウンの再生などにつきまして、プロジェクトの深度化を図っております。
 今年度内に本戦略を策定いたしまして、魅力あふれる多摩の実現に向け、取り組んでまいります。
 次に、多摩地域の新たな防災拠点についてのお尋ねでございます。
 いつ起きるとも知れない首都直下地震や激甚化する風水害、複合災害など、あらゆる災害リスクに備えるためには、都全体の災害対応力を高めておくことは重要でございます。
 このため、都は、多摩地域の新たな防災拠点の整備に向けました基本構想を策定いたしました。救援物資の重要な広域輸送基地となる多摩広域防災倉庫を建て替えまして、多摩地域の防災活動の拠点となり、大規模災害時に都庁の代替機能を担う防災センターを一体的に整備をいたします。
 さらに、同じ立川広域防災基地内に所在いたします自衛隊、海上保安庁、警察、消防などの防災機関との連携を一層強化することで、防災拠点としての機能を最大限発揮させます。
 今後、このプロジェクトを推進することによりまして、大規模災害への備えを万全にし、首都東京の防災力を高めてまいります。
 少子化対策についてのお尋ねでございます。
 我が国で予想をはるかに超えて進行する少子化は、社会の存立基盤を揺るがす重大な危機であります。
 私は強い決意の下、子供の育ちを応援するため、〇一八サポートを創設したほか、医療費助成、第二子以降の保育料無償化、学校給食費の負担軽減や高等学校授業料等の実質無償化など、国をも先導するシームレスな支援を講じてまいりました。
 これらの取組の効果を最大限に発揮させるためには、子育て世帯はもとより、これから子供を持つ方々にも都の取組を知ってもらうことが重要であり、幅広い層に対する戦略的な広報を強化してまいります。
 あわせまして、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けて、都民一人一人の思いに寄り添いながら、さらなる少子化対策の充実に果断に取り組んでまいります。
 次に、保育料の無償化についてであります。
 我が国は、歯止めのかからない少子化という危機に直面をいたしております。この困難に対しまして、都は、区市町村との連携の下、とうきょうママパパ応援事業や第二子の保育料の無償化などを実施してまいりました。
 少子化対策は一刻の猶予もないことから、この手を緩めることなく、取組を一層進めていくことが必要でございます。
 こうした観点から、保育料の第一子無償化につきまして、保育料の改定の時期に合わせ、令和七年九月からの開始を目指しまして、検討を加速してまいります。
 事業内容につきましては、区市町村や関係団体の理解を得ながら、第二子無償化と同様の内容を念頭に検討してまいります。
 次に、シルバーパスについてでございます。
 現在、多くの高齢者がシルバーパスの発行を受けまして、社会参加と生きがいの活動に活用されています。
 アクティブなChoju社会の実現を目指し、現在、高齢者施策全体を総合的に議論しておりまして、シルバーパスにつきましても、現行制度導入以降の交通事情の変化やキャッシュレス化の進展を踏まえまして、検討する必要がございます。
 今後、実施主体であります東京バス協会や関係機関と連携いたしまして、高齢者の社会参加を促進するため、ICカードの導入を検討して、利便性の向上に向け取組を進めてまいります。
 次に、伊豆諸島におけます洋上風力の導入についてでございます。
 ゼロエミッション東京の実現に向けまして、エネルギーの大消費地である都が、風況に恵まれた広大な伊豆諸島の海域におきまして、世界最大クラスのギガワット級浮体式洋上風力を導入することは重要でございます。
 導入に向けましては、地元の皆様の理解、協力が必要であり、現在、自然環境や景観に関する調査を行うとともに、地元自治体や漁業者等との検討を開始いたしております。
 今後、意見交換を重ねることで、新たな雇用創出や水産業振興など、地域との共存共栄につながる将来像を地元と共に練り上げてまいります。
 こうした取組を通じまして、島しょのポテンシャルを生かした地域振興を図るとともに、世界有数の大都市東京のエネルギー自給率向上と脱炭素化を全力で進めてまいります。
 次に、グリーン水素の普及についてであります。
 再生可能エネルギーで生み出したグリーン水素は、脱炭素社会を実現する切り札の一つでございます。その普及に向け、つくる、運ぶ、使うの観点から戦略的に取組を展開していくことは重要でございます。
 都自らグリーン水素製造拠点を整備するとともに、海外からの水素を受け入れるため、パイプラインを含む供給体制の構築に向けた取組を進めております。
 また、需要を喚起するため、グリーン水素を率先して利用する事業者を認証するほか、水素取引所立上げに向けましたトライアル取引も実施し、年内に入札を行い、取引を成立させます。
 さらに、モビリティー分野での脱炭素化に向けまして、グリーン水素を活用する水素ステーションの整備や、物流事業者やステーション事業者とのマッチングによる需要創出も進めてまいります。
 これらの取組を果敢に推し進めまして、グリーン水素が広く活用される社会をつくり上げてまいります。
 東京港の戦略的な機能強化についてでございます。
 世界経済のグローバル化が急速に進展し、国境を越えて人や物がダイナミックに行き交う中で、東京港は、世界各国と結ばれた国際物流拠点として国民生活を支え、日本経済を牽引する重要な役割を果たしております。
 社会状況が大きく変わる中で、東京港が今後もその役割をしっかりと果たしていくためには、時代の先を読みながら、新規ふ頭の整備や既存ふ頭のバージョンアップを戦略的に進めていくことが必要でございます。
 このため、都は、東京港の二〇五〇年の将来像とその実現に向けた方策を指し示す経営戦略を策定いたしまして、世界の主要港を見据え、スピード感を持って、東京港を大胆に機能強化いたしてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、副知事、教育長、都技監及び関係局長から答弁をいたします。
   〔副知事松本明子君登壇〕

○副知事(松本明子君) 女性活躍についてのご質問にお答えいたします。
 我が国の女性活躍は、世界から大きく後れを取っており、少子高齢化が進む中、持続可能な社会をつくるためには、人口の半分を占める女性の力を最大限引き出すことが不可欠でございます。それに向け、女性の能力開発に加えまして、健康づくりなどの課題にも積極的に取り組む必要がございます。
 このため、都は、企業における女性活躍の推進に向け、女性リーダー育成のための研修の実施や、女性の健康について優れた支援を行う企業の事例の発信、フェムテック製品の開発などの後押しにも取り組んでおります。
 未来への原動力は女性の力、こうした考えの下、東京から女性活躍を加速する条例について検討しております。これを契機に女性活躍の輪を広げ、男性も女性も自らの希望に応じて輝ける社会の実現に注力してまいります。
   〔教育長坂本雅彦君登壇〕

○教育長(坂本雅彦君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高校等の探究学習の充実についてでございますが、東京を取り巻く社会や経済の状況が急速に変化をする中、子供たちが様々な課題に対し解決の方法を主体的に考える探究学習を進めることは重要でございます。
 これまで都教育委員会では、都立高校等において、生徒が自ら設定した課題やその解決を進める取組に支援を行ってまいりました。具体的には、そうした学習に必要となる専門知識を持つ大学や企業の開拓を行うほか、外部の人材のサポートを受ける場合の経費への支援を実施してきたところでございます。
 これらによる成果について、今後、全ての都立高校等でネットワークも生かしつつ共有し、探究学習に関し、協働して行う取組も含め、効果的に展開する方策を検討してまいります。
 次に、都立工科高校の魅力向上に向けた取組についてでございますが、工科高校の魅力を高める上で、資格の取得を通じ、社会に役立つ力を身につける支援を行うことは重要でございます。
 このため、都教育委員会は、今年度、自動車整備や溶接等ものづくりに係る資格取得の支援を開始しており、生徒のニーズも高く、今後、その充実を検討いたします。
 また、これまでのものづくりの技術に加え、生徒がデジタルのスキルを習得する機会の充実を図ることも重要でございます。現在、工科高校では、基礎的なプログラミングを学ぶ講座を実施しております。今後は、より高い技術が必要なアプリ開発やウェブ制作などのデジタルスキルの習得の後押しに力を入れてまいります。
 最後に、仮想空間を使った不登校児童等への支援についてでございますが、様々な理由で不登校となっている児童や生徒のため、居場所を用意し、相談対応などを行う仕組みについて、仮想空間を通じ提供をすることは重要でございます。
 都教育委員会では、都内二十八の自治体と協力し、不登校の児童等がデジタルの空間に入り、子供同士の交流や専門家への相談を行うバーチャルラーニングプラットフォームを提供しております。
 今年度から、仮想空間の中に相談コーナーを設けるほか、アバターを用い、子供が交流を深め、共に勉強する仕組みを取り入れる工夫を行いました。
 今後、こうした取組への各自治体のニーズを調べ、それぞれの実態を踏まえ、参加する団体数の増加に力を入れてまいります。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、不燃化対策の推進についてでございます。
 都は、木密地域におきまして、特定整備路線の整備や老朽建築物の除却への支援などの施策を展開してまいりました。こうした取組をさらに進めていくためには、震災に対する地域の危険性などについて、地元区や住民の認識を深めていくことが重要でございます。
 そのため、地域危険度に加え、道路整備等による空地の確保状況の公表や、施策の効果をデジタル技術を用いて発信することなどを検討しております。
 この検討結果を年度末に改定する防災都市づくり推進計画の基本方針に反映させ、地元区や住民との連携を強化することにより、木密地域の不燃化を加速してまいります。
 次に、ホームドア整備の加速についてでございます。
 ホームドアの整備には、鉄道事業者の積極的な取組が不可欠であり、整備を加速するには、官民で好事例を共有し、取り入れていくことが効果的でございます。
 第二回協議会では、専属部署の設置や複数駅の工事の一括発注など、効率的に取組を進めている事例を共有いたしました。また、事業者から、一定の区間の連続した整備に対する支援や都による直接補助などの要望がございました。都は、事業者が効率的な整備に取り組めるよう、改善策を検討しております。
 引き続き、官民が一体となって知恵を出し合い、整備効果を発揮できるよう取組を推進してまいります。
 最後に、貸切バス事業者への燃料費支援についてでございます。
 貸切バスは、一個の契約により貸し切って旅客を有償で輸送する事業であり、観光バスやスクールバスなどに利用されております。
 現在実施している燃料費支援については、物流機能の維持や都民の日常の移動への影響、価格転嫁の困難性等を考慮し、支援対象を貨物運送事業者、路線定期運行バス事業者及びタクシー事業者としております。
 今後の運輸事業者への支援に当たっては、燃料価格の動向や貸切バスの利用実態等を踏まえ、必要な対応を検討してまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、自治体業務におけるAIの活用についてでございますが、業務効率化や都民サービスの向上などに都がAIを徹底活用するとともに、その成果を都内区市町村のみならず、全国の自治体にも横展開していくことが重要でございます。
 このため、まず、GovTech東京で構築している複数の生成AIを活用できるプラットフォームを基に、全庁共通業務の効率化に資するアプリケーションの開発を進めながら、ノウハウを蓄積してまいります。来年度は、業務の範囲を広げつつ、回答の正確さや導入効果の検証を進め、他の自治体でも効果的に活用できるよう汎用性を高めてまいります。
 AI戦略会議での専門家の知見もいただきながら、自治体のAI活用のレベルアップに貢献してまいりたいと思います。
 次に、区市町村の業務システムの標準化についてのご質問でございますが、安全かつ円滑に標準化を進めるためには、国とも一層連携し、区市町村支援を充実することが重要でございます。
 このため、都は、GovTech東京と連携し、移行が進む自治体のノウハウを生かし、区市町村の実情に応じた技術的支援を伴走型で行っております。今後、都が新たに設置いたしました開発事業者協議会を活用し、自治体と事業者との調整を支援してまいります。
 さらに、これまで要望してきました移行期間と経費の確保に係る国の方針等の見直しを見据え、さらなる改善策の提案や都の支援ノウハウの全国発信などによりまして、国と緊密に連携してまいります。喫緊の課題であります標準化の実現に向けて、区市町村を強力に後押ししてまいります。
 最後に、オープンローミング対応Wi-Fiについてのご質問でございます。
 災害時の救命活動や応急対応に大きな役割を果たす避難所や病院など、官民の施設における通信の多重化を進めることが極めて重要であると認識しております。
 このため、都は、これまで都立の学校や病院など六百三十八か所に整備を行うとともに、今年度から、区市町村が庁舎等に整備する際の財政支援や技術サポートも開始いたしまして、九自治体、七十五か所で活用されております。さらに、民間施設への導入に向け、ヒアリングや働きかけを行い、オフィスビルへの導入も始まっております。
 今後、主要駅周辺など、災害時に人が多く集まる場所への整備に向けた取組を進めてまいります。つながる東京の実現に向け、多様な主体との連携を加速してまいります。
   〔交通局長久我英男君登壇〕

○交通局長(久我英男君) バス乗務員不足への対応についてでございますが、全国的に大型二種免許の取得者が減少する中、都営バスにおいても乗務員の確保が急速に困難になっております。
 このため、従来の人材確保策に加え、働きやすい職場環境の整備などを進め離職防止を図るほか、採用後、大型二種免許の取得を支援する養成型選考を拡充するなど、応募者の裾野拡大に向けた取組を強化してまいります。
 また、自動運転は、将来の乗務員不足の解消にも資する技術であり、開発動向について事業者と意見交換等を実施しており、厳しい走行環境にある都営バスでの実装を目指し、国や関係局などと連携して取り組んでまいります。
   〔政策企画局長佐藤章君登壇〕

○政策企画局長(佐藤章君) TOKYO強靱化プロジェクトについての質問にお答えいたします。
 風水害や地震等の危機に対し、安全で安心な東京を実現するためには、地域の実情に精通した区市町村と目指す方向性を共有し、連携して取り組むことが重要でございます。
 これまで都は、区市町村とプロジェクトの意義等を共有するとともに、耐震化や浸水対策などに連携して取り組んでまいりました。
 今後も各局と連携し、プロジェクトの進捗や効果を分かりやすく発信するほか、各自治体への技術的支援や好事例の横展開を図るなど、区市町村の取組を強力に後押しすることで、東京全体の強靱化を実現してまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 東京消防庁における震災対策についてでございますが、将来起こり得る地震による被害を軽減するためには、実際に起きた災害で得た教訓を速やかに反映し、常に対策の見直しを図っていくことが重要でございます。
 能登半島地震では、道路寸断による部隊投入の遅延、断水等による使用可能な消火用水の不足、隊員の活動危険が高い状況下での情報収集などの課題が確認をされました。
 このため、ヘリコプターによる早期の部隊投入、河川など離れた場所からの消火用水の確保、危険な活動現場での情報収集等の方策について検討を進めております。
 今後、これらの教訓を生かして消防活動体制の強化を図り、震災への備えに万全を期してまいります。
   〔建設局長花井徹夫君登壇〕

○建設局長(花井徹夫君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、気候変動を踏まえた河川施設の整備についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、気候変動の影響を踏まえて治水対策を強化していくことが重要でございます。
 都は昨年末、将来の気温上昇により増加する降雨量や強大化する台風などに対応するための整備目標を引き上げました。
 洪水対策では、新たに必要となる調節池や地下河川の検討に着手しており、この結果を踏まえ、河川整備計画を改定してまいります。高潮対策では、専門家委員会での検討を踏まえ、年度内に整備方針を策定し、かさ上げ等の整備手法などを取りまとめてまいります。
 これらの計画や方針の策定に当たりましては、広く都民の意見を聴取し、実施に際しては地元に丁寧な説明を行った上で、対策を推進してまいります。
 次に、多摩地域における幹線道路の整備についてでございますが、多摩地域のさらなる発展に向け、都は、交通渋滞の解消や拠点間の連携強化等に資する多摩南北、東西道路など、骨格幹線道路の整備に重点的に取り組んでおります。
 例えば、国分寺三・二・八号線では、国分寺市立第五小学校付近から市役所付近までの約四百六十メートルの区間を、今年度末までに暫定的に交通開放いたします。また、八王子三・三・七四号線、北西部幹線道路につきましては、秋川街道から西寺方町までの約一・六キロメートルの区間で、今年度末までに事業に着手する予定でございます。
 今後とも、多摩地域の発展に資する都市計画道路ネットワークの整備に着実に取り組んでまいります。
 最後に、都立公園の陸上競技場の整備についてでございますが、都立公園の競技場は国際大会開催時に利用されるものから都民が気軽に利用できるものまで、多様な利用ニーズに対応しております。
 代々木公園では、全天候型舗装の全面改修や、競技に必要な器具の倉庫改築等を実施しており、世界陸上に向けた準備を着実に進めております。また、その他の公園では利用状況等に応じた改善を図っており、城北中央公園では全天候型トラックの導入等の再整備を行うほか、光が丘公園では表層の全面改修や排水施設の増設を進めてまいります。
 引き続き、広く都民がスポーツに親しめる環境づくりに取り組んでまいります。
   〔水道局長西山智之君登壇〕

○水道局長(西山智之君) 浄水場における効率的な停電対策についてでございますが、水道局では、停電時にも継続的な電力供給が必要な高度浄水施設において、非常用発電設備が起動するまでの間、電力を供給し続ける瞬時電圧低下補償装置の導入に向け、技術的な課題について検討を進めてまいりました。
 この装置は、常用発電設備を用いる手法と比べ、整備期間と費用が縮減され、維持管理が容易で、騒音、振動など周辺環境への影響も少ない利点があり、対象となる浄水場に制約があるものの、実用化のめどが立ったことから、まず、三園浄水場へ導入をいたします。
 今後とも常に最適な技術の導入を検討しながら、停電時の備えを万全なものとし、安定給水を確保してまいります。
   〔下水道局長佐々木健君登壇〕

○下水道局長(佐々木健君) 下水道管の震災対策についてでございますが、下水道局では、過去の震災を踏まえ、下水道機能や交通機能を確保するため、対象施設を重点化して耐震化を実施しております。具体的には、避難所や災害拠点病院などの排水を受け入れる下水道管の耐震化や、液状化の危険性が高い地域における緊急輸送道路などでマンホールの浮上抑制対策を実施しております。
 令和五年度末までに中長期目標の約八割で対策が完了しており、残り二割は令和十二年度末までに完了させてまいります。さらに、対象施設の拡大などの調査検討を開始し、震災対策を一層強化いたします。
 これらの取組により、東京下水道の強靱化を実現し、都民の安全と安心を確保してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、地域の防災力向上のための町会とマンションの継続的な連携についてでございますが、都は今年度、地域の防災の要である町会が、マンションと合同防災訓練を行う際の支援を開始し、共助の力を高める取組を進めております。
 この訓練では、訓練の内容を決めるための準備や訓練実施後の振り返りなど、様々な接点を設けまして両者の関係の構築を図っております。今後起こり得る災害の発生に備え、こうしてできたつながりを維持発展させる必要がございます。
 そのため、本事業に参加した町会が、その後も継続してマンションと共同で防災活動に取り組むための支援策を検討するなど、区市町村や東京都町会連合会とも連携しながら、事業の活用を促進してまいります。
 次に、世界陸上における子供たちの観戦機会についてでございますが、世界中のトップアスリートの躍動する姿を体感し、夢と希望を育めるよう、都は子供たちへの観戦機会の提供について検討を進めております。
 具体的には、できるだけ多くの種目を見てもらえるよう、大会期間を通じて観戦機会を確保してまいります。また、大会が土日祝日を中心に実施されることを踏まえまして、保護者との観戦や子供たち同士での観戦など、多くの子供たちが観戦できるよう検討しているところでございます。
 今後、世界陸上財団と連携し、大会の観戦が子供たちにとってかけがえのない体験となるよう、取組を具体化してまいります。
 最後に、デフリンピックにおける子供たちの学びについてでございますが、大会は、ろう者の文化を知り、多様性への理解につながるきっかけにもなることから、都はデフリンピックを楽しく学ぶことができるハンドブックを作成し、都内の小学校に配布いたしました。また、大会を紹介する動画も作成しておりまして、デフリンピックに向け、学校での活用をさらに促してまいります。
 大会時には、子供たちがデフスポーツならではの工夫や魅力に触れ、互いに尊重することの大切さを学び、話し合えるよう、学校単位での観戦機会の創出を検討してまいります。
 大会を通じて、子供たちが気づき、考え、成長できるよう、取組の具体化を進めてまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、災害時の在宅医療提供体制についてでございますが、災害時におきましても、在宅療養患者が継続して医療を受けられる体制を確保することが重要でございます。
 都が、医療、介護関係者や区市町村職員を対象に実施いたしました災害時における地域全体の医療提供の継続と早期復旧を目的とする地域BCPの研修の中で、参加者から、多職種、多機関で協議する場が必要であるなど、連携強化の仕組みづくりに関する意見が出されました。
 こうした意見なども踏まえ、訪問診療を行う医療機関が、災害時においても地元自治体や幅広い関係機関と連携しながら、継続して在宅医療を提供できますよう、必要な取組を検討してまいります。
 次に、在宅療養環境の整備についてでございますが、都は、地域における切れ目のない在宅医療体制の確保に向け、今年度、地区医師会と連携して、二十四時間の診療体制を構築する地域のさらなる拡大に取り組んでおります。
 また、自治体への聞き取りを行ったところ、在宅療養患者を支える家族が、医療、介護サービスを利用できない時間帯の負担が大きい、就労との両立が困難である、悩みを相談できる相手がいないなどの課題を抱えていることが改めて浮き彫りとなりました。
 こうした状況も踏まえ、患者やその家族が安心して在宅療養を選択できる環境のさらなる整備に向け、家族へのサポートなど必要な方策を検討してまいります。
 次に、医師確保対策についてでございますが、国が示す医師偏在指標におきまして、都は医師多数都道府県とされ、都外からの医師の確保に制約が課されております。この指標は医師数の多寡を相対的に示すもので、地域の実情を十分に表すものではなく、都内には医師少数区域の二次保健医療圏や医師確保が困難な診療科もあります。
 こうした状況から、都独自に奨学金制度や地域医療支援ドクター事業などを実施し、医師確保に努めますとともに、国に対し、地域別、診療科別の必要医師数の提示や、医師確保への柔軟な取組を可能とすることなどを求めております。
 今後とも、国へ提案要求を行いますとともに、都の実情を踏まえた総合的な医師確保対策を推進してまいります。
 次に、地域医療の確保についてでございますが、都は、地域医療の確保や物価高騰対策に取り組みますとともに、先般、国に対し、地域医療の確保に向けた必要な財源措置を講じるよう緊急要望を実施いたしました。
 都内の病院は約四割が築四十年を経過し、老朽化が進む中、建築価格が高騰しております。また、救急搬送件数の増加や東京ルール事案の高止まりの一方、救急告示医療機関は減少傾向にあります。
 地域医療を確保していくには、病院の建て替え促進や診療体制の確保、救急外来や転院先の受入れ強化、看護人材の確保などに取り組むことが重要でございます。
 今後、都内の地域医療体制の確保に向け、さらなる取組について検討を進めてまいります。
 最後に、電子カルテシステムについてでございますが、都民が安全で質の高い医療を受けられる環境づくりに向けて、デジタル技術を活用した医療情報の共有を推進することは重要でございます。
 このため、都は、情報共有の基盤となる電子カルテの導入が進みますよう、二百床未満の病院や有床診療所に対し支援しておりますが、令和五年の導入率は病院が約七割、医科診療所は約六割にとどまっております。
 今後、都内医療機関での電子カルテの導入促進に向け、国の動向なども注視しつつ、都として必要な取組について検討を進めてまいります。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、猛暑対策としてのテレワークについてでございます。
 テレワークは、柔軟な働き方の実現や生産性の向上のほか、猛暑や自然災害時の対応としても有効でありまして、こうした観点で導入を促進することは重要でございます。
 また、テレワーク導入のための環境整備への支援を進めるほか、テレワークを通じた働き方改革や危機管理対策の推進など、職場独自の取組を宣言する制度などにより、ハード、ソフト両面から企業の後押しを行ってまいりました。
 今後、夏の熱中症予防など、BCPとしてのテレワークが一層普及するよう取り組みますとともに、こうした暑さを避ける働き方ができない屋外現場への支援も検討してまいります。
 次に、多摩産材の供給と流通についてでございます。
 木材需要へ適切に対応するには、山林での伐採を進めるとともに、搬出する丸太の品質を保ちながら、製材事業者のニーズ等を踏まえ流通させることが重要でございます。
 都は、これまで、伐採等を担う人材の育成や、高性能の林業機械の導入による作業の効率化に取り組むとともに、木材を低温で乾燥する設備の更新など、製材所における施設整備への支援を実施してまいりました。
 今後は、伐採の促進に向けまして、森林の所有者等を明確にする仕組みや、丸太の取引を担う流通事業者への支援の充実を検討いたします。
 これらによりまして、多摩産材の供給量の増加を図ってまいります。
 次に、カスタマーハラスメントの防止についてでございます。
 条例に基づく対策を中小の事業者が適切に講ずることができるよう、サポートすることは重要でございます。
 都は、条例に規定する措置を事業者に促すための指針を作成することとしておりまして、その中で、事実関係の確認の際に録音や録画が役立つことを示してまいります。
 また、業界団体や商工団体が現場の実情を踏まえたマニュアルを作成し、事業者に示すことも推奨いたします。都は、団体向けの共通マニュアルを作成し、場面に応じた効果的な対応策を記載することとしてございます。
 今後、中小企業の対策と併せて、団体独自の取組への支援も検討し、防止対策を着実に進めてまいります。
 次に、中小企業の事業承継についてでございます。
 円滑な事業承継のためには、後継者が会社の技術やノウハウを確実に引き継ぎ、これらを生かした新たな取組により、企業を成長させていくことが重要でございます。
 都は、事業承継により将来の発展を目指す意欲ある後継者を育成するため、経営に必要なノウハウの提供や自社の戦略立案などを学ぶことができる講座を実施しております。また、承継後には経営や税務の専門家を派遣し、事業の継続に必要なアドバイスなどを行ってございます。
 今後は、世代交代を契機として、さらなる成長に踏み出す中小企業の事業展開に必要となる新たなサポートを検討してまいります。
 最後に、農業経営への支援についてでございます。
 東京の農業者は、資材価格の高止まりなどから厳しい経営環境が続いておりまして、生産コストの削減や収益を高めるための支援は重要でございます。
 このため、都は、化学肥料に代えて堆肥等を購入する農業者や、飼料となる牧草を栽培する畜産事業者などに対し、経費の助成を行ってございます。また、農産物のブランド化など、農業者の収益力向上を図る取組をサポートしております。
 こうした取組に加えまして、今後は、価格高騰が続く石油由来の農業資材から環境に優しいものに転換する農業者への支援を検討するなど、経営の安定化の後押しを着実に進め、持続可能な東京農業の実現につなげてまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) いわゆるヤミバイトへの対策についてのご質問でございますが、都では今年度から、地域団体による防犯カメラの設置、更新に係る費用の補助率を引き上げ、地域の防犯力の強化を図っております。今年度の申請数は、現時点で昨年度より約百六十台増加した千八百九台となっております。
 また、防犯パトロール車に設置する青色回転灯など、防犯ボランティア活動に用いる資器材の購入等についても区市町村を通じて支援をいたしております。
 いわゆるヤミバイト強盗の発生など、地域の防犯ニーズが高まっているため、区市町村の意見も聞きながら、地域における防犯力のさらなる強化に向けた方策を検討してまいります。
   〔福祉局長山口真君登壇〕

○福祉局長(山口真君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の一時保護所の体制強化についてでございますが、改正児童福祉法では、都道府県等は、内閣府令に基づきまして、一時保護所の設備及び運営について条例で基準を定めることとされております。
 現在、都は、児童福祉審議会専門部会で、新たな社会的養育推進計画の策定に向け議論を行っておりまして、居室の個室化などの環境整備、ケアニーズの高い児童への個別支援に必要な人員体制、通学支援をはじめとした児童の権利擁護など、一時保護児童への支援体制の強化策を検討しております。
 こうした議論も踏まえ、今後、計画を策定するとともに、条例案の準備を進めまして、一時保護所の体制強化に向けて取り組んでまいります。
 次に、ひとり親家庭の自立支援についてでございますが、都は、ひとり親家庭自立支援計画に基づきまして、相談体制の整備、就業支援、子育て支援や生活の場の整備、経済的支援の四つを柱として、総合的な支援を行っております。
 今年度は、次期計画の策定に向け、有識者等による検討委員会を設置しておりまして、当事者団体の意見も聞きながら、子供家庭支援センターなど関係機関同士の連携による切れ目ない支援、離婚後の子の養育に関する民法改正を踏まえた専門相談、自治体職員等の支援者の資質向上などについて議論をしております。
 今後、委員会での議論を踏まえて計画を取りまとめまして、ひとり親家庭の自立支援の充実に向け、取り組んでまいります。
 次に、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援についてでございますが、都は、とうきょうママパパ応援事業により、妊婦や一歳または二歳前後の子供を育てる家庭に対しまして、育児パッケージの配布などを行う区市町村を支援しております。
 また、東京都出産・子育て応援事業により、国の出産・子育て応援交付金も活用しまして、全区市町村と連携して、育児用品や子育て支援サービスなどを提供しております。
 来年四月から、国制度は現金給付が原則となる予定でございまして、実施主体の区市町村が給付することとなります。都は、区市町村の事務負担を考慮しながら、妊娠、出産、子育ての切れ目ない支援のさらなる充実に向けまして、事業スキームを具体的に検討してまいります。
 最後に、保育所等の施設長の事務負担軽減についてでございますが、保育所等では、近年、保育内容の充実や不適切保育の防止など、保育の質のさらなる向上が求められておりまして、施設長がこうした取組に注力できる環境を整備することは重要でございます。
 そのため、都は、保育事業者に対しまして、保育補助者や保育の周辺業務を担う人材の雇用に係る経費を補助するとともに、書類作成の業務などを支援するデジタル機器等の導入に係る経費を補助しております。
 今後、施設長が保育所等のマネジメントに一層注力できるよう、事務負担軽減の取組を推進してまいります。
   〔環境局長須藤栄君登壇〕

○環境局長(須藤栄君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、フロン削減目標達成に向けた施策についてでございますが、フロンの削減には、ノンフロン機器への転換を促進するとともに、新たな技術を生かした取組が重要でございます。
 このため、都は、省エネ型ノンフロン機器を導入する中小事業者などに対する補助率を拡充するとともに、排出の多い事業者への新たなサポートも開始いたしました。
 また、専門家や業界団体などで構成する検討会を立ち上げ、長期使用により漏えいリスクが高まった機器の更新支援や、AIを活用した漏えい感知の手法など、さらなるフロン対策の強化の方策を議論しております。
 今後、これらを踏まえ、支援の拡充や新技術の実装事業の検討などにより、二〇三〇年カーボンハーフ実現に向け重要なフロン対策を加速してまいります。
 次に、次世代型ソーラーセルの普及拡大についてでございますが、次世代型ソーラーセルは、再エネのさらなる導入拡大に加え、国産の資源や技術の活用が期待されるため、実用化及び量産化を支援することは重要でございます。
 このため、都は、都有施設などでの実装検証に加え、開発事業者の製品化に向けた支援を開始し、先般、次世代型ソーラーセルを搭載した庭園灯の検証事業を採択いたしました。
 今後、東京二〇二五世界陸上の会場周辺にこの庭園灯を設置するなど、早期実用化を後押ししてまいります。また、来年度の商用化を見据え、都有施設への先行導入に加え、民間施設への設置支援を検討いたします。
 これらにより、次世代型ソーラーセルの普及拡大を強力に推進してまいります。
 最後に、自然環境を保全する人材の育成についてでございますが、東京の貴重な自然環境を守っていくためには、企業や教育機関などが集積するメリットを生かしながら、保全活動を担う人材を育成していくことが重要でございます。
 都はこれまで、保全地域での企業と連携した活動や、大学での保全活動を組み込んだカリキュラムなど、様々な機会を提供し、延べ二万人を超える参加をいただいております。
 さらなる人材の掘り起こしに向け、今後、企業ニーズを踏まえたプログラムの充実や、小中高生への自然体験機会の提供のほか、活動環境の整備などを検討してまいります。
 こうした取組により、保全活動を担う人材の確保、育成を進め、ネイチャーポジティブの実現につなげてまいります。
   〔中央卸売市場長早川剛生君登壇〕

○中央卸売市場長(早川剛生君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、市場業者への経営支援についてでございます。
 中央卸売市場が、都民に生鮮食料品等を安定的に供給する役割を将来にわたって果たしていくには、市場業者が直面している経営課題の克服に向けた取組を都が後押しすることは重要でございます。
 そのため、今年度、中央卸売市場経営強靱化推進事業を拡充し、市場業者の人材確保の取組を支援対象とする補助区分を新設したほか、申請の簡素化など利便性を向上させました。
 市場業者からは、人材確保が困難な現状とともに、さらなる支援を求める声も寄せられておりまして、今後、市場業者の人材確保につながる、より一層の支援について検討を進めてまいります。
 最後に、市場施設の管理運営の在り方についてでございますが、都は、人材不足や人件費の高騰が進む中にありましても、市場施設を適切に管理し、市場業者が安心して取引できる環境を確保していく必要がございます。
 このため、これまで、場内の安定的かつ効果的な管理運営に向けまして、警備業務における総合評価方式の導入等を行ってまいりました。また、デジタル技術を活用した車両管理や一層の物流効率化の取組などを視野に入れまして、卸売市場の特性を踏まえた新たな場内警備の在り方を検討しております。
 今後、各市場の実情も踏まえまして、関係者と連携しながら、持続可能な市場施設の管理運営体制の一層の構築に向けまして取り組んでまいります。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 都立高校と都立大学の連携についてのご質問にお答えをいたします。
 都立大学では、高校生の探究意欲を喚起し、大学進学への認識を深めさせることなどを目的として、都教育委員会との協力を進めてきております。
 具体的には、都立高生を対象に、大学レベルの課題研究に取り組む探究ゼミなどを実施してまいりました。また、普通科の都立高校のみならず、工科高校等に推薦入試枠を設けるなど、連携を進めてまいりました。
 今後、同じ都立の学校としての特徴を生かしまして、指定校推薦枠の活用や高大連携事業の充実を図るなど、都立大学と都立高校との接続を強化いたします。
 こうした取組によりまして、双方の教育の質と魅力の向上を図ってまいります。

○議長(宇田川聡史君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十六分休憩