令和六年東京都議会会議録第十三号

○議長(宇田川聡史君) 三十一番銀川ゆい子君。
   〔三十一番銀川ゆい子君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十一番(銀川ゆい子君) 東京都議会立憲民主党の銀川ゆい子です。地域の声を反映させるべく質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、災害対策について伺います。
 東京都は、災害対策を充実させるため、令和四年十二月、百年先も安心な東京を目指し、TOKYO強靱化プロジェクトを立ち上げ、五つの危機に対し、二〇四〇年代に目指す姿や方向性を提示しました。さらに、その道筋を確かなものとするため、気候変動の影響なども踏まえ、ハード、ソフトの両面から施策を強化し、令和五年十二月にプロジェクトをアップグレードしています。また、先日、能登半島地震を踏まえた都の防災対策の方向性についてを公表しています。
 これらを踏まえて、さらなる対策強化について伺います。
 能登半島地震から様々な教訓もあったものと思います。それらの教訓を踏まえ、都の首都直下地震への対策において、知事は避難所改革にどのように取り組んでいかれるのか。知事の見解を伺います。
 東京都は、区長会から今年八月二十日に要望書を受け取っています。その中には、いまだに避難所における備蓄物資の保管場所整備や備蓄物資の購入に対し、必要な財政支援を要請するとあります。このことから、結果として、都の対応強化が区長会にまだ示されていないものと判断できます。
 能登半島地震を受けたこともあり、早急に区の要請に応えるべきであると思いますが、都の見解を伺います。
 今後、ハード、ソフト面を含めて、様々な取組を加速させるべきだと思います。災害対応に当たっては、基礎自治体において十分な備えができるように、都が必要な支援を行うことが重要だと考えます。
 知事は、今年一月に行われた特別区長会との意見交換会で、建築物の液状化対策、モバイル衛星通信機器の配備、携帯トイレの備蓄など、追加で予算も計上し、災害対応力を一層強化すると述べています。主にどの点を強化したのか伺います。
 次に、小中学校の学校教材費の無償化について伺います。
 義務教育において、授業料と教科書代は無償ですが、全員が授業で必要とするドリルやプリント、材料費、キットなどの教材費、遠足などの校外活動に係る費用、いわゆる教材費は保護者の大きな負担となっています。
 例えば、足立区における令和五年の各学校の学校教材費の状況によれば、小学校一年から六年までかかる費用は、一番少ない学校では一人当たり五万九千七百五十六円、一番多い学校では十五万二千七百三十円です。
 また、中学校一年から三年までかかる費用は、一番少ない学校で一人当たり九万三百円、一番多い学校では十一万七千円となっています。卒業アルバム代など差が生じやすいものがあるとは思いますが、学校によって保護者負担に大きな違いが生じています。
 そんな中、杉並区や葛飾区をはじめ、複数区で独自に学校教材費の無償化を進めています。各学校で差があることなどからしても、本来であれば、国が無償化にすべきものと思いますが、知事の選挙公約に、子育て、教育にお金がかからない東京へと掲げ、子育て支援の充実を訴えるならば、東京都が主体的に学校教材費の無償化を行い、国に道筋をつけてほしいと思いますが、教育長の見解を伺います。
 次に、公衆喫煙所の整備、補助制度の継続、拡充について伺います。
 受動喫煙防止対策の強化に伴う喫煙環境の整備事業は、本来、東京オリンピックまでの期間限定の事業でしたが、補助率を二分の一とした上で、令和六年度まで包括補助事業のメニューとして継続いただいています。私の地元である足立区も、これらの事業を活用し、これまでコンテナ型を中心とした公衆喫煙所の整備に力を入れて取り組み、路上喫煙や歩行喫煙の減少にも結果として表れており、今後も整備を進めていきたいと考えています。東京都からも、引き続きの整備支援、そして補助制度のさらなる強化をお願いしたいと考えます。
 そこで伺います。東京都受動喫煙防止条例及び改正健康増進法の全面施行に伴い、屋内外での総合的な受動喫煙対策を行うべきですが、東京都全体で公衆喫煙所の整備状況は充足していると考えているのか伺います。
 世界に誇る首都東京としては、決して充足しているとは思えず、今後もこのスピード感でいいとはならないはずです。したがって、特別区長会から要望も出されているように、喫煙所設置等の推進はもちろん、維持管理費も対象とした補助制度の継続及び上限額の引上げなども含めた拡充を推し進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 最後に、火葬場の運営について伺います。
 一九六八年、厚生労働省の通知に、火葬場の運営は地方公共団体、宗教法人、公益法人に限られるとあるとおり、火葬は公益性のあるものと位置づけられています。しかし、東京都の特別区の火葬の現状は、九か所のうち七か所が民間企業で行われており、それも一つの企業が六か所を運営しています。二十三区全体の火葬数の約七割強と、いわば一企業の実質独占状態となっています。
 この民間企業の火葬は、法施行前に運営されていたため例外的に認められているので、墓地埋葬法としての問題はないものの、五万九千円だった火葬料が、広済堂ホールディングスの子会社となって以降、二〇二一年七月に七万五千円、二〇二四年六月に九万円と相次いで値上げされるなど、都民からの不信感、苦情のみならず、葬祭事業者、宗教団体からも様々な疑問の声が上がっています。先日は、地上波のテレビの朝の情報番組でも紹介されたほどです。
 そこで伺います。特別区の広範囲で利用者が選択できないで火葬している状況を特別区に任せるままで都が静観しているのは問題ではないか。都の見解を伺います。
 昨日、特別区が新たに火葬場整備を行う際には支援するとご答弁があったことは評価します。一方で、一民間企業の火葬料金の大幅な高騰に対して、今年の予算特別委員会で、我が会派の関口健太郎議員が、都としてもやれることはあるはずだと質問しましたが、その後、東京都として何か検討はされたのでしょうか。都の見解を伺います。
 区長会からも、厚生労働省に対して、民間企業の火葬について要望が出されています。八月二十六日に要望書を受け取った厚生労働大臣は、厚労省がどこまで関与できるのか微妙、ただ、価格の問題はおろそかにできないので注視すると答えたとのことです。法律、条例に不備があるのであれば改正する役割があり、東京都としても、国にも協力を仰ぎ、公衆衛生、非営利性、利用者の利益の保護等の観点からも、監督指導の強化を図れるよう、民間火葬場を利用せざるを得ない広範囲の特別区を後押しすべきではないでしょうか。
 例えば、公正取引委員会の調査、判断を仰ぐなど、都としてもできることはあるはずだと思いますが、都の見解を伺います。
 南海トラフ、首都直下型地震、洪水災害、感染症など、万一、大規模災害が起きた際、幾ら東京都と協定を締結しているといっても、万一の際に区や都の希望にかなう協力を求められるかの懸念があります。
 都は、火葬場の運営について、市区町村の責任と静観するのではなく、課題の根本的解決のためにも、区と十分連携をして、長期的な視点も含めて対策をすべきと思いますがどうか、伺います。
 以上で私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 銀川ゆい子議員の一般質問にお答えいたします。
 避難所についてのお尋ねでございます。
 都はこれまで、女性や要配慮者に配慮いたしました避難所の運営や液体ミルクをはじめとする備蓄物資の拡充などを進めてまいりました。
 今般の能登半島地震での状況も踏まえまして、避難所でのさらなる生活環境向上に向け、新たな指針を年度内に取りまとめることといたしました。
 今後とも、区市町村と連携し、取組を進めてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 教材費の無償化についてでございますが、憲法では、義務教育を無償とすることが定められていますが、無償とは、最高裁判決で、授業料不徴収の意味と解するのが相当であり、そのほか教育に必要な一切の費用の無償を定めたものではないとされております。
 保護者の負担する教育費に対する支援は、設置者がそれぞれの判断で対応しているものと認識しております。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、備蓄物資に対する特別区への支援についてのご質問でございます。
 都は、避難所で使用する携帯トイレやWi-Fi機器などの購入に要する経費を補助しております。
 続きまして、災害対応力の強化についてのご質問でございます。
 都は今年度、戸建て住宅の液状化対策、全区市町村へのモバイル衛星通信機器の配備、避難所避難者以外を見据えた携帯トイレの備蓄などの予算を計上し、取組を強化することとしております。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、公衆喫煙所の整備状況についてでございますが、都は、受動喫煙を生じさせることのない社会環境を整備するため、区市町村による公衆喫煙所の整備を支援しており、地域の実情に応じた取組が進んでおります。
 次に、公衆喫煙所の整備への取組についてでございますが、都は、区市町村に対し、補助事業の活用を働きかけるとともに、設備整備に関する好事例の情報提供を行うなど、区市町村と連携協力しながら整備を推進しております。
 次に、火葬場についてでございますが、墓地、埋葬等に関する法律、いわゆる墓埋法では、特別区の地域は、区が火葬場の指導監督を行うこととなっております。
 国は、指導権限を有する自治体に対し、公衆衛生の確保のほか、永続性の確保や利用者の利益の保護等の観点から、適正な火葬場の経営管理について指導監督の徹底を求めております。
 都は、平成十六年に五区の一部事務組合により臨海斎場が開設された際、要請に応じて都有地の減額売却や財政支援を実施いたしました。
 また、新たに整備する瑞江葬儀所の新施設では、火葬可能数を増やすこととしております。
 次に、火葬場に関する対応についてでございますが、都は、区と火葬場に関し、情報共有や意見交換を行っております。
 次に、区部の民営火葬場の指導監督についてでございますが、区は昨年、民営火葬場の立入検査等を行い、必要な指導を行ったと聞いており、火葬場の指導権限を有する区が適切に対応するものと認識しております。
 最後に、区との連携についてでございますが、都は、火葬場について区と情報共有等を行っているところでございます。

○副議長(増子ひろき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時五十一分休憩