午後一時開議
○議長(宇田川聡史君) これより本日の会議を開きます。
○議長(宇田川聡史君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。
○議長(宇田川聡史君) 次に、日程の追加について申し上げます。
議員より、議員提出議案第七号、東京都児童育成手当に関する条例の一部を改正する条例外条例一件、知事より、東京都教育委員会委員の任命の同意について外人事案件一件がそれぞれ提出されました。
これらを本日の日程に追加いたします。
○議長(宇田川聡史君) 昨日に引き続き質問を行います。
四番青木英太君。
〔四番青木英太君登壇〕
○四番(青木英太君) 初めに、都立児童相談所設置について伺います。
今月四日の目黒区議会において、都立児童相談所を早期に誘致し、子供家庭センターとの連携強化を図りながら、地域での支援をより充実させていくことこそが、子供たちの最善の利益につながる最適な方策であると区長からの発言がありました。
また、所信表明で、知事は、令和十三年度までをめどに、目黒区内に児童相談所を新たに設置するよう検討すると述べました。平成三十年、目黒区内で発生した五歳女児の虐待死事件は、忘れることのできない痛ましい事件であります。新たな児童相談所の設置に当たっては、都と区の連携を密にし、サテライトオフィスの活用などにおいて、顔と顔が見える関係の下で行われるべきだと考えます。あわせて、都全体の児童相談体制のバランスを見ながら、都の児童相談所の設置を進めていただきたいと考えます。
新たな児童相談所の設置を含む都における今後の児童相談体制について、知事の見解を伺います。
次に、デジタルを活用した構造改革について伺います。
東京都は、二〇二五年度を目標に、デジタルガバメント都庁の基盤構築を目指し、シン・トセイ戦略を推進してきました。この戦略の下で、これまでアナログ業務のデジタル化などを進め、業務プロセスの抜本的な見直しを図ってきたと認識しています。
行政のデジタル化は、都民がオンラインで簡単に行政手続を行える環境を整えることを目的としていますが、オンライン手続だけでなく、窓口での対応も同様に重要であり、今後も、都民が便利で快適に行政サービスを利用できる環境の整備を進め、デジタル化と対面サービスの双方において質の高い行政運営を実現することが必要です。
デジタルをフルに活用し、窓口における利用者視点に立った改革を一層進めるべきと考えますが、見解を伺います。
次に、サイバーセキュリティ対策について伺います。
近年のサイバー攻撃は、ランサムウエア等に代表されるように、高度化、巧妙化しており、その被害も深刻となっています。サイバー攻撃の脅威は、これまでになく高まっており、国も対策の強化を進めています。
都は、DXのさらなる推進に取り組んでいますが、都民が安心して利用できるサービスを提供するには、セキュリティ対策も万全の備えが必要です。
このため、都が今年度から進めている最新のセキュリティ技術の導入や重要インフラ等のバックアップ対策の強化はもちろんのこと、サイバーインシデント発生時に対応できるよう、職員一人一人の意識を高め、スキルアップに取り組む必要があります。
サイバー攻撃への対応力強化に向け、職員に対するセキュリティ教育や訓練をさらに充実すべきと考えますが、見解を伺います。
次に、自由が丘駅付近の鉄道立体化について伺います。
都が策定した踏切対策基本方針の鉄道立体化の検討対象区間に位置づけられている東急大井町線緑が丘から等々力駅付近と東横線都立大学から田園調布駅付近は、目黒区と世田谷区の両区にまたがっており、本区間の鉄道立体化の実現は、地元の悲願であります。令和六年四月には目黒区側の地元組織である東急大井町線・東横線踏切解消連絡会が設立され、令和六年八月には世田谷区側の地元組織である大井町線まちづくり連絡会と共に、都議会自民党と都に対し、本区間の鉄道立体化の早期事業化に関する要望書が提出されました。
自由が丘駅付近の鉄道立体化に向けて、この地元団体からの生の声による要望書を踏まえ、今後の都の対応について見解を伺います。
次に、道路、公園、河川の安全対策について伺います。
東京都が活用しているマイシティレポート、いわゆるMCRは、都民が日常生活で見つけた道路や公園、河川などの不具合をスマートフォンを通じて、写真や位置情報とともに投稿できるアプリケーションです。このシステムにより、都民は手軽に不具合を報告でき、都の職員は現場の状況を迅速かつ正確に把握し、対応に役立てることができます。
現在、東京都の七区五市がこのMCRに参画しており、これらの地域では、都道のみならず、区市道についても同様のシステムを利用できます。この取組は、管理体制の強化や都民参加の促進に貢献する重要なツールであり、さらなる利用拡大が期待されます。これまで東京都は、MCRの利用拡大に努めていると認識していますが、より多くの都民が恩恵を受けられるよう、さらに積極的に取り組んでいくことが求められます。
そこで、現在のMCRの活用状況と今後の取組について伺います。
次に、災害時の衛生環境の確保について伺います。
東京都総務局の令和四年五月公表の被害想定によると、都心南部直下地震が発生した際の断水率は、東京都全体で二六・四%と想定されています。しかし、地域ごとにばらつきがあり、特に区部では、断水率が五〇%を超える区が点在しています。このことから、多くの都民が断水の影響を受ける可能性があり、避難所等における衛生環境の確保が課題となります。
例えば、能登半島地震では、水循環型の温水シャワーや手洗い器を避難所に設置することで、断水時でも、被災者が体の清潔を保て、衛生的な環境を維持することができました。こうした事例は、避難所等での衛生管理において非常に参考になると考えます。
都内においても、災害時に公衆衛生を守るため、断水時の避難所等の衛生環境を確保すべきだと考えますが、見解を伺います。
次に、目黒川における耐震対策について伺います。能登半島地震では、建物の倒壊や土砂崩れに加え、津波による浸水被害も発生しました。この災害を受け、都市部での地震や津波に対する備えの重要性が改めて認識されました。特に、東京の東部低地帯では、地盤が低く、広範囲にわたりエリアが存在し、過去には、洪水や高潮による甚大な被害を経験しています。これらの災害が発生する際、堤防の破壊などが起これば、津波や高潮の影響で広範囲に浸水するリスクが極めて高くなります。
私の地元を通る目黒川下流域においても、底地が広がっており、地震後に発生する可能性がある高潮に備えて、耐震強化などの対策が急務となっています。地震や津波、高潮といった複合的なリスクに対し、地域全体での取組を強化し、より安全なまちづくりを目指す必要があります。
そこで、目黒川における堤防の耐震対策について見解を伺います。
次に、建設アスベスト対策について二点伺います。
一点目は、吹きつけアスベストへの対策です。建築物に対するアスベスト対策は、都民の健康を守るために非常に重要です。最新の国の調査結果では、都内における吹きつけアスベストを使用した民間の大規模建築物一千五百五十五棟のうち、四百七十八棟は未対応となっています。この状況は、飛散による健康リスクを避けるため、未対応建築物への対策強化が必要であることを示しています。
そこで、都における吹きつけアスベストを使用した建築物へのこれまでの対策と今後の取組について見解を伺います。
二点目は、解体工事におけるアスベスト対策についてです。今後、アスベストを使用する建築物の解体工事等が増加することが予想される中、令和五年十月一日から、建築物及び船舶のアスベストの事前調査については、厚生労働大臣が定める資格者が行うことが義務づけられました。解体工事に伴うアスベスト等の粉じんの発散の防止など、これまで以上に現場における法令の遵守徹底が重要になっています。
厚生労働省では、アスベスト対策に関わる全国一斉パトロールを実施し、労働者へのアスベスト等の暴露防止など、国土交通省、環境省と連携し、現場指導や監視の徹底を図っています。
東京都も、巡回調査を実施しているところではありますが、令和十年頃といわれる解体ピークに向け、国、自治体と連携を強化した現場指導、監視を行うべきと考えますが、見解を伺います。
次に、アジア地域との連携強化について伺います。
東京がイノベーションを生み出すグローバルな都市として成長していくためには、スタートアップが生まれ、活躍する環境を整えるとともに、年率五%と大きく成長を続けるアジア市場を取り込むことが重要であります。
さきの第二回定例会の我が会派の代表質問に対して、知事からは、スタートアップや投資家をさらに呼び込み、SusHi Techをイノベーションを生み出す世界に冠たるハブとして大きく成長させる旨の決意が示されました。
都は、この五月にタイや台湾と連携協定を締結しましたが、東京、日本のさらなる成長につなげるためにも、こうしたアジアの各地域との連携強化は非常に大切であり、ネットワークの拡大に向けた取組をさらに展開すべきと考えますが、今後の取組について見解を伺います。
次に、登下校の安全対策について伺います。
登下校中の子供には、多くの危険があります。令和三年に起きた千葉県八街市でトラックが下校中の児童に衝突するという大変痛ましい事故は記憶に新しいところです。また、交通事故のみならず、登下校中の子供への声かけやつきまとい等の事案も頻繁に耳にし、お子さんの登下校に不安を抱いている保護者の方も多いです。
東京都では、通学路の防犯カメラ設置への補助を行ってきましたが、希望する区市町村の設置が完了し、令和三年度で補助事業を終了したと聞いています。そのため、施策について新たな展開を考える必要があると感じます。
全国ではICタグを使用した登下校管理をはじめとするICTを活用した防犯対策等の取組が増える中、東京都としてもそうした事例を参考にしていくべきだと考えますが、見解を伺い、私の質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 青木英太議員の一般質問にお答えいたします。
児童相談体制についてのお尋ねです。
児童虐待に迅速かつ的確に対応するためには、専門的対応能力を持つ都と地域での寄り添い支援を強みとする区市町村が緊密に連携することが重要であります。
都は現在、人口規模などを考慮しまして、児童相談所の管轄区域の見直しを進めておりまして、今年度、練馬児童相談所を開設したほか、来年度以降、都内四か所に設置をいたします。加えて、今般、令和十三年度までを目途といたしまして、新たに目黒区内での設置を目指すことといたしました。
今後、都児童相談所のサテライトオフィスの設置なども進めまして、区市町村の実情に即したきめ細かな児童相談体制を構築し、児童虐待防止に全力で取り組んでまいります。
なお、その他の質問につきましては、教育長、都技監及び関係局長がお答えいたします。
〔教育長浜佳葉子君登壇〕
○教育長(浜佳葉子君) 小学生の登下校についてでございますが、登下校の安全確保には、警察等の関係機関との連携はもとより、地域住民等の参画による地域の実情に応じた取組などを有機的に組み合わせた体制整備が重要でございます。
そのため、都教育委員会は、警察OB等のスクールガードリーダーが巡回して学校安全ボランティアなどへの指導を行い、登下校の見守りの質の向上を図る区市町村の取組を支援しています。
このほか、ICTの活用については、学校が保護者に案内できるよう、都立特別支援学校向けに作成した位置検索機能の使用例を紹介するリーフレットを区市町村教育委員会に新たに周知し、登下校の安全確保を推進してまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、自由が丘駅付近の鉄道立体化についてでございます。
本区間は、東急大井町線と東横線が交差し、二十五か所の踏切が存在するなど、交通阻害や地域分断が課題であり、踏切対策基本方針において、鉄道立体化の検討対象区間に位置づけております。
鉄道立体化は、地域のまちづくりと大きく連動することから、駅周辺で再開発の動きがあることも踏まえ、目黒区と世田谷区が歩調を合わせ、鉄道立体化を契機としたまちづくりの方針や交差する道路整備計画を具体化することが重要でございます。
都は、引き続き、両区の取組を支援し、まちづくりや道路整備計画の検討状況等を踏まえ、適切に対応してまいります。
次に、建築物のアスベスト対策についてでございます。
建物利用者等の健康被害を防止するには、建築物におけるアスベストの飛散防止対策の促進が重要でございます。
これまで都は、建物所有者等に対しまして、建築基準法で規制される吹きつけアスベストの除去等を促すため、パンフレットの配布や特定行政庁としての働きかけを行うとともに、令和四年度には補助制度を創設し、所有者等の取組を支援してまいりました。
今後、都内自治体が参加する対策連絡会などを通じ、所有者等への補助制度の周知徹底や支援体制の充実、個別訪問による取組の強化を促すなど、吹きつけアスベストの除去等の加速に向けて対策を推進してまいります。
〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕
○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 二点の質問にお答えいたします。
初めに、窓口サービスの変革についてでございますが、身近な窓口で申請や相談を希望する都民の目線を大切にしながら、デジタルの力で便利になったと実感できるよう、取組を進めることが重要でございます。このため、待たない、書かない、キャッシュレスを目指し、各局と連携して、来年度までに、全ての窓口でサービス改善を実現いたします。キャッシュレス決済は、今年度中に導入が完了いたします。
また、スマホでのオンライン予約による待ち時間の短縮やタブレットでの簡単な申請入力ができるようにいたします。さらに、全ての窓口で実施しているユーザーレビューの評価を不断の改善につなげてまいります。成果を区市町村や政策連携団体とも共有し、オール東京で窓口DXを推進してまいります。
次に、サイバー攻撃への職員の対応力向上についてでございますが、高度化、巧妙化する攻撃から都民サービスに直結する重要システムなどを守るためには、職員の実践的な対処能力を高めることが重要でございます。
このため、全職員を対象に、最新の動向を反映した研修や攻撃メール訓練を毎年実施しております。また、ICT職が高度なセキュリティスキルを身につけられるよう、専門研修を行っております。今年度は新たに、重要インフラ等への攻撃に対処する訓練を実施してまいります。大規模なサービス停止等を想定し、関係局と連携の上、初動から事態収拾までの一連の対応を演習し、対応力を高めてまいります。
今後とも、研修や訓練の充実を図ることで、全庁のセキュリティ対策を強化してまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、MCRの取組についてでございますが、MCRは、都民がスマートフォンから道路等の損傷や不具合などを投稿し、施設管理者による補修等の進捗状況を確認できる仕組みでございます。
これまで都は、令和元年度の都道における試行開始以来、順次対象エリアを拡大し、現在では、都道全域と全ての都立公園及び隅田川で導入しております。加えまして、各種SNSや多くの人が集まるスポーツイベントを活用したPRなど、利用者の拡大に向けた広報を展開しております。
今後は、隅田川以外の河川への拡大を検討していくとともに、引き続きMCRの利用者の拡大に取り組み、都民と協働した迅速できめ細やかな施設管理に努めてまいります。
次に、目黒川における耐震対策についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、高潮への備えとともに、地震から堤防などの損傷を防ぐ対策を進めていくことが重要でございます。
都は、平成二十四年度に策定した東部低地帯の河川施設整備計画に基づき、想定される最大級の地震に対する整備を進めてまいりました。令和三年度には対策の範囲を拡大した第二期計画を策定し、新たに目黒川において、約二・二キロメートルの堤防を耐震対策の対象に位置づけました。
現在、設計等を進めておりまして、このうち約六百メートルで今年度から工事に着手いたします。
こうした取組を着実に推進し、地域の安全性を高めてまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 避難所の衛生環境の確保についてのご質問でございます。
都はこれまで、避難所などの重要施設につきましては、災害時においても生活用水を確保できるよう、供給ルートとなる水道管路の耐震化を優先的に進めてまいりました。
また、区市町村に対して、避難所の運営指針を示し、被災者の健康維持のため、手洗い場の設置のほか、シャワーや風呂に入ることができる環境の確保を促してまいりました。
今後、避難所でのさらなる生活環境向上に向け、新たな指針を年度内に取りまとめることとしており、その中で、能登半島地震における衛生環境確保に資する取組事例を紹介するなど、区市町村の取組を一層支援してまいります。
〔環境局長松本明子君登壇〕
○環境局長(松本明子君) 解体工事におけるアスベスト対策についてでございますが、アスベスト対策を効率的に進めるには、行政間の連携強化とデジタル技術の活用が有効でございます。
専門職員を有する都はこれまで、国や区市と共同して、現場での立入検査や指導を実施してまいりました。また、研修会の開催や資格取得の支援などを通じ、自治体職員のスキルの向上も図ってまいりました。今後は、VRで解体現場等を再現したコンテンツを制作し、実態に即して学べる研修を充実するほか、アスベスト対策に必要な情報を掲載した地図ソフトを活用し、円滑な立入検査や指導につなげてまいります。
これらにより、区市等との連携を強化し、アスベスト飛散防止の実効性を高めてまいります。
〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕
○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) アジア地域との連携についてのご質問にお答えいたします。
スタートアップエコシステムのさらなる発展に向けましては、来年のSusHi Tech Tokyoも見据え、アジア各地域との連携強化や新たな関係構築を進めていくことが重要でございます。
五月にMOUを締結した台湾及びタイにつきましては、先日、TIB、Tokyo Innovation Baseで、日本・台湾イノベーションサミットを共同開催したほか、先月、タイに担当職員が赴き、イベントの相互出展に向けた調整を進めております。また、新たに拠点を設けたインド、ベンガルールのイベントに、今月初出展いたします。さらに十一月にはインドネシア、マレーシアなどのエコシステムの主要プレーヤーを東京に招くなど、アジアでのネットワーク強化に向け、精力的に取り組んでまいります。
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