○副議長(増子ひろき君) 六十二番大松あきら君。
〔六十二番大松あきら君登壇〕
〔副議長退席、議長着席〕
○六十二番(大松あきら君) 去る六月十六日、石川良一議員が逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表します。
また、先日、能登半島北部を襲った記録的な豪雨によりお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
都議会公明党を代表して質問いたします。
小池知事が三期目に掲げた選挙公約には、都議会公明党の提案も含め、都政課題を解決するための政策が盛り込まれています。
知事は所信表明で、副知事を筆頭に、全庁横断で積極的に取り組む体制を構築したと述べられました。政策をスピード感を持って実現すべく、都議会公明党も取り組んでまいります。
また、今定例会には、七月二十二日、八月三十日に都議会公明党が小池知事に緊急要望したエネルギー、物価高騰対策、コロナワクチン接種の自己負担軽減策、学校給食費の市町村総合交付金を増額しての対応、QRコード決済を活用したポイント還元事業等について補正予算案が提出されており、評価するものです。
こうした知事公約、補正予算案を踏まえ、代表質問ではさらなる提案をしてまいります。
初めに、子供、子育て支援策について伺います。
学校給食費と子供の医療費の無償化における自治体間格差の是正について質問します。
まず、学校給食費の無償化についてです。
本来、学校給食費の無償化は、国の責任において実施すべきであります。都は、本年四月、都内全ての自治体に対して、国が実施するまでの間、学校給食費の二分の一を補助する仕組みをスタートしました。
しかし、現状では、二十三区では全ての自治体で学校給食費の無償化が実施されていますが、多摩地域等においては、比較的財政力の強い自治体のみ学校給食費の無償化が実施されています。多摩地域等においては、依然として十一の自治体で実施できない状況にあったため、都議会公明党は、市長会の強い要請もあり、八月三十日に知事に対し、市町村総合交付金を増額して対応すべきと緊急の申入れを行いました。
今回、補正予算において、都がトータルで市町村の学校給食費の八分の七を助成する仕組みを盛り込んだことは高く評価します。
そこで、この助成の仕組みによって都内全ての市町村が学校給食費の無償化に踏み込めることになったのか、都の見解を求めます。
次に、子供医療費の無償化についてです。
高校三年生世代までの医療費の無償化についても、二十三区は所得制限が撤廃されていますが、多摩地域等においては、財政力によって所得制限が撤廃されている自治体とそうでない自治体があります。都民からは、同じ東京都内に住んでいて、自治体の財政力によって格差が生じるのは不公平だという声があります。
知事は、本定例会の所信表明で、子供の医療費助成についても、来年十月からの所得制限撤廃を目指し、総合交付金による対応を念頭に置いた市町村との協議を加速していきますと述べられました。
重要なことは、市町村の負担を生じさせることなく、制度を恒久化し、市町村が来年度の予算編成に間に合うよう早期に決着することであります。知事の見解を求めます。
次に、乳幼児期の支援について質問します。
まず、知事公約のゼロ歳から二歳までの第一子の保育料の無償化についてです。
ゼロ歳から二歳までの第二子の保育料の無償化については、都議会公明党政策目標、チャレンジエイトの一つであり、都議会公明党の提案を受け、小池知事の決断で昨年十月からスタートしたことを高く評価するものです。
今後は、この無償化の取組をさらに先に進め、第一子まで広げるべきと考えます。知事の見解を求めます。
次に、すくわくプログラムについてです。
都議会公明党は、議会質疑を通じて、乳幼児期の集団保育の重要性や共感力、忍耐力といった非認知能力を育むことの大切さについて繰り返し提案してきました。こうした中、都は、すくわくプログラムを今年度から都内全域で展開しています。二千を超える幼稚園や保育所などが取組を検討しており、本事業に対しての大きな期待の声が数多く上がっています。
とうきょうすくわくプログラムの取組が大きな広がりを見せる中、取組の質を確保していく観点から、幼稚園や保育所等の子供の育ちや学びを支援すべきと考えます。見解を求めます。
次に、助産所での妊婦健康診査について質問します。
助産所で妊婦検査を受診した方は、受診票による公費負担の対象外で、償還払いでの対応がなされていました。
都議会公明党は、予算特別委員会の質疑などを通じて、助産所での妊婦健康診査受診票の使用ができるよう提案をし、また、合意が困難だった区については、都議会公明党と連携し、区議会公明党が議会で取り上げてきました。結果、十月一日から、都内助産所において妊婦健康診査受診票が使用できることを評価するものです。
助産所における妊婦健康診査受診票の使用が十月一日から開始されることになりましたが、使用開始までの議論の過程や都民への普及啓発について見解を求めます。
次に、若者施策の強化について質問します。
都議会公明党の昨年の第四回定例会の代表質問に対して、都は、若者施策についてスピード感を持って対応するため、各局横断で施策の強化を図ると答弁しました。
また、本年の第二回定例会では、子供・若者計画の改定に当たり、若者の意見を適切に反映することを求め、都は若者部会を新たに設置し、若者からの意見を聴取しながら計画改定に取り組んでいることを評価するものです。
一方で、デジタル化やグローバル化の進展など、若者を取り巻く社会状況は目まぐるしく変化しています。こうした中にあって、子供・若者計画はもとより、知事が所信表明で明らかにした新たな戦略策定においても、若者の思いに応え、若者施策の充実を進めていくことが重要であると考えます。見解を求めます。
次に、教育施策について質問します。
初めに、特別支援学校の児童生徒の行方不明対策について質問します。
去る七月十九日、八王子西特別支援学校の高等部一年生の生徒が自宅に帰宅後、行方不明となり、警察、学校、八王子市など多くの関係者の捜索にもかかわらず、七月二十五日、山梨県大月市で亡くなられた状態で発見されました。生徒の方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。
都教育委員会が平成三十年十二月に実施した調査では、特別支援学校の事故全体における行方不明の割合が三一%になることが明らかになりました。今回の事故が起きた特別支援学校の保護者からは、GPSを特別支援学校の児童生徒に装着してもらいたいという要望を受けました。
都教育委員会としても、二度とこのような悲しい事故が起きないように、GPS等、位置が検索できる機器を活用した対策を講じるべきと考えます。教育長の見解を求めます。
次に、教員の負担軽減について質問します。
学校現場においては、保護者や住民からの過剰な苦情や不当な要求が教員の負担となり、業務に支障を来している場合があります。
こうした問題に対し、中央教育審議会は昨年八月、教育委員会等の行政の責任において対応することが重要と提言し、都議会公明党は第一回定例会の代表質問で、教員に代わって保護者や住民に対応する仕組みをつくるよう求めました。
都教育委員会は、ニーズを調査すると答弁していますが、この間にも公明党には各学校現場から、法律の専門家を活用する仕組みを望む声が寄せられています。
教員に代わって、保護者や住民への対応を、法律の専門家の活用も含め、都教育委員会が責任を持って行う体制を整備すべきです。都教育委員会の見解を求めます。
また、保護者や住民の過剰な苦情などへの対応が教員の大きな負担になっている実態を地域にも理解していただけるよう、広報活動を強化していくべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
次に、教員のメンタルヘルスについて質問します。
長時間勤務などが原因でメンタル面で不調となり、若手教員をはじめ、長期的に休職される教員も少なくありません。
現在、都教育委員会は医療機関と連携し、休職中の教員の復職を支援するプログラムを実施しています。学校関係者ではなく、医師や心理の専門家などが教員を直接支援する第三者性が確保された優れた取組であると評価します。
一方で、教員の精神疾患による休職者は増加傾向にあり、こうした支援を拡充していく必要があります。
現在、連携している医療機関に加え、第三者として関与できる他の民間の専門家団体との協力を拡大し、採用間もない若手教員も含め、全ての休職者が復職支援プログラムに参加できるようにするべきです。都教育委員会の見解を求めます。
次に、教員の国際交流について質問します。
グローバル化する世界で活躍できる人材を育成するためには、教員自身が英語力とともに国際感覚を身につける必要があります。
そこで、都教育委員会は教員を海外の大学などに派遣し、現地の学校や教員との交流を通して指導力の向上を図る海外派遣研修を実施しています。さらに、英語科以外の教員も海外派遣研修に加え、東京の教育力向上に大きな成果を上げています。
都教育委員会は今年度から、校長や指導主事なども対象にアジア圏への派遣を開始しました。
こうした取組を受け、今後は、海外派遣研修の成果を教員個人の教育力アップだけにとどまらず、教育委員会や学校の取組の充実につなげていくべきと考えます。都教育委員会の見解を求めます。
次に、都立高校におけるチャレンジサポートプランについて質問します。
都議会公明党は、困難さを抱える生徒を受け入れる学校として、チャレンジスクール等の拡充を求めてきましたが、現在、希望者全員が入れない状況が続いており、その拡充が課題です。
都教育委員会はこのたび、困難を抱える生徒に対し総合的に支援を行うため、都立高校におけるチャレンジサポートプランを策定しましたが、その意義や取組について見解を求めます。
都議会公明党は、本年第一回定例会で、在京外国人生徒募集枠設置校の拡大等について質問し、教育長から、適切な募集規模を検討し、その応募資格等について必要な検討を行っていくとの答弁を得ました。
これに応じ、東京都教育委員会は、先週、在京枠設置校を現在の全日制高校八校に加え、昼夜間定時制四校を新たに設置するとともに、これまで外国籍の生徒に限定していた国籍要件を撤廃し、日本語指導が必要な日本国籍の生徒についても認めることを発表しました。
今後、この制度改正に伴い、より多くの日本語指導が必要な生徒が本入試を受検することが想定されます。
都議会公明党は、入試をはじめ、高校生活など各種相談が受けられるよう、都教育委員会とNPO団体が連携協力して高校進学ガイダンスを開催するよう求めてきました。
そこで、今後、日本語指導が必要な生徒の受入れ環境充実を図るべきです。また、NPOの知見も生かした連携も視野に、新たな入試制度について、受検生が対応できるようにするための取組について、併せて見解を求めます。
次に、医療施策について伺います。
初めに、救急医療における東京ルールの着実な運用について質問します。
救急医療における東京ルールは、都内に十二ある二次医療圏ごとに地域救急医療センターを設置し、救急患者で五回以上、または二十分以上照会を行っても搬送先が決まらない場合、同センターが調整を行う仕組みです。
しかし、救急現場においては、東京ルール事案の患者の迅速な受入れが困難な状況にあります。その原因として、年々、高齢者の救急搬送が増加し、入院の際、看護師が看護と併せて介護の仕事をしなければならず、人手不足が生じ、救急医療機関が受入れを断るという実態が挙げられます。
都は、こういった実態を踏まえ、救急医療において東京ルールが着実に適用されるよう対策を講じるべきです。見解を求めます。
次に、下水疫学調査、いわゆる下水サーベイランスについて質問します。
新型コロナウイルス感染症は、今年五月以降、第十一波といわれるほど患者数が増加し、医療機関には再びの危機感が走りました。
患者数の把握は全数把握から定点把握となり、報告の負担は軽減されましたが、リアルタイムでの現状把握や、傾向と対策が難しい状況となっています。
一方で、下水中のウイルスを検査、監視する下水サーベイランスは、受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状感染者を含めた感染状況を反映する客観的指標としての活用が期待されています。
都内医療機関からは、都において、下水サーベイランスを実施、公表し、医療機関としての傾向と対策や都民の注意喚起の参考にしていくべきとの声が上がっています。
先日、国から各都道府県に向けて、感染症流行予測調査実施要領が示され、下水からの新型コロナウイルスRNA抽出による感染源調査が求められましたが、都は迅速に対応し、実効性のある対策を講じるべきと考えます。見解を求めます。
次に、アピアランスケア支援について質問します。
都は、都議会公明党の求めに応え、がん治療に伴う外見の変化を補うアピアランスケア支援事業を開始し、今年度は四十二自治体が実施になる予定と聞いています。
一方、事故や病気、先天性などで身体の一部を失った方や、手術の傷痕など外見の変化に伴い、健常者と障害者のはざまに置かれ、精神的な苦痛を感じながら生活している方々も少なくありません。
そこで注目されているのが、エピテーゼというシリコン製の装具です。その人の皮膚の色や形を再現したもので、外見を整えることで、自己肯定感や社会復帰などQOLの向上にも貢献しています。
これまで都議会公明党が支援を求めてきたがん以外の病気等を原因とする外見の変化や片目失明者への義眼、そしてエピテーゼについても、都のアピアランスケア事業の対象としていくべきと考えます。都議会公明党が求めた実態調査の結果も踏まえ、見解を求めます。
次に、福祉、高齢者施策について伺います。
初めに、知事の公約の一つである都独自の介護職の昇給制度について、二点提案します。
一点目は、働き手の意欲の向上につながる資格取得支援と昇給を結びつける取組です。
まずは、働きながら介護福祉士等の資格取得に挑戦できる環境を都が整え、資格取得者への昇給を促す原資を都が補助するべきと考えます。
さらには、重要な立場にありながら、なかなか昇給の機会に恵まれにくい施設長やリーダー職に対して、都が研修を実施して認証するとともに、これに対してもさらなる昇給を促す原資を補助するべきと考えます。併せて見解を求めます。
二点目は、働きやすく、定着につながる職場への改善を促す要職の養成です。
施設長は、職場のメンタルヘルスの保持、働き方改革への対応、ハラスメント対策など、その役割の重要性はますます高まっています。
そこで、都は、介護をめぐる社会環境の変化に応じた研修を定期的に実施し、施設長をはじめとした介護職員の資質の向上を図るべきと考えます。見解を求めます。
次に、シルバーパスの改善について質問します。
高齢者がいつまでも元気で活躍していただくために、シルバーパスの果たす役割は重要です。
都議会公明党は繰り返し、利用者負担の軽減について、所得にかかわらず現行の安い金額にすべきと提案してきました。
シルバーパスの制度は、二〇〇〇年以降二十五年間見直しがなされておらず、バス会社への運賃補償については、この間の物価高騰や人材確保に見合ったものになっていません。
そこで、多摩都市モノレールへの利用拡大や自己負担の軽減など、在り方を検討すべき時期が来ていると考えます。
都議会公明党はこれまで、事業の継続と充実を要望してきましたが、高齢者の社会参加を促進する観点から、シルバーパスの抜本的な見直しを図り、改善すべきと考えます。知事の見解を求めます。
次に、災害対策について伺います。
初めに、オール東京による災害廃棄物の処理体制の強化について質問します。
都議会公明党は、二月の知事への緊急要望、第一回定例会の代表質問において、能登半島地震からの一日も早い復興のために、災害廃棄物を北陸三県だけではなく、東京都において、区市町村の協力の下、受入れ処理すべきであると訴えてきました。
都は、能登半島地震の被災家屋の解体、撤去等に係る技術支援を行うため、都職員や区市町村職員を延べ五百名以上派遣してきました。しかし、能登半島における公費解体は一〇%にとどまっています。
このような状況を踏まえ、ようやく国も都に対し、災害廃棄物の広域処理を要請してきたことから、都は、二十三区、多摩地域の自治体などの協力の下、都内清掃工場での九月末受入れに向けて準備をしています。
都は、首都直下型地震を想定し、能登半島地震での教訓も踏まえ、オール東京での災害廃棄物の処理体制の強化を進めるべきであります。知事の見解を求めます。
次に、豪雨対策について質問します。
八月の台風十号では、都内でも多摩地区で総雨量四百ミリを超える豪雨があり、豪雨対策は喫緊の課題です。
都議会公明党はこれまでも、激甚化する豪雨による河川氾濫の対策として、調節池の整備を政策目標、チャレンジエイトに掲げ、都の取組を後押ししてきました。
都も調節池等の整備を進め、この夏の豪雨では中小河川の水位の低下に効果を発揮したところであります。今後も、激甚化、頻発化する豪雨から都民の安心・安全を確保するためにも、効果の高い調節池等の整備をさらに進めていくことが重要です。
そこで、今夏の集中豪雨に対し、調節池が発揮した効果と今後の整備に向けた知事の見解を求めます。
次に、内水氾濫対策について質問します。
都は、時間七十五ミリの雨量にも耐え得る下水道整備を進めるため、六十七の地域を重点地区に掲げ、対策を進めております。しかし、現在対策が完了している重点地区は約四二%にとどまっています。
記録的短時間大雨情報が発表された七月三十一日、内水氾濫による浸水被害が出た地域の中には、重点地区に掲げられているものの、整備未着手の地域も含まれていました。
一方、一部完成した施設を貯留施設として活用し、被害を防げた地域もあります。
そこで、一部完成した施設でも暫定的に貯留施設として活用するなど、早期に効果を発現させる取組を進めるべきと考えます。区部における浸水対策について見解を求めます。
また、内水氾濫を防ぐには、雨水をしみ込ませるまちづくりを進めることが重要です。区市においても雨水浸透ます等の設置助成を進めていますが、その活用数は多くなく、今年の豪雨の状況からも、これまで以上に取組を加速する必要があります。
そこで、個人住宅への雨水浸透ます設置に向け、都民の意識を向上させる取組を進めるべきと考えます。見解を求めます。
次に、災害時のトイレ対策について質問します。
本年一月に発生した能登半島地震では、水洗トイレが使用できないため、使用を控える避難者が二次的に健康を害するなど、最も重要な課題としてトイレ問題が顕在化しました。
その状況下、被災地では、トイレトレーラーやトイレの排水を無臭で飲用可能なレベルまで処理する循環型トイレも活躍しました。このトイレは、排せつ物のくみ取りや水の補充や部品の交換が不要であり、メンテナンスフリーで避難者はもちろん、自治体職員に大変喜ばれています。
こうした事例を参考に、都や基礎自治体が災害に備えて、し尿の処理等も考慮した様々な種類のトイレ対策を計画的に取り組むことが重要です。
そこで、都は、各自治体が地域特性に応じて災害用トイレの確保に取り組めるよう支援していくべきです。見解を求めます。
次に、無電柱化へのDXの活用について質問します。
本年一月に発生した能登半島地震では、多くの電柱が倒壊し、電線の破断により、避難や救援活動の支障となりました。首都直下型地震に備え、東京強靱化をさらに進展させるためには、無電柱化の一層の推進が必要です。
無電柱化には、道路地下に電線共同溝を設置するスペースを確保する必要があります。この地下空間には、ガス、水道管のほか、電気、電話線、下水道管など、官民の様々な管理者が保有する地下埋設物が存在しており、移設に向けた調整や工事には多くの時間を要します。
そこで、今後、地下埋設物の移設に向けた地下の3D化など、DXの活用により無電柱化をスピードアップすることが重要だと考えます。見解を求めます。
次に、災害時の位置情報活用について質問します。
多くの人が所持する携帯端末の位置情報は、災害時の不明者捜索に大きな効果があると思われます。位置情報は、プライバシー保護の観点から慎重な取扱いが求められますが、災害時には警察、消防等の要請に基づき、対象者を特定した上で活用されてきました。
能登半島地震では、携帯端末の位置情報が不明者捜索に積極的に活用されましたが、このほど国は、自治体が安否不明者名簿に基づき、通信事業者に位置情報の提供を求めることができるよう運用を見直しました。
こうした中、都においては、都内区市町村や隣接県との間における不明者名簿の取りまとめや、警察、消防との具体的な連携方策、さらに通信事業者との調整など、様々な課題があります。都は、位置情報の活用に向けた取組を速やかに進めるべきです。見解を求めます。
次に、産業施策について伺います。
初めに、中小企業への資金繰り支援策について質問します。
エネルギーや各種原材料の高騰などにより、中小、小規模事業者は厳しい経営状況に追い込まれており、資金繰りにおいても、ゼロゼロ融資の返済やマイナス金利の解除などにより、厳しい状況になっています。
そのような中、都が独自に実施している東京プラスサポート融資制度は、都が地域の金融機関と連携し、原則無担保で事業性資金をスピード感を持って融資しており、中小、小規模事業者から評価を得ています。
制度融資の利用だけでは足らず、追加資金が必要な事業者にとって、この制度がさらに利用しやすくなることが大事です。
そこで、都は現在の厳しい経済状況を踏まえ、この制度を活用した資金繰りの負担軽減策を図るべきと考えます。見解を求めます。
次に、中小企業の事業承継支援について質問します。
後継者難による倒産件数は六年連続で増加しており、さらなる対策が必要です。
また、中小企業の事業承継には、M&Aが有効な手段の一つである一方、悪質な事業者が高い仲介手数料を取るなど、M&Aのイメージが悪化しております。
東京商工会議所や商工会等の経済団体からは、M&Aへの信頼醸成に向けた公的機関の関与の強化が必要との声が寄せられています。
こうした状況を踏まえ、国において、M&Aガイドラインを改定したところですが、都としても、中小企業が安心して事業承継に臨めるよう、寄り添った相談対応により後継者を見つけ、望ましいM&A等に至った成功事例の紹介や、悪質な事業者による被害を防止する対策を強化するべきです。見解を求めます。
また、中小企業の技術力の継承と得意先保護の観点から、事情をよく知る同じ業界の中小企業によるM&Aに期待する声を耳にします。
都は、こうしたニーズに応えるためのM&Aを仕掛ける側に対する支援策を整えていますが、資金が不足し断念するケースや、そもそも融資メニューを把握できていないケースもあります。事実、業界団体からは、M&Aに乗り出し、業界の仲間の支援に取り組む上での融資を待ち望む声が寄せられています。
都は、買い取る事業者も支援の対象であることを積極的に情報提供するとともに、経済団体と連携した取組を強化するべきです。見解を求めます。
次に、入札制度の改善について質問します。
都は、七年前の入札制度改革において、全ての東京都発注工事について、予定価格の事前公表を廃止しようとしました。しかし、中小建設業界からの強い要請を踏まえ、積算業務の負担軽減の観点から、建築工事については四・四億円未満、土木工事については三・五億円未満、設備工事においては二・五億円未満の価格帯の案件を事前公表のままとしました。
現在の資材及び人件費の高騰においては、七年前の価格帯では実態に合っておらず、中小建設業界からは事前公表の価格帯の見直しを行うべきであるとの声が上がっています。
そこで、東京都発注工事の事前公表の価格帯を、現在の経済状況を踏まえ、改めて見直すべきと考えます。見解を求めます。
また、七年前の入札制度改革において、大規模工事契約の条件としていたJV制度の義務化を見直す際に、JVによって中小建設業が大手建設業から技術等を学ぶ貴重な機会であることを踏まえ、技術者育成モデルJV工事を導入しました。
しかし、実態は、令和五年度までの六年間の平均モデルJV工事は年間三・七件しかありません。これでは中小建設業が実績を積む機会がほとんどないといっても過言ではありません。
災害時における地域の守り手としての中小建設業の技術力向上を図るため、技術者育成モデルJV工事の取組を強化すべきと考えます。見解を求めます。
次に、最低制限価格の適用拡大について質問します。
最低制限のない、いわゆるダンピング受注は労働者の賃金へのしわ寄せが懸念されることから、都議会公明党は、最低制限価格の導入をかねてより求めてまいりました。
委託の経費を構成する主な要素は人件費であり、最低賃金の持続的上昇が見込まれる中で、労働者の処遇と業務委託の品質の確保の両立を図るためには、最低制限価格制度のさらなる適用の拡大が必要です。
委託には、請負と準委任の区分がありますが、法令上最低制限価格を導入できるのは請負に限られています。
しかし、請負と準委任の区分はいま一つ不明確であり、都は国に対し、人件費を主な内容とする委託はことごとく請負に区分できるという方針を示すか、準委任であっても発注者の判断により最低制限価格を設定できるとするよう求めるべきです。見解を求めます。
次に、公共工事における猛暑対策について質問します。
都議会公明党は、昨年の第三回定例会で工事中断指示等の熱中症対策を求め、また、今年七月二十二日には改めて小池知事に対し、同様の緊急要望を行ったところであります。この夏は猛暑日の延べ回数を含め、記録を更新する暑さとなりました。
都は、熱中症対策としての都による工期の割増しを行うとともに、これに伴う経費増への対応を、建築を含む営繕工事全般に広げ、発注当初から契約内容に反映させていくべきであります。
また、そうした事前の対策を講じてもなお足りないほど猛暑日が続く場合は、柔軟に契約変更に応じるべきです。見解を求めます。
次に、東京都社会的責任調達について質問します。
都は、我が党の提案を受け、「未来の東京」戦略において、SDGs目線の取組を都庁から世界に広げ、持続可能な社会に貢献することを掲げました。こうした中、都が持続可能性にも配慮した調達を行うことを通じて、都の調達にとどまらず、受注者に対してサプライチェーンを担う事業者も含め、環境、人権、労働及び経済の各分野で持続可能な社会に貢献する指針として、東京都社会的責任調達指針を策定したことを評価します。
今後、都は、中小企業に対し指針の周知において、経営者に寄り添って、丁寧にその趣旨や意義をしっかり伝え、共感を得るべきです。
また、取組が不十分な事業者に対し、ペナルティーを科すのではなく、望ましい取組を促進させる支援が必要と考えます。見解を求めます。
次に、タクシーへの燃料費支援について質問します。
今般の補正予算案には、都議会公明党が繰り返し求めてきたタクシーに対する燃料費支援が計上されていることを高く評価します。
タクシーはバスと同様に重要な公共交通であり、国ではこれまでも、タクシーを燃料費支援の対象としてきました。
今回、都が初めてタクシーへの燃料費支援を決断するに至った経緯とその支援内容を明らかにすべきです。また、全タクシー事業者を支援対象とするべきと考えます。見解を求めます。
次に、都政の諸課題について質問します。
初めに、カスハラ防止条例について質問します。
全国初となるカスタマーハラスメントを禁止する条例案が本定例会に提出されました。
これは、都議会公明党の早期制定の求めに応えたものであり、インターネットを含むあらゆる場のハラスメントの禁止規定が設けられ、現場での運用の鍵となるガイドラインについて、指針の作成という形で盛り込まれた点も評価するものであります。
サービス業の現場では、カスタマーハラスメントや、それによる人材流出の危機感から、対面サービスを縮小する動きも見られるなど深刻な状況が続いており、国や他の自治体でも法律や条例の検討も進み始め、都の動向は極めて高い注目を集めております。
産業や働き手が集積する東京都が、今こそ全国初の条例で先鞭をつけることによって、国による法制化にも弾みをつけていくべきであります。また、企業に所属しない方を含め、幅広い働き手を都条例で守り、被害者がアクセスしやすい支援体制も設けるべきと考えます。本条例案の意義と併せて知事の見解を求めます。
都が実施したパブリックコメントでは、悪質な行為について罰則を望む意見や、被害者の救済に行政の支援を求める意見も寄せられております。
都は、条例を解説する指針を早期に作成し、罰則を設けない意義や、悪質な行為は刑法の犯罪に該当することなどを伝え、条例の理解を一層広げていくべきと考えます。見解を求めます。
なお、罰則がない中で実効性を確保するためには、カスハラとなる行為の抑止効果が期待でき、事実確認も容易となる録音や録画機器の整備も有効であり、支援すべきであると要望いたします。
次に、チャレンジエイトの一つである鉄道駅のホームドアの整備について質問します。
これまでも、技術面から課題解決を図るための検討会設置の提案や、特別支援学校の最寄り駅等への優先かつ早期整備を訴えてきました。
小池知事は、斉藤国土交通大臣にホームドアの整備加速を要望し、このたび整備の加速に向けた官民協議会を設置しました。
新たな官民協議会においては、さきの検討会で実施した技術的課題の検討結果等も生かし、国と連携しながら、財政面や施工面などの課題も含めて実効性ある対応策を検討すべきと考えます。見解を求めます。
次に、多摩都市モノレールの町田方面延伸について質問します。
多摩都市モノレールは、四百万人もの人口を抱える多摩地域の発展に大きな役割を果たしています。現在、箱根ケ崎方面への延伸が事業化に向けて着々と準備が進められています。
一方、多摩センターから町田方面への延伸は、二〇二二年に都のルート検討委員会がルートを公表し、今年三月、地元多摩市と町田市がモノレール沿線まちづくり構想をまとめました。
また、都議会では昨年三月、三万人を超える署名が集まった町田方面延伸の早期実現を求める請願が採択されました。
さきの都知事選では、小池知事が公約にも掲げ、箱根ケ崎方面の延伸、さらに町田方面延伸の決定に向けても取り組むと表明したことに多摩地域の住民は喜んでいます。
多摩都市モノレールの町田方面延伸の決定に向けた取組について知事の見解を求めます。
次に、都市計画道路の整備方針について質問します。
二〇一六年度からの第四次事業化計画を策定する際には、二〇一三年に検討委員会を立ち上げ、有識者や地元区市町と共に検討を進め、二〇一五年五月に優先整備路線の選定について中間のまとめを公表しました。幅広い都民の意見を把握するため、パブリックコメント等を行い、二〇一五年度末、整備方針を策定しました。
今後、予定される二〇二六年度からの整備方針については、歩道のない都道、狭隘道路の解消、整備の遅れている多摩の都道や多摩都市モノレールの町田延伸の導入空間の確保など、優先整備路線を選定すべきです。
次期整備方針に関する検討の進め方など、今後の都の取組について見解を求めます。
次に、火葬場不足等における多死社会の課題について質問します。
都議会公明党はこれまで、火葬待ち日数の増加や火葬料金の官民格差、誇大広告による葬儀にまつわる消費者トラブルなどを取り上げ、都に対応を求めてきました。
特に最近では、多くの民営火葬場で一般の火葬料金が九万円と高騰していることから、都議会公明党は、党都本部にプロジェクトチームを設置して、各区議会議員と連携して課題の調査研究を行ってきました。都内の死亡者は年々増加し、現在の公営火葬場が今後予定している火葬数増加対策だけでは火葬待ちも解消されず、地域によっては高額な民間に頼らざるを得ない状況が続くと考えられます。
現在、公営火葬場の新設を求める請願陳情が複数の区議会で採択等されています。
今後、臨海斎場のように、複数区で新たな火葬場を設置するということになれば、都としても関係自治体に対して支援を行うべきと考えます。見解を求めます。
また、独居高齢者の増加や親族の遺体引取り拒否の増加によって、身寄りのない遺体、いわゆる無縁遺体が増加しています。特に、身元特定のためにDNA鑑定が入ると、平均して二か月ほどの期間を要するとも聞いています。
遺体安置に係る費用負担は最終的に自治体が行うことになっていますが、都立の葬儀所においても保管場所の増設に取り組むべきと考えます。見解を求めます。
次に、お台場海浜公園における噴水の整備について質問します。
都は、先般、臨海副都心に高さ百五十メートルの噴水と横幅二百五十メートルの噴水を組み合わせた仮称ODAIBAファウンテンを整備することを発表しました。
この噴水は世界最大級の規模とのことでありますが、この事業を進めていくに当たっては、地域の皆様の理解を得ることが何より重要であります。また、都民の税金を新たに支出しないスキームで取り組むべきであります。見解を求めます。
最後に、デフリンピックの成功に向けた取組について質問します。
来年のデフリンピックの開催時期が十一月十五日から二十六日と決まりました。大会の準備を進める上で、今年の一年前イベントは極めて重要な機会となります。
大会の成功に向け、デフリンピックの概要の都民へのアピール、当事者の参画並びに都民の皆様のボランティア参加の推進、子供の競技観戦の推進などの点で、準備に弾みをつけていくべきと考えます。見解を求め、質問を終わります。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) 大松あきら議員の代表質問にお答えいたします。
子供の医療費助成についてご質問がございました。
都は、子供の医療費助成につきまして、令和五年度から一定の基準の下、高校生等に対象を拡大して実施をいたしております。
少子化が急速に進行する中、望む人が子供を安心して育てられる環境づくりのさらなる促進が必要でございます。
全ての子供の健全な育ちと子育て世帯の経済的負担の軽減を進めるため、子供の医療費助成につきまして、来年十月からの所得制限撤廃を目指して、市町村との協議を加速してまいります。
財政事情によることなく全ての市町村が持続的に事業を実施できるよう、総合交付金を措置することを念頭に置き、早期の合意を目指してまいります。
保育料の無償化についてのご質問です。
都は、子供を持ちたいと願う方々が安心して子供を産み育てることができる環境を整備するため、様々な子供、子育て支援施策を強力に推進してまいりました。
令和五年十月からは、経済的理由で子供を二人以上育てたいという願いを諦めずに済むよう、都独自に第二子の保育料無償化に取り組んでおります。
この施策を一歩先に進め、保育料無償化の第一子への対象拡大につきまして具体的に検討してまいります。
次に、シルバーパスについてであります。
シルバーパス制度は、現在の制度となりましてから四半世紀が経過をし、平均寿命、健康寿命の延伸や交通事情の変化、地域における移動手段の多様化など、本事業をめぐる環境は大きく変化しております。
このような状況の変化を踏まえまして、アクティブな長寿社会の実現を目指し、高齢者の社会参加に加え、福祉、まちづくりなど、高齢者施策全体を総合的に議論していく必要がございます。
こうした議論の中で、シルバーパスにつきましても利用実態を把握しながら、高齢者の社会参加を支える事業として、制度の改善に向け、検討を行ってまいります。
次に、東京全体での災害廃棄物の処理についてであります。
能登半島地震や、このたびの記録的な豪雨からの一日も早い復興に向けまして、都が先頭に立って、区市町村等と共に支援に取り組むことが重要でございます。
都は、区部及び多摩地域の清掃工場の協力を得まして、明後日から東京全体での受入れを開始いたします。また、鉄道コンテナを保有する横浜市や川崎市とも連携し、輸送力を確保いたします。
さらに、補正予算によりまして、鉄道コンテナ百基を来年度にかけて順次製造をし、広域処理の迅速化と首都直下地震への備えを強化してまいります。
今後、都内自治体や一部事務組合との連携を深めまして、専門人材の育成強化を含めた実効性の高い災害廃棄物処理対策を確立してまいります。
備えよ常にの認識の下、東京全体での取組を一層充実させ、首都直下地震への対応力の強化を図ってまいります。
次に、調節池整備の推進についてのお尋ねがございました。
激甚化、頻発化する豪雨に対しまして、平常時から、備えよ常にの精神で万全な準備をしておくことが重要であります。
都は、これまでに調節池を二十七か所、総貯留量約二百六十四万立米分整備をしておりまして、本年八月末の台風十号による大雨の際は、十一か所で洪水を取水し、水位を低下させました。
現在、八か所で約百三十万立米分の調節池工事を実施しておりまして、このうち下高井戸調節池と下谷橋調節池で今年度中に稼働を開始いたします。
さらに、気候変動への備えといたしまして、二〇三〇年度までに約二百万立米分の調節池の事業化を目指すとともに、環七地下広域調節池等を連結しまして、東京湾までつなげる、いわば新しい川を地下に一本つくる取組を推進いたします。
引き続き、河川施設の整備を一層推進しまして、気候危機に打ちかつ強靱な都市東京を実現してまいります。
次に、カスタマー・ハラスメント防止条例についてでございます。
働く人が傷つけられ精神的なダメージを受け、人材の流出も招くカスタマーハラスメントをこれ以上放置することはできません。こうした行為を、職場の努力や労働者を守る法律だけで防ぐことは困難であります。
そのため、都独自の規範といたしまして、あらゆる人を対象にカスタマーハラスメントを禁止する条例案を提出いたしました。国や他の自治体の取組との相乗効果によりまして、ハラスメントは許されないとの理念を社会に広く浸透させてまいります。
カスタマーハラスメントの被害者に対しましては、条例で事業者による安全の確保や配慮を求め、指針におきましてその具体的な方法を示します。
加えまして、職場で支援を求めることが難しい方や組織に所属しない方が相談しやすい体制を構築してまいります。
そして、最後のご質問でございますが、多摩都市モノレールの町田延伸についてのご質問です。
多摩地域は四百万人もの人口を擁し、豊かな自然、そして良好な住環境に恵まれ、また、多くの大学や研究機関が集積するなど、その発展は活力ある東京の実現に欠くことができません。
多摩都市モノレールの町田方面への延伸によりまして、開業区間と一体となって南北方向の拠点が結ばれ、多摩地域の活力や魅力がさらに向上をいたします。
昨年度末に地元二市が連携し、沿線まちづくり構想を策定したところであり、都はそうした動向を踏まえ、今年度から関係機関等と共に導入空間となる道路の検討や延伸の事業検証に着手をいたしました。
引き続き、地元市によるまちづくりの深度化や関係機関等との協議、調整状況を勘案しながら、本路線の具体化に向けまして取り組んでまいります。
なお、その他の質問につきましては、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
〔教育長浜佳葉子君登壇〕
○教育長(浜佳葉子君) 七点のご質問にお答えいたします。
まず、特別支援学校の行方不明対策についてでございますが、都教育委員会は平成二十八年度から二年間、位置検索機器を保護者に貸与し、登下校時に児童生徒に携帯させるモデル事業を実施いたしました。
この事業では、行方不明による事故の発生率は低下しましたが、機器を持つことを嫌がったり忘れてしまうなどの事例が見られました。近年、衣服などにつけても気にならない小型軽量な機器が開発され、持ち歩くことが困難な児童生徒においても活用できる可能性が広がってきております。
今後、児童生徒が安全に通学できるよう、これらの機器の活用など効果的な対策を速やかに検討してまいります。
次に、学校の保護者対応等における専門家活用についてでございますが、都教育委員会は保護者等への対応に苦慮する事例において教員の負担を軽減できるよう、学校問題解決サポートセンターを設置し、弁護士、医師等の専門家を迅速に学校へ派遣することで、都内公立学校の管理職等に直接助言するなどの支援をしております。
加えて、本年七月に区市町村教育委員会に対して保護者対応等における専門家活用の実態について調査を実施したところであり、今後、各区市町村の意向を聞き取るなどして教員の負担軽減につながる効果的な支援について検討してまいります。
次に、働き方改革への保護者等の理解の促進についてでございますが、保護者や地域と信頼関係を築き理解と協力を得ることは、学校の働き方改革を進める上で重要でございます。
このため、都教育委員会は、保護者や地域に向けて教員の長時間勤務の実態や働き方改革の具体例と教育の質への効果等を記載したチラシを配布するなど、普及啓発を図っております。また、保護者と学校との適切なコミュニケーションを呼びかけるポスターを新たに作成し、学校等に掲示しております。
今後とも、区市町村教育委員会と連携し、各学校が働き方改革に取り組みやすい環境づくりを推進してまいります。
次に、教員のメンタルヘルス対策についてでございますが、都教育委員会では臨床心理士等が小中学校を訪問し、全教員と面談するアウトリーチ型相談事業や精神科医等による相談、医療機関と連携した職場復帰支援など様々な取組を実施しております。
一方で、休職者が増加していることから、今年度、アウトリーチ型相談事業の対象を都立学校にも拡大したほか、休職者等に向けて心の健康回復に役立つ知識等を学べるミニ動画を精神科医の監修の下、制作、配信いたします。
今後、若手教員を含め、復職を目指す教員への支援の充実に向け、外部専門家を一層活用した対策について検討し、メンタルヘルス対策を推進してまいります。
次に、教員の海外派遣研修についてでございますが、国際交流を組織的に進めていくため、従来の英語科教員向けの研修に加え、今年度新たに校長や指導主事等も対象とした研修をシンガポールで実施いたしました。
現地では、大学等で教育制度や指導法等についての意見交換を行ったほか、現地校を視察し、国際交流等に関する実践的な理解を深めました。また、校種及び役職を超えた参加者間のネットワークが形成され、研修後、各校の具体的な取組が共有されるなどの成果を得ております。
今後、教育委員会における施策立案や各校の取組にも生かせるよう、成果を普及する報告会を実施するなど、グローバル人材の育成をさらに推進してまいります。
次に、チャレンジサポートプランの意義等についてでございますが、都立高校では不登校経験等、困難を抱える生徒が増加し、ニーズも多様化しているため、総合的な支援が必要でございます。
そのため、不登校経験や発達障害等のある生徒、日本語指導が必要な生徒等に対して、各都立高校において専門家による相談体制の充実や教室外での居場所の確保等を行うとともに、事情や悩みに応じた適切な支援を実施してまいります。さらに、生徒の受入れ環境の充実に向けてチャレンジスクールの規模拡大を行うなど、多様な生徒に対応した適切な教育、学習環境を用意してまいります。
本プランの取組を着実に進め、全ての子供が将来への希望を持って自ら伸び、育つ教育を実施してまいります。
次に、在京外国人生徒の受入れ環境等についてでございますが、都教育委員会は、令和七年度入学者選抜から、これまでの設置校に加えて単位制である昼夜間定時制高校にも新たに在京外国人枠を設置し、生徒の興味や関心に合わせた教科、科目の選択、柔軟な単位取得など、昼夜間定時制高校の特徴を生かした指導を行ってまいります。
また、来月、在京外国人枠設置校の拡大や応募資格を緩和する入試制度に関する説明会を、本入試を実施する全ての高校が参加の下、新たに開催いたします。
加えて、都立高校の合同説明会においても専門の相談窓口を設け、きめ細かな情報提供を行うなど、今後様々な機会を捉え、NPO団体のノウハウも活用し周知を図ってまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、雨水流出抑制の推進についてでございます。
河川や下水道等の負荷を軽減する雨水浸透ますは、公共施設に加え、個人住宅にも広げることで大きな効果が期待されることから、都民の豪雨対策への意識向上が重要であり、都は、これまでも雨水貯留浸透施設等への補助を拡充するとともに、広報誌や動画配信により豪雨への備えなどの普及啓発を実施してまいりました。
今年度は、雨水流出抑制に取り組んでいる五十六の行政や民間企業などを雨水しみこみアンバサダーに認定し、官民連携による都民の意識向上を図ることといたしました。
こうした多くのアンバサダー等による普及啓発により、さらに雨水流出抑制対策を推進してまいります。
次に、タクシーへの燃料費支援についてでございます。
タクシーは、観光やビジネスだけでなく、通院や高齢者の移動手段など、都民生活と直結した役割も果たしております。また、コロナ禍を経て利用者のニーズが変化し、タクシーを含めた移動手段が多様化してきております。
令和四年以降の運賃改定後も依然として燃料価格の高騰や人材不足が続き、厳しい状況にあるタクシー事業者についても速やかに価格転嫁することが困難な事情を考慮し、今回、燃料費の支援を実施することといたしました。
実施に当たっては、都内の全タクシーを対象として一台当たり一万二千円を支援いたします。今後は幅広く広報を展開し、事業者の制度活用を促進してまいります。
次に、ホームドア整備の加速についてでございます。
ホームドアは、駅利用者の転落を防止し、かけがえのない人の命を救う重要な施設でございます。その整備には、ホームの補強や通路幅の確保などの課題があり、官民が連携し取り組むことが不可欠でございます。
都は、本年七月に国土交通大臣に整備加速を要請するとともに、八月には鉄道事業者と国が参画するホームドアの整備加速に関する協議会を設置いたしました。
協議会では、鉄道事業の許認可権限を有する国の技術的な支援も得ながら、設計基準の運用改善や新技術の活用など、工期短縮やコスト縮減につながる対策を検討し、整備の加速を実現してまいります。
最後に、都市計画道路の整備方針についてでございます。
都市計画道路は、交通、物流機能の向上による経済の活性化のみならず、日々の生活を支え、災害時には救急救援活動を担う重要な都市基盤でございます。
都はこれまで、おおむね十年ごとに優先的に整備すべき路線を選定し、計画的、効率的な都市計画道路の整備に取り組んでまいりました。
現在の整備方針の計画期間が令和七年度末であることから、来月、学識経験者による委員会や都と区市町による検討会を設置いたします。
今後、区市町と連携し、幅広く都民意見の把握に努めながら、新たな整備方針の策定に向け検討を進めてまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 四点の質問にお答えいたします。
まず、学校給食費の負担軽減についてのご質問でございます。
学校給食費は子育て世帯の大きな負担となっており、本来、その無償化は国の責任と財源で実施すべきでございます。
都は、子育て世帯の経済的不安を解消するため、国の方策が講じられるまでの間、市町村の取組費用の二分の一を支援することといたしました。さらに、市町村が取り組む各種施策に要する一般財源を補完するための市町村総合交付金について政策連携枠で十七億円拡充し、無償化に係る経費全体の八分の七相当までを都が支援することといたしました。
今回の都の方針を受け、早速複数の自治体が新たに無償化に取り組むことを表明しており、全ての市町村で学校給食の無償化に向け検討していると聞いております。
次に、災害用トイレに係る区市町村への支援についてのご質問でございます。
能登半島地震においては、ライフラインが深刻な被害を受け、トイレの衛生環境が悪化いたしました。
そのため、都は、今年度、能登半島地震の教訓や区市町村、専門家の意見などを踏まえ、災害時のトイレ環境の向上に向けた計画策定に取り組んでおります。
現在、区市町村が災害用トイレを適切に配備できるよう、発災直後、復旧期、それぞれの段階や、下水道管や建物などの被害想定を踏まえ、地域特性に応じて、必要となるトイレの量や種類などを検討しております。
今後、計画を年度内に取りまとめ、発災時にも衛生的なトイレを安心して利用できるよう、区市町村の取組を支援してまいります。
次に、災害時の携帯電話位置情報の活用についてのご質問でございます。
災害時に住民の安否確認を円滑に行うためには携帯電話の位置情報は有益であり、本年六月、国は自治体の災害対策本部が携帯電話事業者へ位置情報の提供を要請できることといたしました。
都は、発災後、区市町村が得た氏名など、安否不明者の情報を収集しており、位置情報の活用のためには携帯番号など、さらに詳細な情報が必要でございます。また、人の行き来が激しい首都圏では、速やかな安否確認のため、近隣自治体等との情報共有も重要でございます。
今後、区市町村や近隣自治体、携帯事業者、警察、消防等との情報収集の方法や手順などについて具体的な検討を進めてまいります。
最後に、火葬場整備に係る特別区への支援についてのご質問でございます。
都は、特別区における都市計画事業の円滑な促進を図るため、都市計画交付金により区が負担する都市計画事業費の一定割合を支援しており、火葬場整備事業も対象となっております。
平成十六年には、港区、品川区、目黒区、大田区及び世田谷区の一部事務組合により臨海斎場が開設されており、都は区の要請に応じて取扱基準に基づく都有地の減額売却及び本交付金を活用した財政支援を実施いたしました。
今後、特別区が新たに火葬場整備を行う際には、これらの仕組みを活用し支援することとなります。
〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕
○子供政策連携室長(田中愛子君) とうきょうすくわくプログラムについてでございますが、幼稚園、保育所等における質の高いプログラムの実践をサポートするため、都は今年度、都内全ての園を対象に事例等を用いた実践的な研修会を開催するとともに、取組のヒントとなる動画や頻度の高い質問を取りまとめたQ&Aを発信してまいります。また、各園が実施する探求活動の充実に向けた保育者研修への支援も行ってまいります。
加えて、今後、さらなる質の向上を図るため、優良な活動を行う園が他園に対して探求活動の内容や方法について実践的な助言を行う仕組みの在り方についても検討いたします。
様々な取組を重層的に展開することで、各園の特色や強みを生かしたプログラムの実践を後押ししてまいります。
〔福祉局長山口真君登壇〕
○福祉局長(山口真君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、助産所における妊婦健康診査についてでございますが、都は、医療機関でのみ利用可能な妊婦健康診査受診票を助産所でも利用できるよう、これまで区市町村や都医師会、都助産師会などと協議を進めてまいりました。
この協議の中で、区市町村、医療機関、助産所の連携の在り方などの議論を重ね、今般合意に至りまして、十月一日から都内の全区市町村において妊婦健康診査受診票の助産所での利用を開始することといたしました。
利用開始に当たりましては、制度の概要や受診票が利用できる助産所の一覧を都のホームページに掲載するとともに、区市町村や助産所と連携して窓口での説明やチラシ配布を行うなど、都民に向け広く普及啓発を行ってまいります。
次に、介護事業所のキャリアパス導入についてでございますが、介護サービス事業におきましては、処遇改善加算として、キャリアパスの導入や介護福祉士などの有資格者の割合が介護報酬で評価されております。
都は、介護福祉士などの資格取得に必要な経費を補助するほか、キャリアパスの導入を含む人材育成の仕組みづくりを支援してまいりました。一方、経験や資格、役職等に応じた任用、給与制度や、それらを運用する人事評価制度の仕組みは事業者により様々でございます。
今後、施設長やリーダー職も含め、介護職のさらなる魅力向上に向け、都内事業者の実態を把握、分析しながら、より実効性のあるキャリアパスの導入支援策と望ましい人事給与制度の在り方を検討してまいります。
最後に、介護職員の資質向上に向けた取組についてでございますが、介護現場の生産性向上に向けたタスクシェアの推進や介護関連データを利活用した運営の普及など、介護をめぐる社会環境は変化しております。
都は、介護事業所に対しニーズに応じた研修を行うための経費を支援するほか、研修の企画や講師の確保が難しい事業所に講師を派遣するなど、現場のスキルアップを支援しております。
また、東京都福祉人材センターでは、初任者、中堅職員、施設長などの管理職員など、職層に応じた階層別研修等を実施しております。
今後、新たな現場ニーズにも対応できるよう、研修内容の改善等を行いまして、施設長を含めた介護職員の資質向上に向けて一層取り組んでまいります。
〔政策企画局長坂本雅彦君登壇〕
○政策企画局長(坂本雅彦君) 若者施策の充実についてのご質問にお答えいたします。
若い世代を取り巻く生活や社会の環境が急速に変化をする中、若者の意見を十分に反映し、支援の施策をつくり上げていくことは重要でございます。
これまで都は、若い世代の社会的な自立の支援に向けた計画を改定するため、若者が参加する部会を設け、様々な意見を聞いているところでございます。これに加えまして、若い世代の学びや生活などを支援する団体の若者から意見を聞き、今後部会に報告をし、計画の策定に役立てます。また、こうした計画とともに作成する新たな戦略に関しまして、若者の意見をきめ細かく取り入れてまいります。
〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕
○保健医療局長(雲田孝司君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、救急医療の東京ルールについてでございますが、都は、救急患者を迅速に医療機関に搬送するため、救急医療の東京ルールを定め、搬送先の選定が困難な患者を地域救急医療センターが中心となって受入れ調整を行う仕組みを運用しております。
コロナ禍以降、東京ルール事案数が高止まりしているため、対応策を検討してきた救急医療対策協議会からは、介助等に人手を要する高齢者が事案の半数以上であることを踏まえ、看護補助者の配置など、救急外来の体制強化等が必要との意見をいただきました。
こうした意見も踏まえながら、救急医療の東京ルールが円滑に運用されるよう取り組んでまいります。
次に、下水サーベイランスについてでございますが、下水中のウイルスを検査、監視する下水サーベイランスは地域における感染状況を把握する手法の一つであり、都は令和二年度から、健康安全研究センターにおいて下水を活用した新型コロナウイルスの調査を試験的に進めてまいりました。
国は、新型コロナの定点報告による感染動向の把握を補完するため、今年度から下水サーベイランスを予防接種法に基づく感染症流行予測調査に位置づけました。
都は、これに基づく調査を年内に開始し、その結果を都民や関係機関等に対する情報提供や感染拡大時の注意喚起に活用してまいります。
最後に、アピアランスケアへの支援についてでございますが、都は昨年度から、がん患者に対するアピアランスケアへの支援に取り組む区市町村を包括補助で支援しております。
今般、アピアランスケアの実態を把握するために実施した区市町村への調査では、がん以外の病気や事故等で身体の一部を失った方も補助対象とすることや、目や指などの補正用人工物であるエピテーゼへの支援を求める意見などがございました。また、義眼使用者への調査では、医療保険や補装具費支給制度の適用がない場合、経済的負担が大きいなどの回答がございました。
こうした調査も踏まえながら、外見が変化してもその人らしく生活を送れますよう、取組を推進してまいります。
〔下水道局長佐々木健君登壇〕
○下水道局長(佐々木健君) 区部における浸水対策についてでございますが、下水道局では、早期に内水氾濫による被害を軽減するため、浸水リスクが高い六十七地区を重点化し、二十八地区を完了させるなど、着実に施設整備を進めております。
幹線など規模の大きな施設整備には長期間を要するため、一部完成した施設を暫定的に貯留施設として稼働することで早期に整備効果を発揮させており、今年は中野区東中野、杉並区阿佐谷地区で開始するなど、現在事業中の二十地区のうち八地区において暫定貯留を実施し、その貯留量は合計約十五万立方メートルに及んでおります。
今後、この取組を一層推進し、早期に効果を発現させ、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、無電柱化事業の加速化についてでございますが、無電柱化は、都市防災機能の強化や安全で快適な歩行空間の確保などの観点から重要な事業でございます。
事業の実施に当たりましては、限られた道路空間内に電線共同溝を設置することから、既設の地下埋設物の移設を効率的に進める必要がございます。
このため、今年度より地下埋設物の位置や設計の3Dデータ化に取り組んでおりまして、これらを活用し、設計段階から埋設企業者等との間で情報を共有することで円滑な事業調整を図ってまいります。
こうしたDXの取組によりまして、無電柱化を加速し、安全で強靱な都市東京を実現してまいります。
次に、都立葬儀所でのご遺体の保管場所についてでございますが、葬儀や火葬までの間のご遺体を適切に保管するニーズに対応していくことは重要でございます。
現在の瑞江葬儀所には、火葬までの間ご遺体を保管するためのひつぎ保管庫が八体分ございます。新たに整備する新施設には二体分を増設し、十体分のひつぎ保管庫を設置するとともに、利用状況を踏まえながら、本施設で火葬を行わない場合でも、ひつぎ保管庫を利用できるようにいたします。また、建て替え中の青山葬儀所には八体分のひつぎ保管庫を新たに設置し、都民に広く利用いただけるよう検討いたします。
今後とも、公営葬儀所としての役割を的確に果たしてまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、東京プラスサポートによる支援についてでございます。
感染症対応融資の返済開始や原材料価格の高騰などによりまして、資金繰りが厳しい中小企業が事業継続を図るため、多様な資金調達の手段を確保することは重要でございます。
そのため、制度融資での資金調達が困難な中小企業に対し、都独自の融資制度において、貸付原資の預託や損失の補助といった財政措置を講じることにより、金利や保証料の軽減を図っております。さらに、今年度中に融資期間の上限を五年から七年に延長し、事業者の月々の返済負担を軽減いたします。
こうした取組によりまして、中小企業の資金繰りを下支えしてまいります。
次に、中小企業の事業承継についてでございます。
都内中小企業における事業活動の維持発展に向けて、円滑な事業承継が進むよう支援することは重要でございます。
そのため、都は、地域の経済団体と連携し、事業承継の相談対応を行うとともに、年間一千百社を超える企業に事業承継の専門家が訪問し、助言等を行ってまいりました。
今後は、セミナー等での成功事例の周知を充実するとともに、相談窓口や企業訪問において、八月に改定されたM&Aの健全化に関する国のガイドラインの内容を丁寧に紹介いたします。また、M&A取引におきまして不適切な事案が生じた際は、国の窓口への情報提供のサポートも開始いたします。
これらによりまして、中小企業の事業承継を後押しいたします。
次に、M&Aに対する金融支援についてでございます。
中小企業の事業活動の維持と発展に向けまして、事業の円滑な承継を金融面から後押しすることは効果的でございます。
都の制度融資では、今年度から、M&Aを行う際に、買取り側の企業が株式を取得する費用などにも対応するため、融資限度額の引上げや融資期間の延長など、支援の強化を図っております。こうした融資メニューを多くの事業者に活用していただけるよう、金融機関や支援機関と連携してPRするほか、経済団体のセミナー等におきまして周知を行ってまいります。
今後も中小企業のM&Aによる事業承継が促進されるよう後押ししてまいります。
最後に、カスタマーハラスメントの防止についてでございます。
今般提出した条例案では、全ての人を対象に、あらゆる場面でカスタマーハラスメントを禁止する規定を設けたことを大きな特徴としております。
罰則に関しましては、禁止行為を狭く限定することにつながることに加え、禁止されない行為は許容されるという理解が広がることも懸念されることから、罰則を設けず、ガイドラインにより実効性を確保することといたしました。
こうした考え方を丁寧に解説する指針を年内に作成し、条例への幅広い理解を促してまいります。また、悪質な迷惑行為は刑罰が適用されることも記載し、ハラスメントは決して許されないとの認識を広げてまいります。
〔財務局長山下聡君登壇〕
○財務局長(山下聡君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、社会経済情勢を踏まえた契約制度についてでございますが、都は、品質の確保と同規模の企業間での公平な競争を目的として、事業者の規模や能力に応じた等級格付を実施するとともに、各等級に対応した建築、土木、設備工事ごとの価格帯を発注標準金額として設定しております。
各種契約制度も、この等級別発注標準金額を基本に適用範囲等を定め、公平、公正かつ中小企業が入札に参加しやすい制度の構築に努めてまいりました。
近年の経済状況を踏まえ、入札状況等を検証するとともに、外部有識者の意見も聞きながら、等級別発注標準金額と予定価格の公表区分など、これに付随する制度につきまして、実態を踏まえて検討を進めてまいります。
次に、技術者育成モデルJV工事についてでございますが、都は、大規模な工事契約において条件としていたJV結成義務を見直す際に、JVが、中小企業が大企業から技術等を学ぶ貴重な機会であることを踏まえ、一部案件におきまして、大企業と都内中小企業とのJV結成を要件としたモデル工事を導入しております。
平成三十年度から令和五年度までの六年間で二十二件を実施し、中小企業の技術力向上につながる成果が報告されている一方で、参入事業者が少ないといった課題も生じております。
今後、モデル工事につきまして、参画企業へのヒアリング等を通じ、中小企業育成を強化する方向で検討を行ってまいります。
次に、業務委託における最低制限価格制度についてでございますが、著しい低価格での受注は、契約の品質確保及び担い手の確保に支障を来すことが懸念されることから、最低制限価格制度等を適切に活用することが有効でございます。
一方、業務委託に最低制限価格制度の導入を検討するに当たりましては、法令上、適用可能とされる範囲が不明確であることに加え、業務内容に応じた多様な積算手法が存在する等の課題があり、都はこれまで、設計等委託や印刷請負において試行を積み重ね、順次、この制度の導入を図ってまいりました。
ご指摘の法令上の課題につきましては、国とも意見交換を行うなど、引き続き、課題解決に向けて検討を進めてまいります。
次に、建設工事における工期の設定についてでございますが、都は、工事の発注に当たり、施工条件や資機材の納期等を考慮し、工期を設定しております。
また、土木工事におきましては、過去の猛暑日の実績に基づき、作業ができない日数をあらかじめ工期に含めて発注するとともに、設計で見込んだ日数を超える場合は、協議を行い、工期や経費の変更も可能としております。
建築工事などの営繕工事におきましても、十月一日以降、大規模なものから猛暑日を考慮した工期を順次設定するとともに、契約変更につきましても、適切に対応してまいります。
最後に、東京都社会的責任調達指針についてでございますが、都は、本年七月に調達指針を策定して以降、その趣旨や背景等を説明した解説版を作成し、公表するとともに、ウェブサイトや業界団体等を通じた周知やオンライン説明会の開催に取り組んでまいりました。
今後は、関係局と連携して、セミナー等を通じた周知を行うなど、事業者の一層の理解促進に努めてまいります。
また、指針が求める望ましい慣行の定着を目指し、いわゆる推奨的事項につきまして、総合評価方式競争入札における加点など、インセンティブ付与の在り方を検討してまいります。
〔港湾局長松川桂子君登壇〕
○港湾局長(松川桂子君) お台場海浜公園の噴水についてでございます。
臨海副都心の魅力にさらに磨きをかけ、一層のにぎわいを創出することは地域の発展にとって重要でございます。
これまで多くの事業者や団体等から、臨海副都心の価値向上とさらなる発展を推し進めていくための取組について要望があり、大きな経済効果を生み出す世界最大級の噴水を整備することといたしました。整備費及び維持管理費は現在精査中でございますが、一般会計ではなく、埋立地の売却等による収入を財源とする臨海地域開発事業会計を活用するため、都民の税金は一切使いません。
今後、地域の皆様方のご意見等を伺いながら、臨海副都心の新たな魅力となるよう整備を進めてまいります。
〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) デフリンピックに向けた取組についてのご質問でございますが、多くの方々からの理解や協力を得ながら大会を成功に導いていくことが重要であります。
都は、当事者団体である全日本ろうあ連盟と協働した運営体制を確立して準備を進めておりまして、広く大会を知ってもらうために、今年十一月には一年前イベントを開催いたします。
あわせて、ボランティアの募集を開始して多くの方々の参加を募るほか、ろうの当事者の方々に手話言語を用いて活動していただく機会も提供いたします。
また、大会時には多くの子供たちに競技を観戦してもらうなど、あらゆる人が参画、協働できる大会としてまいります。
○議長(宇田川聡史君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後五時五十九分休憩
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