令和六年東京都議会会議録第十二号

   午後三時十分開議

○副議長(増子ひろき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百二十一番森村隆行君。
   〔百二十一番森村隆行君登壇〕

○百二十一番(森村隆行君) 質問に先立ちまして、去る六月十六日、石川良一都議がご逝去されました。重ねてここに、謹んで哀悼の意を表し、心からご冥福をお祈り申し上げます。
 また、このたび、復興途上にある能登半島地震の被災地で豪雨災害が発生しました。亡くなられた方々に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。
 令和六年第三回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び教育長、関係局長に質問をいたします。
 さきの東京都知事選挙において、小池知事は、他候補に大きな差をつけて再選されました。これは、都民ファーストの視点に立って推し進めてきた二期八年の東京大改革が評価され、引き続き小池知事にリーダーシップを発揮していただきたいという期待の表れであるといえます。
 実際、知事の就任以降、待機児童解消や〇一八サポートなどチルドレンファースト社会の実現、爆速DXや働き方改革、無電柱化、不燃化といった都市の強靱化など先を見据えた取組は、国をリードし、日本を変えてきました。
 今回、知事は、東京はもっとよくなるというキャッチフレーズを掲げ、政策の要として首都防衛を打ち出すとともに、改革を加速、進化させた東京大改革三・〇を提示、東京を世界で一番の都市にしていくとされました。これまで以上に都民ファーストの視点に立ち、政策をさらに強化し、都政を前へと進めていくことが必要です。三期目の小池知事の決意を伺います。
 東京大改革三・〇を力強く推し進めるためには、支出を精査するワイズスペンディングにより、社会経済環境の変化に対応できる財政基盤を堅持していかなければなりません。
 今、物価の高騰が続き、都民生活や中小企業などの経済活動に大きな影響を及ぼしています。私たち都民ファーストの会は、物価高騰に苦しむ都民や事業者への支援はもとより、新型コロナウイルス感染症の再流行への備えや、子育て世帯の負担軽減と都民の不安を解消するための補正予算の編成を求めてきました。
 そこで、今般編成された補正予算に込めた知事の決意を伺います。
 新型コロナウイルス第十一波の感染者数は収束しつつあるものの、インフルエンザの感染者が出始めており、この冬も新型コロナと季節性インフルエンザの同時流行が懸念されます。
 重症化リスクの高い高齢者へは、国の補助により十月からワクチンが定期接種化される予定ですが、インフルエンザワクチンと同程度の自己負担となるよう、都として支援をすべきです。
 私たちの求めに応じ、補正予算案には、来月開始予定の新型コロナワクチンの定期接種に対して独自の支援を行う補助事業費が計上されていますが、この冬の感染拡大に向けて、支援がしっかりと都民に届くよう、定期接種の実施主体である区市町村と連携し、周知に取り組む必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 また、診療報酬制度が全国一律である一方で、人件費や地価、建設費などのコストが他地域より高いことから、都内病院の経営は、他道府県と比べても厳しい状況にあるとの声が上がっています。救急医療や周産期医療など、民間病院が担っている公的役割を踏まえた支援の在り方の検討を求めます。
 今回の補正予算には、私たちが要望した、消費の下支えや都内事業者の経済活動の活性化につながる取組が盛り込まれました。中でも、QRコード決済を活用したキャンペーンは、本年三月の実施において、生活用品の購入に役立った、キャンペーン前と比べて売上げが上がったといった声をいただくなど、効果的であることが分かっています。
 そこで、今回行うことにしたQRコード決済のキャンペーン事業について、その効果を一層高めることができるよう、しっかりと取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 さきの選挙戦で、知事は、都政を取り巻く厳しい環境を踏まえ、命と健康、そして生活、経済を守る首都防衛を掲げられました。
 今年一月の能登半島地震の発生直後に、私たちは能登半島地震PTを設置し、被災地支援と首都直下地震への対策をまとめた緊急要望書を知事に提出しました。
 ここで私たちは、これまで同様、東京都の防災対策について、スフィア基準に基づいた避難所環境の整備を進めることを求めました。災害関連死をなくすためにも、体育館で雑魚寝を前提とした避難所運営を改めるべきであり、ペット同行避難を可能にする取組なども必要です。
 避難所の設置運営は区市町村が主体ですが、都には、課題解決のための財政支援と具体的な指針の提示が求められます。大規模災害時の避難所改革は、人権や衛生に配慮する形で具体的に進めるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
 能登半島地震の被災地で発生した豪雨災害がもたらした被害は甚大で、現地の様子を伝える報道には、胸が潰れる思いです。
 今回の補正予算において、都は、災害廃棄物の受入れ量拡大に向けた鉄道コンテナを新造するとしています。再度の被災に苦しむ能登の早期復興に大きく貢献できるとともに、首都直下地震にも備えた広域的な処理に資する取組であり、評価いたします。想定される大規模災害に備え、首都防衛に資する災害廃棄物処理体制を確立していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 今回の豪雨災害でも、新たな災害廃棄物が発生しています。可能な限り寄り添った対応を求めます。
 大規模災害後の復興には、都民の協力も不可欠です。私たちの働きかけにより、都による自助、共助の防災施策が、これまでの戸建て中心のものに加えて、約九百万人が暮らす集合住宅やマンションへと広がりました。これは都民の生活実態を踏まえた取組であり、さらに加速させることを求めます。
 災害時にも生活を継続しやすい東京とどまるマンションの登録が伸びていることを評価しますが、現状は、ソフト面のみでの登録が多くを占めています。震災発生後の生活を送る場として機能させるためには、ハード面での登録基準を満たすよう、蓄電池などの非常用電源の設置を進める必要があります。
 また、災害時には停電が長引くおそれがあり、太陽光発電設備を組み合わせることで、非常用電源の電力をより長くもたせることが可能です。東京とどまるマンションにおける非常用電源の設置と併せて、太陽光発電設備の設置を進めていくなど、マンションの防災力の一層の向上に向けてハード面の取組を強化すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 来年度から太陽光発電設置義務化に関する新たな制度が始まります。このタイミングで、新築マンションへの働きかけも強化するよう要望いたします。
 豪雨への対策も急務です。都は昨年度、東京都豪雨対策基本方針を改定し、目標降雨量を一・一倍に引き上げ、施設整備を進めていますが、先日も、時間百ミリという目標降雨量を上回るゲリラ豪雨が発生し、低地にあるマンホールから汚水混じりの雨水があふれ、新宿ではマンホールの蓋が飛ぶ危険な状況も発生しました。
 このような状況を踏まえ、区部における下水道の浸水対策については、施設整備を迅速に進めるとともに、新宿で起きたような事案への対応が必要であると考えますが、見解を伺います。
 豪雨対策の一つとして、知事は、既存の地下調節池を地下水路でつなぎ、東京湾に放流する地下河川の建設を公表しました。海への大規模な放流は世界でも珍しく、極めて意欲的な取組です。
 一方で、下水道や貯水池に流れ込む雨水を減らす取組として、私たちはかねてより、雨水の浸透性能を高めるとともに、まち中の緑として人の心も豊かにするグリーンインフラの導入を訴えてきました。
 これを受け、都が今年度、都内三十か所に先行実施をすることを評価いたします。今後導入が進むよう、先行実施に当たっては、公園だけでなく、施工の余地の大きな道路や、一般住宅の庭など狭い土地でも導入可能な事例を手がけるなど、グリーンインフラの可能性を広げる事例を選定する必要があります。
 加えて、民間での取組を促すために、グリーンインフラがどのような役割を果たしているのかを伝えることや、雨水浸透効果の長期的な評価も欠かせません。
 このように、グリーンインフラの先行実施に当たっては、多様な事例を扱うとともに、浸水対策として果たす役割や性能についても、都民に分かりやすく伝えていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 都内の清掃施設や清掃車でのリチウムイオン電池が原因と見られる火災は、令和五年に三十件と、四年前の三倍以上に増えました。これを防ぐには、リチウム電池や内蔵製品を分別し、安全に回収することが必要です。
 そのためにも、まず、リチウム電池内蔵製品のメーカーに対し、分別しやすい製品構造にするよう働きかけをすべきです。
 一方で、都民の協力も不可欠です。一部の自治体や家電量販店の店頭などで分別回収が行われる中、さらなる適正な排出徹底に向け、都が業界団体等と連携をし、「リチウムイオン電池 捨てちゃダメ!」プロジェクトを開始したことを評価します。
 今後、都は、リチウムイオン電池等の分別徹底に向けた一層の周知に取り組むとともに、都民に身近な職場や地域における安全な分別回収の取組を促進すべきと考えますが、見解を伺います。
 人口減少問題をめぐっては様々な議論が行われていますが、全国知事会では、東京一極集中が人口減少を加速しているという主張がなされ、政府も、若年世代が出生率の低い東京に集中することが問題であるとして、若い世代の地方移住を推進しています。
 これらの主張は、東京の合計特殊出生率が〇・九九と全国で最も低いことをもって、あたかも東京が人口減少の原因と決めつけるものです。
 しかし、若年人口の流入により合計特殊出生率は低く出る傾向にあり、東京の数値のみをもって人口減少問題を語ることは極めて不適切です。こうした事実をしっかりと踏まえた上で、誤った議論にくみすることなく、都が国全体の活力向上に向けた取組を行っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都の少子化対策の肝となるのは、私たちがこれまで求めてきたとおり、エビデンスに立脚した、そして都民目線に立った施策の構築です。今年度、都が生活実態や結婚、子育てに関する意識を把握するため、若年層や子育て世代を対象とした意識調査を行ったことを評価いたします。
 こうした都民の意識やニーズの調査を継続して行いつつ、得られた結果を実効性の高い施策に結びつけることが重要です。今回の調査を通じて見えてきた課題を今後の少子化対策に生かしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、多様性、個性は尊重すべきものであり、成長の源であるという立場で都議会に臨んでまいりました。時代にそぐわない制度や仕組みに人を押し込めるのではなく、今を生きる人の課題や望みに寄り添い、活躍するための環境を整える都民ファーストの政治が求められています。
 小池知事は、衆議院議員時代に、女性が暮らしやすい国はみんなにとっていい国だ特命委員会を立ち上げるなど、知事就任前から、女性が自分らしく輝くことができる社会の実現に向けた取組を精力的に進めてきました。
 私たちの求めに応じて設置された東京くらし方会議では、女性の一層の活躍に向けて、社会の仕組み等を変える方策が議論されています。私たちの提案を受け、今年度から、短時間労働者の管理職等登用に取り組む企業への支援や、育業する社員を支える同僚に手当を支給する中小企業への後押しがスタートし、女性活躍施策においても、都が国を牽引することを期待いたします。
 今年の六月、世界経済フォーラムから発表された二〇二四年のジェンダーギャップ指数で、日本は百四十六か国中百十八位にとどまりました。特に、経済分野における女性管理職の割合の低さや賃金格差が顕著です。知事三期目に当たり、世界から大きく後れを取った現状を打破するゲームチェンジャーとして、女性活躍基本条例の制定に向けた議論を進めていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 女性活躍推進のためには、ライフステージに合わせた育児と仕事の両立支援が重要です。特に、妊娠、出産を経て職場復帰のハードルとなるのが、子供の体調不良による保育園等からの頻繁な呼出しです。多いケースで、入園後一年余りにわたって、月の半数程度が体調不良による呼出しやお休みということもあり、親のキャリアにも影響を及ぼしてしまいます。
 都は、病児、病後児保育の充実など支援を強化してきましたが、どうしてもすぐお迎えに行くことが難しい場合のサポート体制を都として構築していくことも重要と考えますが、見解を伺います。
 仕事と子育ての両立を望む子育て世代の声を受け、小池知事は、二期八年をかけて保育園の待機児童の解消を大きく前進させました。現在の待機児童問題の主戦場は学童クラブであり、その数は三千名以上で推移しています。
 学童クラブの量と質の改善は喫緊の課題であり、私たちは、昨年度の最重点政策要望に、都独自の認証学童保育所制度の創設を掲げ、都は今年度、制度の構築に向けて取組を進めています。私たちの求めに応じ都が行った調査からは、定員や面積に加え、預かり時間の延長や昼食サービス、職員の処遇改善や育成における課題などが明らかになりました。
 来年度の学童クラブ受入れに間に合うよう、実態調査の結果を踏まえ、新たな基準を盛り込んだ制度や、それを後押しする補助制度を早急に構築すべきと考えますが、見解を伺います。
 子供の小学校入学に伴う小一の壁を壊すためには、学童の待機児童解消や質の向上に加えて、朝早い親の出勤時間に合わせて家を出た子供が校門の前で待たなければならないという朝の子供の居場所問題の解決も有効です。
 先日、小池知事は、始業前の朝の時間帯も校庭開放をしている八王子由井第一小学校を視察されました。先行する区市町村では、地域団体や有償ボランティアが朝の子供の見守りをしているケースが多く、国の補助制度と併せて、都も後押しをすべきです。朝の子供の居場所を創設する区市町村を支援することで、小一の壁対策をさらに加速すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 今年の夏も大変暑く、七月と九月は、暑さ指数が運動を中止する目安である三十一を超える日が六割以上もありました。この異常な暑さが私たちの生活に大きな影響を与えており、小中学校も同様です。
 屋外、特に校庭の暑さによって、体育等の教育活動や健やかな育ちに必要な外遊びが制限されることが懸念されます。暑さが子供たちの教育活動等に支障を来すことのないよう支援すべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 一部の学校や幼稚園等では、大型のサンシェードなどを設置して、日差しの強い夏でも子供たちが屋外活動ができるよう工夫をしています。こうした事例も研究し、学校や保育所、幼稚園などにおける夏の暑さ対策を講じるよう求めます。
 さきの都知事選挙で知事が公約に掲げた保育料の第一子からの無償化と無痛分娩費用の補助は、大きな期待と反響を呼んでいます。子育て、教育を社会全体で進める東京の実現のため、これまで出産費用の実質無償化、〇一八サポート、保育料の第二子以降無償化、学校給食費の無償化、私立中学校等の授業料支援、公立、私立高校等の授業料実質無償化、フリースクール等の利用者への支援、都立大学等の授業料実質無償化など、様々な政策を着実に、かつまた果断に進めてきました。
 これらチルドレンファーストの東京に向け、都が所得制限を廃して取り組んできた子供、子育て支援は、全国の取組を牽引しています。今後、国に先駆け、所得にかかわらず第一子の保育料の無償化に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、無痛分娩補助についてです。
 かつては、おなかを痛めてこそ母親という考え方もありましたが、出産の当事者である母親たちからは、麻酔で痛みを和らげて出産する無痛分娩を望む声が増えてきています。既に欧米では無痛分娩が一般的であり、不安軽減や体力温存などの効果も大いに期待されます。
 都内でも三割程度が無痛分娩を選択する中、安全な出産のためには、全国的にも不足する高度な技術を持つ麻酔科医の確保と、平均十万円の追加費用という経済的負担の軽減が求められます。都内の希望する妊婦さんが安心して無痛分娩を選択できる環境整備について、知事の決意を伺います。
 チルドレンファーストの社会の実現に向けて、子供たちが暮らす家の安全や、子育てや家事に配慮した設備や間取りの整備も重要です。
 都は、私たちの求めに応じ、昨年度より、東京こどもすくすく住宅認定制度を開始し、これまで五千戸を超える、子育てに適した集合住宅の認定と普及を進めてきました。
 一方で、子育て世帯のニーズに応えるためには、戸建て住宅特有のバルコニーや窓からの転落事故や、侵入、窃盗等の犯罪の発生が多いなどの課題も解決していく必要があります。
 そこで、東京こどもすくすく住宅のさらなる普及促進に向けて、子育てしやすい戸建住宅の基準を示し、集合住宅、戸建て住宅を含む新たな認定制度として拡充すべきと考えますが、見解を伺います。
 体験を伴う活動は、子供の健やかな成長を促し、社会で生き抜くために必要な基礎能力を養います。子供たちの体験活動の機会は減少傾向にあり、親の所得による格差も広がっています。
 都は、私たちの働きかけにより充実した教育庁の笑顔と学びの体験活動プロジェクトや、知事のリーダーシップにより大幅に拡充している都立高校生の海外交流など、子供たちが学校内外で様々な体験をする場を増やしてきました。
 このたび、様々な調査結果を踏まえ、都は、子供たちがさらなる体験機会の充実を求めていると判断し、先般公表した子供政策強化の方針において、体験活動の推進を新たなリーディングプロジェクトとして打ち出しました。まさに、チルドレンファーストな取組です。都は、子供の豊かな育ちを支える体験活動を充実させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 学校教育でプログラミング、情報教育が導入されていく中、子供たちがさらに深く学びたいときに、親や教師以上に専門性が高く、例えばそれを仕事にしている大人から直接学べる場所が身の回りにあることは重要です。
 私たちの提案を受け、都は昨年度から、子供向けデジタル体験向上プロジェクトを開始、子供からも保護者からも好評と聞いております。分かりやすい名称をとの私たちの求めに応じ、都は、本年六月にこのプロジェクトをとうきょうこどもクリエイティブラボと名づけ、取組のPRを進めるとともに、区市町村とも連携し、地域で体験できる機会を増やしてきました。
 子供たちが、デジタルに親しみながら未来を切り開く力を育めるよう、様々なアイデアや知見を有する民間企業と連携しながらこのプロジェクトを進めていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 昨年、国内の不登校児童生徒は、過去最多の約三十万人となり、単純計算すると、中学の各クラスに二名程度の不登校生徒がいる計算になります。都は、学校の居心地向上のため、研究機関と連携して、科学的なデータに基づいた取組を進める方向性を示しました。
 私たちは、都内の不登校が二万七千人に上る状況を受け、会派内フリースクールPTでの検討も踏まえ、不登校特例校、すなわち学びの多様化学校の拡充を求めてきました。
 これを受け、既存の中学校に校内分教室型としてスタートしたのがチャレンジクラスです。チャレンジクラスに通う子供一人一人に寄り添った取組を進めるべきと考えますが、チャレンジクラスの取組状況とこれまでの成果を伺います。
 さらに、学校内での新たな取組も必要であり、教科指導に当たる教員とは別に、不登校対応を専門に担う教員の配置も求めてまいりました。
 これを受け、都教育委員会は今年度、不登校対応巡回教員を配置して、不登校の子供への学習支援や相談対応を開始しました。新しい取組であることを踏まえ、巡回教員への研修や学校との連携の強化などに取り組むべきと考えますが、巡回教員の取組状況とこれまでの成果を伺います。
 障害のある生徒が私立学校で学べるための支援策について伺います。
 私立高校の入学相談会などの場で、ディスレクシアを理由に、入試や入学後の学校生活等で対応できないとの説明を複数の学校から受けたという話を伺いました。ディスレクシアは、読み書きに困難がある障害ですが、少しの工夫で通常の学びが可能であることが学校現場で理解されていないのかと危惧するものです。
 障害者差別解消法では、事業者に対し障害者への合理的な配慮を求めており、私立学校においても同法の趣旨を踏まえた対応が行われるよう、都から働きかけるべきと考えますが、見解を伺います。
 以上、知事と私たちが連携して進めてきたチルドレンファースト、全ての子供を大切に育むための施策について取り上げてきました。
 続いて、シニアも健康で心豊かに暮らせる東京に向けて伺います。
 超高齢社会を迎える中、私たちは、高齢者を支える介護職員の処遇改善や認知症施策の強化に取り組んできました。特に認知症については、二〇二五年には、都内高齢者の六人に一人が認知症になる時代がやってきます。これまで以上に、認知症の早期支援や共生社会の実現に向けた環境整備が重要です。
 こうした中で、今回、小池知事が三期目に掲げた公約では、都独自の認知症専門病院の創設が盛り込まれました。認知症になっても安心して暮らすことができる東京の実現を目指し、今後、認知症専門病院の創設に向けた検討を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 そして、東京大改革三・〇には、東京都版介護職員昇給制度の構築も掲げられています。超高齢化社会を迎え、介護人材の確保対策は重要です。これまで私たちの要望により、介護職員の宿舎借り上げ支援の拡充や、月に一万円から二万円の居住支援特別手当など、国に先駆けて、都は施策の充実を進めてきました。
 本来、介護職員の処遇改善は国の役割ですが、介護人材不足は極めて深刻であり、一刻の猶予もありません。現場の声を聞きながら、都と積極的に議論を進め、新たな昇給制度の創設を目指して実態把握を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 続いて、フューチャーファースト、未来への投資について伺います。
 中小企業の経営者が高齢化する中、中小企業の事業承継は、東京の産業力強化のために喫緊の課題です。
 こうした中、知事は三期目の公約において、中小企業における事業承継をより一層進めるため、幾つもの新たな施策を打ち出しました。
 その一つが、TOKYO白馬の騎士ファンドの創設です。これは、後継者不在の企業に経営者候補を紹介し、会社に出資を行う取組と伺っています。後継者が見つからない中小企業を支援するため、ファンドも活用しながら、事業の承継を強力に推進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 また、現在、東京の農業者は急速な高齢化が進んでいます。これに対し都は、人材確保と定着に向け、農業以外の分野からの方を対象に研修を行ったり、農作業従事者を雇用する企業等への支援などを行っています。こうした取組により新規就農者が増えていますが、同時に、農業者の家族への後押しも重要です。
 近年は、定年の延長などにより、企業などに勤めた後に就農するケースは減っていると聞きます。都は、農業者を増やすため、異業種からの参入のみならず、農業を承継したい方の後押しにも力を入れていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、カスタマーハラスメント防止に関し、全国初となる条例案を提出しました。
 思い返せば、昨年第三回定例会でも私が代表質問に立ち、そこで条例制定を求めて以来、多くの関係者と議論を重ね、スピード感を持って取組を進めてきたことを評価いたします。今後、条例を具現化するガイドラインや、現場対応に効果的な録音、録画などへの行政支援の検討を期待します。
 現場では、極めて深刻な状況が続いており、長時間のクレーム対応が業務の停滞や人材の流出をもたらしています。
 一方、都が実施したパブリックコメントでは、条例を根拠に、何でもカスハラ扱いされるのではないか、従業員は誠実に対応すべきといった意見もあり、こうした不安を払拭することも重要です。カスタマーハラスメントに毅然と対応する必要性や顧客に寄り添う大切さなど、条例の意義を丁寧に伝える運用指針を早期に示すべきです。
 また、カスタマーハラスメントの被害者、行為者、双方の相談に行政が応じる体制が必要と考えます。併せて知事の見解を伺います。
 カスタマーハラスメントから守られるべき就業者に関しては、七月に示された基本的な考え方で、都外で働く人も含まれる場合があることや、就業形態を問わず、ボランティアやフリーランス、地域の委員や議員なども含むことが解説されており、働く人全てに効果が及ぶことが期待されます。
 都は、カスタマー・ハラスメント防止条例が想定する幅広い当事者に効果が届くよう、施策の推進体制を構築するとともに、他の自治体などとも連携して効果を広げていくべきですが、見解を伺います。
 私たちの求めに応じ、都は、本年五月にスタートアップ支援拠点であるTokyo Innovation Base、TIBを本格オープンし、起業家の支援に取り組んでいます。東京からイノベーションを起こしていくためには、女性起業家や投資家が足りていない現状を改善し、女性が起業しやすい環境への配慮などが必要です。
 七月に発表されたスタートアップ業界のセクハラに関するインターネット調査では、回答した女性百五十三人のうち四七・七%、女性起業家に限定すると五二・四%が、過去一年以内にセクハラ被害を受けたと回答しています。多様なプレーヤーが集い交流する結節点であるTIBにおいても、セクハラ問題などの相談窓口の設置や意識啓発が期待されます。
 加えて、例えばセクハラが認定された投資家等が運営に関わるベンチャーキャピタルには、都は出資しない等の取組も考えられます。
 都は、民間団体とも連携して、TIBでセクハラ対策をはじめとしたダイバーシティ実現に向けた取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちの提案に応え、TIB内に、ハード面のプロトタイピングを行うための施設、FABが開設され、好評であると聞いていますが、一方で学生起業家などからは、ソフト面でのサポートが足りない旨の声も届いています。
 IT人材は、民間、そして官公庁でも不足している状況であり、学生スタートアップのプロトタイピングに関わる人のスキルが不足することは容易に想像できます。昨今のスタートアップにデジタルは不可欠であり、ソフトウエアのプロトタイピングを支援する取組を進めるべきと考えますが、都の見解を伺います。
 知事は、就任以来、市町村総合交付金を大幅に拡充、私たちも知事と共に、多摩・島しょの魅力を高めるための提案を続けてまいりました。
 文部科学省が行った全国一千七百九十四の自治体における学校給食費無償化の実態調査によれば、二〇二三年九月一日現在、給食費を無償化できているのは半数以下で、実施内容も様々です。国の責任において給食費の無償化を行うことを、都として引き続き国に要望するよう求めます。
 都においては、私たちの求めもあり、今年度から、無償化や負担軽減を行う場合に、自治体負担分の二分の一の補助を始めていますが、物価高騰の影響により、とりわけ多摩・島しょ地域の自治体は一層厳しい行財政運営を強いられています。
 この状況を踏まえ、私たちは先日、知事へ、総合交付金による一層の後押しを緊急要望いたしました。学校給食の無償化は、本来、国が法整備も含めて行うべきですが、その実現までは、都が厳しい財政状況にある市町村を支え、安定した行政運営を行えるよう支援していくべきです。知事の見解を伺います。
 また、高校生までの医療費の無償化所得制限撤廃についても、自治体によって対応が異なります。
 先日、私たちは、給食費と併せて子育て支援の拡充、医療サービスの公平性の観点からも、所得制限を撤廃するよう緊急要望いたしました。二十三区と多摩・島しょ地域の格差解消に向け、市町村の財政事情に配慮しながら、都の子供医療費助成事業についても見直すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都は、ホームドア整備を東京二〇二〇大会のレガシーとして位置づけ、財政面での支援を行ってきました。
 都営地下鉄については、本年二月に百六駅全てでホームドアの設置が完了、その後の転落事故はゼロ件と、その有効性は明らかです。
 一方、都内のJR、私鉄でのホームドア設置率はいまだ約三五%にとどまっており、残念ながら、都内では週に一件余りの死亡事故が発生し続けています。
 小池知事は、知事選での公約に、中央線など鉄道駅へのホームドア設置の加速化を明記されました。選挙戦序盤に青梅市内で行われた街頭演説を私もお聞きしましたが、この公約を耳にした聴衆の多くが歓迎の意を表したのは、失われる人の命への悲しみと、人身事故による列車遅延に恒常的に悩まされる都民の心からの反応であったと思います。
 整備が遅れる中央線でいえば、ホームが狭く危険を感じる日野駅、障害者の通勤や通学に多く利用される西八王子駅は、整備基準である乗降客数に満たなくとも、早期設置に向けて多くの声が寄せられています。
 この八月に都は、鉄道事業者や関係行政機関から成る協議会を設置しましたが、ホームドア設置について、関係機関との調整や事業化を早めるべきと考えますが、見解を求めます。
 都は現在、東京の自然環境情報を収集、分析、蓄積、発信するために、自然環境デジタルミュージアム基本計画を年度内に策定する準備を進めていますが、デジタルミュージアム構想は、生物多様性地域戦略の推進に当たっても重要であり、大いに期待しております。
 都内には、二千メートル級の亜高山帯から、伊豆・小笠原諸島などの島しょ部まで、多様で豊かな自然環境があります。急激に変わりつつある自然環境の保全と利活用を両立するためには、東京の自然に関する情報を整備することが重要です。
 加えて、整備した情報の価値を最大限発揮するためには、例えば博物館や動物園、水族館、また、ビジターセンターなどのリアルな場や施設と連携し、訪れる人が触れて、感じて、自分事として感じられるような発信や機会の提供が必要です。
 自然環境デジタルミュージアム基本計画の策定に当たっては、リアルな場や施設等との連携を重視し、利用者に対してどのように情報を届けるのかをデザインすべきと考えますが、都の見解を伺います。
 また、あわせて、構想の実現に必要な標本や文献などが散逸することのないよう、収集や保全を急ぐべきと考えますが、見解を伺います。
 観光、芸術、文化世界一の都市の実現について伺います。
 新たに世界遺産に登録された新潟県の佐渡島の金山では、八月の観光客数が四万人超、過去十年で最多となるなど、その効果が再認識されました。
 知事は、都知事選の公約に、江戸東京の文化を世界遺産にを掲げられましたが、江戸の持つ魅力を分析し、分かりやすく発信することで、江戸から続く東京の魅力が世界中へと広がることが期待されます。
 世界遺産登録に向けては、民間はもとより、市民の賛同を集め、地域や地元における機運を高めていくことが不可欠です。世界遺産登録を目指し、東京全体で取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 江戸は、かつて世界最大の人口を誇り、にぎわいや活気に満ちあふれた水の都でした。現在の東京には、そうした江戸から続く様々な伝統や文化、歴史が点在しています。従来の拠点整備に加え、江戸から東京に続く歴史の中で形成されたストックを生かしたまちづくりに転換していくことは、国際都市としての東京の価値を高め、独自性のある唯一無二の都市づくりのために有効です。
 歴史や伝統など、東京ならではの魅力を生かした都市づくりをどのように進めるのか、知事の見解を伺います。
 一方、臨海副都心は、未来のサステーナブルな都市を描く東京ベイeSGプロジェクトの舞台であり、お台場海浜公園は、質の高い緑と魅力的な水辺空間の形成に当たり、核となる場所です。
 そのお台場海浜公園内において、都は先日、世界最大級の噴水、ODAIBAファウンテンを整備すると発表しました。昨年に都内を訪れた外国人旅行者が過去最高を記録する中、改めてお台場海浜公園に噴水を整備する狙いを伺います。
 パリで開催されたオリンピック・パラリンピックでは、多くの日本人選手の活躍はもちろん、各国の選手が力を尽くして挑む姿が報道され、改めてスポーツのすばらしさを感じました。
 来年は、いよいよ世界陸上とデフリンピックが東京で開催されますが、パリでの機運をそのまま両大会に引き継ぐ必要があります。
 特にデフリンピックは、大会の認知度が低いため、都が昨年度から、大会エンブレムの制作や大会応援アンバサダーの起用など、様々取り組まれていることは承知しているものの、関係団体と連携し、大会のPRをさらに推し進めていかなければなりません。
 都として、デフリンピックのさらなる認知度向上に向け、どのように取り組むのか伺います。
 さて、今、首都東京は、極めて厳しい内外からの課題に直面しています。少子高齢化により既に顕在化著しい労働力不足、老朽化する都市インフラ、いつ起きてもおかしくない首都直下地震や気候変動により激甚化する風水害、二〇二五年をピークに減少に転じることが確実視される人口、そして何よりも、一極集中是正を合い言葉に、東京が持つ都市としての経営資源を収奪しようとする国や地方の動き、これには、都市への集積により競争やイノベーションを生み出し、それを国全体の発展へとつなげていく今日の国際的な社会や経済の流れに反するものであると、深い憂慮の念を禁じ得ません。
 この極めて厳しい環境の中で、日本の成長エンジンとして期待される東京の活力を守り、未来に向けて必要な手を打つことが都政を担う私たちの責務です。
 東京はもっとよくなるをキャッチフレーズに挙げた小池知事と共に、また、首都防衛というキーワード、これは大げさでも例えでもなく、私たちは東京を幾多の困難から防衛し、その上で、未来への投資を着実に行える環境を整備していかなければなりません。
 そのために必要な道筋が、東京大改革三・〇であります。三期目を迎えた小池都政の中で、私たちも都民ファーストの立場から、東京大改革三・〇をさらに推進していくことを改めてお誓いし、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 森村隆行議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、三期目の都政運営についてのお尋ねがございました。
 これまで二期八年、東京大改革の旗を掲げ、大胆な発想、全体を鳥の目で俯瞰しながら、未来の東京を切り開くあらゆる施策を講じてまいりました。都民ファーストで取り組んだ改革のスピードをさらに加速し、都民の負託と期待にしっかりと応えたいと考えております。
 国際紛争、災害の深刻化、予想を超えます速度で進む少子高齢化、AIの爆発的進化など、世界は急激に変化をし、従来の常識では、もはや対応ができない状態でございます。こうした中、時代の趨勢を鋭く見極め、斬新で大胆な東京の未来像を描かなければなりません。このため、「未来の東京」戦略を発展させ、新たな戦略を策定いたします。
 これからの社会と経済を支える基盤となるAIなどの技術も駆使しつつ、二〇五〇年代の東京のビジョンを描くとともに、あらゆる政策分野におけますDXを進めるなど、政策をさらに強化してまいります。
 東京はもっとよくなる、この強い思いの下、都民の命と暮らしを守り、経済の持続的な発展を図る首都防衛の考え方を持ち、東京大改革三・〇を推し進めて、世界で一番の都市東京を実現してまいります。
 補正予算についてであります。
 物価高騰が長引く中、都民や事業者が抱える不安を正面から受け止め、その影響から都民の暮らしと中小企業等の経営を守り抜く、同時に、子育て世帯の負担軽減など、都政を取り巻く喫緊の課題に時機を逸することなく対応する。こうした思いの下で、今なすべきことに迅速に対処すべく、補正予算を編成いたしました。
 具体的には、物価高騰対策として、医療機関等への支援や、消費を下支えし、経済の好循環につなげるキャンペーンを実施いたします。
 また、全ての市町村で給食費の無償化が実施できるよう、国が無償化について自らの責任で実施するまでの間、市町村総合交付金を拡充するなど、喫緊の課題にも速やかに手だてを講じてまいります。
 補正予算に盛り込みましたこれらの施策をスピード感を持って実行いたしまして、都民生活や東京の経済をしっかりと支えてまいります。
 避難所の改革についてでございます。
 能登半島地震におきましては、被災者が避難所に集中したことや、ライフラインに深刻な被害が生じ生活環境が悪化したことなどから、避難所運営の重要性を改めて認識をいたしました。
 首都直下地震では、約二百万人が避難所に避難すると想定をされております。都は、女性や要配慮者に配慮した避難所の運営や、液体ミルクをはじめ備蓄物資の拡充などを進めてまいりましたが、被災者がより安心して避難生活を送れますよう、さらなる改善に取り組まなければなりません。
 このため、避難所での生活環境向上に向けまして、雑魚寝の解消、温かい食事の提供、衛生的なトイレ環境の十分な確保、ペットとの同行避難などの内容を盛り込みました避難所の新たな運営指針を年度内に取りまとめてまいります。
 被災者が人としての尊厳を保ち生活できますよう、区市町村とも連携をしまして、避難所の改革を推進してまいります。
 次に、首都防衛に資する災害廃棄物処理についてでございます。
 能登地域での震災や水害への対応を踏まえまして、生活となりわいを再建し、早期復興につなげていくためには、平時から災害廃棄物の処理体制を確保し、実行力の向上を図ることが重要でございます。
 都は、能登半島地震の発災直後から、都及び区市町村等の職員を延べ五百人以上派遣しまして、災害廃棄物処理の支援に取り組んでまいりました。
 加えまして、国に対し、迅速な復旧、復興に支障を来す場合に、公費解体等の手続が円滑に進みますよう、制度の見直しを要望いたしております。
 さらに、災害廃棄物の広域的な輸送力を確保するとともに、島しょ部での災害時に船舶輸送にも対応できますコンテナを新たに製造いたします。
 能登半島地震における現地での支援や、明後日から開始いたします広域処理の経験を生かしまして、都内区市町村はもとより、国や近隣自治体等との連携を密に図りまして、首都防衛に向けた危機管理を一層強化してまいります。
 次に、人口減少問題についてであります。
 人口は、国の活力を生み出し、将来の東京をつくり上げる基礎であり、その減少への対応は待ったなしでございます。東京一極集中と人口減少とを強引に結びつけることは、都の婚姻率や夫婦が持つ子供の数を見れば、明らかに的外れであり、正しい事実に基づく議論こそが重要でございます。
 今なすべきことは、全ての自治体が自主性を持って、実効性のある施策により新たな産業や雇用を創出し、人口の増加を実現することであります。人口や経済などの集積を崩すようなパイの奪い合いではなく、地域の創意工夫により、パイそのものを大きくするための行動を進めることが大切であります。
 まずは、正確な実態や考え方を都民や経済団体と共有し、効果的な対策に向けた道筋をつくり上げてまいります。さらに、地方の活性化に役立ちますよう、スタートアップを支援するTokyo Innovation Baseの活用や、GovTech東京を通じたデジタル化のサポートなどを展開いたします。
 都は、人口問題に正面から向き合い、真に実効性のある対策を進めてまいります。
 次に、女性活躍についてであります。
 女性の力は、東京の活力を生み出す最大のエネルギーであります。女性の力を生かすことができなければ、東京の持続的な成長はあり得ません。この思いから、知事就任以来、短時間勤務を含め、女性を管理職に登用する企業への支援など、女性活躍の推進に向けて取組を強化してまいりました。
 一方、我が国の女性参画は世界で大きく後れを取っております。東京からこの現状を変えていくためには、意思決定の場をはじめといたしまして、あらゆる場面に女性を増やす等、その活躍を大きく前に進めることが重要でございます。
 そのため、今月、検討部会を立ち上げて、条例の制定を含めました基本的な考え方等について検討を開始いたしました。
 こうした議論を踏まえまして、女性のみならず、全ての人が自分らしく活躍できる、多様性に富んだ東京を実現してまいります。
 次に、朝の子供の居場所についてのお尋ねがございました。
 共働きが当たり前の現代におきまして、いわゆる小一の壁の打破は重要な課題であり、特に小学校低学年の児童の朝の居場所づくりは、近年、強く求められるようになっております。
 一部の自治体におきましては、地域の方々の協力で独自の取組が行われているものの、都内全体に広げていく必要がございます。
 今後、登校前に子供たちが安心して過ごせる居場所が広く確保できますよう、区市町村の取組を後押しする方策について検討し、小一の壁の打破に向け、全力で取り組んでまいります。
 次に、保育料の無償化についてであります。
 私は、未来の担い手を大切に育むチルドレンファーストの社会の実現を目指し、子育て支援の充実に全力で取り組んでまいりました。
 所得にかかわらず全ての子供を対象とした〇一八サポートは、国に先駆け実施をしまして、社会に大きな一石を投じてまいりました。
 望む人誰もが安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けまして、第一子の保育料無償化について具体的に検討してまいります。
 次に、無痛分娩についてであります。
 私は、望む人が安心して子供を産み育てられる社会の実現に向けまして、出産・子育て応援事業などをはじめ、妊娠、出産や子育てを積極的に支援をし、国をも先導してまいりました。
 こうした中、出産した母親からは、あの痛みは二度と経験したくないという声や、無痛分娩を普及させてほしいという声などが寄せられておりまして、このような都民の思いに応えていく必要がございます。
 今後、無痛分娩に対する都民ニーズなどをより具体的に把握しながら、出産の痛みを和らげたいと願う方が、安心して無痛分娩を選択できる環境整備に取り組んでまいります。
 次に、体験活動の推進についてでございます。
 子供は、様々な体験や経験を積み重ねることを通じまして、豊かな人間性や自ら学び考える力など、実社会で生きる力を身につけてまいります。次世代を担う子供たちが、自らの希望に応じて多様な体験活動にチャレンジできる環境をつくり、子供が持つ無限の可能性を全力で応援していきたい。
 こうした思いの下、子供政策強化の方針におきまして、子供の未来を育む体験活動の推進を、組織横断で取り組むリーディングプロジェクトに新たに位置づけたところでございます。
 今後、自然体験や文化体験、職業体験など、幅広い分野で子供目線に立って施策の検討を進め、学校内外で体験機会の創出を図ってまいります。さらに、区市町村や民間企業等と連携いたしまして、体験活動の質、量の充実につなげてまいります。
 庁内各局の英知を結集いたしまして、子供の健やかな成長を社会全体でサポートしてまいります。
 次に、ファンドを活用した事業承継についてのご質問であります。
 東京の中小企業の多くが後継者の確保に悩んでいる状況の下で、事業承継を加速させるには、さらなる効果的な取組が求められます。
 地域に根差した老舗企業が長年培った技術や、従業員の雇用、取引先とのつながりを守りながら、社風や伝統に理解のある新たな経営者の下で成長する、こうした承継を増やすことが重要であります。
 今般、企業の理念に共感する友好的な経営者を社外から迎え入れた会社に出資を行うTOKYO白馬の騎士ファンドを創設いたします。
 企業の思いをつなぐ候補者を養成し、中小企業と結びつけて、経営者や従業員と信頼を築いた後継者に資金を提供するとともに、経営もサポートいたしてまいります。
 年明けには、経営者が安心して事業の承継ができるファンドを民間と共につくり上げ、中小企業の持続可能な成長につなげてまいります。
 次に、カスタマー・ハラスメント防止条例についてであります。
 製品を買い求める顧客やサービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け、働く人が傷つけられ精神的なダメージを受ける状況を放置することはできません。こうしたカスタマーハラスメントを現場の努力で防ぐことは難しく、労働者を守る法律の枠組みで対応することも困難であります。
 東京で働くあらゆる方をカスタマーハラスメントから守り、社会を持続可能なものとしていくため、現場のよりどころとなる規範が必要不可欠であり、全ての人に禁止を求める条例案を提出いたしました。
 顧客等による意見や申出など、正当な権利に基づく行為が不当に阻害されることがあってはなりません。サービスを提供する側も顧客等も、誰もが行為者とならないよう努力することが大切であります。
 こうした条例の考え方を解説する指針を年内に示し、現場における正しい運用を促すとともに、カスタマーハラスメントに関し、様々な当事者が相談できる体制づくりを進めてまいります。
 次に、スタートアップのダイバーシティについてであります。
 女性起業家の挑戦をくじき、未来を閉ざすセクハラは言語道断であり、社会の大きな損失であります。誰もが安心して起業できる環境を整え、多様性を実現することこそが、東京の成長エンジンであります。
 我が国の最大の未活用エネルギーである女性の力を生かすため、五月のSusHi Tech Tokyoでは、セッションに登壇する女性の割合を四割に引き上げ、未来の都市のありようについて、多くの女性に活発に議論をしていただいたところであります。
 今後、起業家や支援者が集うTIBを核に、関係者と議論を重ね、ハラスメント解消の勉強会や、悩みや困り事へのサポートなど、女性の挑戦を応援する場づくりを進めてまいります。
 幅広い方々の賛同と協力を得まして、女性起業家の成長を支える大きなエコシステムをつくり上げてまいります。
 次に、市町村の行政運営に対する支援についてであります。
 多摩・島しょ地域では、インフラ整備などに加えまして、激甚化、頻発化する自然災害への備えや物価高騰などへの対応が必要でありまして、都は、各市町村の課題解決に向けた自主的、自立的な取組を幅広く後押しをしております。
 こうした観点から、市町村への包括的な財源補完制度である市町村総合交付金につきまして、予算の拡充に努め、知事就任時に四百九十億円だった予算を、令和六年度には過去最高の六百二十億円まで増額をいたしております。
 また、今回の補正予算では、子育て世帯の経済的負担の軽減に向けまして、国が自らの責任で実施するまでの間、都として、市町村と連携し、全ての市町村の学校給食費無償化を後押しするため、総合交付金を十七億円拡充することといたしました。
 今後とも、市町村の状況を丁寧に把握しつつ、市町村の行政運営を支援してまいります。
 次に、子供の医療費助成についてであります。
 私はこれまで、チルドレンファーストの社会の実現を目指しまして、子育て世帯に寄り添い、ライフステージを通じた切れ目のない子育て支援策に取り組んでまいりました。
 少子化が急速に進行する中、子育てしやすい環境の一層の充実に向けて、支援策の拡充を図っていく必要がございます。
 子供の医療費助成につきましては、全ての子供の健全な育ちと、子育て世帯の経済的負担の軽減を進めるため、来年十月からの所得制限撤廃を目指し、市町村との協議を加速してまいります。
 全ての市町村が持続的に事業を実施できますよう、総合交付金を措置することを念頭に置きまして、早期の合意を目指してまいります。
 世界遺産についてであります。
 江戸は、当時、世界最大の人口を誇って、人々が平和と繁栄を享受する時代の一大中心地でございました。その伝統であるサステーナブルな文化や、まちに調和を生み出す建物などを貴重な財産としまして、世界遺産に登録をし、将来に伝えていく取組は重要であります。
 これらの優れた江戸の伝統を東京の観光資源として活用するため、有識者による検討を進めてまいりました。今後は、世界遺産としての登録を目指すため新たな会議を立ち上げまして、江戸の象徴となるものを選び、将来の保存方法や海外での理解を得るための議論を深めてまいります。
 この議論の展開に合わせまして、都民の皆様の共感を育むため、江戸の特徴や魅力に磨きをかけ、ブランド化を進めるなど、世界遺産登録の機運を高めてまいります。さらに、経済団体等との協力の仕組みをつくって、ムーブメントの裾野を広げてまいります。
 こうした取組を通じまして、世界遺産登録に向けた歩みを確実に進めてまいります。
 最後に、都市づくりについてのご質問でございます。
 東京が成熟都市として一段と質の高い成長を遂げるためには、地域の特色や個性を生かしまして、東京の魅力をさらに高めるまちづくりが必要でございます。
 江戸からの伝統を受け継ぐ東京は、食、歴史、文化資源など、特色ある魅力の宝庫でありまして、個性が際立つ唯一無二の都市として、世界中からさらに人々を引きつけるポテンシャルを秘めております。
 これらを有効に活用しながら、世界に誇る東京ならではの魅力を磨き上げ、これからの都市の発展につなげる力とするように、今後の都市づくりを進めてまいります。
 多様な個性に彩られた、世界に類のない魅力を発信し続ける都市を目指してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、学校の暑さ対策についてでございますが、気候の変動がある中においても、安全・安心な環境の下で学校における教育活動などを行うことは重要でございます。
 そのため、都教育委員会ではこれまで、学校の体育館や教室などに計画的な空調設置を行う区市町村に対し、補助事業を実施しております。
 校庭の暑さ対策については、子供の教育活動に支障が出ないよう、今後、学校の実態を把握した上で、対応の方策を検討してまいります。
 次に、チャレンジクラスの成果と取組の充実についてでございますが、都教育委員会は、今年度、都独自に、中学校十校に教員が教科指導を行うチャレンジクラスを設置し、校内設置の利点を生かして、校内施設の利用や通常の学級との交流ができるようにしています。
 設置校では、体育館や家庭科室などを利用した実技教科の学習ができた、通常の学級と行き来することで理解を深め、学力が向上した、これらの結果、登校できる日が増えたなどの成果が上がっております。
 こうした成果を踏まえ、今後、子供たちの登校意欲をさらに高め、一人一人が自分に合った学びを実現できるよう、より一層支援の充実を図ってまいります。
 次に、不登校対応巡回教員の取組状況等についてでございますが、巡回教員と配置校の教員が連携した子供へのきめ細かい支援や校内研修の実施により、不登校の未然防止や早期支援などを図るため、都教育委員会は今年度、中学校百四十三校を対象に三十三人の巡回教員を配置しております。
 学校からは、子供が安心して利用できる校内別室の環境を実現した、子供が教育支援センターなどの外部機関とつながることができるようになったなどの報告を受けております。
 今後、巡回教員を対象に効果的な取組の共有を図るなどの研修を充実し、校内の教員に助言する力の向上を図り、学校の対応力をさらに強化してまいります。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、グリーンインフラへの理解促進についてでございます。
 雨水流出抑制に資するグリーンインフラは、河川や下水道への負荷を軽減し、豪雨対策に有効であることから、その役割を都民に理解してもらうことが重要でございます。
 今年度は、先行事例として、大島小松川公園をはじめ道路や河川などでレインガーデン等を三十か所整備し、役割や機能を示した、都民に分かりやすい説明パネルを設置いたします。
 また、グリーンインフラが持つ貯留浸透機能などの性能は、整備の進捗に合わせ、段階的に評価し、示してまいります。
 こうした取組により、都民のグリーンインフラに対する理解を促進し、公共施設や個人住宅などに幅広く導入できるよう取り組んでまいります。
 次に、ホームドア整備の加速についてでございます。
 ホームドアは、駅利用者の転落を防止し、人の命を救う重要な施設であり、一刻も早い整備が必要でございます。
 整備には、ホームの補強や夜間の限られた時間での工事となるなどの課題があり、これらは、整備コストや工事期間にも密接に関係しております。このため、先月、鉄道事業者や国から成るホームドアの整備加速に関する協議会を新たに設置いたしました。
 この協議会の場で、官民が連携し、技術や施工、資金面、それぞれの課題について、複合的な観点から対応策の検討をスピード感を持って継続的に進めます。調整が調い次第、取組を実施し、ホームドアの整備を加速してまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 新型コロナワクチンの定期接種の周知に関するご質問にお答えいたします。
 今年度から、新型コロナワクチンが高齢者等を対象とした定期接種に位置づけられ、来月から始まる接種において、初めて自己負担が生じることとなります。このため、都は、冬の感染拡大に備え、特に重症化が懸念される高齢者等が接種を受けやすいよう、自己負担を二千五百円以下にする区市町村に対して、財政支援を行うことといたしました。
 今後、本事業の趣旨やワクチンの効果と安全性などについて、ホームページやSNS等を通じて都民に広く周知し、区市町村と連携して、希望する方が接種を受けられるよう取り組んでまいります。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都民生活と事業者の経営活動への支援についてでございます。
 物価高騰が続く中、経済を活性化させるには、消費を喚起し、事業者の収益向上につなげることが重要でございます。
 本年三月のQRコード決済を活用したキャンペーンでは、対象期間中の決済額の合計が前月と比べ約一・五倍となるほか、事業者からは、売上げが増加したなどの声もあり、経済活性化の効果があったと認められます。
 今回の取組に当たりましては、実施時期を消費支出が年間で最も高まる十二月とし、QRコード決済の利用が拡大している状況等も踏まえ、ポイント還元の原資を前回より約五十億円増額いたしました。これにより、都民の暮らしを支え、経済の好循環につなげてまいります。
 次に、農業者を増やす取組についてでございます。
 東京農業の担い手を増やすためには、農業以外の分野からの就農の後押しとともに、家族の就農を支援することも重要でございます。
 都はこれまで、農外からの就農者を対象に、農業の基礎知識から実践的な作業までを一貫して学ぶ研修を行うとともに、就農初期での経営の安定化を図るため、農作業用の小型機器の導入等へ助成を行っております。
 農家を引き継いだ方に対しては、現在の仕事を続けながら農業を学べる研修を実施しておりまして、今後は、就農意欲を高めるため、農作業の効率化を図るなど、より一層魅力ある農業の実現に向け、きめ細かく対応してまいります。
 最後に、カスタマーハラスメントの防止についてでございます。
 今般提出した条例案は、東京の経済や社会活動に関連するあらゆる場面で、カスタマーハラスメントを防ぐことを目指しております。そのためには、幅広い関係者と共に取組を進めていくことが必要でございます。
 今後、労働団体や経済団体に加えまして、消費者の代表や有識者の参画の下、都の関係局が連携し、官民を問わず、様々な現場の状況把握や事業効果の検証を行い、施策に反映させる仕組みを構築いたします。
 また、条例の理念を広く伝えるため、都の内外を問わず、他の自治体や広域に活動する事業者や団体などに協力を求めまして、施策の効果を高めてまいります。
   〔住宅政策本部長小笠原雄一君登壇〕

○住宅政策本部長(小笠原雄一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、マンションの防災力強化についてでございます。
 災害時の非常用電源として、蓄電池と併せて太陽光発電設備を設置することは、災害対応力向上に有効でございます。
 都は今般、東京とどまるマンションのハード面の性能向上のため、登録マンションを対象に、新たに蓄電池などの非常用電源の設置に補助を開始いたしました。今後、関係団体と連携しながら制度の活用を働きかけるとともに、関係局とも連携して太陽光発電設備の導入も促してまいります。
 こうした取組によりまして、災害時の給水ポンプ等の稼働や、情報収集に必要なスマートフォンの充電などを継続的に行うことのできる電源を確保してまいります。
 これらを通じて、マンションの一層の防災力向上を図ってまいります。
 次に、東京こどもすくすく住宅についてでございます。
 子育てに適した住宅の普及には、集合住宅に加え、戸建てを含む住宅市場全体の取組を強化する必要がございます。
 都はこれまで、集合住宅を対象に、安全で快適な子育てに適した住宅を認定しており、中小事業者や個人オーナーにも取組が広がっております。
 今後、こうした取組を戸建て住宅にも拡大するため、住居学等の専門家からの意見や、屋内階段での転落防止、近隣との交流機会の創出等に工夫を凝らした先進事例を参考に、ハード、ソフト両面の住まいづくりのポイントを示したガイドラインを年度内に作成いたします。
 これらを踏まえながら、認定制度の在り方の検討を進めてまいります。
   〔下水道局長佐々木健君登壇〕

○下水道局長(佐々木健君) 区部における浸水対策についてでございますが、気候変動の影響を踏まえ、昨年度改定した東京都豪雨対策基本方針に基づき、対策を強化することが重要でございます。
 下水道局では、時間七十五ミリ降雨を目標整備水準とし、くぼ地や坂下など浸水の危険性が高い六十七地区を重点化して、施設整備を進めております。現在、二十八地区で事業が完了し、令和七年度末までに新たに三地区で事業を完了させてまいります。
 また、新宿の現場では、マンホール蓋が飛散しないよう、圧力開放型の蓋に取り替えており、引き続き地域に応じた蓋の形状などの検討を行ってまいります。
 今後も施設整備などを着実に推進し、強靱で持続可能な首都東京の実現に貢献してまいります。
   〔環境局長松本明子君登壇〕

○環境局長(松本明子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、リチウムイオン電池の分別回収についてでございますが、都民への注意喚起に加え、多様な主体と連携し、分別回収のさらなる取組を推進することが重要でございます。
 都はこれまで、分別の徹底に向け、優良事例の共有や財政支援、一斉広報などにより自治体の取組を促してまいりました。先月からは、業界団体等と連携した共通デザインのポスターで共同キャンペーンを開始しておりまして、今後、動画などを様々な媒体で発信いたします。
 加えて、広域的にまとまった量を回収し、リサイクル事業者へ売却する取組を年内に複数自治体で試行しまして、新たな資源化スキームを検討いたします。
 これらにより、自治体や事業者等と連携強化を図りながら、安全な分別回収の取組を促進してまいります。
 次に、自然環境デジタルミュージアムについてでございます。
 都民の生物多様性への理解を醸成し、行動変容につなげるには、東京の豊かな自然環境情報を収集、分析し、デジタルとリアル、両面の利点を生かし発信することが重要でございます。
 このため、都は、デジタル技術で人、情報、フィールドをつなぐをコンセプトに基本構想を策定し、その実現に向け、大学や博物館等と具体的な連携について意見交換を重ねております。また、標本類につきましては、収集方針等を定め、散逸のおそれのある標本の受入れを年度内から開始いたします。
 今後、有識者等の意見も踏まえて構想の具体化を進め、ミュージアムを推進力にして、生物多様性の恵みを将来にわたり享受できる社会の実現を目指してまいります。
   〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕

○子供政策連携室長(田中愛子君) 今後の少子化対策についてでございますが、結婚、子育て等に係る都民ニーズや意識の変化を把握するため、今年度は若年層に加えまして、新たに子育て世代も対象とし、規模も前年から十倍に拡大して意識調査を実施いたしました。調査では、結婚願望のある未婚者が約七割と多いことや、ライフステージごとの都民の問題意識など、今後の少子化対策の礎となるデータが明らかとなりました。
 今回の調査結果の分析を基に、来年度予算の政策検討の課題を整理し、庁内各局と議論を重ね、実効性の高い施策の構築につなげてまいります。また、経年比較等により多角的な分析を積み重ね、データを毎年度蓄積することで、長期的な視点に立った効果検証にも活用してまいります。
   〔福祉局長山口真君登壇〕

○福祉局長(山口真君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、体調不良になった子供の保育についてでございますが、都は、病児保育の取組を促進するため、保育所や医療機関等の施設整備や改修の経費を補助しております。また、保育所等での保育中に子供が体調不良となった場合、保護者が迎えに来るまで一時的にそのまま預かる取組や、病児保育施設の職員が保護者に代わって保育所等に迎えに行く取組を支援しております。
 現在、こうした支援を活用し、保護者の負担軽減に取り組む区市町村や施設は一部にとどまっていることから、今後、その背景や保護者のニーズ等を把握し、体調不良になった子供の保育が充実するよう取り組んでまいります。
 次に、認証学童クラブ制度についてでございますが、都は、子供や保護者がニーズに応じて様々な選択や利用が可能となるよう、都独自の基準による新たな認証制度の創設を目指し、先月、有識者で構成する専門委員会で議論を開始いたしました。
 委員からは、きめ細かな支援に適した定員の規模や、子供が活動内容を選べる仕組みづくりの必要性に関する意見がございました。
 また、子供や保護者を対象に実施した調査では、長期休業中の昼食提供や開所時間の延長などを望む声が寄せられております。
 今後、こうした意見や実態調査等を参考にしながら、来年度早期からの認証制度運用開始に向けまして、認証基準や補助制度の検討を加速してまいります。
 次に、認知症医療についてでございますが、都は、認知症の方が社会の一員として尊重されるとともに、希望を持って暮らすことができる社会を実現するため、今年度からTOKYO認知症施策推進プロジェクトを進めております。具体的には、認知症の早期診断、早期対応に向け、検診の補助対象を拡大するとともに、認知症疾患医療センターを整備するなど、総合的に取り組んでおります。
 今後、認知症高齢者の増加を見据えまして、都内の認知症医療の実態を把握しながら、認知症専門病院について検討してまいります。
 最後に、介護職員の人事給与制度についてでございますが、介護人材の確保、定着には、現場ニーズを踏まえた実効性の高い人事給与制度の構築が有効でございます。介護サービス事業においては、処遇改善加算として勤続年数や資格、役職等で評価を行う取組が介護報酬で評価されており、都は人材育成の仕組みづくりを支援しております。
 人事給与制度は、事業者の規模や種別、法人形態ごとに異なることから、今後、都内事業者の実態を把握するとともに、関係団体の意見を聞きながら、望ましい制度の在り方を検討してまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 子供向けデジタル体験についてのご質問にお答えいたします。
 次代を担う子供たちの創造性を育むために、昨年度開始いたしました本事業については、自治体に加え、今後、民間との連携も進め、さらに充実させていくことが重要であります。
 今年度、子供の声を反映し、愛称をくりらぼとして二十六自治体、約百回に拡大し、実施をいたします。八月には企業と連携したロボットプログラミング体験を初めて実施いたしました。
 今後、こうした協働の取組を拡大していくため、十月にはIT企業等との連携ネットワークを立ち上げます。官民が知恵を出し合い、SusHi Tech Squareにこの秋に新設する常設の体験拠点なども活用しながら、子供たちの多様なデジタル体験の機会を一層充実させてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、障害のある生徒の学びの支援についてでございますが、障害者差別解消法は、障害者に対し合理的な配慮を行うよう事業者に義務づけており、私立学校においても適切な対応がなされることが重要であります。
 都はこれまでも、私立学校の校長等が参加する会議や教職員研修等を通じ、読み書きが困難であるディスレクシアも含めた障害者への対応を促してまいりました。
 今年度は、ディスレクシアの当事者を講師として招きまして、教科書などの文字を音声に変換するタブレットを活用した授業の実施など、実践的な研修を新たに行ってまいります。
 引き続き、障害の特性に応じた合理的配慮が行われるよう、全ての私立学校に働きかけを行ってまいります。
 次に、デフリンピックの認知度向上への取組についてでございますが、来年の大会に向け、関係者と連携し、節目の機会を捉えて戦略的に広報を展開することが重要でございます。
 そのため、都は、大会五百日前となる今年七月にアンバサダーとデフアスリートによる特別授業を行ったほか、デフハンドブックを都内小学校へ約三十四万部配布いたしました。
 大会一年前に当たる今年十一月には子供たちが選んだメダルデザインの発表や、デフアスリートを招いたイベントを実施いたします。また、若者に人気の動画クリエーターと連携したSNS配信など、多様なプロモーションを展開してまいります。
 さらに、区市町村と協力した広報やPRブース出展等により認知度向上を図りまして、聴覚障害の理解促進にもつなげてまいります。
   〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) スタートアップのサービス開発についてのご質問にお答えいたします。
 社会を変える革新的なサービスを事業化するには、最小限の機能を搭載した製品やソフトウエアを開発するプロトタイピングを伴う場合が多うございます。こうした課題に応えまして、学生や若者などの起業にオーダーメードで必要な支援を行う育成プログラム、TIBスタジオを提供いたします。
 このプログラムの中で、ソフトウエア開発につきましても、経験豊富なエンジニアが技術的な助言を行うほか、プロトタイプの製作から市場投入に向けたデモ版の開発まで、きめ細かくサポートいたします。起業家のニーズに応じた効果的な支援を行うため、様々な支援事業者の協力を得ながら、スタートアップの成長を後押ししてまいります。
   〔港湾局長松川桂子君登壇〕

○港湾局長(松川桂子君) お台場海浜公園の噴水についてでございます。
 臨海副都心の魅力をさらに磨き、一層のにぎわいを創出することは、地域の発展にとって重要であり、都はこれまで、噴水やイルミネーション、アートを活用したイベントなどを行ってまいりました。
 このたび、多くの事業者や団体等からの要望も踏まえ、新たなランドマークとなる噴水を世界最大級の規模で整備いたします。大きな経済効果も見込んでおりまして、算出中でございます。整備費及び維持管理費は現在精査中でございまして、一般会計ではなく、埋立地の売却等による収入を財源とする臨海地域開発事業会計を活用いたします。
 今後、集客力のある噴水ショーの演出等を検討し、東京の新たな魅力として国内外に広くアピールしてまいります。