令和六年東京都議会会議録第九号

○副議長(増子ひろき君) 二十九番田の上いくこさん。
   〔二十九番田の上いくこ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十九番(田の上いくこ君) 今年は都知事選挙の年です。
 小池知事は、二〇一六年、初めて都知事選挙に臨んだときは、都民が決める、都民と進めるとおっしゃいました。
 しかし、二〇一七年の希望の党の挫折、二〇二〇年都知事選挙以降は、古い都政、古い議会へと逆戻りし、今や情報公開は黒塗り、国際機関の警告を無視するなど、都民との対話を機軸とする東京大改革は、跡形もありません。
 まず、知事の経歴について、政治家としての説明責任を問います。全て知事にしか答えられないことですので、小池知事のご答弁をお願いします。
 知事は、北原百代さんを知っていますか。また、留学時代に北原百代さんとルームシェアされていたことがありますか。
 カイロ・アメリカン大学のアラビア語コースの初級コースを終えただけなのでしょうか。それとも、中級、上級コースを修了されたのでしょうか。また、アラビア語の通訳をしていたという経歴は本当ですか。
 知事は、一九七二年十月に書類選考でカイロ大学に入学したのでしょうか。書類選考のために提出した資料はどのような書類だったのでしょうか。
 知事は、カイロ大学で一年留年したと、「振り袖、ピラミッドを登る」に書いていますが、一年生のときに落第、留年したのは事実ですか。
 知事は、カイロ大学の進級試験に合格のたびに高いところに登ったということですが、それは四年かけて四回で間違いないですか。
 一年落第したのに四年で卒業できたのは、どういう大学の指導があったからですか。また、追試を受けたとのことですが、それはいつどこでどの科目について受けられたのですか。
 一九七六年八月は、日本航空で勤務されていたのは事実ですか。具体的には、いつからいつまで勤務されていたのでしょうか。
 知事は、カイロ大学の卒業時に、教授の一人から、成績はトップだといわれましたと述べていますが、それは誰からで、一九七六年の何月ですか。また、首席で卒業については撤回するということでしょうか、それとも撤回しないのでしょうか。
 卒業証書には、大学評議会は一九七六年十二月二十九日、文学士号を授与すると決定したと書いてありますが、大学による卒業の判定は、一九七六年十二月なのではないですか。
 神宮外苑再開発について伺います。
 この八年間の都政で破壊されたのは、都民の公共空間、コモンズです。東京では、都民の財産である都市公園や都営住宅などの都有地、都市計画公園が、都と三井不動産により、超高層ビルやにぎわい施設へとつくり替えられてきました。樹木は伐採され、芝生やビルの屋上の箱庭になっていきます。これは、環境配慮をしているように装い、ごまかしているだけで、環境を守ることとは程遠いものです。
 小池知事は、二〇二三年九月十五日の記者会見で、神宮外苑再開発は、明治神宮内苑を護持するために必要なものであるという事業者の考えを述べていますが、東京都は、いつこの事業者の考えを知ったのか伺います。
 それを都民に公表する必要はないという判断をした責任者、時期と理由についても伺います。
 青山通りに近い日本スポーツ振興センター、略してJSCの土地は、空中権を含めれば極めて高いはずです。
 明治神宮の神宮球場と秩父宮ラグビー場の土地交換は、等価交換にならないと考えますが、当初予定していた東京都主導の土地区画整理事業の場合と第一種市街地再開発事業の場合のそれぞれについて、JSCと明治神宮のどちらが、幾ら現金を支払わなければならなくなるのか伺います。
 また、公の財産であるJSCの土地である区域に、三井不動産が高層ビルを建設して、明治神宮に内苑護持のための費用を稼がせるというのは、JSCがあえて損をし、宗教法人に利益を得させるものであって、憲法の政教分離に違反すると考えますが、都の見解を伺います。
 二〇一四年七月、地権者等と調整を進める中で、サブトラックを設置する空間余地がないとした理由は、明治神宮に空中権の対価を支払い、三井不動産の百八十五メートル、八十メートルの二棟の高層ビルを建てることを優先するために空間余地がないと判断したのか伺います。
 港区が作成している港区都市計画施設等図には、JSCが所有管理する秩父宮ラグビー場と新国立競技場の敷地の両方が、未供用と図示されています。港区に確認したところ、都市整備局が作成している東京都都市公園緑地等調書を基に作成しており、都は、この両施設の敷地を都市公園ではなく、また、都市公園に準ずるものでもない未供用地としています。
 新国立競技場は、周囲をフェンスで囲われていませんし、その周辺も自由に歩くことができますが、都市公園ではなく、都市公園に準ずるものでもない未供用地でいいですね、伺います。
 また、新国立競技場及び秩父宮ラグビー場が未供用地である理由を伺います。
 東京都公園まちづくり制度実施要綱は、二〇一三年十二月十九日に当時の猪瀬知事の辞任間際につくられ、神宮外苑再開発の東京都と事業者による神宮外苑の基本合意書は、当時の舛添知事が二〇一六年六月二十一日に辞任後、選挙中の七月二十二日に知事の実質的な判断を仰ぐことなく締結されています。
 このような、知事不在を狙ったかのような神宮外苑再開発の進め方については、知事選挙の後に、その経過を明らかにして見直すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京が世界有数の大都市として国際社会をリードしようとするならば、イコモスの勧告や国連人権委員会ビジネスと人権作業部会報告書に対して、無視や反論に終始するのではなく、真摯に受け止め、神宮外苑の都市計画を見直し、世界水準に合致するよう改めるべきですが、知事の見解を伺います。
 次に、築地市場跡地の再開発についてです。
 ミライ会議は、事業選定において都民から見えるように公開するようにずっと求めていましたが、選定過程は明らかにならないまま、事業予定者が決定されました。
 築地再開発の検討に係る業務委託が、築地地区まちづくり事業の事業実施方針や事業者募集要項等にどのように生かされたのか伺います。
 また、業務委託報告書の主要部分が黒塗りとなっていますが、情報公開するべきではありませんか。
 さらに、業務委託を請け負っていた日建設計が都の審査で決定した事業予定者に入っているのは、第三者性が疑われ、不公正ではないか伺います。
 三井不動産らのグループには、スーパーゼネコン五社のうち四社が参加しており、国内ゼネコンの談合による東京エンタテインメントコンプレックスを提案したグループの排除ではないかと考えますが、都の見解を伺います。
 三井不動産と都の関係です。
 明治神宮外苑、南青山と北青山の都営住宅建て替え、日比谷公園、築地市場跡地、選手村、首都高地下化に伴う日本橋の再開発など、三井不動産と東京都の二人三脚での都市再開発の多くは、ブラックボックスです。
 東京都における再開発を、都民が決める、都民と進めるために、東京都と三井不動産の関係を明確にし、これらに関する全ての資料を開示し、都から独立した第三者による検証が不可欠だと考えますが、知事の見解を求めます。
 IRについてです。
 IRは、一九九九年に当時の石原慎太郎知事のお台場へのカジノ誘致から始まっています。
 都は、IRに関する調査分析を平成二十六年度から令和元年度まで発表しており、現在も毎年一千万円ほどの調査費用の計上が続いており、既に調査が自己目的化し、経費の無駄です。この際、東京の未来にIRは要らないと明言すべきだと考えますが、知事の見解を伺います。
 中学校英語スピーキングテストについて伺います。
 ベネッセは、都の中学生のスピーキングテストの音声データに、フィリピンの子会社にアクセスさせて採点をしていますが、生徒の名前等、個人が特定できる情報が示されていなければ、受験者の音声情報、当該情報に付記した番号、採点後の採点結果は、個人情報に該当せず、個人情報保護法の越境移転の問題は生じないと判断しているのか伺います。
 また、個人情報に該当しないのであれば、現在、都教委は、スピーキングテストの音声は個人情報に該当するとして第三者に開示せず、また、本人に開示する際も、ほかの中学生の音声を消去していますが、これまでの取扱いの誤りを認めて変更するのか伺います。
 次に、少子化対策です。
 日本の人口推計は、次の百年が人口半減社会と東京一極集中のさらなる加速を示しており、東京都の出生率は全国最低であるという現実に目を向けなければなりません。少子化の原因の一つには、結婚したくてもできない所得の低さがあります。
 都における非正規職員は、令和五年度で八千二百七十名、割合にして全職員の約三〇%です。また、非正規職員のうち、フルタイム会計年度任用職員はおらず、退職金を払わないで済むパートタイムのみとなっています。
 少子化の根本原因に切り込むため、都は率先して同一労働同一賃金を実践し、非正規職員の待遇を抜本的に改善するべきですが、知事の見解を伺います。
 気候変動対策について伺います。
 気候変動対策は、世界共通、日本共通の課題です。東京への人口集中によって、例えば東北地方の子供の数は、この半世紀で激減しています。東京だけがよければよい、発展すればよいというのではなく、他の道府県との共栄共存する政策が今求められています。
 都の予算を再生可能エネルギーが豊富な地方自治体における投資に振り向け、その電力を東京都民が購入するという共栄共存の仕組みを構築するべきと考えますが、都の見解を伺います。
 ビジネスが人権を侵害しないようにする人権デューデリジェンスは、欧州各国で法制化が進み、米国でも二〇二二年六月にウイグル強制労働防止法が施行され、日本政府も同年九月十三日、責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドラインを策定しています。
 国に先駆けて政策を打つ東京都として、太陽光発電への補助金支給、都の調達において、人権侵害のおそれのある材料は使わない調達基準、補助基準を採用しない理由を知事に伺います。
 再質問を留保して、質問を終わります。(拍手)
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 田の上いくこ議員の一般質問にお答えします。
 スピーキングテストについてでございますが、個人情報保護法の規定上、越境移転の問題は生じません。
 また、音声データの提供等に関する取扱いについては、法令及び条例等に基づき適切に対応しており、変更する予定はございません。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 十一点のご質問にお答えいたします。
 まず、神宮外苑再開発についてでございます。
 今回の開発について、事業者は、令和五年四月に内苑、外苑を合わせた明治神宮を将来にわたって護持していくために、守るべきものを守り、必要な更新は行い、次の百年に向けて、外苑をより開かれ、親しまれるものにしていくとの事業者の考えを示しました。
 この考えが示された文書につきましては、都市整備局のホームページにも掲載しております。
 なお、明治神宮は、創建当初より内苑と外苑で構成されており、外苑の収益事業により内苑と外苑を護持していることについては、広く知られているところでございます。
 次に、再開発事業における土地の処分等についてでございます。
 神宮外苑地区の再開発事業は、都市再開発法に基づき施行認可を行ったものでございます。
 次に、サブトラックについてでございます。
 関係地権者等とまちづくりの調整を進める中で、設置困難と整理したものでございます。
 次に、新国立競技場と秩父宮ラグビー場についてでございます。
 明治神宮が所有する明治神宮外苑は、創建当初から緑地や広場、文化スポーツ施設の提供を通じて多くの人々に開放されてきたことから、都市公園に準ずるものとして、昭和五十年から供用としております。新国立競技場と秩父宮ラグビー場は明治神宮外苑には含まれておりません。
 次に、神宮外苑再開発の進め方についてでございます。
 まちづくりの経緯につきましては、都市整備局のホームページにおいて詳細に公表しております。都は、都市計画などについて、法令等に基づき適切に対応しております。
 次に、都市計画の見直しについてでございます。
 神宮外苑のまちづくりは、明治神宮などの民間事業者が自らの所有地において実施するものでございます。都は、都市計画について、法令等に基づき適切に対応しております。
 次に、築地再開発の検討に関わる業務委託についてでございます。
 本業務委託は、築地のまちづくりの検討に関する基礎的調査を実施したものでございます。
 次に、業務委託に関する情報公開についてでございますが、開示請求に対しては、情報公開条例に基づき適切に対応しております。
 次に、決定した事業予定者についてでございます。
 事業者募集要項では、応募者間の公平性を確保するため、本事業の募集条件の作成に関わる業務を行った者等の参加を制限しており、ご指摘には当たりません。
 次に、応募者グループの構成についてでございます。
 構成員の組成につきましては、応募者側の判断によるものでございます。
 最後に、再開発の検証についてでございます。
 再開発事業につきましては、都市再開発法に基づき適切に対応しております。
   〔政策企画局長坂本雅彦君登壇〕

○政策企画局長(坂本雅彦君) 経歴についての九問のご質問にまとめてお答えいたします。
 ご質問の趣旨は、カイロ大学卒業という事実を確認するものだと認識をしてございます。このことについては、知事ご自身がこれまで議会など様々な場面でお伝えしてきております。
 また、卒業を証明する書類などについても、これまで度々公にされているところでございます。
   〔港湾局長松川桂子君登壇〕

○港湾局長(松川桂子君) IRについてでございます。
 都はこれまで、IRについて、メリット、デメリットの両面から総合的に検討してきたところでございまして、引き続き検討を行ってまいります。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 会計年度任用職員の処遇改善についてのご質問にお答えをいたします。
 会計年度任用職員の報酬の額は、法律等に基づき、職員の職務の複雑性、困難性等に応じ、常勤職員の給与との均衡を考慮し、職ごとに適切に定めております。
 なお、会計年度任用職員には期末手当を支給しており、今年度からは、法改正等を踏まえ、常勤職員に準じて新たに勤勉手当も支給することとなっております。
   〔環境局長松本明子君登壇〕

○環境局長(松本明子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、再生可能エネルギーに係る施策についてでございますが、都は、エネルギーの地産地消に資する再エネ導入に加え、既に都外等での再エネ電源の開発も支援しております。
 次に、太陽光パネルに係る人権配慮についてでございますが、サプライチェーンにおける人権配慮については、国際標準にのっとり、業種、業態を問わず企業の取組が求められておりまして、都は、業界団体と連携し、継続的に適正な取組を促しております。
   〔二十九番田の上いくこ君登壇〕

○二十九番(田の上いくこ君) 知事の経歴についてです。
 知事にしか答えられない質問、説明責任を問う質問をしたのですが、坂本局長がお答えになりました。
 知事に、改めて答弁を求めます。
 私たちが副知事の経歴の誤りを指摘した際に、都は自ら調査、確認をしていました。
 都のホームページには、知事プロフィールにカイロ大学卒業の記載があります。知事の権限に属する都の事務として政策企画局長が答弁をされたならば、知事がカイロ大学を卒業しているのかについて調査をすることも都の事務になりますが、都は、いつどのように調査、確認をされたのでしょうか伺います。(拍手)
   〔政策企画局長坂本雅彦君登壇〕

○政策企画局長(坂本雅彦君) 経歴についての九つのご質問にお答えをいたします。
 ご質問の趣旨は、カイロ大学卒業という事実を確認するものだと認識してございます。このことについては、知事ご自身がこれまで議会など様々な場面でお伝えをしてきております。
 また、卒業を証明する書類などについても、これまで度々公にされているところでございます。