○議長(宇田川聡史君) 三十一番中田たかし君。
〔三十一番中田たかし君登壇〕
〔議長退席、副議長着席〕
○三十一番(中田たかし君) 知事は、最初の選挙のときに、七つのゼロ、待機児童ゼロ、介護離職ゼロ、残業ゼロ、都道電柱ゼロ、満員電車ゼロ、多摩格差ゼロ、ペット殺処分ゼロと大々的に公約を打ち出し、当選されました。その公約がどれだけ達成できているのか、知事任期最後の本会議ということで、改めて確認をさせていただきます。
待機児童ゼロです。
現状の待機児童数は二百八十六人で、知事就任当初より減っているということは事実でありますが、潜在的な待機児童が多くいることにも目を当てるべきではないでしょうか。この二百八十六人には、ベビーホテルなどに行かざるを得ない児童数などは入っていますが、認可保育所に入りたいが認証保育所などに預けざるを得ない児童数は含まれていません。
先日も、世田谷で希望の認可に入れず、やむを得ずほかの園に預けられた子供が事故で亡くなるという悲しいことが起きています。知事は記者会見で、待機児童はほぼ解消したといっていますが、三百近い見えている待機児童がいて、その後ろにははかり切れない潜在的な待機児童がいることから目をそらして、知事は待機児童ゼロが達成したと考えるのか、知事の見解を伺います。
介護離職ゼロです。
介護離職者数は一万四千人であり、就任当初の八千二百人から大幅に増えました。一・七倍です。
全くといっていいほど、この介護離職ゼロは達成どころか悪化を生んでいます。この点、どのようにお考えでしょうか。知事の見解を伺います。
残業ゼロです。
知事は、残業ゼロを都庁から先行実施するとしました。しかし、蓋を開けてみれば、就任から比べると、令和四年度の月平均の一人当たりの残業時間は、都全体で十六・八時間、本庁だけにすると二十六・五時間と、就任以来、都全体だと、三・三時間、本庁だけだと四・四時間と、どちらも増加してしまっています。
公約では、残業ゼロとしたにもかかわらず、都から率先して残業が増えてしまっていたら、民間に範を示せないと思いますが、残業ゼロの公約はどこに行ってしまったのでしょうか。知事の見解を伺います。──いいたいことがあれば、後でこちらの場でいっていただければと思います。
都道の電柱ゼロについて伺います。
七年間、八%しか進捗がありません。一年に一%少しです。このままいくとゼロになるには、残り五四%なので、五十年近くかかります。到底無理な公約です。残り千二百六十一キロを工事するには、国交省の試算だと、一キロ当たり、道路管理者が負担する負担額が三・五億円とされていますので、単純計算すると約四千四百億円です。莫大な予算になります。
知事は、これだけ全く進んでおらず、ゼロにするには莫大な税金がかかる都道電柱ゼロをこのままゼロといい続けるのですか。知事の見解を伺います。
満員電車ゼロです。
新型コロナウイルスの蔓延により、社会の働き方が大きく変わり、電車の混雑率が減っているといいますが、五類移行後、利用者が増え、混雑率が上がっています。現状、通勤時間帯の満員電車ゼロとはいえない状況です。
満員電車ゼロといってきた中で、達成できたと考えるのか、とりわけ知事は、二階建て電車導入促進といっていましたが、どのように事業者に働きかけを行ってきたのか、知事の見解を伺います。
多摩格差ゼロについては、我が会派の竹井議員に託します。
ペット殺処分ゼロです。
殺処分がゼロになったとのことですが、ペットの致死処分は行っています。その頭数は、昨年二百頭を超えています。その中には、攻撃性があるという理由で致死処分をされることもあるとのことです。攻撃性があろうとも、一つ一つ大切な命ですから、人の判断で殺すという致死処分を行っていくことは本当に正しいのか、都としてしっかりと命の大切さについて考え、取組を行っていただきたいと申し上げさせていただきます。
次に、カジノについて質問いたします。
IRの検討調査に係る予算を今年度も一千万円計上しています。この予算は、昨年度も計上されていましたが、執行率はゼロ%でした。さらに遡ると、この予算は、令和二年度から執行を行っていません。執行しない予算を計上し続ける一方、マイナスシーリング、また、ワイズスペンディングなどいっているのですから、でたらめも相当であるといわざるを得ません。
知事、なぜこの予算を計上し続けるのですか。カジノをやりたいからこの予算を計上し続けているのですか。知事の見解を伺います。
次に、都心の低空飛行について質問いたします。
都心の低空飛行について、渋谷区や新宿区でも半数以上の自治会長、町会長が反対の署名に賛同しています。
渋谷区議会では、新飛行ルートの運用停止を国に求める意見書を全会一致で可決しました。新宿区議会でも、地方空港の活用による飛行経路の分散化や海上ルートを活用するよう求めた決議を可決しました。このことからも、都民の安心・安全を守る立場である知事として、この声に向き合い、行動していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
次に、都立病院の独立行政法人化について質問します。
知事は、コロナ禍で都立病院の独立行政法人化を強行しました。その際、独立行政法人化のメリットは、医療機能の強化や患者サービスの向上といっていましたが、多くの病院が病棟を閉め、休止病床が増えていると聞きます。
今現在での休止病棟、休止病床数を伺います。
病床使用率においては、私の地元の広尾病院では五〇・九%、また荏原病院では四一%であり、半数以上の病床が使われていないという、このさんざんたる状況がありますが、この状況を見ても、独立行政法人化が正しかったといえますか。知事の見解を伺います。
次に、オリンピックについて質問します。
今回、知事の所信の中で、成功裏に幕を閉じた東京二〇二〇大会と述べましたが、談合事件はいまだ係争中です。また、新たに公共施設として建設された五輪競技会場は、五施設で年間収支が赤字となっており、その金額は累計で十億円を超えてしまっている始末です。さらに、海の森水上競技場では、カキが大量発生しており、オリンピック前からその撤去に追われてきたといいますが、これまでカキの撤去にどれだけの税金を投入してきたのか、今後どのように対応していくのか伺います。
ここまでも述べたように、負のレガシーも残っている、さらには談合事件が終わっていない、また、その談合についても第三者の目を入れての検証を行っておらず、札幌オリンピック誘致にも暗い影を落としました。この状況で、知事として成功裏に終わったと誇らしげにいうことができるのでしょうか。知事の認識を伺います。
最後に、代々木警察署の建て替えについて質問いたします。
令和五年度第三回定例会で警視総監に質問させていただきましたが、改めて質問をさせていただきます。
この問題は、渋谷区の警察署が隣の新宿区へ仮移転してしまい、その後、本来あるべき渋谷区にいつ戻るかが未定となっている大きな問題です。それにもかかわらず、警察からは積極的な情報周知はなく、地域住民は大変不安な思いをしています。そこで前回質問させていただいたところ、警視総監からは、丁寧な周知を行っていくとのことでした。
しかし、現状は地域の理解が進んだとはいいがたい状況です。この間、どのような周知を行ってきたのか、また、今後どのように周知を行っていくのか、警視総監の見解を伺います。
以上、再質問を留保し質問を終わります。(拍手)
〔警視総監緒方禎己君登壇〕
○警視総監(緒方禎己君) 中田たかし議員の一般質問にお答えいたします。
代々木警察署の庁舎移転に関する周知についてでありますが、代々木警察署については、令和九年度に仮設庁舎へ移転する計画であり、代々木警察署協議会において、仮設庁舎への移転について説明を行ったところであります。
これまでも、代々木警察署周辺の住民の方々などに対して説明を行ってきたところでありますが、現在、次号の広報けいしちょうなどの広報紙やホームページへの掲載準備を進めており、今後、さらに地域住民の皆様に広くかつ丁寧に周知してまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、鉄道の混雑緩和についてでございます。
鉄道の混雑緩和は、官民が連携して解決していくべき重要な課題でございます。
二階建て電車は、混雑緩和に関する一つの考え方でございますが、都はこれまで、鉄道ネットワークの充実や複々線化、民間企業との連携によるオフピーク通勤やテレワークを促進するスムーズビズなど、様々な取組を行ってきており、近年は、いわゆる満員電車の状況はほぼ解消しております。
引き続き、ハード、ソフトの両面から、総合的に鉄道の混雑緩和に取り組んでまいります。
次に、羽田新飛行経路についてでございます。
将来にわたり東京が国際競争力を持ちながら持続的な発展を続けていくためには、羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。
新飛行経路の導入につきましては、国の責任と判断で決定したものであり、都といたしましては、引き続き、国に対して丁寧な情報提供と騒音、安全対策の実施を求めてまいります。
〔福祉局長山口真君登壇〕
○福祉局長(山口真君) 待機児童対策に関するご質問にお答えいたします。
都は、保育所等の整備促進、人材の確保、定着の支援、利用者支援の充実に取り組んできており、こうした取組によりまして、平成二十八年当時、約八千五百名いた待機児童はほぼ解消いたしました。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 介護離職への対応についてでございます。
都は、介護に直面しても安心して働き続けることができるよう、介護のために休業や休暇を取得できる制度の充実などに取り組む中小企業に支援を行うことに加え、企業や従業員に対して支援策の周知啓発を行っております。
また、介護サービス基盤を着実に整備し、特別養護老人ホームの定員は、平成二十八年度より七千人以上増加しております。さらに、介護職員への宿舎借り上げ支援や居住支援特別手当の支給など、介護人材の確保、育成、定着に向けた取組を進めております。
これらの取組を通じまして、介護離職を防止する環境づくりを後押ししていくこととしております。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 都庁における働き方についてのご質問にお答えをいたします。
平成三十年度以降、東京二〇二〇大会の準備や新型コロナウイルス感染症への対応に、全庁挙げて取り組んでまいりました。特に、新型コロナ対応では、都民の生命や生活を守るため、まさに有事の対応として、二十四時間体制での宿泊療養施設の運営や保健所支援など、毎月千人以上の職員による応援体制を構築いたしまして、公共としての役割を果たしてまいりました。
同時に、二十時完全消灯日の設定やDXによる業務効率化など、超過勤務の縮減を図ってまいりました。
また、男性育業の取得率が一割未満から五割を超え、休暇の取得日数も増えるなど、働きやすい職場づくりも進めてまいりました。
引き続き、都庁が率先して、社会全体の働き方改革の機運を高めていくよう取り組んでまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 都道の無電柱化についてでございますが、無電柱化は、都市防災機能の強化などの観点から重要な事業でございます。
都は、平成二十九年に都道府県初の条例を制定し、都道全線において電柱の新設を禁止するとともに、無電柱化推進計画を策定し整備を進め、令和元年度末にセンター・コア・エリア内の都道の無電柱化をほぼ一〇〇%達成いたしました。
令和三年には無電柱化加速化戦略を策定するなど、事業のスピードアップに取り組んでまいりました。現在、第一次緊急輸送道路などで事業を進めてきているところでございます。
さらに、今年度から、設計データの3D化や電気、通信などの関係事業者と新たなチームを組むことで連携を強化し、整備を加速することとしております。
こうした取組により、無電柱化を積極的に推進してまいります。
〔港湾局長松川桂子君登壇〕
○港湾局長(松川桂子君) IRについてでございますが、都はこれまで、IRについて、メリット、デメリットの両面から総合的に検討してきたところでございまして、引き続き検討を行ってまいります。
〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕
○保健医療局長(雲田孝司君) 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都立病院の運営状況についてでございますが、都内医療機関における病床利用率は、コロナ禍で低下しており、都立病院では、患者動向に応じ、病床等の医療資源を有効活用した運営を行っております。
本年六月時点で、工事を理由とするものを除いた休止病棟数は、十四病院全体で十九病棟であり、病床数は六百二十九床でございます。
次に、都立病院の経営形態についてでございますが、都立病院は、独法化のメリットを生かした柔軟な人材確保や機動的な運営により、行政的医療をはじめとする質の高い医療を提供しており、その役割を着実に果たしております。
〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 海の森水上競技場についてでございますが、海の森水上競技場は、スポーツに限らず様々な用途に利用されており、昨年度は計画数を超える三十一の競技大会や音楽フェス等も行われております。
消波装置の機能維持費は、当初年約一億円だったところ、専門家の助言による保全対策により、今年度は約二千万円を見込んでおります。
引き続き、都民に広くご利用いただきますよう取り組んでまいります。
〔政策企画局長坂本雅彦君登壇〕
○政策企画局長(坂本雅彦君) 東京二〇二〇大会についてのご質問にお答えいたします。
コロナ禍の困難な状況の中で、多くの方々の協力を得て、安全・安心を確保し、大会を成功に導くことができました。
これによりまして、今後の東京の発展につながる様々なレガシーを残したところです。
〔三十一番中田たかし君登壇〕
○三十一番(中田たかし君) まず初めに、知事、自席からやじを飛ばすのであれば、まず答弁に立っていただき、答弁拒否をするんですから、もう言語道断なことをするのではなく、しっかりと答弁として答えていただければと思います。
昨日も、我が会派から、また別会派からも再質問を行いましたが、知事として、正面からしっかり答えることはありませんでした。この再質問したことに対して、指名した答弁者でない人が立つこと、また聞いていることと全く違ったこと、最初に行った答弁を読み直すことが続いています。この一回行った答弁を繰り返すことは、再質問の制度の形骸化を生んでおります。都庁の議会軽視の象徴ではないでしょうか。しっかりと聞いたことに正面から答えていただき、昨日も、知事は、二元代表制の下、真摯に取り組んできたといっています。本当にそうでしょうか。そういうのであれば、行動で示していただきたい。議論を交わし深めていく二元代表制の一翼を担う議会として、今の都庁側の姿勢について厳しく抗議をさせていただき、再質問をいたします。
まず、七つのゼロです。
介護離職、残業、そして都道電柱ゼロと大風呂敷を広げてきましたが、八年の成果として全く進んでおらず、ゼロとは程遠く、増えているものまである状況です。改めて、知事として、全く進んでいないこれらの公約について、自らの公約ですから、知事自らのご自身の言葉でお答えをください。
次に、カジノです。
今回も、知事は答弁に立ちませんでした。大きな政治判断が伴うカジノ誘致をするのか、しないのか。令和二年から執行していない予算をなぜ計上し続けるのか。しかも、今回その答弁をしたのが港湾局長ですから、臨海部にカジノをつくりたいと思いがあるのですか。カジノ誘致をするのか、しないのか、知事、お答えをください。
最後に、羽田です。
持続的な発展をしていくために、都民の命と暮らしを脅かしていいわけはありません。飛行機からと思われる氷塊も渋谷区には既に落下しています。都民の命と暮らしを守る知事としての判断を聞いています。ほかの事業では、国が動かないから都として率先してやるといい、この羽田の場合は、国の判断と責任といいます。ダブルスタンダードはやめて、知事として、都民の命と暮らしを守ることを最優先した判断を求められますが、いかがでしょうか。
知事に答弁を求めて、質問を終わります。(拍手)
〔政策企画局長坂本雅彦君登壇〕
○政策企画局長(坂本雅彦君) 政策についてでございますが、政策の目標について、その達成に向けた取組を進め、成果を上げておりまして、お尋ねの三点の政策については、先ほど各局長がお答えをしているとおりでございます。
〔港湾局長松川桂子君登壇〕
○港湾局長(松川桂子君) IRについてでございますが、先ほどご答弁申し上げましたとおり、都はこれまで、IRについて、メリット、デメリットの両面から総合的に検討してきたところであり、引き続き検討を行ってまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 羽田新飛行経路についてでございます。
都といたしましては、引き続き、国に対して丁寧な情報提供と騒音、安全対策の実施を求めてまいります。
○副議長(増子ひろき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後二時五十八分休憩
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