令和六年東京都議会会議録第八号

○副議長(増子ひろき君) 六十三番伊藤こういち君。
   〔六十三番伊藤こういち君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○六十三番(伊藤こういち君) 都議会公明党を代表して質問します。
 都議会公明党は、都民の声に耳を傾け、寄り添いながら、小池知事に対し、都政課題について提案を重ねてきました。とりわけ、一千二百日にわたる新型コロナウイルス対策では、六十五回、五百二項目の緊急要望を行う中で、ワクチンの大規模接種会場や、宿泊療養施設の整備、医療従事者の方への支援、飲食店などへの協力金の支給、コロナ後遺症の支援など、多くの施策が実現しました。
 また、都議会公明党は、私立高校の授業料の実質無償化を提案し、今年度からは都立高校、私立高校ともに所得制限のない無償化が実現しました。あわせて、高校三年生世代までの医療費無償化、第二子の保育料の無償化など、都議会公明党が一貫して主張してきたチルドレンファーストの施策を展開し、子育て、教育支援の負担軽減を実現しました。
 さらには、女性活躍の推進も都議会公明党は進めてきました。
 加えて、切迫する首都直下地震対策や調節池整備などによる激甚化する風水害対策など、TOKYO強靱化プロジェクトが進んでおり、継続する必要があります。
 これらの施策実現は、都議会公明党の主導で実現した新公会計制度による事業評価や、全庁横断的に横串を刺し、行政の壁を突破してきた小池知事のリーダーシップによるものと、これまでの取組を高く評価いたします。
 この二期八年を振り返り、これまでの取組の総括と今後の都政にかける小池知事の思いを伺います。
 次に、子育て施策について伺います。
 まず、私立高校授業料の実質無償化について質問します。
 都議会公明党は、八年前の知事就任後の初の都議会本会議代表質問において、私立高校の授業料の実質無償化を提案しました。そして、段階的に所得制限を引き上げる中で、いよいよ今年度からは、所得制限のない無償化が実現しました。
 所得制限を撤廃して初めてのオンライン申請が六月から始まります。今年度に初めて申請を行う方に分かりやすく周知していくとともに、来年度以降は、早期支給により、できるだけ早い時期に保護者負担を軽減すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、ゼロ歳から二歳の第二子の保育料無償化について質問します。
 都議会公明党は、ゼロ歳から二歳の第二子の保育料無償化を小池知事に提案してきました。それを受け、都は、昨年十月から無償化をスタートしました。
 しかし、企業主導型保育をはじめ認可外保育施設については、区市町村によって実施していない場合があり、さきの予算特別委員会でも、全ての区市町村で実施できるよう都に求めたところです。
 その際、認可外保育施設の無償化の実態調査を行うとのことでしたが、区市町村における実施状況について答弁を求めるとともに、全ての区市町村が実施できるよう取組を進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、東京型こども誰でも通園制度ともいえる多様な他者との関わりの機会の創出事業について質問します。
 都は、都議会公明党の提案を受け、昨年度より事業を開始し、本年度からは、本事業を利用する児童についても第二子以降の保育料の無償化をしました。
 しかし、居宅訪問型保育やベビーシッター利用支援事業は対象となっていません。重い障害などで地域の保育園等に通えない子供が、親の就労の有無にかかわらず家族以外の他者と関わることは、子供の発達の観点からも必要なことであると考えますが、都の見解を求めます。
 次に、子育て世帯向け住宅支援について質問します。
 近年の住宅価格の上昇を背景に、子育て世代や子供たちが都内から首都圏近郊に転出する動きが続いています。
 二〇二二年の実績では、子育て世代の二十五歳から四十四歳の一万五千人、十四歳までの子供の八千人が東京から埼玉、千葉、神奈川の近隣三県に転出しました。通勤時間が長くなることで、家事、育児との両立が困難になり、さらなる少子化につながる懸念があります。
 一方で、都内には様々なストックがあります。空き家のほか、社宅やホテルなどの空室もあります。さらに、オフィスビルの開発が進む中で、今後、空室が増えていく可能性もあり、これらをリノベーションし、住宅に転用することも検討していくべきです。
 こうした既存ストックを有効活用することで、子育て世代向けの住宅として、民間の力も活用しながら供給することが有効と考えます。知事の認識を伺います。
 次に、子供・若者計画の改定について質問します。
 都議会公明党は、昨年七月、子供や若者が主体となる取組の強化を求め、知事に要望をいたしました。その中で、東京都子供・若者計画の改定に当たっては、子供や若者の意見を適切に反映することを求めました。
 既に、東京都こども基本条例に基づいて、子供の声を聞く取組は子供政策連携室を中心にスタートしていますが、一方で、若者の声を聞き、施策へ反映する取組を進める必要があります。
 そこで、子供・若者計画の改定にあっては、若者の意見を聞き、反映させていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、産婦健診の都内共通の受診票の利用について質問します。
 産後鬱が子供への虐待や育児放棄の一因となるといわれております。産後鬱の早期発見のために、産後二週間、産後一か月など、産後間もない時期の健診が重要です。
 都では、産婦健診に取り組む区市町村への支援を行っていますが、実施しているのは六区市町村にとどまっています。全ての区市町村で、出産した方が出産した医療機関等で安心して健康状態を確認できるよう、仕組みが必要と考えます。
 現在、妊婦健診では、都内どこでも利用できる共通の受診票が用いられており、受診しやすいものとなっています。
 そこで、全ての区市町村で産婦健診の取組が進むよう、妊婦健診と同様に、都内共通の受診票を用いて、都内の産科医療機関、助産所等、どこでも産婦健診が受けられる仕組みをつくるべきと考えます。見解を求めます。
 一方、産婦健診の結果を踏まえ、支援が必要と認められる産婦が産後ケア事業などの支援につながることが重要です。産後ケア事業は、産婦健診と同様、都が区市町村に対して財政支援を行っていますが、区市町村の実情によって、対象者の要件や支援内容が異なっています。
 そのため、都議会公明党は、広域自治体である都が区市町村の取組を支援すべきと提案しましたが、今なお、区市町村の管内だけでは、委託先が十分に確保できない現状です。
 そこで、どの地域においても安心して産後ケアが受けられるよう、区市町村の取組をこれまで以上に積極的に支援すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、医療、福祉施策について伺います。
 初めに、災害時における視覚障害者への情報保障について質問します。
 視覚障害者が必要な情報を得る手段として、点字のほか、音声情報があります。都議会公明党は、文字をスマホで読み取り、音声化する音声コードの積極活用を提案し、都は、「東京くらし防災」など多くの紙媒体への音声コードの添付を進めてきました。
 ただ、災害に関連する必要情報は、文字だけではなく、ハザードマップのような地図情報もあります。民間では、視覚障害者からの要望も踏まえ、スマホを使って地図を音声化するツールや、視覚障害者が外出先で警報や避難情報など災害時のリアルタイム情報を得ることができるシステムが開発されています。
 都は、視覚障害者が災害時に必要な情報をより得やすくするための取組を積極的に進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、加齢性難聴支援について質問します。
 都議会公明党の粘り強い要請に応え、都は今年度から、加齢性難聴の方が補聴器を購入する際、支援を行う区市町村に対し、二分の一を補助する事業を開始しました。
 一方で、対象者の中には、耳の中に機器を装着していることへの違和感や、メンテナンスや音の調整に手間がかかるなど、一般的な気道型の補聴器がなじまないという方もいます。
 日本補聴器工業会の調査によれば、日本の約一千四百万人の難聴者のうち、非補聴者の方が約一千二百万人おります。ほとんどの方が、高齢の軽度から中等度難聴の方で、自分は聞こえているつもりであっても、実際には完全に聞こえていないという方が少なからずいます。
 こうした中、今注目を集めているのが軟骨伝導聴覚のメカニズムです。これは、二〇〇四年に奈良県立医科大学の細井裕司学長が発見し、耳の軟骨に音情報を与えると、筒状の外耳道軟骨が振動して、その振動によって耳穴の中で音が生まれるというもので、これまでの気道型、骨伝導型の補聴器やイヤホンの技術とは違うものです。
 この軟骨伝導について、都の認識を伺うとともに、福祉、医療関連など都民サービスを直接行う都の様々な窓口に、老眼鏡と同じように軟骨伝導イヤホンを設置すべきと考えます。見解を求めます。
 また、今後、軟骨伝導の技術を補聴器の機種拡大や通信、音響機器などにも応用を広げていくなど、国際競争力の強化に向けても、都内の中小企業と優れた技術を持つ全国の企業との交流の機会を設け、新たな付加価値の創出を東京から促していくべきです。見解を求めます。
 次に、盲ろう児支援について質問します。
 都議会公明党はこれまで、盲ろう者支援の重要性について繰り返し指摘し、盲ろう者支援センターの設置を実現し、その後も機能拡充を求めてきました。
 特に、先天性の盲ろう児へのきめ細やかな支援が重要であると訴え、都はそれを受けて、令和六年予算特別委員会において、盲ろう者支援センターを移転、拡充し、盲ろう児の支援に取り組むと答弁しました。
 そこで、新たな盲ろう者支援センターでは、盲ろう児支援を充実し、医療、福祉、教育などの連携を図った支援をすべきと考えます。見解を求めます。
 次に、子宮頸がん予防について質問します。
 子宮頸がんの予防には、HPVワクチン接種とともに、定期的な子宮頸がん検診の受診が重要であります。
 区市町村が実施する子宮頸がん検診は、国の指針で、二十歳以上の女性を対象に二年に一回、細胞診を推奨してきましたが、令和六年二月に指針が一部改正され、HPV検査単独法が新たに追加されました。当該検査法は、三十歳以上の方では五年に一回となり、受診者の負担が軽減されます。一方で、検診結果によっては、次回の検査のタイミングが変わることから、区市町村は、受診者の受診状況を正確に把握する必要があると聞いています。
 そこで、区市町村がHPV検査単独法を導入するに当たっては、スムーズに実施できるよう、都として必要な支援をすべきと考えます。見解を求めます。
 次に、高齢者施策について伺います。
 初めに、シルバーパスの更新手続について質問します。
 都は、新型コロナウイルス感染症の流行後、令和二年から令和四年までの三年間、会場方式から郵送方式に切り替えて一斉更新を実施してきました。
 昨年、感染症法の分類は五類に移行しましたが、夏の更新時期の熱中症予防という観点やデジタル化の進展など、この間の社会環境の変化を踏まえ、以前の会場方式に戻すことなく、更新手続を実施すべきであるとの都議会公明党の提案に応え、郵送方式による手続を行いましたが、今後は同様に郵送方式で実施すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、シニア世代のスキルアップ支援について質問します。
 時代の変化に伴い、高齢者の就業へのニーズも変化し、現役時代とは異なる新しい職種や業種で働くことを希望する方も増加しています。
 都は、職業能力開発センターにおいて世代に応じた職業訓練を実施していますが、こうしたニーズに応えていくためにも、意欲あるシニア世代が新たな分野などで活躍できるよう支援を充実させていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、高齢者のデジタルデバイド対策について質問します。
 都は、都議会公明党の要望に応え、スマートフォンの操作について、都営住宅の集会室での教室形式の体験会に加え、区市の施設などでの相談会も開催し、高齢者が使い方に困ったら気軽に相談できるよう取り組んできたことを評価します。
 しかし、行政サービスのデジタル化の進捗に遅れることなく、高齢者のデジタルデバイド対策を進めていくためには、取組内容のより一層の改善が必要です。
 そこで、都は今後、行政や民間の様々なサービスのスマートフォンでの活用など、日常的な利便性の向上につなげていくべきです。
 加えて、対策の効果が年度を越えてより多くの高齢者に広がっていくよう、令和七年度以降の継続実施の意向を早めに表明して、区市町村をはじめ町会、自治会などの住民組織がより計画的に取り組みやすい環境を整えるべきと考えます。併せて見解を求めます。
 また、外出時におけるデジタルサービスの利用という点では、スマートフォンは大変に便利なツールです。
 一方で、在宅時などでは、もっと大きな画面でデジタルサービスを利用したいという高齢者の声も聞きます。さらには、スマホは苦手だが、テレビのリモコンなら大丈夫だという声も聞かれます。
 都は今後、家庭で普及しているテレビを活用した、垣根の低いデジタルデバイド対策を進めるよう強く要望します。
 次に、防災対策について伺います。
 初めに、盛土対策について質問します。
 二〇二一年七月の静岡県熱海市の土石流被害を踏まえ、都議会公明党は、盛土による土砂災害の未然防止について質問したのに対し、都は盛土総点検を実施しました。点検対象とした約千六百か所のうち、二十三か所については事業者に対して是正指示中と聞いており、引き続き、各法律や条例に基づいた適切な対応が必要です。
 また、都議会公明党は、盛土による土砂災害の未然防止に向け、都独自の対策を打ち出すべきと提言し、都は、二〇二一年十二月に関係六局で盛土のあり方検討会議を設置し、不適正盛土の把握について、人工衛星データなどを活用する方針を示しました。また、二〇二三年五月に盛土規制法が施行されましたが、制度の強化のために、都は独自の中間検査、対象規模の拡大などの条例を制定しました。そして、七月には盛土規制法に基づく制度に移行し、規制区域の指定を行うということです。
 都は、新しい法律と条例を的確に運用し、庁内連携して既存、新設の盛土の安全を確保すべきです。知事の見解を求めます。
 次に、島しょ地域の災害対策について、三点質問します。
 都議会公明党は、島しょ地域の災害対策の強化のため、昨年十一月に小笠原諸島を、本年四月には三宅島を視察、調査いたしました。
 都が一昨年に見直した被害想定では、マグニチュード九クラスの南海トラフ巨大地震が発生した場合、島しょ地域では、津波により九百五十人を超える人的被害が発生すると想定されています。
 一方、島しょ地域の火山噴火も課題です。大島は前回の噴火から三十八年、三宅島は二十四年が間もなく経過し、いずれも過去百年程度で見ると、噴火の周期を過ぎている状況です。
 そこで、島しょ地域において、発災時に最も重要となる島民等の避難計画について、都は、島しょ町村と連携し、適時適切に見直しを図り、万全にしておくべきと考えます。知事の見解を求めます。
 視察した三宅島では、これまでの経験から、災害発生時には正確な情報を直ちに住民に伝え、一人一人の避難行動につながるよう、防災行政無線のほか、IP告知端末というテレビ電話を全世帯に配布しており、ふだんから端末の画面を通して、村のお知らせや、船と飛行機の運航状況、火山ガスに関する情報等が随時確認することができるようになっていました。
 このような取組は、ほかの島しょ町村においても大変に有効であると考えられます。
 大規模災害発生時、島民が適切に避難行動を取れるよう、都として十分に対策を講じていくべきと考えます。見解を求めます。
 さらに、小笠原においては、小笠原諸島振興開発計画素案が公表され、防災対策も位置づけられていますが、災害時に内地から一千キロ離れた小笠原の地理的特性も踏まえ、計画の実効性を高め、取組を着実に実行していくべきです。見解を求めます。
 次に、災害時におけるドローンの活用と人材育成について質問します。
 過去の災害等においても、要救助者の捜索、被災地の状況把握やハザードマップの作成等、ドローンの果たす効果は大きく、場所を選ばず出動ができるメリットがあることから、各消防署においても活躍が期待できます。
 そこで、災害活動においてドローンによる情報収集が重要であることから、東京消防庁のドローンを増強すべきと考えますが、大規模災害時に向けたドローンの活用や人材育成について、東京消防庁の見解を求めます。
 都は昨年度、檜原村や青梅市で、生活必需品の輸送など様々な用途を想定したドローン物流の実証実験を実施しています。
 能登半島地震でも、被災地への物資輸送にドローンが活躍したとのことであり、発災時を見据え、平時から物流へのドローン活用に取り組んでいくことが重要となります。
 現在、多くの都民が高層住宅に暮らしており、災害時に停電でエレベーターが停止すると、特に高齢者や障害者にとって、食料や水を運ぶことが困難になると懸念されます。
 都は、民間と連携し、ドローン物流を社会で実現するために、さらに取組を進め、都民の利便性向上につなげていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、産業施策について伺います。
 初めに、中小企業における取引の適正化対策について質問します。
 長引くエネルギーや原材料価格の高騰と、物価を上回る賃金アップへの社会的要請に加え、急速な円安により、都内中小企業の事業活動におけるコストが増加し続けています。
 特に弱い立場にある下請企業は、コスト増加分の価格を上乗せすることが難しく、企業努力だけでは状況の打開は困難です。
 そのため、国は下請企業を訪問して、取引上の問題点など聞き取り調査を行う下請Gメンを設置しています。
 都は、中小企業振興公社の取組などを通じて、こうした国の取組と連携しているところでありますが、取引の適正化が一層図られるよう、さらに都内の中小企業に寄り添い、課題の解決に向け、効果的なサポートに取り組むべきです。知事の見解を求めます。
 次に、働き方改革について質問します。
 建設、運輸業の事業者に対し、今年四月から時間外労働の上限規制が適用される、いわゆる二〇二四年問題について、都議会公明党は適切な対応を求めてきました。
 とりわけ中小の建設、運輸業では、生産性の向上など様々な経営課題を抱えており、これらの課題は一朝一夕に解決できるものではありません。
 都はこれまで、セミナーや相談窓口の設置など支援を行っており、今年度はさらに、都議会公明党の求めに応じ、専門家による巡回相談も始めたところです。
 上限規制が適用されてから既に二か月が経過した中でも、多くの現場は人手不足など厳しい状況に悩んでいます。都は、相談対応などより丁寧に行い、支援を継続していくべきです。見解を求めます。
 次に、ドライバー不足への対策について質問します。
 都は既に、運輸業界の企業団体などに対し、社員への輸送用車両の運転免許の取得に活用できる補助を実施していますが、新たなドライバーの確保の推進には、この補助制度のさらなる拡充が必要です。
 若者が運輸業界を就労の選択肢として検討することができるよう、トラック運転の体験会を実施したり、普通免許の取得を検討している若者などに対して、運転未経験でも普通免許と同様に取得可能な準中型トラック免許の取得を勧め、普通免許の取得よりも経費的に安く済むような支援制度を整えれば、潜在的なトラック運転資格者の拡大につながります。
 同時に、安全対策も重要であり、準中型トラック免許がペーパードライバー化した場合に備えての講習費用の支援も必要です。
 都は、ドライバー確保の新たな活路が広がるよう、業界が行う免許取得支援制度が効果的に運用されて成果につながる支援をすべきです。見解を求めます。
 また、ドライバー不足への対応には、ロードプライシングの適正化も重要です。
 ロードプライシングは、運転時間も短縮され、働き方改革としても大事な課題ですが、深夜運転が余儀なくされるような傾向が強まれば、ドライバー不足対策としてはマイナスです。
 事実、東京都トラック協会は、令和五年度での都への要望では、深夜走行料金の割引率の強化を記載していましたが、令和六年度の要望からは、この内容を削除しています。
 ロードプライシングの取組の中には、渋滞が発生しやすい都心部を回避する迂回ルートへの誘導を図る料金割引の取組も含められています。都は、ドライバー不足という喫緊の最重要課題についても効果のあるロードプライシングなど、高速料金制度の在り方を国へ提案していくべきであります。見解を求めます。
 次に、外国人材の受入れについて質問します。
 国は昨年度、在留資格である特定技能制度を拡充し、外国人材を受け入れる門戸を大きく広げました。
 特定技能には、一定程度の知識または経験を必要とする特定技能一号と熟練した技能である特定技能二号があり、一号の在留期間が最大五年であるのに対し、二号は在留期間の更新に制限がなく、家族の帯同が可能です。
 国は、この特定技能一号と二号を取得できる対象職種をそれぞれ拡大し、外国人材が国内でより継続的に働くことができるようにしました。
 そこで、都は、都議会公明党の主張を受け、昨年初めて、外国人材向けの合同企業説明会をアジアの主要大都市の現地で開催するとともに、外国人材と中小企業をつなぐマッチングなどに取り組んでいます。
 都は今後、こうした取組に力を入れ、制度を企業が適切に活用し、人材を確保できるよう支援を強化すべきと考えます。
 そして、外国人材に日本での暮らしに必要なルールやマナーを知っていただき、地域社会においても長く共生していただけるように支援していくことが重要です。併せて見解を求めます。
 次に、新たな事業環境に対応する中小企業の支援について質問します。
 コロナ後の需要回復など景気を押し上げる動きがある一方で、消費者ニーズの多様化や事業活動のデジタル化など、ビジネスの現場では様々な変化が起きています。
 また、中小の飲食店などは、人手不足解消や感染防止対策のため、自動券売機を導入しているところもあり、七月から新しい紙幣が発行され、それに対応できる機器を導入するための支援を求める声が上がっています。
 中小企業が経営環境の変化に適切に対応できるよう、都は、新たな事業環境に即応した経営展開サポート事業を開始しています。
 新紙幣への対応策は、本来は国がやるべきですが、都としても丁寧に相談に応じながら、この事業を活用して中小企業の取組を後押しする必要があると考えます。見解を求めます。
 次に、建設資材のリサイクルについて質問します。
 都内の工事現場では、解体作業に伴うコンクリートがらが大量に発生し、そのがらをリサイクルした再生砕石や骨材は、都内では供給過多となり、行き場のない状態となっています。都有地を活用して一時保管場所を確保しないと、このままではコンクリートがらを都外に運搬せざるを得ず、運搬コストの上昇や不法投棄の誘引など、環境への負荷などの影響が考えられます。
 そこで、公共工事や民間工事への再生砕石、骨材の利用拡大に向けた対策を関係部局で検討すべきと考えます。見解を求めます。
 なお、今後、災害時の有効利用を含め、都有地を活用した一時保管場所の確保を都に強く求めておきます。
 次に、建設工事における生コンクリートの削減、リサイクルの推進について質問します。
 建設工事の現場には、ミキサー車で生コンクリートが搬入されますが、余った生コンクリートは生コン工場に戻されて、産業廃棄物として処理されています。
 業界団体によれば、東京では、このように建設時に無駄になる生コンクリートが一年間で百戸規模のマンションの二十五棟分相当も発生していますが、これを洗浄などすれば、砂や砂利という元の骨材に戻ります。
 環境を守り限りある資源を保護するため、また、人手不足の中で働き方改革を進めるためにも、都は、これら余剰の生コンクリートをリサイクルした回収骨材の利用をガイドラインに取り入れ、都の発注工事において利用を図り、また、民需においても進めていくべきであります。
 そこで、回収骨材、グリーン骨材の利用促進や残コン、戻りコンの削減について、都の見解を求めます。
 次に、産業廃棄物事業のDX推進について質問します。
 都は、資源、エネルギーの大消費地東京の責務として、産業廃棄物が資源としての再利用が進むように積極的に取り組まなければなりません。
 現在、産業廃棄物処理に携わる事業者は、中小零細企業が多く、二〇二四年問題など働き方改革への対応に追われており、業務の改善が必要です。
 都議会公明党はこれまで、産業廃棄物処理業界における業務改善に向けたDXの活用を提案してきており、都は積極的に進め、支援をしていくべきです。知事の見解を求めます。
 次に、多摩産材の生産力の強化と木材の利用促進について質問します。
 多摩地域には五万ヘクタール以上も森林が広がっており、この木材の一部を伐採して利用し、その収益は木材の生産活動に還元もされています。
 そして、今、戦後の高度経済成長期に大量に植えられた利用可能な杉やヒノキなどが約八割あり、建築資材として収穫期に達している状況です。
 一方、建築関係者の方々からは、多摩産材は価格が高い、また、使いたくても必要な量が手に入らないなどの声も聞こえてきます。
 多摩地域の地形が急峻で伐採が難しく、道路も狭く搬出が困難なため、高い技術や人手を要することに大きな原因があります。
 そこで、多摩産材の生産量の増加に向けて、都は、杉やヒノキ等の伐採や搬出、運搬などの取組を強化すべきです。見解を求めます。
 また、多摩産材を求める木材建築関係者が製材や製品に関する情報を分かりやすく入手して、購入が進み取引が拡大していくよう、都は積極的に支援していくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、農業を活用した食育の推進について質問します。
 近年、農業者の指導を受けながら農作業を学べる体験農園や身近な場所で野菜づくりを楽しめる市民農園が、シニア層などを中心に注目されています。
 一方で、子供たちが農業に触れる機会は少なく、都心部では、東京で野菜がつくられていることを知らない子供もいると聞きます。
 都議会公明党は、本年第一回定例会の質疑において、子供たちが農業を学べる機会の重要性を主張し、都は、六月下旬に親子で参加できる東京de収穫体験フェスティバルを開催する予定と聞きます。
 子供たちが楽しく学べる機会として評価しますが、農業や食への理解を深めるためには、イベントに参加したことがきっかけとなって、家庭などで食育の取組が進みやすくなることが大切です。
 そこで、イベントの実施に当たっては、参加後も食育に取り組めるよう工夫すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、都営住宅について伺います。
 初めに、都営住宅共用部の維持管理について質問します。
 現在、共用部分の電気代や水道料金の支払い、蛍光管の交換などの維持管理は、住民自ら行うことがルールとなっています。
 また、毎年の実施が推奨されている各台所の排水管清掃では、特に高層住宅における建物構造による費用負担の増大、業者選定や居住者数の多さによる清算作業の難航などで大きな自治会負担が生じています。
 さらに、都が義務とする住宅の維持管理に必要な共益費の徴収に対しても、意図的に支払わない住民もおり、自治会が訴訟を起こして支払い判決を勝ち取ってもなお徴収に応じない悪質な例も出ており、共益費の自治会徴収の在り方が課題となっています。
 都は、二〇一七年に電気代の徴収や草刈りなど自治会が行う維持管理の一部を外部委託する仕組みを導入しましたが、四分の三以上の住民合意などが重荷となり、制度を利用している自治会は全体の二割程度にとどまっています。
 都営住宅の名義人の約七割が六十五歳以上となった今、都営住宅の大家である東京都は、共用部の維持管理を抜本的に検討する大きな転換点を迎えており、まずは自治会等の意見を聞いて検討していくべきです。知事の見解を求めます。
 次に、都営住宅での移動販売の促進について質問します。
 近年、高齢化の進展や商店街の衰退により、移動販売の実施を求める声が都内でも広がっており、都議会公明党は、都営住宅などでの促進を強く求めてまいりました。
 移動販売には、高齢者の孤立を防ぐ効果やコミュニティの活性化などの効果も期待されています。
 こうしたメリットが一層発揮されるためには、移動販売を活用した交流の機会の創出などの好事例の収集と周知に加え、実施事業者、団地自治会、買物利用者などの声を幅広く把握することが重要です。
 都議会公明党は、こうした視点から、移動販売に関するアンケートを実施し、その分析結果を活用すべきだと考えます。
 移動販売の取組の充実に向けた方針と最新の拡充状況について、併せて見解を求めます。
 次に、都政の諸課題について四点伺います。
 初めに、築地のまちづくりについて質問します。
 これまで都議会公明党は、築地のまちづくりについて、大規模集客施設だけでなく、水と緑が織りなす東京の新たな都民の憩いの場の創出や、築地場外市場との連携で食文化の発信拠点とするなど、世界の主要都市の一つである東京にふさわしいまちづくりを訴えてきました。
 また、多くの人が来街することから、交通アクセスや周辺混雑対策についても、地元区との協議を促進させていくことが重要であると指摘してきたところであります。
 さらに、知事はかつて、築地市場の再開発方針について、築地の食文化を生かすとも述べてこられました。
 そこで、都心に残された貴重な一等地である築地市場跡地について、地元のため、都民全体の利益のために、いかなる魅力を提供していくのか、知事の見解を求めます。
 次に、カスハラ防止条例について質問します。
 昨年の定例会で、都議会公明党がカスタマーハラスメント防止への条例化を求めた結果、知事は第一回定例会で正式に検討を表明し、その後、専門家による会議では、公明党が求めたガイドラインの作成も含めた議論が重ねられ、条例化への動きが着実に進められております。
 現在、様々な現場におけるカスハラの課題も明らかになっておりますが、その一つがSNSを使った行為です。例えば、スーパーのレジや自治体の窓口対応に不満を持った人が、インターネット上で担当者を名指しして傷つける事例や、いわゆる迷惑動画の拡散や、企業や病院への誹謗中傷の書き込みなど様々なケースが報道されています。
 こうした中で、事業者側の防衛策として、カメラでの録画や通話の録音を行うことで、証拠保全や抑止効果につながると期待されています。しかし、中小零細事業者の負担を抑えるためには、こうした機器類の設備を補助すべきと考えます。都に対応を強く求めておきます。
 都は、条例化の検討に当たり、特に深刻なネットやSNSへの書き込み、迷惑動画など、加害者の特定が難しいケースでも幅広く効果が及ぶ内容とするとともに、現場ごとの効果的な対策も示していくべきであります。知事の見解を求めます。
 次に、障害者スポーツ支援について質問します。
 本年の予算特別委員会における都議会公明党のデフリンピックに関する質問に対し、都は、デフリンピック関係者を招いた研修を、生活文化スポーツ局だけではなく、他局も含めた職員を対象に実施することや、当事者団体と身近に協働する体制を構築していくとの答弁があったところです。
 そこでまず、デフリンピック大会に向けた都の職員研修の内容を具体的に明らかにすることを求めます。加えて、研修や当事者団体への職員派遣などを通じて、都庁の職員が大会後も引き続き局の壁を越えて、ろう者への理解と共感を深め、スポーツや文化などの視点から共生社会の実現に一層貢献していくべきと考えます。見解を求めます。
 さきのパラリンピック大会を契機に、様々な障害者スポーツの団体が寄附金などを募る取組を継続させています。デフスポーツの当事者団体も、大会後、同様の取組を開始するものと予想されます。
 しかし、障害者スポーツへの理解や、それを支えるための寄附文化の醸成といっても、さきのパラリンピックやデフリンピックの開催だけで十分に環境が整うとはいえません。
 今回、東京都スポーツ文化事業団は、大会の成功に向けて、クラウドファンディングによる寄附の取組を開始しました。
 こうした取組を参考に、都は、大会後の各障害者スポーツ団体による自助努力の取組を都民に周知することはもとより、都自らも、補助金の継続や充実、さらには対象を幅広く捉えたクラウドファンディングの取組を整えるなど、資金的にも、人的サポートの上でも、都民の関心を末永く醸成できる環境を創出すべきと考えます。見解を求めます。
 最後に、二〇〇八年度に実施された新銀行東京への四百億円の追加出資の回収について質問します。
 東京都は、二〇〇八年度に融資を受けている多くの中小零細企業を救済するために、新銀行東京に対して四百億円の優先株による追加出資を実施いたしました。
 この際、議会を二分する議論が行われ、共産党は議会質問において、都民の税金をどぶに捨てるようなものと主張し、当時の民主党は、追加出資の四百億円は泡となって消えると、チラシをつくってまいていました。
 都議会公明党は、当時、赤字や債務超過の多くの中小零細企業が新銀行東京から借入れをしている実態を踏まえ、新銀行東京を破綻させることにより、これらの会社や家族までもが路頭に迷うことになると判断し、苦渋の決断をし、賛成いたしました。その際、四百億円の追加出資を棄損させず、将来的に回収することを東京都に強く求めました。
 新銀行東京は、二〇一六年四月に東京TYフィナンシャルグループと経営統合を行い、二〇一八年五月には合併により、きらぼし銀行として出発しました。
 そこでまず、このときに新銀行東京に四百億円の追加出資を行うことにより、赤字や債務超過に陥っていた中小零細企業は、新銀行東京が経営統合されるまでに、どれくらい救済されたのか、都の説明を求めます。
 二〇二三年度のきらぼし銀行の決算は、コロナ禍という大変に厳しい状況を経たにもかかわらず、当期純利益は三百三億円、中小企業への貸出残高は三兆九千九百六十四億円、不良債権比率も前年度より減少し、二・三一%までになりました。
 このように、きらぼし銀行は順調に業績を伸ばし、経営成績も良好な状態にあります。
 そこで、新銀行東京に対して四百億円の優先株による追加出資はいつ回収できるのか、きらぼし銀行に職員を派遣し、大株主でもある都の見解を求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 伊藤こういち議員の代表質問にお答えいたします。
 知事就任後の取組の総括について、冒頭ご質問がございました。
 都民が抱える不安を解消し、未来への明るい展望を描ける社会を築いていく、これを念頭に置きまして、都民のニーズを的確に酌み取り、常に時代の先を読みながら、御党とも足並みをそろえ、政策を実現してまいりました。
 千二百日にも及びます新型コロナとの闘い、都民生活と東京の経済を守り抜くとの強い決意の下で、ワクチン接種や宿泊療養施設の整備、保健所の体制強化、医療従事者への支援の充実など、あらゆる手だてを総動員してまいりました。
 また、事業評価の徹底で生み出した財源も活用しまして、第二子保育料の無償化、また、高校授業料の実質無償化など、子供目線の政策を国に先駆けて展開をしてまいりました。
 さらに、百年先も安心して暮らせる東京を目指しまして、TOKYO強靱化プロジェクトを立ち上げて、調節池の整備、建物の耐震化など、災害対策を強化してまいりました。
 今後とも、東京、日本の将来を見据えまして、都がなすべき施策を先手で積極的に展開をし、東京を持続可能な都市へと昇華させてまいります。
 次に、私立の高校授業料の実質無償化につきましてであります。
 教育は、子供の健全な育ちを支える重要な基盤です。そして、家庭の経済状況にかかわらず、子供たちが将来にわたって安心して学ぶことができる環境を早期に実現する必要がございます。
 都は今年度から、都内在住の全ての私立学校の生徒が対象となる新たな授業料負担軽減制度を開始をしまして、六月二十日から申請を受け付けます。
 初めて制度の対象となる方にも確実に申請していただけますよう、学校とも緊密に連携するとともに、リーフレットやSNSなども活用しまして、周知を徹底してまいります。
 今後、より一層速やかな支給が実施可能となりますよう、国や関係者との間で調整を図りつつ、検討を進めてまいります。
 次に、子育て世代の住まいの確保についてであります。
 子供の健やかな成長と、家族に笑顔のあふれる生活を実現するためには、快適な住環境は何より欠かせません。子育て世帯が仕事と育児の両立を図るため、生活の基盤となる良質な住まいを安定的に確保できる施策を着実に進めていく必要がございます。
 子供の育ちを支援する〇一八サポートによりまして、子育て世帯の経済的な応援を行うほか、子供の安全を確保しまして、見守りやすい間取りの住宅を増やす取組を進めてまいります。都営住宅を、結婚を予定する方に優先的に提供する仕組みも開始をいたしました。
 また、都内には空き家など様々な社会ストックがございまして、今後、それらを有効に活用し、子供を持つ世帯が安心して住めるよう、子育て支援と連携したまちづくりを進めていくことは、重要なテーマと認識をしております。
 子育てしやすい住環境の形成により、子供の笑顔あふれるチルドレンファーストの社会を実現してまいります。
 次に、盛土の安全対策についてのお尋ねがございました。
 熱海市で発生した土石流災害を教訓にしまして、盛土による災害から都民の生命、財産を守ることが都の責務でございます。
 このため、都内のほぼ全域を規制区域としまして、法の規定を強化した条例を運用するとともに、不適正盛土に対する全庁的な体制を構築して、指導監督を強化してまいります。
 さらに、都独自の取組といたしまして、人工衛星データや都民投稿ツールを活用しました不適正盛土の監視に加え、危険な宅地擁壁の所有者などに対しましての補助制度の運用も開始いたします。
 こうした取組を通じまして、実効性の高い盛土対策を推進することにより、都民の安全・安心を確保してまいります。
 次に、島しょの町村の災害対策についてのお尋ねでございます。
 島しょ地域は、豊かな自然に囲まれている一方で、津波や火山噴火など様々な災害リスクを抱えています。そして、一たび災害が起きれば甚大な被害につながってまいります。
 知事就任以来、何度も島しょを訪れまして、つい先日も、大島、三宅島、八丈島を訪問したところであります。現地の状況を自らの目でつぶさに確認をし、そこに暮らす方々の声も直接伺いながら、津波避難施設の設置や護岸、砂防施設の整備、都道や港、空港におけます無電柱化の推進など、防災力の向上に取り組んでまいりました。
 また、ハード対策のみならず、最新の知見に基づきまして、南海トラフ地震や火山噴火等を想定いたしました各島の津波避難計画や、六つの火山ごとの避難計画の策定など、町村や関係機関と一体となった対策も進めております。
 備えよ常にの精神で、各町村と緊密に連携しまして、島民の安全・安心を確保してまいります。
 中小企業の取引適正化についてでございます。
 事業の活動に必要な原材料の高騰や円安により、中小企業の経営に大きな影響が生じております。こうした厳しい経営環境を乗り越え、将来に向け事業が継続できますよう、きめ細かな支援を行うことは必要です。
 中小企業が適正な価格で取引を行えますよう、法令や企業実務に詳しい専門家が取引の適正なルールなどをアドバイスしております。また、年間一千八百を超える企業に個別巡回をしまして相談対応を行っております。
 今年度からは、原価管理アドバイザーの派遣によりまして、価格交渉に必要なコスト計算などのノウハウの提供を開始し、支援の充実を図っております。
 こうした取組を通じまして、東京の産業の基盤である中小企業の経営をしっかりと支えてまいります。
 次に、資源循環におけますDXの推進についてでございます。
 脱炭素や資源の有効利用につながる循環経済を実現するには、デジタルの力を用いまして、回収や選別等のプロセスを高度化し、持続可能な循環システムを構築することが重要です。
 これまで都は、日々の快適な環境を支える廃棄物の関連事業者に対しまして、ICTを生かした処理の効率化を助言するほか、プラスチックのリサイクル等に向けた仕組みづくりをサポートしてまいりました。
 今年度からは、廃棄物処理のDXを導入する事業者に対して支援を開始いたします。AIによる最適な収集のルートづくりや、リサイクルできる素材の自動選別など、最先端の技術を活用した新たなビジネスモデルの構築につなげてまいります。
 優れた取組や創意工夫を業界全体に広げ、サーキュラーエコノミーへの転換を加速してまいります。
 都営住宅の共用部の維持管理についてのお尋ねがございました。
 都営住宅は、都民の住宅セーフティーネットの中核として重要な役割を担っております。居住者の高齢化が進み、自治会の担い手が減少する中、自治会の活動を持続可能なものとしていくことが求められています。
 このため、都は、東京みんなでサロンや大学と連携した学生入居に取り組んでおります。また、共用部の維持管理の負担を軽減するため、希望する団地につきまして、都が居住者から代行に要する経費を含めて共益費として徴収し、管理業務の一部を実施する制度も導入しております。
 高齢化のさらなる進行を見据えまして、自治会等の意見を幅広く伺い、今後の在り方と課題を検討し、居住者の良好な居住環境を確保してまいります。
 次に、築地まちづくりについてであります。
 この事業は、都心とベイエリアを効果的に結びつけ、将来にわたって東京の発展を牽引する重要なプロジェクトでございます。
 今回の提案では、国際水準のスポーツ大会や日本の食を堪能できるフードホールなどによりまして、国内外から多くの人々を呼び込むとともに、地下鉄新駅の整備も見据えながら、EV船や空飛ぶ車など、未来の技術も取り込んだ交通結節点の形成などが示されております。
 今後、地元区を含めました関係者との協議を加速させまして、安全で快適な東京の新たな玄関口を整備するとともに、場外市場とも連携したにぎわいの創出、築地ならではの食文化の効果的な発信などによりまして、周辺地域との相乗効果をもたらしながら、東京そして都民にとっての価値の向上に寄与してまいります。魅力的なまちの実現を目指してまいります。
 次に、最後になりますが、SNSによりますカスタマーハラスメントについてのお尋ねでございます。
 インターネットの普及などによって、様々な現場でカスタマーハラスメントの被害が深刻化しております。こうした視点で、効果のあるルールづくりを進めていかなければなりません。
 この間、検討会議におきましては、ウェブ上での誹謗中傷や匿名による加害行為に対しまして、条例は有効に機能するとの見解が明らかとなりました。都として、あらゆるカスタマーハラスメントの禁止を社会全体に強く働きかけることが求められております。
 今後、こうした議論を踏まえた条例と、その実効性を高めますガイドライン等の検討に着手をいたします。
 その中で、SNS上の行為を含む幅広いハラスメントから働く方を守り、現場で役立つ効果的な対応策を広めてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高速道路の料金体系についてでございます。
 円滑な物流の確保に向けては、一層の効率化を図ることが重要であり、渋滞緩和や料金負担の軽減に取り組む必要がございます。
 これまで都心の渋滞を招く通過交通を圏央道や外環へと誘導するため、迂回料金を引き下げるとともに、物流事業者等に適用される大口多頻度割引を拡充してまいりました。本年四月に国の会議が開催され、高速道路の料金体系について検討していくことが示されました。
 都といたしましては、ドライバーなど労働力不足が深刻化している現状を踏まえ、国などの関係機関に料金体系の見直しを働きかけるなど、一体的で利用しやすい高速道路の料金体系の実現に向け取り組んでまいります。
 次に、再生砕石、再生骨材の利用拡大についてでございます。
 建設リサイクルを推進するためには、官民の関係者が一丸となって取り組むことが重要でございます。
 これまで都は、関係局と連携し、再生砕石などの利用拡大について課題を共有しながら、公共工事における利用拡大に取り組んでまいりました。
 引き続き、都の発注工事での使用実績を積み重ねるとともに、今後、利用拡大に関する検討に先駆けて、民間工事発注者へ関係局とヒアリングを実施するほか、大規模開発の事前協議を通じた事業者への働きかけを強化いたします。
 こうした取組により、再生砕石などの一層の利用を促進してまいります。
 最後に、回収骨材のリサイクル推進についてでございます。
 資源循環や廃棄物の排出抑制を図るためには、建設資材の有効な再利用とともに、適切な発注管理による建設資材の製造、使用が重要でございます。
 回収骨材を使用した生コンクリートの利用につきましては、今後、工事の受発注者や製造者にヒアリングを行い、供給や利用の実態を調査し、課題を把握してまいります。
 また、余剰となる生コンクリートの削減につきましては、優良事例を紹介する動画を新たに作成、周知するなどして、工事の受発注者の取組を促してまいります。
 こうした取組を通じて、官民が連携した建設資源循環を推進してまいります。
   〔福祉局長山口真君登壇〕

○福祉局長(山口真君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、認可外保育施設の第二子の保育料無償化についてでございますが、都は、昨年十月に開始した第二子の保育料無償化につきまして、認可外保育施設の実態を詳細に把握するため、先月、区市町村に対して調査を実施いたしました。
 その結果、都の多子世帯に対する補助制度を活用し、企業主導型保育施設を対象として第二子の保育料の負担軽減を行っている自治体は四十一、今年度中に行う予定の自治体は二でございました。
 今後、調査結果の分析を行い、区市町村ごとの課題や対応状況を把握するとともに、その結果を待機児童対策協議会等で共有し、認可外保育施設での第二子保育料の無償化について、都の補助制度の活用を働きかけてまいります。
 次に、集団生活が難しい障害児等への支援についてでございますが、都は、障害児等も含め保育を一時的に必要とする保護者に対しては、ベビーシッターによる保育を提供する区市町村を支援しております。また、保育所等における医療的ケア児の受入れ体制を促進するため、区市町村を通じ、看護師等を配置する経費などを補助してまいりました。
 今年度からは、多様な他者との関わりの機会創出事業を拡充し、障害児等の受入れを促進しております。
 今後、できるだけ多くの子供に他者と関わる機会を提供できるよう、集団での生活が難しい医療的ケア児や障害児等の実情について、当事者の声を聞くなどにより把握してまいります。
 次に、産婦健康診査についてでございますが、産婦健康診査は、産後鬱の予防や新生児への虐待予防等を図ることを目的としており、実施主体である区市町村が医療機関や助産所への委託により実施しております。
 都内では、居住自治体以外での出産が約半数であるため、産婦が自治体の区域を越えて健診を受診できるよう、広域的な仕組みとすることが重要でございます。現在、区市町村において、都内共通の受診票の導入に向けた検討が行われており、都は、検討が円滑に進むよう、健診の効果や医療機関における実施状況など、必要な情報を提供しております。
 今後、全ての自治体で産婦健診が進むよう、都内共通の仕組みの構築に向け、区市町村を後押ししてまいります。
 次に、産後ケア事業についてでございますが、都は出産後の母子の心身のケア等を行う産後ケア事業を推進するため、実施主体である区市町村の財政負担について、運営費の全額と施設等整備費の半額を支援してまいりました。
 区市町村の取組をさらに進めるためには、委託先となる医療機関等を自治体の区域を越えて確保することが有効であり、都は新たに都内全ての産科医療機関等に受入れ可能な人数等の調査をするとともに、区市町村における委託先確保のニーズや確保状況等を確認してまいります。
 今後、調査結果を区市町村に共有し、区域を越えた産後ケアの提供を促進してまいります。
 次に、軟骨伝導イヤホンについてでございますが、高齢者や障害者をはじめ全ての人が円滑にコミュニケーションを図ることができるよう、誰もが必要な情報を容易に入手できる環境を整備することは重要でございます。
 新たに開発された軟骨伝導イヤホンは、加齢等により聴力の低下が見られる方の聞こえを補うものであり、コミュニケーションの選択肢が広がるよう、都は今後、高齢者や障害者等が訪れることが多い都の福祉関係の窓口に試行的に設置いたします。
 また、このイヤホンを既に設置している都内の自治体における利用状況等も把握し、関係各局や未設置の自治体に対して情報提供してまいります。
 次に、盲ろう児への支援についてでございますが、視覚と聴覚の両方に障害を併せ持つ盲ろう児は、コミュニケーション手段の獲得など、成人の場合とは異なる困難を抱えており、医療、福祉、教育などの関係機関が連携した専門的な対応が必要でございます。
 そのため、六月十日から新宿区に移転する盲ろう者支援センターでは、支援対象を児童にも拡大しまして、相談や研修、訓練に係る設備を拡充するとともに、学校や児童発達支援事業所等の職員向け研修会や親同士の交流会の開催、指点字等のコミュニケーション訓練を新たに開始いたします。
 こうした取組を通じまして、盲ろうの方のライフステージを通じた切れ目のない支援の充実に取り組んでまいります。
 最後に、シルバーパスの一斉更新についてでございますが、これまでシルバーパスの更新は、毎年九月に都内各地に設置した会場で一斉に手続を行っておりましたが、令和二年度からは、新型コロナ対策等のため郵送方式で実施をしております。
 今年度も、利用者の熱中症対策や利便性等の観点から、郵送による一斉更新を継続して実施いたします。実施に当たりましては、円滑に更新手続が進められるよう、コールセンターを設置するなど、利用者に寄り添いながら丁寧に対応してまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) 子供・若者計画の改定についてのご質問にお答えをいたします。
 本計画は、若者の社会的自立の支援を目的としており、コロナ禍を経て、若者の孤独、孤立などの社会的課題が顕在化する中、効果的な支援策の検討に当たっては、そうした困難を抱える若者の意見を丁寧に聞き取ることが重要でございます。
 都は、計画の改定を議論する青少年問題協議会において、ひきこもり等の当事者から意見を聞くほか、二十代から三十代の方々で構成する若者部会を新たに設置し、若者から意見を聴取する機会の拡大を検討してまいります。
 これらを通じて若者の意見を議論の中で取り上げ、より実効性のある施策を検討してまいります。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) 三点のご質問にお答えをいたします。
 まず、視覚障害者に対する災害時の情報保障についてのご質問でございます。
 大規模災害の発生時に、視覚障害のある方が適切な行動が取れるよう、避難などに必要な情報を的確に提供することは重要でございます。
 そのため、都は、防災ブックの音声版を作成し、防災アプリに搭載するなど、配慮が必要な方への適切な情報提供に努めてまいりました。
 さらに、地図上の水害リスク情報を音声で提供できる国のシステムを防災アプリに連携させるなど、一層の利便性の向上を図ってまいります。
 今後、民間事業者等の音声を使った情報提供の取組も調査しながら、災害時に視覚障害のある方が迅速に避難できるよう積極的に取り組んでまいります。
 次に、発災時の適切な避難行動のための取組についてでございます。
 平時から島民の防災意識を高めるとともに、災害時に必要な情報を確実に提供できる手段を確保することは重要でございます。
 都は、噴火時の避難方法や日頃の備えなどをまとめた火山防災マップを作成するとともに、昨年度、地域ごとに想定される最大の津波高等を防災アプリで閲覧可能にいたしました。
 今年度は、島民の意識向上をさらに図るため、津波発生から浸水までの状況をリアルにイメージできる動画を作成いたします。また、各町村が実施する情報発信の好事例を共有するなど、地域の実情に応じた、より効果的な災害情報の提供につなげてまいります。
 最後に、小笠原における防災対策についてのご質問にお答えをいたします。
 都は、数次にわたる小笠原諸島振興開発計画におきまして、災害に対する備えを重要な課題として位置づけ、砂防施設の整備や浄水施設の高台移転、津波浸水ハザードマップの配布など、地域防災力向上の取組を実施してまいりました。
 今般の計画素案では、見直し後の南海トラフ地震による被害想定等を踏まえまして、対策を一層強化することとしており、津波避難道路となる都道行文線の着実な整備のほか、災害時の通信手段強化に向けたモバイル衛星通信機器の今年度中の配備等を進めてまいります。
 今後、計画の成果を毎年度公表しつつ、国や村とも緊密に連携し取り組むことで、小笠原の防災力のさらなる強化を図ってまいります。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 十一点のご質問にお答えいたします。
 まず、日本各地の中小企業との連携についてでございますが、東京の産業を活性化するためには、日本各地と連携し、双方に高い効果を発揮する取組を行うことが重要でございます。
 このため、都は、産業交流展で全国の出展ゾーンを設置し、日本各地の中小企業の優れた製品などを展示しております。また、都外を含む出展企業が自社の技術等をPRする場や、都内のメーカー等と交流や商談を行う機会を提供しております。さらに、今年度は、これまでの開催における来場者等の意見も踏まえまして、新製品、新サービスを効果的に発信するためのエリアを新たに設けます。
 これらによりまして、例えば軟骨伝導のような新技術を持つ全国の企業と都内企業のビジネスマッチングを促進いたします。
 続きまして、シニア世代への職業訓練についてでございます。
 働く意欲のあるシニアの方が新たな技能を身につけ、これまで経験のない事業分野への就業にチャレンジする取組を後押しすることは重要でございます。
 このため、都は、職業能力開発センターで高年齢者が受講可能な訓練を実施し、三次元CADや広告美術、介護サービス等の知識や技能習得を幅広く支援しております。
 今年度、就職支援員を増員し、訓練で学んだスキルを活用できる求人を開拓するなど、きめ細かい支援を行い、就職に結びつけております。今後、しごとセンターとのさらなる連携やプラチナキャリアセンターでのPRによりまして、新たな事業分野への就労を希望する高齢者の訓練を促進いたします。
 続きまして、建設や運輸の事業者の働き方改革についてでございます。
 建設や運輸の中小企業が時間外労働の上限規制を遵守し事業を継続できるよう支援を行うことは必要でございます。
 都は今年度、都内事業者に対して、五月初旬までに延べ四千回を超える事業の周知を行い、ニーズを聞き取った上で専門家が巡回訪問し、時間外労働の縮減に向けた助言を開始しております。
 具体的には、社会保険労務士等が効果的な人材確保の方法や業務効率化につながるデジタルの活用など、会社ごとの状況に応じたアドバイスを行っております。
 今後は、十分な納期の確保など、経営面からの支援にもつなげてまいります。これによりまして、建設や運輸の中小企業の支援を進めてまいります。
 続きまして、運輸事業者の人材確保についてでございます。
 運転手の時間外労働規制に対応し、人材確保に取り組む中小企業を後押しすることは必要でございます。
 これまで都は、業界団体が中小企業の人材確保のために行う取組に対して、経費の助成などを実施してまいりました。
 今年度は、年度当初から速やかに受付を開始するとともに、ドライバー確保に取り組む団体への助成限度額を五千万円に引き上げるなど支援の強化を図っております。
 実施に当たり、お話の免許取得支援など運転手確保に効果的な取組につきまして、関連団体への個別周知や相談対応をよりきめ細かく行い、サポートを充実してまいります。これによりまして、中小企業の計画的な人材確保を促進いたします。
 次に、中小企業における外国人材確保への支援についてでございます。
 中小企業が事業の継続と発展に向け、外国人材の獲得を目指す取組を後押しすることは重要でございます。
 都は、中小企業でのインターンシップのほか、合同企業説明会を四か国においてオンラインに加え現地でも実施しております。今年度は、参加企業数を拡大するとともに、企業が行います日本語研修への支援の充実を図っております。
 また、特定技能制度により就職を目指す外国人とその受入れを希望する企業に対しまして、制度を円滑に利用するための支援を行っております。今年度は、国の制度改正への理解を深め、活用を促すセミナーを新たに開催するなど取組を強化してまいります。
 続きまして、中小企業の新たな事業環境への対応についてでございます。
 中小企業が事業の発展を図る上で、様々な経営環境の変化に対応できるよう支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は、事業者の経営課題に対して、相談対応を行うほか、中小企業が創意工夫を生かして事業を発展させる取組への支援を開始しております。
 具体的には、決済の効率化に加え、売上げデータの集計や商品画像の表示、多言語対応など、省力化や売上げ向上に資する機能を有する券売機の導入を行う場合、その経費に関して助成を行います。また、導入の効果が確実に得られるよう、専門家を派遣し、フォローアップを実施いたします。これらによりまして、中小企業の経営を着実に後押ししてまいります。
 多摩産材の伐採、搬出についてでございます。
 森林循環の促進に向けましては、多摩産材の利用が進むよう、伐採現場の状況を踏まえながら、需要に応じて生産量を増やしていくことが重要でございます。
 このため、都は、東京特有の急峻な地形でも林業事業者が効率的に伐採、搬出ができるよう、林道等の整備を進めるとともに、先進的な林業機械を導入し貸与しております。
 今年度は、こうした取組に加えまして、搬出が難しい山奥での伐採を進めるため、ヘリコプターを活用した搬出を都が所有する森林で開始いたします。そして、輸送コストや安全性等について検証し、効果的な搬出につなげてまいります。これらによりまして、多摩産材の供給量の拡大を図ってまいります。
 続きまして、多摩産材の情報発信についてでございますが、多摩産材の利用を一層進める上で、円滑に調達できるようサポートし、取引の拡大につなげることは重要でございます。
 このため、都は、昨年秋に多摩産材に関する情報提供を行う拠点を多摩地域に加え区部にも設置し、建築関係者等と製材所とのマッチングなどの取組を充実いたしました。
 今年度は、こうした取組に加え、木材製品を扱う展示商談会にブースを設け、出展しているメーカーに多摩産材のよさや供給に関する情報を提供し、その活用を働きかけることとしております。こうした取組によりまして、多摩産材のPRを強化し、東京の林業振興につなげてまいります。
 次に、食育の推進についてでございます。
 子供の食への関心を高めるには、知識の習得や食について考える機会を継続していくことが必要でございます。
 このため、都は、毎年、食育フェアを開催し、食に関わる様々な団体の協力を得ながら、農産物の特徴や農業の役割などをクイズやパネル展示等で発信してまいりました。
 加えて、今月下旬には、農業関係団体とも連携しまして、親子で料理や収穫などを体験できるイベントを開催いたします。実施に当たりましては、体験で使用した野菜の料理レシピのほか、ブルーベリーの苗や家庭菜園用の種を提供するとともに、畑では生産者から栽培での工夫を伝えるなど、参加後も東京農業の魅力を親子で話し合えるようにしてまいります。
 続きまして、新銀行東京への追加出資についてでございます。
 平成二十年当時において、都が新銀行東京の事業清算等を選択した場合には、赤字や債務超過となっていた約五千六百社の企業は、事業の継続が困難となるおそれがあったため追加出資を行ったこととしております。これによりまして、経営統合時点で、おおむね八割の企業が融資の完済、あるいは事業継続に至っております。
 最後に、優先株式への対応についてでございます。
 東京きらぼしフィナンシャルグループは、今般公表した中期経営計画におきまして、都に対して、令和八年度、令和十年度に償還し、償還を完了することを目指すとしております。都としては、この取組を注視してまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 子宮頸がん検診に関するご質問にお答えいたします。
 新たに国の指針に追加されましたHPV検査単独法は、従来の方法に比べ、一般に検診間隔が長く、受診の負担が軽減するため、受診率の向上につながることが期待されております。
 一方で、結果によりその後の検査の時期や内容が異なるなど運用面が複雑であり、区市町村が個々の陽性者の長期追跡や適切な受診勧奨等を行うための精度管理の体制を整備するほか、検診機関等の理解を得る必要がございます。
 このため、国は、検診の円滑な運用に向けた研修などにより区市町村を支援することとしており、都は、こうした国の動向等について情報提供するなど、適切に検診を実施できますよう取り組んでまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、高齢者のデジタルデバイド対策についてでございますが、これまでデジタルに不慣れな方を対象に、スマートフォンの体験会や区市町村等と連携した気軽な相談の場を設け、この三年間で約四万四千人にご参加いただきました。
 今年度は、スマートフォンの困り事に対応する相談会を倍増し、千二百回以上開催するとともに、これまで体験会のみだった都営住宅や町会、自治会でも、新たに相談会を実施いたします。さらに、身近な場所でスマートフォンを通じて交流できる場の拡大に向け、新たに区市町村に費用の二分の一を補助し、自治体のアプリやSNSの使い方なども仲間と学べる環境を充実させてまいります。
 こうした継続的な取組を進め、誰一人取り残されないデジタル社会の実現を目指してまいります。
 次に、ドローンの物流への活用についてでございますが、物流の効率化を図るとともに、都民の利便性向上を目指し、民間と連携したドローンの活用を進めることが重要でございます。
 都はこれまで、事業者と共にドローンによる生活必需品等の物資輸送に取り組み、昨年度には有人地帯における目視外飛行、いわゆるレベル4での輸送を行いました。
 今年度は、買物に不便を抱える都民が多い山間部で多様な飛行ルートを設定し、複数機を使用して、実際のビジネスを想定した実証を行ってまいります。
 今後、災害時も含め、都心部など人口密集地域での活用を見据えて、民間サービスとしての社会実装を早期に実現できるよう、都として支援を進めてまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 大規模災害時のドローンの活用についてでございますが、ドローンは、その機動性の高さから、災害時における情報収集手段として有効でございます。
 このため、葛飾区にある即応対処部隊に十三機、八王子市にある消防救助機動部隊に三機のドローンを配置するとともに、外部機関の研修なども活用し、安全かつ迅速にドローンを操縦できる人材を育成しております。
 今年度は、震災時等の情報収集体制を強化するため、有線給電による長時間飛行が可能なドローンを導入することとしています。
 今後は、ドローンのさらなる活用方策と効果的な配置について検証し、災害活動体制の強化に努めてまいります。
   〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、外国人の地域における共生についてでございますが、外国人が日本人と共に地域社会で安心して暮らしていくためには、生活に関わる正しい情報を迷わず入手できることが重要でございます。
 そこで、都は今年度、区市町村とも連携し、多文化共生ポータルサイトにおいて、例えばごみの出し方といった日常生活に必要な情報を一元的に集約して発信いたします。また、このサイトのQRコードを掲載したカードを、区市町村の窓口や町会等を通じて、新たに住民となる外国人に配布してまいります。
 これらの取組を通じ、外国人が地域の一員として暮らしていけるようサポートをしてまいります。
 次に、デフリンピックに向けた取組についてでございますが、大会成功のためには、都の職員が率先して、ろう者の文化について学び、理解を深めることが重要でございます。
 そこで、デフアスリートを講師に招聘し、デフリンピックの意義や大会への思いなどについて、職員向けの講演会を実施いたしました。さらに、ろう者とのコミュニケーションの一助となるよう、日本手話に加えまして、国際手話を学ぶ研修会を開催いたします。
 また、全日本ろうあ連盟に今年度から職員を派遣するなど、当事者と協働できる体制も強化しております。
 こうした取組を通じて大会を成功させ、ろう者の文化や手話言語への理解促進につなげてまいります。
 最後に、パラスポーツへの支援についてでございますが、デフリンピックを契機に、デフスポーツを含むパラスポーツを広く支える機運を高めていくことが重要でございます。
 都はこれまで、選手や競技団体の活動経費を助成してきたほか、団体を応援する都民や企業を増やせるよう、効果的な広報に関する研修を実施するなど、団体の発信力を高める取組を行っております。
 さらに、企業や競技団体等とのマッチングのための交流会も実施いたしまして、大会用具の提供等の協賛につなげております。
 今後、こうした取組を含め、お話の多くの都民や企業にパラスポーツを支えていただける環境整備を一層推進してまいります。
   〔住宅政策本部長小笠原雄一君登壇〕

○住宅政策本部長(小笠原雄一君) 都営住宅における移動販売についてでございます。
 移動販売サービスは、居住者の利便性向上や地域コミュニティ活性化に寄与するものでございまして、現在、十一区十一市一町で、実施数は百十三まで順調に拡大をしております。
 今年度、都は、さらなる充実に向け、様々な取組事例を把握するため、アンケートを実施いたします。
 具体的には、移動販売をはじめとした買物弱者支援事業の実施主体である区市町を通じて、移動販売を実施している団地の自治会や事業者に、六月下旬を目途に回答を依頼してまいります。
 また、回答を踏まえ、現地取材も行い、年内に好事例や利用者の声などを取りまとめて広く発信することで、自治会や事業者によるさらなる工夫、改善につなげてまいります。

○議長(宇田川聡史君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後五時五十一分休憩