令和六年東京都議会会議録第八号

   午後三時開議

○副議長(増子ひろき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十七番村松一希君。
   〔百十七番村松一希君登壇〕

○百十七番(村松一希君) 令和六年第二回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び教育長、関係局長に質問いたします。
 小池知事の二期目は、コロナ禍で始まりました。未知なる感染症に対して、国が緊急事態宣言の発出をちゅうちょする中、いち早く病床確保や協力金制度を打ち出すなど、医療と経済双方から都民の命を守るべく対策を打ち出しました。再選後もコロナとの闘いは続き、国に先んじた施策を全庁挙げて取り組んでこられました。
 昨年五月の新型コロナ五類への移行に伴い、今年三月の訪日外国人数が過去最高を記録するなど、社会経済は本格的に再開していますが、日本の出生数は過去最低を記録、歴史的な円安の進行や止まらない物価の上昇は、都民の生活を圧迫し、先行きへの不透明感や閉塞感を払拭するには至っておりません。
 このような中で東京都に求められるのは、ワイズスペンディングの徹底を継続し、都政をさらに加速させることであり、都民の生活を守り、果断な将来への投資を止めるわけにはいきません。
 小池知事は、そのリーダーシップにより、仕事と子育ての両立や子育て支援、デジタル化など、古い政治で長らく置き去りにされてきた領域に光を当て、待機児童対策をはじめ、切れ目のない子育て支援、行政のデジタル化、男性の育児参画を含めた女性活躍など、国に先んじた施策を次々に実現してきました。
 引き続き、都民、国民の暮らしや生き方の多様性、そして望みが反映された都民ファーストの政治に知事が取り組める状況をつくり上げることこそ重要であると申し上げ、質問に入ります。
 まず、都民の命を守る防災対策について伺います。
 今年も梅雨入りし、集中豪雨や台風に備える時期となります。近年、全国で甚大な豪雨災害が起き、都内でもいつ大規模な水害が発生してもおかしくない状況です。今後、気候変動の影響による降雨量の増加や海面上昇、台風の強大化など、風水害リスクの増大も懸念されています。
 都は、これまでにも護岸工事や豪雨時に大きな効果を発揮する調節池等の整備などを進めてきていますが、中小河川の洪水対策を一層推進していくことが重要です。
 気候変動により激甚化、頻発化する豪雨に対して大きな効果を発揮する調節池等の整備を推進するとともに、私たちの重点政策であるグリーンインフラの導入も拡大すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、マンション防災について伺います。
 約七割の都民がマンション等に居住し、地域とのつながりが希薄になりつつある首都東京ならではの実情に応じて、知事は、東京都地域防災計画震災編に新たにマンション防災を盛り込み、マンション等における備蓄や訓練、地域との連携強化により、地域全体の防災力を高める重要な取組を進めてきました。私たちの下にも歓迎の声が届いています。
 都は、私たちの求めに応じ、地域の防災対策を進めるに当たり、これまでの町会、自治会を中心とした防災施策に加え、マンション住民に向けた取組を大幅に強化、一定の防災の基準を満たしたマンションの名称を、東京とどまるマンションと分かりやすく変更するとともに、防災備蓄資器材の購入補助など支援も拡充してきました。
 今年度、さらに私たちの提案を踏まえ、町会等と連携して訓練を行った場合の助成率を高めるなど、事業を強化したことを高く評価いたします。本事業について、より多くのマンション居住者に知っていただく必要があります。
 例えば、都内のマンションでは多くの防災訓練が実施されていますが、マンション側の求めに応じて、東京消防庁が訓練の指導に当たっています。さらに地域防災力を高めるためには、東京とどまるマンションのさらなる拡大と町会等との連携の促進が必要です。
 そこで、昨年度の東京とどまるマンションの実績と補助事業について、例えば東京消防庁と連携することなどにより周知を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、対口支援として輪島市を中心に支援活動を展開してきました。インフラの復旧をはじめ、多岐にわたる取組を行っている全ての方々に敬意を表します。
 一方で、多くの被災者がいまだ避難生活を送っています。都は、東京ボランティア市民活動センターとの連携によって、被災者の交流などの活動を開始しました。輪島市や穴水町にサロンを設け、都民によるボランティア支援を行っており、報道もされています。人と人をつなぐ取組は、今後もぜひ継続することを要望いたします。
 これから住宅の公費解体が本格化し、多くのボランティアの力が必要となります。
 被災地の復旧、復興に向けて、都としてボランティア活動の支援をしっかりと進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 避難所におけるペット同行避難について伺います。
 能登半島地震では、ペットと共に避難したものの、ペットの飼育スペースを十分に設けることができず、ペットの飼育者が常に気を遣いながら過ごすことで、多くのストレスを抱えながらの避難生活を余儀なくされました。避難所には、動物が苦手な方や動物アレルギーがある方もおり、全ての避難者の安定した避難生活維持のためのペット同行避難が必要です。
 今年度、都が新たに実施する避難所開設訓練においては、ペットの専門家である獣医師会の方々や、実際に避難をするペット飼育者を含む住民の方々が参加する、より実践に即した訓練を行うべきと考えますが、都の見解を伺います。
 町会や事業所等での防火防災訓練は、コロナ禍を経て大きく減少しています。
 また、町会等への加入率が低い中、町会等が主体となった防火防災訓練だけでなく、町会等未加入者、訓練実施を知らない方々に向けた防火防災訓練を実施するなど、防火防災訓練の新たなアプローチで防火防災訓練を推進することが必要と考えますが、東京消防庁の見解を伺います。
 次に、経済政策について伺います。
 これまでも、東京一極集中という安易な言葉で東京の競争力をそぎ、地方創生にも日本全体の国際競争力にもつながらない施策が繰り返されてきました。
 いうまでもなく、東京は日本経済のエンジンであり、日本の成長のためには、首都東京の成長が欠かせません。
 東京の経済成長のためには、都内企業の約九九%を占める中小企業の経営への支援が欠かせません。
 しかしながら、エネルギーや原材料の価格高騰の長期化などにより、都内中小企業からは、価格転嫁が難しく、経営状況はさらに厳しくなっているとの声が届いています。特に労務費については、公正取引委員会の調査においても転嫁が進んでいないとの結果が出ており、その対応が求められています。
 この状況を踏まえ、国では昨年十一月に労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針を公表し、発注者、受注者のそれぞれの立場から取るべき行動を示し、取引適正化を後押ししています。
 こうした国の動きも踏まえ、中小企業の価格転嫁に向けた取組を積極的に後押ししていくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 中小事業者にとって新たな対応を迫られているのが、新紙幣発行の手続です。ちょうど一か月後から始まる新紙幣発行を前に、両替機やレジスター、券売機などの更新が進んでいます。
 一方、機械の更新には数百万円単位の経費がかかることから、小規模な飲食店等では、更新費用が大きな負担となっています。一部の自治体では補助の動きも出始めており、都としても経営に苦しむ中小事業者に寄り添い、支援を行うべきです。
 また、インバウンド需要の伸びは、中小事業者にとって大きなビジネスチャンスとなります。新札切替えと同時に、多言語対応やキャッシュレス決済など、変化するニーズに即した機器の導入を後押しする必要があります。
 このような状況を踏まえ、チケット販売機設置の支援を行うなど、都は、適切に支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 誰一人取り残さない東京の実現のためには、稼げる東京を実現し、財源を確保していく必要があります。
 コロナ前のデータではありますが、ナイトタイムエコノミーの推進に取り組むロンドンでは約三・七兆円、ニューヨークでは約二・一兆円の市場規模があり、雇用創出にも大きく寄与しているとされ、東京のさらなる経済成長という観点から、私たちは、ナイトタイムの価値向上、ナイトタイムエコノミーの推進を求めてまいりました。
 都は、都民がナイトタイムを楽しみ、さらに外国人旅行者の誘致や観光消費の増加を図るための具体的施策を進めており、ナイトタイム観光の充実を図るため、有識者による実務的な検討の場を設けたことも歓迎します。
 そこで、都庁舎のプロジェクションマッピングの成果や今後の展開を伺うとともに、東京のナイトタイムのさらなる価値向上に向けて、有識者による検討の場で提案されたアイデアを踏まえて具体的に取組を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 世界の激しい都市間競争の中、東京は世界の都市ランキングで八年連続で三位となり、世界をリードしてきましたが、日本はGDPでドイツに抜かれ、インドにも抜かれる見込みと指摘されています。東京も全力で都市の魅力向上を追い求め続けなければなりません。
 世界では、スペインのサグラダ・ファミリアやオーストラリアのオペラハウスなどでもプロジェクションマッピングが行われており、多くの人を魅了していると聞いています。休日や夜間に人が訪れなかった西新宿に、世界から人を呼び込むためのチャレンジが、世界トップレベルの都庁へのプロジェクションマッピングであり、今後、民間とも連携しながら、さらなる経済波及効果を生み出すよう求めます。
 都は、先月、カスタマーハラスメント防止のための条例検討に向け、公労使の関係団体で認識の一致を確認したところですが、条例制定へ着実に前進していることに期待の声が寄せられています。
 カスタマーハラスメントに悩む現場は、店舗や企業だけではありません。行政や地域活動の現場からも対応に苦慮する悩みが聞かれ、悪質な行為に毅然とした対応を行い、人材の流出を避けるためにも、都の条例に対して多くの期待が寄せられています。
 カスタマーハラスメント防止に向けた行政の支援による広がりが期待されますが、過剰な防止対策により、消費者が萎縮したり、行政に対して意見を伝える機会を奪うことは、当然避けなければなりません。
 都は、条例化の検討に当たり、行政に関する説明会やボランティア活動の場なども対象となる幅広い適用範囲とするとともに、正しい理解の下で条例が運用されるよう指針を示すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 今後は、条例やガイドラインを示すことに加えて、カスタマーハラスメントから従業員を守るための録音機器購入などの財政支援を求めます。都民へ直接サービスを提供している都の交通局等では、ハラスメントに悩む場面も多いと聞いています。現場で働く都職員をしっかり守っていただくよう要望いたします。
 小池知事は、この間、きめ細やかな目線に加えて、世界を見渡す大局的な視点から、東京を再びアジア、そして世界を牽引する都市へと飛躍させるための取組を重ねてこられました。
 私たちが会派として視察をしたSusHi Tech Tokyo 二〇二四は、スタートから僅か二年でアジア最大規模の催しとなったとのことで、東京の底力と将来への大きな期待を感じました。来年も、またその次も継続して開催することで、東京に来ればイノベーションに出会えるという認識を世界中に広げていくことが重要です。
 未来の都市像を示したショーケースプログラムでは、多くの来場者から未来に期待するアイデアも寄せられていましたので、政策の種に生かすべきです。
 また、このイベントの中で披露された新技術の社会実装を推し進めることで、持続可能な都市の実現に近づくと考えますが、知事の見解を伺います。
 小池都政の二期目において、私たちと二人三脚で進めてきた重要な施策の一つがスタートアップ振興です。SusHi Tech Tokyoではアジア最大規模のイベントを開催、私たちの提案で実現したTIB等、爆速で都のスタートアップの取組が進んでいます。
 世界最高にスタートアップフレンドリーな東京の実現に向けて、この流れから大きなイノベーションを巻き起こしていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、魅力ある都市実現のためのまちづくりについて伺います。
 都は、先日、築地地区まちづくり事業の事業予定者を公表しました。都心のまたとない最高のロケーションに加え、浜離宮恩賜庭園や隅田川といった魅力的な資源など、築地は様々なポテンシャルを有しています。こうした築地で、約十九ヘクタールもの広大な都有地を活用する今回のまちづくりは、世間の注目を集める重要な事業です。
 築地のまちづくりに当たっては、水や緑、歴史といった築地の資源を生かすとともに、東京が日本の経済成長を牽引していく大きな武器となるような事業としていくべきですが、どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 築地は、食のまちとして世界中から認知されているブランドであり、築地が培ってきた大切な食文化を守り、生かしていくという理念は、今回の事業において重要なテーマになっています。
 築地が食のまちとして今後も世界に認められ続けるためには、国内外から築地を訪れる人々に食を堪能していただくことはもちろんですが、加えて、場外市場などのそれぞれの店が持つ、築技といわれる目利きの知恵やノウハウなどを守り育てるとともに、様々な人に知っていただくことも欠かせません。
 築地地区のまちづくりに当たっては、築地から日本の食の魅力を世界に発信していくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 都が公表した事業予定者の提案は、多くのメディアに取り上げられました。開発によって、築地のまちがどのように変わっていくのか、都民の関心は非常に高くなっています。
 こうした声に応えるためにも、丁寧に情報を発信するとともに、都民がまちづくりに参加できる機会を設けるなど、事業に対する幅広い都民の理解と共感を得ていくための取組が必要と考えますが、見解を伺います。
 暑さ対策について伺います。
 私たちはかねてより、暑さから命を守る取組の重要性、特に部活動やスポーツ大会に参加する児童生徒、さらには高齢者を対象とした暑さ対策の実施を訴えてまいりました。
 このたび、都は、今年度から施行された改正気候変動適応法に基づき、熱中症特別警戒情報が公表された際に開放されるクーリングシェルターを設ける自治体を間接的に支援することを表明しましたが、誰もが行ける距離に、そして想定した人数を収容できる施設にするとともに、それらを地図上で示すなど、実効性のある取組にすべきです。
 クーリングシェルターの設置を進めるに当たり、高齢者等を含む誰もが利用できるよう取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 また、日中のスポーツを行う際の熱中症を予防するに当たり、都はこれまで、スポーツ団体に対する補助金の中で暑さ対策を行えるようにしてきましたが、熱中症予防の指標として、暑さ指数、WBGTが有効であることが知られています。
 また、熱中症になってしまった場合には、速やかに深部体温を下げる必要がありますが、最も効果的なのが、傷病者を体全体が浸せる量の水に大量の氷を投入したアイスバスにつける方法であり、米国等では、既にスポーツ施設や学校で設備が導入されています。
 私たちは、スポーツ関連の都有施設における熱中症対策の整備状況を調査し、整備されていない場合には、アイスバス等の設置を求めてきましたが、取組状況について伺います。
 知事は、先日の所信表明で、今の都民のために、そして、まだ見ぬ百年先の都民のために働かなくてはならないと述べられました。時には痛みを伴い得るため、先送りにされがちである環境問題に正面から取り組むことが、百年先の都民への思いをはせた責任ある政治です。
 都の気候変動対策は、知事就任以降の八年間で、国に先駆けて、二〇五〇年ゼロエミッション東京、二〇三〇年カーボンハーフを掲げ、大手ハウスメーカー等への太陽光パネル設置義務化の制度を創設するなど、日本を牽引する施策を展開してきました。
 新制度の開始まで一年を切る中、都はこれまで、太陽光パネルのリサイクルやサプライチェーンにおける人権配慮への取組なども含む都民からの疑問等に対して、Q&Aによる周知や様々な媒体による広報を実施してきました。
 一方、いまだに太陽光パネルに対するネガティブな情報発信が存在することや、環境性能の高い住宅のメリットを知らない方がいらっしゃるのも事実です。本制度は、建物の断熱、省エネ性能を高め、再エネ設備等の設置を促進する実効性の高い施策であり、こうした住宅の標準化に向けた取組を推進しつつ、都民の制度等へのさらなる理解の促進を図ることが重要です。
 新制度施行に向けて一年を切った今、これまでの成果と今後の取組を伺います。
 いわゆる不健全図書について伺います。
 日本漫画家協会の漫画家有志の皆さんから、不健全図書の名称変更を求める要望が私たちに届いています。不健全という名称が不当なイメージを与えること、さらに不健全図書に指定されることで、本来認められている成人向けにもアマゾン等で販売できなくなり、漫画家の収入が絶たれているとのことです。私たちもこれまで本会議の質問などで、これらの問題について取り上げてまいりました。
 都は、東京都青少年健全育成条例に基づく不健全図書の指定に当たり、その図書が成人に対する販売等が規制されるものではないことを明らかにすべきと考えますが、見解を伺います。
 続いて、チルドレンファーストの東京に向けた子供、教育政策について伺います。
 コロナ禍で加速した少子化により、日本の人口は、二一〇〇年には現在の半分の約六千万人になるという予測も示されています。人口減少は我が国の構造的課題の最たるものですが、その要因は複合的で、ありとあらゆる対策を速やかに講じていかなければなりません。
 子育てを社会全体で支え、子育てに関わる負担感を軽減するために、都は国に先駆け、子育て世帯の負担を軽減する様々な施策を打ち出してきました。
 その中で、小さなお子様連れの方に安心して気兼ねなく公共交通をご利用いただけるよう、都は私たちの提案を受け、都営地下鉄において子育て応援スペースの導入を始め、全路線で展開するなどの取組を進めてきています。また、先月には今年の夏に向け、子供ワンデーパスを百円で販売することが発表されました。
 さらに、上野御徒町駅においては、こどもスマイルスポットとして、授乳室の設置、液体ミルクの販売、ベビーカーシェアリングの導入など、子供やママ、パパに優しい環境づくりを進めていることに、多くの子育て世代から歓迎の声が届いています。
 今後、こうした取組をさらに拡大し、都営地下鉄の駅に限らず、主要な駅や施設などに行けば授乳室がある、液体ミルクが買える、ベビーカーが借りられると認識してもらえるようなインフラとして整備していくことが重要です。そのためにも、都営地下鉄の駅における取組をさらに拡大すべきと考えますが、見解を伺います。
 デジタルの力をフルに発揮し、便利で快適な子育て支援サービスを展開していくことで、格段に便利になった等の都民実感につなげていくことも重要です。
 昨年度から取組がスタートしたこどもDXは、忙しい子育て世代にとって、漏れなく簡単にサービスが受けられることを目指すものであり、高い期待が寄せられています。
 便利さが実感できるサービスを続々と打ち出し、目に見える形で都民の期待に応えていくべきと考えますが、見解を伺います。
 小池知事は、第一回定例会の所信表明で、待機児童解消の次は小一の壁の解消に取り組むと力強く表明されました。
 都内の学童クラブの待機児童数は三千名以上で推移しており、学童クラブを必要とする全ての子供が利用できるよう量的な拡充を図ると同時に、子供たちが生き生きと過ごせる環境づくりや、保護者たちから見たサービスの利便性向上、担い手となる職員の処遇改善など、都として学童クラブの充実に向け取り組むべきです。
 私たちは、昨年度の最重点政策要望に、認証学童保育所制度の創設を掲げ、それを受け、都は今年度、認証学童クラブ制度の構築に向けて検討を行うための予算を措置しました。
 認証学童クラブ制度の具体化に向けて、都内で先駆的に取り組む民間事業者の意見や利用する子供と保護者の声を聞くなど、学童クラブの実態とニーズを丁寧に把握し、早急に仕組みを検討していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京都の不登校の子供たちは二万七千人となり、十年連続で増えています。不登校の出現率は、小学校で一・七八%、中学校で六・八五%であり、中学校では一つのクラスに二名程度の不登校生徒がいる計算になります。
 不登校の子供たちに多様な学びの場を提供する取組は重要であり、私たちはフリースクールプロジェクトチームを立ち上げ、数年にわたり議論を進めてきました。
 私たちの提案を踏まえ、都は今年度、利用者や運営事業者への支援に踏み出しますが、これは画期的な一歩で、全国的にも注目をされています。
 そこで、まず、利用者や事業者のニーズに寄り添った支援とすべきと考えますが、フリースクール等の利用者、運営事業者に対する支援制度の詳細について伺います。
 あわせて、いずれの方々に対しても必要な支援が届くよう、各支援制度を発信するとともに、政策効果を発揮させるため工夫を凝らしていくべきと考えますが、見解を伺います。
 子供の貧困対策について伺います。
 四月に発表された民間調査によると、お米を買えないことがよくあった家庭が六五%、親が食事を抜いて子供のお弁当を用意しているなど、切実な状況が分かりました。コロナ禍を経て、ひとり親家庭の生活状態がより悪化しています。経済的理由により、子供について何らかの諦めた経験がある方は九割に達するという報告もあり、体験格差も広がっています。
 貧困に苦しむ子供たちに光を当て、全ての子供たちの可能性を広げる社会を構築することは、少子化が進む日本社会全体の課題です。
 都は、こども未来アクション二〇二四の重点アクションとして、貧困対策を明記しました。具体的な体制の構築が必要です。
 体験格差の存在を一つの軸として視野に入れ、子供の貧困対策について検討すべきと考えます。
 さらに、現場を知るNPO団体などとの意見交換を行い、施策展開を進めるべきと考えますが、見解を求めます。
 私たちは、歌舞伎町に集まるトー横キッズと、彼らに群がる悪意ある大人について、会派内にトー横キッズプロジェクトチームを設置して取り組んできました。
 四月には都議会にトー横キッズ十一名を迎え、直接意見を聞きました。トー横の課題解決は、子供たちを守ることにとどまらず、日本を代表する繁華街である歌舞伎町の健全な発展につながります。
 都は、先日、若者の犯罪被害を防ぐ支援の充実のために、常設の総合相談窓口、きみまも@歌舞伎町を設置し、開設に合わせて私たちも現地を視察いたしました。
 開設した相談窓口では、困難を抱える若者に寄り添った対応をし、歌舞伎町かいわいの課題解決につなげていくべきと考えますが、見解を伺います。
 さて、本定例会は、小池知事の二期目、八年の任期の総仕上げとなる定例会です。小池知事が二期目の公約として掲げた東京大改革二・〇として取り組まれてきた、コロナ対策と経済政策の都民の命を守り、稼ぐ東京の実現、子育て支援や女性活躍、シニア施策、多様性など人が輝く東京、デジタル化やワイズスペンディングといった都民ファースト視点での行財政改革、構造改革の成果を改めて伺ってまいります。
 知事は就任以降、東京大改革の旗印の下、三つのシティ、その核となる三つのCなど、人に着目し、東京を成長と成熟の両立した都市へと発展させるべく様々な改革を断行し、施策を展開してきました。
 子育て、女性、シニア活躍に加えて、働き方改革、グローバル人材育成、DX、災害への備えなど、東京の未来を見据えた幾多の実績を残されてきた知事のリーダーシップに、改めて敬意を表します。
 また、新型コロナ対策やコロナ禍での東京オリンピックとパラリンピックの成功は、国際社会での東京、日本のプレゼンスを高めました。東京二〇二〇大会は、オリ・パラ史上初となる一年延期、無観客開催という前例のない状況であったにもかかわらず、感染症対策と両立した大会の成功は、共生社会に向けて大きく前進するなど、レガシーを残しました。
 知事は、この間の取組の成果をどのように捉え、現在の社会経済状況を踏まえた上でどのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 世界中で猛威を振るった新型コロナ感染症が五類に移行し、一年超が経過しました。小池知事のリーダーシップの下、医療従事者、都庁職員、都民、事業者、全ての皆様との連携が実現し、未知なる感染症に対して、世界各国と比較して、死亡者数は低水準に抑えることができました。
 千二百日に及んだ新型コロナの対策について、知事は、五類移行後の定例会で、都民の命と健康をどのようにしたら守れるかという試行錯誤の連続だったと述べられました。新型コロナ対策で培った経験を風化させず、将来必ず発生するといわれる未知なる感染症に対して、これまでの取組を踏まえて、迅速に対処する体制を平時から構築していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 小池都政は、チルドレンファーストを掲げ、子供に関する政策は大きく前進いたしました。
 知事就任当時、東京には約八千五百名もの保育園の待機児童が存在しましたが、この任期の間にほぼ全て解消したことは、まさに都民の希望を実現した象徴であると考えます。
 私たちの提案により開始したとうきょうママパパ応援事業は、子育て家庭が抱える様々な悩みにきめ細かく対応するものであり、所得にかかわらず子供の育ちを支援する〇一八サポートは、国をも動かす大きなうねりを引き起しました。
 卵子凍結への補助は、女性のライフキャリアプランの選択肢を広げる一助であり、説明会への申込者が当初予定した二百名の約四十八倍となるなど、多くの女性が関心を持っています。
 このように、まさに都民目線で取り組んできた子供政策の成果は、枚挙にいとまがありません。そして、今やこれらの政策は、東京が日本全体を牽引し、社会を変える原動力になっています。未来に希望あふれ、人が輝く社会に向け、子供を産み育てやすい社会を実現していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 小池知事は、教育施策大綱において、世界に羽ばたくグローバル人材の育成を、特に重要で優先的に取り組む事項とし、グローバル人材の育成を進めてきました。
 子供たちには、本来、社会の様々な課題を自ら解決したり、多様な人々と協働していく力があり、それを大切に育む必要があります。
 グローバル化が進む中で、国境を越えたコミュニケーションに不可欠なのが英語力です。長年、読み書きが重視され、コミュニケーション能力に課題があるとされてきた日本の英語教育に対して、小池知事就任後の都政では、体験型英語学習施設TGGの設置、都立高校生の海外派遣、中学生スピーキングテストの導入など、先駆的な取組を重層的に展開してきました。
 社会においてグローバル化がますます進展している今、さらに取組を強化すべきと考えますが、これまでの成果と今後の方針について、知事の見解を伺います。
 長寿社会の実現に向けた施策も、大きく前に進みました。知事は就任後、特別養護老人ホームやグループホームなど高齢者施設の基盤整備を重点的に推進し、一万人分以上の受皿を増やしてきました。
 加えて、介護職員については、私たちと共に国に先駆けた賃上げの取組を進めており、今年からは、月最大二万円の家賃支援が創設されました。知事就任後、介護職員の月額給料は実に一・五倍以上になっており、これまで深刻な人材不足といわれながらも、国で進みが遅かった処遇改善に東京都が取り組むことで、現場からは喜びの声が届いています。
 さらに、シニアの社会参画については、シニアが自身の能力を生かして働ける仕組みとして創設するプラチナ・キャリアセンターが創設されました。人生百年時代にも、高齢者が生き生きと輝き続けるための大変重要な取組です。
 そこで、今後の高齢化の進展を見据え、アクティブな長寿社会をどのように実現していくのか、知事の見解を伺います。
 次に、女性活躍の推進に向けた取組について伺います。
 男女雇用機会均等法の成立以降、我が国においては、様々な分野で女性の活躍に向けた対策が取られてきました。
 しかし、世界経済フォーラムが公表するジェンダーギャップ指数が過去最低の百二十五位となるなど、女性活躍の環境整備は道半ばの状況です。
 こうした中、知事は、女性初の防衛大臣や環境大臣を務め、また、女性初の都知事として首都東京の先頭に立ちながら、ガラスの天井を次々と打ち破り、女性活躍を自ら体現してきました。また、早くから人が輝く東京を掲げ、女性が自分らしく輝くことができる社会の実現に向けた取組を精力的に進めてきました。
 そこで、これまでの女性活躍の取組の成果とともに、女性が仕事でより一層力を発揮できるよう、今後どのように取組を進めていくのか、知事の見解を伺います。
 ダイバーシティの実現にとって重要なキーワードがインクルーシブです。小池知事の下、東京都人権尊重条例やソーシャルファーム条例、パートナーシップ宣誓制度、インクルーシブ公園の整備やインクルーシブ教育の推進などなど、誰一人取り残さない東京都の実現のための施策が大きく進んできました。
 中でも、東京二〇二〇大会は、道路の段差解消、主要駅でのホームドアの設置などバリアフリー化や、ボランティア文化の定着、パラスポーツの機運の高まりなど、多くのレガシーを残しました。
 こうした歩みを止めることなく、誰もが共に認め合い、支え合うインクルーシブシティ東京を実現していくことが重要であると考えます。今後どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 阪神・淡路大震災の被災者である小池知事は、備えよ常にを座右の銘として、東京の安全・安心に向け、多くの実績を上げてきました。
 私たちは、耐震化、不燃化や無電柱化などハード面の整備の推進に加え、コミュニティ強化の重要性を主張してまいりました。知事は、都特有の課題であるマンション防災に対する事業を創設するなど、ハード、ソフト両面から取組を強化してきました。その結果、十年ぶりに見直した首都直下地震の想定死者数、建物被害想定は実に約三五%減と、都民の命と暮らしを守る災害対策は大きく前進しました。
 また、リニューアルした防災ブックには、社会の多様性や居住形態の変化などを踏まえ、マンション等に関する記載の充実が図られました。各家庭に配布され、いつでも手軽に読むことができ、停電時にも活用できるなど、都民の防災対策に有効です。とりわけ、スマホに慣れない高齢者からは、ありがたいと多くの声が寄せられています。
 年始に発生した能登半島地震では、備えの重要性はもとより、地域で助け合う人の絆が大切であると改めて認識いたしました。こうした教訓も踏まえながら、TOKYO強靱化プロジェクトをさらに進めていかなければなりません。
 そこで、都民の命、財産を守る、世界に誇る安全・安心な都市の実現に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の見解を伺います。
 緑は、都市にとって欠くことのできない要素であり、機能性や効率性だけでなく、憩いと潤いのあるまちづくりが国際社会から選ばれる都市の条件にもなっています。
 知事は、就任以来、公園整備や緑地保全、まちづくりと併せた緑の創出など、緑に関する取組を強力に進めてこられました。その結果、六万平方メートルを超える緑の空間が新たに生まれたことを公表されていますが、実際、本年三月に行われた世論調査でも、東京の緑の変化について、増えてきたと変わらないとの回答を合わせると、半数を超えています。
 外苑前再開発等における、まるで知事が樹木の伐採を進めているかのような批判は、一部の声を全ての声であるかのように吹聴する、客観性に乏しい、批判のための批判であることは、この調査の結果からも明らかです。
 昨年七月には私たちが提案した自然の持つ力をまちづくりに生かすグリーンインフラも取り入れた東京グリーンビズが始動しました。
 東京グリーンビズの下、百年先を見据えた緑と生きるまちづくりをどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。
 時間と場所を選ばず、情報にアクセスでき、デジタル化されたサービスを受け取ったり、決済ができ、コミュニケーションもできる、民間では当たり前のクオリティーが行政サービスにも求められています。
 国においては、IT担当大臣やサイバーセキュリティ大臣といったポストはあっても、デジタルに詳しいとは思えない方が就任するなど、長らく取組は形骸化していました。
 小池知事は、令和元年にヤフー元社長の宮坂学副知事を副知事として招聘したことを皮切りに、国に先駆けたDX推進専門機関であるデジタルサービス局の設置、デジタルファースト条例の制定、GovTech東京の設立など、DXを推進する体制整備に手を緩めることなく進め、行政サービスのデジタル化に本気で取り組んでこられました。
 今後は、トランスフォーメーションの取組を着実に進めることはもとより、次世代が活躍する将来の姿を構想して、高い目標を持って取り組むことが重要です。
 設立二年目となるGovTech東京の真価を発揮し、未来への展望を持って、デジタルの力で生活がよくなったと都民が実感できる東京の実現にどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
 東京は、日本の首都として、直面する課題に対処しながら、日本の成長を牽引する役割を担っています。
 知事は、就任一期目よりワイズスペンディングを掲げ、私たちも知事と共に、都民ファーストの視点で、子育て支援施策など積極的な事業展開に取り組んでまいりました。
 東京都は、税収が豊かだから先駆的な取組が可能だとの声が一部で聞かれますが、リーマンショック後に約一兆円、コロナ禍一年目に約四千億円の減収となるなど、都の財政は景気に左右され、積極的な施策展開を可能としているのは、知事就任後、全ての事業に終期を設定して事業評価を実施するなど、これまで進めてきた東京大改革の成果にほかなりません。
 都の財政運営について、様々な改革を着実に推し進めてきた知事の思いを伺います。
 失われた三十年。少子高齢化の兆しは既に現れていたにもかかわらず、これまでの古い政治では従来の成功モデルから抜け出せず、雇用形態や社会保障の変革の遅れが女性をはじめとする多様な人材の社会参画を阻害し、デジタル化をはじめ技術革新にも追いつこうとせず、エネルギー政策を含め、将来世代に課題を先送りしてきました。
 このような古い政治、都民、国民の思いとはかけ離れた政治を変えるべく、小池百合子知事は、就任して以降、知事給与を半減し、四十七都道府県の中でも最も月額給与を低く抑えることで、自ら身を切り、改革にも着手しました。改革をうたいながら、他人には厳しく自らには甘い一部の政治勢力と一線を画す姿勢は高く評価されるべきものです。
 そして、事業評価の仕組みを強化することで、年間一千億円以上、八年間で八千百億円の財源を新たに生み出し、待機児童数の劇的な減少、所得制限のない〇一八サポートの創設、高校授業料の無償化、給食費の無償化、介護人材の処遇改善、卵子凍結支援、爆速のデジタル化、グローバル人材の育成、動物の殺処分ゼロ、脱炭素の取組などへの投資に充てられています。
 こうした国に先駆けた意欲的な施策展開は、今を懸命に生きる都民が必要とし、将来世代に課題や負担を先送りしないためのものであり、小池知事の実行力によって生み出された東京大改革のレガシーといえます。
 間もなく都知事選挙が予定されていますが、都民が期待するのは、これから先の東京のビジョンとそれを実現する政策であり、実績を踏まえないリセット発言や、政治資金をめぐる国政の混乱を都政と結びつける動きなど、政党間の政局争いを期待しているわけではありません。
 公的証書を無視した学歴追及についても、既に卒業証書が公に示されており、公的な証拠を自ら示すことなく批判することは、政局パフォーマンスといわざるを得ません。現実的な提案もなく、単に批判に終始する方には、都政のかじ取りを任せることは到底できません。
 私たちは、反対のための反対といった政局に終始することなく、何が都民ファーストなのかの視点で政策を議論し、国をも牽引する覚悟を持って、引き続き、小池知事と車の両輪である都議会の立場から、都民ファーストの都政に邁進していくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 村松一希議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、中小の河川における洪水対策についてのお尋ねがございました。
 都民の命と生活を守ることは、都政を預かる者の最大の使命であります。
 激甚化、頻発化する豪雨に対しまして、平常時から、備えよ常にの精神で万全な準備をしておくことが重要であります。
 都はこれまで、二十七か所の調節池を整備いたしておりまして、記録的な大雨となった令和元年東日本台風では、二十一か所で取水し、下流での溢水を防止いたしました。現在は、城北中央公園など八か所で工事を進めているところでございます。
 さらに、気候変動への備えといたしまして、環七地下広域調節池等を連結しまして東京湾までつなげていく、いわば新しい川を地下に一本つくる取組を推進してまいります。
 加えまして、河川でのグリーンインフラにつきましては、旧河川敷等で雨水の浸透効果を確認いたしまして、整備場所の特性に応じた浸透施設の導入を図ってまいります。
 こうした取組によって、強靱な都市東京の実現に向けて、河川施設の整備を推進してまいります。
 カスタマーハラスメント対策の運用についてのお尋ねです。
 働く方をカスタマーハラスメントから守ることは、社会経済活動を維持していくことにほかなりません。公務を含めまして、幅広い現場での対応は待ったなしであります。
 この間、検討会議では、官民を問わず、また就業形態によることなく、東京で働くあらゆる方をハラスメントから守る条例の必要性が明らかになりました。消費者等からの意見の申出を不当に妨げないことや、働く方と顧客等が相互に尊重し合うことも重要であります。
 そのため、今後、条例と併せまして、その考え方や運用の在り方を示すガイドライン等の検討に着手をいたします。
 その中で、あらゆる現場を念頭に置いて効果的な対応策を示すとともに、条例の正しい理解を促し、相手の立場を互いに尊重できる社会をつくり上げてまいります。
 SusHi Tech Tokyoについてであります。
 持続可能な都市を高い技術力で実現する、この理念を掲げまして、開催二年目にいたしまして、アジアを代表するイベントに発展をし、四百三十を超えるスタートアップ、四十五の都市の代表、さらには六十万人を超える方が集う場となり、将来に向けた大きな手応えを得たところでございます。
 斬新な技術に触れるショーケースプログラムにおきましては、植物由来のサステーナブルな料理を味わい、会場を巡りNFTの画像を集める機会などを提供いたしました。また、未来の社会に不可欠な再エネや水素の利用、そして高度な技術の粋を集めた次世代のモビリティーにも触れ、子供たちが未来のテクノロジーを実感する工夫も行いました。
 今後は、会場となりました海の森エリアなどで、太陽光や水素のエネルギー利用に向けた実装を進めて、東京での普及の後押しにつなげてまいります。将来の交通を担う空飛ぶ車や自動運転の実用に向け、ロードマップにのっとり、民間と協力し、取組の加速を図ってまいります。
 このイベントを契機とする動きを、東京発の持続可能な社会の実現に確実につなげてまいります。
 次に、グランドオープンしたTIBの展開についてでございます。
 先日のSusHi Tech Tokyoには、スタートアップや投資家、若者など四万人を超える方々が参加し、熱気ある議論が交わされ、様々な出会いがございました。ここで生まれたイノベーションの種を大きく育てていく実践の場が、それがTIBでございます。
 グランドオープンに合わせまして、スタートアップと支援者が交流する場を大幅に拡充するとともに、ものづくりスタートアップの製品試作を専門的にサポートするFAB、そして食や小物などの新製品をテストマーケティングするSHOPなど、幅広いニーズに応える機能を整えました。
 加えまして、宇宙やディープテックなど、特定領域でのユニコーン育成に向けまして、企業のクラスター形成を支援する大規模なプロジェクトを開始いたします。TIBを結節点に、多くの関係者の協力を得まして様々な実践を積み重ね、大きなイノベーションのうねりをつくり出してまいります。
 次に、築地まちづくりについてのお尋ねであります。
 恵まれたロケーションや歴史、文化資源などのポテンシャルを生かし、魅力的なまちづくりにより、東京の持続的な成長につなげていくことが重要でございます。
 今回の提案では、水辺を生かした景観や緑あふれる広場空間に加え、国際的なスポーツ大会やエンターテインメント、大規模展示会等が開催できる施設や多様なグレードのホテルなど、国際的な交流拠点にふさわしい多様な機能を導入することといたしております。
 今後、外部有識者も交えまして事業予定者と協議するマネジメント体制を構築しまして、計画のさらなるブラッシュアップを図ってまいります。先進性と国際性を兼ね備えた東京の新たな顔となるプロジェクトへと進化させてまいります。
 認証学童クラブ制度についてであります。
 私は、チルドレンファーストを柱に据えまして、大胆かつ全力で取り組んでまいりました。共働きが当たり前の現代におきまして、必須のインフラともいえます学童クラブの充実に向けて、今年度、都独自の運営基準による新たな認証制度の創設に取り組んでまいります。
 新たな制度では、子供の自主性、社会性及び創造性を育むとともに、保護者のニーズにも応え、多様なサービスを提供できる仕組みを目指してまいります。
 今月から、子供や保護者、民間事業者等への調査を実施いたしまして、運営実態やニーズを把握してまいります。また、今後立ち上げます専門委員会の意見や、独自に職員配置や活動プログラムなどの充実に取り組む先行事例を参考にしながら、制度の具体的な内容を検討してまいります。
 こうした取組により、小一の壁の打破に向け、全力で取り組んでまいります。
 都政の成果と取組についてのお尋ねでございます。
 東京の未来は都民と決める、この信念の下で、大義と共感のある東京大改革を大胆かつ着実に進めてまいりました。「未来の東京」戦略で掲げました百六十四の政策とその目標のうち、約百四十で実績を伸ばしております。これは、新型コロナなどを原因とするものを除いて、顕著な成果が出ていることにほかなりません。都民の声に耳を傾け、東京を変えようとする意欲と努力は確実に実を結びつつあります。
 東京を支える人を育むため、子供の育ちをサポートし、女性の活力を引き出すほか、高齢者の活躍できる環境づくりも強化いたしました。
 また、国際競争に打ち勝つため、スタートアップの育成、そしてDXを推進しまして、さらにはインフラの強靱化、気候危機への対応に正面から取り組んでまいりました。国に先駆け展開した数々の施策の効果を高めるため、時代の変化に合わない仕組みの見直しを加速し、東京から我が国の成長の障壁を取り除く社会の構造改革に結びつけてまいります。
 百年先も人が輝き、活力あふれる明るい未来の東京を切り開くべく、都民と事業者に寄り添いながら、政策の展開に向けて邁進をしてまいります。
 次なる感染症危機への備えについてであります。
 千二百日に及ぶコロナ禍での都庁全局、そして東京の総力を挙げました対応や取組は、極めて貴重でございます。そして、将来にしっかり生かしていかなければなりません。
 都は、都民一人一人の命と健康を守るため、新型コロナの感染動向等に応じまして、先手先手で対策を講じてまいりました。まず、発生直後から、相談窓口の設置や保健所の体制確保のための人的支援、健康安全研究センターの検査体制の構築などを図りました。
 また、いち早く東京iCDCを立ち上げて、専門家の知見を対策に生かすとともに、都全域を対象といたしました病床確保と入院調整、うちさぽ東京など自宅療養者への支援体制の整備、宿泊療養施設や大規模接種会場などの設置を行いました。
 さらに、ハイリスクの高齢者等を守るため、施設における集中的検査やワクチンバスの派遣、介護度の高い患者の受入施設の運営などの施策を展開いたしました。
 こうした様々な対策を積み重ねながら、保健、医療提供体制の東京モデルを築き上げて、都内の死亡者数をOECD諸国の中でも極めて低く抑えることができました。
 今後は、コロナとの闘いの成果を生かしまして、将来起こり得る危機に迅速に対応できますよう、専門家や関係機関とも連携しまして、未知の感染症にも揺るがない都市東京をつくり上げてまいります。
 子供、子育て政策についてであります。
 私はこれまで、チルドレンファーストの社会の実現を掲げまして、強い意志と思いを持って全力で取り組んでまいりました。従来の常識、そして発想にとらわれず、子供や家族に寄り添い、打ち続けてきた施策の一つ一つが、国をリードし、大きな流れをつくってきた、そのように確信しております。
 全ての子供の育ちを応援するため、〇一八サポートを創設したほか、所得制限を撤廃した高校授業料の実質無償化などに大胆に踏み出しました。子育て世帯を応援するべく、とちょう保育園をつくって、都有地も積極的に提供してまいりました。保育の待機児童をほぼ解消させ、学童クラブも拡充しております。
 とうきょうママパパ応援事業におきましては、妊娠、出産、子育てなど、切れ目なく各家庭のニーズに応じた支援が行えるように充実した相談体制をつくり、家事負担を減らす支援など、工夫を凝らしてまいりました。妊娠、出産を望む女性の選択肢を広げるため始めました卵子凍結への支援、これは多くの反響を呼んでおりまして、いつかは子供を産みたいという願いを支えてまいります。
 子供の笑顔は、まさに未来への希望であります。こうした取組に磨きをかけまして、望む人誰もが安心して子供を産み育てられる社会を実現してまいります。
 グローバル人材の育成についてのお尋ねがございました。
 次世代を担う子供たちには、世界の動きを見定めることができる国際感覚を身につけ、大きく羽ばたいてほしい。
 そのため、都は、英語指導の充実を図る中学校全学年での英語スピーキングテストの実施や、海外への視野を広げ、キャリア形成の動機づけを図る高校生海外派遣など、先駆的な取組を進めてまいりました。
 こうした取組の結果、平成二十八年度と比べまして、英検準二級レベル以上の高校生の割合を全国で最も伸ばすなど、着実に成果を上げております。
 今年度、都立高校におきまして、ネーティブスピーカーの複数配置を進め、英語でのコミュニケーションを拡充するほか、外資系企業等で職場体験する機会を新たに設けてまいります。
 先日、シリコンバレー、訪問いたしました。日本を含め世界の若者が、柔軟な発想を生かしてイノベーションを起こす現場を目の当たりにしてまいりました。国際的な潮流に対応しまして、新たな時代を切り開くグローバル人材の育成、さらに加速をしてまいります。
 次に、高齢者がアクティブに活躍する社会についてでございます。
 人が輝く社会を実現する鍵は三つのC、Children、Choju、Communityであります。人生百年時代、これまでの高齢者の概念を取り払いまして、貴重な知識、経験を地域や社会で生かし、いつまでも活躍できる環境をつくることは重要であります。
 世界に先駆けて進む高齢社会を先進モデルと捉えまして、アクティブChojuプロジェクトを始動いたしました。高齢者の活躍の機会と場を確実に広げるとともに、支援や介護を必要とする方へのサービス提供を担う人材を確保するほか、認知症の方を支える仕組みの充実など、きめ細かな施策をしっかりと進めております。
 新たにプラチナ・キャリアセンターを開設して、シニアをその実力にふさわしい職場へとつないでまいります。介護人材の確保、定着に向けまして、住まいの負担を減らす支援のほか、認知症の方をデジタルの力で見守る支援など、多様な取組を展開してまいります。
 豊かに老い、自らの希望に沿って活躍できるアクティブ長寿社会の実現に向けまして、全力を尽くしてまいります。
 次に、女性活躍についてであります。
 我が国最大の未活用エネルギーは女性の力、私は、知事就任以来、何度も何度も繰り返し申し上げてまいりました。女性が経済の分野で遺憾なく力を発揮できる社会の実現へ、都として総力を挙げてまいりました。
 家庭と仕事の両立支援や社会のマインドチェンジなどに幅広く取り組み、女性の就業率は約五割から六割まで上昇、M字カーブの解消も進みました。企業の男性の育業取得率も約四割に達しております。隗より始めよと、都庁自らの取組も徹底してまいりました。女性管理職は約二割、審議会等の女性委員は約四割を超えておりまして、男性育業も目標の九割へ着実に前進をしております。
 今後、年収の壁や性別による無意識の思い込みなど構造的課題にも力を尽くしてまいります。様々な希望に応じたキャリアの実現を支える取組や、男女問わず誰もが、家庭でも仕事でも活躍し続けられる働き方や暮らし方の根源に踏み込んだ変革を促してまいります。
 女性の活躍は、強靱で持続可能な社会につながります。そのための揺るぎない土台を東京から築いてまいります。
 インクルーシブシティ東京の実現についてでございます。
 新しく整備した公園では、インクルーシブな遊具で、障害のあるなしにかかわらず、子供たちが分け隔てなく一緒に遊ぶことが当たり前となってきております。世の中の流れを読み取り、意欲的に施策を進め、数年前では考えられない環境をつくり上げてまいりました。
 都立高校と特別支援学校を一体として教育を行うインクルーシブな仕組みの導入に向けた取組や、性的マイノリティーの方々が暮らしやすい環境を整えるため、パートナーシップ宣誓制度を創設いたしております。さらに、全国に先駆けましてソーシャルファーム条例を制定し、就労に困難を抱える方々をサポートしてまいりました。
 二〇二五年の世界陸上やデフリンピックの開催を機に、包摂性をさらなる高みへと引き上げてまいります。東京を訪れる外国人や障害者など多様な方々に対しまして、先端技術を活用し、言語の壁を効果的に取り払う取組を進めるほか、まち中のバリアフリー化を一層推進してまいります。
 誰もが生き生きと活躍できる多様性に富んだインクルーシブな東京を実現してまいります。
 安全で安心な都市の実現についてでございます。
 私は、知事就任以来、都民の命と財産を守ることに全身全霊をかけてまいりました。あらゆるリスクに対し大きく構え、万全の備えを講じることこそ、安全で安心な都民生活や円滑な企業活動の礎となると確信をいたしております。
 ハードとソフトの両面で強靱化プロジェクトを進め、百年先も災害に揺らぐことのない東京をつくり上げる。大規模な風水害には、地下調節池のほか、発想を広げまして、雨水の浸透力を活用したグリーンインフラを積極的に導入してまいります。生活に必要な上下水道や建物の耐震化も加速します。
 多くの都民が暮らすマンション、こちらでは災害時にも暮らし続けられますよう、電気や水の確保に向けたサポートを強化いたします。加えまして、マンション住民が周囲の町会などと協力して行う防災訓練を通じまして、つながりを創出し、地域を挙げた防災力の向上を図ります。
 備えよ常にの精神で施策を不断に見直し、多様な主体とも連携しながら、百年先も安心を目指しまして、強靱で持続可能な都市を実現してまいります。
 東京グリーンビズについてであります。
 これまでもこれからも、東京を緑あふれる都市にしたい、こうした強い思いの下、ゆとりと潤いに満ちたまちを未来に継承するため、都民や企業などとともに、精力的に緑を育む取組を加速させてまいりました。
 東京ドーム約七個分の都立公園を整備したほか、民間のまちづくりにより、六万平方メートル以上の緑が創出されました。加えまして、東京グリーンビズを高らかに掲げ、都民や区市町村、企業と協力いたしまして、緑を守り、育て、生かす観点から、取組の強化を進めております。
 地域の農地や屋敷林を保全する取組を進めるほか、新たにデジタルマップを作成いたしまして、緑豊かなスポットなどを分かりやすく発信することで、緑に関する都民の関心を高めてまいります。さらには、雨水の浸透により洪水を防ぐ力を生かすグリーンインフラの導入を広げてまいります。
 緑と生きるまちづくりを進めまして、自然と調和した持続可能な都市、実現してまいります。
 次に、東京DXの実現に向けた取組についてでございます。
 デジタルの力で都民生活を便利で豊かにする。そのために、まず、ペーパーレス化で紙の七割を削減、行政手続の七割超をデジタル化、全都民利用施設でのキャッシュレス化など、爆速でデジタル化を進めてまいりました。さらに、GovTech東京を設立しまして、サービス変革の突破口となるこどもDXを前進させております。
 さらなる挑戦は、少子高齢化が進む中でニーズが高まる医療、介護、広域連携が鍵となる防災など、全ての都民の暮らしを支える様々な分野の変革を進めることであります。システムやデータをつなげることで、質の高いサービスを切れ目なく届けてまいります。
 取組の加速には、区市町村との協働が欠かせません。GovTech東京がハブとなって推進するとともに、自治体の共通課題である人材の確保に向けまして、即戦力となるデジタル人材のマッチングや、自治体DXを牽引する中核人材の紹介も行ってまいります。
 こうした取組によりまして、都民が利便性を実感できる東京を実現し、世界をリードするデジタル先進都市へと進化させてまいります。
 最後に、財政運営についてであります。
 都は、景気に翻弄されやすい財政構造を持つ一方、深刻さを増す少子化や、時を選ばない災害への備えなど、待ったなしの課題に直面しております。こうした切迫性の高い課題の解決に向けまして、積極果敢に施策を展開していく。そのためには、持続可能な財政運営は不可欠であります。
 そのため、都財政の見える化を図るとともに、事業の無駄をなくす取組を徹底しまして、毎年約一千億円、八年間で約八千百億円に及ぶ新たな財源を生み出すことで、必要な施策の構築につなげてまいりました。
 また、都債の発行を抑制しまして、都民一人当たりの残高を、平成二十八年度の四十三万円から、今年度末の見込みで三十四万円へと減少させるなど、将来に備えました財政対応力を培ってまいりました。
 今後とも、東京大改革の信念の下、ワイズスペンディングの取組を徹底しまして、積極的な施策展開を支え得る財政基盤を堅持してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕

○東京都技監(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、築地まちづくりの食文化の発信についてでございます。
 これまで培われてきた食文化などを十分に生かし、築地ならではのまちづくりを進めることは重要でございます。
 今回選定した事業予定者の提案では、世界に誇る日本の食を堪能できるフードホールや、一流料理人の経験、技を学ぶ機会等を提供する築地クリナリーセンターなど、食に根差した築地ブランドを守り、発展させ、世界に発信する多様な機能を導入することとしております。
 今後、事業予定者などと計画の具体化を図り、場外市場とも連携した施設の運営やイベントの実施などにより、世界に対し、日本の食文化の魅力が十分に発信されるよう取り組んでまいります。
 次に、築地まちづくりの情報発信等についてでございます。
 都心のまたとない大規模で貴重な土地であり、注目度の高い築地のまちづくりに当たっては、分かりやすく情報を発信するとともに、都民の意見も踏まえながら丁寧に進めていくことが重要でございます。
 今後、事業予定者とも連携し、まちの将来像や事業の内容、進め方等について、ウェブサイトやSNS等の様々な媒体を活用して、積極的に情報を発信してまいります。
 また、事業の具体化に当たっては、事業予定者によるワークショップの実施など、都民の意見を幅広く聞く工夫をしながら進めてまいります。
 こうした取組を通じ、都民の理解と共感を深めながら、まちづくりに取り組んでまいります。
   〔住宅政策本部長小笠原雄一君登壇〕

○住宅政策本部長(小笠原雄一君) マンション防災についてでございますが、地域の防災力向上には、東京とどまるマンションの登録の拡大と、防災活動の地域への波及が重要でございます。
 都は昨年度より、登録マンションに対する防災備蓄資器材の補助を開始し、新たに五万戸を超える登録がございました。
 登録拡大には、消防法等に基づく訓練の活用も効果的でございます。今後、東京消防庁と連携し、実際の訓練や届出等の機会にPRキャラクターが登場する動画等により登録を促すほか、今年度開始した町会等と合同防災訓練を行う場合に、資器材を上限百万円、全額補助する制度を紹介し、地域の防災活動を促進いたします。
 これらによりまして、マンションの防災力強化と、地域の連携による防災活動の活性化を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、能登半島地震のボランティア支援についてでございますが、被災地の復旧、復興に当たり、ボランティアが果たす役割は大きく、その多様な活動を後押ししていく必要がございます。
 都は、東京都社会福祉協議会などと連携して、能登半島地震の被災地に独自に宿泊拠点を設置いたしました。これまで、延べ九十五名の都民をボランティアとして派遣し、住民同士の交流のためのサロン活動などを支援しております。
 被災者の方からは、都の取組に対し、久しぶりに住民同士で話ができてうれしい、また、地元自治体からも、住民の状況が把握できて助かるといった声をいただいております。
 引き続き、現地の状況や被災地のニーズを踏まえながら、都民によるボランティア活動の支援を進めてまいります。
 次に、都立スポーツ施設の熱中症対策についてでございますが、都民に安心して施設を利用していただくためには、予防と発症時の対応の両面から取り組むことが重要でございます。
 このため、今年度、都立スポーツ施設に暑さ指数計を配備いたしました。測定した数値に基づき、大型パネルを用いて注意喚起を行うことにより、利用者は水分補給をするなど、熱中症を予防することができます。
 また、応急処置をするためのアイスバスにつきましても、各施設に新たに配備し、施設管理者向けに、専門家によるアイスバスの使い方に関する研修会を開催いたしました。
 これらを通じまして、安全なスポーツ環境の整備に取り組んでまいります。
   〔総務局長佐藤智秀君登壇〕

○総務局長(佐藤智秀君) ペットの同行避難訓練についてのご質問にお答えをいたします。
 ペットを飼育している方の安全な避難行動を促し、生命の安全を確保する観点から、避難所における受入れ体制を整備することは重要でございます。
 このため、都は、新たに今年度の総合防災訓練におきまして、板橋区と連携し、地域住民参加による避難所開設訓練の中で、地元獣医師会の監修の下、作成したマニュアルに基づき、ペットの同行避難も行います。また、この訓練の様子を、動画により他の区市町村にも共有いたします。
 こうした取組により、ペット同行避難の受入れの実効性を高め、誰もが安心して避難所を利用できる体制を整えてまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 新たなアプローチによる訓練の推進についてでございますが、地震等の被害軽減には、より多くの都民が防火防災訓練に参加し、防災行動力を高めておくことが重要でございます。
 このことから、多くの人が集まる場所に消防が出向くプッシュ型の訓練、マンション居住者向けの防災対策動画を活用した訓練、国際交流協会等と連携した外国人向けの訓練など、様々なアプローチで、より多くの人に訓練参加を促してまいります。
 加えて、消防署がつなぎ役となり、町会や事業所などが一体となった訓練を実施し、地域の共助体制の構築を図ってまいります。
 今後、関係部局や区市町村と連携を図りながら、これらの取組を推進し、さらなる地域防災力の向上に努めてまいります。
   〔産業労働局長田中慎一君登壇〕

○産業労働局長(田中慎一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の取引価格の適正化についてでございますが、原材料等の価格高騰が続く中、中小企業がコストの上昇を反映した適正な価格で取引を行い、経営状況を改善できるよう支援を行うことは重要でございます。
 都では、専門家が企業を個別巡回し、取引適正化に関します国の指針の丁寧な周知や相談などを行うとともに、昨年度は要望のありました三十五社に、具体的な価格交渉の手法等を助言いたしました。
 さらに、この指針を踏まえ、交渉が効果的に進むよう、交渉先の企業との取引額などを基に労務費の増加分を容易に計算できるツールの提供を開始しております。
 こうした支援策をセミナーやSNS等で積極的に周知し、中小企業の価格転嫁に向けた取組を着実に進めてまいります。
 次に、中小企業の経営環境の変化への支援についてでございます。
 中小企業が需要回復や消費者ニーズの変化といった新たな経営環境に柔軟かつ迅速に対応し、事業の発展を図ることができるよう支援を行うことは重要でございます。
 そこで、都は今年度から、事業者が創意工夫を生かして既存事業を改善、強化するための支援を開始いたしました。
 例えば、決済を効率化することに加え、多言語対応や決済手段の多様化など、インバウンドに対応し、売上げ向上に役立つ性能を備えるチケット販売機を設置する場合などに、その経費に関して助成を行います。
 こうした取組によりまして、中小企業の経営力強化につなげてまいります。
 最後に、ナイトタイムの観光振興についてでございます。
 東京が国際的な都市間競争の中で観光地として選ばれるには、夜間観光の活性化が不可欠です。
 都庁舎で実施しているプロジェクションマッピングは、観覧者数が開始から三か月で二十万人を超え、東京の新たな観光スポットとなっております。
 また、観光事業者が、プロジェクションマッピングを鑑賞する旅行商品を販売する取組も出てきており、経済面での効果も見られております。
 今後は、クリエーターを目指す学生が制作した作品を投影するなど、若手人材の育成の場としても活用いたします。
 加えて、東京の強みを生かした誘客の強化等に係る有識者の議論を踏まえまして、東京の各地で行われるナイトタイム観光の施策の充実につなげてまいります。
   〔環境局長松本明子君登壇〕

○環境局長(松本明子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、暑さ対策の推進についてでございます。
 熱中症特別警戒情報などの発表時には、都民が涼しい環境で過ごせるよう、区市町村長が指定するクーリングシェルターを活用することが重要でございます。
 都は現在、都内五百以上の施設の情報を公表しておりまして、位置を分かりやすく案内するため、東京都防災マップ等にも掲載いたします。
 また、自宅から近く、誰もが利用しやすい公民館等の公共施設を地域の実情に応じ原則指定するよう、区市町村に対し促してまいります。
 さらに今後、施設の利用状況、設置運営に係る課題や好事例などを調査した上で、高齢者等が利用しやすい効果的な施設の設置に向け、区市町村と連携して取り組んでまいります。
 次に、事業者への太陽光パネル設置等の義務化についてでございますが、都は、脱炭素化に加え、経済性、快適性や防災性の観点からも有効な環境性能の高い建物の普及を推進してまいりました。
 具体的には、ハウスメーカー等による新たな住宅モデルの開発を支援するほか、都民等に対して、相談窓口の設置やQ&Aの随時更新など、きめ細かな広報を実施してまいりました。
 その結果、太陽光パネルの標準設置や、高断熱で快適な住宅のラインナップが着実に増加しております。また、三年以内に住宅の新築を検討する方の制度の認知度も七割を超えました。
 今後は、より多くの事業者の制度への参加を促すとともに、業界団体や各局とも連携しまして、年間を通じた広報展開などにより、来年度の円滑な制度の開始につなげてまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) 二点の質問にお答えをいたします。
 まず、東京都青少年健全育成条例に基づく図書類の指定についてでございます。
 都は、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められる図書類について、同条例に基づき指定をしております。この指定の目的は、青少年が容易に手に取り、閲覧や購入したりできないように、個別包装や区分陳列をして販売するよう事業者に求めるものであり、成人への販売等は規制しておりません。
 今後、告示や出版社への通知、ホームページ等の広報物の記載について、条例の趣旨が誤解なく、より明確に伝わるよう検討してまいります。
 次に、歌舞伎町における若者向け総合相談窓口についてでございます。
 様々な困難を抱える若者がトラブル等に巻き込まれないよう、一人一人に寄り添い対応することは重要でございます。
 このため、都は、常設の相談窓口、きみまも@歌舞伎町を先月末に開設をいたしました。窓口では、被害防止に向けた啓発とともに、社会福祉士など専門相談員が若者の話を丁寧に聞き取り、悩みや困り事を受け止めてまいります。その上で、昨年度の臨時相談窓口の成果も生かし、関係機関等と緊密に連携し、きめ細やかな支援につなげてまいります。
 窓口で得られた声や実態につきましては、歌舞伎町かいわいの若者への声かけや、SNS等での情報発信に生かし、若者を犯罪やトラブルの危険から守る取組を進めてまいります。
   〔交通局長久我英男君登壇〕

○交通局長(久我英男君) こどもスマイルスポットの取組についてでございますが、都営地下鉄では、赤ちゃんや小さなお子様とのお出かけをサポートするこどもスマイルスポットを昨年七月に上野御徒町駅に開設し、育児用品自動販売機の設置や、ベビーカーレンタルサービスの提供などを行っております。
 また、今年度は、駅構内のスペースや駅の周辺施設、機器設置事業者の意向などを勘案して検討を進め、新たに新宿西口駅と門前仲町駅の二駅に展開することとし、このうち新宿西口駅には、授乳室も設置いたします。
 こうした取組や、この夏のお得な企画乗車券の販売などを通じて、小さなお子様連れの方が公共交通機関を利用してお出かけしやすい環境づくりを進めてまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) こどもDXの推進に関するご質問にお答えいたします。
 国や区市町村とともにサービス変革を進めており、取組は着実に進展しております。三月には子育て支援情報のプッシュ配信を先行二自治体で開始し、民間アプリから三万を超える情報を届けております。今年度中に支援制度のデータベースを都内全自治体で整備し、サービス展開につなげてまいります。
 また、保活の手続がオンラインで完結するシステム開発に来月着手し、秋には三自治体で年度途中の入園手続で利用してもらいます。
 医療費助成等、母子保健サービスのDXでは、国の情報連携基盤への病院等の接続に向け、上乗せ補助を実施いたします。GovTech東京とともに、子育て世代が便利さを実感できるサービスに磨き上げてまいります。
   〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕

○子供政策連携室長(田中愛子君) 二点の質問にお答えいたします。
 まず、フリースクール等の支援制度の詳細についてでございますが、学校外の多様な学び、居場所の創出に向けまして、都は今年度、フリースクール等の利用者と団体に対する支援を開始いたします。
 利用者支援につきましては、都内在住の不登校状態にある義務教育段階の児童生徒が、不登校支援を主たる目的とする都内外の通所型施設を利用する場合、月二万円を上限に、四月分からの利用料を助成いたします。
 また、団体支援につきましては、サポートプランの作成等に係る人件費に加え、防犯カメラや転落防止柵等の安全対策経費、体験活動の実施充実に係る経費、スタッフの資格取得等の資質向上経費を補助対象とすることで、子供目線に立った取組を行うフリースクール等を後押ししてまいります。
 次に、フリースクール等の支援制度の周知についてでございますが、フリースクール等の利用者支援と団体支援が必要とする方々に着実に届くよう、様々な工夫を凝らしながら、支援制度の周知広報に取り組んでまいります。
 具体的には、今月、各支援制度の専用ホームページを開設し、制度の詳細を公表してまいります。利用者支援の実施に当たりましては、学校、教育機関に加えまして、福祉関連施設、フリースクール等を通じて幅広く周知を図り、七月から申請受付を開始いたします。
 また、団体支援につきましては、子供の活動支援の充実などの事業趣旨の理解促進を図るため、今月、事業者向けの説明会を開催するとともに、来月、講習会を実施するなど、十月からの制度開始に向けまして着実に取組を進めてまいります。
   〔福祉局長山口真君登壇〕

○福祉局長(山口真君) 子供の貧困対策に関するご質問にお答えいたします。
 都は、全ての子供が健やかに成長できるよう、福祉、教育、就労など、様々な分野の関係機関が連携し、子供の貧困対策を総合的に進めておりまして、生活に困窮する子育て家庭の支援や、子供の居場所の創設に取り組む区市町村を支援してまいりました。
 子供の貧困解消を進める上では、子供が安心して多様な体験や遊びができるようにすることも必要でございます。
 このため、都は今年度、次期子供・子育て支援総合計画の策定の中で、有識者や関係団体の意見を聞きながら、家庭環境に左右されない子供の体験機会の確保策を含め、子供の貧困対策について検討してまいります。