○議長(宇田川聡史君) これより質問に入ります。
百十一番ほっち易隆君。
〔百十一番ほっち易隆君登壇〕
○百十一番(ほっち易隆君) 昨日の朝発生した地震に際し、石川県能登地方をはじめ、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。
都議会自民党を代表して質問します。
本定例会は、小池知事二期目の任期、最後の定例会となります。
知事の二期目は、千二百日に及ぶコロナとの闘いであり、首長の、そして行政の危機管理能力が厳しく問われた四年間でありました。
こうした中、コロナ禍でのオリンピック・パラリンピック大会の開催や、死亡率の低さなど、東京が世界から高く評価を得たことは周知の事実です。
先日、台北市を訪問した際には、蔣万安市長より、もっと東京からたくさんのことを学びたいと真摯で熱情あふれる知事への伝言をいただいたところです。
近年の新興・再興感染症は、動物由来の人獣共通感染症であり、その予防や蔓延防止のためには、人と動物の健康と環境の健全性を一体に守る、ワンヘルスの実践に基づく感染症対策が世界的に求められています。
また、気候危機の影響により、風水害などは激甚化の一途をたどり、能登半島地震、トルコや台湾の地震被害など、自然災害の恐ろしさを改めて認識したところです。
衛生環境や通信など、災害への備えのさらなる加速の必要性を痛感するとともに、エネルギー問題、地政学的リスクなど、安全保障にも緊張が高まっています。
都は、我が会派が提案した都市の強靱化に向け、TOKYO強靱化プロジェクトを策定しました。今後、十七兆円規模の対策を講じることとしており、取組の加速化を求める一方で、今後、首都直下型地震等への万全な備えに向けては、取組を不断に見直し、強化していくことが必要であります。
そこで、コロナ禍で得た成果を踏まえた危機管理に対する姿勢、迫りくる危機に対する取組について、知事の見解をお伺いいたします。
第一回定例会において、カスタマーハラスメント防止へ都独自の条例化の表明がありました。全国初の条例への期待とともに、条例により顧客や企業は何を求められるのか、注目が高まっています。
国においては、自民党、公明党が主導し、政府に対し、法整備や消費者教育の強化を求める提言や要請が行われるなど、議論が活発に動き出しています。
都が行ってきた専門家会議において、カスハラ防止対策は働く人を守るにとどまらず、企業間の取引にも効果が及び、企業の事業継続、ひいては社会の持続可能性を確保する上でも、極めて重要であることが確認されました。
一方、都内中小企業の八割は小規模な事業者です。大手のようにカスタマーセンターはありません。
都は、条例化の検討と併せ、規模が小さい企業の最初のよりどころとなる共通の約款やガイドライン、業界としての接客方針の掲出などが進むよう、中小企業の対策を後押しすべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
なお、現場の課題は、必ずしもマニュアルだけでは解決はできません。録音や録画など独自の設置が難しい事業者も少なくない中、不安の声が届いています。対策に必要な資機材の整備支援こそ不可欠であるということを申し上げ、次の質問に移ります。
先月末にSusHi Tech Tokyo 二〇二四が終了しました。大変大きなイベントで、我が会派も現地を視察し、多くのゲストの熱意や質の高さなどに驚かされ、世界が求める知見がまさに東京に集結したと感じました。
また、今回のシティ・リーダーズプログラムにおいては、世界から前回より多くの都市の首長が会議に参加し、幅広い交流が生まれたと聞き、都議会としても、今後こうした海外諸都市との連携をさらに深め、新たな知見を得ることは、東京の施策の発展とともに、東京のプレゼンス向上にも資するものと考えます。
今後も、SusHi Tech Tokyoを一層推し進め、世界をリードできる取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
SusHi Tech Tokyoを構成するGlobal Startup Programでは、今回、四百三十を超えるスタートアップの六割が海外から出展し、特にアジア勢は、台湾や香港が都市としてパビリオンを設置し、インドを含め、アジアのスタートアップが数多く参加するなど、熱気にあふれていました。
東京、日本は、政治的にも安定をし、市場、金融資産、人材層などがそろい、かつ地理的、文化的にも近いことから、今、アジアから熱い、熱い視線が注がれております。
東京がスタートアップのグローバルな交流を通じて、世界人口の約六割を占め、成長を続けるアジア市場を取り込むことは、東京のみならず、日本全体にとって重要であるとの思いを強くしたところであります。
そこで、アジアのスタートアップや投資家層などの呼び込みをさらに強化し、世界的イベントへと育てていくべきと考えますが、知事の見解をお伺いいたします。
イノベーション創出には、資金面での改革も欠かせません。国は、資産運用立国に向けて、一部の意欲ある自治体を金融・資産運用特区とする取組を進めており、先月末には岸田首相と小池知事を含む四都市の知事や市長との意見交換会を行い、この中で都知事は、アジアのイノベーション、金融ハブがコンセプトだと述べています。
これはサステーナブルな社会をテクノロジーで実現する、SusHi Techのコンセプトを踏まえたものであり、アジアにフォーカスをすることは重要な視点です。
本日開催の国家戦略特別区域諮問会議において、特区の枠組みが示され、この特区の効果的な実施に向け、引き続き国と議論していくとともに、都の取組自体も、関係者との議論を深め、強化を図っていくべきと考えます。
そこで、制度を構築する国と様々な施策を実行する都が強力にタッグを組んで、金融・資産運用特区をてこに、資産運用立国の実現を推進すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
様々な社会課題の解決に貢献し、新たな成長を生み出すスタートアップは、環境分野での活躍も期待をされております。
SusHi Tech Tokyo 二〇二四のGlobal Startup Programでは、国内外から選ばれたスタートアップが世界の直面する困難へ立ち向かうためのテクノロジーやアイデアを披露するピッチコンテストが行われました。そこでは、規格外の農産物等を独自の発酵技術で化粧品等にアップサイクルするスタートアップが最優秀賞を受賞しました。
東京でグリーンイノベーションを創出し、ゼロエミッション化を加速していくためには、資源循環や気候変動対策などの環境分野で活動しているスタートアップとの連携が欠かせません。
都は、こうした企業が有する技術や新たなビジネスモデルの社会実装を加速していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
先日、訪日外国人旅行者が二か月連続で三百万人を超えたとの報道がありました。海外から多くの旅行者に来ていただくこと自体は歓迎すべきですが、言語が通じない、ごみ箱が見つからないなどの不満や疑問が積み重なると、再度の訪問につながらなくなってしまうのではないかと懸念がされます。
また、ごみ箱がないことによるポイ捨てや案内表記がないことによる人流の混雑など、地域の生活にも影響が出ているとの声も多く聞かれます。インバウンドを呼び込むのであれば、責任を持ってそこで暮らす人々の生活を守るべきであり、例えば、ごみ箱五倍、多言語の案内表記も五倍に増やすなどの具体的な取組が必要であると考えます。
そこで、インバウンドが急増している現状を踏まえ、地域の生活を守り、外国人旅行者が東京の観光を快適に楽しめるような環境づくりを進めるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
都庁舎で行われているプロジェクションマッピングは、インバウンドをはじめとする多くの人々から注目を集め、東京の新たな観光スポットとして期待をされております。これを将来にわたり観光名所として育てるためには、多くのリピーターをつくるための仕掛けや趣向を凝らす必要があります。
都庁舎のプロジェクションマッピングを観光資源としての価値を高め、誘客による経済効果をさらに高める施策が必須と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
次に、来年東京で開催される世界陸上について、大会を象徴するロゴが先月発表されました。
そこで、かねてより我が党は、コロナ禍、無観客で行われた東京二〇二〇大会を経験したからこそ、世界陸上の東京開催は、東京だけではなく、日本全体にとっても極めて有意義であり、スポーツの力で東京、日本に元気を取り戻すための旗印とすべきと主張してまいりました。
今夏にはチケットの販売開始が予定されていますが、トップアスリートが繰り広げる熱戦を都民、国民が観戦できる機会となるよう、また、多くの方々と大会をつくり上げるよう、開催に向けた機運を大いに盛り上げるとともに、大会運営などの準備を着実に進めていく必要があると考えます。
そこで、来年の開催に向け、今後具体的にどのような取組を行っていくのか、お伺いをいたします。
また、同じく来年開催されるデフリンピックは、世界の七十から八十の国や地域のデフアスリートが集まる国際総合スポーツ大会であり、大会関係者などを含めると約六千人の方が東京を訪れることになります。世界の人々に東京の持つ魅力を感じてもらう好機です。
東京二〇二〇大会では、選手村など多くの選手が集う場で効果的に都の魅力を発信していましたが、デフリンピックに向けても同様にあらゆる機会を捉えて、東京を知り、感じてもらう取組が必要と考えます。
そこで、来年のデフリンピックを機に、東京に集まる人たちにどのように東京の魅力を発信していくのか、都の見解についてお伺いをいたします。
先日、能登半島地震で被災された視覚障害者の方からお話を伺う機会がありました。津波が来る、早く避難をとのアナウンスにおびえながら、果たして瓦礫まみれの道路を自分が一人で避難することができるのだろうかと思いとどまり、自宅で死を覚悟しながら過ごしたとのお話でありました。
視覚障害や肢体不自由などの障害のある方は、避難を判断する以前に、地震が起きた瞬間に机の下に隠れるなどの避難行動すら瞬時に取ることができません。また、自ら避難所へ足を運ぶことは容易ではありません。自力での避難困難者の方の命を守れるよう、自宅避難を安心して選択できる仕組みづくりが不可欠であります。
都は、耐震改修促進計画を策定し、耐震化助成制度の拡充に取り組んでいますが、障害者の発災直後の安全・安心を確保するため、障害者世帯の耐震化を促していく必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
災害に備え、平時から災害対応の実効性を高めていくことも重要であります。日頃やっていないことは、いざというときには絶対にできません。そのためには、防災訓練は最も有効なツールとなります。特に、災害発生時に現場の第一線で対応に当たる区市町村と密に連携しながら、様々な状況を想定した訓練を繰り返し実施、検証し、備えにつなげることが重要であると考えます。
また、都民の皆様が防災訓練に参加することで、改めて防災意識を高めるきっかけにもなります。
今年、板橋区と合同で実施する総合防災訓練のメイン会場である都立城北中央公園は、地震時の広域避難場所にも指定をされ、近隣の板橋区民のみならず練馬区民の避難先にもなっており、多くの方々に足を運んでいただき、災害の備えにつなげることが重要であります。
そこで、区市町村と連携した効果的な防災訓練を行うことなどにより、東京の災害対応力を高めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
能登の震災をはじめ、全国各地で大規模な地震が度々発生をしています。現在、とどまるマンションはおよそ二百件、五万戸を超え登録されていますが、都内各地には八百万を超える住宅があり、その三分の二はマンションなどの共同住宅です。
今般開始された、東京とどまるマンションの防災備蓄資器材補助における町会と合同で防災訓練を行う事業など、地域における災害時の備えを効果的に進めるには、地元自治体などとの連携による取組が必要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
地域防災力の向上に向け、町会、自治会、事業所等の各主体が訓練を実施することは重要であります。これまで東京消防庁では、様々な取組により防災訓練を推進してきたところですが、高齢化の進展や昼間人口の増加など、ライフスタイルの多様化や居住形態の変化を踏まえ、効果的な自助、共助対策として、地域防災の担い手を多様化させることが必要です。
そこで、各主体が防火防災訓練を通じて相互協力体制を構築し、地域全体の防災力を向上させることが重要であると考えますが、東京消防庁の見解をお伺いいたします。
能登半島地震では、多くの東京の工事事業者の皆さんが被災した上下水道施設の復旧作業に携わり、今後発生が予想される首都直下地震においても、上下水道の速やかな復旧のためには事業者との連携を欠かすことができません。
本年第一回定例会において、復旧支援に協力いただいた事業者へ感謝の意を表するべきとの我が会派からの質問に対し、小池知事からは、現地で尽力いただいている事業者に対して、感謝の意を表していくとの答弁があり、我が会派からは、さらに、復旧に貢献した一人一人に謝意がしっかり伝わるよう求めたところであります。
先月末には五か月に及ぶ上下水道の被災地支援が終了したと聞いていますが、上下水道の関係団体や被災地に赴いて支援に従事された方々に速やかに感謝の意を表していくべきと考えますが、小池知事の見解をお伺いいたします。
つい先日も、都内で一時間五十ミリの大雨が降るなど、近年は毎年のように全国各地で大規模な水害が発生をし、都においても時間五十ミリを超える降雨の発生率が増加傾向にあります。
都はこれまで、護岸整備とともに地下調節池等の整備を進め、豪雨時に大きな効果を発揮させてきました。
これまでに大規模な水害が発生してきた流域住民からは、こうした調節池の早期完成を望む声が届いています。また、河川監視カメラの設置を進めるなど、住民の避難に資する情報発信にも努めていますが、今後も降雨量が増加するとの予測がなされております。
激甚化、頻発化する豪雨から都民の安心・安全を確保するために、ハード、ソフト両面において実効性の高い対策をさらに推進すべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
浸水対策は、下水道局による施設整備だけではなく、身近な道路にある雨水ますを詰まらせないなど、都民一人一人の協力が必要不可欠であります。
そこで、都民を巻き込んだ下水道の浸水対策をどのように進めていくのか、見解をお伺いいたします。
次に、暑さ対策の推進についてです。
昨年の夏は、猛暑日が二十二日間観測され、熱中症警戒アラートは二十六回発表されるなど、史上最も暑い夏となりました。
改正気候変動適応法により、今年度から熱中症特別警戒情報の仕組みが創設され、区市町村によりクーリングシェルターの指定が始まるなど、対策が強化されております。熱中症による被害が深刻化しており、現に屋外作業時等における死亡事故も発生をしています。
そこで、こうした中、冷房が効かない状況で仕事をせざるを得ないエッセンシャルワーカーなど、労働者に対する熱中症予防対策等の取組を一層強化していく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、フロン対策についてです。
フロンは、二酸化炭素の数十倍から一万倍以上の温室効果があることが世界的に課題となっています。モントリオール議定書では、フロンの段階的な生産、消費の規制が義務づけられており、今年度からは、それに基づき国の規制がさらに強化をされます。
都は、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、フロンについても二〇三〇年度までに二〇一四年度比で六五%削減する目標を掲げていますが、現状を踏まえると、目標達成には対策の抜本的強化が必要です。
とりわけ、大半を占める事業系の冷凍冷蔵設備からの排出削減に向けては、指導の強化に加えて、事業者による削減対策への支援を積極的に行っていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
都内では、公共、民間施設や建築物などの解体により多くのコンクリート塊が発生していますが、再生砕石や再生骨材の利用拡大が進んでおらず、再生材の滞留が問題となっています。
私は、東京都でのコンクリート塊のリサイクルについては、まずは地産地消が原則だと考えています。
また、その一方で、東京都の周辺の県では、発生するコンクリート塊が少ないため、再生材を調達することができず、再生材ではなく新材が使用されている事例もあると聞いております。都県境で足りないところと余っているところがあるという状況は、建設リサイクルの観点から解消すべきではないかと考えます。
そこで、国や周辺県とも連携をして、再生砕石や再生骨材の有効活用を進めるべきと考えますが、都の取組についてお伺いをいたします。
次に、ツキノワグマの対策についてお伺いをいたします。
先日も秋田県や群馬県で熊による人身事故が発生しました。町田市でも発見されるなど、都内でも目撃情報が増加していることを受け、熊対策の重要性を訴えてきております。また、さきの予算特別委員会では、くまっぷという名称とともに、市町村と連携した安全対策の底上げを求めました。
都が速やかに目撃情報のサイトをオープンしたことは評価しますが、視認性や利便性について、利用者から厳しい指摘が届いています。また、認知の面でも十分とはいえません。
これから登山者や観光客が増加する夏に向かい、熊と遭遇するリスクも増えることが想定されます。人的被害を未然に防止していくために、既に公開しているマップについても、認知度向上をはじめ、速やかな改善を重ねていくことが重要です。都の見解をお伺いいたします。
本年第一回定例会での我が会派の質問に対し、希望する方が身近な地域で新たな認知症の抗体医薬による治療を受けられるよう、医療提供体制の整備を進めていくとの答弁がありました。
この薬は、重篤な副作用もあり、対象者も限られていることから、専門職への支援と都民への普及啓発が重要であります。今後どのように進めていくのか、見解をお伺いいたします。
認知症高齢者の行方不明については、十年以上前から問題となっており、福祉局と警視庁とで横串を刺して対策を進める必要があると考えますが、都の見解をお伺いいたします。
我が会派の令和六年度東京都予算編成に関する要望では、認知症施策について、社会資源のネットワークづくり、医療、介護の連携、早期診断、早期対応、都民への普及啓発を求めました。これらに加え、妄想などの症状への対応に苦しむ家族介護者の負担軽減や行方不明対策も必要であります。
認知症の計画策定において、都は、本年一月に施行された認知症基本法への対応のみならず、都として、家族介護者支援や行方不明対策への課題認識を持って認知症施策推進計画の策定を進めるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
依存症とは、特定の何かに心を奪われ、やめたくてもやめられない状態になることであり、代表的なものにアルコール、薬物、ギャンブルなどがあります。
昨今、著名人によるアルコールや薬物依存によるトラブルなど、事件が大きく報道されています。最近では、メジャーリーグ選手の通訳であった水原一平氏が、スポーツ賭博にのめり込んだ結果、それによって生じた多額の借金を返済するために、他人の口座から不正に送金を行ったとの報道がありました。
依存症は、本人だけでなく家族への影響も深刻であり、早期に適切な支援につなげることが重要です。
そこで、都として依存症対策にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
本年四月より医師の働き方改革が始まりました。我が国の医療は医師の長時間労働により支えられてきました。今後、医療ニーズの変化や高度化、少子化に伴う医療の担い手不足が進むなど、負担がさらに増加することが予想をされます。
患者、国民に提供される医療の質と安全性の確保を持続可能なものとするためには、医師自身が心身健康であることは重要です。
一方で、労働時間の上限があることで、地域医療を支える大学病院等の機能の後退や、派遣医師の引揚げによる地域医療の崩壊はあってはなりません。
そこで、今後の都の取組をお伺いいたします。
二〇五〇年のカーボンニュートラルに向けて、エネルギーの安定供給、脱炭素、経済成長を同時に実現していくことが重要であります。
そしてまた、その鍵を握るのが水素です。特に、走行距離が長いトラックなどの商用車両での水素活用は、運輸部門の脱炭素化と水素利用の拡大のために非常に重要であり、現在、その導入も進んできていると聞いております。
こうした中、都では、燃料電池ごみ収集車を活用した実証的な取組を進めてきましたが、水素を活用した車両を区市町村が積極的に導入をし、水素需要を生み出すことで、メーカーの開発促進につなげていくことが重要と考えます。
そこで、燃料電池ごみ収集車を早期に普及させていくため、都は支援を強化していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
公衆浴場は、昨今のエネルギー価格高騰の影響により非常に大きな打撃を受け、厳しい状況が続いています。また、国の激変緩和措置も五月で終了し、六月からは電気代等の上昇が見込まれます。都は、この二年間で三回にわたり補正予算による燃料費補助を行ったところです。
そこで、今後も厳しい状況が予想される公衆浴場に対し支援を充実させるべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
今年四月から、働き方改革に関する法律がトラックドライバーに適用されました。これまでの担い手不足に加えて、時間外労働の上限規制が適用されることで輸送力が不足をし、物流が停滞してしまう懸念があり、いわゆる物流の二〇二四年問題に直面をしています。
国は、物流革命に向けた政策パッケージを公表し、商慣行の見直し、物流の効率化、消費者の行動変容について具体的な施策を打ち出し、取組を進めています。
そこで、都としても、大消費地である東京の特性を踏まえ、物流効率化に向けた取組を推進していくことが重要であります。
そこで、物流事業者が効率的な配送を行えるよう、都は、自らが荷さばきスペースを確保し、物流事業者を支援していくこととしていますが、今後の都の取組についてお伺いをいたします。
トラックは、日本の貨物輸送の大半を担っており、我々国民、都民の安全や生活、社会経済活動を支える重要なインフラの一つです。また、災害時には、支援物資の輸送等に協力するなど、公共的な役割も担っていただいております。
今後、事業者の経営がますます圧迫される事態も懸念され、物流そのものが危機に陥りかねません。まさに物流の確保は待ったなしの問題です。国を挙げて様々な施策を講じ、物流の確保や効率化に取り組んでいかなければなりません。
そこで、都においても、持続的な物流の確保に向け、多角的な視点から取組を推進すべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
多摩の森林は、土砂災害の防止や二酸化炭素の吸収による環境負荷の低減など、都民生活にとって重要な機能を持っています。こうした森林を守るため、都は昨年から、森林を有する多摩地域の市町村に加え、都市部の自治体とも協力をして、森林環境譲与税を活用しながら、東京の森林の整備や保全をはじめ、木材利用を進める取組を開始しました。
この財源となる国による森林環境税については、今年度から課税が開始されたところです。都内自治体に交付される譲与税を活用した取組が進むことは、森林循環を促進する上で重要であります。
そこで、都は、森林環境譲与税を活用した、都民の理解を深める取組を一層推進していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
東京の農業は、新鮮な農産物を供給するほか、その生産基盤である農地は、防災や環境保全など様々な役割を果たしています。こうした農業の発展に向けては、経営規模の拡大を図ろうとする就農者の後押しをはじめ、東京で営む農業者をしっかりと下支えすることが重要です。
我が会派は、これまで繰り返し、意欲ある農業者や新たに農業を始めた方への支援を強化すべきと主張してきたところであります。また、第一回都議会定例会で、都からは、こうした方々が行う施設整備や機器の導入に対して支援の充実を図るとの答弁もいただいております。
こうした方々はもとより、東京には様々なスタイルで農業に取り組む方々がおります。
そこで、都は、多様な農業者がニーズに応じた支援を受けられるよう取り組んでいくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
次に、水産業の振興についてです。
水産業は、島しょ地域において重要な産業の一つです。しかし、近年、黒潮の流れが大きく変わり、海水温が上昇するなどの影響を受け、海藻や魚介類の漁獲量が大きく減少するなど、大変厳しい状況に直面しています。高知県では、キンメダイの記録的不漁が続いているとの報道もあります。これは、キンメダイが漁業者の収入の多くを占める伊豆諸島の漁業にとって、他人ごとではありません。
こうした中、都は、本年四月に島しょ地域の水産業の調査、試験研究の拠点となる島しょ農林水産総合センター大島事業所をリニューアルオープンし、地元の漁業関係者も大きな期待を寄せています。
そこで、都は、海洋環境の変化に対応するため、DXの活用やセンターでの研究を加速させるなど、島しょ地域の水産業の振興にしっかりと取り組むべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、中央卸売市場についてです。
都内には、豊洲市場などの大規模な市場のほか、私の地元にある、水産物を取り扱う足立市場や青果、花きを取り扱う北足立市場など、地域の小売店や飲食店等の仕入れ先としての役割を果たしている市場もあります。
足立市場では、定期的に開催しているあだち市場の日では多くの近隣住民の方々が来場し、地域に愛されている施設だと、私も訪れるたびに強く感じております。
市場全体で施設の老朽化が進む中、我が会派はこれまでも、こうした地元に密着をし、地域の流通拠点となっている市場にも十分に目配りをし、時代や消費者のニーズの変化に取り残されることがないよう、施設整備に取り組むよう求めてまいりました。
そこで、老朽化した市場施設の再整備については、各市場の実態に即しながら計画的に進めることで、その機能を一層発揮できるよう取り組むべきと考えますが、中央卸売市場の見解をお伺いいたします。
築地まちづくりについては、知事は平成二十九年六月に築地は守る、豊洲は生かすとの基本方針を示しました。今回、事業予定者の提案内容が具体に示されましたが、築地のまちづくりにおいて、この方針は今でも生きているのか、お伺いをいたします。
また、食文化の拠点とするのであれば、土壌汚染対策もしっかり行い、都民が安心できるように万全を期することは重要と考えますが、土壌汚染について、現在どのような調査状況で、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。
築地のまちづくりについては、令和三年十月に区及び区議会の連名による要望書が知事宛てに提出されています。また、今回、事業予定者が公表されたことを踏まえ、事業予定者への要望書も提出されました。その中には、場外市場など周辺地域のにぎわいづくりにも協力いただきたい旨の要望も書かれております。
そこで、今後、都や事業予定者は、区や地元との連携を一層深めながら、まちづくりを進めていくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
このたび、都民や議会への説明もなく、唐突に事業予定者とその提案内容が公表されました。議会への説明もなく、選定した提案内容でそのまま事業を進めるということはあってはならないと、これまでも指摘してきたとおりであります。
そこで、今回の選定の決め手となったものは何だったのか、また、今後どのように取り組むのか、お伺いをいたします。
築地のまちづくりは、東京全体にとっても、非常に重要な意味を持つものであります。今後、この土地のポテンシャルを十分に生かし、東京の持続的発展に資する開発としていくとともに、都民が夢を抱けるような事業になるよう、都はどのように取り組んでいくのか、知事の見解をお伺いいたします。
本年四月、小笠原諸島振興開発特別措置法が五年間延長されました。今後、法に基づく振興開発計画を策定し、産業の振興や防災対策など、取組を進めていくことになりますが、中でも欠かせないのは航空路の開設です。都は、候補地を洲崎地区に絞り込み、実現可能な航空路案の検討を進めているとしていますが、具体的な航空路案の策定には至っておりません。
こうした状況に、村民からも航空路の実現が遠のいてしまうという声が聞かれており、危機感を抱かざるを得ない状況です。
そこで、新たに小笠原の振興開発計画を策定する今このときこそ、航空路の開設を決断する時期であります。
長年待ち望む島民の声に応えるため、航空路の開設に向けた知事の見解をお伺いいたします。
次に、大江戸線の受電変電所の更新についてお伺いをいたします。
大江戸線は、平成十二年の全線開業から既に二十年以上が経過をし、施設や設備の更新時期を迎えております。このうち、電車の運行に不可欠な電力を供給する受電変電所については、稼働しながらの更新に課題があると伺っております。
一方で、受電変電所の稼働を止めれば、現在、一日約八十万人を輸送する大動脈たる大江戸線の運行に重大な影響を与えることになります。東京の都市活動や都民生活を支える役割を果たすため、電力を安定的に供給しながら大江戸線の受電変電所の更新を進めるべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、人づくり、教育についてです。
小学校入学後のいわゆる小一の壁について、様々な悩みや不安の声が聞かれます。共働き世帯が増加する中、朝の居場所の確保が課題となっています。両親の出勤時間が子供の登校時間よりも早く、子供が登校するまで両親が見守ることが難しいケースがあると伺っており、行政として幅広く、きめ細やかな支援が必要であると考えます。
都内では、八王子市や三鷹市などで、独自に朝の学校の開門や見守りを行うスタッフを配置する取組を始めていますが、こうしたニーズは、区部も含め都内全域であると考えます。
そこで、都としてこうした取組を行う区市町村を支援していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。
都は昨年度、東京大学の研究機関と連携をし、都内十四の幼稚園や保育所で、とうきょうすくわくプログラムを実施いたしました。この事業は、読み書きなどの認知能力ではなく、好奇心や創造力、思いやりといった、いわゆる非認知能力を培う新しい取組です。
実施した園からは、子供が本来持っている力を発揮できるよい取組だ、子供たちの素直な疑問に目を向けることの大切さを再確認したなど、肯定的な意見があったと聞いております。
今年度は全域展開するとのことですが、全ての園で研究機関が伴走支援を行った昨年度と異なり、多くの園では自ら企画し、取組を実施していく必要があります。
すくわくプログラムに取り組む全ての幼稚園や保育所等が、研究機関の直接的な支援の有無にかかわらず円滑に実施できるよう、丁寧に支援を行っていくべきと考えますが、都の見解をお伺いいたします。
グローバル人材の育成については、数学教育も重要です。
日本には、江戸の昔から、読み書きそろばんという言葉があるとおり、数や図形を学ぶことで数量感覚や対称性、立体感覚などを知ることは、日常生活を送る上でも重要ですが、それに加えて、子供が問題に向き合い、自分の頭で考えることで課題を解いていく能力を身につけることが最も重要と考えます。
そこで、語学はもとより、国内外の課題を解決するため、数学に代表されるような論理的思考力を育み、世界で存在感を発揮する真のグローバル人材を育成することが重要と考えますが、都の見解をお伺いいたします。
今年三月、第五次東京都教育ビジョンが策定されました。前期計画から五年が経過をし、この間、デジタル化やグローバル化の進展により、子供の教育環境にも大きな変化が生じています。
真のグローバル人材の育成には、世界の共通言語ともいえる英語の習得は重要ですが、英語はツールであり、手段にすぎません。身につけた英語で何を発信するのかが重要であります。
内村鑑三は代表的日本人を、新渡戸稲造は武士道をそれぞれ英語で著し、日本の伝統や文化を広く世界に発信しました。
語学と同時に日本の伝統文化や道徳を身につけ、それらを土台に多文化共生の精神を育んでこそ、国際社会で活躍できる日本人を育成することができると考えますが、小池知事の見解をお伺いいたします。
小池知事は就任以来、子育て支援をはじめ、東京の強靱化、スタートアップや金融分野の国際競争力の強化、デジタルをてことした構造改革など、東京が進むべき将来に向けて数々の政策に取り組んできました。
また、いわゆる偏在是正の動きに機敏に対抗し、我が党も国との橋渡しを行いながら、首都東京のポテンシャルを生かし、我が国全体の成長につなげるべく、数多くの政策の種まきに共に取り組んできました。
一方で、加速化する高齢社会への対応や、中小企業への物価高騰対策、激甚災害や感染症といった危機管理、次世代エネルギーへの転換など、都政を取り巻く課題は山積し、ますます先鋭化しております。
今、求められていることは、これまでまいてきた政策の種を大きく育て、さらなる成果として開花させるとともに、現下の諸課題を先送りすることなく果敢に立ち向かうことであり、将来に向けた持続的な発展につなげていくことであります。
都民が真の豊かさを感じられる社会へと進化させるために、我々議会との議論を深め、未来志向で政策を推し進めることが必要と考えますが、小池知事の今後の都政運営に向けた決意をお伺いいたします。
政治には、十年、二十年後の未来への希望を示し、実現する責任があります。そして、都政が目指すべきは、安全・安心な生活、そして、感謝の言葉、ありがとうがあふれる日常であると考えます。
課題が山積し、厳しい状況が続く今こそ、こうした思いを新たに、全ての人に優しい東京を目指していくことをお誓い申し上げ、都議会自民党を代表しての私の代表質問を終了いたします。
ご清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
〔知事小池百合子君登壇〕
○知事(小池百合子君) ほっち易隆議員の代表質問にお答えをいたします。
冒頭、危機管理についてのご質問がございました。
この四年間、新型コロナとの闘いに邁進した年月でございました。この間、高い成果と多くの共感を得たところでございますが、将来も引き続き、感染症に油断のない準備が必要でございます。さらに、気候変動による風水害や首都直下地震など、あらゆるリスクに万全の備えを講じていなければなりません。
新型コロナに対しまして、iCDCの知識を生かしつつ、宿泊療養や大規模ワクチン接種の仕組みなどをつくり上げまして、都民や事業者の協力の下、世界に誇る東京モデルが力を発揮いたしました。これからも未知の感染症に対応する英知を都政として持ち続けてまいります。
また、百年先も安心して暮らせる東京の実現のため、強靱化プロジェクトを立ち上げました。激しさを増す風水害、地震や火山噴火への備えなどインフラの強化を加速するほか、地域コミュニティの防災力を高めてまいります。
備えよ常にの精神の下、様々な危機を乗り越える手だてをたゆまず講じてまいります。
中小企業のカスタマーハラスメント対策についてのお尋ねでございます。
カスタマーハラスメントから働く方を守る上で、企業がその状況に応じ適切に対応できるよう防止の仕組みをつくることが不可欠であります。
この間、検討会議では、行為を未然に防ぐ方法として、訴求力のある掲示物や業界共通のマニュアルなどが有効との見解が明らかとなりました。企業単独での解決が困難なケースへの支援や、人員に限りのある事業者へのサポートも求められております。
こうした議論を踏まえまして、今後、条例と併せて、その実効性を確保するガイドライン等の検討に着手をいたします。
その中で、現場の実情を踏まえました効果的な対応策を示すなど、中小企業の取組を後押ししてまいります。
次に、SusHi Tech Tokyoについてであります。
持続可能な都市を高い技術力で実現する、この理念の下、SusHi Tech Tokyo 二〇二四は、開催二年目にしてアジアを代表するイベントに発展をし、四百三十を超えるスタートアップ、四十五の都市の代表、さらには六十万人を超える方が集う場となりました。
最先端の技術や発想が会場を埋め尽くし、先駆的な考えを持つ有識者が議論を重ね、起業家や投資家など、多様な主体が英語をベースに交流を深めました。数多くの子供たちは、空飛ぶ車や水素で動く船のほか、ロボットの活躍などに触れまして、未来の社会をつくる担い手へと成長できると、このように確信をいたしております。
また、世界五大陸から参加した都市のリーダーが、気候危機などの共通課題の解決を目指しまして、連携して取り組む決意を共同声明に取りまとめ、スタートアップの活用にも乗り出しました。これらによりまして、都市間の人や技術の交流をより一層強固なものとしてまいります。
今後、この変革をしっかりと形にしていくことで、世界から選ばれる都市東京を実現してまいります。
そのスタートアッププログラムについてでありますが、二日間で四万人を超える方が参加され、アジア最大級のグローバルイベントとなりました。国内外からスタートアップや投資家、さらには若者が集い、熱気ある議論を交わし、テクノロジーの力で持続可能な都市を実現する確かな手応えを感じたところでございます。
海外、とりわけアジアの出展が中心で、主要都市も数多く参加し、東京、日本への期待の高さを実感いたしました。こうしたアジア地域との連携を強化するため、この期間中にタイ及び台湾とスタートアップ振興に関するMOUの締結に至りました。また、インドに情報発信拠点を新設したところでございます。
こうして培ったつながりをてこにいたしまして、アジアのスタートアップや投資家をさらに呼び込むとともに、都市が競い合う場とすることで、SusHi Techを多彩な人々が出会い、イノベーションを生み出す世界に冠たるハブとして大きく成長させてまいります。
次に、能登半島地震の復旧作業に従事されました事業者などへの対応についてのお尋ねでございます。
昨日も能登地方で最大震度五強の地震があったばかりでございます。能登半島地震で亡くなられた方々に、改めまして深く哀悼の意を表するとともに、被災されました皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
都におきましては、上下水道施設に深刻な被害が発生いたしました輪島市におきまして、地震発生の直後から五月末までの長期にわたって、復旧支援活動を実施いたしました。
この支援に当たりましては、厳しい寒さやアクセス道路の寸断といった苛酷な状況の中、高い専門知識を持つ、またノウハウを持つ多くの工事事業者の皆様にご尽力をいただきました。
この功績に敬意を表すため、先日、関係団体の皆様に感謝状をお渡ししたところでございまして、今月にも被災地で作業に従事された方々に対して、感謝の意を伝えてまいります。
今回の復旧支援で得た経験も生かしながら、工事事業者をはじめとする関係者との連携をより強固なものといたしまして、首都東京の災害対応力の強化に万全を期してまいります。
次に、築地まちづくりについてのお尋ねであります。
築地は、隅田川や浜離宮など水と緑に恵まれ、食文化の伝統をはじめ、歴史、文化資源など高いポテンシャルを有する貴重な土地でありまして、今後の東京の都市づくりを進めていく上で重要なプロジェクトでございます。
このたび事業予定者を選定したところでございまして、今後、外部の有識者、都及び事業予定者によりますマネジメント体制を立ち上げて、事業予定者との協議などを通じて計画のブラッシュアップを図ってまいります。
東京の新たなアイコンとなる水辺景観の創出や、これまでの歴史や伝統を踏まえました新しい文化の創造、発信など、国内はもとより、世界から訪れる人を引きつけてやまない魅力的なまちづくりに取り組んでまいります。
次に、小笠原航空路についてであります。
小笠原への交通アクセスの確保は、島民生活の安定と国境離島である小笠原諸島の自立的発展、住民の安心・安全を守る上で極めて重要でありまして、村民の皆様の切なる願いでございます。
今般取りまとめました小笠原諸島振興開発計画素案でも最重要課題として位置づけておりまして、飛行場の建設に向け、候補地である洲崎地区における具体的な配置や構造、工法などの検討、そして候補となる航空機の詳細な機体性能の情報収集など、取組をさらに進めてまいります。
また、世界自然遺産であります小笠原では、貴重な自然環境の保全との両立が最も重要な鍵となります。今後、ユネスコ等の発行したガイダンスが求める厳格なアセスメント実施に向けた準備のため、調査検討を進めるなど、国や小笠原村とも緊密に連携いたしまして、早期の開設に向けて着実に歩みを進めてまいります。
世界で活躍できる日本人の育成についてのお尋ねがございました。
気候変動、生態系など、人類を取り巻く課題はよりグローバル化しております。子供たちは、社会をよりよいものにしていくために自己を確立しつつ、多様な価値観を持つ他者を受容し、自らが何をすべきかを考える力を身につける必要があり、学校教育が果たす役割は重要でございます。
日本や東京の伝統文化等への理解を深め、世界に発信する力を育むために、英語で東京の魅力を学ぶ独自教材、Welcome to Tokyoの活用などを図っております。
また、自立した一人の人間としまして、他者と共によりよく生きる基盤となる道徳性を育む道徳教育も進めております。
引き続き、子供たちが東京から羽ばたいていくことができますよう、国際社会を生きるために必要な力を育み、世界で活躍できる人材の育成をさらに加速してまいります。
最後に、都政運営についてのお尋ねがございました。
未来は人がつくるものであります。だからこそ、困難を乗り越え、一人一人が輝ける舞台を次の世代に引き継いでいかなければなりません。
これまでもチルドレンファーストな社会、誰もが自分らしく輝ける社会、いかなる危機にも揺るがぬ安全・安心な社会の実現に大胆な発想で挑み、国をも動かしてまいりました。
一方で、少子高齢化、物価高騰、エネルギーなど、様々な課題が先鋭化しております。五十年、百年先も見据えながら、東京の強みを見極め、どう生かすのかを考え抜き、そして、都政をさらに加速することが重要でございます。
都議会の皆様と知恵を出し合い、世界一の都市を築き上げる、こうした思いで都政運営に集中しているところでございます。
なお、その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
ありがとうございました。
〔教育長浜佳葉子君登壇〕
○教育長(浜佳葉子君) 論理的思考力の育成についてでございますが、地球温暖化や日本の国際競争力の低下など様々な課題が顕在化し、将来の予測が困難な時代において、未来を切り開いていくことができる人材の育成が必要でございます。
そのため、世界各国の高校生と英語で議論し、グローバルな視野を育てる高校生国際会議を開催するなど、学校や国籍を超えて生徒が学び合う機会を創出しています。
加えて、英語圏だけでなく、様々な言語や文化を持つ諸外国へ生徒を派遣し、地球規模の課題に取り組む日本企業の訪問などを行い、生徒のさらなる学習の契機としております。
今後とも、課題解決に向けた新たな考えを生み出す力を身につけ、世界を牽引していく人材を育成してまいります。
〔東京都技監谷崎馨一君登壇〕
○東京都技監(谷崎馨一君) 八点のご質問にお答えいたします。
まず、障害者世帯への耐震化支援についてでございます。
大規模地震発生時の大きな揺れから身を守るとともに、地震後も自宅での生活継続を実現するためには、住宅の耐震化が重要でございます。とりわけ、障害者など災害時に特に配慮が必要な方は、直ちに避難行動を取ることが困難であることから、こうした方々に対する取組が不可欠でございます。
このため、今後、能登半島地震の状況も踏まえ、障害者世帯等の安全・安心の確保に向けて、国や区市町村とも連携を図りながら、耐震化を促す取組について検討してまいります。
次に、再生砕石、再生骨材の有効活用についてでございます。建設資源循環の取組は、建設資材や建設副産物が広域的に循環することから、都だけではなく、国や他県との連携が重要でございます。
これまで、利用の促進に向けた課題を把握するため、再生材の製造者や使用者などの関係業界団体にヒアリングを実施してまいりました。
今年度は、近隣県などにヒアリングを行い、都県をまたがる広域的な視点での活用に向けた課題の把握や抽出を行います。
課題を国や近隣県と共有するなどして、広域的な建設リサイクルに取り組んでまいります。
次に、物流の効率化についてでございます。
円滑な物流の確保は、都民や企業等の活動の前提となるものであり、二〇二四年問題なども踏まえ、集配送の効率化を推進することは重要でございます。
物流事業者からは、配達時の駐車スペースの確保に時間がかかるという意見があることから、江戸川区や調布市など区部及び多摩部の住宅地等において、公共駐車場の駐車ますを確保し、事業者に荷さばきスペースとして無償で提供する取組を七月上旬から四か所で開始し、順次拡大してまいります。
このような取組により、事業者の支援を行うなど、物流の効率化を着実に推進してまいります。
次に、持続的な物流の確保についてでございます。
物流は、都民生活や経済活動に不可欠な都市機能でございます。都は、運輸事業の支援のため、毎年度、運輸事業振興助成交付金を交付するとともに、令和四年度と五年度には、国の臨時交付金を活用し、燃料費の補助を行いました。
また、二〇二四年問題を踏まえ、人材確保や設備投資に対する事業者支援のほか、物流効率化に向け、消費者への再配達削減の啓発や荷主への発注等の工夫を促す広報を展開しております。あわせて、外環の整備や物流拠点の機能更新など、広域物流ネットワークの構築を進めてまいります。
引き続き、国などの関係機関と連携し、ハード、ソフト両面から物流の確保に向けた取組を推進してまいります。
次に、築地地区のまちづくりについてでございます。
平成二十九年六月の基本方針で示されたのは、豊洲と築地の両方を生かし、東京全体の価値を高めていくとした大きな方向性であり、築地に関しては、食に根差した歴史などを踏まえ、これまでまちづくり方針や事業実施方針の策定などを進めております。
今回選定いたしました事業予定者の提案では、歴史ある食を堪能できるフードホールや、日本の食産業、文化の発展に寄与するフードイノベーション拠点の整備のほか、場外市場と連携したにぎわいの形成などが示されております。
次に、土壌汚染対策についてでございます。
平成二十九年から現在までの土壌汚染状況調査で、合計約二千三百地点について調査を行い、そのうち約四割が土壌汚染対策法に基づく基準値を超過していることが判明いたしました。しかしながら、地下水を飲用利用することがないことなどから、健康被害が生じるおそれはございません。
なお、基準を超過している区域につきましては、今後、土地の改変を行う際に、関係法令に基づき、事業者と協議の上、関係局とも連携を図りながら、適切に対策を実施し、都民の安全・安心の確保に努めてまいります。
次に、区や地元との連携についてでございます。
これまでも地元区の要望を踏まえ、場外市場とのつながりにも配慮しながら、周辺地域などとの相乗効果をもたらすことなどを募集条件といたしておりました。
今回の事業予定者の提案では、場外市場の食材を活用した食文化を継承、発信する取組に加え、地元と連携したイベントの実施や、防災性の向上にも資する広場の整備などが示されております。
今後、地元区、事業予定者、都が連携し、意見交換等を通じて、地元の意見の把握に努めながら、よりよい計画の実現に向けて事業の具体化を図ってまいります。
最後に、事業予定者の選定についてでございます。
今回の選定に当たっては、外部の有識者から成る審査委員会により、公正かつ丁寧に審査を行っていただきました。
事業予定者の提案では、魅力的な水辺空間の形成、舟運ネットワークの構築、隅田川を望むMICE施設、食やライフサイエンス関連施設の整備などが評価されました。
一方、日本や東京らしさを感じさせる新たなアイコンとなるデザインにしていくことなどが意見として付されております。
今後は、有識者、都及び事業予定者によるマネジメント体制により、よりよい計画となるよう事業予定者と協議、調整するとともに、その内容につきましては、適宜議会に報告してまいります。
〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕
○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) 資産運用立国に向けた取組についてのご質問にお答えいたします。
東京が投資とイノベーションの好循環を生み出すアジアのイノベーション金融ハブとして貢献するために、金融・資産運用特区を効果的に活用していく必要がございます。
このため、都は、投資を呼び込むための規制緩和や英語環境の整備などを国に提案し、関係省庁や有識者等と議論を重ねており、先日は総理との意見交換の場で知事から直接働きかけを行いました。
今国会で資産運用業の参入規制を緩和する法改正がなされたところでございまして、引き続き国と緊密に連携してまいります。
さらに、今後、グローバル市場に精通した専門家の知見を生かし、FinCity.Tokyoと協働して、アジアを牽引するサステーナブルファイナンスの推進など、資産運用立国の実現に向け、取組を強化してまいります。
〔環境局長松本明子君登壇〕
○環境局長(松本明子君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、環境分野でのスタートアップとの連携についてでございますが、ゼロエミッション東京の実現に向け、スタートアップ等と連携し、先進技術を実装していくことは重要でございます。
都はこれまで、食品ロス削減に資する急速冷凍技術や次世代型ソーラーセル等の再エネ技術を有する企業との実装検証により、CO2削減に向け取り組んでまいりました。
今年度は、食品ロスが多い外食産業を対象に、先進企業と連携し、DX等を活用した効果的な対策の推進を図ってまいります。また、新たな再エネ技術を有する事業者に対し、早期の実用化に向けた取組に係る経費の支援も行います。
これらにより、スタートアップの成長とイノベーションの創出を促し、脱炭素社会の実現を目指してまいります。
次に、働く方の暑さ対策の推進についてでございます。
屋外など、冷房が効かない厳しい環境で働く方々の命を守るため、雇用主や発注者等において、熱中症対策を推進することが重要でございます。
そこで、都は、事業者との意見交換を踏まえた現場に応じた予防策や、アラート発表時における対応方法につきまして、専用サイトや業界団体等を通じ周知いたします。
また、先月締結いたしました日本気象協会との連携協定に基づき、自治体職員を対象とした講習会へ講師を派遣いたします。さらに、熱中症対策グッズを活用した普及啓発や、区市町村等による独自の取組への支援も行います。
これらにより、熱中症から都民一人一人の命を守る取組を推進してまいります。
次に、フロンの排出削減に向けた取組についてでございます。
温室効果が高く、増加傾向にあるフロンの大幅削減には、先駆的対策を活用した事業者の取組の強化が重要でございます。
都はこれまで、専門職員による建物解体現場の立入り指導に加え、中小企業へのノンフロン機器導入や、遠隔で漏えいを監視する新技術の実装等への支援を展開してまいりました。
今年度は、漏えい実績等に基づき、重点的な立入り指導を行います。また、ノンフロン機器の支援について、中小企業の補助率を三分の二まで拡充するとともに、多くのフロン機器を所有する大企業に対象を拡大し、取組を加速いたします。
さらに、七月には専門家等による検討会を立ち上げ、新たな対策への助言をいただきながら、事業の進展を図ってまいります。
最後に、ツキノワグマ出没への対策についてでございます。
熊による人的被害を防ぐためには、目撃情報等を共有できる仕組みを整え、それを広く周知することで、人と熊が遭遇するリスクを減らしていくことが重要でございます。
都は、本年二月、熊の目撃情報を集約したウェブサイトを公開し、市町村に防除対策への活用を促すとともに、QRコードを自然公園に掲示しまして、地域住民や登山者の皆様に警戒を呼びかけています。
今後、利用者アンケートにより改善を進めるほか、SNSの活用や親しみやすい愛称の検討などにより、さらなる認知度の向上を図ってまいります。
このように、取組に工夫を重ね、熊による人的被害の防止につなげてまいります。
〔産業労働局長田中慎一君登壇〕
○産業労働局長(田中慎一君) 六点のご質問にお答えいたします。
まず、外国人旅行者の受入れ環境の整備についてでございますが、インバウンドの増加による地域への影響を防ぐため、都と地域が連携して対応することは重要でございます。
都は現在、外国人旅行者が多く訪れる地域に観光案内標識を設置してございます。また、都は、区市町村による標識の整備など、外国人旅行者の受入れに係る様々な取組を支援する中で、来訪者の多い場所でのごみ箱の設置も対象としております。さらに、観光ボランティアを活用し、外国人旅行者などに対し旅のマナーや日本の習慣を紹介していくこととしてございます。
これらによりまして、外国人旅行者の受入れ環境を着実に整備してまいります。
次に、プロジェクションマッピングについてのご質問でございます。
東京の夜間の観光振興に向け、集客力の高い観光資源を都内各地で効果的に活用することは重要でございます。
都庁舎のプロジェクションマッピングでは、ゴールデンウイークに世界的に人気の高い映画に登場するコンテンツを活用した作品の投影を開始し、国内外から一万人以上が鑑賞に訪れる日があったところでございます。
こうした機会を捉え、都民広場で島しょ地域の特産品や国産の米粉を使用したパンを販売するなど、都の取組をPRし、観光消費の拡大にもつなげております。
今後、集客力のあるコンテンツを活用した作品を増やすとともに、飲食の提供やイベントの実施を通じまして、国内外からのさらなる誘客を図ってまいります。
次に、燃料電池ごみ収集車への支援でございますが、燃料電池を使うごみ収集車は走行に加え、ごみ収集装置の動力にも多くの水素を必要とすることから、こうした車両を増やすことは水素の普及拡大に効果的でございます。
このため、都は、大学や関係区市との連携によりまして、ディーゼルトラックを改造した車両で実証的な運用を実施し、導入効果の検証を行ってまいりました。今年度はこの検証を踏まえ、希望のあった十区市に、国産自動車メーカーが新たに製造した燃料電池ごみ収集車を一定期間無償で貸し出す取組を実施いたします。
さらに、今後、本格導入を目指す自治体に対し、車両の導入費用の一部を助成いたします。
こうした取組によりまして、水素利用の拡大を進めてまいります。
次に、森林環境譲与税の活用についてでございます。
東京の貴重な森林を守り育てていくためには、森林環境譲与税を効果的に活用することは重要でございます。
このため、都は昨年度、都内の十二の区市町村と森林環境譲与税を活用して多摩地域の森林整備を進めるための協定を結んでおり、この四月には一自治体が加わったところでございます。
今年度はその仕組みを活用しまして、区内の親子を対象に、丸太切りや木工体験のほか、林業の現場への訪問などを通じ、楽しみながら森林の役割や林業を学べるツアーを今月から開始いたします。また、森林整備の様子をウェブサイトで発信するなど、PRを行ってまいります。
こうした自治体の連携により、東京の森林循環を促進してまいります。
次に、農業者への支援についてでございます。
東京農業の振興を図る上で、農業者の実情に応じ、きめ細かく支援することは重要でございます。
このため、都は今年度から、農業振興地域で農業者が生産施設等を整備する場合に、助成率を引き上げ、支援の強化を図っております。また、初期投資が必要な新規就農者を対象に、農作業用の小型機器の導入等に必要な経費を助成し、経営の安定化を後押しする取組を今月開始いたします。
さらに、多様な農業者のニーズに応じ、支援事業が容易に分かるパンフレットを新たに作成し、区市町村や農業関係団体とも協力して周知してまいります。
これらの取組によりまして、東京農業の振興を図ってまいります。
最後に、島しょの水産業の振興についてでございます。
海水温の上昇など、環境が変化する中、水産資源を確保するには、適切な資源管理を行うとともに、海藻が多く生え、魚介類が生育できる藻場を守ることが重要でございます。
都は、水揚げの多いキンメダイの効果的な資源管理に向けまして、デジタル技術を活用し、漁獲量等のデータを収集しております。加えて、今年度、海洋での回遊ルートなどを解明する研究を大学と連携して行います。
また、藻場の回復に向けましては、島しょ農林水産総合センターで海藻の苗を人工的に育てる研究に取り組んでおります。
今後は、新たに導入した環境制御が可能な水槽を活用し、苗を効率的に増やす研究に取り組んでまいります。
〔生活文化スポーツ局長古屋留美君登壇〕
○生活文化スポーツ局長(古屋留美君) 三点のご質問にお答えいたします。
初めに、世界陸上の開催に向けた取組についてでございますが、今後、チケット販売に向け、パリ二〇二四大会や九月の世界陸上一年前の機会を捉えまして、大会ロゴも最大限活用して様々なPR活動を展開し、機運を盛り上げてまいります。
また、競技運営や会場案内などで活躍するボランティアにつきましては、三千人程度の受入れを予定しておりまして、年齢、国籍、障害の有無等を問わず、幅広い人材が参加できるよう募集の準備を進めてまいります。
都は、大会成功に向けて世界陸上財団の取組をサポートするとともに、大会開催時における東京の魅力発信や子供たちの参画などの検討を進めまして、未来の東京につながるレガシーを築いてまいります。
次に、デフリンピックにおける都の魅力発信についてでございますが、大会開催は、世界中から集まる選手や関係者などに、東京ならではの体験を提供する絶好の機会となります。
この秋には、各国選手団の代表が参加する会議を予定しておりまして、その中で東京特産の食材の提供や伝統工芸品の紹介など、東京の多彩な魅力をPRいたします。
また、大会に合わせて文化プログラムを展開するほか、選手同士の交流拠点となるデフリンピックスクエアにおきましても、東京の芸術文化に触れる機会を設けるなど、選手等にとって貴重な経験ができるよう取り組んでまいります。
こうした取組を通じ、東京の多様な魅力を伝え、都市のプレゼンスを高めてまいります。
最後に、公衆浴場に対する支援についてでございますが、都は、都民の入浴機会の確保と公衆浴場経営の安定を図るため、公衆浴場を取り巻く状況を踏まえ、様々な支援策を実施しております。
今年度は、現場のニーズを受け、LED設備等への補助を充実したほか、新たな利用者の開拓に向け、外国人観光客などに銭湯を広く発信し、体験してもらう観光客向け魅力発信・利用促進プロジェクトや、キャッシュレス決済機器の導入経費に対する補助を実施いたします。
今後とも、次世代に引き継ぐべき公衆浴場に対し、幅広い支援を行ってまいります。
〔総務局長佐藤智秀君登壇〕
○総務局長(佐藤智秀君) 区市町村と連携した災害対応力向上のご質問にお答えをいたします。
大規模災害時には、現場に近い区市町村と広域調整を担う都が一体となって、対処していくことが重要でございます。
このため、都は、区市町村からの迅速な情報収集やニーズへの的確な対応の強化に重点を置いた、各種の図上訓練などを行っております。
また、今年度、板橋区と合同で実施する総合防災訓練におきましては、行政区域を超えた対応の観点から、近隣区も含めた住民参加型の訓練や、新たに都と区が一体となった他県への広域避難を実施いたします。
今後は、より実践的な訓練を積み重ねることで区市町村との連携の強化につなげ、都民の安全・安心を確保してまいります。
〔住宅政策本部長小笠原雄一君登壇〕
○住宅政策本部長(小笠原雄一君) マンションと地域の連携についてでございますが、地域の防災力向上には、多くの都民が住むマンションと町会等の防災面での連携を広げていくことが重要でございます。
都は、東京とどまるマンションに対し、都や区市町村の助成等に基づき、町会等と合同防災訓練を実施する場合、防災備蓄資器材の購入費を全額補助する制度を開始いたしました。
今後、関係局や区市町村が把握しているマンションと町会等の訓練実施状況等を踏まえまして、制度利用を直接働きかけるほか、特に浸水リスクの高い地域では、今年度開始する非常用電源や止水板等への支援の活用も促し、地域の防災活動の中心となるマンションの増加を図ってまいります。
これらによりまして、都内各地の災害への備えを一層推進いたします。
〔消防総監吉田義実君登壇〕
○消防総監(吉田義実君) 地域防災力の向上についてでございますが、地震等の大規模災害時における被害の軽減には、地域が一体となった自助、共助体制の構築が重要でございます。
このため、VR防災体験車を活用するなど、多くの人が興味や関心を持つ訓練の推進により、自助の意識を高めるとともに、消防署に配置をしている災害対策調整担当課長が中心となり、区市や町会、事業所などの様々な主体を結びつけ、地域の共助体制の構築を図っております。
今後は、つながりが希薄であった町会や事業所などにも働きかけ、防火防災訓練等の様々な機会を通じて、消防署が核となり、新たな相互協力体制の構築を促進し、地域防災力向上への取組を加速させてまいります。
〔建設局長花井徹夫君登壇〕
○建設局長(花井徹夫君) 中小河川における水害対策についてでございますが、豪雨から都民の命と生活を守るためには、ハード、ソフト両面から効果的に対策を進めることが重要でございます。
ハード対策では、これまで護岸とともに、総容量約二百六十四万立米の調節池を整備し、現在、城北中央公園調節池等で工事を実施しております。さらに、神田川等十流域で将来の気候変動に対応する調節池を検討し、河川整備計画を順次改定してまいります。
ソフト対策では、今月から新たに調節池二十二か所の貯留率をリアルタイムで公表するとともに、八か所で取水口の映像を公開し、住民の迅速な避難につながる情報発信を充実させてまいります。
こうした取組により、水害対策を一層推進してまいります。
〔下水道局長佐々木健君登壇〕
○下水道局長(佐々木健君) 都民と共に進める下水道の浸水対策についてでございますが、幹線などの施設整備の推進に加え、地域における浸水への備えを促すなど、都民の協力を得ながら進めることが重要でございます。
そこで、都は、毎年六月を浸水対策強化月間と定め、雨が流れ込む雨水ますの機能確保のため、雨水ますや側溝をブロック等で塞がないよう協力をお願いするなど、都民へのPRに努めております。さらに、今後は、幹線やポンプ所の施設見学会等のイベントの開催を増やすなど、下水道の役割を周知する取組をさらに充実してまいります。
今後とも、ハード対策の推進に加え、ソフト対策を充実させ、安全・安心な暮らしの実現に貢献してまいります。
〔福祉局長山口真君登壇〕
○福祉局長(山口真君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、認知症抗体医薬への対応についてでございますが、新たな抗体医薬はアルツハイマー病の進行を抑制する効果がある一方、対象が軽度認知障害または軽度認知症の方に限定され、脳内出血等の副作用もあるため、都民の正しい理解の促進や専門職等への支援が必要でございます。
そのため、都は、新薬に関する正しい情報を伝える講演会を来月に開催するほか、リーフレットを作成し、ホームページに掲載するなど、都民に対する普及啓発を行ってまいります。
また、東京都健康長寿医療センターと連携しまして、今月から医師向けの相談窓口を設置するほか、専門職向け研修を実施し、希望する方が身近な地域で抗体医薬による治療を受けられるよう、医療提供体制の整備を進めてまいります。
次に、行方不明となった認知症の方の対策についてでございますが、都は、区市町村が自ら行方不明等の高齢者に関する情報を随時入力し、他の区市町村や近隣県と情報共有できるサイトを独自に運用しております。
今年度は、行方不明者の位置情報を探知するGPS機器の活用や、早期に発見するための地域でのネットワーク構築に取り組む区市町村への支援を拡充しまして、実施を働きかけております。
今後、こうした取組に加えまして、警視庁が把握している認知症の行方不明者に関する区市町村別の情報を都から区市町村に提供するなど、警視庁等関係機関との連携をさらに進めまして、認知症の方や家族を地域で見守り、支える体制を構築してまいります。
次に、認知症施策推進計画の策定についてでございますが、都は、国の基本計画の策定に先駆けて、TOKYO認知症施策推進プロジェクトを都独自に開始しており、先月からは計画策定に向け、学識経験者、医療、介護関係者、認知症の方本人、家族等により構成される会議において議論を行っております。
本プロジェクトでは、家族や介護従事者の大きな負担となっている興奮や妄想などの行動心理症状を改善するケアプログラムの普及、家族介護者の負担軽減につながる介護サービス基盤の整備への支援、認知症の方の行方不明対策などを行うこととしており、今後、これらの先進的な取組を盛り込んだ計画の策定を進めてまいります。
次に、依存症対策についてでございますが、依存性のある物質摂取や依存行為が習慣化しますと、誰でも依存症になる可能性があるといわれており、適切な支援により回復することができるとされております。
都は、アルコール健康障害、薬物乱用、ギャンブル等の依存症ごとに策定した計画に基づき、依存症に関する正しい知識を普及啓発するとともに、本人や家族からの相談に応じ、必要な支援や治療につなげております。
今年度は、ギャンブル等依存症に係る計画改定に取り組むほか、引き続き、それぞれの依存症に対応した専門医療機関の拡充に向けて働きかけるなど、予防から発症、再発防止まで、切れ目のない支援体制を構築してまいります。
最後に、子供の居場所についてでございますが、近年、保護者の働き方の多様化等により、放課後だけでなく、学校の長期休業中や始業前などに子供の居場所のニーズが拡大をしております。
都は現在、いわゆる小一の壁の解消に向け、学童クラブの待機児童対策の計画を策定した上で、小学校の空き教室の活用など、放課後等の様々な居場所の確保に取り組む区市町村を幅広く支援しております。
今後、区市町村の児童福祉主管課長会等において、都の支援の活用を働きかけ、始業前も含め、ニーズに応じた子供の居場所の確保に取り組んでまいります。
〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕
○保健医療局長(雲田孝司君) 医師の働き方改革と地域医療の確保に関するご質問にお答えいたします。
医師の長時間労働の改善等を進めつつ、安定的な地域医療の確保を図っていくことは重要でございます。
都は、チーム医療やDXの推進など、医師の負担軽減に取り組む救急医療等を担う医療機関を支援しており、今年度からは、医師の教育研修を担う大学病院等を対象に加え、その役割を引き続き果たせるよう取り組んでまいります。
また、大学病院等から医師の派遣を受ける地域の医療機関において、派遣停止等により診療体制に支障が生じないよう、派遣元の大学病院等に対する補助を開始いたします。
こうした取組により、医師の働き方改革と地域における医療体制の確保との両立を推進してまいります。
〔中央卸売市場長早川剛生君登壇〕
○中央卸売市場長(早川剛生君) 老朽化した市場施設の再整備についてでございますが、中央卸売市場が生鮮品等流通の基幹的インフラとして、今後も都民の消費生活を支えていくためには、予防保全の考え方を用い、老朽化の進む施設の維持更新を計画的に進め、各市場が特性等を生かした役割を発揮していくことが重要でございます。
このため、卸売場等の主要な建物について、令和四年度から二年間で劣化度調査を実施いたしました。この結果等を基に、今年度、建物ごとに維持更新の優先度等を検証し、改修や改築等の方針を検討いたします。
これらの方針に基づいて市場業者と緊密に連携し、今後、施設の維持更新計画の策定に向けまして、鋭意取り組んでまいります。
〔交通局長久我英男君登壇〕
○交通局長(久我英男君) 大江戸線の受電変電所の更新についてでございますが、既存変電所を順次停止しながら、長期にわたり更新工事を行う必要があり、その間の電力の安定供給に課題がございます。
このため、交通局では、浜松町周辺の大規模再開発の機会を捉え、既存庁舎との権利変換によりまして整備スペースを確保し、新たな変電所の整備を進めております。
これにより、日々の運行やサービスを維持しながら、環状部の二か所の変電所を更新するとともに、バックアップ機能の強化を通じて、電力供給の信頼度を向上させることが可能となります。
令和七年度の変電所の増設に向けて整備を着実に進め、一層安定的な輸送サービスの提供に努めてまいります。
〔子供政策連携室長田中愛子君登壇〕
○子供政策連携室長(田中愛子君) とうきょうすくわくプログラムについてでございますが、本プログラムの都内全域展開に向けては、現場を担う幼稚園、保育所等の強みや実情を踏まえながら、各園が安心して実践できる環境を創出していくことが重要でございます。
このため、今月下旬に、東京大学の研究機関CEDEPと連携し、都内全ての園を対象に、事例等を用いた実践的な研修会を開催いたします。また、子供が興味、関心を持って取り組むための素材の準備や活動を行う際の声かけの工夫など、取組のヒントとなる動画を自然や絵本など、テーマごとに作成、配信いたします。
さらに、頻度の高い質問をQ&Aとして取りまとめ、随時提供するなど、各園が円滑に実施できるよう、継続的な支援体制を構築してまいります。
○議長(宇田川聡史君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
午後二時三十六分休憩
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