令和六年東京都議会会議録第四号〔速報版〕

   午後五時五分開議

○副議長(増子ひろき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十二番斉藤りえさん。
   〔三十二番斉藤りえ君登壇〕

○三十二番(斉藤りえ君) 立憲民主党の斉藤りえです。
 初めに、デフリンピックについて伺います。
 私たちの会派は、昨年十一月十七日、小池知事宛てに、都議会立憲東京ビジョン二〇二四を提出しました。その中で重要トピックスの一つとして、東京二〇二五デフリンピックを掲げました。手話言語、情報コミュニケーション保障を推進し、大会の成功、共生社会の実現に向けて大きく前進できればと思っています。
 日常の中で音声で提供される情報は意外と多く、電車内や館内など音声で流れる情報には、即時性、緊急性を有するものもあります。これまでも私や会派の質問で、手話言語、デジタルを活用した音声の可視化を加速的に進めるよう求めてきました。
 インターネット接続環境の向上とスマートフォンの普及により、障害のある人の情報アクセシビリティーを向上させる基礎的環境は劇的に進化しています。この環境を使い、デフリンピックを契機として飛躍的な変革を起こすことを期待しています。
 二月十六日には、デフリンピック東京大会に係る閣議了解がなされるなど、デフリンピック開催に向けた準備は着々と進んでいます。私は、大会そのものだけでなく、広く社会変革をもたらす取組を急ぎ具体化させ、世界中の人から、東京二〇二五があってよかったといわれるデフリンピックにすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 小池知事は、二月九日の定例会見で、今回の台湾訪問の意義について、いち早くデフリンピックを開催し、ノウハウがある台北と協力することが確認できた旨、述べていました。
 一方で、二〇〇九年の台北デフリンピック大会では、台湾国内へのライブ放送があったということです。東京大会においても、台北での経験を生かして臨場感あふれるライブ放送、ライブ配信がなされることを大きく期待したいと思います。大会期間中の放送などについて、見解を伺います。
 世界中から競技者が集まるデフリンピックの開催に向けて、国際手話人材の育成は急務と指摘されてきました。人材確保や育成について、目標に対する進捗状況を含め、見解を伺います。
 二〇二一年に開催されたパラリンピック東京大会では、来日時に補助犬を連れてこられなかった選手がいたと伺いました。デフリンピックにおいても、聴導犬を連れてくることを希望する選手や家族などもいることが想定されますが、補助犬の受入れ環境の整備についても、ぜひお願いします。
 デフリンピックについては、都職員をはじめ多くの関係者がワンチームになって準備が進んでいることは理解しておりますし、その取組について、感謝と敬意を心から持っております。
 一方で、その認知度はまだまだ低いと認識しています。二〇二一年の調査ですが、日本財団パラスポーツサポートセンターが行った調査結果によれば、国内のデフリンピックの認知度は一六・三%だということで、パラリンピックの認知度九七・九%と比べると、はるかに低いのが現状です。
 また、二〇二二年十月に実施した都民のスポーツ活動に関する実態調査では、デフリンピックの認知度は僅か一〇・九%です。そのため、私は、幅広い世代や属性に対して有効な広報戦略を取っていくことが不可欠だと考えています。大会の認知度を上げるため、メディアをはじめ様々な媒体を活用するなど、積極的に広報していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 あわせて、私は、デフスポーツの普及促進にも積極的に取り組むべきだと考えます。例えばデフサッカーは、手話をはじめ視覚的な様々なサインを出し合いながらプレーし、一般的なサッカーとは違った心理戦やコミュニケーションが求められる競技です。
 聴覚障害者を含めて、多様性を尊重し、遊びやスポーツの選択肢を広げることは、子供たちの成長と理解を促進する一環として極めて重要です。デフスポーツの普及促進に積極的に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、情報コミュニケーションについて伺います。
 この間、一般質問でも取り上げてきましたが、病院や公共機関など、まだまだ情報保障が足りていない施設は少なくありません。病院によっては、手話通訳者同行ではないと診断できないと断られてしまうケースもあります。私は、こうした施設などに対して、より積極的な働きかけや補助拡充に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年六月に、私は、群馬大学の金澤貴之教授による手話教室を視察しました。手話を始めて僅か三か月で、大学生たちが手話でディスカッションをしていました。
 手話の普及に向けて、六年度予算では、新たにデフリンピック学習ハンドブックの配布が計上され、デフリンピックや手話等を簡単に学ぶことができる冊子を都内の公立、私立の小学生に配布し、副読本として授業で活用すると説明しています。
 デフリンピック学習ハンドブックは、デフリンピックや手話に触れるきっかけとなる有用なツールとなり得るため、手話の普及が大きく進むよう、学校の授業での活用はもとより、幅広く様々な場で活用すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 私の周りにいる耳が聞こえない子育て中の親たちの間でも、キッズラインというベビーシッター予約アプリがとても便利だと評価されています。もちろん、このアプリに限らず、手話通訳やタイピング通訳など、耳の聞こえない人にとって、こうしたアプリのニーズは極めて高いと思いますが、市場規模も小さいことから開発が進まないことを懸念しています。
 私は、このようなアプリも含めた情報保障機器類の開発に向けて、東京都が積極的にサポートをしていくことは、都民の情報保障の観点からも極めて重要であると考えますが、見解を伺います。
 次に、障害者への合理的配慮について伺います。
 障害者差別解消法が改正され、四月一日から、地方公共団体だけでなく、民間事業者にも合理的配慮の提供が義務化されます。東京都では、国に先行して民間事業者に対する合理的配慮を義務化していますが、これまで私のもとには、耳が聞こえないことを理由に小型飛行機に乗るのを断られたなどの相談が多く寄せられ、合理的配慮の提供がまだまだ十分になされていないと強く感じています。
 東京都は、現在、事業者を対象に、パンフレットの配布や説明会の実施など普及啓発に取り組んでいますが、私は、これまで寄せられた多くの相談や対応策などの知見を生かして、事業者の理解や対応がさらに進むよう、より一層の取組が必要だと考えます。障害者差別解消に向けた理解促進に向けて、見解を伺います。
 合理的配慮に関して、私立大学で退学を余儀なくされた方からの相談を受けました。障害学生支援に携わる教職員をはじめとする大学側の不当な対応によって、心身とその尊厳を多大に傷つけられたという内容で、私も似たような体験をしています。
 私が通っていた私立高校では、先生の話のスピードに理解が全く追いつかず、黒板に文字を書きながら背中を向けて話している先生であれば、なおさらでした。入学前、母親が文字起こしをするためにと録音をさせていただけないか相談したようですが、一人だけ特別扱いできないとの理由で断られた経験があります。小学校も中学校も同様でした。
 東京都は、現在、障害を理由とする差別に関する相談窓口を東京都障害者権利擁護センターに設置していますが、ただでさえ差別を受けた側は、私もそうですが、言葉が通じる人同士で話が進んでいるのではないか、自分が置き去りにされているのではないかと、心配が絶えません。
 障害者差別に関する相談に対しては、相談者の立場に十分に寄り添いながら積極的な助言や調整を行うとともに、調整結果についても、より丁寧に回答するなどの配慮を求めるものですが、見解を伺います。
 次に、障害当事者の意見反映について伺います。
 私は、一昨年十二月、兵庫県明石市を訪問し、泉房穂、当時の明石市長にお目にかかってきました。その翌日に、明石市では、市の審議会に一割以上の障害者を必ず加えるという全国初の条例が可決、制定されました。
 これを受けて、昨年二月の会派の代表質問でも、東京都の審議会でも障害者を一定数以上割り当てるなど、障害当事者の意見反映について積極的に取り組むべきと求めました。私たちのことを抜きに私たちのことを決めないでというのが、障害者団体の強い思いです。
 そこで、審議会への割当てなど、都政に対する障害者の意見反映をより一層推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 中でも、新たな施策展開が求められる観光施策については、もっと障害者の意見を聞いてほしいと思います。これまで私は何度か、緊急時の非常ベルなどの情報を光で伝える、いわゆる光るホテルの推進や、公共交通機関における情報バリアフリーなどを求めてきましたが、まだまだ十分に進んでいるとは思えません。
 観光施策では、近年、ユニバーサルツーリズムが注目をされており、障害者や高齢者あるいは子連れの方々など、多くの方々が安心して旅行をしていただける環境整備も求められています。
 デフリンピックを控え、聴覚に障害のある人をはじめ、障害のある人などが安心して旅行、外出をすることができる環境整備は急務です。観光施策の推進に当たっては、障害者をはじめ当事者の意見反映の推進を求めるものですが、見解を伺います。
 最後に、自転車の安全利用について伺います。
 先日、私が道を歩いていたところ、突然、背後から自転車に追突されそうになりました。きっと、自転車のベルを鳴らすなど私に注意を促していたのでしょうが、私は全くそれに気づかず、もしかしたら相手も私も大けがをしていたかもしれません。
 私に限らず、耳の遠い高齢者や、すぐには身体が動かない人、子連れの親御さんなど、同様の経験をしたことがある人は多いと思います。
 六年度予算では、都民提案として、自転車は左側通行という小さいステッカーを自転車に貼る事業が新規に予算化されています。私は、歩道を走る自転車の利用者に対しても、交通弱者への配慮を含め、安全運転の普及啓発、周知徹底をさらに推進すべきと考えますが、新規事業の意義を含め見解を伺い、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 斉藤りえ議員の一般質問にお答えいたします。
 デフリンピックについてでございます。
 大会の開催は、デフスポーツへの理解を広げ、障害の有無にかかわらず、共にスポーツを楽しみ、互いの違いを認め尊重し合う、共生社会の実現の弾みとなるなど、大きな意義を持ちます。
 都は、現在、デジタル技術を活用しまして、スムーズなコミュニケーションを実現する取組など、大会を見据え、様々な施策を展開いたしております。
 引き続き、大会の成功やレガシーの構築に向けまして、準備を着実に進めてまいります。
 その他の質問につきましては、関係局長が答弁をいたします。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 五点のご質問にお答えをいたします。
 まず、デフリンピックの大会中の情報発信についてでございますが、大会の状況を適宜発信するとともに、メディアに対して競技結果などの情報を提供するなど、開催基本計画で積極的な広報活動の取組を検討していくこととしております。
 次に、国際手話人材の確保についてでございますが、都は、今年度から国際手話の習得に係る受講費用を支援しており、これまでに延べ三百三十一人の申込みがありました。
 引き続き、大会時に必要な人材の確保に取り組んでまいります。
 次に、大会の認知度向上についてでございますが、デフリンピックの開催意義や魅力を伝えていくため、都は、大会特設サイト等での情報発信に加え、幅広い世代に訴求力のあるアンバサダーを起用するなど、様々な取組を展開しております。また、大会情報等について、マスメディアやSNSを通じても発信をしております。
 次に、デフスポーツの普及啓発についてでございますが、都は、チャレスポTOKYOなどインクルーシブ社会を目指す取組の中で、多くの子供たちにデフスポーツを体験いただいているほか、デフアスリートを招き、デフスポーツへの理解促進や都民との交流も図っております。
 今後とも、こうした取組を通じてデフスポーツを普及啓発してまいります。
 最後に、デフリンピックに向けた普及啓発についてでございますが、子供たちがデフリンピックや手話について漫画形式で学べ、共生社会について考えるきっかけとなるよう、都は、学習ハンドブックを制作いたしました。
 今後、都内小学校を通じてこれを児童等に配布するほか、イベントなどにおいても活用を図ってまいります。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、病院や公共機関などにおける情報保障についてのご質問です。
 都は、障害者差別解消条例に基づき、障害者への不当な差別的取扱いの禁止や、過重な負担のない範囲での合理的配慮の提供を事業者に義務づけており、ホームページやパンフレットなど様々な媒体により広く普及啓発するほか、医療機関に対しては、国が作成したガイドラインや障害者への合理的配慮事例集を周知しております。
 また、来年度からは、誰もが円滑にコミュニケーションできるデジタル機器を導入する区市町村を支援することとしております。
 続きまして、情報保障機器の開発支援についてのご質問にお答えいたします。
 都は、来年度、障害者の意思疎通を支援する情報保障機器を、東京都障害者福祉会館など障害者の利用が多い窓口に設置し、その利用実績や使用に当たっての意見などを開発者へフィードバックすることにより、情報保障機器の開発を支援することとしております。
 続きまして、合理的配慮についてでございます。
 都は、障害者差別解消条例を制定し、国に先行して民間事業者の合理的配慮の提供を義務化しており、これまでも都民や民間事業者を対象としたハンドブックや啓発シンポジウム、研修会を通じて周知を図っております。
 また、本年四月の改正障害者差別解消法の施行に当たり、ハンドブックなどを改定することとしており、引き続き民間事業者等に周知してまいります。
 次に、障害者権利擁護センターについてでございます。
 東京都障害者権利擁護センターでは、障害の種別を問わず、不当な差別的取扱いや合理的配慮の提供に関する相談等に対応しております。相談に当たっては、障害者及びその家族等への必要な助言や調査、情報の提供及び関係者間の調整を行うなど、きめ細かく対応しております。
 最後に、審議会への障害者の参加についてのご質問でございます。
 都は、障害者施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害当事者の方も委員として参画する東京都障害者施策推進協議会を設置しております。今期の協議会では、次期東京都障害者・障害児施策推進計画の策定に向けた施策の在り方について、幅広く議論を行いました。
 引き続き、協議会で障害当事者の方の意見も聞きながら、施策に取り組んでまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 観光振興の進め方についてのご質問にお答えいたします。
 東京の観光振興を図るため、都は、観光客のニーズに応じ、安全で快適な旅行の機会を提供する取組を進めております。
 具体的には、障害者がモニターとして参加するツアーを実施し、移動しやすい観光ルートづくり等を行っております。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) 自転車安全利用の普及啓発についてでございます。
 都は、自転車は左側通行という交通ルールを徹底するため、小さなステッカーを貼る事業を実施いたします。
 また、歩行者との接触事故防止も含め、自転車の安全利用に関するルールを交通安全教室等を通じて周知するほか、自転車安全学習アプリ、輪トレの活用を都民に促しております。

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