令和六年東京都議会会議録第四号〔速報版〕

○副議長(増子ひろき君) 二十番土屋みわさん。
   〔二十番土屋みわ君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○二十番(土屋みわ君) 一昨日の資産運用立国に関する我が党の代表質問に対し、知事は、イノベーションと経済成長を生み出す資金の流れを生み出すために国と連携して施策を推進すると答弁されました。
 東京が激しい都市間競争を勝ち抜き、真に実力ある金融市場へと進化していくためには、文化や歴史などの独自の魅力だけではなく、税制、規制、投資環境など、いわば世界共通の土俵を整えていくことが重要だと考えます。
 折しも株価が三十四年ぶりに過去最高値を更新するなど、世界の投資家の注目が再び東京に集まりつつあり、この機を捉え、東京が再び国際金融都市としての輝きを取り戻すため、どのようにグローバルスタンダードな都市の実現に取り組んでいくのか、都の金融・資産運用特区提案に込めた知事の思いを伺います。
 そして、金融の力は経済の原動力であり、とりわけ次代の東京の成長を牽引するスタートアップを世界へと飛躍させていかなければなりません。そういった中で、やはりグローバルスタンダードの視点はここでも重要であります。
 世界では、投資家がスタートアップに資金供給を行うとともに、グローバルな経営戦略によって成功へと導いたりと、起業家同士の連携を促進するイノベーション文化が確立され、スタートアップの成長を促進する仕組みが整っています。
 我が国でも世界目線の投資を実践すべきと考えますが、都の見解を伺います。
 世界で活躍できる人材育成の取組の推進が図られる中、英語力強化に向けて、都は、体験型英語施設であるTGGの運営やネーティブ人材の配置など、様々な取組を行っているところです。かねてより、取組を効果検証して適切なアプローチの施策を実施すべきと指摘させていただきましたが、これまでのグローバル人材育成の取組により、生徒の英語力がどの程度上がっているのか、その成果を検証し、さらなる施策の改善につなげていくことが大切でありますが、都教育委員会の取組を伺います。
 円安の影響などもあり、都内各地に多くの外国人観光客の姿が見られるようになりました。これまでの観光やショッピングだけでなく、日本食の手作り体験など、インバウンド消費は物消費から体験価値を重視する事消費へと大きくシフトしています。
 しかし、こうした中、中小規模のホテルや飲食店などからは、こうした観光客の新たなニーズに対応したいが、ノウハウや資金力が不足しているといった声や、人員を募集してもなかなか応募が集まらないとの声も聞かれており、このままではせっかくのビジネスチャンスを逃してしまうことになりかねません。
 事消費などのインバウンド需要を捉え、収益力向上を図れるよう、人材面をはじめとする観光事業者の取組を後押しするべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、外国人観光客の誘致に取り組んでいますが、一方で、近年増えている災害やいつ起こるか分からない首都直下地震などが発生した際、外国人観光客は、言葉の問題や不慣れな土地での避難が予想される中、外国人観光客に対する安心・安全の確保が不十分ではないかと危惧します。都を訪れる外国人観光客に安全・安心を提供することは、観光振興策とセットであるべきと考えます。
 外国人観光客が安心して東京に訪れていただけるよう安全確保及び発災時に適切な場所への案内などが必要と考えますが、見解を伺います。
 また、能登半島地震を受け、障害者や高齢者など災害時に特に配慮が必要な方への支援の重要性が改めて認識されました。
 区市町村は、これらの方を避難所で円滑に受け入れ、避難所において不自由な生活を強いることがないよう日頃から対策を行う必要があり、都はその支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに、避難生活が長期化する場合には、障害のある方など配慮を要する方々は、早期に一次避難所から福祉避難所へ移行する必要がありますが、能登半島地震では、必ずしも円滑な移行が行われていないとの報道もありました。
 区市町村は、福祉避難所への直接避難を推進することや福祉避難所自体を増やすことが必要であり、都としても区市町村による取組を支援すべきと考えますが、併せて見解を伺います。
 昨年発生した滝山病院における虐待事件は今なお記憶に新しいですが、遡れば二〇二〇年には兵庫県神出病院で虐待事件があり、これまで国内では繰り返し精神科病院における虐待事件が発生してきました。
 これらのことを踏まえ、改正精神保健福祉法が本年四月に施行され、虐待防止の取組が強化されます。
 虐待防止対策は喫緊の課題であり、我が党においては、これまで都議会において、虐待防止の取組を次期保健医療計画に位置づけるなど、充実強化を求めてまいりました。
 精神科病院における虐待の防止に向けて、虐待の未然防止や早期発見、早期対応に向けた体制整備が重要であり、計画改定を機に、都として、より積極的に取り組んでいくべきと考えますが、見解を伺います。
 物流は、都民生活や経済を支える重要な社会インフラですが、いよいよこの四月からトラックドライバーの時間外労働の上限規制が適用されることになり、物流の停滞が懸念される、いわゆる二〇二四年問題に直面します。
 政府は、物流革新に向けた政策パッケージを公表し、商慣行の見直し、物流の効率化、消費者の行動変容について具体的な施策を打ち出しました。
 物流業界の労働時間や賃金の改善といった商慣行の見直しは、国が責任を持って対策を実施する必要がありますが、物流の効率化などは、地方自治体もその一翼を担うべきであり、国と協調していくことが重要であります。
 こうした視点から、都は、事業者支援など、物流の維持、確保に向けて強力に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。
 近年、ランサムウエアによる被害が相次いでおり、国民生活や社会経済活動の基盤となる病院や港湾施設等において機能停止となる事態が発生するなど、サイバー攻撃の脅威は極めて深刻化しており、国も対応の強化を打ち出しています。
 都は、交通、上下水道など都民生活や首都の社会経済を支える重要インフラを担っており、サイバー攻撃の未然防止と攻撃を受けた際の迅速な復旧を図るため、平時からの万全の備えが必要です。
 我が会派はこれまでも、首都東京の安全・安心の観点から、サイバーセキュリティ対策の強化を主張してまいりました。
 これを受け、都は、今年度から、実践的な訓練など新たな対策に取り組んでいますが、ますます巧妙化、深刻化するサイバー攻撃に対応するため、さらにセキュリティ対策の強化が必要と考えますが、見解を伺います。
 首都直下地震の切迫性が指摘される中、私たち都民も、平時の備えの重要性を再認識し、行動に移していく必要がありますが、都民個々の備えだけでは命は守れません。やはり、行政として、都が区市町村と連携し、人々が暮らすまちの安全性を満遍なくしっかりと高めていくことが必要不可欠です。
 一方、木密地域の不燃化の現状を見ますと、世田谷区の北沢や杉並区の阿佐谷、高円寺といった地域において、指標となる不燃領域率と延焼遮断帯形成率がともに目標を一〇%程度下回るなど、地域ごとの施策の進捗に差が表れています。
 都内全域の防災都市づくりをむらなく着実に進めるべく、進捗の遅れている自治体をどう押し上げるのか、区市などとの連携強化も含め、今後どのように防災施策を推進していくのか伺います。
 騒音は、公害の中でも日常生活に深く関わっており、苦情件数も、公害に関する苦情のおよそ五割を占めています。
 近年では、住宅の過密化などにより、生活騒音がもとで近隣とトラブルになるケースも増えており、私の地元の区でも、室外機の稼働音などが原因で長期にわたりトラブルになっているケースなど、生活型近隣公害に関する苦情が増えています。
 都内において、騒音に関しては、環境確保条例で規制基準が定められており、規制事務は、事務処理特例条例に基づき都から区市に移譲されているのは承知しておりますが、そのため、区市において、騒音対応や対策をしっかりやっているところとそうでないところで差が出ています。
 条例を制定した都として、条例の実効性の確保や、それぞれの区市の対応に差異が生じないよう、対策や支援が不可欠であると考えますが、騒音規制の事務を担う区市への支援対策について、都の見解を伺います。
 持続可能な社会、そして、ゼロエミッション東京の実現に向け、調達、生産、消費、廃棄のあらゆる段階で、資源の効率的、循環的な利用を図る経済へと転換していく取組は大変重要であります。
 私もこれまで、本会議において繰り返し質問してまいりましたが、この間、都が意欲的な事業者への支援を積極的に行うことで、少しずつイノベーションの芽が出始めてきたと感じているところであります。
 一方で、ゼロエミッションという大きな目標の実現に向けては、都民の暮らしへの浸透と業界全体での取組など、より一層の広がりが求められます。
 都は、脱炭素、エネルギー関連、フードロス対策、プラスチックの削減、再利用を含む総合的な観点からも、サーキュラーエコノミーへの移行に向けて、意欲ある事業者に対するより一層の支援や都民への普及啓発を実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 ビルディングインフォメーションモデリング、いわゆるBIMとは、コンピューター上で建材パーツや設備などを組み合わせ、現実に近い三次元の建物情報モデルを構築する仕組みであります。このBIMを活用することにより、発注者、設計者、施工者など関係者間の円滑な情報共有が図られるとともに、設計、施工管理の品質向上や設計、工事の省略化、業務の効率化などが可能となり、今後、導入が不可欠なツールといわれています。
 また、BIMの3Dデータを活用することで、日射量や用途などを踏まえた省エネ検討を設計の初期段階から行うことができ、建築物の省エネ性能を向上させることが期待されています。
 日本の建築業界の施工技術は世界的に見ても高い反面、システム化が遅れており、世界的なBIMの潮流に乗り遅れている状況下、国では建築物の生産性向上等を図るため、令和元年度から、建築BIM推進会議を設置するなどして、官民が一体となってBIMの導入を推進しているところであります。
 ゼロエミッションを目指す東京都として、都でもBIMの普及を積極的に推進しながら、民間建築物の脱炭素化を進めていくべきと考えますが、見解を伺います。
 また、都有建築物でもある都営住宅建て替え工事は年間発注件数も多く、こうしたところからBIMを普及させることは一定の効果があると考えますが、都営住宅におけるBIMの取組についても併せてお伺いし、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 土屋みわ議員の一般質問にお答えいたします。
 グローバルスタンダードを備えた都市についてのお尋ねをいただきました。
 バブル崩壊後の三十年間、我が国が、国内市場を前提といたしました、いわば内向き志向から脱却できない間に、世界経済はグローバル化が急速に進展をし、規制や税制なども国際競争の中で変貌を遂げてまいりました。
 私たちは今、強い危機感を持って、世界のスタンダードを備えた東京を取り戻さなければなりません。
 世界中の人々が国境を越えて行き交い、英語でビジネスや投資ができる環境を実現する、そのために今回の特区の提案におきましては、企業情報の英文開示の推進や創業時の英語手続の拡充、さらには投資家や高度人材の在留資格の緩和などを盛り込んでおります。
 国と緊密に連携いたしまして、世界に通用するビジネス、生活環境の整備を進めるとともに、都自らも、投資やイノベーションを促進する様々な政策を展開しまして、日本、東京の可能性を花開かせ、世界に選ばれる東京を実現してまいります。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 成果検証を踏まえた英語力の向上についてでございますが、子供たちが将来、国際社会で活躍していくためには、自分の考えを英語で表現できるよう、使える英語力を身につけることが重要でございます。
 令和四年度の調査では、CEFR、A2レベルの高校三年生は五五・九%となり、前年より五・九ポイント上昇しています。
 令和六年度は、英語資格検定試験を活用した英語力の把握を都立高校百校に拡大して実施し、到達度を客観的に把握、検証することで、さらなる授業改善や施策展開を図り、英語力を強化してまいります。
   〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) 世界目線でのスタートアップへの投資についてのご質問にお答えいたします。
 大きく飛躍するスタートアップを生み出すには、起業当初から世界市場を見据えることが重要であり、グローバルスタンダードを意識した投資を促進する必要がございます。
 そこで、都は、世界各地での活動実績が豊富な海外の支援機関を国と連携して誘致し、経営者の育成と投資をセットで提供するプログラムや有望なスタートアップを海外に派遣し投資家との交流を図る取組を来年度新たに開始いたします。
 また、来月には、国内投資家向けのグローバルな投資スキルを習得する育成講座を実施いたします。
 こうした多様なプレーヤーによる世界を視野に入れた投資を促進し、ユニコーン創出につなげてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 観光関連の事業者への支援についてのご質問にお答えいたします。
 海外からの旅行者が東京で文化やレジャー等を体験し、観光を楽しむことができるよう、事業者の対応の力を高める支援を行うことは重要でございます。
 これまで都は、海外の方が旅館で着つけなどを体験する取組の後押しや、すしづくりを楽しむ施設の整備等への助成を行ってまいりました。
 また、こうした新たなサービスについて、専門家が助言を行い、海外に効果的に紹介するサポートも進めているところでございます。
 今後は、これらの新たな取組を担う人材の確保に向け、観光関連の仕事の魅力を伝えるイベントなどを実施いたします。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、外国人観光客の安全確保と避難についてでございますが、言語や災害時の知識、経験が異なります海外の方は、自力での避難等が困難な場合があり、ホテルなど待機できる場所のない方々を一時滞在施設等に案内する必要がございます。
 都は、区市等と連携した帰宅困難者対策訓練において、事業者等による多言語での情報提供や避難誘導などを行っております。また、災害時には、SNSで英語による情報発信を行うとともに、防災マップや防災アプリを通じて、多言語で一時滞在施設等を案内してございます。
 今後も、訓練などにおいて外国人観光客への情報伝達を確認するなど、防災対策を進めてまいります。
 次に、災害時の要配慮者への対応についてでございますが、災害時の避難においては、ふだんとは環境の異なる避難所での生活となることから、障害者や高齢者など、配慮が必要となる方の事情に合わせた対応が必要となります。
 都は、避難所を利用する方の障害等の区分に応じて、必要な物資や人的支援をきめ細かく示した避難所管理運営の指針を定めるとともに、区市町村の避難所運営マニュアルの作成を支援しております。
 また、来年度から、能登半島地震の状況等も踏まえ、電源が欠かせない障害がある方への支援にも資する取組といたしまして、区市町村に非常用電源を配備することといたしました。
 今後とも、災害時における要配慮者支援に努めてまいります。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、災害時の要配慮者への対応についてでございます。
 国は、要配慮者が福祉避難所へ直接避難することを促進しており、都も、地域防災計画等で区市町村に促しております。
 直接避難の実効性を高めるためには個別避難計画の作成が有効であり、都は、計画を作成する区市町村に対し研修会の実施や財政支援を行うほか、担当者向けの手引やその内容を解説した動画を作成しております。
 また、福祉避難所となる施設に対し、発災時の運営を支える職員確保のため宿舎借り上げ経費を補助しており、来年度からは、本事業をより活用しやすくすることで、福祉避難所の確保をさらに進めてまいります。
 こうした取組により、災害時における要配慮者への支援を強化してまいります。
 続きまして、精神科病院における虐待防止の体制整備についてのご質問でございます。
 都は、東京都地方精神保健福祉審議会での議論を踏まえ、次期東京都保健医療計画案及び東京都障害者・障害児施策推進計画案におきまして、精神科病院での虐待防止に向けた取組を新たに重点課題として位置づけました。
 具体的な取組として、本年四月からの精神科病院における虐待通報の義務化に先立ち、三月に通報窓口を開設するほか、来年度は、患者の生活に関する相談等を行う支援員の病院への派遣や、病院の管理監督者層や現場のリーダー層を対象にした虐待防止研修を開始いたします。
 こうした取組を通じまして、精神科病院での虐待の未然防止や早期発見の体制整備を進めてまいります。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、円滑な物流の確保に向けた取組についてでございます。
 二〇二四年問題に対して、円滑な物流を維持するため、集配送の効率化に向け物流事業者を支援するとともに、物流効率化の必要性について社会的な認知度を向上させることは重要でございます。
 こうしたことから、効率的な荷さばきが行えるよう、都は新たに、物流事業者に対して、集配送先となる住宅地等において駐車スペースを提供するとともに、都民や企業に対しては、物流効率化に向けて再配達削減等の取組を促す広報を展開してまいります。
 これらの取組を通じて、社会全体で物流の円滑化を促進してまいります。
 次に、防災都市づくりの推進についてでございます。
 首都直下地震などから、都民の生命、財産を守るため、延焼遮断帯の形成や建築物の不燃化等を推進することは重要でございます。
 これまで都は、区市と連携しながら取組を進め、地域の防災性は着実に向上しておりますが、地域特性の違いなどにより、不燃化等の状況に差が生じております。
 今後、不燃化が進んでいない地域を中心としてさらなる促進を図るため、区市との連携を強化し、道路、公園の整備や地域コミュニティ力の向上など、ハード、ソフトの両面からの施策展開を検討してまいります。こうした検討の結果を、来年度に改定する防災都市づくり推進計画の基本方針に反映させ、東京の強靱化を進めてまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) サイバーセキュリティ対策の強化についてのご質問にお答えいたします。
 高度化、巧妙化するサイバー攻撃に対応するためには、最新の対策を全庁的に徹底していくことが重要でございます。
 今年度は、重要システム等を対象に、実際の攻撃を想定したテストや訓練などを開始いたしましたが、今後はさらにセキュリティガバナンスを強化し、全ての各局システム等について、最新の脆弱性情報を基に対策を確実に実施する仕組みを構築いたします。
 来年度は、新たに全庁のシステム機器の情報を一元的に管理するデータベースの整備に向け、GovTech東京と共に最新の技術を取り入れた開発を進めてまいります。
 引き続き、各局と連携し、全庁のサイバーセキュリティ対策の強化に向けた不断の対策を講じてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、騒音規制事務に係る区市への支援についてでございますが、環境確保条例に基づく騒音規制については地域に応じた対応が必要であり、区市が円滑に業務を行えるよう効果的に支援を行うことが重要でございます。
 都はこれまで、新たに従事する区市の職員が、騒音に関する基礎知識から実務的な測定方法等まで一貫して学ぶ研修を実施してございます。また、法令の適用の有無に関する相談対応を行うほか、測定器等の必要な機材の貸出しを通じ、円滑な業務執行を支えてございます。
 今後、具体的な対応事例を都と区市が共有する機会を設けるなど、区市職員の実務能力向上に向け、取組の充実を図ってまいります。
 これにより、区市の円滑な騒音規制事務を後押ししてまいります。
 次に、サーキュラーエコノミーへの移行についてでございますが、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けては、資源の循環利用型社会への転換が重要でございます。
 都はこれまで、十を超える意欲的な事業者と連携し、衣料品カバー等の廃プラスチックの水平リサイクル技術の実装やテークアウトでのリユース容器シェアリングなどの2Rビジネスの立ち上げ等を後押ししてまいりました。
 来年度は、こうした取組の大幅な拡大を目指す事業者に対しまして、基盤整備や新たな仕組みへの切替え経費等を支援してまいります。加えて、サーキュラーエコノミー推進センターにおける事業者間のマッチングや普及啓発を強化してまいります。
 これらによりまして、持続可能な資源利用の実現を目指してまいります。
 最後に、BIMを活用した建築物の脱炭素化についてでございますが、BIMは、環境性能の高い建築物を設計する上で重要なツールでございまして、三次元モデルを活用することにより、断熱材や室内の照度等を踏まえた省エネ性能を高精度かつ効率的に解析することが可能となります。
 都は来年度、建築物の脱炭素化につなげていくため、BIMのメリットや活用事例などを広く発信してまいります。また、民間事業者等を対象としまして、BIMを活用した省エネ設計の考え方や導入効果等を実践的に学ぶ講習会を新たに開催し、環境建築人材の育成に取り組んでまいります。
 こうした取組を通じまして、新築建築物の脱炭素化を加速させ、ゼロエミッション東京を実現してまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 都営住宅におけるBIM活用の取組についてでございますが、都営住宅は仕様が標準化されており、一般的な建築物に比べBIMを活用しやすい環境にあることから、建て替え事業においてBIMを活用することは有効でございます。
 令和六年度は、BIMの普及状況や利用実態等を踏まえた有効な活用方法の検討を行った上で、BIMの利用に当たっての基本的な考え方等を示すガイドラインを作成いたします。あわせて、導入に必要なソフト、ハードウエア等の環境の調査、検討などを行ってまいります。
 今後、こうした成果を建て替え事業に携わる設計事務所や建設会社等に向けて情報発信しながら、都営住宅におけるBIMの活用を進めてまいります。

○議長(宇田川聡史君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後四時四十三分休憩

ページ先頭に戻る