令和六年東京都議会会議録第四号〔速報版〕

○議長(宇田川聡史君) 十番伊藤大輔君。
   〔十番伊藤大輔君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○十番(伊藤大輔君) 立川市選出の伊藤大輔です。五期十七年、市議会議員として地域の様々な声をお聞きしてまいりました。この経験を生かし、これからも全力で地域のために取り組んでまいりますことを、まず冒頭、お約束を申し上げ、質問に入ります。
 まず初めに、防災力の強化について伺います。
 国営昭和記念公園の東側、立川市のほぼ中央に立川広域防災基地があります。私自身、勤めてきた立川市議会がある市庁舎からもほど近いところにあり、かつて視察にも訪れました。
 ここには、大規模災害が発生した際に、災害応急対策活動の拠点としての役割を担う重要な施設が集積をしており、首都直下地震等が発生をした際には、多摩地域の防災拠点としての活用が不可欠です。
 近年の技術革新やDX化の進展を踏まえ、最新の技術、設備を導入するなど、防災力のさらなる向上を図ることが必要です。
 そこで、多摩地域の防災拠点である立川地域防災センターや多摩広域防災倉庫のさらなる機能強化を、アクセスルートの改善を含め、どのように取り組んでいくのか、見解を求めます。
 次に、防災基地につながる周辺道路網の整備について質問します。
 現在、立川駅周辺では、南北を往来する主要な道路で鉄道と立体交差している道路は、通称立川通りの一本しかなく、ここは平時であっても慢性的に渋滞が発生しており、防災基地につながる道路の脆弱性が長年にわたり指摘されています。
 また、青梅線本線と短絡線に囲まれたJR立川駅西側の地域では、東日本大震災のとき、踏切が下りたままになり、数時間にわたって車両による南北の移動が寸断されるということがありました。
 そうしたことからも、周辺道路の早期整備について、市民からも従前から多くの要望を受けており、災害時に防災機能を十分に発揮させるとともに、渋滞解消にも資する南北方向の都市計画道路の整備は重要です。
 このため、TOKYO強靱化プロジェクトにおいて、広域防災拠点へのアクセスルートとしてリーディング事業に位置づけられた立川三・三・三〇、立川三・一・三四の整備は極めて重要であり、関係機関等との調整や情報共有を進めながら、早期整備に向け取り組むべきです。
 そこで、立川広域防災基地の周辺道路整備の取組状況について伺います。
 次に、立川市と日野市をつなぐ日野橋の架け替えについて伺います。
 災害時には、地域をつなぐ避難路ともなる重要な施設です。令和元年に発生した台風十九号の影響で橋脚が沈下したことから、約七か月間にわたり通行止めとなったことで、改めて地域への影響の大きさと施設の重要性を認識しました。
 現在、日野橋の架け替え事業が進められていますが、早期完成について、地元から多くの期待が寄せられており、工事を加速すべきと考えます。
 そこで、日野橋の架け替え事業の取組状況について伺います。
 また、道路整備を進め、首都圏とのアクセスを向上させるには、中央高速道路との連結が必要です。中央高速道路へのインターチェンジ設置に向け、関係自治体との協議や国への働きかけを強化していただくことを併せて要望いたします。
 次に、若者支援について伺います。
 いわゆるトー横キッズが社会問題化し、家庭や学校に場所を見つけづらい若者たちへの支援、対策が行われています。都民ファーストの会も、プロジェクトチームを立ち上げ、問題解決に向けた議論を続けており、都も、早い段階から対応されてきたと認識をしています。
 その一方で、寄り添った支援の形をさらに充実させる必要性を感じています。これまで、都や民間においても、相談所や居場所づくりが進められてきました。しかし、これらの多くは、二十三区内が中心になっています。当然のことながら、夜間に居場所を必要としているのは、二十三区の子供たちだけではありません。
 そこで、夜の時間帯に利用できる安全な居場所を広げることを提案します。
 立川市にあるNPO法人では、週に一度、夜のユースセンターを開設しており、年間約一千人が訪れています。この取組から分かったことの一つは、夜間の無料の居場所とすることで、これまで行政や民間の支援につながっていなかった人にもリーチすることができた点が挙げられます。
 そこで、都として、地元のニーズを聞き取りながら、多摩地域においても、夜の安全な居場所を拡大すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、母乳バンクについて伺います。
 国内では、毎年六千人の極低出生体重児が生まれています。極低出生体重児は、肺と腸などの内臓器官が発達していないため、粉ミルクでの生育の場合、胃の中で消化できない可能性があり、このことが壊死性腸炎や様々な障害の原因になると指摘されています。できるだけ母乳を与えることが望ましいとされていますが、母親も、母乳がうまく出ない方や、事情により母乳を与えられない場合があります。
 そこで、母乳バンクの活動が注目されています。母乳バンクとは、母乳を提供してくれるドナーから余った母乳を寄附してもらい、必要とする赤ちゃんに安全に提供する仕組みです。私は、会派の視察に参加し、日本財団母乳バンクを訪問し、現状を伺ってまいりました。
 このドナーミルクについて、厚生労働科学研究において、有効性や安全性等の検証を続けていますが、国際的には標準的な施策ですし、国内では既に、都立病院を含め、NICUで活用が始まっています。大規模災害を想定しても、十分な在庫があることが重要です。
 都として、母乳バンク事業を周知することが必要と考えますが、都の見解を求めます。
 次に、学校での生理による欠席について伺います。
 本件については、既に成清議員、菅原議員も取り上げており、生理により欠席したり、体育を見学したりした子供が成績や進級等に影響が出ないよう配慮すべきであると指摘をしてまいりました。これを受け、都は、学校に対して、生理への配慮を行うよう伝えてこられたと承知をしております。
 健康上の理由による欠席によって、児童生徒に不利な状況をつくることはやめようという取組は大切です。同時に、学校はもちろんですが、児童生徒本人や家庭を含めた全体の理解が必要であること、休んでも、入試やその後の学校生活に影響が出ないという安心材料をつくっていくことが必要です。
 しかしながら、都内小中高校での生理による欠席の理解はまだ進んでいないと聞いています。
 そこで、児童生徒への不安解消のための取組を含め、理解促進を進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、自転車用ヘルメット着用の推進について伺います。
 本件については、これまで、白戸議員を中心に都民ファーストの会が率先して進めてきました。
 昨年、道路交通法が改正され、全ての自転車利用者がヘルメットを着用するよう努めなければならないとされました。命を守るために、ヘルメットは欠かせないものです。しかし、都内におけるヘルメットの着用率は約一〇・五%。全体の約半数が自転車通学をしている都立高校生の着用率は約五・五%にとどまっています。あわせて、都立高校生の自転車事故が増加傾向にあることも分かっています。
 都はこれまでも、周知啓発活動を行っていますが、実態として、ヘルメット着用の徹底には至っていません。
 まずは、都立学校において、ヘルメットの着用を推進することで、社会全体にその効果が波及していくことが期待できます。
 そこで、都として、ヘルメットの着用を定着させるための取組を進めるべきです。見解を求めます。
 次に、地域の緑を守る施策について伺います。
 都は、都民と共に緑を育み、百年先に継承する緑のプロジェクト、東京グリーンビズを昨年七月に始動しました。
 私の地元立川市は、昔から農業が盛んな地域です。例えば、五日市街道沿いには、歴史ある家屋や蔵、農地とともに多くの屋敷林が残されています。緑は、生活に潤いを与え、防災面や環境対策においても大きな役割を果たします。しかし、相続や維持管理費の負担、所有者の高齢化、周辺地域の理解不足などにより、こうした樹林地は年々減少傾向にあることから、身近な緑を残すための取組を都民の理解と共感を得ながら、地元自治体とともに推進していくことが必要です。
 そこで、こうした地域に根差した屋敷林等の樹林地を守るために、基礎的自治体による買取りを強力に支援すべきであると考えますが、見解を求めます。
 次に、若年世代のがん対策について伺います。
 これまでも、都民ファーストの会の先輩方が、介護保険が適用されない若年層のがん対策において、在宅療養に係る費用への支援の必要性を提言してきました。
 AYA世代では、全国で年間約二万人が新たにがんの診断を受けているとされています。この世代特有の問題を解決するため、都は、専用の相談窓口とともに、卵子等の凍結保存を行う生殖機能温存治療から、凍結更新、妊娠のための治療を一体的に支援する都道府県初となる取組を進めてきました。
 一方で、医療サービスを受けるための費用負担は保険等で一定程度軽減されるものの、在宅療養における器具の活用などは、ほぼ自己負担です。
 そこで、介護保険適用年齢未満の方々に対して、特にAYA世代については、支援そのものがありませんので、早急に支援策をつくるべきです。見解を求めます。
 新たな観光振興について伺います。
 インバウンド需要は着実に回復をしており、多くの外国人旅行者を東京へ呼び込む絶好の機会が訪れています。海外を見ると、シドニーでは、光の祭典、ビビッド・シドニーが開催されたり、ニューヨークやロンドンでは、夜間にミュージカルや食事を楽しむことが盛んであり、大きな経済効果を生み出しています。
 東京が国際観光都市としてのプレゼンスを一層高めていくには、東京の新たな夜の価値をつくり出していくことが重要です。夜の価値の創出に向け、都庁舎では、プロジェクションマッピングの通年上映が始まりました。オープニングでは、多くの人々でにぎわいましたが、新たな観光名所の一つとして、東京の魅力向上につなげていくべきです。
 そこで、ナイトタイム観光を一層推進すべきと考えますが、見解を伺います。
 以上で私の一般質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 伊藤大輔議員の一般質問にお答えいたします。
 多摩地域の防災拠点の機能強化についてお尋ねがございました。
 あらゆるリスクから都民の命を守るためには、都心から離れた多摩地域におきまして、様々な防災機関が集積する立川広域防災基地の活用が欠かせません。
 このため、都が所有する立川地域防災センターや多摩広域防災倉庫のさらなる機能強化に向けまして、最新の通信技術等の活用も視野に入れ、建て替えも含めまして抜本的な対策を講じます。
 首都直下地震や南海トラフ巨大地震など、東京を取り巻くあらゆるリスクを踏まえながら、司令塔機能と備蓄、物流機能のレジリエンス強化に向けまして、基本構想を取りまとめます。
 加えまして、広域防災拠点へのアクセスルートの改善、確保や、その周辺におけますエネルギーの自立化を図る新たなプロジェクトを推進し、大規模災害等への備えを万全に進め、首都東京の防災力を進化させてまいります。
 その他の質問につきましては、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、生理への配慮に関する周知についてでございますが、これまで都教育委員会は、都立学校の校長連絡会、教務主任や教科主任等を対象とした説明会に加え、区市町村教育委員会の担当者連絡会で、生理等の体調不良で欠席した子供の単位や進級、卒業の認定を行うに当たっては、評価方法や基準を定めた校内規程を柔軟に運用することなどについて周知徹底を図ってまいりました。
 また、子供や保護者に対して、体調不良等やむを得ない欠席や授業の見学により、成績、進級等に不利益を被ることはないことを教員から丁寧に説明する必要があるため、今後、校長連絡会等を通じ、そうした取組を行うよう、学校や区市町村教育委員会に働きかけてまいります。
 次に、都立学校での自転車用ヘルメットの着用についてでございますが、これまで都立学校では、警察と連携した交通安全教室の実施や都が作成したヘルメット着用推進動画の活用などにより、自転車の安全利用に向けた指導を行ってまいりました。
 また、都教育委員会が指定した推進校では、生徒によるヘルメットのデザインの考案やポスターの作成など主体的な取組を行い、着用率の向上につながっています。
 こうした取組を踏まえ、都教育委員会は、来年度から全ての都立学校において、自転車通学の際のヘルメット着用をルール化することとし、本年一月以降、生徒や保護者向けのビデオメッセージの配信や、学校と連携して校門での呼びかけを行うなど、着用の定着を図ってまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、立川広域防災基地周辺の道路整備についてでございますが、災害応急対策活動の中枢拠点となる立川広域防災基地の機能を十分に発揮させるためには、周辺の道路を整備し、本基地へのアクセス性を確保することが重要でございます。
 このため、立川三・三・三〇号線で、泉体育館駅付近から都道一四五号線までの区間において、令和四年三月に事業認可を取得し、用地取得等を進めているところでございます。
 また、立川三・一・三四号線では、地元市や鉄道事業者と事業化に向けた課題の調整等を行う会議体を昨年設置いたしました。今後、鉄道との立体交差構造等を検討してまいります。
 これらの都市計画道路の整備に積極的に取り組み、立川広域防災基地へのアクセス性を強化してまいります。
 次に、日野橋の架け替え事業の取組状況についてでございますが、日野橋は古くから甲州街道の要衝となっておりまして、地域の連携強化に資するとともに、災害時には緊急輸送道路として、防災上重要な役割を担う都市基盤施設でございます。
 本橋梁は、大正十五年の架橋から約百年が経過して、老朽化が進んでいることから架け替えることとし、令和二年度から、工事中の交通機能の確保に必要な仮橋の工事を進め、これまでに橋桁の架設が完了いたしました。
 現在、仮橋に接続する取付け道路の工事を行っておりまして、今後、仮橋に交通を切り替えることとしてございます。
 引き続き、橋梁本体工事の早期着手に向けて、着実に事業を推進してまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) 若者の居場所づくりについてのご質問にお答えをいたします。
 孤独、孤立等の問題が深刻化する中、不安や困難を抱えた若者が安心して過ごし、支援を求めることができる場所を身近な地域で創出していくことは重要でございます。
 都はこれまで、居場所を確保できるよう区市町村を支援しており、現在、区部に二十七か所、多摩・島しょに九か所が設置されております。
 今後、居場所の拡大に向け、好事例の提供や現地視察を実施するとともに、未整備の自治体が多い多摩地域を中心に、都の職員が直接赴き、設置を働きかけてまいります。
 区市町村のニーズに柔軟に対応しつつ、若者の居場所づくりを推進してまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、母乳バンクについてでございますが、母乳は、WHOや日本小児科学会におきまして、千五百グラム未満の極低出生体重児等の疾病予防や健康状態の改善に一定の効果があるとされており、母親の母乳が得られない場合に、ドナーミルクの活用が推奨されております。
 現在、国内では二つの団体が母乳バンク事業を実施しており、都内では周産期母子医療センターのうち、十施設がドナーミルクを利用しております。
 今後、都は、母乳バンクの認知度向上やドナーのさらなる確保に向け、母乳バンクの普及に関する国の研究の動向を注視しつつ、周産期医療施設への一層の周知や区市町村と連携した都民への普及啓発を行ってまいります。
 次に、AYA世代がん患者の在宅療養支援についてでございますが、がん患者が住み慣れた地域で安心して療養生活を送るには、在宅療養環境の充実が重要でございます。
 このため、都は、昨年度実施いたしましたAYA世代がん患者へのニーズ調査の結果やがん対策推進協議会等での議論を踏まえ、来年度から、介護保険制度の対象とならない四十歳未満のがん患者に対する在宅サービス等の費用の助成に取り組む区市町村に対し、包括補助による支援を開始いたします。
 今後とも、AYA世代がん患者が安心して暮らせますよう、区市町村への支援を通じ、在宅療養環境の充実に取り組んでまいります。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 屋敷林等の身近な緑の保全についてでございます。
 都内の屋敷林等は、武蔵野らしさ、地域らしさを感じることのできる身近な緑として貴重であり、保全に取り組むことが重要でございます。
 都は、東京グリーンビズの下、来年度から、屋敷林をはじめ身近な緑を守る特別緑地保全地区の指定を加速するため、地元自治体が緑地を買い取る際の新たな補助を開始いたします。また、地元自治体が行う樹林地を生かした公園緑地等の整備に対しても補助を拡充いたします。
 これらの取組により、屋敷林をはじめとする樹林地を守る取組を強力に後押ししてまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) ナイトタイムの観光振興についてのご質問にお答えいたします。
 外国人旅行者が夜間を楽しく過ごすスポットや催しを増やし、観光消費の拡大に結びつける取組は重要でございます。
 これまで都は、ユニークベニューとして、夜の美術館などで優れた芸術等に触れる機会を設けるほか、夜景を一望できる高層ビルのフロアの紹介などを行ってまいりました。
 また、都は、プロジェクションマッピング事業による集客を進めており、このうち国際的な大会イベントについてはこの二年で約八万人、先日の都庁舎に投影するイベントについては約八千人の方から参加の申込みがございました。
 今後、夜のにぎわいをつくり出す地域イベント等への支援を充実するほか、有識者による検討の場を立ち上げ、ナイトタイムにおける観光振興の取組を一層充実してまいります。

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