令和六年東京都議会会議録第三号〔速報版〕

   午後五時十五分開議

○議長(宇田川聡史君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 三十三番アオヤギ有希子さん。
   〔三十三番アオヤギ有希子君登壇〕

○三十三番(アオヤギ有希子君) 教員不足が深刻です。担任がおらず副校長先生が授業をやっている、少人数加配の先生がいない、特別支援教室の先生が減らされ担任に回されたなどの状況が都内各地で生じています。
 都教委は、今年度の教員不足数を四月に八十人程度、九月に百四十人程度と発表しました。ところが、私たちが区市町村に調査したところ、回答のあった六十自治体の合計で、四月には千四百八十二人の正規教員が足らず、臨時的任用教員や時間講師などを補充してもなお、二百三十八人が不足となっていました。都教委の発表の三倍にも及んでいたということです。八十人とはどんな調べ方をしたのですか。
 都教委の数字、八十人には、産育休代替教員の不足が含まれません。学校では、都教委が把握している以上に深刻な状況となっていることを受け止めるべきです。
 正規教員が足りない千四百八十二人のうち、千二百三十五人が産休育休によるもので、代わりの教員は本来正規で配置すべきです。ところが実際には、全員が臨時的任用となっており、学校は成り手を必死に探すものの、なかなか見つからないことが、不足になる一因です。
 育児休業に関する法律では、休業した職員の代替は正規を配置することが基本となっていることへの認識を伺います。
 産休育休を取得する教員は常にいるのですから、その分を見込んで、正規教員を多く雇用することを提案します。
 教員確保のためには、教員の長時間労働解消も急務です。
 知事は、子供たちの学びを支える教員の負担軽減を急がねばなりませんと述べました。負担軽減の重要性や何をどう減らそうとしているのか改めて伺います。
 都の財政力を生かして教員を増やし、教員一人当たりの授業時間数の削減や少人数学級の拡大などに抜本的に踏み込むことが必要ではありませんか。
 特別支援教室について伺います。
 あるお子さんは、クラスや授業でほとんど話していなかったことから、二年生の初めに、担任の先生に勧められ、特別支援教室に入室しました。
 教室は本当にすてきな空間で、お子さんは、大好き、楽しい、教室の先生が宇宙で一番好きといい、鬼ごっこで先生が隠れていたところから出てきて、びっくりして声出しちゃったよと、その子に合わせた指導で大きく成長し、友達もできて、家に連れてくるほどになったそうです。
 保護者の方は、教室はたくさん褒められ、せかされることは決してなくて、安心できる場所。こうした手厚い支援は、どの子にも受けてもらいたいと話していました。
 知事に伺います。発達障害などの子供たちの特別支援教室の意義をどうお考えですか。
 子供の成長を保障する特別支援教室ですが、教員当たりの子供の数が多過ぎると心配されています。特別支援教室の教員配置基準は、区市町村単位で、児童生徒十二人に対し教員一人です。それを拠点となる学校に配置するので、学校によっては教員一人に対し、児童生徒が十三人以上となってしまう場合が必然的に生じてしまいます。
 区市町村単位ではなく、拠点校単位の計算、配置とし、教員一人当たりの子供の数が必ず十二人以下になるようにすべきではありませんか。
 年度途中の子供の受入れも課題です。特別支援教室の教員配置数は年間を通じて変わらない中で、クラスになじめないなど困っている子供にすぐに対応したいと思っても、無制限に受け入れることは難しく、学校や区市町村教育委員会は悩んでいます。こうした矛盾が生じていることをどう認識していますか。
 年度途中の入室があることを前提に、教員を増配置することを求めます。
 三年前に都教委が作成したガイドラインから生じた特別支援教室の在籍は二年までという対応の払拭も必要です。
 この間都教委は、必要な場合は二年を超えて在籍できることを認めていますが、保護者からは今でも、二年までといわれて退室し、不登校になってしまったなどのつらい訴えが届いています。
 必要な場合は、二年を超えて在籍できることを、区市町村や学校に改めて周知徹底することを求めます。
 特別支援教室に入室するには、発達検査を受けなければなりません。
 ところが、先ほどのお子さんは、二年生の初めに入室を希望しましたが、病院の予約がいっぱいで検査を受けられたのが十二月、入室できたのは三年生になってからと、一年もかかってしまいました。
 各区市町村の検査体制や検査を受けられるまでの時間などの調査が必要だと思いますが、いかがですか。
 区市町村が心理士を雇用するなど、体制整備をはじめ、入室までの期間短縮や保護者負担をなくすための区市町村への支援が必要です。いかがですか。
 スクールカウンセラーの大量雇い止めが大問題になっています。都のスクールカウンセラーは、特別職非常勤として十年以上働いていた人も少なくありません。
 二〇二〇年度から会計年度任用職員制度に変わり、任用の更新は四回まで、来年度の任用は公募だとして選考が行われ、実績のあるスクールカウンセラーが大量に雇い止めされる事態になっています。
 スクールカウンセラーは、公立小中高等学校、特別支援学校に約千五百人が配置されています。
 子供たちや保護者からの悩みに寄り添いながら、時間をかけて支援する専門職で、高いスキルと経験が求められます。相談者との信頼関係を築くことが必要であり、一朝一夕にはできない仕事です。
 うちの子は不登校だけど、スクールカウンセラーの先生と約束している日は自分から学校に行けるんですとお母さんが話してくれました。
 スクールカウンセラーが果たしている役割をどう認識していますか。
 不採用もしくは補充任用となったスクールカウンセラーさんたちは、不採用となった理由が分からない、校長からもいい評価をつけたのにといわれた、理由が知りたいと口々におっしゃっています。
 なぜ不採用になったのか分かるよう、基準を明確に答えてください。
 スクールカウンセラーは、不登校の子を卒業まで支えたり、自傷行為のある子を教員、医療機関と連携して対応します。長期の経験が、その専門性の向上にとって重要であり、子供たちの教育を受ける権利や、時には命を守る専門職です。だからこそ、理由も分からず不採用にされたことは、専門職として全面否定された気持ちだとスクールカウンセラーさんたちは怒っています。
 都教委には、スクールカウンセラーの専門性や経験にリスペクトする姿勢はないのですか。子供たちにとって大きな不利益となります。子供たちは、時間をかけて心を開き、相談していたスクールカウンセラーとの関係を突然断ち切られ、新しく出会った人に、自分のことをまた最初から話さなければなりません。
 子供たちへの大きな心の負担をどう思っているのですか。
 学校からもとても頼りになるスクールカウンセラーでよい評価をつけたのに、なぜ落とされたのかと疑問の声が上がっています。
 国の会計年度任用職員制度のマニュアルでは、公募の際にも、前の任期における勤務実績を考慮して選考を行い、その結果、再度任用することは可能としています。学校での実績を反映させるべきではありませんか。五年ごとに切り捨てるような働かせ方は許されません。
 世田谷区は、公募によらない再度任用の回数の上限は設けていません。回数については各自治体で決めればよいことだと思いますが、答弁を求めます。
 スクールカウンセラーの雇用期限の撤廃をし、無期雇用とすることを求めます。
 今回、理由も分からず不採用となったスクールカウンセラーさんの皆さんの一番の願いは、不採用の撤回です。採用枠を増やして雇用することを求めます。
 そもそも学校にはスクールカウンセラーが足りません。スクールカウンセラーの勤務時間は、基本的に週一日、七時間四十五分となっていますが、実際は時間内には収まらないといいます。多くの相談予約が入る上、担任への報告は部活が終わってからなど、十二時間勤務が当たり前という方もいます。
 現在、スクールカウンセラーは、一校に週一日、年間三十八日の勤務となっていますが、一定規模以上などの条件で、週二日以上配置している学校が百七十八校あることは重要です。必要とする学校にスクールカウンセラーを追加配置できるようにすることを求めますが、いかがですか。
 最後に、立川高校夜間定時制、立定についてです。
 私の地元八王子市には夜間定時制がないため、夜間定時制といえば立定で、在校生に占める割合は、立川市と一、二を争う多さです。
 一昨年立定を卒業した卒業生のお母さんからお話を伺いました。高校を選ぶに当たり、中学に行けなくなった時期があり、全日制の入試で落とされると引き籠もってしまうのではないかと心配だったとのことです。
 八王子市内にもチャレンジスクールがあるけれど、入試倍率がある上、単位制の学校。子供の様子から、単位制よりも学年制が合っていると思った。四年間でゆっくり成長してほしかったということで、立定に進学しました。学校では、担任と気が合って、毎日授業に通い、成績優秀で卒業し、今は正社員として働いているということです。
 立川高校定時制は、この方にとって、ほかに代えようのない、かけがえのない学校だったのではないですか。この声をどのように受け止めますか。
 立川高校夜間定時制の存続を求める皆さんは、募集停止予告後も署名に取り組んでいます。先日の署名行動には二十人近くが参加し、同窓会の方、夜間定時制の先生、元教員などが思いを訴え、署名が次々集まったとのことです。
 皆さんは、昼夜間定時制の砂川高校の夜間部は、授業開始が二時二十五分。制服や校則があり、その雰囲気が苦手な人や、年齢が高い人は行きにくい。新設される立川地区チャレンジスクールは、グラウンドがない学校で、入試倍率も心配。夜間定時制もあるからこそ、多様な教育を保障できると述べています。
 また、皆さんは、都内最大規模の夜間定時制である立定がなぜ廃止なのか、ここに納得のいく説明のないまま募集停止が予告されたことに怒りを持っているのです。この声をどう受け止めるのですか。
 八王子や多摩地域の子供たちから貴重な学びの場を奪わないでください。立川高校夜間定時制の存続を強く求め、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) アオヤギ有希子議員の一般質問にお答えいたします。
 特別支援教室についてであります。
 発達障害のある全ての子供たちが自分らしい生き方を見つけ、将来の夢や希望を実現していくためには、障害の状態等に応じた教育の場が必要でございます。
 このため、全ての公立小中学校に特別支援教室を設置し、発達障害のある子供たちの学習上や生活上の困難さの軽減を図っております。
 その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁いたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 十七点のご質問にお答えいたします。
 年度当初の教員配置についてでございますが、都教育委員会では、区市町村からの申請に基づき、前年度の退職や休職、学級数の増加により生じた年度当初に配置が必要な正規教員の数に対して、新規採用教員や臨時的任用教員等を配置できなかった数を不足数として把握しております。
 次に、地方公務員が育児休業を取得する場合についてでございますが、地方公務員の育児休業等に関する法律では、臨時的任用で対応できることとなっております。
 次に、産休、育業に伴う代替教員の任用についてでございますが、女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律、地方公務員の育児休業等に関する法律に基づき、臨時的任用により対応しております。
 次に、教員の負担軽減についてでございますが、子供たちに質の高い教育を提供するためにも教員の働く環境の整備は重要でございます。このため、都教育委員会は、エデュケーションアシスタント等の外部人材の活用や、小学校高学年での教科担任制の推進等により、働き方改革を進めることで、業務の負担軽減を図っております。
 次に、教員の配置についてでございますが、教員の定数は国の標準法に基づく都の配置基準により適切に対応しております。
 次に、区市町村ごとの教員配置基準についてでございますが、特別支援教室の教員配置は、基準に基づき区市町村ごとに対象となる児童生徒十二人に対して教員一人を配置しております。拠点校への教員配置は、区市町村において適切に実施しています。
 教員配置数についてでございますが、年度途中に児童生徒が増減する場合もございますが、特別支援教室の教員配置については、通常の学級編制に伴う教員配置と同様に、配置基準により年度当初の基準日現在における児童生徒数を基に教員を配置しており、適切に対応しております。
 次に、特別支援教室の在籍年数についてでございますが、都の特別支援教室の運営ガイドラインでは、原則一年の指導終了後、必要な場合は一年間延長し、その後は、特別支援教室での指導の継続を含め、児童生徒の指導の達成状況に応じて対応することなどについて定めています。なお、保護者等に向けたリーフレットを作成しており、これを区市町村教育委員会に配布することなどにより周知をしています。
 次に、スクールカウンセラーの役割についてでございますが、スクールカウンセラーは、不登校やいじめ、児童虐待等の未然防止、早期発見等、子供の悩みや抱えている問題の解決に向けて、心理の専門家として、子供や保護者への支援及び教員への助言を行う重要な役割を果たしております。
 次に、スクールカウンセラーの選考についてでございますが、東京都公立学校スクールカウンセラーは、都教育委員会が任用する会計年度任用職員であり、東京都公立学校会計年度任用職員の任用等に関する規則等に基づき、四回までは公募によらない再度任用として、校長の勤務評価等により選考し、五回目は公募により公平、公正に面接を実施し、選考しています。なお、その際の選考基準につきましては、東京都情報公開条例における人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれがある情報であることから、開示をしておりません。
 次に、スクールカウンセラーの選考結果についてでございますが、東京都公立学校スクールカウンセラーは、都教育委員会が任用する会計年度任用職員であり、東京都公立学校会計年度任用職員の任用等に関する規則等に基づき、公平、公正に選考を行っており、選考結果については、スクールカウンセラー個人の専門性や経験を否定するものではございません。
 スクールカウンセラーによる相談についてでございますが、都内公立学校においては、スクールカウンセラーを含む全教職員による教育相談体制を構築しており、スクールカウンセラーが交代しても子供たちが不安を感じることがないよう、前年度までに行ってきた相談対応や支援等が確実に継続される仕組みとなっております。
 次に、スクールカウンセラーの再度任用についてでございますが、東京都公立学校スクールカウンセラーの任用に当たっては、四回までは公募によらない再度任用として校長の勤務評価等により選考し、五回目は勤務評価によらず、公募により公平、公正に書類審査及び面接を実施し、選考しております。
 スクールカウンセラーの任用についてでございますが、東京都公立学校スクールカウンセラーは、都教育委員会が任用する会計年度任用職員であり、任用期間は四月一日から翌年の三月三十一日までとしております。なお、四回までは公募によらない再度任用とし、五回目は、雇用機会公平性の確保の趣旨から、公募による任用としております。
 次に、スクールカウンセラーの追加配置についてでございますが、これまで都教育委員会は、学校や区市町村教育委員会からの要請を踏まえ、児童生徒数が多く、相談対応へのニーズが高い小中高等学校に対し、スクールカウンセラーの勤務日数を増加して配置しており、引き続き、ニーズに応じて配置をしてまいります。
 次に、立川高校定時制課程についてでございますが、都教育委員会は、不登校を経験するなど困難を抱える生徒が、自らのライフスタイルや学習ペースに合わせて学ぶことができるよう、チャレンジスクール等の規模拡大を進めています。こうした学校や立川高校定時制課程も含め、全ての都立高校で、生徒の希望する進路の実現に向けて、そのニーズや実情に応じた寄り添った指導を行っているものと認識しております。
 次に、立川高校定時制課程の募集停止についてでございますが、近年、夜間定時制課程では、勤労青少年等の減少に伴い、生徒数が大きく減少しております。一方、不登校経験など困難を抱える生徒は増加しており、そうした生徒の受入れ環境を充実する必要がございます。
 このため、令和七年度に、夜間部もあり、多様な生徒を受入れ可能な立川地区チャレンジスクールの新設及び砂川高校の受入れ規模拡大を行うとともに、近隣の立川高校定時制課程の生徒募集を停止する予定でございます。
 なお、立川高校定時制課程の閉課程につきましては、平成二十八年の都立高校改革推進計画策定段階から、関係者に対して継続的に説明を行っております。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、発達検査に関する調査についてでございます。
 都は、来年度、区市町村や医療機関、検査機関、保護者等を対象に、発達検査の現状及び課題を分析するための実態調査を実施することとしております。
 続きまして、発達検査に関わる区市町村支援についてのご質問でございます。
 都は、来年度、区市町村における検査体制の充実を図るため、実態調査に合わせて、区市町村が行う発達検査の人件費や外部委託経費等に対して緊急的に支援することとしております。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 会計年度任用職員についてでございますが、地方公務員法では、任期を採用の日から会計年度の末日までの期間の範囲としており、再度任用に関する取扱いは、国からの通知において示されてございます。
 都は、これらを踏まえまして、公募によらない再度任用を連続四回までとしてございます。

ページ先頭に戻る