令和六年東京都議会会議録第三号〔速報版〕

○副議長(増子ひろき君) 二十八番関野たかなり君。
   〔二十八番関野たかなり君登壇〕

○二十八番(関野たかなり君) 発達障害の検査体制についてお伺いします。
 発達障害のある子供は年々増加傾向で、全国小中学校で八・八%程度、十一人に一人程度いると推計されています。子供の中には、不登校になるケースもあり、早期発見や支援が重要です。
 発達障害児が、学習上または生活上困難を改善、克服するために必要な指導が受けられる特別支援教室は、都内の公立全小中学校に設置されていますが、入室に当たって必要な発達検査について、区市町村によっては三か月以上診断待ちになるなど、検査をなかなか受けられず、支援の遅れにつながっているとの指摘があります。
 そこで、我が会派は、昨年の第四回定例会で、発達障害の検査体制について強化支援すべきと求めました。都として今後の取組をどのように進めていくのか、知事の見解をお伺いいたします。
 次に、地籍調査についてです。
 被災地の復興は迅速な対応が求められますが、そのためには、事前に国土調査法に基づく地籍調査を行い、土地の境界や権利の関係を明確にしておく必要があります。
 この地籍調査が、東京をはじめとした都市部では、進捗率が全国平均を大きく下回っている状況にあり、特に東京においては、数センチの違いで大きな金額となることから、災害後の復興時に境界線を決めるには多くの労力と時間がかかります。
 今までの開発行為などで家を建てる際に行っていた民間の測量では、正式な境界線とならないとの話を聞き、今までの測量は何の意味があったのかとの考えで、委員会において地籍調査の状況について、民間の測量と地籍調査の違いなどを質疑し、民間が行った測量についても国が認めて指定した場合は、地籍調査の成果と同様に取り扱うとの答弁をいただいたところであります。
 早急な対応のためには、開発が進んだ都市部において、民間による宅地開発等で得られた測量の成果を地籍調査につなげていく取組が効果的であると考えます。
 そこで、国では、民間測量成果などを活用し、都市部で地籍調査を進めるための事業を開始すると聞いており、震災後の迅速な復興を行うためにも、こうした国の働きを受け、都としても地籍調査の推進を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 次に、防災船着場についてです。
 東京には、川や海、運河などすばらしい水辺空間があり、東京の将来のまちづくりにあっては、魅力的な水辺空間の活用や水辺を生かした舟運の活用が大変重要であります。
 都は、今年度、船旅通勤に対する補助制度を創設し、これを活用して、昨年十月に日本橋から豊洲航路の運航が開始され、今年春には晴海—日の出の航路の運航が開始される予定であるなど、舟運活性化に向けた取組が着実に進展しています。
 舟運の活性化には、新たな定期航路だけでなく、舟運事業者の利便性を向上させる取組も重要であり、我が会派はこれまでに、舟運事業者の利便性を高めていく取組について質疑を重ねてきました。その結果、今年度、河川の防災船着場において、ウェブを活用した予約受付の導入など、舟運活性化策が着実に進められてきたところです。
 この防災船着場は、船による帰宅困難者や緊急物資の搬送などの拠点となるものであり、発災時に有効に機能することが重要であります。そのためには、日頃から地元の方に防災船着場の設置場所を知っていただくとともに、発災時に実働が期待される舟運事業者に防災船着場を利用してもらうことが必要であります。
 そこで、災害時に防災船着場を円滑に活用できるよう、都民への周知や舟運事業者の利用機会の確保について、都の取組をお伺いいたします。
 河川占用料についてお伺いいたします。
 河川占用料については、二年に一度、固定資産税評価額による増額改定が行われる中、同じ河川であっても所在する区の違いによって、右岸左岸で占用料が大幅に異なる実態もあるなど、舟運事業者には重い負担となっております。
 中でも屋形船は、新規創業が困難な業種であり、一度失えば二度と取り戻すことはできない、歴史的にも文化的にも重要で大切な業種であります。また、近年のコロナ禍による売上げ減少や、コロナ明けでも客足は戻らず、借入れの返済も始まり、かつ、燃料高騰などにより、数社が廃業、数社が廃業検討と聞いております。
 このような事情などにより、舟運事業者の組合からも河川占用料の見直しに関する要望を伝えると同時に、事業者に寄り添った対応を求めてきたところであります。
 そこで、今回改正される占用料の考え方についてお伺いをいたします。
 次に、外国人の不法就労と不法滞在対策についてです。
 生活文化スポーツ局では、警視庁などと協力し、外国人犯罪対策として不法就労対策を行っていると理解しています。
 国の施策及び予算に対する東京都の提案要求の項目を確認すると、入国時の審査などの強化や、外国人雇用への届出に対しての関係機関での連携が挙げられておりますが、現状、課題として認識をしているのに、不法就労者が増加しているとも把握しており、不法就労防止対策の強化を踏まえた国への提案要求、これはぜひ行っていただきたいところです。
 また、私が都議になる前ですが、歌舞伎町や大久保周辺で中国語の新聞に、偽造在留カード五万円などと新聞が普通に売られている状況でした。現在は、中国に関しては、ウイチャットなどで偽造カードの募集広告が載り、それに申込みをすると、テレグラムで個人情報などの詳細や金額、完成日時などがやり取りされているというふうに聞くところです。また最近は、マイナンバーカードなどもつくれるということで、一万円から二万円程度に金額も下がっているとのことです。
 偽造在留カードを使用するなどした不法就労を防止する観点から、出入国在留管理庁など関係機関との連携を行っていくべきと考えますが、都の不法就労防止対策の取組についてお伺いをいたします。
 次に、宿泊税についてです。
 宿泊税については、平成十四年に導入された法定外税であり、国際都市東京の観光振興を図る目的税として重要な財源となっております。制度創設から二十年が経過し、都は現在、宿泊料金の上昇などを背景に、宿泊税の見直しの検討を進めているところであります。
 確かに、近年、都内の宿泊料金は急激に上昇しておりますが、円安の影響もあり、日本を訪れるインバウンドなどの外国人観光客にとっては、宿泊料金に対する負担感はそれほど大きくはないのではないかと思われる一方で、物価高に苦しむ都民をはじめ、国内の宿泊者にとっては、これまで宿泊できていたホテルに同じ料金で宿泊できなくなるなど、負担感は増しています。
 宿泊税は、観光施策に要する費用に充てられる目的税ですが、都の観光産業振興費は、令和六年度当初予算ベースで三百六億円である一方、宿泊税収入は約四十八億円と大きく乖離が生じております。
 近年では、インバウンド需要も急激に回復しており、こうした外国人観光客を受け入れるため、環境整備などの必要が生じておりますが、こうした観点からも、税負担能力がある外国人観光客などに対しては、しっかりと応分の税負担を求めていくべきであると考えます。
 例えば、アジア圏のマレーシアの水族館では、外国人料金と自国民料金、就労ビザを取得した方の料金、そして居住している方など、料金を分けて表示するなども行われており、またシンガポールにおいても、施設の入場料や家賃においても、自国民、永住民、長期滞在者、外国人などに金額が分かれているなど、こうした例に倣い、例えば、物価高に苦しむ国民や住民の税負担を引き下げるなどの方法により、負担能力に応じた課税に見直すことで、より公平な制度になると思われます。
 宿泊税の見直しの検討に当たっては、こうした考えも踏まえて、税負担の在り方について検討していただきたいと考えますが、見解についてお伺いをいたします。
 次に、多摩湖についてです。
 私の地元東大和には、市の面積の四分の一を占める大きさの村山貯水池、通称多摩湖があります。多摩川から原水をためる貯水池として重要な役割を占めています。
 貯水池の建設に当たり、今から百年ほど前、大正三年から八年頃にかけて土地買収が行われ、住み慣れたふるさとを立ち退かれた約百六十戸の住民の方々の協力がありました。
 水道局では、村山上貯水池の耐震性を向上させるため、貯水池の水位を下げ、堤体を強化する工事を実施中ですが、これまでの山口、村山下貯水池と同様、貯水池建設にご協力いただいた方々への感謝の思いを継続的に伝える場を設けるべきと考えます。また、学校など、生徒の見学も意義があると考えます。
 そこで、村山上貯水池の堤体強化事業での地元対応についての見解をお伺いいたします。
 次に、立川三・四・二五号線、小平三・四・二四号線及び小平三・三・三号線の整備についてお伺いをいたします。
 立川三・四・二五号線は、東大和市駅から小平を通り、立川北口に向かう道路ですが、玉川上水が交差する立川市幸町四丁目の小川橋付近は変則的な五差路となっており、右折レーンがないことから、現道の立川通りで慢性的な渋滞が発生している状況にあります。
 このため都は、現在、交通渋滞の解消を目的として、立川三・四・二五号線外二路線を一体として事業認可を取得し、事業を進めているところであります。
 この事業は、玉川上水に架かる小川橋の上流に新しい橋を架けるとしていますが、玉川上水が史跡であることから、慎重な施工が求められ、工事には時間を要すると思われるところです。
 また、新しい橋は、現在の橋より一メートル高くなり、橋梁前後に新設する交差点や道路も一体的に整備する必要があると聞いております。可能であれば、暫定的に変則五差路の交差点周辺で取得する事業用地を活用し、右折レーンをつくることで渋滞解消できると考えますが、その場合、立川通りの歩道が狭くなるとの問題も生じる可能性があることも事実です。
 早急に渋滞を解消し、安全性を向上させるため、小川橋付近で接続する立川三・四・二五号線外二路線の用地取得を強力に推進し、工事に着手していくべきと考えますが、当該路線の取組についてお伺いをいたします。
 最後に、先ほどの多摩湖の話に戻ります。
 多摩湖には、戦災建造物が残っております。六年前に水道局の協力により確認をさせていただきました。
 この戦災建造物は、多摩湖の南側にある都立南公園内の日立航空機の変電所を爆撃するアメリカ軍の戦闘機を撃ち落とすために、電波探知機や高射砲を撃つための砲台、弾薬庫などが設置され、崩れたものもありますが、まだ残っている建造物もありました。
 本来ならば、歴史的な建造物ですから、常時見学ができるようにと考えますが、多摩湖は都民の水がめと貴重であり、安全対策を考えると難しい状況にあると考えます。しかし、このような戦争遺跡を後世に残すことは必要です。ぜひ、現在の技術、ドローン撮影や3D撮影などを行って、残すべきと考えますので、その際は、水道施設の影響のない範囲で協力を要請しておきます。
 以上、私の一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 関野たかなり議員の一般質問にお答えいたします。
 発達障害の検査体制についてのお尋ねでございました。
 発達障害が疑われる子供が増加する中、早期に障害の特性等を踏まえました必要な支援につなげる、そのためには、身近な地域で速やかに検査を受けることができる環境の整備が重要であります。
 都は、来年度、区市町村や医療機関、検査機関、保護者等を対象に、検査の現状と課題を分析するための実態調査を実施いたしまして、地域における検査体制の充実に向けて検討してまいります。
 あわせまして、緊急的な対応として、区市町村が検査体制を充実できますよう、人件費や委託経費などを支援いたします。
 子供の健やかな成長に向けまして、取組をさらに進めてまいります。
 その他の質問につきましては、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 三点のご質問にお答えいたします。
 初めに、河川の防災船着場の周知、利用についてでございますが、災害時の避難や物資輸送のため、防災船着場を有効に機能させるためには、船着場の周知や、平常時における舟運事業者の利用機会の確保を図ることが重要でございます。
 そのため、都は、都民を船着場まで円滑に避難誘導するための案内サインを設置するとともに、舟運事業者のニーズを踏まえた船着場の一般開放を進め、平常時の都民の利用を促しているところでございます。
 また、来年度は、船着場の利用実態や事業者の意向等を踏まえ、未開放船着場における着岸訓練を実施いたします。
 こうした取組を通じて都民への周知を図り、舟運事業者の協力を得ながら、災害対応力を強化してまいります。
 次に、河川占用料等徴収条例の見直しについてでございますが、河川における土地占用料は、河川区域内の土地及び水面を使用する対価として徴収するものであり、適正な占用料となるよう設定することが重要でございます。
 このため、受益者負担適正化の観点から、二年に一度、占用料の見直しを行っておりまして、固定資産税評価額の動向などを踏まえて今回改正するものでございます。
 また、占用料の算定に当たっては、河川敷地の占用形態に応じて一定の調整を図っておりまして、個人橋など都民生活等に直結する占用料について、利用実態に鑑み原価率の見直しを行ったところでございます。
 今後とも、適正な受益者負担となるよう努めてまいります。
 最後に、立川三・四・二五号線外二路線についてでございますが、立川三・四・二五号線及び小平三・四・二四号線は、立川市と小平市を結ぶ南北方向の重要な幹線道路でございます。
 このうち、五日市街道から青梅街道付近までの区間で小川橋交差点の渋滞解消等を図るため、交差する小平三・三・三号線を含む三路線を一体として事業を実施しております。
 これまで、用地取得を進めてきておりまして、本年一月末時点の取得率は三一%となっております。
 また、玉川上水を横断する橋梁の設計や、道路構造に関する関係機関との協議等を行ってきております。
 今後とも、地元の理解と協力を得ながら用地取得に努めるなど、事業を推進してまいります。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 地籍調査の推進についてでございます。
 土地の境界や権利などを明確にする地籍調査は、災害後の迅速な復興を図る上で重要でございますが、都市部では、権利関係のふくそう化等により調査が進んでおりません。
 このため、国は、都市部での効率的な地籍の整備を目指して、民間の宅地開発の測量成果等も活用し、地籍調査の円滑化、迅速化を図るモデル事業を来年度から実施することとしております。
 都は、区市と連携して国のモデル事業を活用しながら効果的な調査方法を検証し、得られたノウハウを地籍調査を行う地元自治体に提供することにより、地籍調査のさらなる推進を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) 外国人の不法就労防止対策についてお答えをいたします。
 東京出入国在留管理局及び警視庁による取締りに加え、不法就労させない環境づくりが重要でございます。
 都では、雇用主への啓発のため、関係機関と連携して講習会の実施やマニュアルの配布などを行っております。
 また、繁華街等の店舗を職員が直接訪問し、適正雇用の意識を高めてもらうなど、制度の理解促進を図っております。
 加えて、入国審査の強化等を警視庁と共に国に要望をしております。
 今後とも、外国人就労者の多い業種を中心に啓発を行うことなどにより、より効果的に対策を進めてまいります。
   〔主税局長児玉英一郎君登壇〕

○主税局長(児玉英一郎君) 宿泊税についてでございます。
 制度の創設時と比べ、近年、外資系高級ホテル等の高額な宿泊の増加や、他の自治体における宿泊税の導入など、宿泊税をめぐる状況は大きく変化しています。
 こうした状況の変化を踏まえ、都では、宿泊税について見直しの検討を進めてきており、現在、都内のホテル等の宿泊料金の動向や、他の自治体における課税事務の状況などについて調査を行っているところでございます。
 今後は、こうした調査の結果を活用するとともに、観光産業をめぐる状況や都の観光振興施策の展開、税への負担感等を十分勘案した上で、引き続き宿泊税の見直しについて検討してまいります。
   〔水道局長西山智之君登壇〕

○水道局長(西山智之君) 村山上貯水池堤体強化事業での地元への対応についてでございますが、水道局では、大規模地震が発生しても被害を最小限に抑えられるよう、貯水池の堤体強化を進めており、盛土による本体工事は、当初計画どおり昨年八月に完了いたしました。
 現在、周辺整備工事として、工事跡地への桜の植樹など、地域に一層親しまれる取組を推進してございます。
 また、貯水池建設のため転居していただいた方々の親族等を対象に、湖底が出現している期間を利用して、湖底の散策や建設当時の写真展示等の見学会を実施予定です。
 引き続き、水道事業に対する地域の皆様のご理解をいただきながら、工事を着実に推進してまいります。

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