令和六年東京都議会会議録第三号〔速報版〕

   午後三時二十分開議

○副議長(増子ひろき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百一番藤井とものり君。
   〔百一番藤井とものり君登壇〕

○百一番(藤井とものり君) まず、東京都版子供手当、〇一八サポートについてお伺いをいたします。
 本年度のみの単発ではなく、来年度も継続が提案されていることを会派として評価をいたします。
 他方で、本当にそのことで、多くの都民に子供を持ちたいと思ってもらえるのか、少子化対策としての効果については、一定の疑問も残るところであります。ましてや、一千二百四十五億円という巨費が投じられる事業でもあります。EBPMの観点より定期的な効果検証が必要と考えますが、都の見解を伺います。
 次に、新年度予算で新たに計上されました公立小中学校の給食費の二分の一助成についてお伺いをいたします。
 この事業は、私ども立憲民主党が一丁目一番地に掲げる政策であり、再三にわたる粘り強い要請を受け入れる形で、知事が事業化に踏み出したことは評価をいたします。
 他方で、二分の一の補助率では、実施主体である市区町村の財政格差などの課題があるため、補助率を十分の十に引き上げ、全額助成にすべきと提案をいたしますが、都の見解をお伺いいたします。
 私立高等学校授業料特別奨学金についてお伺いをいたします。
 平均授業料である年間四十八万四千円まで補助するとしておりますが、いわゆる授業料の便乗値上げが懸念をされます。出産一時金においても、補助金額を引き上げても、出産費用が上がり、また実費が発生するいたちごっこのような現象が繰り返されてまいりました。
 平均授業料自体が高騰していくリスクを都としてどのように認識されておられるのでしょうか、見解を伺います。
 また、あくまで高校は、大学と同様に義務教育ではありませんので、子供自身に学ぶ意欲があり、一定以上の品質が確保された学校で学ぶことで、子供たちの能力が開発され、結果としてその成果が東京というまちに帰ってまいります。こうした教育、学校にこそ貴重な税金は投じられるべきです。
 私学に対して、定員の見直し、あるいは学校同士の再編といった議論を含め、学校改革を促すことが助成の前提となりますが、都の見解をお伺いいたします。
 また、現場からは、年末早々に私立の単願推薦入試で入学を決めてしまった生徒さんが増えているとの声も聞かれます。本来であれば、都立高校などを目指し、年明けの二月まで受験勉強する機会が失われてしまい、本当に子供たちのためになっているのかという疑問の声も一部聞かれます。
 また、入学者が私学に流れ、いわゆるあおりを受けるであろう都立高校の再編、定員適正化の議論も避けられないと思いますが、教育長の見解についても併せてお伺いをいたします。
 この項の最後の質問として、知事は、保育料、医療費、給食費、授業料といった、いわゆる教育の無償化を矢継ぎ早に進められておられますが、全体を貫く知事の政治思想についてお伺いをいたします。
 当然ながら、学校の先生や医療従事者の方々が無給で働くわけではありませんので、正確には教育の無償化ではなく、税金化なり公費負担化と表現すべきなのかもしれません。
 我が国においては、教育や子育てにかかる費用は親が負担すべきとの考え方も根強く残っております。もっといえば、子供がいない世帯や、既に子育てを終えた世代の方々からは、明示的に反対の声を上げないまでも、他人の子供ためにお金を使うことに不公平感を感じてしまう方がいても、決して不思議なことではありません。
 他方で、専ら親や家庭に子育てにかかる責任を押しつけるのではなく、社会全体で応援すべきという意見もありますが、知事の政治家としての思想、理念についてお伺いをいたします。
 次に、財政の肥大化についてお伺いをいたします。
 短期的には、都財政は法人関連の税収が堅調と見込まれますが、中長期的には、東京においても、人口も税収も右肩上がりという時代は、やがては終えんをいたします。
 〇一八サポート、各種子育ての無償化など、よい意味での大盤振る舞いは、私ども立憲民主党が要望してきたことでもあり、評価をいたしますが、社会保障費の増大を背景に、この間、過去最大の予算額を更新するなど、都財政が肥大化傾向にあることは心配されます。
 中長期的に財政の悪化を招くことなく、また、将来世代に負担を強いることのない、堅実な財政運営を求めるものでありますが、都の見解をお伺いをいたします。
 次に、生活困窮者に対する支援についてお伺いをいたします。
 困窮者に対する支援は極めて重要です。我が会派は、貧困や格差の解消を最大の理念として掲げ、そのための事業実施を強く求めてまいりました。ややもすると、今の小池都政にはそのような視点が欠如しているのではないかと、これまでも再三にわたり厳しく指摘もしてまいりました。
 私の地元でも、困窮者支援の在り方については、厳しい声含め、多様なご意見を頂戴してまいりましたので、そのような声に基づき、昨年事業実施されました東京おこめクーポン事業と、当年度最終補正で提案されております一万円商品券配布事業を取り上げ、質問をさせていただきます。
 これは、私の福祉に対する基本的な考え方なのですが、福祉とは、現金やサービス券を一律に配ることではなく、支援を必要とされる方に必要な範囲で、過不足なくサービスを届けることであると考えてまいりました。その意味では、両事業ともその本質から乖離する側面が見られ、また、対象が住民税非課税世帯というくくりについても、支援の対象範囲として果たしてふさわしいのか、疑問も残るところであります。
 まず、東京おこめクーポン事業についてお伺いをいたします。
 この事業は、住民税非課税世帯の方々に対して、一万円相当額、二十五キロのお米を現物配給するというものでございましたが、申請率は約六七%にとどまりました。
 私が伺ったご意見の中には、高齢世帯かつ一人暮らしという方も多く、二十五キロものお米が送られてきても到底食べられない、そもそも、白米はほとんど食べないといったお叱りの声も少なくありませんでした。また、余ったお米がネット上で転売される等、適正とはいえない事例もあったようであります。
 お米という現物を決め打ち、一律的に配給する事業の在り方に果たして問題がなかったのかどうか。また、多額の配送料など、間接経費がかさんでしまったことなど、果たして問題がなかったのか、事業の在り方についてどのように思われるのか、総括をされているのか、都の答弁を求めるものであります。
 最終補正で計上されております一万円商品券配布についてお伺いいたします。
 なぜ商品券という給付方法を選択されたのでしょうか。私は、一回限り、一律で現金を配ることにも正直疑問ではありますが、生活に困窮されている方々にとっては、現金の方が使途が限定をされないため、よっぽど助かると思うのですが、どのような政策判断であったのか、都の見解をお伺いいたします。
 この項の最後に、困窮者の対象範囲の把握についてお伺いをいたします。
 両事業ともに、支援対象が住民税非課税世帯に限定されていることに対しては、疑問の声も聞かれました。これは、国による臨時特別給付金十万円が配られた際にも、地元の方から指摘されたことなのですが、特に、現役世代の方から、住民税はささやかながら払っている、しかし、貯金は少なく、生活は厳しい、住民税非課税世帯だけが対象というのは不公平というご意見でありました。
 確かに、課税最低限を超える所得はあるが、資産はほとんどないというケースはあり得ますし、その逆もしかりで、直近の所得はないが、資産はそれなりにあるというケースもあり得ます。給付金等の支給をめぐっては、何らか線引きが必要であるものの、その事業の在り方、対象範囲については、私も深く考えさせられました。
 今後、都として、収入や所得といったフロー情報だけではなく、貯金、不動産などの財産、ストック情報を加味した真の困窮者を把握すべく、基準を設けるべきと提案をいたしますが、都の見解をお伺いいたします。
 最後に、救急搬送に係る需給逼迫、適正利用についてお伺いをいたします。
 救急車の出動件数は、二〇二一年七十四万件、二〇二二年八十八万件、二〇二三年九十二万件と、年を追うごとに増加し、出動から現場に到着するまでの平均時間は、二〇二一年七分二十秒、二〇二二年九分四十三秒、二〇二三年九分五十四秒と延び、いずれも過去最多、過去最長を記録しております。これは、近隣の救急隊が出場中となり、遠方の救急隊が出場してくるため、到着までの距離が延伸しているためです。
 昨今、軽症の場合であっても救急車を呼ぶケースが増加し、救急搬送されたものの軽症とされた割合は五四・二%にも上るとされています。タクシー代わりに、あるいは病院で長く待つのが面倒なので救急車を呼ぶといった不適正な利用が増えれば、重篤かつ緊急性が高く、真に救急車を必要とする方々に救急車が間に合わなくなるリスクが高まります。
 入電時点や現場でのトリアージなど、東京消防庁による懸命なご努力に改めて敬意を表するものでありますが、まずは不要不急の救急要請を抑制していくことが重要と考えます。都民の命を守り、増大する救急需要に対応していくため、救急車の適正な利用をさらに推進すべきと考えますが、消防総監の答弁を求め、一般質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 藤井とものり議員の一般質問にお答えいたします。
 無償化の理念についてのお尋ねがございました。
 望む人が安心して子供を産み育てることができる環境をつくるため、都としてなすべき取組を推進するということでございます。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、区市町村が実施する学校給食費の負担軽減に対する支援についてでございますが、学校給食費については、国がその責任と財源において無償化を実現すべきものでございます。都として国に先行し、区市町村が学校給食費の保護者負担軽減に取り組む場合、その費用の二分の一を都が支援することといたしました。
 次に、都立高校の定員についてでございますが、都立高校では、その定員について、公立中学校の卒業予定者を確実に受け入れることができるよう、都立高校と私立高校が協議して定めた就学計画に基づき、適切に設定をしています。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、〇一八サポートについてでございますが、都は、少子化対策に先手先手で様々な施策に取り組んでおり、〇一八サポートは、その一環として実施しているものでございます。
 続きまして、東京おこめクーポン事業についてでございます。
 本事業は、物価高の影響を特に受けやすい低所得世帯の生活を支援するとともに、お米や野菜、乾麺等の食品を自宅に直接配送し、買物の負担も軽減されるよう、必要な経費を計上して実施したものであり、多くの方に利用いただいたところでございます。
 次に、物価高騰対策臨時くらし応援事業についてでございます。
 本事業では、物価高の影響を特に大きく受けている低所得世帯に対し、生活必需品の購入を支援するため、商品券等を送付することとしております。
 最後に、物価高騰対策事業の対象者についてでございますが、施策の対象範囲の設定に当たっては、その目的や実施可能な方法などを勘案し、判断をしているところでございます。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えをいたします。
 まず、私立高校の授業料についてでございますが、都は、毎年全校の学費を集計し公表するとともに、学費の変更に当たっては、事前に届出を求めることで、私立高校授業料の適正化を図っております。
 次に、私立学校の運営等についてでございますが、私立学校は、私人の寄附、財産等によって設立され、運営が自立的に行われておりまして、また、建学の精神に基づき、個性的で特色ある教育を行っております。
 私立学校の運営や教育活動につきましては、それぞれの学校法人や学校が判断すべきものでございます。
   〔財務局長山下聡君登壇〕

○財務局長(山下聡君) 財政運営についてのご質問にお答えいたします。
 限りある財源の中、都政の諸課題に的確に対応するため、都はこれまで、持続可能な財政運営に努めてまいりました。
 令和六年度予算におきましても、事業評価を通じた無駄をなくす取組、基金残高の確保、都債残高の減少など、財政対応力にも配慮しております。
 今後とも、強固で弾力的な財政基盤を堅持してまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 増大する救急需要への対応についてでございますが、感染症の流行や猛暑などで、昨年の救急出場件数は過去最多を記録しており、救急車の適切な利用促進が必要なため、昨年七月から新たに、救急出場の逼迫状況を救急車逼迫アラートとして発信するなど、各種メディア等を活用した広報を強化してまいりました。
 また、救急車を呼ぶか迷ったときの相談窓口である東京消防庁救急相談センターについても、受付体制の強化を図っております。
 今後とも、救急車の適時適切な利用をさらに促進し、増大する救急需要に対応してまいります。

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