令和六年東京都議会会議録第二号〔速報版〕

   午後三時五分開議

○副議長(増子ひろき君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質問を続行いたします。
 百十九番たきぐち学君。
   〔百十九番たきぐち学君登壇〕

○百十九番(たきぐち学君) 質問に先立ち、令和六年能登半島地震で犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。また、過酷な被災地の現場で、都民を代表して支援に当たられている都職員の皆様に、改めて感謝を申し上げます。
 昨年十二月三十一日に名誉都民である中村メイコさんが逝去されました。二月六日には、同じく名誉都民の赤松良子さん、小澤征爾さんが逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表し、衷心よりご冥福をお祈りいたします。
 令和六年第一回定例会に当たり、都民ファーストの会東京都議団を代表し、小池知事及び教育長、関係局長に質問をいたします。
 令和六年は、年明けから能登半島地震の発生、そして羽田空港における航空機衝突事故など、甚大な災害、事故が続きました。
 コロナ禍で加速した少子化は、日本の人口が、二一〇〇年には現在の半分の約六千万人になるという予測が示されています。
 経済では、小池知事がワールドビジネスサテライトのキャスターとして、かつて過去最高値を報じた日経平均株価が三十四年ぶりに史上最高値を更新しましたが、物価高騰に賃金の上昇が追いつかず、実質賃金のマイナスが続いており、豊かさに対する生活実感は乏しいのが現実です。
 加えて、日本のGDPはドイツに抜かれ、世界四位に転落し、人口動態の劇的な変化への対応や、新しい経済成長に向け、抜本的な構造改革が必要不可欠です。
 さらに、地球沸騰化の時代に突入した気候危機、様々な不祥事から明らかになった日本企業、日本社会の人権意識の低さ、出口の見えないウクライナ戦争や、グローバルサウスの台頭に伴う新たな国際秩序への対応も迫られています。
 このように、国内外で危機的な状況が続いていますが、一方で、野球や将棋など、様々な分野における若い才能の開花や、宇宙開発において、小型無人探査機が日本初の月面着陸に成功し、高い技術力を示すなど、新しい時代を切り開く挑戦も進んでいます。
 今、都政に求められているのは、東京、日本の抱える構造的な課題の解決に果敢に取り組みながら、新しい時代を切り開く一人一人の人の挑戦を後押ししていくことです。
 このような観点から質問に入ります。
 小池知事と私たち都議会から、車の両輪として進めてきた東京大改革では、既存事業の見直し等を通じて、年間一千億円以上の新規財源を確保した上で、待機児童数の約九七%もの劇的な減少、全ての子供を対象にした月五千円の給付である〇一八サポートに加え、首都直下地震等による東京の被害想定の減少につながる防災対策の強化など、過去の都政からの大きな構造改革を進めるとともに、必要な施策への大胆な投資と着実な事業展開を図ってきました。
 都の令和六年度予算は、東京の抱える課題の解決と、日本全体をリードしてきた東京大改革をさらに推し進めるものでなければなりません。
 東京、日本が直面している危機を突破し、未来を切り開く施策を強力に進める必要がありますが、令和六年度予算案の編成に当たっての知事の見解を伺います。
 年始に発生した能登半島地震の被害は大きく、避難生活の長期化が続く方も多く、被災地は厳しい状況にあります。
 都は、発災直後から、警察、消防、水道、下水道などの職員を派遣し、対口支援となった輪島市には、市役所庁舎に総務局職員が常駐し、連絡調整を担うなど、被災地支援を進めてきました。
 能登半島地震で被災された方々や自治体への支援を強化するとともに、そこで得られた知見に基づき、首都東京の防災施策をさらに強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、能登半島地震の発生直後から、令和六年能登半島地震プロジェクトチームを設置し、被災地支援の在り方や防災対策について検討を進めてきました。
 検討結果を踏まえ、先日、小池知事に対し緊急要望を提出しましたが、その中でも触れているとおり、発災二か月を迎え、厳しい復旧対応に加え、避難生活の長期化に伴い、被災者のニーズも変化しています。
 特に、自主避難が多いこともあり、被災者の情報の整理が大きな課題となっており、これまで行政のDXを推し進めてきた都として積極的に支援を進めるべきです。
 こうした分野でDXなどを活用し、今後の被災者の生活に寄り添った支援を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、関東大震災から百年の節目となる令和五年にTOKYO強靱化プロジェクトを進めてきましたが、私たちは、コミュニティの視点の強化や、都民の七割の世帯が居住するマンション防災の推進などを強く訴えてきました。
 これを受けて、都が、防災ブックとあわせたマンション防災リーフレットの全戸配布、東京とどまるマンションの普及促進、関東大震災百年、町会、自治会防災力強化助成など、次々に新たな事業を実施してきたことを高く評価いたします。
 今後、より多くの都民の皆様に参加していただき、防災力を高めるため、町会、自治会と連携して防災訓練などを行った場合に、東京とどまるマンション普及促進事業の補助率を高めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、能登半島地震の避難生活においても、顔見知りだから避難所生活が耐えられた、落ち着いて過ごせているとの声が届いています。
 町会、自治会に対しても、それぞれの地域の実情に合わせ、マンション住民との合同訓練を促す取組を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちが小池知事とともに最重要政策領域として取り組んできたチルドレンファーストの東京に向けた子供、教育政策について伺います。
 知事の施政方針において、教育に関わる経済的負担を、子供を諦める要因にしてはならないとの力強い表明がなされました。
 私たちもかねてより、教育予算の抜本的な拡充と家計の教育負担の軽減を求めており、特に、平均所得が高い一方で、家賃や物価も高い東京の事情を鑑みて、所得制限のない支援策の拡大を強く訴えてきました。
 私たちの要望を受け、昨年の〇一八サポートに続き、今般、所得制限なしでの都立、私立高校の授業料の実質無償化、都立大学の無償化、私立中学校等特別奨学金補助が予算案に大胆に盛り込まれたことは画期的です。
 他方で、私立高校の授業料の実質無償化により、私立学校を選択する生徒がこれまで以上に増加することが考えられ、いじめ対応や生徒指導に関する私立学校の対応力の強化を都としても後押しすべきです。
 私立学校における個々の生徒に対応したきめ細かな生徒指導や相談体制の充実などを後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 あわせて、授業料無償化の拡大が、授業料やその他費用の不合理な値上げにつながらないよう、都としてもチェックを徹底することなど、私学の透明性を高めるための対策についても要望いたします。
 私立高校の授業料の実質無償化など、都立高校をめぐる環境は大きな変化の時期を迎えています。進学校としての指導力、インクルーシブな学び、工科等の社会における実践力の強化など、これまで都立高校が磨き上げてきた独自の強みを一層強化するとともに、入り口である都立高入試についても検討が必要な時期が来ています。
 例えば、都内公立中学校の不登校生徒数は、平成三十年度が九千八百七十人だったのに対し、令和四年度は一万六千二百十七人と大幅に増加しています。
 また、都内公立中学校における日本語指導が必要な生徒の数は、令和四年度では、外国籍の生徒が六百八十三名、日本国籍の生徒が二百五名の計八百八十八名とのことであり、今後もさらに増えることが予想されています。
 都立学校を取り巻く環境が変化し、志願する生徒も多様化してきている状況の中で、今の都立高校入試は受検しやすいものとなっているのかという大きな観点からの検討も必要と考えますが、見解を伺います。
 学校給食費の在り方については、本来は、国が全国的な視点から検討すべき課題ですが、今般、都が給食費を無償化する区市町村を対象にした補助を創設することを高く評価いたします。
 学校給食費の負担軽減、無償化に当たっては、都内の子供、保護者に広くその効果が行き渡るようにするとともに、無償化を行うために経費を削減し、給食の質の低下を招くようなことがあってはなりません。
 学校給食費の負担軽減、無償化に当たっては、学校教育の一環として行う学校給食の質の確保を行いつつ、都内自治体で広く取り組まれるような補助にすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 これまで都は、私立中学校等に通う生徒への十万円の特別奨学金に関して、所得制限を設けていましたが、親の所得に関わらない学びへの支援を徹底すべきであり、私たちは、所得制限の撤廃を強く要望してきました。
 これを受けて、都は、令和六年度から所得制限を撤廃し、支援対象を拡充することを表明しました。これにより、来年度は、補助の対象となる生徒が大幅に増加することが見込まれます。
 対象となる都内在住の生徒、保護者に対して、しっかりと制度周知と補助金の給付を図り、教育費の負担軽減につなげるべきと考えますが、見解を伺います。
 教員が、児童生徒一人一人と向き合い、充実した教育を行うためには、教員の働き方改革のさらなる強化が必要です。
 私たちは、教育現場の人手不足、業務過剰の状況を打破するため、外部人材の活用を訴えてきましたが、今般、私たちの要望を受け、都内全ての学校を対象に、担任を補佐するエデュケーションアシスタントを配置する予算が盛り込まれたことを高く評価いたします。配置に当たっては、相当数の人材が必要となるため、人材の質の確保にも配慮して進めていく必要があります。
 教員の負担を軽減し、教育の質を向上するためには、小学校において、外部人材の活用を含めた指導体制の充実を加速させるべきと考えますが、見解を伺います。
 不登校の子供が増加の一途をたどる中、これまでその受皿となるフリースクールに対して、公的支援がない状態が続いてきました。
 既存の学校教育の枠にとらわれ、議論ばかりで取組が進まない現状を打破するため、私たちは早々にフリースクールプロジェクトチームを立ち上げ、子供目線に立ったフリースクールへの支援制度の創設、保護者負担軽減のための支援制度の創設、子供一人一人の可能性を伸ばす多様な学びの実現へのチャレンジという三つを大きな柱とし、都に、その実現を訴えてきました。
 都は、チルドレンファーストの視点に立って、フリースクール支援と保護者負担軽減のための支援に向けて大胆に対策を講じるとともに、既存の学校教育に縛られない学びを実現していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちはこれまで、不登校特例校の設置に関する区市町村の取組を支援すべきと訴えてきました。
 これを受けて、都教育委員会は、大きな経費負担を伴わずに特例校を設置できるよう、校内分教室型の特例校の認可を国に要望していますが、現時点では制度化されていません。
 校内分教室型の特例校は、設置へのハードルが低い上、子供にとって通いやすいなど、多くのメリットがあり、国の制度化を待たず、都として独自の取組を進めるべきです。
 そこで、国に先駆け、都独自に校内の空き教室に不登校特例校を設置していくべきと考えますが、見解を伺います。
 空き教室を利用した不登校特例校が、将来、多くの学校に設置されるべきです。しかし、教員確保の観点から、早期の実現は簡単ではないこともあり、当面できる対応を速やかに進める必要があります。
 当面は、できるだけ多くの中学校で、教科などの指導に当たる従来の教員とは別に、不登校対応を担う教員が子供への支援に当たれるようにすべきと考えますが、見解を伺います。
 小池知事の下、東京大改革では、次世代を担う子供たちが不透明な時代、世界を生き抜く力を養うための英語教育の強化が重層的に図られてきました。その結果、都では、高校中級程度とされる英検準二級レベル以上に達した公立高校の生徒の割合が、二〇一六年の約三四%から二〇二二年には約五六%へ大きく上昇しました。
 本年度からは、私たちの提案を受け、都立高校生の海外派遣プログラムが大幅に強化されましたが、参加した高校生による成果発表会では、現地の高校生と交流して価値観が変わった、初めての海外だったが挑戦して本当によかった、参加した経験を伝えた同級生からも挑戦したいという言葉が聞かれたなど、意欲的な報告がなされました。
 アレンジサポートを行う教育庁の体制強化を含め、高校生の派遣拡大を強力に進めるべきです。
 都が覚書を締結した、アメリカ・ニューヨークにあるコロンビア大学など、世界各地に都立高校生を派遣するプログラムを一層強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 子供の学び、成長には、様々な体験の機会が重要となりますが、家計の経済状況によって、体験に大きな差異が生じてしまう体験格差の問題が指摘されています。教科書での学びだけではない、多様で感動的な体験が子供の人間力を高めます。
 東京の全ての子供たちの適切な学びのため、都が様々な体験の機会を提供すべきであり、私たちの要望を受け、都は、笑顔と学びの体験活動プロジェクトなどを進めてきました。
 その中でも、芸術文化活動は、鑑賞だけでなく、その道のプロフェッショナルの指導を受けながら自ら体験してみることが、子供たちにとって大きな学びとなることが期待されます。
 子供の芸術文化体験事業に関し、子供たち一人一人のニーズに沿った体験の取組を一層強化して実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 保育園の待機児童は、小池知事就任当時の二〇一六年には八千人を超えており、大きな社会問題となっていました。
 私たちは、小池知事とともに、待機児童解消、そして在宅子育て家庭の保育受入れや、認証保育所制度改革など、保育の質の向上に向けて総力を挙げて取り組んできました。その結果、待機児童数はほぼ解消といえる水準となり、質の向上に資する様々な取組も実現してきました。
 次なる課題は、小一の壁と呼ばれる学童保育の改革です。
 都内の学童の待機児童数は、三千五百名前後の水準が続いていますが、質の面においても、狭いスペースに多くの子供が入らざるを得ない状況や、保護者から見たサービス利便性の課題、担い手の給与水準の低さなど、様々な課題が指摘されており、都民や事業者の声も聞きながら、学童保育の仕組みそのものを大幅に見直す時期に来ています。
 こうしたことから、私たちは、来年度予算の重点要望に、東京都認証学童保育制度の構築を求め、それに対し、都は、来年度予算において、調査費とモデル構築事業を創設したことを高く評価いたします。
 学童保育の質向上に向け、都独自の認証学童クラブの創設に向け、早急に議論を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 不確実性の高い時代を生きる子供たちに重要な力が、非認知能力です。都はこれまで、東京大学CEDEPと連携し、探求活動を通じて非認知能力の向上に資する、とうきょうすくわくプログラムの開発を進めており、先日、私たちも視察を行い、本プログラムの意義を改めて確認できました。
 一方で、都が来年度から予定している本プログラムの都内全域での展開に当たっては、全ての実践園において、CEDEPの直接的なサポートの有無にかかわらず、適切に本プログラムを実施できる仕組みを構築しなければなりません。
 同時に、本プログラムの理念や考え方を浸透させ、実践につなげていくための効果検証が、事業の実効性を左右する鍵となります。
 とうきょうすくわくプログラムの全域展開に当たっては、実効性のある強力な支援策を講じるとともに、CEDEPが有する知見やノウハウを最大限活用し、効果検証の仕組みを取り入れていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 台東区で昨年三月、当時四歳の女の子が亡くなり、その両親が逮捕されるという痛ましい事件が発生しました。心よりご冥福をお祈りするとともに、繰り返される虐待事案が二度と起こらないよう、社会全体で子供たちを守る体制を強化する必要があります。
 これまでの対応についての検証に加えて、今後は、逼迫する児童相談所や子ども家庭支援センターの体制強化など、速やかに対策を講じるべきです。
 児童虐待対策のより一層の強化を図ることは急務であり、都として、さらなる児童虐待防止の強化に取り組むべきですが、知事の見解を伺います。
 歌舞伎町のトー横といわれる広場を中心に集まるトー横キッズたちに対し、悪意ある大人たちによる悪質ホスト、オーバードーズ、性被害などの様々な問題が指摘され、大きな社会問題となっています。
 私たちは、トー横問題を考えるプロジェクトチームを立ち上げ、支援団体からのヒアリングや現地での視察などを重ね、小池知事に対する緊急要望や議会での質問などを通して、被害者の救済と犯罪行為の撲滅を訴えてきました。
 私たちの要望を受け、都も、相談窓口の設置、悪質ホストの売掛金問題や性犯罪への緊急対応、アドトラック規制などの取組を進めていることを評価いたします。
 今後も、着実に対策を進めていただくためには、歌舞伎町かいわいの問題の解消に向けて、若者を対象とした総合相談窓口の支援が特に重要であると考えます。
 そこで、来年度の相談窓口支援を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、来年度予算要望の重点項目として、シニア政策パッケージを提案し、その柱の一つに、ケアする人たちを支える介護職の支援を掲げました。
 都はこれまでも、私たちの要望を受け、介護職の宿舎借り上げの大幅な対象拡大や介護DXなどを進めてきましたが、都は、全国と比較して、最も介護職の求人倍率が高く、さらなる対策が急務です。
 国は、来年度より、介護職の賃上げ施策として、月額六千円のベースアップを行うこととしていますが、東京都の物価の高さや他産業の給与水準などを考慮すれば、さらなる支援策の強化が必要です。
 来年度予算において、介護職の賃上げとなる大胆な支援策を講じ、国の処遇改善加算の対象外とされてきたケアマネジャーや障害分野など、幅広い職種を対象とすべきと考えます。また、事業の実施に当たっては、都の支援策が介護職の賃上げに確実につながる制度とすべきと考えますが、見解を伺います。
 超高齢社会を迎える中、シニアの方々が意欲や能力に応じて社会の中で活躍できる仕組みや環境を支えていくことは重要です。
 企業には、定年を過ぎても働きたいと希望するシニアは多い一方で、実際に働く人は三割未満にとどまっており、シニアのニーズと企業の求人の間におけるミスマッチの解決が重要な課題となっています。
 都は、来年度、プラチナ・キャリアセンターを創設し、兼業や副業など、スポット的な働き方で新しい活躍の場を広げ、セカンドキャリアにつなげていくとしており、ミスマッチを防ぐ上でも重要です。
 都は、プラチナ・キャリアセンターにおいて、多様な就業の選択肢を提供し、シニア人材の円滑なキャリアシフトを支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 プラチナ・キャリアセンターの実施に当たっては、これまで都が進めてきた地域参加のトビラや、ボランティアレガシーネットワーク等との情報連携を進め、これらを利用するシニア、プレシニアの立場に寄り添った事業展開を求めます。
 シニアの健康寿命延伸に向け、一番身近な健康施策はウオーキングであり、高齢者が週に一、二回八千歩を歩くことで、転倒防止や動脈硬化を予防し、死亡率も一五%低下したとの調査もあります。
 一方、長らく続いたコロナ禍の影響で、シニアの身体機能は低下しており、サルコペニア等の進行も進んでいることから、健康増進に向けた早急な対策を講じる必要があり、私たちは、来年度予算要望において、東京版健康ポイント制度の創設を提案いたしました。
 健康寿命の延伸に向け、区市町村とも連携しながら、歩数に応じてポイント還元を行う東京都独自の健康ポイント制度を創設するとともに、一定の基準に達した場合にインセンティブを付与するなど、多くの都民が参加しやすい制度とすべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちはかねてより、フレイル対策の強化を訴えてきましたが、聞こえの機能の衰えは、人とのつながり、他者とのコミュニケーションの困難さにつながる結果、フレイル、認知症の原因になると指摘されています。六十五歳以上の約半数の方に聞こえの問題があるともいわれており、高齢者の聞こえへの支援の強化は必要不可欠です。
 都として、高齢者の聞こえの課題の早期発見や、補聴器の購入支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 シニアの方々が抱える不安の一つとして挙げられるのが、認知症です。特に大きな不安となっているのが徘回であり、認知症高齢者の増加により、徘回による行方不明者は十年で倍増、中には事件や事故に巻き込まれるケースもあります。
 この課題に対しては、他の自治体において、GPS等のICTを活用した見守り施策が効果を上げており、私たちは、来年度予算において、東京都版認知症見守りサポート制度の創設を求めたところです。
 都としても、認知症高齢者の見守り機器等に必要な費用の助成や、地域における認知症高齢者の見守りをサポートする仕組みを構築すべきと考えますが、見解を伺います。
 二〇三〇年には、都内の高齢者の三分の一が単身世帯になるという推計もあり、シニアの不安を安心に変えるためには、単身高齢者に向けた政策も重要です。
 単身高齢者の困り事として挙げられるものが、もしもの際の身元保証や意思決定の課題です。入院や介護施設入所の際に保証人がおらず、スムーズに手続が進まない、亡くなった後の手続や遺品整理を頼む相手がいないなど、多くの課題を抱えています。
 私たちは、来年度予算要望において、こうした課題を都独自でサポートする東京都版身元保証サポート制度の創設を求めました。
 来年度予算においては、専門家も活用しながら、単身高齢者が地域で任意後見のサポートや、エンディングサポートを受けることができるよう、相談支援体制を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 東京の高齢世帯は増加を続けていますが、そのうち、前期高齢者で要介護認定を受けている方は約五%、後期高齢者においても約三割にとどまるなど、自立した高齢者が多くを占めており、そのような元気な高齢者が健康な状態をなるべく長く維持できることが必要です。
 また、単身高齢者の急増により、見守りの必要性や地域とのつながりなど、とりわけ東京において課題が先鋭化してきています。
 私たちの要望を受け、都はこれまでも、バリアフリー機能を有し、入居者の安否確認等が行えるサービス付高齢者向け住宅の登録や、東京ささエール住宅の供給促進など先進的な取組を行ってきましたが、都独自でのさらなる取組が求められています。
 都は、来年度、高齢者が生き生きと暮らせる住宅の認定制度の構築に向けた予算案を計上していますが、高齢者を取り巻く課題が先鋭化する状況を踏まえて制度構築を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちはかねてより、持続可能な社会保障制度の実現に向け、医療と介護の質の向上に資する取組を重点的に訴えてきました。
 中でも、問診や診断、文献など、これまで医療現場で積み重ねられてきた知見をビッグデータ化して、医療現場で生かすことができれば、持続可能な医療制度の実現と医療の質の向上が期待されます。
 一方で、医療現場では、今年の四月以降、医師の働き方改革として、時間外勤務労働の上限規制が適用されるため、その対策も急務です。
 医師の働き方改革への対応や、将来の生産年齢人口の減少を見据え、医療機関におけるAI技術の活用を促進すべきと考えますが、見解を伺います。
 医療情報をデータベース化して利活用することは、新しい治療法の開発、創薬、医療機器開発等の医学の発展に寄与するだけではなく、エビデンスベースの医療の推進や医療費の適正化にもつながるものです。ただし、医療情報は機微性の高い個人情報であり、慎重な取扱いが求められます。
 国においては、研究者や企業等が、質の高い医療情報を効率的、効果的に二次利用できるよう、法整備を伴う環境整備が進められているものの、協力する医療機関が少なく、なかなか取組が広がらない実態があります。
 そこで、医療情報の二次利用を促進する動きに弾みをつけ、全国へ波及させていく第一歩として、個人情報の取扱いに万全を期しつつも、都立病院が国の取組に協力していくことが重要です。
 都立病院において、二次利用を目的とした医療情報の提供を進めるべきであると考えますが、都の見解を伺います。
 昨年二月、滝山病院での患者虐待事件が発覚し、看護師ら五名が逮捕、書類送検されました。都は、関連法令に基づき、滝山病院に改善命令を出すとともに、転院を希望する患者の受入れ支援等を進めていますが、収束したとはいえる状況ではありません。患者の安定した療養生活を取り戻すことを第一に進めるとともに、事件の全容把握と責任の所在、再発防止策の構築が求められます。
 精神保健福祉法が改正され、令和六年四月から、精神科病院における虐待発見の通報が義務化されます。患者が安心して入院できる環境をつくっていくため、虐待通報への対応を進めるべきです。
 さらに、患者への支援や、病院職員のスキルアップに向けた対応も進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 滝山病院の事件は、入所施設で暮らす障害者が多いことなど、日本の精神科医療が抱える構造的な課題を明らかにしたものであり、都としても、障害者の地域移行に向けたあらゆる支援策を講じるべきです。
 国は、地域移行後の主な受皿として、グループホームの整備を掲げてきましたが、課題となっているのが重度者の受入れです。現在、重度障害者を受け入れられるグループホームや、専門的知識を持つ職員が不足し、当事者側が希望しても、地域移行ができないという実態があります。
 重度障害者を受け入れるグループホームの施設整備や人材配置、育成に対して、都として支援を強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年の夏から、従業員三百一人以上の企業における男女の賃金差の開示が義務化され、その分析が進められた結果、女性の平均賃金は男性の七割程度にとどまっているのが現状と指摘されています。
 国際的に見ても、日本の男女間の賃金格差は大きい状況であり、合理的な理由がない男女間の賃金格差の是正を強力に進めていくべきです。
 その原因としては、制度上就労制限を促してしまっている年収の壁の存在等により、短時間で働く女性が多いことや、所得の高い管理職層に女性が少ないことなどが挙げられ、その是正に向けた取組を強化していかなければなりません。
 都は、男女の賃金格差を縮めるために、着実に取組を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都内事業所における男性の育業取得率は、二〇一五年の四・五%から、二〇二二年には二六%を超え、大きく上昇していますが、さらなる後押しが必要です。そのためには、夫婦本人たちのみならず、企業における意思決定層が多い世代や、職場の同僚の理解を得る取組など、幅広いアプローチが重要です。
 企業の経営者、役員が育業を自分事にするための取組や、仕事が増加するおそれがある職場の同僚への支援強化、男性の家庭での活躍を促すための働きかけなど、育業しやすい職場環境整備をさらに後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 経済分野での新しい挑戦を後押しする観点から、スタートアップへの支援は極めて重要です。私たちはかねてより、スタートアップ支援の抜本的な強化を求めており、都は、Tokyo Innovation Baseの開設をはじめ、スタートアップ支援をこれまでにない規模で充実させてきています。
 他方で、産業をつくる観点からは、事業確立後に製品を拡大させていく段階であるレイター期における支援も極めて重要であり、欧米では、スタートアップ企業がさらなる飛躍を図るため、大規模な資金提供などの公的な支援が行われた事例も見られます。
 現在の都の制度融資では規模が小さいという声もあり、こういった海外の取組も参考に、レイター期におけるスタートアップの資金供給支援を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちは、地域活性化、消費喚起や健康増進、イベント参加促進など、様々な目的に活用可能となる東京都独自のデジタル地域通貨プラットフォームの創設を求めてきましたが、都が来年度予算にデジタル地域通貨プラットフォームの構築を新たに計上していることを高く評価いたします。
 都独自のシステム構築に当たっては、これまでの民間のQRコード決済事業者を活用した取組の経験を踏まえ、地域へ継続的な経済効果を生じさせることや、地域通貨のユーザー、対象店舗の適切な設定など、多様な声が届いており、こうした関係者の声を反映した実効性のあるものとしなければなりません。
 民間のQRコード決済事業者、商店街や区市町村、様々な関係者と意見交換し、システム構築を進めるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 私たちは、映像や発光など、派手なデザインを施し、都内の繁華街を繰り返し低速走行し、交通安全上の危険を有する、いわゆるアドトラックについて適切な規制強化を求めてきました。
 都は、屋外広告物条例の施行規則を改正し、都内を走る全ての広告宣伝車が、許可申請手続や都条例に定める規格の遵守が必要となります。今後、都外ナンバーの広告宣伝車に対する新たな規制を円滑に進めるためには、都内自治体への説明と調整が重要です。
 今回の規制により生じる業務について、都は、都内自治体と丁寧に調整するとともに、規制後は許可権者である区と連携した対策を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちはかねてより、顧客や取引先からの著しい迷惑行為への対応の必要性を指摘し、カスハラ防止条例の制定を求めてきました。知事が、施政方針で、独自に条例化の検討を進めると述べたことは大きな前進です。
 カスハラは、職場の努力だけではなくすことはできず、広範な都民や関係者に要請できる条例こそが効果を発揮します。
 都が立ち上げた専門家による会議でも、条例において、カスハラをしてはならないと明記すべき、明確な線引きが難しい行為を広く禁止するには、条例に加えて、異なる方法で実効性を確保すべきなどといった意見が示され、有識者の認識が共有されてきています。
 都は、専門家による会議の議論も踏まえ、都独自の条例により、働く人へのハラスメントは決して許さないという姿勢を明確に示し、そうした理念や関係者の責務もしっかりと示していくべきと考えますが、条例の検討に向けた基本認識について、知事の見解を伺います。
 二〇二四年四月から、時間外労働の上限規制が建設、運輸業にも適用される、いわゆる二〇二四年問題に対し、都として対応の強化は急務です。
 これまで私たちは、都発注事業の適正化などを強く訴えてきましたが、社会インフラの一つといえる建設、運輸業の担い手を確保できるよう、人材の採用に向けた支援に加えて、DXを通じて、業務の効率化を進める取組へのサポート強化も必要不可欠です。
 二〇二四年問題への対応として、建設、運輸事業者における担い手確保、デジタル技術を活用した業務の効率化を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 私たちはかねてより、自然と共生した東京の実現を訴えてきました。二〇二〇年から二〇二二年にかけては、東京ドーム約四個分の都立公園が新たに開園しています。
 さらに都は、都民と共に、暮らしにゆとりと潤いをもたらす緑を育み、百年先に継承する緑のプロジェクト、東京グリーンビズを令和五年七月から始動しています。
 その中には、私たちが推進してきた、住民参加型で目にも美しい、自然の持つ力を生かした豪雨対策であるグリーンインフラが盛り込まれており、その具体化に向けた取組が来年度予算にも計上されています。ヒートアイランド現象への対策や生物多様性の推進にもつながる、大変意義ある取組です。
 このような自然が持つ力をまちづくりに生かすグリーンインフラについて、多くの都民の理解と共感を得られるよう、取組を進めるべきです。
 グリーンインフラに関するシンポジウムや教育、さらには雨庭づくりなどの体験型イベントについて、参加した都民が、都市において、人と共存する緑の望ましい在り方について理解し、自らその意義を説明できるように企画、運営するとともに、来年度予算で計上している都や企業、都民によるグリーンビズに関わるグリーンビズマップにおいて、これらの体験型イベントへ参画を促したり、成果を発信することで、都民の理解促進と機運醸成につなげるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 グリーンインフラの一層の導入を進めるためには、豪雨対策としての有用性を把握するための評価も重要です。
 都は、来年度より、公共施設でグリーンインフラについて先行実施するとしていますが、その取組と併せて、その効果を評価することで、より確実な導入につなげるべきと考えますが、見解を伺います。
 グリーン水素は、脱炭素の有力なエネルギー源として注目を集めており、世界でも様々なプロジェクトが立ち上がっています。
 しかし、グリーン水素は、生産コストの高さや需要が不透明なために、生産者が投資しづらく、利用者にとっては安定した量の確保が難しいなどの課題があります。今後は、取引量を増やし、価格を下げることで、普及につなげる必要があります。
 小池知事は昨年、東京にグリーン水素の売買を仲介する水素取引所を立ち上げることを表明しました。
 海外でも、ドイツが世界初の水素市場の開設を目指しており、東京が脱炭素で世界をリードしていくためには、そうした関係者と連携しながら、迅速に取組を展開すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 GXを進めていく上で重要となるのが、企業が自ら行う脱炭素の取組に加え、金融面からのアプローチの一つであるカーボンクレジットの活用です。
 海外では、既にカーボンクレジットの活用が進んでおり、その売買を行う取引所を設立する動きも広がっています。日本においても、昨年十月に、東京証券取引所がJ—クレジットの取引市場を開設したほか、民間企業においても市場創設の動きが活発化しています。
 このような中、国内においては、大企業を中心にカーボンクレジット取引を活用した脱炭素化の動きが加速化しているものの、都内企業の九割以上を占め、サプライチェーンを担う中小企業においては、取引に関する手続の煩雑さなどによって、まだ限定的な状況です。
 ゼロエミッションを目指す都として、中小企業でもこうしたカーボンクレジットを簡単に取引し、活用できる環境をつくっていくことが重要と考えますが、見解を伺います。
 運送ドライバーの深刻な労働力不足など、物流業界の二〇二四年問題も深刻な課題となっています。こうした中、再配達を抑制する宅配ボックスの設置は、二〇二四年問題への対応にとどまらず、ゼロエミッション東京の実現に向け、家庭で取り組むことができるCO2削減にも寄与するものであり、環境配慮の観点からも後押しすべきものです。
 CO2の排出量削減と、運送業の二〇二四年問題対応の双方に寄与する住宅への宅配ボックスの設置支援と併せて、再配達削減の必要性や荷物の受け取り方の工夫について、都民への普及啓発を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 都内CO2排出量の約三割は家庭部門から排出されており、家庭における省エネ対策をさらに進める必要があります。住宅の環境性能の向上やエネルギー効率のよい家電の導入は、電気代等の高騰が継続する中にあって、家計負担の軽減にも効果的ですが、家庭部門のエネルギー消費量は、他の部門に比べ、唯一、二〇〇〇年比で増加しており、抜本的な対策の強化が必要です。二〇三〇年のカーボンハーフ実現が迫った今こそ、家庭での省エネ促進を都民が進められるよう、支援を大胆に拡充すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 セーフシティ実現のためには、地域防犯力の強化が不可欠です。都内刑法犯認知件数は、平成十四年をピークに減少傾向にあったものの、令和四年に二十年ぶりに増加に転じ、昨年はさらに一万件以上増加する中、治安対策への都民ニーズも高まっています。
 私たちはこれまで、安全・安心な東京の実現に向けて、地域コミュニティ強化の重要性を訴えてきましたが、町会や商店街への加入数、会員数の減少による弱体化が懸念されており、七年程度で更新時期を迎える防犯カメラの更新費用の負担が大きいという声が上がっています。また、街路灯の撤去や無電柱化による電柱の撤去などにより、商店街に設置したカメラの移設が必要となるケースも生じています。
 こうした状況を踏まえ、防犯カメラの設置に関して、地域団体への支援強化を図るべきと考えますが、見解を伺います。
 地下水中の有機フッ素化合物については、都内のみならず、全国でも検出が相次ぎ、都民に身近な問題として関心が高まってきています。私たちは、地下水中の有機フッ素化合物の実態把握と都民の不安解消に向けた取組の強化を一貫して要望し、都は今年度、都内全域の調査の前倒しや、比較的高濃度な地点における追加の調査を行ってきました。また、昨年の第四回定例会では、都と連携して調査を行う区市町村に対して補助すべきと要望いたしました。
 地域住民の不安払拭のため、区市町村と連携しながら、有機フッ素化合物の地下水調査を進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 また、国の調査では、都内には、駐車場施設を中心に、約二十八万リットルもの消火薬剤の在庫があります。東京消防庁と連携し、設備点検の際などに非含有の消火薬剤への交換を働きかけていくことが重要です。
 こうしたことから、昨年の第四回定例会でも、私たちは、都有施設のPFOS含有泡消火薬剤について、早期の交換について対応を求めてきました。
 PFOS等による新たな汚染を引き起こさないため、民間施設も含め、早急にPFOSを含有しない泡消火薬剤へ転換していくべきと考えますが、見解を伺います。
 市町村総合交付金は、地方公共団体の財政力や財政需要に応じて交付されるものであり、市町村の自主的な事業に活用されています。私たちは、多摩部会を中心に、継続的に多摩振興を求めており、小池知事は、世界の諸都市と比較した場合に、東京の独自の魅力を形成している多摩・島しょ地域の重要性に着目し、市町村総合交付金の大幅な増額を進めてきました。二〇一六年度は総額五百億円でしたが、来年度予算案には六百二十億円が計上されており、これまでにない規模での多摩・島しょ振興が進んでいます。
 多摩・島しょ地域のより一層の発展に向け、市町村が様々な行政課題に対応できるよう、市町村総合交付金により後押ししていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 都はこれまで、東京宝島プロジェクトや、しまぽ通貨の発行などによって、島しょの観光地としての魅力を広め、高める取組を行ってきました。
 私たちも、観光資源の開発に加え、観光産業における消費額をより一層高めるための取組として、富裕層向けアプローチを充実させていくことなどを求めてきましたが、今後、島しょ地域において、国内外の富裕層の消費を大きく呼び込み、一層の観光振興を図ることが重要です。
 外国人富裕層に人気の高いクルーズ船やスーパーヨットの寄港を促進するとともに、現地での消費額を高める取組を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 今年、二〇二四年には、パリでオリンピック・パラリンピック大会が開催されます。
 東京二〇二〇大会は、コロナ禍の大変な状況の中で開催され、多くの都民、関係者のご協力により、成功させることができました。
 東京二〇二〇大会のレガシーを東京の未来の発展につなげるため、いよいよ来年、二〇二五年に開催が迫った世界陸上、デフリンピックの成功に向けた取組を加速させていく必要があります。両大会は、自らの限界に挑むアスリートの姿を直接見ることができる貴重な機会であるとともに、ユニバーサルコミュニケーションの促進などを通じた共生社会の実現など、東京の都市の魅力の向上にとっても極めて重要な機会となります。
 世界陸上、デフリンピックの成功に向け、都民の理解を得ながら大会を盛り上げるとともに、両大会を通じてインクルーシブな都市東京を実現するための取組を加速させていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京二〇二〇大会が様々なレガシーを残した一方で、組織委員会元理事がスポンサー選定に関する汚職事件で起訴されたことに加え、テスト大会の入札談合の疑いで組織委員会の元次長らが起訴されるなど、大会の意義を失墜させる事態が連続していることは、決して許されません。これらの事件については、法廷で争われている最中のものもありますが、都としては、スポンサー汚職と談合事件の双方に関して、これまでの裁判で明らかになった事実も踏まえて、さらなるコンプライアンス体制の強化を図るとともに、都が今後主催する国際的なスポーツ大会やイベント等において同様の事態を生じさせることがないよう、ガバナンスの強化にも取り組むことを求めておきます。
 東京二〇二〇大会においては、大会に関連して、都が開催した文化イベントで様々なアートが展開されました。アートは、東京の都市としての魅力を高める重要な分野ですが、世界のアート市場国別割合では、世界のアート市場規模は約九兆円とされている一方で、日本のシェアはその一%程度にとどまっています。
 世界陸上、デフリンピックの両大会をアート振興の観点からも生かしていくべきです。世界陸上、デフリンピックの開催に合わせて、アート振興を強化し、インクルーシブシティ実現への貢献も含めた東京の芸術文化の魅力を世界に発信すべきと考えますが、見解を伺います。
 以上、令和六年度に向けて、私たちが要望してきた重点政策と課題について、都の対応を伺いました。
 これまで小池知事と私たちが進めてきた東京大改革では、無電柱化推進条例、中小企業・小規模企業振興条例、人権尊重条例、ソーシャルファーム条例、デジタルファースト条例、パートナーシップ宣誓制度の制定など、安全・安心で、誰もが輝き、世界をリードする東京の実現に向けて、全国自治体の先頭に立ち、国に先んじた取組を進めてきました。加えて、知事報酬の半減等により改革姿勢を明確にするとともに、既存事業の見直しなど、賢い支出を徹底して、新規財源を確保した上で、待機児童数の劇的な減少や、子育て、教育施策における所得制限の撤廃をはじめとする東京の未来への投資を進めてきました。これらはまさしく東京大改革のレガシーであり、この流れを止めるわけにはいきません。
 都民、国民の理解と共感を得ながら改革を進めるためには、政治家自身が厳しく自分を律していかなければならず、不透明な政治資金などは決して許されるものではありません。他方で、重箱の隅をつついたような批判や反対のための反対といったパフォーマンスを繰り返すことでは、都民、国民の信頼を得ることはできません。
 東京、日本のあるべき姿について、高い理想を掲げながら、現実を直視し、課題解決に向けて、地に足のついた取組を一つ一つ重ねていくことこそが重要です。
 私たちは引き続き、都知事と車の両輪である都議会の立場から、都民ファーストの都政に邁進していくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) たきぐち学議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、令和六年度予算についてでございます。
 深刻さを増す少子化や低迷する国際競争力、時を選ばない災害への備えなど、我が国の抱える課題は一刻の猶予も許されないものであります。直面する様々な困難の突破口を切り開き、日本の成長を牽引していくことこそが、首都東京に課せられた使命であります。
 こうした思いを胸に、令和六年度予算では、東京が今なすべきことをちゅうちょなく前に進めるため、人が輝く、国際競争力の強化、安全・安心、これらの三点を軸に、都市力を磨き抜く大胆な施策を数多く盛り込んだところでございます。
 加えまして、ワイズスペンディングの観点から、無駄をなくす取組を徹底し、過去最高となる一千二百六十六億円の財源の確保につなげるなど、強固な財政基盤の堅持にも取り組んでおります。なお、この八年間で生み出した新たな財源は、合わせて約八千百億円となります。
 都民ファーストの視点に立ち、東京大改革に邁進することで、明るい未来の東京をつくり上げてまいります。
 防災施策の強化についてであります。
 今年元日に発生した能登地方を震源とする地震は、建物の倒壊や通信、ライフラインの途絶など、甚大な被害をもたらしました。
 都は、発災後直ちに情報収集を開始するとともに、被災地に職員を派遣し、避難所の運営や上下水道の復旧など、必要な支援を続けております。水道などライフラインの重要性や迅速かつ的確な支援の必要性を改めて認識いたしております。今後も、時間とともに変化する被災地のニーズにきめ細かく対応してまいります。
 都におきましても、トイレの追加備蓄や、都と六十二区市町村へのモバイル衛星通信の配備等、必要な施策に速やかに取り組んでまいります。先日いただいたご要望も踏まえまして、今後、検証等を行い、施策のさらなる強化を図り、世界一安全・安心で強靱な東京をつくり上げてまいります。
 学校給食費の負担軽減についてであります。
 学校給食は、児童及び生徒の心身の発達と、食に関する正しい理解や適切な判断力を養う上で大きな役割を果たすものであります。
 一方、子育て世帯では、学校給食費が大きな負担となっております。
 学校給食費につきましては、国の責任と財源において無償化を実現すべきものであるが、現下の状況を踏まえまして、都として国に先行し、区市町村が来年度当初から学校給食費の保護者負担軽減に取り組めるよう、その費用の二分の一を都が支援することといたしました。
 都内の学校におきまして、広く子供たちの健やかな成長につながる学校給食が提供されますよう、区市町村と連携し、その取組への支援を行ってまいります。
 次に、フリースクールについてであります。
 学校生活になじめず、生きづらさを抱える子供が自分らしく成長できますよう、これまでの学校教育という枠を超えた新たな政策にも果断にチャレンジしてまいります。これは私たちに課せられた責務であります。
 こうした決意の下、フリースクール等の利用料に対する月二万円の助成制度を創設いたしまして、この四月分からの保護者の経済的負担を軽減いたします。また、子供一人一人のサポートプランの作成など、子供目線に立った取組を行うフリースクール等に対します補助制度を創設いたします。
 さらに、子供の興味、関心を引き出し、知的好奇心を最大化するメソッドに関する調査研究に取り組んでまいります。
 これらを通じまして、子供の学び、居場所の選択肢を多様化させてまいります。
 次に、認証学童クラブについてであります。
 私は知事就任以来、保育所の待機児童解消を都政における最重要課題と位置づけ、全力で取り組んでまいりました。その結果、かつて八千五百人を超えた待機児童は、今やほぼ解消させることができました。
 次は小一の壁に挑みます。共働きが当たり前の現代におきまして、必須のインフラともいえる学童クラブの充実に向けまして、都独自の運営基準による新たな認証制度の創設に取り組んでまいります。
 来年度は、年度当初に速やかに検討会を立ち上げまして、保護者や子供のニーズを把握し、事業者にもきめ細かく意見を聞きながら、職員の配置や活動プログラムなど具体的な内容を検討いたします。
 さらに、学童クラブの充実に先行して取り組む区市町村を支援をいたしまして、その成果を新たな制度に生かしてまいります。
 こうした取組によりまして、子育て世帯に寄り添った支援を切れ目なく行い、安心して子供を産み育てられる社会の実現を目指してまいります。
 とうきょうすくわくプログラムについてであります。
 時代の変化がますます激しくなっている中、子供たちが自ら未来を切り開いていく上で、非認知能力の育成がますます重要になっております。
 全ての乳幼児がすくすくと成長できますよう、こうした心の育ちをしっかりと支え、わくわくする好奇心、探求心を大切に育んでいく。
 このプログラムに込めました思いを実現するべく、専門的かつ継続的な研修、相談体制を構築し、日々、現場で子供たちを見守る幼稚園、保育園の先生方の理解と共感を得てまいります。
 また、プログラム実践の開始から六年間、幼稚園、保育園といった施設の類型にかかわらず、財政面から強力にサポートすることによりまして、意欲ある全ての園の取組を後押ししてまいります。
 さらに、東京大学CEDEPとの連携の下、プログラム実践に伴います効果検証の仕組みの在り方につきましても検討を進めてまいります。
 次に、児童虐待の防止についてであります。
 昨年の三月に台東区で発生した事案につきましては、今後、児童福祉審議会におきまして、都と区のこれまでの対応をしっかりと検証いたします。
 深刻化する児童虐待への対応力を強化するため、来年度は児童福祉司を四十一名、児童心理司を二十二名増員いたします。また、採用活動の専任チームを設けまして人材確保に取り組んでおり、児童相談所の体制を強化してまいります。
 さらに、児童相談所と子供家庭支援センターの連携の拠点となりますサテライトオフィスの設置を進めるとともに、子供家庭支援センターの人材育成を支援してまいります。
 同時に、妊娠期からの切れ目のない支援を実現するため、区市町村の母子保健部門と子育て部門との連携を一層推進してまいります。
 子供の安全・安心を守ることを最優先に、児童虐待防止に全力で取り組んでまいります。
 次に、歌舞伎町での相談窓口についてであります。
 歌舞伎町のかいわいにおきましては、トー横キッズの市販薬乱用や性被害、悪質なホストクラブなど、若者を取り巻く様々な問題が発生しております。
 こうした若者の悩みに応えるため、一月には歌舞伎町に臨時相談窓口を設置いたしまして、十日間で約三百名の方々が訪れ、必要な支援を行いました。この成果を生かしまして、来年度早期に常設の総合相談窓口を開設いたします。
 フリースペースを設けるなど、利用者が立ち寄りやすい環境を整備し、専門の相談員が一人一人の悩みに寄り添った支援を行います。
 若者を犯罪やトラブルの危険から守るため、関係機関や民間団体とも連携いたしまして、歌舞伎町かいわいの諸問題の解決に向けた取組を進めてまいります。
 次に、健康づくりの推進についてでございます。
 全ての都民が健康を維持し、年齢を重ねても元気に活躍するためには、一人一人が日頃から生活習慣に気をつけることが大切であります。
 特に、ウオーキングなどの運動習慣は、都民の健康寿命の延伸にも寄与するものでありまして、来年度は、区市町村が行う健康づくりの取組と連携し、優待サービスを提供する協賛店の確保や、歩数などに応じました都のデジタル地域通貨によるポイントの付与を新たに開始いたします。
 こうした施策によりまして、関係機関と連携しながら、都民の健康づくりを後押しすることで、誰もが生涯にわたり健やかで心豊かに暮らせる社会の実現を目指してまいります。
 次に、働く女性の活躍の推進についてでございます。
 女性が自らの能力と意欲に応じまして、経済の分野で十分に活躍することは不可欠であります。男性と比べ、収入や処遇の面で格差が生じている状況を速やかに解消し、女性の力をより一層引き出す対応を確実に進めなければなりません。
 企業の最前線の現場を担う女性が、今後の働き方に応じた収入を正確に理解するとともに、会社でも活躍に役立つ仕組みの見直しを進めることは重要であります。働き方を変えると生涯収入にどう影響するか、可視化するシステムをつくります。そして、会社には、配偶者手当から収入要件を外すなどの工夫を行うように後押しをいたします。
 マネジメントの力を持つ女性の登用を加速いたします。女性管理職を増やすほか、短時間勤務の女性を管理職として登用する企業に三十万円の奨励金を支給いたします。
 こうしたキャリアアップの中で直面する悩みなどには、青山に設けます、はたらく女性スクエアで相談に応じ、解決への道筋をつくってまいります。
 これらにより、女性が仕事で輝く社会を実現してまいります。
 次に、デジタル地域通貨プラットフォームについてのご質問にお答えいたします。
 デジタルの力で、利用者目線のサービス変革を推し進める中、区市町村を含めた東京全体の活性化に資する共通基盤として、この新たなプラットフォームを構築いたします。
 民間QRコード決済を活用することで、多くの都民が利用できる効率的な仕組みをつくり上げまして、都の健康づくりなど、各種施策へのインセンティブや地域振興に加えまして、区市町村の施策とも効果的に連携できるようにいたしてまいります。
 地元自治体や事業者の意見とともに、利用する都民の声にも耳を傾けながら、できるだけ早期のサービス開始を目指しまして、GovTech東京と来年度上半期に開発を進めてまいります。
 この新たなプラットフォームを通じまして、都民が身近な暮らしの中で利便性を実感できるサービスを実現してまいります。
 次に、カスタマーハラスメントへの対応でございます。
 製品を買い求める顧客やサービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け、働く方が人格を傷つけられて精神的なダメージを受ける、そんな状況をなくすことを目指しまして、適切な対応を進める仕組みづくりは不可欠であります。
 公労使会議の議論を受けまして、専門家等が検討を進め、こうしたハラスメントに関し、民間や公共サービスの現場の実態やルールづくりの必要性が明らかとなりました。顧客とのやり取りの最前線に立つ従業員等に対しまして、社会的な常識や通念を超えた言動を行うことを抑えてまいりたい。
 また、カスタマーハラスメントの考え方と防止に向けた理念を明確な形で示しまして、対応のよりどころとなる条例の制定を検討いたします。その実効性を確保するガイドラインもつくりまして、現場での取組の後押しや幅広い普及啓発を行ってまいります。
 議論と検討を積み重ねまして、働く方が安心して仕事に打ち込める環境を速やかにつくり上げてまいります。
 次に、東京グリーンビズについてであります。
 東京グリーンビズが掲げる緑と生きるまちづくりを進めるには、都民の共感を得て参画を促すことが欠かせません。
 都民と一緒に緑を育てていく。そうしたムーブメントを、民間企業や区市町村等と連携いたしまして、東京一丸となって推進をしてまいります。
 その土台となる東京グリーンビズマップにおきましては、公園や街路樹、民間施設等の緑あふれるスポットに加えて、緑に関するイベント情報などを一体的に発信してまいります。
 緑の多様な機能や役割を学び、緑に触れる都民参加型のシンポジウムの開催や民間イベントとの連携など、積極的に展開をいたします。
 都民一人一人が緑に親しみ、育むきっかけをつくり、取組の輪を広げることで、自然と調和した持続可能な都市へと進化させてまいります。
 次に、グリーン水素の取引の後押しについてであります。
 脱炭素社会の実現に効果の高い水素の利活用に向け、その取引を効果的に進める仕組みづくりは重要であります。私はCOP28におきまして、東京に水素取引所をつくる構想を明らかにし、その具体化に向けた取組をスピード感を持って進めているところであります。
 海外で水素の利活用について優れた知見を持つ機関、H2グローバルとの間で、取引所の立ち上げに関し情報共有や連携を盛り込みました合意書を、今月に締結をいたしました。グリーン水素の生産者と利用者が適切な価格で売買を行う事例を増やしながら、同機関と協力し、水素取引所をつくり上げてまいりたい。
 来年度には、H2グローバルの方法を踏まえて、水素の販売と購入の価格をそれぞれ入札で取り決め、その価格の差を都が支援する取組を試行的に行いまして、取引の成立に結びつけてまいります。
 グリーン水素の普及に向けまして、国や世界を先導するという気概を持って取り組んでまいります。
 次に、家庭における省エネの促進についてであります。
 家庭部門は、都内エネルギー消費量の三分の一を占め、部門別でも唯一増加をいたしております。二〇三〇年のカーボンハーフ実現に向けまして、その対策の促進、待ったなしの状況にあります。
 都はこれまで、住宅の高断熱化などへの支援を通じ、省エネで快適な居住環境の実現に取り組んでまいりました。
 これらに加え、来年度は、東京ゼロエミ住宅におきまして、国内最高レベルの省エネ性能となりますよう基準を強化し、その助成を拡充することで、環境性能の高い住宅の普及を加速してまいります。
 また、電力消費量の多い家電につきましては、買換え時に加え、新規の購入時にも、より環境性能の高い製品の選択を促す新たな取組を開始いたします。
 あわせまして、店舗で直接値引きが受けられるなど、利用者にとりまして使いやすい仕組みとしてまいります。
 これらによって、都民の理解と共感を得ながら、家庭での省エネの取組を加速させて、ゼロエミッション東京を実現してまいります。
 次に、市町村総合交付金についてであります。
 市町村総合交付金は、地域の発展に向けまして、市町村が取り組む各種の施策に要する一般財源の補完制度といたしまして、重要な役割を果たしております。
 多摩・島しょ地域におきましては、インフラの整備などに加えて、都民の暮らしを脅かす物価高騰や、近年激甚化している自然災害への備え等、喫緊の課題への対応が急務となっております。こうした各市町村の課題解決に向けました自主的、自立的な取組を幅広く後押しをしていくことが不可欠でございます。
 多摩・島しょのさらなる振興を図るため、知事就任以来八年で百三十億円の増額を図りまして、令和六年度は過去最高となる六百二十億円を計上いたしました。
 あわせまして、地域の防災力向上や東京全体のDX推進に向けまして、政策連携枠の支援対象も拡大をいたしてまいります。
 今後とも、市町村の皆様のご意見を十分に伺いつつ、市町村が積極的に課題に取り組めるように支援をしてまいります。
 そして、最後に、世界陸上とデフリンピックへの取組についてであります。
 両大会は、スポーツのすばらしさ、多様な価値観を認め合うことの大切さを伝えられる、共通の開催意義や魅力を持っております。これを一体的に発信をしまして、都民、国民の理解や共感を得るとともに、共生社会への変革の推進力とすることが重要であります。
 そのため、都は、両大会一年前の節目を捉え、世界のトップアスリートの迫力を体感できる取組、そして、音が聞こえる、聞こえないという壁を越えまして相互理解を深める取組などを展開し、大会に向け大きなムーブメントを創出してまいります。
 さらに、国籍や障害にかかわらず、誰もが円滑にコミュニケーションができるデジタルの技術を社会に実装する契機とするため、新たに、都庁舎をはじめとする都有施設での活用や、区市町村、鉄道駅への導入支援を行ってまいります。
 両大会に向け幅広い取組を推進しまして、全ての人が輝くインクルーシブなまち東京という確かなレガシーを残してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、教育長及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、都立高入試についてでございますが、現行の入試制度になって以降、この間、学習指導要領の改訂をはじめ、不登校生徒や日本語指導が必要な生徒の増加、大学等への進学率の上昇など、都立高校を取り巻く環境は大きく変化しています。
 現在、都教育委員会では、入学者選抜の在り方について、中学校や高校の校長、保護者等の委員で構成する検討委員会に特別部会を設置し、検討を行っております。
 今後、この特別部会において、多様化する生徒のニーズを的確に捉えるとともに、各高校が期待する生徒を選抜できる入試制度の構築に向けて、調査書や学力検査等の選抜方法に関する検討を進めてまいります。
 次に、小学校における指導体制の充実についてでございますが、小学校では、児童の発達段階を踏まえて、各学年の特性に応じた指導体制を構築することが重要でございます。
 このため、児童へのきめ細かな対応が必要な低学年では、学級担任の業務を補佐するエデュケーションアシスタントの配置を、来年度、全小学校に拡大いたします。
 中学校への準備段階にある高学年では、専科教員の加配による教科担任制を令和十年度までに十二学級以上の全小学校へ拡大し、各教員が教科を分担して専門的に指導するとともに、複数の教員による児童支援を進めてまいります。
 こうした取組により、小学校における教員の負担軽減と教育の質の向上を強力に推進してまいります。
 次に、都独自の不登校特例校の設置についてでございますが、都教育委員会は、来年度から、中学校十校に全国初の空き教室を利用した東京型のいわゆる不登校特例校チャレンジクラスを設置し、教科を指導する複数の教員を配置いたします。
 チャレンジクラスは、従来の特例校同様、ゆとりある時間割の中で体験的な学習を多く設定するなど柔軟な教育活動を行えることに加え、校内の様々な施設を活用したり、通常の学級と交流したりすることが可能となり、極めて高い効果が期待されます。
 今後、従来の様々な取組に加え、チャレンジクラスの充実を図るなど、一人一人が自分に合った学びの場を選び、生き生きと活躍できる環境づくりを推進してまいります。
 次に、不登校対応を担う教員の配置についてでございますが、来年度、都教育委員会は、各学校における不登校の子供へのきめ細かい支援を実現するため、不登校対応を専門に担い、授業や担任を持たずに複数の中学校を巡回する教員を三十三人配置いたします。
 これらの教員は、学級担任やスクールカウンセラー等と連携して一人一人の支援計画を立案し、別室指導支援員に助言を行うとともに、様々な効果的な取組の共有を学校間で進めるなど、学習指導や相談対応の充実を図ってまいります。
 また、巡回教員の対応力を高めるため、教員同士が学び合う機会として、毎月情報交換会を開催するなど、子供たちへの支援体制を東京都全体で強化してまいります。
 次に、都立高校生の海外派遣の充実についてでございますが、都教育委員会は、グローバル人材を育成する取組を一層充実させるため、来年度、国や人数を拡充し、欧米、東南アジア、中東等に二百七十名の高校生を派遣いたします。
 派遣先では、海外の高校生と世界的な課題について議論したり、海外の有名大学や最先端の技術で世界をリードする企業等を訪問するなど、国内では得られない体験の機会を、現地の教育機関等との連携により創出いたします。
 今後、コロンビア大学をはじめ、訪問先の現地大学等と連携し、大学での講義やスタートアップ企業を訪問するプログラムを策定するなど取組を強化し、豊かな国際感覚を身につけ、世界を牽引していく人材を育成してまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 被災者の生活に寄り添った支援についてでございますが、被災者に必要な支援を的確に実施するためには、所在を含めた現況を正確に把握することが重要でございます。
 能登半島地震では、避難所以外で避難生活を送る被災者も数多く存在することから、石川県は、災害関連死の防止や被災者への情報提供等のため、関係自治体間で情報共有を図るデータベースの構築に取り組んでおります。
 このため、都職員とGovTech東京の職員を派遣し、デジタル技術や法務の観点から支援をしているところでございます。
 今後も、被災地のニーズを踏まえた支援を実施するとともに、得られた知見を都の災害対策にも生かしてまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、マンション防災における地域連携についてでございますが、地域の防災力向上には、マンション自体の防災力を高めた上で地域との共助の取組を促すことが重要でございます。
 都は今年度、防災活動に積極的に取り組むマンションを増やすため、東京とどまるマンションへの防災備蓄資器材の補助を開始し、制度周知を図っております。
 来年度は、さらに、マンションと周辺地域のつながりを強化するため、町会等と合同で防災訓練を行うマンションへの防災備蓄資器材の補助率を十分の十に引き上げるとともに、関係局とも連携し、さらなる普及を図ってまいります。
 こうした取組により、都民の自助、共助の取組を一層促進してまいります。
 次に、元気で自立した高齢者の住まいについてでございますが、高齢単身世帯の増加等を受け、見守りや地域とのつながりなど、多様化するニーズに応えていくことは重要でございます。
 東京ささエール住宅等の既存の取組に加え、高齢者の新たな住まいの在り方を発信するため、都は来年度、様々な事業者が高齢者に適した住宅の新築や改修を行う先導的な取組に対し、一戸当たり二百万円を上限に支援をいたします。
 今後、この取組で得た知見を生かし、見守りや交流機会の創出等に配慮された住宅を認定する都独自の新たな制度の構築を目指してまいります。
 こうした取組を通じまして、高齢者が安心して快適に自分らしく暮らせる住まいの充実を図ってまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、マンション防災の推進についてでございますが、地域における防災力を高めていくために、町会、自治会からマンションに働きかけていくことは重要でございます。
 来年度、町会とマンションの合同防災訓練をきっかけに、地域のつながりの構築や強化を進める事業を開始いたします。
 町会とマンションをつなぐマッチング支援のほか、地域の事情に即してきめ細かく調整を行うコーディネーターを派遣し、関係機関とも連携しながら取組を進めます。
 あわせて、町会向けの助成事業においても、防災活動の助成率を十分の十に引き上げます。
 こうした取組を積み重ねながら、好事例やノウハウを広め、多様な連携が広がるよう後押しを行ってまいります。
 次に、私立学校における生徒指導の充実等についてでございますが、各学校の様々な取組を支援することは重要でございます。
 都は、私立学校が臨床心理士等の資格を有するスクールカウンセラーを配置した場合、補助を実施しております。
 また、教職員に対しては、幹部研修会で保護者等からの相談傾向と分析を情報提供するなど意識を啓発するとともに、心の悩みを抱えた生徒への対応方法等を学ぶ課題別研修や講師を招いた勉強会も開催しております。
 今後さらに、私立学校において生徒一人一人に向き合った指導が実現できるよう、事例研究や討議形式の研修の拡充や、外部講師を招聘する勉強会の回数を増やすなど、学校への支援を充実させてまいります。
 次に、私立中学校等特別奨学金についてでございますが、今年度は、受給対象の生徒の保護者に必要な情報が届くよう、各学校を通じたリーフレット配布に加え、ホームページや「広報東京都」、SNSによる発信などにより補助制度の周知に努めてまいりました。
 来年度は、所得制限撤廃に伴い都内在住の全ての生徒が受給対象となるため、その保護者全員に制度を理解し確実に申請をしていただく必要がございます。
 そのため、引き続き様々な媒体を活用しながら発信の頻度を高めることに加え、問合せ窓口の体制を強化するなど、学校と都が緊密に連携して申請を促し、子育て世帯に支援が行き渡るよう取り組んでまいります。
 次に、子供の芸術文化体験事業についてでございますが、子供たちの創造性を育む上で、芸術文化を通じて多様な価値観に触れることは重要でございます。
 都では、体験プログラムに加え、今年度は、教育庁と協力して、演者との交流やバックヤードツアーなど、子供たちの心に残る体験を充実させてまいりました。
 来年度は、オペラの舞台制作やファッションショーの運営体験、芸術系大学でのオープンキャンパスなど、子供たちがそれぞれの興味、関心に応じて主体的に選択できるプログラムを新たに実施いたします。
 子供たちの豊かな才能の開花を後押しし、将来のアートファンや芸術文化の担い手の創出につなげてまいります。
 次に、世界陸上及びデフリンピックの両大会に合わせたアート振興についてでございます。
 世界が注目する国際スポーツ大会開催の機を捉えた芸術文化の発信は、人と人との絆を深めるとともに、都市のプレゼンスの向上にもつながります。
 そのため、都は、国内外から多くの人々が集まる両大会を見据え、ベイエリアを舞台にした先鋭的なアートイベントを実施するほか、日本の伝統文化を生かしたパフォーマンスや、ろう者と聴者が協働した舞台創作など、発信力の高い取組の準備も進めてまいります。
 これらをコアに、様々な文化事業を一体的にプロモーション展開し、多様性にあふれた東京の芸術文化の魅力を世界に発信してまいります。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、介護職員などへの居住支援特別手当についてでございます。
 都は、来年度から新たに、国が介護報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員や介護支援専門員、障害福祉サービス等の福祉、介護職員を対象に、月額一万円の居住支援特別手当を支給する事業者を支援いたします。さらに、人材確保の観点から、勤続五年目までの介護職員には一万円を加算し、二万円の支援を行います。
 実施に当たっては、事業者が新たに居住支援特別手当を設け介護職員等に支給した場合、社会保険料の雇用主負担相当分も含めまして、令和六年四月支給分から補助をいたします。
 今後、事業者等への周知を丁寧に行いまして、介護職員等の処遇改善に確実につながるよう取り組んでまいります。
 続きまして、高齢者の聞こえの支援についてでございます。
 都はこれまで、区市町村が高齢者への補聴器支給等事業を地域の実情に応じて柔軟に実施できるよう、包括補助により支援してまいりました。
 来年度からは、より多くの区市町村で取組が進むよう、補聴器を支給する区市町村への補助基準額を、国が定める基準額も参考に一人当たり十三万七千円とし、その二分の一を補助いたします。また、加齢性難聴に係る普及啓発など早期発見、早期対応に係る経費を新たに十分の十で補助するなど、支援を強化いたします。
 こうした加齢性難聴に関する高齢者本人や周囲の早期の気づきと対応への支援を通じて、コミュニケーション機会の確保を推進し、介護予防の取組を進めてまいります。
 続いて、認知症高齢者の見守りについてでございます。
 都は、認知症の方や家族が地域で安心して暮らし続けることができるよう、行方不明になった方を早期に発見するためのネットワーク構築に取り組む区市町村を支援しております。
 来年度は、こうした取組を加速するため、行方不明者の位置情報を探知するGPS機器の導入などへの支援をネットワーク構築と併せて行う場合の補助率を十分の十に引き上げるほか、GPS機器の導入などの支援のみを行う場合も新たに補助対象とすることによりまして、区市町村への支援を強化いたします。
 これらの施策を通じまして、認知症の方や家族を地域で見守り、支える体制づくりを推進してまいります。
 次に、単身高齢者の相談支援体制についてでございます。
 都内の単身高齢者は増加しておりまして、従来、家族などが担ってきた判断能力が低下した後の生活上の手続や死後の対応につきまして、元気なうちに自分の意思を反映しながら準備することが重要となっております。
 このため、都は来年度から、遺言書の作成や遺品整理などに関しまして、弁護士や司法書士などが専門的な相談に応じ、個々の状況に応じて支援や助言などを行う総合相談窓口を設置する区市町村を包括補助により支援をいたします。
 今後、区市町村に相談窓口の設置を働きかけるとともに、地域住民の様々な相談に応じている民生委員等とも連携し、窓口の周知を図ってまいります。
 次に、精神科病院における虐待の通報窓口等についてでございます。
 都は、本年四月に虐待の通報が義務化されることに先立ち、精神科病院で虐待を受けた患者や家族等からの通報、相談に対応する専用の窓口を三月から開設いたします。
 窓口には、精神障害に関する専門的な知識や経験を有する看護師等を配置いたしまして、寄せられた情報を的確に判断して、速やかな立入検査などにつなげてまいります。
 また、来年度は、患者の生活に関する相談や傾聴を行い、困り事の解消に必要な情報を提供する支援員を病院に派遣するほか、病院の管理監督層や現場リーダー層を対象にした虐待防止研修を開始するなど、患者が安心して入院できる環境づくりを進めてまいります。
 最後に、重度障害者を受け入れるグループホームについてでございます。
 都はこれまで、障害者・障害児地域生活支援三か年プランに基づき、施設整備の設置者負担を軽減する特別助成等によりグループホームの整備を促進してまいりました。
 次期三か年プランでは、グループホームにおける重度障害者の利用者数を千人増やす目標を新たに設定し、重度障害者に対応するグループホームを整備する場合に、補助基準額を一・五倍に設定するほか、民間事業者への特別助成の補助率を社会福祉法人並みに引上げを行います。
 また、重度障害者の支援も担う中堅職員向けの研修を充実するほか、手厚い職員配置等を行う事業所の支援を拡充するなど、重度障害者の受入れを促進してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、高齢者の就業の新たな支援についてでございますが、会社での定年退職の年齢が高くなる中、シニア世代の社員がその経験や意欲に応じ働く機会を増やす後押しは重要でございます。
 このため、都は来年度、専門的な知識や技術を持つシニアの社員や優れた実務能力のあるベテランの方が新たな職場で就業する後押しを行うプラチナ・キャリアセンターを設置いたします。
 これによりまして、IT分野の知識に詳しい技術者が中小企業に勤め、職場のデジタル化を進める機会を提供いたします。また、営業や経理事務の力を、副業などを通じ新たな会社で生かすことができるよう支援をいたします。
 次に、職場で育業を広げる取組についてでございますが、男性の社員が会社の育業の仕組みを効果的に使いこなすことができるよう、適切なサポートを行うことは重要でございます。
 このため、都は来年度、男性社員が育業の経験を経営者や同僚等に伝えるほか、職場での機運醸成を進める取組に対し、新たなサポートを行います。また、育業をする社員の同僚を表彰し、手当を支給する中小企業を奨励金により後押しいたします。さらに、子供の誕生する前から育児の準備をできるよう、様々なノウハウを提供する機会を設ける会社への支援を行います。
 こうした取組によりまして、男性従業員の育業を促進してまいります。
 次に、建設や運輸等の事業者の働き方改革についてでございますが、中小の建設や運輸等の分野で、今年の四月より時間外労働に上限が適用されるため、現場での人材の確保と生産性の向上を後押しすることは重要でございます。
 このため、都は、こうした業界を対象として、人材確保に役立つセミナーを開くほか、中小企業と求職者が参加する合同就職面接会を新たに開催いたします。また、中小企業が生産性を高めるデジタル機器を導入する際の助成について、建設等の会社が利用する場合には、上限を三百万円から三千万円に拡充いたします。
 これらを速やかに進め、中小企業が人材を確保し、生産効率の向上を実現できるよう支援してまいります。
 最後に、CO2の排出量の取引への支援についてでございますが、脱炭素社会を実現する上で、東京の中小企業等がCO2を減らすほか、金融の仕組みを活用し、排出量を売買し、その削減に結びつける取組は重要でございます。
 このため、都は来年度、CO2の排出量の削減に見合った価値に値段をつけたクレジットを取引できるシステムを立ち上げます。これによりまして、海外で森林を保護し、CO2の吸収を進めて生み出すクレジット等を中小企業などが容易に購入できる後押しにつなげます。また、取引の信頼性を高める最新のデジタル技術であるブロックチェーンも活用し、国際的にクレジットを安全に売買する工夫も行います。
 これによりまして、脱炭素化の取組を着実に進めてまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、医療機関におけるAI技術の活用についてでございますが、医師の働き方改革や生産年齢人口の減少に対応しつつ、将来にわたり質の高い医療提供体制を確保するには、医療の質の向上や医療現場における業務の効率化を進める医療DXの推進が重要でございます。
 このため、都は、電子カルテの導入や更新、オンライン診療の機器整備など、医療機関におけるDX推進に向けた環境整備を支援しております。
 来年度は、これらの取組に加え、AI問診や看護記録等の音声自動入力、多言語対応など、AI技術の活用等に取り組む中小病院や有床診療所を支援することにより、医療機関におけるDXの取組を一層推進してまいります。
 次に、都立病院の医療情報の二次利用についてでございますが、国は、医療分野の研究開発を促進するため、次世代医療基盤法に基づき、医療機関などから健診結果やカルテ等の個々人の医療情報の提供を受け、匿名加工を行う事業者を認定し、認定事業者が情報セキュリティを確保しつつ大学や製薬企業の研究者等に医療情報を提供する仕組みを構築しております。
 昨年九月末時点におきまして、認定事業者に医療情報を提供する協力医療機関等は、全国で百十三件、都内では六件でございます。
 新薬の開発など医学の発展に向け、都立病院が有する豊富な医療情報を提供できますよう、個人情報保護をはじめとした課題を整理しながら準備を進めてまいります。
   〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) レイター期のスタートアップの成長支援についてのご質問にお答えいたします。
 クライメートテックをはじめ、世界の様々な課題の解決に取り組むスタートアップが技術や製品などの開発を加速させ、また、世界市場を見据えた事業展開を図るためには多額の資金が必要となります。
 こうしたレイター期のスタートアップがグローバル市場へ飛躍するための投資の促進に新たに取り組むため、都は来年度、百億円を出資し、民間資金と合わせて三百億円規模の官民連携ファンドの組成を進めます。
 大規模な都の出資を呼び水として、大きな成長を目指すスタートアップへの投資の流れをつくり出し、東京発のユニコーン創出につなげてまいります。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、広告宣伝車に対する規制についてでございます。
 都外ナンバーの広告宣伝車への規制開始に当たっては、許可権者である区との連携が重要でございます。
 このため、都は、これまでも区に対する説明会等を行うとともに、昨年十一月、新宿区、警視庁との合同実態調査を実施いたしました。
 三月には、区に対し、規制の運用に向けた説明会を開催する予定でございます。また、大規模な繁華街を有する区に対しては、手続に関する支援を実施するなど、よりきめ細やかな対応を行ってまいります。
 規制開始後も、新たな規制について事業者への普及啓発を行うとともに、区と連携した調査や取締りを行い、規制を着実に実施してまいります。
 次に、グリーンインフラについてでございます。
 グリーンインフラは、自然環境が有する機能を、社会における様々な課題解決に活用しようとする考え方でございます。
 河川や下水道への負荷を軽減し、豪雨対策に有効であることから、都では、昨年十二月に改定した東京都豪雨対策基本方針に、雨水流出抑制に資するグリーンインフラの導入を位置づけました。
 来年度、先行的に、公共施設においてレインガーデンの設置等を三十か所で行い、貯留浸透や遮熱効果などを検証することで今後の導入促進につなげてまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、宅配の再配達削減に向けた取組についてでございます。
 宅配便の取扱個数が増加している中、物流の二〇二四年問題に対応しながらCO2削減を図るためには、家庭の工夫による再配達の抑制も効果的でございます。
 このため、来年度、区市町村が集合住宅や戸建て住宅を対象に宅配ボックスの設置を支援する際、その経費の二分の一を新たにサポートいたします。
 また、関係各局や物流事業者と連携し、再配達削減の必要性等を広く発信してまいります。例えば、コンビニエンスストアでの受け取りなど有効な手法を広く分かりやすくPRしてまいります。
 これらの再配達削減に向けた取組によりまして、CO2排出量の削減を図ってまいります。
 次に、有機フッ素化合物の地下水調査についてでございます。
 飲用水の安心・安全を高めていくためには、水道水の安全性の確保と地下水の実態把握による飲用しない取組の徹底が重要でございます。
 このため、都は今年度、地下水の前倒し調査に加え、比較的高濃度のPFOS等が検出された地域について追加調査を行うなど、継続的なモニタリングを実施してございます。
 来年度は、これらを加速、充実し、風評被害の未然防止をはじめ、都民の不安解消を図ってまいります。具体的には、都内全域となる二百六十か所の調査を一年間で行うほか、都の追加調査を補完する調査を実施する区市町村に対しまして、費用の一部を負担してまいります。
 最後に、PFOS含有の泡消火薬剤の転換についてでございます。
 都では、これまでも計画的に交換を進めてございますが、改めて都有施設や政策連携団体等が保有する施設の実態について調査いたしました。この結果、三十二施設においてPFOS含有泡消火薬剤を確認いたしましたが、いずれの施設におきましても、適正に管理がなされ、漏えいのおそれはございませんでした。しかし、万が一に備え、速やかに非含有の消火薬剤に交換してまいります。
 一方、PFOSを含有する泡消火薬剤を保有する都内の民間駐車場等の多くは、経費負担等の理由から交換が進んでございません。このため、都は来年度、民間施設のPFOS含有泡消火薬剤の交換経費を支援する新たな取組を開始し、早期交換を促すことで環境中への排出を防止してまいります。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) 地域団体への支援強化についてお答えをいたします。
 現下の厳しい治安情勢下におきまして、地域団体が設置しております防犯カメラの多くが今後更新時期を迎えることから、地域の防犯力向上を図るためには、適切な維持管理がなされるよう支援していくことが重要でございます。そのため、来年度から三年間の時限措置といたしまして、防犯カメラの設置、更新費用の補助率を引き上げます。
 また、設置時に予見できなかった理由により防犯カメラを移設する事例が生じていることから、移設経費についても新たに補助対象とし、地域団体の費用負担を軽減してまいります。
 地域の実情等を踏まえ、区市町村と連携し、地域の見守り活動をより一層支援してまいります。
   〔港湾局長松川桂子君登壇〕

○港湾局長(松川桂子君) クルーズ船及びスーパーヨットの寄港についてでございますが、クルーズ船などの島しょへの寄港を促進することは、観光振興を図る上で重要でありますことから、都は、クルーズコンベンションへの参加や船会社を招いた現地ツアーの実施など、クルーズ船誘致の取組を強化してまいります。また、ジェット機が離発着できる大島及び八丈島でスーパーヨットを積極的に受け入れることとし、海外へ広くPRしてまいります。さらに、島に滞在する間、海洋の豊かな自然に触れるダイビングや独自の文化を生かした工芸品の購入の機会などを設け、消費拡大に結びつけてまいります。
 地元町村や観光関係者と連携してこれらの取組を進め、寄港を促進することで島しょのさらなる振興を図ってまいります。

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