令和六年東京都議会会議録第二号〔速報版〕

   午後一時開議

○議長(宇田川聡史君) これより本日の会議を開きます。

○議長(宇田川聡史君) この際、あらかじめ会議時間の延長をいたしておきます。

○議長(宇田川聡史君) 次に、議事部長をして諸般の報告をいたさせます。

○議事部長(古賀元浩君) 監査委員より、住民監査請求について、地方自治法第二百四十二条第三項の規定により通知がありました。
(別冊参照)

○議長(宇田川聡史君) 次に、知事より、第八十号議案、第八十一号議案、第八十五号議案及び第八十六号議案の訂正の申出がありましたので、議事部長をして報告いたさせます。
   〔古賀議事部長朗読〕
一、議案の訂正について
(速報においては公文省略)

○議長(宇田川聡史君) 本件は、議長において、二月二十二日付をもって訂正を許可いたしました。

○議長(宇田川聡史君) これより質問に入ります。
 百十三番菅野弘一君。
   〔百十三番菅野弘一君登壇〕

○百十三番(菅野弘一君) まず、都議会自由民主党を代表して質問するに当たり、昨年十二月にお亡くなりになられました中村メイコさん、今月お亡くなりになられました赤松良子さん、小澤征爾さん、三名の名誉都民の皆様のご冥福を心よりお祈りいたします。
 そして、能登半島地震でお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表するとともに、一刻も早い復興を全力でご支援することをお誓い申し上げます。
 さて、都が発表した来年度予算は、総額十六兆円を超え、一般会計も過去最高となっています。
 一方、能登半島地震の経験を踏まえた災害対応力の強化、新興感染症に備えた医療体制の整備、直面する少子高齢化への対応、そして社会環境の変化を踏まえた経済対策からデジタル化の促進や環境対策の推進など、東京都は、多岐にわたる課題に直面しています。
 いずれも長期的展望に立って、実効性をしっかり検証しながら、計画的に取り組んでいく必要がある課題です。こうした観点から質疑を行います。
 まず、財政運営について伺います。
 令和六年度の一般会計予算規模は、八兆四千五百三十億円となり、三年連続で過去最大を更新しました。都税収入が堅調に推移していることにも支えられ、都が直面する様々な課題の解決に向けて大胆な施策を展開する中にあっても、財政規律の確保にも目を配らせた予算となっていると認識しています。
 しかし、過去を振り返ると、かつての美濃部都政では、好調な税収に支えられて多くの福祉施策を実施できたものの、その後の景気変動などの影響により、財政運営が困難な状況に立ち至ったこともありました。
 また、将来を見据えると、TOKYO強靱化プロジェクトでは、二〇四〇年代までの総事業費として十七兆円を掲げていることをはじめ、社会保障関係経費の増加など、首都東京には膨大な財政需要が見込まれています。
 首都直下地震や感染症などのリスクへの備えや、東京の成長に向けた投資にもしっかりと取り組んでいかなければなりません。
 国の総合経済対策の進捗に伴い、経済成長への歩みが進んでいくことが期待されるものの、海外景気の下振れリスクや物価動向の不確実性もあり、安穏とはしていられません。
 将来も見据えた健全な財政基盤を確保しながら、時代の変化に応じた先送りできない課題に対し、実効性のある施策を迅速かつ積極的に推進していくことが重要ですが、両立させることは容易ではありません。どのように取り組んでいかれるのか、知事の見解を伺います。
 ポストコロナという新たな時代に向けて、社会経済が動き始めました。一方で、ウクライナや中東においては、国際情勢の緊迫が続くなど、先行きには不確実性が増しています。
 国内では、能登半島地震の発生を踏まえた自然災害への備えをはじめ、足元の物価高騰の長期化や凶悪犯罪など、治安への不安も広がっています。そして、少子化の進行、超高齢化社会への突入など、課題は山積しています。
 まさに今、日本は正念場を迎えています。コロナ後の日本の発展には、東京の成長が不可欠です。都民の暮らし、都内企業の経営環境の実態を踏まえた対策に加え、これまでの社会構造から脱却し、時代の変化に対応していくことが求められています。
 先般、都の長期戦略である「未来の東京」戦略 version up 二〇二四が発表されました。これを踏まえ、東京の成長、発展に向け、どのように都政を運営していくのか、知事に伺います。
 今年元日の能登半島地震では、石川県を中心に多くの死傷者を出すなど、甚大な被害が発生いたしました。発生から二月近く経過しましたが、懸命な復旧作業にもかかわらず、いまだ道路やライフラインの復旧には多くの時間を要するといわれており、改めて自然の力が引き起こす災害のリスクの重大さが明らかになりました。
 東京も、切迫する首都直下地震や南海トラフ地震などをはじめ、様々な自然災害のリスクを抱えています。
 都は、一昨年立ち上げたTOKYO強靱化プロジェクトを昨年末にアップグレードしました。総事業規模を二兆円増やし、十七兆円というさらに大きな規模としたこのプロジェクトを着実に実行していくことが重要です。
 TOKYO強靱化プロジェクトについて、能登半島地震において顕在化した課題も踏まえ、一層取組を加速すべきです。知事の見解を伺います。
 長期にわたって取り組んでいく、このプロジェクトを着実に推進していく上で重要となるのが、実際にインフラ等の整備に関わり、災害時には復旧や復興などの重要な役割を持つ建設業界の力であり、特に地域に根差した中小の建設業者は、地域社会に欠かせない存在です。
 また、災害対策だけでなく、持続可能な都市づくりを進めるなど、東京の成長を支える上でもその存在は重要です。
 しかし、建設業界では、これまでも人材の不足や高齢化が課題となっており、時間外労働の上限規制による二〇二四年問題の影響が指摘される中、人材確保は今後ますます厳しくなっていくことが予想されます。工事書類のデジタル化やDXによる業務効率化などの取組も重要ですが、今後、建設人材の不足が、東京の災害対策や都市の成長のボトルネックになりかねません。
 東京の強靱化や成長の礎となる都市基盤整備を進める上で、その重要な担い手となる建設業が、働き方改革を実現しながら必要な人材を確保し、将来にわたりその役割を果たしていけるように、都としてどのように取り組むのか、知事の見解を伺います。
 建設業における働き方改革の推進を後押しするため、都は公共工事の発注者の立場から様々な取組を実施していますが、業界団体からは、いまだ工事関係書類の削減、簡素化を求める声があります。
 土木工事においては、受注者が完成させた構造物の寸法を測量し、その結果を基に出来形数量、つまり出来上がった形の実際の数量を算出して、工事の完成時に検査を受けることとされています。品質確保のために必要なことと理解するものの、受注者にとって、その根拠資料の作成は過大な負担となっているのが実態です。
 こうした受注者の負担に対し、その軽減に取り組むべきと考えますが、都の見解を伺います。
 首都東京の高速道路網は極めて重要なインフラであることから、我が会派はかねてより、さらなる機能強化を訴えてきました。能登半島地震では、被災地へのアクセスを確保する道路網の重要性が改めて認識されたところです。
 こうした中、TOKYO強靱化プロジェクトupgrade Ⅰでは、国が臨海部に整備した基幹的広域防災拠点について、高速晴海線によるアクセス強化が位置づけられています。
 一方で、高速晴海線は、築地から晴海までの区間がミッシングリンクとなっており、また、この広域防災拠点の周辺には、晴海線と連絡可能な出入口がありません。こうしたことから、都心と臨海部との連携強化に資する晴海線の延伸とともに、防災拠点と高速道路のアクセス強化を図ることが必要です。
 そこで、首都東京の強靱化にも資する高速晴海線の整備に向け、さらなる取組を推進すべきと考えますが、都の認識を伺います。
 大規模災害発生時には、被災者が命をつなぐ上で情報は極めて重要であり、スマホなど、通信デバイスの電源や通信環境を維持することが必要です。能登半島地震においても非常用電源やスターリンクなどが全国から届けられ、避難所や災害対策本部などで活躍したとの報道もありました。
 一方で、大規模災害発生直後は、被災区市町村から資器材の要請があっても、道路の閉塞や寸断などによっては、即座に搬送できない状況も想定されます。このため、都内の区市町村に対し、災害時の通信や電力の確保に必要な資器材をあらかじめ配備しておくべきと考えますが、見解を伺います。
 能登半島地震の甚大な被害は、首都直下地震への備えの重要性を改めて認識させられました。また、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射など、自然災害以外のリスクも高まっています。こうした中、首都東京の機能を維持できるように、万全の準備を行う必要があります。
 都は、都庁舎のバックアップとして、立川地域防災センターを設置していますが、建設から三十年以上が経過し、老朽化も進んでいます。そこで、センターのバックアップ機能をより強化すべく、抜本的に取り組むべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 太陽光パネルに関する災害時の取扱いについて伺います。
 今般、甚大な被害をもたらした能登半島地震は、家屋の倒壊や輪島朝市通りの焼失など、私たちに震災の恐ろしさを改めて痛感させました。家屋の倒壊等によりパネルが損壊した場合には、感電のリスクがあることから、地震の発生後、国やパネルメーカーが改めて注意喚起を行いました。
 首都東京においては、今後、太陽光義務化により、これまでにない規模のパネル設置が進められようとしていますが、大地震により大規模な火災が発生した場合に、本当に大丈夫なのかという不安を感じている都民もいるのではないでしょうか。
 都はこれまで、地震発生時における太陽光パネルの取扱いなどについて、Q&Aで周知していますが、義務化を推進する都として、こうした災害時のリスクについても、能登半島地震での実例を踏まえながら、想定を超えるのが災害であるということを念頭に、十分な対策を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 首都直下地震から首都東京の被害を軽減するために、特別区消防団が果たす役割は重要です。震災時において同時多発的に発生する火災に対応するため、より実際の災害現場に即した資器材の整備や訓練が必要であると考えますが、見解を伺います。
 能登半島地震では、救急救助等に道路が果たす役割が大きいことを改めて認識させられました。東京で大地震が発生した場合にも、瓦礫や段差により道路の通行機能に支障が出ることが想定されます。
 都は、緊急車両等の通行を確保するため、建設業者により道路啓開を実施するとしていますが、道路上に建物等が倒壊し、容易に除去ができない場合や、重機類の保管場所が都外にあり、作業開始までに時間を要する場合も想定されます。さらに、道路啓開の協力業者自身が被災し、道路啓開作業が実施できなくなるなどの事態も想定されます。
 このような不測の事態でも、資機材や労力のバックアップ体制を整えておくことにより、緊急車両等の通行機能を速やかに確保することが必要です。
 そこで、震災時における道路機能の早期回復に向け、都は、道路啓開にどのように取り組んでいくのか伺います。
 都民の安全を守るためには、戸建て住宅への液状化対策は重要であり、既存住宅も含めて対策を講じていくべきと考えますが、そのためには、事業者の協力が不可欠です。戸建て住宅の液状化対策支援について都の見解を伺います。
 能登半島では、ほぼ全域にわたり断水が発生し、一部地域では復旧に長期間を要する見込みと聞いています。水道管路の破損や広域的な送水を担う送水管が一ルートのため、断水が長期化したと聞いています。
 これまでも我が会派は、切迫する首都直下地震への対策の必要性を主張してきましたが、昨年度末に概成した避難所などの重要施設への供給ルートの耐震化のように、優先順位を踏まえ、取り組んでいくことが必要であると考えています。
 そして、水道施設に被害が生じた場合に備え、ほかの施設からの供給により、断水などの影響を少なくする管路の整備などの視点も重要です。
 こうした様々な施設整備に取り組み、水道システムの一層の強靱化を図っていくべきと考えますが、水道システムの強靱化に向けた取組について伺います。
 この間、多くの都内上下水道事業者の皆様が、厳しい寒さの中、復旧支援に取り組んでいらっしゃいます。ぜひ、知事からも被災地で活躍した方々へ感謝のメッセージを送っていただくことを要望しておきます。
 能登半島地震では、地域で声をかけ合って避難を行ったことで、津波などの難を逃れたという報道がありました。いざというときは、隣近所同士が助け合っていくことが重要であると改めて認識が広がっています。
 このような地域コミュニティの中核となるのが町会、自治会であり、防災、防犯、高齢者の見守りなど、様々な活動を行い、地域社会に大きく貢献されています。
 しかし、近年、加入者の減少による担い手不足など、状況は厳しさを増しており、マンションが多く建つ地域などで住民間の連携が進まないことや、地元の事業者の協力が得にくいことが課題となっています。
 地域における防災にとって欠かすことができない共助を推し進めるに当たり、町会とマンションなどの住民同士のつながりや、事業者を含めた連携を広げていくべきと考えますが、見解を伺います。
 首都直下地震などの大規模災害時において、在宅避難を継続しやすくするには、備蓄等による初期の対応に加え、給水ポンプやエレベーターなど、マンションでの生活を支える設備が機能するように備えることも重要です。
 都は、今年度から防災備蓄資器材の補助を行っていますが、マンションの防災力強化のため、さらなる支援を行っていく必要があると考えます。都の見解を伺います。
 耐震化が必要な古いマンションでは、高齢の区分所有者も多く、修繕積立金が十分ではなく、耐震化をはじめ必要な修繕工事ができていないと聞いています。最近では、工事費の高騰により工事が困難となる事案も多いようです。しっかりと管理の適正化を進めることで、マンションの耐震化を促進していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 東京の安全・安心について伺います。
 二〇二〇年三月、大川原化工機株式会社の主力製品である噴霧乾燥機について、警視庁公安部が、生物兵器が製造可能な機械と指摘し、同社が不正に輸出したとして、外為法違反の嫌疑をかけ、社長、取締役など合わせて三人を逮捕、起訴した事件は、十一か月にわたる長期拘束の後に起訴が取り消されることとなりました。全く火のないところに煙を立てるかのような捏造捜査はあってはならないことです。現在、本件については、国家賠償訴訟中でありますが、このような事案が疑われるケースが二度と起きてはいけません。
 今後、今回の事件を契機に捜査員に対する指導育成をどのように行っていくのか、警視庁の見解を伺います。
 感染症対策について伺います。
 都保健所は、コロナ禍において市町村や関係機関との連携を強化して対応してきたと聞いていますが、コロナで培った連携をここで終わりにするのではなく、通常業務においても常日頃からの連携強化を図っておくことで、次の感染症や災害が発生した際にも双方が協力体制を迅速に構築して対応できるものと考えます。
 今回、一月末に都保健所の体制、機能の強化策が公表され、その中で市町村連携課を設置することが盛り込まれています。新たな課を設置することで、どのように都保健所と市町村との連携強化を進めていくのか、見解を伺います。
 新型コロナ対応においては、保健所設置区市と比べると、保健所がない市町村では、当初、患者情報を含め十分な情報が行き届かなかったなどの情報共有の面や、役割分担が明確でなかったなどの課題があったと認識しています。次の新興感染症の際には、今回の教訓を生かした対応が必要です。
 今回の新型コロナ対応を踏まえ、区市町村と連携しながら新たな感染症への備えを着実に進めるべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年五月に新型コロナが五類感染症に位置づけられ、この三月には病床確保や高齢者等医療支援型施設など、これまで実施してきた新型コロナの特別対応は原則として終了することになります。
 新型コロナの特別対応が終了すること自体は、着実に通常の医療提供体制への移行が進んだことの表れでもあり、よいことだと思います。ただし、これで感染症対策の手綱を緩めてはいけません。重要なことは、今回のコロナ対応で培った経験や実績をいかに次の感染症危機に生かしていくかであります。
 都は、第四定例会での我が会派の質問に対し、次の感染症危機への備えとして、感染症予防計画を改定し、新たに保健、医療提供体制の確保に向けた数値目標を設定することとしていると答弁しました。今回改定する感染症予防計画の実効性を高め、次の感染症危機に備えるため、令和六年度における都の取組について伺います。
 ワンヘルスアプローチに基づく人獣共通感染症対策が今、注目をされています。新型コロナウィルス感染症やMERSやSARS、エボラ出血熱等は、動物から人へ、人から動物へ伝播可能であり、人と動物双方に感染する人獣共通感染症です。全ての感染症の約半数が人獣共通であるといわれております。また、薬剤耐性についても大きな課題となっております。
 こうした中、人と動物の健康、環境の健全化に関する分野横断的な課題に対して、関係者が協力し、その解決に向かって取り組むワンヘルスの考え方がより重要になっています。
 福岡県や徳島県では、その理念を推進するワンヘルス推進条例が制定されています。都として、ワンヘルスの考え方を施策に取り入れていくべきと考えますが、見解を伺います。
 昨年の我が国の出生数は、七十二万六千人という推計報道もあり、国が統計を取り始めた一八九九年以降、最も少なくなる見通しです。このような少子化の急激な進行は、国民、都民共通の重大な危機でもあります。人口が減ることは、税金を納める人も働く人も減るわけですから、国力が低下することになります。
 我が国は、年金等の社会機能を維持できるかどうかの瀬戸際であります。この現状を打開する鍵は、最も多くの若者が暮らす東京の動向です。全国ワーストの合計特殊出生率一・〇四を反転し、子供が増える東京を実現することが、日本の人口危機を打開するラストチャンスであると考えます。
 この間、我が会派は、積極的な子育て政策を講じ、子育て世代の経済負担の軽減を目指すよう提言し、令和六年度予算案には、〇一八サポートの継続や教育費の負担軽減などの新たな事業が盛り込まれています。
 少子化対策は、すぐに効果が出るものではありません。長期的な視点に立った施策充実が不可欠です。少子化への対応が待ったなしの中で、都は国と連携をして子育て政策をさらに強化していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 東京は、少子化対策として保育所の整備を拡充し、一定の成果を上げており、我が会派も子育て世代の負担軽減につなげるべく、施策を積極的に後押ししてきました。
 一方で、小学校入学時のいわゆる小一の壁についての悩みや不安の声が年々高まっています。区市町村が運営する公設の学童クラブは、十八時閉所、延長なしが一般的であり、預かり時間が短いことや、食事面など、利便性やサービス面に課題があると聞いています。
 都はこれまで、午後七時以降までの開所などを行う都型学童クラブ事業を実施してきましたが、共働き家庭が増えている中で保護者の不安や負担を軽減し、子育てを応援するべく、学童クラブの量的確保を進めるとともに、質のさらなる向上に向けしっかりと区市町村を支援していくべきです。
 新たな認証制度の創設に向けて、実施主体である区市町村や事業者などから丁寧に意見を聞き、実効性ある制度を構築し、小一の壁の打破に邁進すべきと考えます。都はどのように取り組むのか、見解を伺います。
 都が発表した少子化対策の現状二〇二四によりますと、子育てにおいて大変だと思うこととして、経済的負担の増加が四二・一%となっています。このことからも、少子化対策として経済的支援が重要であることが分かります。
 ゼロ歳から十八歳までの子供に月額五千円を支給する〇一八サポートの申請、そして支給が現在も続いていますが、多くの子育て世帯から喜びの声が寄せられています。
 我が党はこれまで、実施期間や財源の確保など事業継続に必要な検討を行い、継続して取り組むことを求めてきました。都は、子育て世帯の期待が高いこの事業を来年度以降も継続して取り組むべきと考えます。知事の見解を伺います。
 継続に当たっては、手続が複雑で分かりにくいといった申請者の声も踏まえ、今年度の申請情報を引き継ぐことなどにより、より簡便で手間のかからない申請方法とすべきです。併せて見解を伺います。
 給食費の無償化は、多くの子育て世帯から要望の強い政策であります。我々、都議会自民党は、子供真ん中社会を目指し、小池知事への令和六年度予算要望の中で給食費の無償化を強く要望させていただきました。
 今回は、負担軽減ということで最初の大きな一歩を踏み出したことは高く評価いたします。
 東京都として、引き続き子供たちの健全な成長を支える学校給食費の無償化を国の責任と財源において実現することを、継続して強く要望することを要望いたしておきます。
 一方で、完全無償化ではなく負担軽減としたことで、三多摩地域においては給食費の無償化ができる自治体とそうでない自治体に分かれてしまったことに大きな課題が残っています。
 令和五年十二月に市長会から、各市の実情に応じて、全てが学校給食費の負担軽減に取り組むことができる制度設計を行うよう要望があったことも踏まえ、都は、学校給食費の保護者負担の軽減に取り組む区市町村に対し二分の一の支援を行い、その取組の後押しをするとのことですが、この支援の意義について改めて知事のお考えをお伺いいたします。
 高校生等医療費助成事業については、子育て世帯からは喜びの声が届いています。一方で、政策形成の過程で実施主体である区市町村との連携に課題がありました。同じ東京都であっても、二十三区は所得制限も自己負担もありませんが、三多摩地域では所得制限と自己負担が残る自治体が多く、地域格差が生じています。
 加えて、東京都の十分の十の財源負担が令和七年度までとなっており、令和八年度以降の財源確保も大きな課題となっています。昨今の物価高騰や子育て支援政策により、多くの財源が必要となっています。特に、財政的に厳しい三多摩地域においては様々な要望が寄せられております。
 区市町村の声に都はしっかりと耳を傾けながら、事業が継続できるように、丁寧な対応と東京都による全額補助の継続を強く要望させていただきます。都の見解を伺います。
 介護ニーズがますます増大していく中で、介護人材対策は喫緊の課題です。昨今、あらゆる分野で人手不足が続いており、人材の獲得競争が激化しています。実際に介護現場からは、幾ら募集しても必要な介護人材が確保できず、やむを得ず人材紹介会社を頼らざるを得ないのが現状であり、経費的負担も大きくなっているとの声もあります。
 今後、必要な介護サービスを提供するための人材を確保していくためには、あらゆる観点からの支援を行っていくことが必要です。中でも他県と比べて家賃などの生活コストが高い東京においては、居住面での支援が重要であり、我が会派では支援の充実を一貫して主張してきました。また、介護職の賃金を都として上乗せして支援すべきであると強く要望、提案をしてきました。
 こうした東京の実情を踏まえ、介護従事者が安心して働けるよう、宿舎借り上げ支援の改善や、さらなる支援の充実を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度認知症の方を対象とする抗体医薬であるレカネマブが、昨年十二月二十日に保険収載され、保険が利く薬として販売開始され、同時に脳内アミロイドベータの蓄積状況を見るアミロイドPET検査も保険収載されました。
 都内でも、東京都健康長寿医療センターがいち早く患者への投与を開始しましたが、より多くの医療機関で、この新しい薬による治療を受けられるようになることが期待されます。
 新薬であるレカネマブの登場は、認知症の治療を発展させる大きな一歩ですが、それに伴い、安心して治療が受けられる医療体制や、本人や家族の生活をサポートする支援体制の強化が求められております。また、認知症の早期発見、早期ケアを社会全体で進めていくことがより重要になります。
 昨年の第四回定例会における我が会派の質問に対し、医療機関における新薬への準備状況なども踏まえながら、医療提供体制の整備を進めていくとの答弁がありましたが、都として、治療を望む方が最適な医療を安心して受けられるよう、医療提供体制の整備をどのように進めていくのか、見解を伺います。
 先日、児童相談所や区の子供家庭支援センターが関わっていた四歳の女児が亡くなり、薬物により死亡させた容疑で両親が逮捕されるという案件が発生しました。このような痛ましい案件が二度と起こらないよう、児童相談体制を一層強化することが急務です。
 都内では、八つの区立児童相談所が設置されている中、全国や都内各地から子供が集まるトー横問題をはじめとする、一自治体では対応できないような新たな課題が表れており、都全体でこうした課題を捉え、対応していく必要があります。
 都はこれまで、児童相談所業務において培ってきたノウハウを生かしながら、区立児童相談所や子供家庭支援センターに対し、リーダーシップを発揮し、東京全体の児童相談体制を強化していく必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 重度障害者への支援について伺います。
 今月初旬に、次期東京都障害者・障害児施策推進計画のパブリックコメントが公表されました。この計画は、今後三年間の都の障害者・障害児施策の推進の方向性を明らかにしたものであり、重要です。今後も、障害のある人、一人一人が安全・安心な生活を送るためには、施策の一層の充実が求められています。
 しかし、強度行動障害のある障害者や医療的ケアが必要な障害者など、重度障害者については地域の受皿が乏しく、家族の負担が非常に重くなっているとの切実な声があります。重度障害者が安心して暮らせる環境を整備していくことが急務です。
 我が会派は、四定の代表質問において、重度障害者の地域生活を支援する体制構築について、都が責任を持って進めるべきであるとして、地域生活基盤等の整備について質問を行いましたが、その際の答弁では今後検討するとのことでした。
 そこで、次期東京都障害者・障害児施策推進計画案が示されたことを踏まえ、グループホームなど、生活基盤や支援における連携体制など、重度の障害者の地域生活を支援する取組を一層強化すべきと考えますが、見解を伺います。
 自治体DXの推進について伺います。
 我が会派は、昨年の第四回定例会において、令和七年度までに移行することが求められている二十の基幹業務システムの標準化に向けて、区市町村が抱える課題の解決に対し、都が相応の覚悟を持って取り組むべきとの主張をいたしました。
 これを受け、都は、昨年十二月に標準化に向けた具体的な取組方針の策定や、国との精力的な調整を図ってきたと承知しています。
 その後、我が会派による働きかけなどもあり、国は必要な財源の確保や移行期限の柔軟な設定などを進める方向となりましたが、今後のランニングコストの負担などの課題も残されています。
 喫緊の課題である情報システム標準化への対応に加え、各区市町村がDXをさらに進めるためには、その推進体制や即戦力となる職員の確保など、人材面での充実も課題であり、支援を充実させていくべきと考えますが、見解を伺います。
 不登校の小中学生数が過去最多を更新し、いじめの認知件数は増加しています。小中高生の自殺者数も増加傾向にあります。これまで学校教育現場では様々な対策が講じられてきましたが、子供を取り巻く環境は一層厳しさを増し、深刻化しています。
 こうした状況を打開するには、問題を未然に防ぐ対策も重要です。そのため、従来の手法にこだわることなく、海外の先進事例を取り入れるなど、幅広い視点から実効性の高い対策を講じ、困難を抱える子供を支援していくべきと考えますが、見解を伺います。
 不登校の子供の状況は様々であり、多様な学びの場を確保していくことが重要です。一方で、我が会派は、不登校の子供の実態に応じ、教室に戻れるように支援することも大切であると主張してきました。
 これを受け、都教育委員会は、今年度から小中学校に支援員を配置し、校内の別室で学ぶ子供への支援を充実させており、一定の成果が見られているとのことです。そこで、支援員の配置を一層広げていくべきと考えますが、見解を伺います。
 教育は人なりといわれるように、教育の質や成果を左右するのは教員です。多忙な業務を抱える教員を取り巻く環境は深刻であり、早急に改善する必要があります。
 我が党はこれまで、教員の事務を補助するスクールサポートスタッフや、小学校の担任を補佐するエデュケーションアシスタントなどの配置を拡充し、教員の長時間労働の解消に向けた支援を充実するよう主張してきました。
 教員が安心して子供と関われる時間を確保するためにも、こうした外部人材の一層の活用を進めるべきと考えますが、都教育委員会の見解を伺います。
 都は、令和六年度から、私立高校などの特別奨学金補助事業の所得制限を撤廃し、都内私立高校の平均授業料まで実質無償化するとしています。施設整備費などは、この事業の対象にならないとはいえ、都立高校にとっては非常に大きな影響を受けることになります。
 都立高校の魅力向上に向けて、これまで東京都は様々な取組を進めてまいりましたが、これまでにない危機に対して、ギアを上げて対応していかなければなりません。
 東京都の学生人口は、あと六、七年は増加するとはいえ、その後は減少に転じます。しっかりとした対策を打ち出していかなければ、応募倍率が低い都立高校においては大きな課題です。特に、応募倍率が一倍を切っている都立校は、普通科の進路多様校と工科高校が多い状況ですが、それぞれのさらなる魅力向上に向けた都教委の決意と見解を伺います。
 環境対策について伺います。
 カーボンニュートラルの実現に向けては、再生可能エネルギーからつくるグリーン水素の製造と利用を加速させる必要があります。
 我が会派は、エネルギーの大消費地である都が自らグリーン水素の製造を行い、率先して普及拡大に取り組むべきと主張してきました。
 このたび、大田区の京浜島でグリーン水素の製造に向けた取組を始めたことは大きな一歩であり、次世代のエネルギーである水素を軸にした地域産業の活性化や、都の取組が民間事業者や全国の自治体に波及することが期待されます。
 また、水素の使い道としては、運輸や産業など幅広い分野での利用が可能であり、事業所や港湾エリアにおける脱炭素化の取組のほか、地元事業者による活用の視点も重要です。
 そこで、都が製造したグリーン水素を様々な事業者の現場で活用を図るとともに、グリーン水素を積極的に使おうとする事業者への支援を充実させる必要があると考えますが、都の見解を伺います。
 世界的に、荷主企業等がサプライチェーンの脱炭素化に取り組む中、港湾においても脱炭素化を図ることが必要条件となっています。
 国内最多のコンテナを取り扱う東京港においても、脱炭素化の取組を強力に進めることが求められており、都は昨年、東京港カーボンニュートラルポート形成計画を策定し、東京港の脱炭素化に向け、民間事業者と連携しながら、他の国内主要港に先行して様々な施策を展開しています。
 一方で、海外の一部の主要港においては、水素等の次世代エネルギーを活用した様々なプロジェクトが既に実施されるなど、コンテナターミナルにおける脱炭素化の動きが活発になっており、東京港が選ばれ続ける港となるためには、脱炭素化の取組をさらに強化していくことが必要です。
 東京港のコンテナふ頭における脱炭素化の取組を加速していくことが必要と考えますが、見解を伺います。
 経済対策について伺います。
 足元では、賃上げの動きや株価が三十年ぶりの水準となるなど、経済の潮目は明らかに変わってきています。
 国は、資産運用立国プランを打ち出し、資産運用会社の新規参入などを通じて国内外の投資資金を取り込み、成長分野へ十分な資金が供給される成長と分配の好循環の実現を目指しています。
 そして、資産運用立国の実現に向けて特区を設け、地域の主体的な取組と協働し、金融、資産運用サービスの集積、拡充に資する規制改革を進めることとしています。これを実現していくためには、首都であり、経済の中心である東京がその牽引役を果たさなければなりません。
 都は先日、金融・資産運用特区への提案に際し、サステーナブルな世界を実現するアジアのイノベーション、金融ハブを目指し、東京が、日本、アジア全体の成長に貢献していくと表明しました。
 今後、東京は、国の動きとしっかりと連携し、資産運用立国に向けた施策を展開していくべきと考えます。知事の見解を伺います。
 我が国のインフラや物流、交通を支える建設業や運輸業などは、今年の四月から時間外労働の上限規制が導入される二〇二四年問題に直面しています。
 今後、まちづくりへの影響を防ぐとともに、輸送力を維持していくためには、生産性を高めて、働く人々の残業時間を減らすことに加え、業界を挙げて人材の確保にしっかりと対応していくことが必要です。
 都は、二〇二四年問題に対応するため、業務の効率化や人材確保等に取り組む建設業、運輸業等への支援を早急に実施すべきと考えますが、見解を伺います。
 少子高齢化や地震などの災害、感染症など、中小企業を取り巻く環境の変化とともに、様々な商品やサービスへのニーズも日に日に変容を遂げており、安全や健康志向、EC市場の拡大、環境への対応など、企業に求められる課題は枚挙にいとまがありません。
 さらに、こうした変化への対応に挑戦する中小企業にとって、長引く原材料やエネルギー価格の高騰、為替の変動、人手不足などが大きな足かせとなっています。
 中小企業は、こうした目の前の課題にも正面から向き合うとともに、社会構造の変化にしっかりと対応していくことが求められています。
 経済の持続的な成長を実現するためには、厳しい状況に置かれている都内の中小企業が、経営努力を行い、様々な環境の変化に迅速に対応していくことが重要であり、都はこうした取組を後押しすべきと考えますが、見解を伺います。
 我が会派は、昨年の第四回定例会において、多摩・島しょ地域に広がる農業振興地域で頑張っている意欲ある農業者への支援の充実や、長期の貸出しを行う農地の所有者への奨励金の支給などを提案しました。
 東京農業の一層の発展を図るためには、こうした取組による農業振興地域の活性化が欠かせないと考えますが、都の見解を伺います。
 また、都内では、昨年度、七十七名の方が新規に就農されました。しかし、就農初期の段階では、小型の耕運機や農薬を散布する機器など、速やかに整備しなければならない機器も多く、これらを迅速に準備するための後押しも必要となっています。
 農業者が早期に経営を軌道に乗せることができるよう、小規模な施設や機器の導入について柔軟な支援を行うべきと考えますが、見解を伺います。
 都は、Tokyo Tokyo Pointというアプリの開発に令和六年度予算で五億円を計上しています。
 都内自治体では、既に独自の地域通貨アプリを運用しているところや、QRコードを印刷したカードを通じて消費喚起施策を展開しているところもあります。
 こうした状況を踏まえた上で、都がデジタル地域通貨プラットフォームを構築する意義を伺います。
 続いて、物価高騰対策臨時くらし応援事業について伺います。
 長引く物価高騰の影響により、国は、昨年の秋以降に、デフレ完全脱却のための総合経済対策により、住民税非課税世帯などに最大十万円の現金給付を行っています。また、都内の自治体においては、地域振興券や地域通貨を活用した住民の生活支援及び地域経済の活性化の取組が行われています。
 今般、都が低所得世帯に一万円分の商品券を支給することは、生活必需品の購入などに直接結びつく効果があると評価します。事業実施に当たっては、関係者の理解も得ながら実効性の高い事業としていくべきと考えますが、見解を伺います。
 中央卸売市場は、いうまでもなく、都民の日常生活に欠かすことのできない生鮮品等の流通拠点であり、その重要な役割を将来にわたって果たしていくことができるよう、開設者としての不断の取組が必要です。
 我が会派は、さきの第四回定例会において、物流危機や人材不足をはじめとして、卸売市場における外部環境の変化に的確に対応していくため、改革に向けた取組を市場業者任せにするのではなく、都がこれまで以上に積極的に支援していくことを求めてきました。
 今後、環境変化に果敢に挑戦する市場業者に対して、支援の拡充を図るべきと考えますが、都の見解を伺います。
 多摩のまちづくり戦略について伺います。
 多摩のまちづくり戦略は、「未来の東京」戦略などを上位計画として、地元自治体の都市計画マスタープランへの取組を反映させ、まちづくりを推進するとしています。
 人口約四百三十万人が暮らす多摩地域は、各地域により事情が異なるため、地元自治体と都が意見交換を十分に図りながら拠点づくりを進めることが不可欠であり、また、民間など多様な主体と連携を図ることも重要です。
 都は、今回、約十五年ぶりに多摩の拠点整備基本計画を見直し、市や町の意見も踏まえ、多摩のまちづくり戦略(素案)を取りまとめました。
 そこで、多摩のまちづくり戦略の策定の意義と、それを基にどのように各地域の拠点づくりを進めていくのか伺います。
 多摩・島しょ地域の各市町村は、人口減少や少子高齢化、公共施設の老朽化など、多岐にわたる課題を抱えており、財政負担は増加しています。
 これまで我が会派は、市町村の行財政基盤の安定強化と多摩・島しょ地域の一層の振興を図るため、市町村総合交付金の充実を粘り強く都に求めてきました。
 依然として厳しい財政状況にある都内市町村が、今後も増加する財政需要に対応できるよう、より一層の財政支援が必要と考えますが、知事の見解を伺います。
 能登半島地震では、道路が広範囲に寸断されたことから、多数の地域が孤立化するとともに、緊急車両の通行や物資の搬入、輸送が大変困難な状況に置かれるなど、深刻な課題が浮き彫りになりました。
 こうした災害の脅威から都民を守るためには、都道だけではなく、道路ネットワークを構成する市町村道の整備を着実に推進するとともに、道路の機能を発揮させるために、適切に維持管理を行うことが重要です。
 これまでも、都道や国道に比べ整備が遅れている市町村道の整備や老朽化対策への補助金拡充など、制度の充実を求めてきており、財政の厳しい多摩・島しょ地域の市町村に対する継続的な支援を行うことが極めて重要です。
 そこで、市町村道の支援に関する都の取組を伺います。
 近年、世界的にスーパーヨットと呼ばれる船の数が増加しつつあります。スーパーヨットは、外国人の富裕層などが所有している大型クルーザーのことであり、乗員が多いこともあって、寄港先への経済効果が大きいことが注目されています。
 国の調査によれば、スーパーヨット一隻当たりで数千万円程度の経済効果をもたらす事例もあるとのことであり、こうした船が多く寄港することを通じて、海外の富裕層が東京を訪れるようになれば、東京の経済全体にとって大きなメリットが期待できると考えます。
 この点、豊かな自然と文化を誇り、多くの港がある東京の島しょ地域は、スーパーヨットの寄港先の一つとしてふさわしいエリアであり、地元の理解を得ながら受入れを積極的に進めることで、島しょ地域の経済活性化に貢献するとともに、東京への海外富裕層の取り込みにつなげることができると考えます。
 都は、島しょ地域へのスーパーヨットの受入れを積極的に進めるべきと考えますが、都の取組を伺います。
 知事は、施政方針演説の中で、自動運転の実装に向けた取組を加速させることを表明されました。二〇二四年問題でドライバー不足が予測されるだけではなく、高齢者が免許返納した際の移動手段の確保など、公共交通の充実が求められる中、路線バスの廃止や減便による公共交通の維持確保が社会的課題になっています。
 こうしたことから、公共交通に自動運転技術を活用していくことが必要と考えますが、今後の取組について知事の所見を伺います。
 気候危機、自然災害など、世界の各都市が大きな課題に直面しており、解決に向け、各都市の連携協力は不可欠です。
 小池知事は、今月上旬、オーストラリアと台湾を訪問しました。都知事として十六年ぶりの訪問となる台湾では、現地メディアにも大きく取り上げられました。蔡英文総統や頼清徳次期総統、オードリー・タン・デジタル担当大臣と様々な課題について意見交換したとお聞きしております。
 現地で顔を合わせ、知恵を出し合い、また、都政を発信することは、東京のプレゼンス向上にも大きく寄与するものと考えます。今後も、都知事と都議会が都政の両輪として、それぞれに海外を訪問するなど、海外都市との連携をさらに深めるとともに、他の都市を牽引しながら課題を解決し、その果実を都政に還元することが重要であると考えますが、知事の見解を伺います。
 世界陸上及びデフリンピックの開催がいよいよ来年に迫っています。世界陸上は世界最高峰のアスリートが集う大会であり、前回の一九九一年の東京大会では、カール・ルイスや男女マラソンの日本選手の活躍に日本中が沸き立ったことを、私も鮮明に記憶しています。
 三十四年ぶりに東京で、かつ二〇二〇大会のメインスタジアムでもあった国立競技場で開催されることは、スポーツの力で東京を元気にし、とりわけ子供たちに夢と希望を与え、レガシーを次世代につないでいくことになります。
 さらに、同年に開催されるデフリンピックは、まさに共生社会の象徴となる大会です。
 大きな価値をもたらす両大会の開催に向けて、我が会派は、かねてから果敢に取り組むことを求めてきました。
 都は、両大会の開催支援を令和六年度予算案に計上したことに加え、大会に向けた機運醸成や大会後のレガシーを見据えた指針として、ビジョン二〇二五アクションブックも先月公表いたしました。
 都が大会に関わっていくために重要な取組を取りまとめたものともいえ、その内容を着実に形にしていっていただきたいと思います。特に、大会に向けた機運を高めていくためには、住民に身近な区市町村との連携が必要不可欠です。
 そこで、世界陸上、デフリンピックの機運を高めていくため、区市町村との連携をさらに強化していくべきと考えますが、都の見解を伺います。
 カスタマーハラスメントは、店員と消費者といった接客の現場だけではなく、無理難題への対応を迫られやすい取引先との関係や、発注者と受注者など、企業同士でも起こり得ます。学校現場や官公庁など、公共サービスの現場も例外ではなく、教員の成り手不足などの要因にもなりつつあります。
 民間、公務を問わず、様々な場所で弱い立場の人に向けられるハラスメント行為は、人手不足に悩む社会を直撃する事態となっており、お客様サービスを維持可能なものとしていくためにも、働く人を社会全体で守るという毅然とした対応が急がれます。
 こうした中、都独自の条例化の検討が知事から表明されたことには、大きな意義があります。都は、条例において、都内で仕事をするあらゆる人がハラスメントの被害者にも加害者にもならず、互いに尊重される社会を東京から実現すべく、カスタマーハラスメントに厳しく対応し、そうした行為をなくす取組を進めていくべきですが、知事の見解を伺います。
 カスハラは、我々議員も他人ごとではありません。有権者、行政職員、議員間それぞれにおいて、これまでも表面化している課題があります。ここにいる全ての皆様と共に、襟を正してまいりたいと思います。
 東京都は、コロナ禍を乗り越え、新たな明日に向かおうとしています。将来を展望するとともに、都内各地域の実態を直視し、これまで区市町村とともに積み上げてきた都政の成果と知識、経験を踏まえ、実効性のある施策を計画的に進めていくべきであることを申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 菅野弘一議員の代表質問にお答えいたします。
 財政運営についてのお尋ねでございます。
 都は、都市の強靱化や少子高齢化に伴う社会保障関係経費の増など、将来にわたり多くの財政需要を抱えております。都民の負託に確実に応えるため、積極的な施策展開と持続可能な財政運営との両立が不可欠であります。
 こうした考えの下、令和六年度予算では、人が輝く社会の実現に向けた取組をはじめ、都市力を磨き抜く施策に大胆に財源を振り向けたところであります。同時に、都と政策連携団体の取組に着目した新たな事業評価を実施するなど、施策の見直しや事後検証を一層促進いたしました。
 また、将来を見据え、一定の基金残高を確保し、都債残高を減少させるなど、財政対応力にも目配りをいたしております。
 今後もこうした取組を通じまして、継続的な施策展開を支え得る強固で弾力的な財政基盤を堅持し、持続可能な首都東京を実現してまいります。
 都政の運営についてであります。
 人口減少、高齢化の進行、国際競争力の低下など、我が国が先送りしてきた課題が社会の中で先鋭化し、これらの解決は、もはや待ったなしの状況にあります。
 長きにわたる感染症との闘いを乗り越えた今こそ、持続可能な未来をつかみ取る好機であります。
 安全・安心で世界から人や投資が集まり、全ての人が輝く都市へと進化していく、こうした観点から、バージョンアップした戦略を基に、セーフ、ダイバー、スマートの三つのシティを実現し、そこから生み出される人の活力で東京の成長へとつなげてまいります。
 災害への備えの加速や治安対策等をはじめ、将来に向けた少子化対策、アクティブ長寿社会の実現、イノベーション創出など、日本社会、経済の構造的課題に踏み込み、首都東京から変革を先導いたしてまいります。無限の可能性を秘めた東京のポテンシャルを、明るい未来の東京を切り開く原動力へと変えてまいります。
 こうした強い信念の下、都政のかじ取りに邁進をしてまいります。
 次に、TOKYO強靱化プロジェクトについてであります。
 いつ起きてもおかしくない首都直下地震や激甚化、頻発化する風水害などの脅威から、将来にわたり都民の生命と暮らしを守り抜くことが、都政に課せられた使命であります。
 こうした思いの下、昨年末にプロジェクトをアップグレードいたしました。耐震化や不燃化に向けた支援の拡充や気候変動に対する豪雨対策のレベルアップ、富士山噴火時の降灰対策のさらなる具体化など、取組を強化いたしまして推進してまいります。
 さらに、今般の能登半島地震を踏まえまして、戸建て住宅の液状化対策をはじめ、避難所の電源確保や衛星通信機器の配備の拡充など、強靱化の取組を一層加速してまいります。
 今後も、備えよ常にの視点に立ち、施策を不断に見直しながらプロジェクトを推進し、強靱で持続可能な首都東京を実現してまいります。
 次に、建設業の人材確保についてのお尋ねであります。
 我が国の生産年齢人口が減少する中、建設業が将来にわたり都市づくりや災害時対応の担い手の役割を果たしていくためには、働き方改革を推進し、人材の確保に取り組むことが重要であります。
 そのため、都発注工事におきまして、施工時期の平準化や週休二日を確保した適切な工期の設定などを一層推進してまいります。
 また、次世代を担う人材の確保、育成に向けましては、業界団体を通じた中小企業へのサポートや、国や業界団体と連携した建設業の魅力の発信、現場で活躍する若手技能者の表彰などを実施いたします。
 今後もこうした取組の実効性を高めながら、強靱で持続可能な都市の実現を支える建設業の人材確保を着実に後押しをしてまいります。
 次に、立川地域防災センターの機能強化についてでございます。
 切迫性が高いとされる首都直下地震など様々な災害に的確に対応できますよう、発災時の体制を構築しておくことは重要です。
 都は、国民保護計画や、昨年十一月に改定した都政BCPにおきまして、立川地域防災センターを都庁舎の代替施設として位置づけておりまして、ミサイル攻撃を含むあらゆる災害リスクに備えることが必要です。
 今後、立川地域防災センターのレジリエンス強化に向けまして、建て替えも含めました検討を行って、基本構想を策定いたします。
 こうした取組によって備えを強化し、都民の安全・安心を確保してまいります。
 少子化対策についてのお尋ねであります。
 歯止めのかからない少子化は、我が国が直面する最大の危機であります。この困難に対し、一刻の猶予もないとの思いで、〇一八サポートや第二子の保育料の無償化など、都としてなし得る取組を矢継ぎ早に実践してまいりました。この手を緩めることなく、さらに加速してまいります。
 来年度予算には、これまでの取組の継続実施に加えまして、学校給食費の負担軽減や高校等授業料の実質無償化に大胆に踏み出すなど、妊娠、出産、子供の成長段階を通じまして、子育て世帯の不安解消を図る施策を幅広く盛り込みました。
 最重要課題として取り組む国とも連携をいたしまして、実効性ある取組を迅速に展開するとともに、継続的な要因分析と長期的視点からの効果検証によりまして多面的な考察を深め、望む人が安心して子供を産み育てることができる社会の実現を目指します。
 次に、認証学童クラブについてであります。
 共働きが当たり前の現代におきまして必須のインフラともいえる学童クラブの充実に向け、都独自の運営基準による新たな認証制度の創設に取り組んでまいります。
 都は来年度、制度の創設に向けまして、保護者や事業者などからご意見を伺い、要望や課題を把握するとともに、学校や区市町村などの参画を得て具体的な内容を検討いたします。
 さらに、学童クラブの充実に先行して取り組む区市町村を支援いたします。
 こうした取組によりまして、小一の壁の打破に向けまして、全力で取り組んでまいります。
 次に、〇一八サポートについてでございます。
 都は、少子化対策に先手先手で取り組んでおりまして、〇一八サポートはその一環として実施をし、社会全体で子育てを応援するというメッセージを発信してまいりました。
 国におきましても少子化対策を進めておりますが、都としては、発信したメッセージをさらに定着させていくため、来年度も継続して実施をいたします。
 今後とも、子供と家庭を支えていくため、国の動向などを踏まえながら、必要な施策に取り組んでまいります。
 次に、学校給食費の負担軽減についてであります。
 教育は、子供の健全な育ちを支える重要な基盤であります。子育て世帯は様々な悩みを抱えており、とりわけ学校給食費は、多くの家庭にとりまして大きな負担となっております。
 学校給食費につきましては、国の責任と財源において無償化を実現すべきものでございますが、現下の状況を踏まえまして、都として国に先行し、区市町村が来年度当初から学校給食費の保護者負担軽減に取り組めますよう、その費用の二分の一を都が支援することといたしました。
 より多くの自治体で取組が行われますよう、区市町村と連携し、支援を行ってまいります。
 次に、資産運用立国についてでございます。
 国内外の資金を投資に振り向け、イノベーションと経済成長を生み出す大きな流れをつくる。こうした国の資産運用立国の取組は、都が目指す国際金融都市構想と軌を一にするものでございます。人材や企業が集積し、都市の魅力を備える首都東京が、日本、アジアの成長を牽引し、持続可能な社会への中心的役割を果たさねばなりません。
 何より大切なのは、言葉の壁を超えたグローバルスタンダードな都市の実現であります。AIを活用し、企業情報の英文開示を推進するとともに、教育、医療を含めたエコシステムの高度化に取り組む。
 アジアのサステーナブルファイナンスを牽引するグリーンボンド、トランジションボンド等の支援、投資を担う資産運用業者の育成を強力に推進をいたします。先日提出いたしました規制改革の特区提案をベースに、国とも議論を重ねまして、関係機関との緊密な連携の下、効果的な施策を推進し、資産運用立国の実現に貢献してまいります。
 次に、市町村に対する財政支援についてでございます。
 多摩・島しょ地域におきましては、人口減少への対策や産業の振興などに加えまして、長引く物価高騰や防災対策の強化など、様々な課題に直面しております。こうした課題の解決に向けまして、各市町村が地域の実情に応じたきめ細かな施策を展開できますよう、幅広い財政需要に対応した支援が重要であります。
 このため、市町村の取組に対します包括的な財源補完制度であります市町村総合交付金を令和六年度は二十八億円増額しまして、六百二十億円を計上いたしました。
 今後とも市町村のご意見を十分に伺い、政策連携枠も含め、総合交付金を有効に活用していただくことで、市町村の主体的な取組を支援してまいります。
 次に、公共交通への自動運転の活用についてのお尋ねでございます。
 自動運転技術は、高齢者をはじめとする移動制約者が増加する中、深刻化する運転手不足への対応など、社会的課題を解決できる可能性を有しておりまして、公共交通に自動運転を生かしていくことが重要でございます。
 このため、都は、コミュニティバスなど地域の公共交通を担う区市町村等による自動運転の活用を推進するため、支援方策として、導入手順や安全対策等を示すガイドラインを本年三月に策定をいたします。
 また、将来の完全自動走行の実装に向けましては、運行経費等に対する負担軽減を図るため、令和六年度に補助制度を創設する予定でございます。
 こうした技術、財政の両面からの支援によりまして、区市町村等による公共交通の確保、充実を促進いたしまして、自由自在で快適に移動できる都市を実現してまいります。
 次に、海外都市との連携についてでございます。
 二十一世紀は都市の時代といわれておりまして、都市の役割の重要性は増しております。様々な課題が先鋭的に表れる都市は、互いの知見を共有しながら、その解決に率先して取り組んでいかなければなりません。
 こうした考えの下、都はこれまでも海外都市との連携を進めまして、国際会議の開催や、都が有する技術力の国際展開を通じまして、都市課題の解決に取り組んでまいりました。
 過日、私自身もニューサウスウェールズ州と台北市を訪問いたしまして、脱炭素の取組等を発信するとともに、強靱な都市の実現等に共に取り組むことを合意いたしました。
 今後も、都議会の皆様方とも連携しながら、都市間交流を直接深め、世界最先端の知見に触れ、そこで得られた成果を都民のための政策展開につなげるとともに、東京のプレゼンスを高めてまいります。
 最後に、カスタマーハラスメントへの対応についてお答えいたします。
 製品を買い求める顧客やサービスの利用者等から過大な要求や不当なクレームを受け、働く方が人格を傷つけられ精神的なダメージを受ける状況をなくすことを目指しまして、適切な対応を進める仕組みづくりは不可欠であります。
 公労使会議の議論を受けまして、専門家等が検討を進め、こうしたハラスメントに関して、民間や公共サービスの現場の実態やルールづくりの必要性が明らかとなりました。サービス提供等の最前線に立つ従業員や職員に対し、社会的な常識や通念を超えた言動を行うことを抑えたい。
 カスタマーハラスメントの考え方と防止に向けました理念を幅広く明確な形で示しまして、対応のよりどころとなる条例の制定を検討いたします。その実効性を確保するガイドラインもつくり、現場の状況に応じた取組の後押しにつなげてまいります。
 働く方が安心して仕事に打ち込める環境をつくり上げるため、今後も議論と検討を積み重ねてまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監、教育長、都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監緒方禎己君登壇〕

○警視総監(緒方禎己君) 捜査員に対する指導育成についてでありますが、ご指摘の事案については、現在係属中の国家賠償請求訴訟に先立ち、刑事訴訟において公訴が取消しとなっており、このことを真摯に受け止めております。
 捜査が法と証拠に基づき緻密かつ適正に行われるべきことは当然であり、こうした観点からこれまでも、証拠の十分な吟味、供述の裏づけ捜査の徹底、取調べの基本の遵守、捜査指揮の徹底等について教養を実施してまいりました。
 今回の件を契機として、警視庁では、公安部に新たに捜査指導官を置き、本部や警察署の捜査に関する指導を強化するとともに、捜査幹部の研修を充実させ、指揮官としての能力の向上を図るなど、部内教養をさらに強化しております。
 こうした取組を進めながら、緻密かつ適正な捜査を推進し、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処していく所存であります。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、別室で学ぶ子供のための支援員の配置についてでございますが、教室に入れない子供の学びの場を学校内に確保し、個別の支援を実現するため、今年度、都教育委員会は、不登校の子供が多い小中学校に、教員の助言の下、学習指導や相談対応を行う別室指導支援員を配置しております。
 学校からは、別室での少人数の関わりをきっかけに担任や友達と会話ができるようになった、別室の学習で自信をつけ、支援員の付添いで教室での授業に参加できるようになったなどの報告を受けております。
 今後、支援員の配置拡充により子供が学校で安心して生活できる場を創出し、別室での学びを充実させるとともに、教室での学習にもつなげられるよう取組を強化してまいります。
 次に、教員を補佐する外部人材の活用についてでございますが、都教育委員会では、教員の負担軽減を図るため、教材準備等を行うスクールサポートスタッフを希望する全ての小中学校へ配置することに加え、来年度は、時間外勤務が多い約二百校へ新たに複数配置いたします。
 また、小学校低学年で副担任相当の業務を担うエデュケーションアシスタントについては、担任の負担軽減と子供の安心感等に効果があることから、全ての小学校に配置いたします。
 こうした外部人材の活用により教員の負担を軽減するとともに、教員が子供と向き合う時間を増やし、学校教育の質の向上を図ってまいります。
 次に、都立高校の魅力向上に向けた取組についてでございますが、都教育委員会では、進路が多様な普通科高校や工科高校の特色に応じた取組を推進しており、今年度の志願者数等は昨年度よりも増加しております。
 来年度は、スキルアップ推進校として指定した普通科高校において、デジタルスキルの検定講座を実施するとともに、ビジネスマナー研修や企業での職場体験を組み合わせたプログラム等を実施してまいります。また、工科高校では、電気工事士や自動車整備士等のものづくりの資格取得に係る講座の受講料を補助するなど、実践的なスキルの習得を支援してまいります。
 さらに、これらの高校のPR動画やリーフレットを作成し、広報も一層強化してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、震災時の道路啓開の取組についてでございますが、発災後、救急救援活動などを円滑に行うためには、道路の通行機能を速やかに回復することが重要でございます。
 このため、都は、道路啓開に必要な資機材や労力の提供などを定めました協定を建設業協会と結ぶとともに、協力業者約五百社にあらかじめ区間を割り当て、早期に道路を啓開する体制を整えております。また、協力業者の作業が困難となった場合にも、建設事務所間の調整等により別の業者が補完するなど、臨機に対応することとしております。
 今後、資機材の確保先のさらなる拡大に向け、建設業協会以外の団体との連携を深めますとともに、実践的な訓練を継続的に実施し、災害対応力を一層向上させてまいります。
 次に、市町村道の整備等を支援する取組についてでございますが、市町村道は都道や国道と一体となって道路ネットワークを形成し地域交通を支えるとともに、災害時には避難、救援など、防災性の向上に資する重要な都市基盤でございます。
 このため、都は、市町村道の新設、改良や橋梁の長寿命化などについて技術的、財政的支援を実施してまいりました。
 来年度からは、緊急輸送道路網の強化等に資する道路について、路面補修等に係る経費の補助率の上限を十分の三から二分の一に引き上げるなど、支援を拡充してまいります。
 今後とも、市町村道への支援を着実に実施し、多摩・島しょ地域の振興や防災性の向上に貢献してまいります。
   〔財務局長山下聡君登壇〕

○財務局長(山下聡君) 工事受注者の負担軽減に関するご質問にお答えいたします。
 工事関係書類の削減等に取り組むことは、受注者の負担軽減につながり、現場の生産性を高めることから重要でございます。
 このため、都はこれまで、書類の様式等に関する基準の改正などを行い、削減、簡素化に取り組んでまいりました。
 お話の土木工事における出来形数量に関する根拠資料につきまして、今後その一部を省略するなど、さらなる受注者の負担軽減に向けた検討を進め、仕様書等に反映してまいります。
 こうした取組を推進し、公共工事の発注者として、引き続き建設業の働き方改革を後押ししてまいります。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、高速晴海線の整備についてでございます。
 高速晴海線は、都心と臨海部の一体的なまちづくりに不可欠であり、また、災害時には臨海部に位置する広域防災拠点とのアクセス強化が図られる重要な路線でございます。
 このため、都は、高速晴海線の整備を強靱化プロジェクトに位置づけ、道路構造の検討の深度化に取り組んでいくとともに、高速道路出入口の検討も進め、防災拠点と高速道路をランプによって結ぶことで、災害時の応急対策活動を支える交通網を強化してまいります。
 引き続き、都は、高速晴海線の整備に向け、有料道路事業の積極的な活用など、国などの関係機関と連携した取組を推進してまいります。
 次に、戸建て住宅の液状化対策についてでございます。
 能登半島地震において、戸建て住宅への被害が広域的に発生しております。被害を軽減し、都民の生活再建が早期に図られるよう、戸建て住宅の液状化対策を進めていくことが重要でございます。
 このため、令和六年度から、所有者等が行う液状化対策のための地盤調査や対策工事に関わる費用への助成を新たに開始いたします。これに併せ、ハウスメーカーや地盤調査会社等の業界団体等と協議会を立ち上げるなど、協力体制を構築するとともに、既存住宅の液状化対策に関わる工法認定の取得に向けた事業者等への支援を実施いたします。
 これらにより、戸建て住宅の液状化対策を推進してまいります。
 最後に、多摩のまちづくり戦略についてでございます。
 新たな暮らし方、働き方の浸透など、社会状況の変化により、まちづくりの抱える課題は多様化、複雑化しております。こうした状況に的確に対応し、誰もが身近な地域で活動でき、快適に暮らせるまちの実現を目指し、ハード、ソフトの両面から多摩拠点形成など三つのプロジェクトを示しました。
 拠点の形成に向け、多様な主体が連携し、課題解決を図るまちづくりマッチングシステムを構築するとともに、道路交通ネットワークの充実を契機とした地域のまちづくりを支援するなど、都は地元自治体と連携の上、魅力あふれる多摩の実現に向けて取り組んでまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 災害時の通信環境と電力確保についてでございますが、今回の能登半島地震では、被災者に対する必要な情報の発信や家族との安否確認等のために、通信環境や電源の確保の重要性が改めて浮き彫りになりました。
 都はこれまで、災害対策本部が設置される庁舎への非常用電源を確保する区市町村を支援するほか、モバイル衛星通信機器を試験的に導入して、台風接近時等に島しょ地域で活用し、有効性を確認してまいりました。
 今後、区市町村等と連携し、平時から非常用発電機やモバイル衛星通信機器を各地域に配備するとともに、発災時には被害の大きい自治体へ重点的に再配備するなど柔軟に運用し、電源や通信手段を機動的に確保してまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 太陽光パネルに係る災害時の取扱いについてでございます。
 災害時の安全性確保に向け、平時より正確な情報を繰り返し都民に周知し、適切な行動を促すことが重要でございます。
 都は、震災時等の太陽光パネルの自立運転への切替え方法や避難時の留意事項等をQ&Aにまとめ、周知してまいりました。
 現時点で、さきの地震での太陽光パネルに起因する被害は確認されてございません。今後も、業界団体と共に情報収集、分析に努め、都民の安全・安心につなげてまいります。加えて、発災時には防災部局と連携し、プッシュ型で注意喚起を行ってまいります。
 また、消防庁はパネルが設置された建物の火災においても隊員の安全性を講じ、放水での消火活動を行ってございます。
 都は、今後とも的確な情報発信に努めてまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 特別区消防団の震災時の活動についてでございますが、地震による被害を軽減するためには、地域の実情に精通した消防団の災害活動力を強化することが重要でございます。
 このため、震災時における消防団活動のポイントを示したマニュアルを整備するとともに、震災を想定した消火や救助等の訓練を消防署隊と連携して実施するなど、災害活動力の強化を図ってまいりました。
 来年度は、地震により瓦礫が散乱している状況下においても、迅速かつ容易に消火用ホースを延長できるホースバックを整備するとともに、安全性や動作性を向上させた防火服の導入に向けた調査を予定しております。
 今後とも、特別区消防団の災害活動力の充実強化に努め、震災時の被害軽減を図ってまいります。
   〔水道局長西山智之君登壇〕

○水道局長(西山智之君) 水道システムの強靱化についてでございますが、地震による断水被害の軽減には、水道施設の耐震化とバックアップ機能強化の両面から取り組む必要があり、能登半島地震の被害からもその重要性を改めて認識をいたしました。
 耐震化については、断水率が高いと想定される地域で管路の耐震継ぎ手化を重点的に進め、断水被害を一層効果的に軽減してまいります。また、施設が被害を受けた場合でも、バックアップ機能を確保するため、令和六年度は、導水施設の二重化や送水管のネットワーク化に向け、新たに六路線、計約二十三キロメートルの工事等に着手をいたします。
 こうした取組を推進し、首都東京を支える基幹ライフラインとして、一層強靱な水道システムを構築してまいります。
   〔生活文化スポーツ局長横山英樹君登壇〕

○生活文化スポーツ局長(横山英樹君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、地域防災における取組についてでございますが、地震や風水害など様々な災害に備えて、町会、自治会を中核とした地域コミュニティにおいて、つながりを構築、強化し、共助の力を高めていくことは重要でございます。
 都は来年度、町会向けの助成事業において、防災活動の助成率を十分の十に引き上げるなど支援を一段進め、地域の事業者等との連携につなげてまいります。また、町会とマンションの合同防災訓練の支援を通じ、地域における助け合いの輪が広がるよう取り組んでまいります。
 区市町村や東京都町会連合会とも連携して、制度の活用が図られるよう取り組み、地域における防災力強化を後押ししてまいります。
 次に、世界陸上及びデフリンピックにおける区市町村との連携についてでございますが、大会の成功には、多くの方々に大会の意義や魅力を知ってもらい、応援していただくことが重要でございます。
 このため、都は、都民に身近な区市町村の協力を得て、各種イベントで大会情報を発信してまいりました。さらに、来年度は競技を体験できるコンテンツを充実し、スポーツの楽しさを実感してもらい、大会への関心を高めてまいります。
 加えて、大会に向け、区市町村が独自の事業を展開できるよう、機運醸成に係る取組について補助率を引き上げるなど、一層の支援を行います。
 こうした連携を通じて開催機運を高め、多くの都民の理解と参画を得ながら、両大会の成功につなげてまいります。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、マンションの防災力のさらなる強化についてでございますが、地震や水害の後もマンションでの在宅避難を継続しやすくするためには、備蓄などに加え、停電に備えた非常用電源確保や浸水への対応など、様々な対策が重要でございます。
 都は今年度、東京とどまるマンションに登録したマンションに防災備蓄資器材への補助を行い、備蓄や訓練などのソフト面での取組を促進してまいりました。
 来年度は、これを拡大するとともに、ハード面での防災力強化に役立つエレベーター、給水ポンプのための自家用発電設備や蓄電池等の非常用電源設置、浸水時の電源保護のための止水板設置等につきまして、新たに補助制度を創設いたします。
 こうした取組により、管理組合等の備えを強力に後押ししてまいります。
 次に、マンションの耐震化についてでございますが、工事費が高騰する中、耐震化を進めるためには、適切な改修計画の作成と管理適正化の一層の促進により、計画的な積立て等を進め、資金面での不安の払拭が不可欠でございます。
 都はこれまで、管理状況届出制度で把握した耐震性不足等のマンションに、建築士等の専門家派遣による改修計画案、概算費用や資金計画の提示などを実施してまいりました。
 今後、修繕積立てが不十分なマンションを的確に把握できるよう、制度の見直しを進めるとともに、管理組合の状況を十分に踏まえながら、区市町等と連携し、専門家派遣や耐震改修補助等の支援策を効果的に提供してまいります。
 こうした取組により、マンションの耐震化を一層推進してまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、都保健所と市町村との連携強化についてでございますが、地域保健の広域的、専門的、技術的拠点として重要な役割を担う都保健所におきまして、保健サービスのさらなる推進や健康危機へ的確に対応するには、新型コロナ対応で培った市町村との連携を一層深めることが重要でございます。
 このため、都は来年度から、多摩地域の都保健所に新設する市町村連携課に市町村ごとの専任の担当職員を配置し、日常的に市町村等との意見交換を行い、地域の状況やニーズをきめ細かく把握するなど、市町村との顔の見える関係を強化いたします。
 こうした取組を通じ、地域の健康課題の解決や災害、新興感染症への備えを着実に進めてまいります。
 次に、都保健所による新興感染症への備えについてでございますが、都保健所では、感染症予防計画を踏まえ、感染症発生時の組織、人員体制や、関係機関との連携、訓練の実施などを盛り込んだ健康危機対処計画を今年度策定いたします。
 この対処計画に基づき、新設する市町村連携課を中心に、市町村や医師会等、関係機関と協議しながら、役割分担や情報共有の内容、方法などについて具体化を図るとともに、市町村や関係機関等と連携した感染症対応訓練を毎年度実施し、その効果検証を行ってまいります。
 また、こうした取組を対処計画の見直しにつなげることで、感染症発生時にも地域で連携し、より迅速に対応できるよう、平時からの準備を計画的に推進してまいります。
 次に、新たな感染症による危機への備えについてでございますが、都は今年度改定する感染症予防計画で、新型コロナへの対応実績も踏まえ、新興感染症発生時の確保病床や発熱外来等の数値目標を設定するとともに、医療機関等との協定を締結し、体制確保を進めることとしております。
 来年度は、協定締結を加速し、感染症発生時に備えた設備整備への支援や医療従事者向けの研修を実施いたします。
 また、都の計画と整合性を図り、予防計画を策定する保健所設置区市や、医師会等が参画する連携協議会におきまして、感染症危機に備えた役割分担や連携方法の具体化などを進め、都が総合調整権を発揮し、統一的かつ機動的な対策が講じられる体制を構築してまいります。
 最後に、ワンヘルスについてでございますが、新興、再興感染症の多くが動物を感染源としていることから、人、動物、生態系の健康を一つと捉え、関係者が連携して課題解決に取り組むべきとするワンヘルスの考え方が広がっております。
 都は、動物由来感染症に関する発生動向の監視や、動物及び河川等における薬剤耐性菌の調査、野生動物が生息する自然環境の保全などに取り組んでおります。
 今後ともワンヘルスの考え方を踏まえ、様々な機会を捉えて感染症に関する正しい知識の普及啓発などに取り組むとともに、関係者が互いに連携協力して施策を実施してまいります。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、〇一八サポートの申請手続についてでございます。
 都はこれまで、オンラインでの申請手続に関する様々なご意見を踏まえまして、申請サイトの改善に取り組んでまいりました。
 来年度は、今年度申請いただいた方につきましては、申請情報を引き継ぐことによりまして、原則としてプッシュ型での支給とし、改めての申請は不要といたします。
 また、来年度出生する方や都内に転入する方など、新規に申請する方には、従来の申請方法に加えまして、国と連携し、保護者と子供両方のマイナンバーカードをかざすだけで申請が完了する新たな方法も導入いたします。
 こうした取組によりまして、簡単、便利な申請、迅速、効率的な支給につなげてまいります。
 続きまして、高校生等医療費助成事業についてでございます。
 本事業は、所得制限や一部自己負担を設けた上で、都と実施主体である区市町村との負担割合を二分の一ずつとすることを基本的な枠組みとしておりまして、今年度の事業開始から三年間は、都の負担割合を十分の十としております。
 昨年度、都と区、都と市町村との間でそれぞれ本事業に係る協議の場を設置し、これまで事業の実施状況の確認などを行ってまいりました。
 今後、事業の実施状況や課題などを踏まえまして、令和八年度以降の財源の取扱いなどについて、協議の場において区市町村と丁寧に議論を重ねてまいります。
 続きまして、介護人材確保対策についてでございます。
 都は、介護職員の確保、定着、育成に向けまして、職場体験や資格取得支援のほか、介護職員の宿舎借り上げに取り組む事業者を支援するなど、様々な取組を実施してまいりました。
 来年度から、宿舎借り上げ支援事業は、一戸当たりの助成期間の四年制限を撤廃するなど支援を拡充いたします。
 また、新たに、国が報酬等について必要な見直しを講じるまでの間、介護職員と介護支援専門員を対象に、月額一万円の居住支援特別手当を支給する事業者に対しまして、社会保険料の雇用主負担相当分を含めまして、令和六年四月分から支援をいたします。
 さらに、人材確保の観点から、勤続五年目までの介護職員には一万円を加算し、二万円の支援を行ってまいります。
 続きまして、認知症治療における医療提供体制についてのご質問でございます。
 新たな抗体医薬の投与は、脳内出血等の重篤な副作用への迅速な対応などが可能な医療機関において、リスク等を管理、説明できる医師の下で行われる必要がございます。
 そのため、都は、都内医療機関に対し、抗体医薬への対応について調査を実施し、今月二十日時点で二十四の病院から投与可能との回答をいただいております。
 来年度からは、医師向けの相談窓口の設置や医療従事者等向け研修などを開始し、抗体医薬に関する専門的知識の提供などを行うなど、希望する方が身近な地域で抗体医薬による治療を受けられますよう、医療提供体制の整備を進めてまいります。
 次に、児童相談体制の強化についてでございます。
 都におきましては、都児童相談所、その管轄区域にある区市町村の子供家庭支援センター、児童相談所業務を自らの責任で実施する区立児童相談所等が、それぞれの役割の下、相談支援を行っております。
 大都市東京では、一時保護の長期化やトー横問題など、単一の自治体では解決できない広域的、専門的な課題が顕在化しており、こうした課題に的確に対応するためには、都が総合調整を行うことにより、都内全域の相談援助業務を標準化するなどが必要でございます。
 これを踏まえた上で、都は児童相談センターの体制を強化し、都児童相談所の管轄内の子供家庭支援センターへの支援を充実するほか、区立児童相談所に対しても必要な支援を行うなど、都全体の児童相談体制を強化してまいります。
 次に、重度障害者の地域生活への支援についてでございます。
 重度障害者が地域で安心して暮らすためには、障害の特性に応じた生活基盤の整備や支援の充実が重要でございます。
 このため、都は、次期東京都障害者・障害児施策推進計画案におきまして、地域生活基盤の整備目標のほか、新たに重度障害者の支援に係る目標を設定いたします。
 来年度は、重度障害者を受け入れるグループホーム等の整備費補助基準額を一・五倍にするとともに、民間事業者への補助率を引き上げるほか、障害者の生活を地域全体で支える体制構築に向けまして、地域生活支援拠点の機能強化に取り組む区市町村を支援いたします。
 こうした取組により、重度障害者が安心して暮らせる環境整備を図ってまいります。
 最後に、物価高騰対策についてでございます。
 都は、物価高の影響を特に大きく受けている低所得者世帯の不安を和らげるため、緊急対策として、令和五年度最終補正予算案に必要な経費を計上いたしました。
 具体的には、住民税非課税世帯等を対象として、生活必需品の購入を支援するため、一世帯当たり一万円分の商品券等を送付いたします。
 より多くの対象世帯に支援が届きますよう、今後、商品券の種類などの詳細な内容につきまして、区市町村や関係団体等の意見を丁寧に伺いまして、地域性や利便性にも配慮しながら検討を進めてまいります。
   〔デジタルサービス局長山田忠輝君登壇〕

○デジタルサービス局長(山田忠輝君) 二点のご質問にお答えいたします。
 初めに、区市町村のDX推進に向けた支援の強化についてでございますが、基幹業務システム標準化の着実な推進に加え、質の高い住民サービスを実現するためには、現場の課題に即した支援の充実が重要でございます。
 来年度、新たに都は、GovTech東京とともに各自治体の標準化検討チームに参画し、技術力を生かした支援を開始いたします。さらに、標準システムの移行後を見据え、運用経費縮減に向けた技術的な取組にも着手いたします。
 また、新たにデジタル人材を区市町村に紹介する事業の開始に向け、即戦力となる人材の募集をGovTech東京が今月スタートいたします。
 今後とも区市町村への幅広い支援を展開し、オール東京のDXの底上げを図ってまいります。
 続きまして、新たな地域通貨プラットフォームについてのご質問でございます。
 多くの都民が利用している民間QRコード決済を活用し、迅速かつ効果的に、都庁各局や区市町村の多様な事業に活用できるデジタル共通基盤をGovTech東京と協働して構築いたします。
 来年度は、高齢者向けスマホ教室など、都の事業のインセンティブとして参加者にポイントを付与し、都内加盟店で利用できるようにいたします。また、区市町村の地域振興等への対応を見据え、自治体独自のアプリやQRコードとも連携できる基盤として整備を進めてまいります。
 デジタルの力で、スマホで簡単、便利に都民にサービスを利用してもらえるよう、オール東京での活用を目指してまいります。
   〔子供政策連携室長田中慎一君登壇〕

○子供政策連携室長(田中慎一君) 困難を抱える子供への支援についてでございます。
 海外の先進的な実証研究におきまして、居心地がよい学校環境では子供のメンタルヘルスの問題が少なく、不登校対策等への高い効果が報告されております。
 学校環境にアプローチすることが問題発生の未然防止に有効であることを踏まえまして、都は先月、東京都医学総合研究所と協定を締結し、学校の居心地を向上させるプロジェクトを立ち上げました。
 来年度から、都教育委員会との連携の下、都立学校のモデル校で生徒のニーズに基づきます学校の居心地向上に資する活動を開始し、生徒のメンタルヘルスのさらなる改善を図るとともに、活動の効果を科学的に検証することで、問題発生を予防する都独自の仕組みを構築してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、グリーン水素の活用に向けた支援についてでございますが、東京でゼロエミッションを実現するため、再生可能エネルギーによるグリーン水素の利用を広げるためのサポートは重要でございます。
 都では、グリーン水素に関し最先端の技術を用い、都有地で生産する取組を進めております。こうした水素に関し、モビリティーや、電気では対応が難しい高温の熱の供給をはじめ、幅広い産業等での利用を図ってまいります。このため、水素ステーションでの利用に加え、来年度、事業所の温水製造設備や高温のバーナーの導入への助成を行います。
 また、グリーン水素を継続し利用する事業者を認証し、そのコスト負担を減らす支援を行い、一層の活用を促してまいります。
 次に、建設や運輸等の事業者の働き方改革についてでございますが、中小の建設や運輸等の分野で、今年の四月より時間外労働に上限が適用されるため、生産性の向上と人材の確保に向けた取組を後押しすることは重要でございます。
 これまで都は、生産効率の向上に役立つ設備導入の経費に支援を行ってまいりました。今後は、建設や運輸等の会社が生産性を高め、時間外労働の短縮などに役立つデジタルの設備などを導入する場合の助成を充実いたします。
 また、中小企業の人材確保のため、業界団体を通じ実施するサポートに関し、運輸業で社員の運転免許の取得を進める取組等への経費助成の上限額を引き上げます。
 これらを速やかに行い、中小企業の一層の支援を進めてまいります。
 次に、中小企業の経営環境の変化への対応についてでございますが、中小企業が事業の発展を図る上で、様々な経営環境の変化に応じ、市場のニーズを調べ、販路を確保し、効果的な生産体制をつくることは重要でございます。
 このため、都は来年度、中小企業が新たな経営環境に対応するため様々な取組を一体的に進める場合への支援を開始いたします。具体的には、中小企業が市場調査を行い、それに基づき国内外の見本市に出展し、新たな取引に係る高性能な生産設備や品質向上に役立つ機器等を導入する一連の経費に関し助成を行います。また、そうした取組が確実に進むよう、専門家を派遣し助言を実施いたします。
 これらによりまして、中小企業の経営を着実に後押しをしてまいります。
 次に、農業振興地域の活性化についてでございますが、東京の農業振興地域の利用を促進し、農業者の経営規模の拡大や就農者の増加につなげることは重要でございます。
 これまで都は、同地域において、農道等の生産基盤やパイプハウスなどの施設の整備を後押しするほか、農地の貸手と借手をマッチングする支援を行ってまいりました。
 来年度は、農業振興地域に関し、農業者の経営の拡充に役立つ施設等の整備に係る助成の充実を図ります。また、耕作地の拡大を目指す農業者や新規の就農者に対し、農地を長期にわたり貸し出す取組を増やすため、貸主に土地の面積に応じた奨励金の支給を開始いたします。
 最後に、新規就農者への支援についてでございますが、東京の農業の振興を図る上で、新規の就農者が施設や機器を円滑に確保し、安定した経営を早期に実現できるよう支援することは重要でございます。
 これまで都は、農業を始めて間もない方が、生産に必要な施設の整備や機器の購入を一体として進める取組に対し、区市町村と協力し、経費助成を行ってまいりました。
 来年度は、新規就農者が農業用の小型機器の導入や簡易なパイプハウスの整備を行う場合、それらの内容に詳しい農業団体と連携し、速やかに助成する仕組みを開始いたします。
 これによりまして、東京農業の振興を進めてまいります。
   〔港湾局長松川桂子君登壇〕

○港湾局長(松川桂子君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、東京港における脱炭素化の取組についてでございますが、都はこれまで、太陽光発電設備の設置を進めるとともに、荷役機械における水素活用に向けたプロジェクトに着手するなどの取組を推進しておりまして、来年度は東京港の脱炭素化の実現に向け、取組をより一層推進してまいります。
 具体的には、コンテナふ頭における主要なCO2排出源の一つでございますトレーラーにつきましても水素等を燃料とし、ふ頭内の荷役作業に使用する国内初のプロジェクトに着手いたします。また、全てのコンテナふ頭で使用する電力を、再生可能エネルギー由来の電力に切り替えてまいります。
 今後も引き続き、国や民間事業者と連携して脱炭素化を進め、世界から選ばれ続ける東京港を実現させてまいります。
 次に、スーパーヨットの寄港促進についてでございますが、外国人の富裕層等が所有するスーパーヨットの寄港を促進することは、東京の観光振興に資するとともに経済効果も期待できることから重要でございます。
 このため、都は、スーパーヨットのオーナーが主としてプライベートジェットで寄港先に移動することを踏まえ、ジェット機が離発着できる空港が立地する大島の岡田漁港及び波浮港、八丈島の神湊漁港及び洞輪沢漁港におきまして、地元の理解を得ながら先行的に受入れを進めてまいります。さらに、利用者のニーズに応じた設備の拡充等を図ってまいります。
 今後、他の港におきましても、受入れに向けた協議を地元自治体等と進め、東京のさらなる観光振興につなげてまいります。
   〔中央卸売市場長早川剛生君登壇〕

○中央卸売市場長(早川剛生君) 市場業者に対する支援についてでございますが、都はこれまで、経営支援策等により、市場を取り巻く環境の変化に向き合う市場業者の取組を後押ししてまいりました。
 来年度は、物流二〇二四年問題や深刻化する人材不足など、より一層厳しさを増す環境に対応するため、支援制度の拡充を図ります。
 具体的には、場内物流の効率化に向けた物流対策コンサルティング事業や設備投資に要する費用の五分の四を補助する事業を新たに開始いたします。また、労働環境の整備や人材マッチングに向けた専門業者の活用に要する経費を補助する枠組みを新たに設けます。
 こうした取組を通じ、市場業者の目下の経営課題の解決を図り、安定的な生鮮品等流通の確保を図ってまいります。

○議長(宇田川聡史君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩

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