令和五年東京都議会会議録第十三号

○副議長(本橋ひろたか君) 十三番桐山ひとみさん。
   〔十三番桐山ひとみ君登壇〕

○十三番(桐山ひとみ君) ミライ会議の桐山ひとみです。
 小池知事推奨の「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」では、失敗の教訓として、異質な人や情報を排除する多様性のない組織、独善的で閉鎖的な組織、組織の末端の情報、アイデアが中枢につながる本質的な議論が許されない組織、失敗から学習しない組織が、衰退する組織の特徴として挙げられています。
 小池都庁体制は、都民に情報を隠し、都民との対話を拒み、都民よりも都庁組織を優先した縦割り行政が展開され、現場での本質的な議論が許されず、本当の情報や重要なアイデアが中枢に伝わらないなど、日本軍の失敗と重なります。このままでは一千四百万人都民の命を預かる都庁組織が衰退の一途をたどります。
 都庁では、組織としての決定ということが横行しています。組織決定を全員の責任とすることは、集団的無責任状態を生み出し危険です。
 組織としての決定を常套句に、責任者や担当者を都民に明らかにしないのは責任逃れであり、行政がやってはいけないことですが、それが小池知事の選挙スローガン、都民と決める姿なのか伺います。
 また、東京都の組織決定はどう行われているのか、意思決定を行う責任者はどう特定しているのか伺います。
 知事肝煎り政策は、組立て段階から具体的なデータや方法論がなく、効果が確認できないなど、無駄が目立ちます。
 国際金融都市ランキングは、小池知事就任時三位だったのが、二〇二〇年九月に上海に抜かれて四位、その後七位、去年の三月は九位、九月は十六位、今年三月は二十一位と凋落が続いています。
 知事が宣言をしたロンドン、ニューヨークに次ぐ国際金融都市東京は実現可能なのか、知事に伺います。
 次に、〇一八サポートです。
 知事は、今年一月四日、少子化対策はもはや一刻の猶予も許されない、都が先駆けて具体的な対策を充実させていくと宣言をし、所信表明では、〇一八サポートを妊娠、出産から子育てまでシームレスに支えるとの姿勢を象徴するものと述べており、その位置づけも曖昧です。
 〇一八サポートが全国最低の東京都の出生率向上に役立つ具体的なデータ及び根拠を伺います。
 〇一八サポートの事業そのものを知らない都民もいますし、十七万人もの誤送付事件もありました。また、申請手続はスマホで簡単と銘打っていますが、実際は煩雑で都民は困っています。
 知事は、九月二十二日の記者会見で、結構さくさくできましたという人は結構多いと述べましたが、手続が大変なのは都の責任ではなく、申請者の責任なのか、知事に伺います。
 〇一八サポート給付金は、一時金か手当か伺います。
 来年一月に支給すれば、二月、三月分は前払いになりますが、子供関係の給付で前渡しする例及び不当利得になった場合の返還手続を伺います。
 既に、授業料不徴収や教科書無償給与が法律で定められていますが、都が国に先駆けて行う子育て支援は、行政の縦割りにとらわれないよう進めることが必要です。
 効果も不明、そして制度的に課題のある〇一八サポートは廃止をし、給食の完全無償化や補助教材、体操着など無償化など、義務教育完全無償化に充当すべきですが、都の見解を伺います。
 私たちは、妊娠や出産について多様な考え方を尊重します。しかし、知事が事業化した女性キャリアアップを目的とする卵子凍結への補助は、根本が間違っています。都が公的に支援すべき卵子凍結は、医師と相談しつつ行う、病気や疾患で医療的に不妊になる可能性がある女性です。
 女性がキャリアを損なわないよう労働慣行を改革することが先決で、卵子凍結を税金で支援するからキャリアアップして働けというのは本末転倒ですが、知事の見解を伺います。
 また、都のスキームで卵子売買を防止できるか伺います。
 健康な女性に対する卵子凍結の予算を廃止して、病気により妊孕性が低下する場合の卵子凍結の充実に充てるべきですが、知事の見解を伺います。
 英語スピーキングテストです。
 昨年度、ESAT-J受験対象者の公立中学校卒業生七万八千四百九十三人のうち、都立高校の英語科目を受検したのは三万四千五百七十八人で卒業生の四四%でした。また、ESAT-Jの結果はスコアレポートだけ、音声結果は希望者のみに提供されるので活用のしようがありません。私立学校は都教委の管轄下にないから、私立学校で活用するかどうかは私立学校の勝手というのは無責任です。
 都立及び私立の高校でESAT-Jの成果がどう活用されているのか伺います。
 ESAT-Jの成果が高校で有効に活用されている証拠が示されない限り、都立高校の英語科目を受検しない五六%の中学三年生の経費は無駄な支出として査定すべきですが、財務局長の見解を伺います。
 知事は、九月十五日の記者会見で、ジャニーズの性加害問題について重大な人権侵害だと発言をしています。教員による児童生徒への性加害も重大な人権侵害です。外に厳しく身内に甘い、そのような都庁ではいけません。公立の中学校、小学校の教員任命者は東京都教育委員会です。
 わいせつ行為を行った練馬区立中学校の校長の任命責任について伺います。
 また、これまで赴任した学校での被害実態の調査、被害者への謝罪、心のケアなどが必要ですが、その教員を任命した都の見解を伺います。
 知事が重用した都庁幹部が教育委員会勤務期間に行ったセクハラ懲戒処分は、職員から相談があった懇親会に限ったものと聞いています。
 幹部職員が行ったほかのセクハラ、パワハラの被害の実態調査、被害者への救済措置、ケアを行う必要がありますが、都の見解を伺います。
 九月七日、ユネスコの世界文化遺産の指定を行う際の諮問機関であるイコモスからヘリテージアラートが発出されました。文化遺産登録のときにはお願いするが、都合の悪い場合は無視をするという手前勝手な対応では、文化を尊重する国際文化都市に値しません。
 イコモスのヘリテージアラートに対して、都の対応を知らせ、意見交換をすることが成熟をした都市東京の国際機関との付き合い方ですが、知事の見解を伺います。
 知事は、九月十五日の記者会見で、九月十二日付の事業者への要請文に関する質問に、文言どおりと突き放していますが、それだけでは都民は分かりません。
 事業者は報告までは新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手しない、事業者の報告を環境影響評価審議会で審議をするということなのか、知事に伺います。
 また、グリーンビズを推進する知事は、百年前に植えられた樹林も屋上緑化も芝生も面積で評価すべきと考えているのか伺います。
 東京はロンドンやニューヨークに文化の面で水をあけられています。どこにでもある高層ビルを建てることが再開発の本質ではありません。
 イコモスのヘリテージアラートを契機に、高輪築堤や明治神宮外苑を保全し、世界文化遺産へと高めていく努力をすべきですが、知事の見解を伺います。
 宗教法人と東京都の関係です。
 知事は、九月十五日の記者会見で、明治神宮内苑護持の資金捻出のため、JSCや三井不動産、伊藤忠商事は協力して外苑再開発をしていると述べました。
 JSCの土地は国有地ですが、国が特定の宗教法人を支援することは憲法違反です。また、JSCの秩父宮ラグビー場の土地価格は明治神宮の土地よりも高く、未利用地扱いで、無から金を生むといわれる空中権もあり、市場価格で土地交換を行えば、明治神宮は持ち出しになります。
 都は、令和五年度に権利変換計画を認可する予定ですが、明治神宮に利益をもたらすからくりについて、国の土地適正取引額と明治神宮の利益額について伺います。
 また、二〇一二年五月に都が森喜朗氏に説明をした計画を二〇一四年七月十日に高層ビルを建てられる恒久サブトラックなしの計画に変更した理由は、明治神宮に利益を得させるためなのか伺います。正しい情報がなければ議論ができません。明治神宮の経理を公開してほしいと思いますが、知事の見解を伺います。
 また、明治神宮の経営支援を目的に外苑再開発で都市計画の権限を行使することは、憲法第二十条の政教分離違反ではないかと考えますが、知事の見解を伺います。
 次は、三井不動産と東京都の関係です。
 これは、明治神宮外苑再開発と三井不動産との関係を示したものです。(パネルを示す)神宮外苑は三井不動産で埋め尽くされています。三井不動産は日比谷公園、芝公園、日本橋の首都高地中化による日本橋沿いの再開発、さらには築地再開発も手がけようとしており、都と三井不動産の関係は度を越しています。
 知事は、日本テレビの取締役である三井不動産の菰田会長と会っているのか伺います。
 二〇一三年以降の十年間で三井不動産とグループ会社に就職をした都職員OBの人数を伺います。
 都市計画公園、緑地を三井不動産等ディベロッパーに譲り渡し、高層ビルやにぎわい施設を立地させる公園まちづくり制度を廃止すべきです。知事の見解を伺います。
 次は、東京の再開発とメディアの関係です。
 新秩父宮ラグビー場建設では、読売新聞や日本テレビ、フジサンケイニッポン放送が参加して当事者となり、中立的立場を失いつつあり、極めて深刻です。
 九月九日の日本テレビ、世界一受けたい授業は、ほぼ小池知事のPR番組であったと仄聞していますが、出演経緯を知事に伺います。
 新秩父宮ラグビー場の入札では、三井不動産・メディア連合が圧倒的な低価格で落札をしました。築地市場跡地の入札でも、三井不動産・メディア連合が横暴し、出来レースとのうわさもあります。
 築地市場跡地の公募は、新国立競技場のように第三者的な専門家だけで審査を行い、その上で都が判断する手続を徹底すべきですが、知事の見解を伺います。
 最後に、小池知事の二元代表制に対する見解及び議員質問に知事が答弁する、しないの基準について、知事の答弁を求めます。
 本来、東京には困難を突破する力があります。ミライ会議は、小池都知事をはじめ、都庁幹部の独善的で閉鎖的な都政運営を改めるよう求め、引き続き改革に邁進をしてまいります。
 以上で私の一般質問を終わります。(拍手)
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○教育長(浜佳葉子君) 桐山ひとみ議員の一般質問にお答えします。
 まず、義務教育に係る費用についてでございますが、憲法では義務教育を無償とすることが定められており、無償とは、最高裁判決で授業料不徴収の意味と解するのが相当であり、その他教育に必要な一切の費用の無償を定めたものではないとされております。
 次に、スピーキングテストの成果の活用についてでございますが、公立、私立の高校等に進学する全ての生徒が返却された成績を今後の学習に役立てることができます。
 また、各都立高校では、生徒の話すことの力を把握した上で指導を行うなど、効果的に活用しております。
 次に、都教育委員会の任命責任についてでございますが、都教育委員会では教職員による児童生徒への性暴力は断じてあってはならないとの考えの下、全教職員による自己点検や研修等を通じ、性暴力の防止に取り組んでおります。
 当該事案については、警察の捜査状況を踏まえ、厳正に対処いたします。
 次に、児童生徒の被害の把握等についてでございますが、当該事案については警察が慎重に捜査を進めているものと承知をしております。
 都教育委員会では、性暴力の早期発見に向けて、弁護士による第三者相談窓口を設置し、広く相談を受け付けるとともに、児童生徒への相談シートの配布や啓発ポスターの掲示等を行っており、今回の事案も窓口への相談をきっかけとして、警察等と連携して適切に対応したものでございます。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 三点のご質問にお答えいたします。
 組織としての決定についてでございますが、都では、事案決定規程等に基づき、事案の決定権者を定め、都民に対する説明責任を果たすことを目的としている公文書等の管理に関する条例に基づき、文書によって事案決定を行うこととしてございます。
 次に、職員の懲戒処分についてでございますが、懲戒処分は指針に基づき、非違行為の社会的重大性や信用失墜の度合い、その他個別の事情等を総合的に考慮の上、決定してございます。
 最後に、職員の再就職についてでございますが、毎年度、再就職状況について公表してございます。お話の企業に再就職した人数は、平成二十五年度からの十年間で三名でございます。
   〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) 国際金融都市に向けた取組についてのご質問にお答えいたします。
 我が国には、英語力といった言葉の壁などの課題がございます。一方で、個人金融資産や確固たる法の支配などの強みがございます。
 こうしたことを踏まえまして、東京が持続的に成長し、世界をリードするグローバルな国際都市となることを目指し、都は国際金融都市構想を策定し、海外投資の呼び込みや国際化に向けた様々な施策を展開しております。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、〇一八サポート給付金についてでございますが、都は、今日の危機的な少子化の状況を踏まえ、これまで進めてきた少子化対策のさらなる充実強化に取り組んでおります。
 続きまして、〇一八サポートの申請手続についてでございますが、多くの方が申請を完了しており、今後とも申請される方への案内の充実など、日々、申請システムの改善に取り組んでまいります。
 続きまして、〇一八サポート給付金の取扱いについてでございますが、〇一八サポートは子供一人一人の成長をひとしく支えるための給付金として、子供本人に支給するものでございます。
 続きまして、〇一八サポート給付金の返還についてでございますが、〇一八サポートは来年一月に一年間分を一括支給することとしており、支給後に都外に転出したことにより、対象外の期間が生じた場合は、法令等に基づき返還いただくことになります。
 次に、〇一八サポートについてでございますが、都は今日の危機的な少子化の状況を踏まえ、これまで進めてきた少子化対策のさらなる充実強化に取り組んでおります。
 すみません、ちょっと答弁書を忘れました。――大変失礼いたしました。
 続きまして、卵子凍結への支援についてでございますが、都は、女性が自分らしく人生を送るための選択肢を広げられるよう、卵子凍結への支援を開始いたしました。また、本事業は凍結卵子の売買、譲渡などを行わないことを要件としております。
 最後に、卵子凍結への支援の対象についてでございますが、本事業は子供を産み育てたいと望んでいるものの、様々な事情によりすぐには難しい方にとって、将来の妊娠に備える選択肢の一つとなるよう支援するものでございます。
 なお、都はこれまでも、AYA世代の若年がん患者等に対し、卵子凍結などの費用を支援しております。
   〔財務局長山下聡君登壇〕

○財務局長(山下聡君) 教育施策に関するご質問にお答えいたします。
 都の予算編成では、全ての事業について様々な角度から分析と検証を行い、必要な予算を計上しております。
   〔政策企画局長古谷ひろみ君登壇〕

○政策企画局長(古谷ひろみ君) 四点のご質問にお答えします。
 まず、国際機関への対応についてでございますが、国内外を問わず、必要に応じ適切に対応しております。
 次に、東京グリーンビズについてでございますが、本プロジェクトは価値観や都市の役割の多様化を踏まえ、緑の価値を高め継承していく考えの下、始動いたしました。これまでも公園や緑地などを増やすとともに、生態系に配慮した取組等を進めております。
 次に、メディア対応についてでございますが、都の政策面から個々の番組の内容を総合的に勘案し、判断しております。
 最後に、二元代表制についてでございますが、議会と知事をはじめ執行機関がそれぞれの役割を十分に果たすことで、真に都民のための都政を実現していくものでございます。
 なお、これまでも適切に答弁しております。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 要請文についてでございますが、これは新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、樹木保全に関する具体的な見直し案の提示を要請したものでございます。
 なお、環境影響評価審議会については、条例に基づき適切に対応されるものでございます。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 八点のご質問にお答えいたします。
 まず、高輪築堤及び神宮外苑の保全についてでございます。
 当該事業者が地区の歴史や文化、景観などとの調和を図りながら進めていくものでございます。
 次に、再開発事業に関わる認可についてでございます。
 これらの手続は、都市再開発法に基づき行っているものでございます。
 次に、サブトラックについてでございます。
 関係地権者等とまちづくりの調整を進める中で、恒久サブトラックを設置する空間余地がないことなどから、整理されたものでございます。
 次に、明治神宮の経理の公開についてでございますが、都としてお答えする立場にございません。
 次に、都市計画の権限についてでございます。
 都市計画については、関係法令等に基づき適切に対応しております。
 次に、知事の面会についてでございますが、事業者に対し神宮外苑が国民からの献金、献木などで造営されたという歴史や成り立ちを踏まえるよう、直接要請を行っております。
 次に、公園まちづくり制度についてでございます。
 この制度は、都心部にある長い間供用されていない区域を含む都市計画公園において、公園機能の早期発現と良好なまちづくりの両立を実現するものであり、ご指摘は当たりません。
 最後に、築地まちづくりについてでございます。
 外部有識者による審査委員会が審査することは、既に募集要項で公表されております。

○議長(三宅しげき君) 以上をもって質問は終わりました。

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