令和五年東京都議会会議録第十三号

○議長(三宅しげき君) 三十一番中田たかし君。
   〔三十一番中田たかし君登壇〕
   〔議長退席、副議長着席〕

○三十一番(中田たかし君) まず初めに、代々木警察署の仮設移転計画について質問をいたします。
 代々木警察署は築四十九年を迎えており、老朽化が著しいことから、早期の建て替えが必要です。このたび発表された計画では、仮設庁舎を新宿区の角筈アパート跡地に建てる計画となっています。本設の警察署の建築計画は未定であり、渋谷区に戻る時期も未定となっており、住民の中には不安を抱いている方々がいます。そのため、代々木警察署が渋谷区から新宿区に仮移転することをしっかりと区民に周知することが重要です。
 さらに、代々木警察署が新宿区に移転してしまうことによって、物理的に距離が遠くなり、各種手続に支障が生じる住民の方々も出てきます。
 渋谷区には、仮設移転する代々木警察署以外にも、原宿警察署、渋谷警察署があり、住んでいる地域によっては、その警察署の方が近い方々もいます。渋谷区に戻る時期が未定であるため、仮設移転中は柔軟な手続の対応が求められます。
 そこで、代々木警察署の庁舎移転に向けた展望と管内住民に対する周知、さらには、新宿区への仮設移転中における柔軟な対応の必要性が出てくると考えますが、警視総監の見解を伺います。
 次に、ハロウィンについて質問いたします。
 毎年この時期になると、渋谷区で話題となるのがハロウィンです。センター街で軽トラックが引っくり返された事件は記憶に新しいのではないかと思いますが、そもそも渋谷区としては、イベントとして渋谷駅周辺でハロウィンをやっているわけではなく、自然発生的に渋谷に人が集まってきてしまうのが一番の問題であり、対策の難しいことの一因になっています。
 昨年も、渋谷駅周辺には多くの人が訪れるとともに、駅周辺では大渋滞が発生する事態となりました。しかしながら、警視庁の三日間にわたる夕刻から早朝までの治安対策の結果、大きな事件、事故の発生はありませんでした。
 今年は、既に渋谷区長が、渋谷に来ないでくださいと呼びかけをしています。しかし、今、渋谷はコロナの五類移行後、観光客の増加、さらにはインバウンドの回復などで人がまちにあふれています。
 そのことからも、しっかりと警視庁として対策を取っていくべきと考えますが、渋谷区とどのように連携を行っていくのか、警視総監の見解を伺います。
 そして、都としては、この毎年の渋谷の事態をどのように捉えているのでしょうか。韓国の雑踏事故が記憶に新しいですが、渋谷でも同じことが起きかねないと考えています。
 最近では、都内でも外国人観光客が多く見られるようになり、混雑から生じるオーバーツーリズムの問題が懸念されています。都として、オーバーツーリズムの対策を検討していくべきと考えますが、見解を伺います。
 さらに問題になっているのが路上での飲酒です。渋谷駅周辺、特にセンター街や道玄坂では、毎朝飲み散らかされた空き缶や空き瓶などが路上にあふれており、地域の方々がその回収に追われています。
 渋谷区は迷惑路上飲酒ゼロを発表し、夜間から早朝にかけて路上飲酒の自粛要請を行っています。六月から八月の間で路上飲酒注意件数は約二千五百人にも上りました。また、渋谷区では、期間を決めて路上での飲酒を禁止していますが、罰則規定はありません。
 世界の様々な国では、公共の場での飲酒が禁止、また夜間に限って禁止をしている国など多くあります。迷惑路上飲酒をなくすためにも、踏み込んだ対策が都としては必要ではないでしょうか。
 東京のまちの安心・安全を守るためにも規制等の取組を行っていくべきと考えますが、見解を伺います。
 ハロウィンの質問の最後に、知事として、ハロウィンとかこつけて無秩序に集まって、人の迷惑を顧みず騒いでいる人たちへの対策について、知事としてのお考えをお聞かせください。
 次に、健康施策についてです。
 都が、卵子凍結を行う女性に対して支援をする制度を始めると発表しました。様々な理由で今はまだ妊娠、出産のタイミングでないという女性にとって、人生の選択の幅を広げることができることは、子供を産み育てたいと思う人たちにとって大きなことであると考えます。
 少子化対策の一環で卵子凍結に対して助成を行うことは都道府県として全国初とのことですが、都民への支援を始めることの狙いについて見解を伺います。
 毎年、妊娠される方のうち、不育症患者が推計百四十万人いるとされており、半数以上で原因が分からず、治療法の選択が難しいといわれています。不妊症や不育症の検査、治療には時間を要することが多く、体力的、精神的な負担も大きいため、仕事と治療の両立が難しく、仕事を辞めざるを得ないケースもあり、職場における不妊治療への理解と休暇等のサポート制度の普及が求められています。
 都では、不妊治療や不育症治療と仕事を両立できる職場づくりを進める企業を支援するため、働く人のチャイルドプランサポート事業を行っています。子供を産み育てたいという思いに寄り添い、企業への様々な支援を行っていく中で、今回、卵子凍結を希望する働く女性のため、都は、企業に対しても支援を行っていくとのことですが、その狙いについて見解を伺います。
 そして、当選以来、一般質問、文書質問と繰り返し質問し、提案をしてきましたHPVワクチンについて質問します。
 子宮頸がんは、日本で年間一万一千人が罹患し、約二千九百人が死亡しています。子宮頸がんは、HPV、ヒトパピローマウイルスへの感染が原因であり、その感染を防ぐのがHPVワクチンです。HPVは子宮頸がんだけではなく、男性に多い咽頭がんや肛門がんなどの原因となることが分かっています。
 この間、質問を重ねる中で、国の状況、地方自治体の状況は大きく変わってきました。積極的勧奨が再開され、キャッチアップ接種も始まり、今年四月からは、提案させていただいた九価ワクチンの接種も公費負担となりました。今、様々な動きが進んでいる中でも、男性に対してのワクチン接種、これも自治体で助成が進みつつあります。
 ここで改めて、都として男性に対しての接種助成を行っていくべきと考えますが、知事の見解を伺います。
 次に、都営住宅の建て替えについて質問いたします。
 都は、昭和四十年代以前に建設された都営住宅について、順次建て替えを進めていますが、地元渋谷区の笹塚、幡ヶ谷、本町地域の水道道路沿いには、全部で二十七棟、六百六十九戸の都営住宅があります。これらの都営住宅もかなり築年数がたっており、このたび建て替えの計画が発表されましたが、この計画の中には、幡ヶ谷原町アパート跡地の活用についての記載がありました。
 渋谷区からも、地元商店街からも、様々なこの土地の活用については声が上がっています。そのことからも、都として丁寧な話合いをしていただきたいと思いますが、今後の計画、さらには計画の周知方法について伺います。
 そして、この渋谷区の都営住宅には、図書館や保育所、店舗などが低層部に入っています。それらの施設は地域のにぎわいの一端を担っていますが、建て替え後どのようになっていくのか、見解を伺います。
 この水道道路沿いの都営住宅には、現行の耐震基準を満たしていない住宅が四棟あるとのことでしたが、これらの住宅のように耐震基準を満たしていない都営住宅は都内にどれくらいあるのでしょうか。首都直下地震がいつ来るか分からないといわれている今、すぐにでも耐震化が必要だと考えます。都の取組を伺います。
 次に、食品ロスについて質問いたします。
 東京二○二○大会では、多くのお弁当の廃棄が行われ、前代未聞の食品ロスが起こりました。開会式では、発注したスタッフのお弁当一万食のうち四千食、約四○%が廃棄されています。
 会計検査院の報告書では、組織委員会が期間中、ボランティアの方々などスタッフのために用意したお弁当約百六十万食のうち、一九%の約三十万食が処分されたと報告されています。都が大きく関わってきた東京二○二○大会でのこの状況は、あまりにも残念であるといわざるを得ないのではないでしょうか。
 都において、二○五○年の食品ロス発生量実質ゼロを目指して、東京都食品ロス削減推進計画を策定しています。今後、都では、世界陸上やデフリンピックなど、多くの世界大会が予定をされています。都が主催するイベント等において、このような食品ロスが起きないようにしなければならないと考えますが、都の取組について伺います。
 次に、墓参事業について伺います。
 太平洋戦争の激戦地となった硫黄島は、かつて千人以上の人々が暮らす豊かな島でした。昭和十九年の強制疎開によって島を離れることになった島民は、火山活動による異常気象が著しいこと、産業の成立が厳しいことを理由に、硫黄島の一般定住は困難であると小笠原諸島振興審議会が答申をしており、いまだに帰島が許されていません。
 都は、故郷に帰れない硫黄島旧島民のために墓参事業を実施していますが、元島民らで構成する硫黄島帰島促進協議会は、事業の拡大に向け、都に宿泊での訪島や年四回の実施などを求める要望書を出しています。
 元島民の方々の高齢化が進む中、ゆとりを持った墓参事業が望まれますが、今後の計画を伺いまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 中田たかし議員の一般質問にお答えいたします。
 地域でのイベントについてのお尋ねでございました。
 混乱を招かないことは何よりも大切でございます。地元の首長が関係機関と連携して、様々な工夫、対策を講じていると、このように認識をいたしております。
 HPVワクチンの男性への接種についてであります。
 HPVワクチンは、男性のがん予防や、男女ともに接種することによる集団免疫の効果が期待できます。
 国は、男性の定期接種化に向けました検討の中で、有効性や安全性等に関する最新の情報を現在整理しているところでございます。
 都は、検討の促進を国に働きかけておりまして、今後、国の検討状況等を総合的に勘案し、男性接種に係る区市町村への支援について検討してまいります。
 なお、その他の質問につきましては、警視総監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔警視総監小島裕史君登壇〕

○警視総監(小島裕史君) 二点のご質問についてお答えいたします。
 まず、代々木警察署の庁舎移転に向けた展望等についてでありますが、代々木警察署は、耐震性や狭隘化等の問題から改築が必要であり、現在の土地では必要な広さが確保できないことから、管内での用地の確保に向け、情報収集を行っております。
 仮設庁舎についても、用地確保の問題から管轄外に建設することとしたため、管内住民の方々を対象とした説明会などを実施しており、今後も丁寧に周知してまいります。
 加えて、警視庁行政手続オンラインサイトの対象となる手続を順次拡充しているところであり、引き続き、その手続について周知を図るなど、管内住民の行政サービスの利便性向上に向けた検討を進めてまいります。
 次に、ハロウィン警備における渋谷区との連携についてでありますが、昨年、警視庁では、渋谷区に対し自主警備員の増員等を要請するとともに、早朝まで制服警察官を配置したところであり、本年も、渋谷区と当日の対応について検討を進めるなど、緊密な連携を確保しております。
 ハロウィン期間中も、渋谷区と協力しながら、不法行為やトラブルの未然防止と雑踏事故をはじめとする各種事故防止の万全を期してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、観光客の著しい増加に伴う影響についてでございますが、都は、海外からの旅行者向けの観光のマナーをウェブにより伝え、観光客による混乱を抑える取組につなげてきたところです。
 また、地元の自治体が観光客の著しい増加による問題に対応できるよう後押しをしております。
 次に、卵子凍結に係る企業への支援についてでございますが、働く女性が妊娠や出産等の時期を考える場合、卵子凍結を選択肢にできる職場環境をつくることは重要でございます。
 このため、都は今年度、卵子凍結のための休暇や費用助成の仕組み等を導入する会社への支援を行っているところでございます。
   〔生活文化スポーツ局生活安全担当局長竹迫宜哉君登壇〕

○生活文化スポーツ局生活安全担当局長(竹迫宜哉君) 路上での飲酒についてのお尋ねでございます。
 路上飲酒に起因する問題につきましては、地域の実情等を踏まえ、それぞれの区市町村において適切に対応していくべきものと考えております。
 都では、地域の防犯力の向上に向けまして、区市町村を通じて、自治会等の青色防犯パトロールに要する経費の補助等に引き続き取り組んでまいります。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 卵子凍結への支援に関するご質問にお答えいたします。
 子供を産み育てたいと望んでいるものの、様々な事情により、すぐには難しい方にとって、卵子凍結は将来の妊娠に備える選択肢の一つでございます。
 このため、都は、新たに卵子凍結に係る費用への助成を開始することといたしました。
   〔住宅政策本部長山口真君登壇〕

○住宅政策本部長(山口真君) 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、幡ヶ谷原町アパート跡地の活用についてでございますが、本アパート跡地に隣接する水道道路沿道等の都営住宅につきましては、昭和四十年代に建設され、老朽化が進んでいるため、建て替えを行うことといたしました。
 建て替えに当たりましては、居住者の移転先を確保する必要があることから、本アパート跡地の活用も検討する予定でございます。
 具体的な計画やその周知方法は未定でございますが、地元区と連携しながら取り組んでまいります。
 次に、都営住宅に併設された地元自治体の図書館等の公益的施設についてでございますが、都は、都営住宅を建て替える際、公益的施設の整備に関しまして、東京都が行う公共住宅建設に関連する地域開発要綱に基づき、地元自治体と協議を行うこととしております。
 水道道路沿道等の都営住宅につきましても、本要綱に基づき、地元区の意向を確認しながら建て替えに取り組んでまいります。
 最後に、都営住宅の耐震化についてでございますが、都は、都営住宅耐震化整備プログラムに基づき、令和七年度末の完了に向け、耐震化に取り組んでおります。
 これまで、住棟の建て替えや撤去、耐震改修を着実に実施し、令和三年度末時点で、現行の耐震基準を満たしていない住戸は約六千四百戸であり、耐震化率は戸数ベースで九七・五%でございます。
 引き続き、耐震化の目標達成に向け、取り組んでまいります。
   〔環境局長栗岡祥一君登壇〕

○環境局長(栗岡祥一君) 都のイベントでの食品ロス対策についてでございますが、食品ロスの削減に向けては、都自らの率先行動が重要でございます。
 都は、ゼロエミッション都庁行動計画等において、主催イベント等における食品ロス対策を講じており、来場者に応じた小盛りメニューの導入や、食べ切り推奨の啓発等に取り組んでございます。
 今後も、これらの率先した取組を着実に推進し、都内の食品ロス削減につなげてまいります。
   〔総務局長野間達也君登壇〕

○総務局長(野間達也君) 硫黄島旧島民の墓参についてでございますが、墓参事業は、自衛隊機による支援を受け、ふるさとに帰島できない旧島民の方々のため、年二回行っており、そのうち一回については、旧島民の方々の心情を踏まえ、平成二十二年度から一泊二日の行程で実施してございます。
 コロナ禍による中断もございましたが、今年度は宿泊墓参を再開する予定でございます。

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