令和五年東京都議会会議録第十二号

○副議長(本橋ひろたか君) 五十九番小林健二君。
   〔五十九番小林健二君登壇〕
   〔副議長退席、議長着席〕

○五十九番(小林健二君) 去る八月三十日、東京都写真美術館館長、東京芸術文化評議会会長を務められた名誉都民、福原義春さんがご逝去されました。ご生前のご功績をしのび、謹んでご冥福をお祈りいたします。
 都議会公明党を代表して質問します。
 初めに、喫緊の課題について伺います。
 まず、物価上昇、燃料高騰に対する経済対策の実施について質問します。
 国は、九月末で終了する電気、都市ガスに対する補助を当面の間延長すると表明しました。都も我が党の要望を受け、第二回定例会において、国の臨時交付金を活用し、物価高騰、燃料高騰対策として、プロパンガス家庭や事業者、さらに燃料高騰で経営が圧迫されている医療機関や福祉施設などに対しても支援策を実施いたしました。
 現在も物価上昇、燃料高騰が続いており、都民生活に影響を与えています。したがって、来月にも策定される国の経済対策の動向を見極め、速やかに補正予算を編成するなど、都においても物価上昇、燃料高騰への対策を講じていくべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、インフルエンザ対策について質問します。
 都内ではインフルエンザの感染者数が急激に増えており、既に流行注意報の状態となっています。
 インフルエンザは、例年十二月から三月にかけて流行しますが、九月に流行注意報が出ることは極めて異例な状況であります。
 今月十四日に開催された都の感染症対策連絡会議では、専門家から、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時流行しており、若い世代から上の世代に感染が広がっていくことが懸念されるとの指摘もありました。
 新型コロナの感染者数も依然として高い水準であり、新型コロナとインフルエンザが同時流行すると医療が逼迫することが危惧されます。
 また、医療現場からは、解熱鎮痛剤などの治療薬が不足しているとの声もあり、さらなる供給不足も懸念されます。
 コロナ感染が高い水準で推移する中での都のインフルエンザ対策について見解を求めます。
 次に、子供の性被害対策について質問します。
 昨今、学校や学習塾などでの子供への性被害の頻発や、子供時代に受けた性被害により苦しみを抱えておられる方々が被害を告白されるなど、子供の性被害が社会問題となっています。
 国連人権理事会のビジネスと人権作業部会が来日し、調査をするなど、我が国における人権感覚そのものが問われているといっても過言ではありません。
 国連子どもの権利条約では、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することが第三十四条に定められています。
 この子どもの権利条約の精神にのっとり制定された東京都こども基本条例を踏まえ、東京都は子供たちを性被害から守る取組を進めることが急務です。子供の最善の利益という観点から、子供の目線に立って、都庁各局が連携しながら、都としてなすべきことを即座に実行すべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、子育て支援について伺います。
 まず、都立、私立高校授業料の所得制限を撤廃した実質無償化について質問します。
 子育て支援の政策実現のための手法として、直接的に現金を支給する方法と直接サービスを実施する手法があります。
 子育て支援策として直接的に現金を支給する具体例として、都が実施する〇一八サポート事業があります。この事業は、受給をされる世帯からは大変に喜ばれていますが、他方、課題もあります。
 今回の場合、支給された手当が世帯収入に認定されるため、生活保護世帯の教育費から差し引かれてしまいます。生活に困窮する人ほど、不利益を被ることになります。
 今回の都の〇一八サポート事業の一人当たり六万円を支給する根拠は、都においては他の道府県より中学、高校生の教育費にお金がかかるという統計データに基づくものであります。そうであるならば、思い切って、都立、私立を問わず、高校授業料の所得制限を撤廃した上で実質無償化すべきです。知事の見解を求めます。
 次に、子供施策について質問します。
 都議会公明党が原案を作成し、二〇二一年三月に成立した東京都こども基本条例の基本理念を実践するためには、当事者である子供の意見を聞くことが不可欠です。
 本条例の第十条に定めるとおり、子供が社会の一員として意見を表明することができ、かつ、その意見が施策に適切に反映されることにより、子供の最善の利益の実現につながると考えています。
 東京都こども基本条例に込められた理念を形にして実践していくことが重要であり、都は子供が主体的に参画する機会を創出し、当事者である子供の意見を施策に積極的に取り入れていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、教育施策について伺います。
 初めに、教員の働き方改革について質問します。
 文部科学省が実施している人事行政状況調査によると、東京都の教職員の精神疾患による病気休職者の割合は全国平均を大きく上回っており、過去四年間、ワーストスリーに入っています。
 中でも、新たに採用された貴重な新規採用教員が年度途中で病休や離職してしまうケースが目立ち、近年の課題である教員不足に拍車をかけています。
 新規採用教員が精神疾患などにより、やむなく職場から離れていくことになる最大の要因は、課せられる業務量や責任が大変大きく、働き方改革が必要な状況であるからであります。
 特に近年の学校では、中教審の提言で、保護者などからの過剰な苦情は行政による支援体制の構築が必要と指摘されたように、ベテラン教員でも困難な対応も多く、四月に就職すると同時に、学級担任や教科担任を任された新採教員が、ベテランと同じ責任、業務を担うことは非常に困難です。
 しかしながら、新採教員であろうと、ベテラン教員であろうと、子供たちが教員から受ける影響はあまりに大きく、教員を大切に育成することが教育を大切にすることであり、子供を大切にすることにつながります。
 そこで、新規採用教員数が教育者として活躍する人材に成長するためには、例えばインターンシップや副担任制度などの体制構築が必要であり、新規採用教員数と同じ人数の教員加配をするなど、教員を十分確保し、育て、支える取組を強化すべきです。教育における教員の重要性について知事の見解を求めます。
 また、都は、新規採用教員への支援体制の構築をさらに進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、教職員のメンタルヘルスについて質問します。
 課題を抱えながらも懸命に教壇に立ち続ける潜在的なメンタルヘルス不調の予備群は、統計上の休職教員数の数倍との見方があります。
 国は今年度、新たな対策に乗り出すとしており、都においても、改めてこれまでの取組の有用性を検証し、強化することが必要です。
 その上で、取組の一歩前進に向けて、三点提案をさせていただきます。
 一点目は、教職の特殊性を理解し、メンタルヘルスの分野での専門性にたけた産業医などの確保、育成とその活用の促進です。
 都も産業医を全都立高校に配置し、公立小中学校でも、教職員が心理職を利用できる体制を整えていますが、具体的にどう活用されているかの把握が不足しており、現状を分析し、より一層機能する制度とするべきです。
 二点目は、上司などの関与を経ない、個人情報が秘匿される相談体制が重要で、都も既に実施しています。
 個々の相談で得た経験値を活用し、専門家が分析して、広く教員の職場環境の改善にフィードバックさせていくべきです。
 三点目は、再発の抑制につながる職場復帰支援です。
 現状、職場復帰の時期を判断するのは、最終的には学校長です。しかし、当事者は、ともすれば責任感のあまり復帰を急ぎがちであり、それがメンタルヘルス不調面での再発につながるとの指摘もあります。
 専門家が復帰過程に客観的に関与し、日常の把握、復帰時期の判断、復帰後の本格就労までを一貫してケアできるよう改めるべきです。
 加えて、復帰後の一定期間は健康観察期間とし、担任や保護者対応などの責任から解放することが重要です。
 以上、三点の提案なども踏まえ、教員のメンタル面での健康被害の原因分析と効果的な手法の確立に取り組み、成果の具体化を図るべきと考えます。見解を求めます。
 次に、小中学校における特別支援教育について質問します。
 特別支援教育では、障害や発達の状態に応じて、様々な困難を克服するために必要な知識、技能、習慣や態度などを養う自立活動という取組が実践されています。
 最近では、発達障害児教育におけるソーシャルスキルトレーニングに注目が集まり、今後の充実に期待が高まっています。
 しかし、特別支援教育の現場に立つことを初めから視野に入れて教職課程を選択する学生が少ないといわれている中にあって、自立活動については、急速に高まる社会的ニーズに履修科目の整備が追いつかないためか、その指導方法を本格的に学んでいる学生は、さらに少ないといわれています。
 加えて、学校現場でも、自立活動については指導方法の確立がまだ進んでおらず、教員間の指導の経験の有無の差を補うための取組が不足しています。
 都教育委員会は、自立活動についての専門性を高めた教員の確保、育成を急ぐべきと考えます。専門教員が授業準備の効率化などの役割を担うことを通じて現場教員の負担の緩和を図るとともに、若手や経験が不足する教員の指導力のアップを図るべきです。
 また、個々の児童生徒にさらに寄り添った対応を可能とするべく、自立活動の充実を図る意義も含めて、特別支援教育に携わる教員数の増強を図るべきです。
 さらに、都はこれまでも国に対し、特別支援教育の現場での教員定数の増員に向け、要望を重ねていますが、具体的に必要な増員の数値の根拠を示して国に迫るものとはなっておらず、改善するべきです。併せて見解を求めます。
 次に、都立学校における空調設備の設置について質問します。
 苛酷な猛暑日が続く東京において、都立学校生に対して快適な学習環境を提供するためには、空調設備の早期設置が不可欠であることを都議会公明党は他党に先駆けて指摘し、整備を促進するよう強く要望してきました。
 我が党の強い働きかけを受けて都が整備を進めた結果、現在では都立学校の全ての普通教室や体育館において空調設備の設置が実現しています。さらに、調理実習室や化学室などの特別教室や武道場などについても、順次整備が進んでいるところです。
 また、早期に空調設備が設置された普通教室において、老朽化が進み、機能が十分に発揮されず、学習環境が悪化しているとの訴えが我が党に届いています。
 都は、既に設置された普通教室の空調設備の改修についても早急に取り組むべきと考えますが、特別教室及び武道場等の整備の進捗状況と併せて見解を求めます。
 次に、フリースクールなどへの財政支援について質問します。
 東京都内の公立小中学校の不登校の子供は、二〇二一年度調査によると、過去最高の二万一千五百三十六人となっており、不登校対策は喫緊の課題であります。
 不登校の子供たちの中には、学校の集団行動や決められた学習内容になじめず、不登校になる子供も少なくありません。そこで、近年ニーズが高まっているのが、学校教育とは異なる学びの場であるフリースクールです。
 しかしながら、フリースクールに通うには高額な費用がかかるため、都は我が党の要望に応え、該当保護者への調査に対する協力金事業を開始しました。
 また、フリースクールの経営者の方々は、人員や場所の確保など運営に当たり様々な苦労に直面しており、フリースクールへの支援も含め、より踏み込んだ支援に取り組むべきと考えます。
 全ての子供たちに学びの場を提供するためには、財政支援など、既存の枠組みを超えて新たな対策を打ち出すべきです。見解を求めます。
 次に、防災対策について伺います。
 初めに、TOKYO強靱化プロジェクトについて質問します。
 近年、世界各地で甚大な自然災害が繰り返し起こり、国内でも台風十三号などによる被害などが発生しています。
 都が昨年十二月に立ち上げたTOKYO強靱化プロジェクトは、風水害や地震、火山噴火、電力、通信などの途絶、新たな感染症の五つの危機に対し、総額十五兆円の事業規模で、二〇四〇年代に向けて取り組んでいくものです。
 この策定に際して、昨年の第二回定例会の都議会公明党の代表質問で、公表後もその具体的な進捗を監督し、推進を図ることを求め、知事からもしっかりと取り組む旨の答弁がありました。
 都民の安全・安心を確保するため、TOKYO強靱化プロジェクトを推進し、二〇四〇年代に向けた災害への備えを一層強化していくことが重要です。知事の見解を求めます。
 次に、豪雨対策について質問します。
 今夏も全国各地で線状降水帯が頻繁に発生し、都もこれまで経験したことのない危機に直面しています。
 都内中小河川の洪水対策における、現在の整備目標である時間当たりの降雨量、区部七十五ミリ、多摩六十五ミリでは不十分です。今後は整備目標について、気候変動を踏まえて一・一倍の降雨量に対応できるように、それぞれ区部八十五ミリ、多摩部七十五ミリに引き上げ、激甚化する豪雨に対応可能な体制構築をするべきです。
 また、都議会公明党はこれまでも、地下調節池の整備前倒しを主張してきておりますが、さらに複数の地下調節池を連結させ、最終的には東京湾に流すなど、いわゆる調節池の地下河川化を目指すべきです。
 豪雨のさらなる激甚化や被害の拡大が懸念される中、都民の生命と財産を守るために、中小河川における対策を一層強化、推進すべきです。併せて見解を求めます。
 次に、盛土規制条例について質問します。
 都議会公明党はこれまで、盛土による土砂災害の未然防止に向け、都独自の対策を打ち出すべきと提言してきました。
 これを受け都は、令和三年十二月に関係六局で、盛土のあり方検討会議を設置し、現行法令の運用上の課題などの共有化や、国の動きの把握などに努めるとともに、都の独自策として、不適正盛土の把握について、人工衛星データなどを活用する方針を示しています。
 本年五月に盛土規制法が施行されましたが、制度の運用に当たっては都は条例を制定し、盛土の安全性を確保すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、医療福祉施策について伺います。
 初めに、認知症施策について質問します。
 都は我が党の求めに応じ、東京都健康長寿医療センターとも連携して、認知症の方や家族が安心して地域で暮らせるよう、認知症施策の充実に取り組んでいます。
 公明党が一貫して制定を訴え、超党派の合意による議員立法で六月に成立した共生社会実現を推進するための認知症基本法では、都道府県や市町村については計画の策定を努力義務としています。
 都は認知症の人や家族の意見を聞くとともに、共生社会実現へ向けて認知症施策推進計画を策定するなど、認知症施策をさらに進めていくべきと考えます。見解を求めます。
 厚生労働省は昨日、アルツハイマー病の原因に働きかける疾患修飾薬であるレカネマブの使用を正式に承認しました。
 アルツハイマー病の進行を緩やかにする効果を証明した薬として国内初となり、これまでの対症療法に限られていた認知症治療の大きな一歩と期待されています。
 投与の対象は、日常生活に支障がない早期段階の比較的症状の軽い患者に限られるとのことですが、そうしたことからも、より一層、軽度認知障害、MCIの段階で発見することが望まれます。
 都は認知症の早期発見に向けて、都が実施している認知症検診推進事業の充実を図るなど、健康長寿医療センターとも連携し、取組を進めるべきと考えます。見解を求めます。
 次に、養護老人ホームに対する支援策について質問します。
 養護老人ホームは、環境上の理由及び経済的理由により居宅において養護を受けることが困難な高齢者を措置入所させ、自立した日常生活を営み、社会的活動に参加するために必要な指導、訓練などの援助を行うことを目的とし、現在、都内に三十二施設あります。定員数は三千三百七十一人ですが、措置される高齢者数は年々減っており、都内の養護老人ホームの多くは定員割れが常態化しています。
 養護老人ホームの現在の措置費基準単価は、平成十八年に改定されて以降、ほぼ据置きのままであり、現在の物価や人件費の高騰に対して十五対一の人員配置では、入所者の重度化、多様化に対応できず、経営的に苦しい状況であると施設からは聞いています。
 加えて、都内の養護老人ホームは築年数が古く、老朽化の進んでいる施設も多いにもかかわらず、財政的に改修や改築を行うことが難しく、結果として、措置対象者の入所を阻んでいるともいわれています。このままでは養護老人ホームは事業継続が困難になります。
 そこで、養護老人ホームが今後も安定的に運営を継続できるよう、都としても対応する必要があると考えます。見解を求めます。
 次に、高齢者の社会参加の促進について質問します。
 日本での高齢化のピークは二〇四〇年とされる中、東京における高齢化のピークは二〇五〇年といわれています。二〇五〇年を見据え、高齢者が元気でご活躍いただく環境整備を図ることは重要であると考えます。
 都における要支援、要介護の高齢者は全体の二割であり、約八割の高齢者の方々は元気な方々でおられます。
 都は、要支援、要介護の方々への支援に力を入れてきましたが、加えて、元気な高齢者の方々に対する施策の充実は重要な課題です。
 人生百年時代を迎え、元気な高齢者が心身ともに健康で、自分らしく過ごせる期間を一日でも長く維持することは大変重要であります。都が実施しているシルバーパス事業は社会参加に不可欠なものであり、より一層活用してもらえるよう、地域や社会で活躍できる環境を整えることが必要であります。
 都はこれまでも、シルバーパスをはじめ様々な施策を行ってきていますが、元気高齢者の社会参加の促進に向け、さらに取組を充実すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、高齢者の就労支援について質問します。
 平成八年に東京都シルバー人材センターが設立されてから二十七年が経過しました。高齢者の生きがいや健康づくりの役割を果たしてきた一方、高齢者が働く理由にも変化が生じてきています。
 総務省が七月に発表した就業構造基本調査によると、六十五歳以上の男女の就業率は約二五%で、二〇一七年の前回調査より高まっています。しかし、六十歳から七十四歳までの就職希望者のうち、約五四%が仕事を探しても見つかっていないとの民間調査の結果も出ています。
 こうした背景を踏まえ、シルバー人材センターが地域において、その役割を十分に果たすとともに、時代の変化に応じて働く意欲のある高齢者のニーズにも対応できるよう、幅広い就労機会の提供に積極的に取り組んでいくべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、強度行動障害について質問します。
 知的障害を伴う自閉症などのうち、自傷や物を壊すといったことが頻繁に起こる状態を指す強度行動障害は後天的に生じるもので、適切な支援をすれば和らぐとされる一方で、対応の難しさから、施設の入所を拒まれることが懸念されています。
 強度行動障害のあるお子さんを抱えている親御さんからは、預け先がなくて困っているとの切実な声が届いており、対策は喫緊の課題です。
 令和五年四月一日現在の都の入所施設の定員は七千六百八十三人分確保されていますが、ほぼ空きはなく、身体と知的障害の方を合わせて一千四百人が入所待ち状態で、支援の難しさから、強度行動障害のある人を受け入れられる施設は限られています。
 都は、令和三年度から五年度までに障害者のためのグループホームの定員を二千五百人増の一万四千三百七十六人分確保する目標に対し、令和四年度末には二千百七十五人増の一万四千五十一人分まで確保できたとのことですが、強度行動障害のある人が穏やかに過ごせるためのグループホームを増やしていくべきと考えます。見解を求めます。
 一方、入所施設や通所施設などにおいて、特に強度行動障害の方を支援する支援員の専門性が必要です。
 また、強度行動障害を発症するのは中学生の年代が多いといわれており、特別支援学校など教育現場での関わりは重要です。
 都では現在、支援者養成研修と障害者支援施設等支援力育成派遣事業を行っていますが、研修については、障害福祉サービス事業所の従事者のみならず、特別支援学校の教職員などにも対象を拡大すべきです。
 また、支援力育成派遣事業の対象をグループホームに拡大するなど、幅広い施設で障害者の特性や状況に合わせた支援体制をさらに充実すべきと考えます。併せて見解を求めます。
 次に、救急体制の強化について質問します。
 東京消防庁の救急出場件数は、二〇二二年に八十七万件を超えて過去最多となりましたが、本年はこれを大きく上回る勢いで急増しています。記録的な猛暑が続いた七月、八月は熱中症と見られる症状の搬送者が昨年よりも四五%も増え、さらに新型コロナやインフルエンザなども出場の逼迫に拍車をかけています。
 加えて、いたずら通報やタクシー代わりの救急車利用、不要不急ではない一一九番通報もあると仄聞します。
 東京消防庁は、不要不急ではない電話について、他の緊急通報を優先するために、最後までお話を聞かずに切断する場合があることを、九月に入りSNSで広報しています。
 救急救命に関わる人材や救急車などの機材は無尽蔵ではありません。救急医療を維持していくためには、救急体制の強化と適時適切な救急車の利用は大変に重要となります。
 そこで、救急体制のさらなる強化と救急相談センターのこれまで以上の周知及び体制強化が必要不可欠と考えます。消防総監の見解を求めます。
 次に、東京都看護師等修学資金について質問します。
 東京都看護師等修学資金は、都内の看護職員の確保などを図ることを目的とした制度です。
 現在、看護師などと同様に、人材確保に向けて、保育士や介護福祉士などの養成のための修学資金は月五万円の貸付けとなっており、卒業後、都内の施設で五年間働いた場合、全額返済が免除される制度があります。
 しかし、看護師等修学資金制度では、月五万円の貸付けの場合、二百床未満の病院、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなどの都が指定した施設で五年勤務すれば全額免除されるものの、指定以外の都内施設に勤務した場合は二万五千円分しか免除されない制度となっています。
 都内で働く看護師を増やすためにも、都内どの病院、どの施設でも、五年間従事した場合、五万円まで返還免除できるよう要件を緩和すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、粒子線治療について質問します。
 都議会公明党は、重点政策のチャレンジエイトに都立病院への粒子線治療の導入を掲げ、他県の施設を視察し、知見を深めてきました。
 また、令和三年から、いち早く都立病院への粒子線治療の導入の検討を求め、粒子線治療のメリットや保険への適用など、都と議論を積み重ねてきました。
 今般、こうした議論が実り、知事からは、第一回定例会において、都立病院の粒子線治療施設の整備計画を策定していくこと、また第二回定例会においては、専門家の意見も踏まえ、最適な導入機器や具体的な整備地を盛り込んでいく旨の答弁がありました。
 今後、計画には整備スケジュールが盛り込まれるでしょうが、東京では一年に千名の粒子線治療の患者が見込まれることから、一日も早い整備が都民の命を守ることにつながることになり、最短の供用開始を計画すべきであります。
 そこで、都立病院の粒子線治療施設整備計画の策定状況と今後の進め方について見解を求めます。
 次に、市販薬のオーバードーズ対策について質問します。
 オーバードーズとは、薬を過剰に摂取することを意味しています。近年、市販薬をオーバードーズする若い世代が増加し、救急搬送されるなど社会問題化しています。
 国の研究班による各種調査では、若者の間でオーバードーズが広がっていることが示されており、依存症の治療を受けた十代患者のうち、市販薬が主たる薬物であった患者は六五%に上り、過去一年以内に市販薬の乱用経験があると答えた高校生が約六十人に一人の割合となったということです。
 また、全国の救急医療機関に救急搬送された急性市販薬中毒患者百二十二名の平均年齢は二十五・八歳で、そのうち女性が七九・五%を占め、若年女性を中心に依存、乱用が広がっているとの報告でありました。
 こうした実態を踏まえ、都も乱用などのおそれのある市販薬の監視強化を図るべきです。また、オーバードーズに陥ってしまう若者に対しての普及啓発と薬物乱用対策をさらに進めるべきと考えます。併せて見解を求めます。
 次に、公共工事の発注の在り方について、三点質問します。
 一つ目は、働き方改革に伴う公共工事の発注の在り方についてです。
 二〇二四年四月一日から実施される働き方改革により、公共工事の施工単価が実情に合わなくなるという課題があります。
 全国中小建設業協会が実施したアンケート調査の結果、働き方改革により法定労働時間八時間を厳守した場合、置場への移動時間や作業準備、片づけ時間などを除くと一日の実作業時間が平均で四時間二十三分となり、現在の標準歩掛かり八時間から約四五%上昇することになります。
 そこで、工事の積算単価を実態に見合ったものにするとともに、工期についても一日当たりの施工量の減少に伴い、実態に見合ったものに改善していく必要があります。併せて見解を求めます。
 また、現場においては、写真の撮影と整理など施工管理に多大な時間を要します。
 そこで、例えば必要な写真について、その都度、現場作業員にウェブカメラを取り付け、入手したデータを都で保存するなど、デジタル技術を活用すべきであります。見解を求めます。
 二つ目は、資材、燃料高騰対策であります。
 資材や燃料高騰の値上げ幅が加速しているため、契約時と着工時の請負金額が大きく乖離する工事が発生しています。
 そのため、着工時において、既に赤字工事を実施しなければならない状況に追い込まれる事業者が発生しています。
 そこで、契約時と着工時が一定期間空くような工事について、契約金額と着工時の金額が大きく乖離する場合には、着工時の金額で契約変更を行うべきであります。見解を求めます。
 三点目は、工事現場の熱中症対策についてです。
 近年の猛暑により、工事現場によっては命に関わる状態になり、仕事そのものが行えない現場が出てきています。
 しかし、請負側の判断で中止した場合、工期の延長や、その分かかった経費も見てもらえるような申出がしづらい現状です。
 そこで、都が一定の基準で熱中症アラートを発令し、工事を中断させるよう指示すべきであります。そして、その分の工期の延長や経費を見るようにすべきです。見解を求めます。
 次に、若手人材の確保について質問します。
 都による最新の調査でも、家賃の負担軽減など住宅に対する支援を求める声が顕在化したことに象徴されるように、若者の生活にいまだ重い負担となっているのが住宅費です。一方、人手不足が一層深刻化する中小企業にとっても、東京で働く若手人材を確保する上で社員の居住支援は重要な課題です。
 こうした状況を踏まえた都議会公明党の求めに応じて、都が今年度から、若手人材の確保や定着に向けた中小企業の取組を支援する助成事業を開始したことを高く評価します。
 物価高騰の長期化が生活を直撃する中、若者世代が安心して東京に住み続けられるようにするための取組は不可欠です。
 そこで、この事業が人手不足が特に強まっている宿泊や飲食の業界をはじめ、より多くの中小企業に活用されるよう取組を強化すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、被災地支援について質問します。
 さきの第一回定例会の経済・港湾委員会で我が党は、中央卸売市場において、市場業者による適正な評価を通じて、いまだ需要回復に至っていない被災地産品の消費普及拡大に取り組むべきと主張しました。
 そして、本年七月に、豊洲市場の水産仲卸団体の尽力により、福島県水産物を中心とする常磐物を販売、PRする事業、夢市楽座をスタートしました。
 都では、この事業に対して全面的にバックアップしているとのことですが、より多くの方々にご利用いただき、被災地産品を普及拡大していくため、今後、都は本事業をさらに活性化させていくべきと考えます。見解を求めます。
 また、水産物をめぐる風評被害を払拭するための方策として、我が党の提案で実施されている被災地応援ツアーを活用することにより、福島を訪れる旅行者の方々に水産物を食べていただく取組を行うべきと考えます。知事の見解を求めます。
 次に、東京農業の振興について質問します。
 まず第一に、都市農業の振興です。
 都は現在、国の制度を活用し、新規就農者が営農安定に要する期間である三年間、資金の助成を行っています。
 しかし、本年四月の法改正に伴い、今後は、市街化区域内で就農する方は国の制度の対象外になるという話を聞いております。
 都は、市街化区域内を含め、都内で新たに農業を始めようとする方々が安心して営農を開始できるよう、しっかりと支援すべきであると考えます。見解を求めます。
 第二に、多摩地域などでの農業振興です。
 例えば、普及指導員は、我が党などの要望を受け、近年、特に区部の若手農業者などを対象に増員が図られてきました。
 しかし、温暖化を超える熱帯化への対応や、今年度から導入された新東京版のGAPの普及など、都内の農家の全体が新たな課題に直面しています。
 多摩地域でも普及指導員の増員を図るほか、GAP認証で付加価値が高まった農産物についての消費者の購買意欲の増進などの点で支援の充実を図るべきです。見解を求めます。
 第三に、農業振興への都民理解の促進です。
 東京農業の発展には、その代表的なイベントである東京味わいフェスタとJA東京中央会の東京都農業祭との一体的開催が重要です。
 東京味わいフェスタは、東京産の食材を使った料理を味わい、体験することで、農業の多彩な魅力を発見するイベントです。東京農産物の品質の高さなどをアピールする東京都農産物共進会などの農業祭関連行事が、今年度も東京味わいフェスタの期間に合わせて開催されると聞いております。
 これらのイベントの連携の効果を、今後より一層安定的かつ一体的に盛り上げていくため、都としても新たな工夫を凝らすべきです。見解を求めます。
 次に、環境施策について伺います。
 初めに、古着リサイクルシステムの構築について質問します。
 ごみのリサイクルにおいて、ペットボトルなどプラスチック製品は、ボトルからボトルへのリサイクルがかなり事業化されています。
 また、食品ロス削減については、我が党の取組により、社会の理解も進み、事業者、流通及び消費者などが一体となって取り組んでいます。
 他方、衣類については、若者を中心に古着のリユースが盛んになり、古着ショップが増えており、またアプリなどを利用しての消費者間取引もポピュラーになっているものの、多くの世代が多くの古着をストックしたり、捨てたりしている現状があります。この廃棄された衣類は七割程度が焼却処分されていると聞いており、CO2の排出にもつながっています。
 こうした中、衣類についても、古着から糸を再生して、再び衣類として製造するリサイクルを国が推進する動きがあります。
 そこで、都は、ゼロエミッション東京の実現に向けて、衣類の3Rの取組を促進するべきと考えます。知事の見解を求めます。
 また、ゼロエミッション東京の実現に向けては、都は資源循環の分野でスタートアップと連携し、マテリアルリサイクルなどに取り組んでいる事例もあると聞いています。
 このように都政が抱える様々な課題を解決し、都民サービスのさらなる向上につなげるためには、自由な発想や革新的な技術を持つスタートアップの力を最大限活用し、都政の現場で実践していくことが必要です。
 そこで、スタートアップ・国際金融都市戦略室がスタートアップと都政現場との橋渡し役を積極的に果たしていくべきです。見解を求めます。
 次に、EVバッテリーリユースの推進について質問します。
 東京都は二〇三〇年、ZEVの新車販売割合を五〇%まで高める目標を掲げ、各種の取組を推進しています。自動車メーカー各社の開発競争により、バッテリー性能は年々向上しています。
 そのため、EVが車両としての寿命を終えても、搭載されているバッテリーは寿命の三分の一程度しか使われていないとの声もあり、リユースの取組は不可欠であります。
 福島県のある企業では、太陽光発電の調整力として、大規模な定置型の蓄電池を車両のリユースバッテリーで製造する実証事業を行っていますが、今後、EVの普及に伴い使用済みバッテリーも増えていくことから、こうしたリユースの取組を広げていくべきと考えます。見解を求めます。
 次に、グリーン水素の都内での活用について質問します。
 都は、都議会公明党の提案により、平成二十八年に福島県、国立産業技術総合研究所、東京都環境公社との間で四者協定を結び、再エネの拡大やエネルギー産業の集約などで復興を目指す福島県の後押しをしています。
 また、新エネルギー・産業技術総合開発機構とも水素エネルギーの普及促進に関する協定を締結しています。
 この夏、都議会公明党が視察した福島県浪江町にある福島水素エネルギー研究フィールド、FH2Rは、世界最大級のグリーン水素製造設備で、一日で約百五十世帯一か月分の電力に相当する水素を製造する能力があります。
 しかし、こうして製造されたグリーン水素は、現状では福島県内の各施設で実験的に使用されているのみです。福島県などとの協定にのっとって、福島県産のグリーン水素について、都内での需要を拡大し、さらに活用すべきと考えます。見解を求めます。
 福島県の視察では、グリーン水素の製造、貯蔵、運搬、活用の各段階でノウハウが蓄積され、県民の身近なところで水素の利用が進んでいることを確認しました。
 一方で、クリーンな電力の安定確保や水素の原料となる水の確保など、課題も確認したところです。さらに、都内では狭い敷地や建物が密集する市街地が多く、水素の貯蔵などに制約があるという都市部の課題もあります。
 都として、次世代のエネルギーとして期待されるグリーン水素の製造から活用までの各段階の課題を解決し、実装化を進める必要があると考えます。見解を求めます。
 次に、火葬場の在り方について質問します。
 日本は人口減少社会に入り、都内の死亡者数も十五年連続で増加し、二〇四〇年には多死社会のピークを迎えるといわれております。
 現在二十三区の火葬場は、公営二か所に対して民営七か所と公営が少ないため、民間に頼ることが多く、最近では一部民間事業者の急激な火葬料値上げなどにより、トータルで六万円から七万円もの公民格差が生じています。しかし、火葬料は法的根拠がなく、今後さらに高額になるのではないかとの懸念があり、各区議会でも火葬料の認可制を国に対して求める陳情を採択する動きが出ています。
 二十三区の近隣五区で公営火葬場を平成十六年に設置した例があり、将来を見据えると、他の地域においても都有地や都有施設を活用して、基礎自治体本来の業務として公営火葬場を設置できないのか、また火葬という公共の福祉を民間が適切に運営する仕組みをどう担保していくのかの検討が必要です。
 そこで、都民の誰もが安心して火葬場を利用できるよう、都、二十三区、民間事業者で、まずは課題の共有と意見交換などを開始した上で、火葬に関する現状と今後の在り方などについて議論する検討会を設置すべきと考えます。見解を求めます。
 次に、東京の海の政策について質問します。
 ベイエリアは、海の玄関口として日本を代表する物流ターミナルや商業施設のにぎわいを有する一方、四方を豊かで美しい海に囲まれた多くの離島が異なる魅力を発揮しています。
 東京内湾、伊豆諸島、南鳥島や沖ノ鳥島、西之島を含む小笠原諸島まで、日本全体の排他的経済水域の約四割が存在しており、東京は世界有数の海洋都市です。
 広大な海域には、多様な水産資源や観光資源をはじめ、都による沖ノ鳥島周辺海域の調査では、日本未記録の深海魚などの生物や、鉄マンガンクラストの特徴に類似した鉱物が確認され、生物多様性やレアメタルの可能性などにも期待が高まっています。
 そこで、政策の強化に当たって、壮大な可能性と魅力を有する東京の海を積極的に生かすべきです。見解を求めます。
 次に、神宮外苑地区の再開発について質問します。
 白亜の絵画館をバックに、四列に整然と巨木が連なる見事なイチョウ並木は、四季折々の顔を持ち、外苑に対して思い入れがある方々にとって歴史の道ともいえます。これらは、外苑の中で特に大切で守るべきものであり、将来においても保全していくべきです。
 神宮外苑地区まちづくりについて、事業者の計画では、このイチョウ並木から僅か八メートルの位置に新球場の外野スタンドや店舗が建設される予定であり、その影響で万が一イチョウの根が切断された場合に、枯れる危険性も指摘されています。イチョウ並木が枯れるのではと心配する声や、イチョウ並木を残してほしいとの声が届いています。こうした声を真摯に受け止め、都は責任ある関わり方を取るべきです。見解を求めます。
 最後に、東京都宝くじの活性化について質問します。
 宝くじは、長きにわたり誰もが安心して楽しめる定番商品であり、庶民の夢として、多くの都民、国民に親しまれています。しかしながら、ピーク時には全国で一兆円を超えていた売上額も、ここ数年は八千億円台と、やや陰りが生じています。
 そもそも宝くじは、地方財政資金の調達を目的とするもので、その発売元は地方自治体であり、賞金設定、当せん倍率を上げるなど工夫を凝らしながら、宝くじを買いたいと思う人々を広げ、盛り上げを図ることが必要です。
 一口に宝くじといっても、年末ジャンボなど全国共通のものもあれば、地方単位で販売するブロックくじも多くあります。
 そこで、全国の売上げ回復につなげるためにも、まずは、都が発売するブロックくじの当せん金額設定を柔軟に見直し、当せん倍率を上げるなど、活性化を図っていくべきと考えます。見解を求めて質問を終わります。(拍手)
   〔知事小池百合子君登壇〕

○知事(小池百合子君) 小林健二議員の代表質問にお答えいたします。
 経済対策です。
 物価高騰等の影響が長期化し、先行きが不透明な状況である一方、企業収益は緩やかに改善するなど、明るい兆しも見え始めております。
 こうした状況の下、経済の好循環を生み出していくためには、コスト上昇に伴う適正な価格の設定や、物価上昇も踏まえた賃上げ等を進めていくことが重要です。
 当初予算におきましても、従業員の賃上げに取り組む中小企業に対する奨励金の支給など、都民生活、東京の経済を下支えする重層的な対策を講じております。
 また、さきの定例会におけます補正予算では、国の臨時交付金を全額活用し、医療機関等に加え、家庭用LPガスへの支援など、対策の強化を図りました。
 これらの取組を着実に実施するとともに、国が十月に策定する経済対策の動向を見極めつつ、都民生活と東京の経済をしっかり守り抜いてまいります。
 次に、子供の性被害への対応についてであります。
 子供に対する性犯罪、性暴力は、被害者の心身に甚大な影響を及ぼし、かつ、その人権を著しく侵害する極めて卑劣で悪質な行為であります。断じて許すことはできません。
 都は、東京都性犯罪・性暴力被害者ワンストップ支援センターにおきまして、二十四時間三百六十五日体制で電話相談を受け付けており、病院、警察等への付添いや精神的ケアなどを行っております。
 今般の事案を受けまして、ワンストップ支援センターに新たな専用電話相談窓口を設置するなど、子供や保護者が相談しやすい体制の充実を図ってまいります。また、学校を通じまして全ての保護者と児童生徒に対して相談窓口の案内を行います。
 さらに、子供が性犯罪等から自分を守れるように、生命(いのち)の安全教育の充実を図るなど、成長、発達段階に応じ、正しい知識を伝えてまいります。
 子供の目線に徹底して立ち、実効性のある取組を都庁一丸となって推進し、全ての子供の人権が守られる社会の実現に向けまして、全力で取り組んでまいります。
 次に、高校授業料の実質無償化についてであります。
 家庭の経済状況によって子供たちの将来が閉ざされることがないよう、都は独自の特別奨学金により、年収約九百十万円未満の世帯に対して、高等学校の授業料を実質無償化しております。
 授業料の支援につきましては、施策目的と所得制限の考え方など検討課題がございます。
 今後とも、誰もが個性と能力に応じて希望する教育を受けられる環境を整えられますよう努めていくとともに、子育て世帯の置かれている状況を注視し、議論を深めてまいります。
 次に、教育における教員の重要性についてであります。
 次代を担う子供たちの豊かな学びと健やかな成長のために、学校教育の中核である教員がやりがいを持って生き生きと働ける環境を確保することは、都の重要な使命であります。
 このため、教育委員会では、教員が教員としての職務に専念し、質の高い教育を実践できるよう業務の負担軽減を図るとともに、安心して働き続けられるようサポート体制を強化しております。
 子供たちが将来への希望を持って自ら伸び、育つ教育の実現に向けまして、教育委員会と連携し、保護者や地域の理解も得ながら、一人一人の教員が力を発揮できる環境をさらに整えてまいります。
 次に、TOKYO強靱化プロジェクトについてです。
 激甚化、頻発化する風水害や、いつ起きてもおかしくない大規模地震、火山噴火など様々な脅威に対しまして、備えよ常にの精神で、都民の命と暮らしを守ることが都政に課せられた使命でございます。
 そのためには、施策を不断に見直し、国や関係自治体等とも連携しながら、リスクへの備えを強化していかなければなりません。
 そこで、プロジェクトに掲げました二〇四〇年代の目指すべき姿に向けまして、新たに二〇三〇年における目標を定めるとともに、気候変動の影響、さらには国の動向なども踏まえまして、ハード、ソフトの両面から施策を強化し、年度内にプロジェクトのアップグレードを図ります。
 関東大震災から今年で百年、このプロジェクトをてこに、次なる百年も安心できる強靱で持続可能な東京をつくり上げてまいります。
 次に、シルバー人材センターについてであります。
 長寿社会が進み、働き手として活躍する期間が延びる中、会社の定年を迎えた後も、意欲を持ち経験を生かし、新たな仕事に取り組む高齢者をしっかりと後押しすることは大切です。
 東京の各地域にあるシルバー人材センターは、高齢者に負担の少ない仕事を用意し、社会とのつながりや生きがいを提供する役割を担ってまいりました。
 一方で、これからは高齢者が現役時代に培った力を発揮し、収入の確保に役立つ安定した仕事へのニーズに応えることも必要となります。
 今後は、シルバー人材センターとそのサポートを進める東京しごと財団が協力しながら、民間からの仕事の発注の意向等を踏まえ、より多くの就業の機会を確保し、高齢者の働く意欲にきめ細かく応えてまいります。
 次に、被災地応援ツアーによる消費喚起についてであります。
 被災地応援ツアーは、東日本大震災による復興を支援するため、平成二十三年度から開始をし、これまで都内から多くの旅行者が福島県を観光で訪れ、地域の消費の活性化など後押しをしてまいりました。
 地元経済の重要な柱である水産業に係る風評の懸念を払拭するため、都内で魚介類の消費を喚起する取組に加え、東京の消費の力を福島でも生かすことが重要です。被災地応援ツアーの仕組みに工夫を凝らしまして、福島県での様々な消費を高め、水産物を使った料理や土産物の購入に結びつけてまいります。
 都内での取組と同じ期間に、この応援ツアーで福島県に宿泊や日帰りで訪れる方には助成額に一千円の上乗せを行い、これに合わせまして、福島と東京が協力し、水産品が安全で安心であることをPRし、被災地の復興支援につなげてまいります。
 最後に、衣類の3Rについてでございます。
 ゼロエミッション東京の実現に向けましては、衣類をはじめとした様々な製品の3Rを推進し、持続可能な形で資源を利用する社会へと変革していくことが重要です。
 現在、多くの古着は一般ごみとして廃棄されるか、分別回収されても焼却処分されております。このため、回収ルートのさらなる拡大等に取り組む区市町村に対しまして、財政面から支援をしております。
 今後、技術面からの支援も行うことで効果的なリユースとリサイクルを促してまいります。
 加えまして、繊維の水平リサイクル等の技術開発に向けて、先進的な技術を持つ事業者の取組を後押しし、高度な再資源化の実装を図ってまいります。
 これらにより、衣類の3Rに向けた機運を高め、サーキュラーエコノミーの実現を推進してまいります。
 その他のご質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長が答弁をいたします。
   〔教育長浜佳葉子君登壇〕

○教育長(浜佳葉子君) 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、新規採用教員への支援についてでございますが、都教育委員会では、新規採用教員が円滑に職務に取り組めるよう、指導教員を中心に学校全体で支援するとともに、定年退職した管理職等が学級経営等をサポートする取組を進めております。
 また、小学校の全ての新規採用教員約千八百名に対し、日頃の悩みなどを相談しやすいよう、臨床心理士等によるアウトリーチ型の相談事業を今年度から実施しております。相談者からは、人に話すことで自分の悩みが明確になった、改善のきっかけをつかめたなどの声が寄せられております。
 新規採用教員が安心して職務に取り組める職場環境をさらに整えてまいります。
 次に、教員のメンタルヘルス対策についてでございますが、都教育委員会では、精神科医等による相談、病気休職者への職場復帰支援等の様々な取組を進めてきました。
 昨年度からは臨床心理士等が小中学校を訪問し、全教員と面談するアウトリーチ型相談事業を実施しております。今年度からは対象者を拡大し、小学校で病気休職から復帰した全教員に面談を行っており、面談結果を分析し、職場の改善点等について各学校等に助言をしております。
 今後、不調の原因分析と併せ、復職の過程も含め有効な対策を検討するとともに、産業医等の専門家の一層の活用を図ることで、教員が安心して働ける環境づくりを推進してまいります。
 次に、知的障害の児童生徒への教育の充実についてでございますが、小中学校の特別支援学級では、コミュニケーション力を育成するなど自立活動の指導を行っており、都教育委員会は、特別支援学級の教員を対象に、ソーシャルスキルトレーニングの手法等を学ぶ研修を実施しております。
 今後、特別支援学級設置校の校長等と連携し、研修修了者が研修内容を他の教員に伝達することを通して、多くの教員の自立活動についての専門性を高めてまいります。
 都は、特別支援学級の教員定数について、いわゆる標準法に基づき算出した学級数分に一人を加えた配置を行っておりますが、さらなる充実に向けて、国への要望に当たっては、自立活動の重要性等も踏まえ働きかけてまいります。
 次に、都立学校の空調設備の整備についてでございますが、都立学校では、全ての普通教室や体育館で空調設備の整備が完了しております。
 現在、特別教室や武道場等の空調設備について順次整備を進めており、特別教室については令和八年度までに、武道場等については令和九年度までに、全校で整備が完了する予定でございます。
 また、普通教室の老朽化した空調設備の改修に当たっては、学習活動を継続しながら工事が進められるよう、代替教室の確保や仮設校舎の設置の必要性、室外機置場などのスペースの確保など、学校との間で様々な調整を行っているところでございます。こうした調整を進め、来年度以降、普通教室の空調設備の改修を加速化してまいります。
   〔東京都技監中島高志君登壇〕

○東京都技監(中島高志君) 気候変動を見据えた中小河川の整備についてでございますが、水害から都民の命と暮らしを守るためには、気候変動の影響を踏まえ、洪水対策を強化していくことが重要でございます。
 都は、昨年六月より有識者等から成る委員会を開催し、気候変動の影響により一・一倍に増加する降雨量に対応するため、目標整備水準を引き上げ、増加分は主に調節池整備で対応することを検討しております。
 さらに、地下調節池を延伸して洪水を海へ流す地下河川や、複数の調節池をトンネルで連結するネットワーク化等の新たな整備手法を検討し、年内に取りまとめてまいります。
 水害に強い都市東京の実現に向け、中小河川の洪水対策を一層推進してまいります。
   〔保健医療局長雲田孝司君登壇〕

○保健医療局長(雲田孝司君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、インフルエンザ対策についてでございますが、定点当たりの患者報告数は、注意報基準の十人を超え、今後四週間以内に大きな流行となる可能性もあります。
 基本的な感染対策は、新型コロナと同様に換気や手洗いなどであり、都はホームページやSNS等で周知しております。
 また、ワクチン接種につきまして、特に定期接種の対象となる高齢者等に、新型コロナワクチンとの同時接種も含め、かかりつけ医などへの早期の相談を呼びかけております。
 あわせて、国に対しましては、今後も需要の増加が見込まれる治療薬等の安定供給やインフルエンザワクチンの供給の前倒しのほか、新型コロナワクチンとの同時接種も可能なことについて広く周知するよう、要望してまいります。
 次に、看護師等修学資金についてでございますが、都は、看護職員の確保と質の向上のため、都内で看護業務に従事しようとする学生に修学資金を貸与しており、これまでニーズに応じて貸与金額を四種類から選択できるよう改めるとともに、卒業後、就業する施設種別等に応じた返還免除要件の見直しなどを行ってまいりました。
 今後、生産年齢人口の減少や高齢化の急速な進展を見据え、介護保険施設や在宅療養等における医療ニーズの増大、多様化等の状況にも留意しながら、都内の看護職員の一層の確保に向け、看護師等修学資金制度の在り方について検討してまいります。
 次に、粒子線治療施設の整備計画についてでございますが、都は、計画の策定に向けて、本年五月から有識者にヒアリングを行い、学会、患者団体、医師会などに属する十九名から意見を伺ったほか、先行施設の運営状況や収支状況等を調査し、二十施設から回答をいただきました。
 現在、これらの調査結果を踏まえ、がん患者の診療実績が豊富で集学的治療を提供できる都立病院の粒子線治療施設の早期導入に向け、装置の種類や必要面積、整備手法などの検討を進めております。
 今後、年内に素案を公表し、パブリックコメントを実施の上、今年度改定予定のがん対策推進計画と併せて、導入機器や整備地等を定めた整備計画を策定してまいります。
 次に、市販薬の監視指導についてでございますが、近年、総合感冒薬等の不適正な使用を目的とした複数購入や、用法、用量を超えた多量服薬等の実態が報告されていることから、国は本年四月、乱用等のおそれのある医薬品の範囲を拡大いたしました。
 また、薬局等が乱用等のおそれのある医薬品を販売するに当たりましては、原則一人一包装とするなど販売方法が厳格化されており、都は、区や保健所設置市等と連携し、販売方法について重点的に監視指導を実施しております。
 今後、さらに医薬品が適正に販売されるよう、都が率先して監視指導を強化してまいります。
 次に、市販薬の乱用防止対策についてでございますが、都は、平成三十年度に改定した薬物乱用対策推進計画に基づき、関係機関や地域団体と連携した啓発活動、規制や取締り、相談支援体制の充実など、総合的な薬物乱用防止対策に取り組んでおります。
 市販薬の乱用防止につきましては、過剰摂取の危険性等をホームページやSNS等で広く都民に周知するほか、地域のイベントなどで活用できるリーフレットを作成し配布しております。
 今後、市販薬のオーバードーズが社会問題化していることも踏まえ、今年度改定予定の薬物乱用対策推進計画の内容を検討するなど、薬物乱用防止対策の取組を一層推進してまいります。
 最後に、火葬についてでございますが、今後、高齢化による死亡者数の増加が予測される中、都民の火葬についての不安を払拭し、地域の実情に応じて将来にわたる安定した火葬体制を確保することは重要でございます。
 都内では、区部において民間事業者が経営する火葬場が多数を占めており、他の自治体とは異なる状況にあります。こうしたことから、都におきましても火葬に関する情報や課題を共有していく必要があり、区との情報共有や火葬場の実態把握など、今後関係者間で意見交換等を始めてまいります。
   〔子供政策連携室長田中慎一君登壇〕

○子供政策連携室長(田中慎一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、子供の意見を施策に反映する取組についてでございますが、都はこれまで、アンケートやヒアリング、出前授業など、多様な手法で子供との対話を実施してまいりました。今後は、これらの取組に加えて、子供が社会の一員として主体的に意見表明し参画できる環境の整備を進めてまいります。
 具体的には、子供に関する施策につきまして、当事者である子供が自ら議論し都に提案することを通じて、政策形成の過程に参加する仕組みの構築を図ってまいります。
 また、企業やNPOなどが子供からアイデアを募り、地域課題の解決に向けて実践、具体化する枠組みも検討いたします。
 これらを通じ、官民一体となって子供の社会参画の機会を創出し、東京都こども基本条例の理念を実践してまいります。
 次に、フリースクールなどへの支援についてでございます。
 都は、これまで支援が行き届かなかった政策課題に真正面から向き合い、学校外の学び、居場所に対するアウトリーチ型のヒアリングに加え、フリースクールなどに通う不登校児童・生徒支援調査研究事業を実施しております。
 これらの調査実績などを踏まえ、学校生活になじめず生きづらさを抱える子供を支えるため、保護者へのサポートの在り方について検討を深めてまいります。
 また、学校外の現場の声に耳を傾けながら、子供目線に立って、フリースクールなどに求められる役割を後押しする方策の在り方について検討いたします。
 さらに、一人一人の子供の個性や強みを育む学びにつきまして、議論を深めてまいります。
   〔都市整備局長谷崎馨一君登壇〕

○都市整備局長(谷崎馨一君) 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、盛土の安全性確保についてでございます。
 盛土による災害を防止するためには、新たに施行された盛土規制法の実効性を高めていくことが重要でございます。
 このため、都は、専門家の意見を聞きながら、これまでの宅地造成等規制法に基づく制度運用実績も踏まえ、新法の規定に基づく制度の強化について検討してまいりました。
 これを受け、条例の新設により、工事完了時に目視できない工程を確認する中間検査において、対象規模を五百平米超えに引き下げることや、擁壁の鉄筋組立て状況を含め七項目を追加することなどについて、今般、都民からの意見募集を開始いたしました。今後、来年七月を目途に新法に基づく制度に移行し、都民の安全を確保してまいります。
 次に、イチョウ並木の保全についてでございます。
 四列のイチョウ並木は、神宮外苑の象徴であり、都は、その保全に万全を期すよう、これまでも事業者に要請してまいりました。
 事業者は、四列のイチョウ並木を全て保存すると述べており、そのためイチョウの根の調査を実施するとともに、今後、調査結果や樹木医の意見を踏まえ、新野球場棟のセットバックなど必要な施設計画の見直しを行い、環境影響評価審議会に報告するとしております。
 都は、事業者に対し、イチョウ並木を確実に保全し、風格ある都市景観を将来に引き継ぐため、審議会の意見も踏まえしっかり対応するよう、引き続き強く求めてまいります。
   〔福祉局長佐藤智秀君登壇〕

○福祉局長(佐藤智秀君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず、認知症施策の推進についてでございます。
 本年六月に成立した認知症基本法では、都道府県は、国が策定する認知症施策推進基本計画を基本とするとともに、都道府県の実情に即した推進計画を策定するよう、また、計画案の作成に当たり、認知症の人及び家族等の意見を聞くよう努めることとされております。
 都は、東京都認知症施策推進会議の委員として家族会の代表に参画いただくとともに、会議の場で、認知症の方に自らの体験等をお話しいただくなど、当事者の声を反映した認知症施策を進めております。
 今後、認知症の方や家族の声も聞きながら、共生社会の実現に向け、総合的、体系的に施策の充実を図ってまいります。
 次に、認知症の早期診断についてでございます。
 認知症は、早く気づいて治療を開始すれば、進行を遅らせたり病状を改善させたりすることが可能な場合があり、早期の受診や治療に向けた取組が重要でございます。
 そのため、都は、高齢者に認知症のチェックリストを掲載したパンフレット等を送付し、検診を希望する方に問診、認知機能検査を行い、専門機関等につなぐ区市町村の取組を支援しております。
 今後、新たな認知症疾患修飾薬の実用化の状況や、健康長寿医療センターが取り組んでいる認知症研究の成果等も踏まえながら、早期診断、早期対応を推進してまいります。
 続いて、養護老人ホームについてのご質問でございます。
 養護老人ホームは、虐待や社会生活への適応が困難な高齢者の受皿として重要な役割を担っており、区市町村が設定する措置費により運営をされております。
 都は、国が介護保険施設職員の処遇改善を図った際には、養護老人ホームも同様の改善が行われるよう、区市町村に周知をしております。
 加えて、施設が職員の増配置等に対応できるよう都独自の補助を行うほか、介護保険法に基づく指定を受けた施設にのみ改築等の補助も行っております。
 今後、施設の安定的な運営継続に向け、引き続き措置費の改定を区市町村に働きかけるとともに、老朽化した施設の改修、改築等の課題を整理し適切に対応してまいります。
 次に、高齢者の社会参加の促進についてでございます。
 人生百年時代において高齢期を生き生きと過ごすためには、一人一人が介護予防、フレイル予防に取り組むとともに、自らの希望に応じた仕事や学び、趣味、地域活動ができる機会を確保することが重要でございます。
 このため、都は、高齢者自らが行う文化、教養活動の区市町村等を通じた支援や社会参加を目的としたシルバーパス事業を実施しております。また、高齢者やこれから高齢期を迎える方を様々な社会参加活動につなげるオンライン上の仕組みの構築を着実に進めております。
 今後、こうした取組をさらに進め、高齢者の社会参加の促進に取り組んでまいります。
 次に、障害者グループホームの設置促進についてでございます。
 強度行動障害を有する方など重度の障害者であっても、障害者本人が希望する地域で居住の場を確保することは重要でございます。
 このため、都は、障害者グループホームを整備する事業者の負担を軽減する特別助成や都有地の減額貸付等を行うとともに、身体や行動の特性上、特別な支援を必要とする重度障害者を受け入れ、国の配置基準以上に手厚く職員を配置する事業者に対し補助を実施しております。
 強度行動障害を有する方など重度の障害者が地域で安心して暮らせるよう、障害者グループホームのさらなる設置促進に向けて取り組んでまいります。
 最後に、強度行動障害を有する方への支援についてでございます。
 強度行動障害を有する方が安定した日常生活を送るためには、障害特性を踏まえた適切な支援が必要でございます。
 このため、都は、障害福祉サービス事業所等の職員向けに、強度行動障害の特性や支援方法を学ぶ研修を実施しており、今年度から定員を二倍に拡充いたしました。また、利用者の重度化や強度行動障害等への対応力向上のため、専門職等を各施設に派遣する支援力育成派遣事業では、今年度から、障害者支援施設に加え生活介護事業所を派遣先の対象といたしました。
 今後、各事業の対象の拡大を検討するなど、強度行動障害を有する方への支援の充実を図ってまいります。
   〔消防総監吉田義実君登壇〕

○消防総監(吉田義実君) 増大する救急需要への対応についてでございますが、本年の救急出場件数は、過去最多を記録した昨年を上回るペースで推移しており、救急体制及び救急相談センターの強化が重要であります。
 このため、交代要員を動員し救急隊を増強するとともに、救急出場の逼迫状況を救急車逼迫アラートとして新たに発信し、救急車の適時適切な利用を訴えております。
 また、救急相談センターについては、各種メディア等を活用した広報や相談員及び回線を増強するなど利用促進及び充実強化を図っております。
 今後、デイタイム救急隊を含む救急隊の計画的な増強や救急相談センターの体制強化を検討するなど、救急需要に的確に対応してまいります。
   〔財務局長山下聡君登壇〕

○財務局長(山下聡君) 五点の質問にお答えいたします。
 まず、公共工事の発注の在り方についてでございますが、建設業の働き方改革を進めていくためには、作業前の指示や後片づけ等、実作業以外についても就業時間に含めるなど、現場の実態により即した工事の積算や工期の設定を行うことは重要でございます。
 国は、時間外労働の抑制に向けて、本年四月に一部の工種における標準歩掛かりを見直しており、都におきましても十月から同様の歩掛かり等の改定を行い、積算及び工期にも反映させていくこととしております。
 引き続き、国の動向を注視し、適正な工事価格の積算及び適切な工期の設定に努め、建設業における働き方改革を後押ししてまいります。
 次に、工事におけるデジタル技術の活用についてでございます。
 建設業の働き方改革を推進していくためには、デジタル技術により工事現場の生産性を高め、受注者の負担軽減を図ることが重要でございます。
 このため、都は、インターネット上で工事関係書類の提出等を行う情報共有システムを活用しております。
 さらに、ウエアラブルカメラ等を活用し、工事の各種確認行為をリモートで行う遠隔臨場につきまして令和二年度から取組を進めており、導入効果の検証や課題の整理などを行っております。
 今後は、遠隔臨場の実施件数の拡大などの取組を推進し、建設業の働き方改革を後押ししてまいります。
 次いで、工事における物価高騰への対応についてでございますが、都は、契約後の賃金または物価水準の急激な変動により契約金額が不適当となった場合に変更を行う制度として、インフレスライド条項を工事請負標準契約書に整備しております。
 本年一月には、工期内に賃金水準の変更がなくとも、残工事費が既存契約から一%以上変動した場合には何度でもインフレスライド請求ができるよう運用を改善し、現下の急激な物価高騰への対応を図っております。
 今後、資材価格の急激な高騰に対応する単品スライド条項と併せ、事業者への周知を丁寧に行い、制度を適切に活用できるよう、発注者としての責務を果たしてまいります。
 次に、工事現場の気温上昇対策についてでございますが、現場の環境や工事の進捗具合、作業の内容等により状況がそれぞれ異なることから、熱中症対策はその状況を踏まえた対応が必要でございます。
 このため、毎年受注者に対し、計画的な予防対策等の徹底を求めるとともに、工期への影響が見込まれる場合、延伸の協議が可能である旨を周知しております。対策費用につきましては、当初工事費への計上に加え、追加対策及び工期延伸に伴う経費につきましても、設計変更により対応をしております。
 引き続き、熱中症対策の取組を推進するほか、工期の延伸、追加費用等について協議しやすい環境づくりに向け、受注者の理解が進むよう、さらなる制度の周知に努めてまいります。
 最後に、宝くじについてでございますが、宝くじは、地方自治体の貴重な収入源の一つでもあり、売上げ確保に向けた取組は重要でございます。
 そのためには、関係法令も踏まえつつ、社会経済情勢の変化や価値観の多様化等に合わせて魅力あるくじを提供していくことが不可欠でございます。
 こうした観点から、来年度、都のブロックくじにおきまして、購入者のニーズを酌み取りつつ、関係機関とも調整を行いながら、より当たりやすさを重視したくじや一等賞金を高額化したくじの販売など、賞金体系のバリエーションの拡充を検討してまいります。
   〔産業労働局長坂本雅彦君登壇〕

○産業労働局長(坂本雅彦君) 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、中小企業の人材の確保と定着の支援についてでございますが、中小企業が若手の人材を採用し、その定着を図るため、社員の安心で快適な生活をサポートする取組に対し適切な支援を行うことは重要でございます。
 このため、都は今年度より、中小企業が福利厚生の充実に向けた計画をつくり、若手社員のために住宅を借り上げる場合などに必要となる経費への支援を開始いたしました。
 この取組について、ウェブの広告やSNSを活用し幅広く宣伝を行い、中小のものづくりやサービス業の会社から利用の申込みを受けております。
 今後、観光関連の業種など人材の確保が特に大きな課題となっている会社に対し、観光財団等と協力し、支援内容の周知を強化いたします。
 次に、農業の新たな担い手の確保についてでございますが、東京農業の担い手を増やすため、新たに農業を始めた方に対するきめ細かな支援は重要でございます。
 これまで都は、農業を始めて間もない時期の生活を支えるため、資金面から支援を行うほか、農業施設の整備や機械の購入に必要な経費に助成を行ってまいりました。また、生産した野菜などを直売所や小売店などに納品する販路開拓のサポートも行っているところでございます。
 国では、市街化区域内で就農を開始した方への支援を見直すこととしております。
 都は、国に対し働きかけるなど、こうした方が安心して営農を継続できるよう適切なサポートを行います。
 これらによりまして、東京の農業振興を着実に進めてまいります。
 次に、農業経営の充実に向けた支援についてでございますが、東京の農業者が最新の技術を取り入れ効率的な生産を行い、経営力の向上を実現することは重要でございます。
 これまで都は、普及指導員による巡回指導や講習会を通じ、最新の栽培技術や生産方法に関する知識やノウハウの提供を行ってまいりました。また、GAPのルールにのっとって安全で安心な農作物を作り、消費者の信頼を確保できるよう、その認証取得に必要な経費への支援も実施しております。
 今後は、普及指導において、区部や多摩のそれぞれの特色に応じた支援の充実に向け工夫を行います。また、GAPのルールにのっとり生産する農業者がオンラインの商談会に出展し、販路開拓を図る取組の拡充を行うこととしております。
 次に、イベントを通じた東京農業の魅力発信についてでございますが、東京の農業振興を図るため、イベントを通じ都内産の農産物を味わう機会を提供し、農業と食への関心を高めることは重要でございます。
 これまで都は、東京産農産物を使った料理などを提供する東京味わいフェスタを開催し、昨年度は、同じエリアの中で農業者団体が主催するイベントとも連携し、農業の優れた魅力を幅広く発信いたしました。
 今年度は、それぞれのイベントをより一体的に行うため、各会場をスタンプラリーなどにより回遊して結びつける工夫を行い、今後、農業者団体とのより効果的で安定的な連携につなげます。
 次に、EV等で使う蓄電池の再利用についてでございますが、蓄電池の普及を図る上で、EV等で使ったものを再利用する取組は効果的でございます。
 現在、国の有識者会議では、EV等の蓄電池を再利用する仕組みづくりを検討しているほか、そうした蓄電池の使用の度合いに応じ、EV以外に活用する事業者も出ております。
 都では、蓄電池を事業所に設置する場合や電力ネットワークの安定に役立つ大規模なものを導入する際の支援において、再利用の蓄電池も対象としております。
 今後、蓄電池の再利用に関する重要性や都の支援の対象であることをウェブにより分かりやすく発信するとともに、EV等の普及に合わせた活用の促進を図ります。
 次に、福島県で生産したグリーン水素についてでございますが、東京のゼロエミッションの実現に向け、福島県で生産した水素の活用を進めることは重要でございます。
 これまで都は、福島県でつくったグリーン水素に関し、東京二〇二〇大会等の選手村や大会関係者の乗る車両のエネルギーとして使うことにより、PRを実施してまいりました。
 今年度、都は、国の研究機関のほか、福島県や東京都環境公社と協力し、福島から水素を都内へ運ぶ方法等に関し相談を進めます。また、そうした水素を利用する都内の事業者の掘り起こしを実施いたします。
 これらによりまして、福島県で生産したグリーン水素の普及を推進してまいります。
 最後に、グリーン水素の実用化に向けた取組についてでございますが、東京で脱炭素化を進める上で、再生可能エネルギーにより水素を生産し活用する具体的な取組を図ることは重要でございます。
 都は、プラントメーカーの提案に基づき、工場などの敷地の中で水素の生産から活用まで一体的に行う民間への支援を先月より開始いたしました。また、都有地におきまして、都がグリーン水素を最先端の技術を用い生産する取組に関し、現場の状況を調べ、プラントの設計を進めます。
 これらによりまして、グリーン水素の普及拡大を推進してまいります。
   〔中央卸売市場長早川剛生君登壇〕

○中央卸売市場長(早川剛生君) 被災地支援についてでございますが、市場業者が有する豊富な商品知識や経験に基づき、産地から入荷した商品を正しく評価して市場取引を行うことは、被災地産品の普及拡大にも大変効果的でございます。
 そこで、都は、豊洲市場の水産仲卸業者の団体が、本年七月から都が設営した市場内の店舗でいわゆる常磐物等を販売する取組に対し、事業運営に要する経費の一部を補助するなどの支援を講じております。
 今後、この取組のより一層の活性化を促すため、豊洲地域で開催される都主催のイベントとの連携を図るとともに、実効性ある広報を継続して行うなど、被災地産品の消費普及拡大に向けてサポートしてまいります。
   〔スタートアップ・国際金融都市戦略室長吉村恵一君登壇〕

○スタートアップ・国際金融都市戦略室長(吉村恵一君) 官民協働の推進に関するご質問にお答えいたします。
 都は今年度、官民協働の推進に向けた二つの取組を新たに開始いたします。
 一つは、事業所などでの業務上の困り事をスタートアップに提示し、現場での対話を通じて解決につなげる取組でございまして、現在、課題の洗い出しを各局と連携して進めております。
 もう一つは、スタートアップから自由な発想で事業を提案してもらい、各局との対話を経てサービスなどの試験的導入につなげる取組でございまして、今月から募集を開始しております。
 各局との緊密な連携の下、都政現場が抱えるニーズとスタートアップの優れた技術やサービスを効果的に組み合わせることで、都民サービスの向上とスタートアップの成長につなげてまいります。
   〔政策企画局長古谷ひろみ君登壇〕

○政策企画局長(古谷ひろみ君) 海に関する政策についてでございますが、東京の発展と魅力の創出に当たり、東京の広大な海域から生み出される経済、産業をはじめ、生物多様性の恵みなど豊かな自然環境を活用していくことは重要でございます。
 これまでも都は、「未来の東京」戦略において、デジタルを活用した東京港の機能強化や島しょの自然を生かした多様なツーリズムなどの施策を展開してまいりました。
 また、本年七月の重点政策方針でも、国際競争力の強化に向け、そのポテンシャルを生かすことを示しております。
 今後、東京産水産物のブランド化による水産業の振興や、東京港におけるブルーカーボンを活用いたしました脱炭素化の推進など、海を生かし、東京のプレゼンス向上や持続的発展につなげてまいります。

○議長(三宅しげき君) この際、議事の都合により、おおむね二十分間休憩いたします。
   午後六時一分休憩

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